令和3年7月30日知事会見記録

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開催日時

令和3年7月30日10時00分から10時50分

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 「三陸ガストロノミー会議2021」を令和3年9月13日、14日に久慈市で開催します。そして、一連の関連事業を沿岸各市町村で開催します。事業の概要については、お手元の資料の2ページ、「三陸国際ガストロノミー会議2021」、そして3ページ、国際会議の登壇シェフによる「食」のキャラバン、4ページ、沿岸地域のレストランでの「三陸美食サロン」であります。5ページを御覧ください。国際会議には、外国人シェフ2名も参加します。1人はフランスの「アラン・デュカス」シェフ、ガストロノミーの視点からフランス料理の世界への発信、伝統、知識の継承に尽力されている方です。東日本大震災津波の際に、被災した多くの方々にフランス料理を振る舞ってくださいました。そして2人目は、フランスの「ギヨーム・ブラカヴァル」シェフ、その土地の風土や食文化を理解し、料理で伝えることに取り組まれています。義母、義理のお母さんの実家が岩手県であります。震災後、被災地の子供たちを支援するためにチャリティーディナーを開催してくださっています。
 このプロジェクトは、「三陸防災復興プロジェクト2019」を起点に、三陸の「食」をテーマに三陸や岩手の魅力を発信してきたものであります。「食」をテーマとした国際会議としては、東北で初めてのものであり、「食」に関するネットワークの拡大などの成果を上げてきています。
 なお、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、開催の可否も含め、その時点で適切に判断していきます。詳しい情報については、今後公式サイトなどで発表していきます。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項1件について、各社から質問があればお願いします。

記者
 今回3回目ということで、あらためて過去2回、どのような成果がもたらされたかというところと、今回、特に力を入れていきたいことを伺えますでしょうか。

知事
 まず、岩手沿岸を中心に、岩手県内の飲食業関係の皆さんから、岩手の飲食業や、そしてその素材(食材)が高く評価されて、大変良かったという、そういうPR効果が大変高いという声をいただいています。生産者の皆さんからも、世界的(に著名)なシェフが訪問してくれて、これは世界的にすごいというふうに評価していただいて、生産者の皆さんも、さらに頑張ろうという気持ちを持っていただいています。岩手の生産の現場、そして食事をする現場、そのクオリティーの高さというものが県内、そして県外、海外にも知られることで、地域振興に大いに資するものとして回を重ねていると思います。

記者
 ありがとうございます。今回はコロナ禍でということで、ちょっと例年とも変わったところあると思うのですけれども、VTR出演の方も世界でいらっしゃると。コロナ対応として気をつけてやりたい工夫など、現時点でのお考えというのはありますでしょうか。

知事
 基本的な感染対策の徹底ということで、密にならないとか、飛沫をかけたり、かけられたり、そういうことがないようにしていくということが基本と考えています。

幹事社
 それでは、発表事項についてほかに質問がなければ、本日は発表事項以外について、記者クラブを代表して幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
 今日で雫石の航空機事故から50年ということで、この後知事も式典に出席されると思いますが、あらためて事故の受け止めと今後の航空安全に向けた決意などあればお聞かせください。

知事
 雫石(上空で発生した全日空機と自衛隊機の)事故は、多くの方が犠牲になられた大規模な航空機事故であり、あらためて犠牲になられた方々に哀悼の意を表したいと思います。
 航空機墜落跡地に設けられた森のしずく公園では、昨年度まで慰霊祭や献花、拝礼行事が開かれていました。岩手県も「いわて花巻空港」があって、地域振興や岩手県民、岩手に関わる人たちの仕事や暮らしや学びで航空機というものを大いに活用しているわけですけれども、事故がないようにということ、航空という分野で最も大事なことが安全だということ、歴史的と言っていいと思いますが、歴史的な事故があった岩手からも県民が自覚を深め、それを県外にも発信していくことが岩手の務めであると考えます。

記者
 東京オリンピックについて伺います。開会から1週間近くが経ちましたけれども、知事はオリンピックの日本勢の活躍について、どのように見ていらっしゃるのか教えてください。

知事
 まずは、岩手県ゆかりの選手の皆さんの活躍を注目しているところでありまして、オリンピックという世界的な舞台で岩手県人が活躍するというのは大変感動的で、また、元気が湧いてくることで、今回7人もそういう選手がいるということを大変うれしく思います。ホッケーは試合が何回もありまして、県人はレギュラーで出場していますので、本当に活躍の場面が多くて良いなと思っています。
 また、なかなかメダルまでは届かないのですけれども、あらためてオリンピックのすごさ、そこで上位に入賞し、メダルを取るということの大変さというのを感じるとともに、そこに出られるということだけでもすばらしいことなのだなというふうに感じております。

記者
 ありがとうございます。オリンピックの選手の活躍もあると思うのですけれども、感染状況がなかなか、コロナの中での開催ということで、芳しくないと思うのですが、昨日の感染者が1万人を超えたということで、これについて知事はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

知事
 1万人を超えるというのは、ヨーロッパ級の感染状況になったと言ってよく、ちょっと今までとは違う見方をしていかなければならないのだと思います。しかも、東京での感染者の増え方が、1週間で1.2倍の増え方から1.3倍、1.4倍、1.5倍、さらにもう2倍近く、1週間で2倍近く増えるというような、増え方自体が増えていますので、非常に危険な状態だと思います。そういう東京に引っ張られるように首都圏全体も急速に感染が広まり、また、東京に引っ張られるように大阪や近畿圏でも急速に感染が拡大し、そして、首都圏や近畿圏に引っ張られるように日本全体、どの県でも感染の拡大が加速しています。日本全体、非常に危機的な状況にあると思いますので、感染を減らしていくための思い切った行動が今求められていると思います。岩手県は、まだ倍だ、1.5倍だとかいうような増え方はしていないわけですけれども、日本全体の感染拡大の中でじりじり感染が増えてきていますので、来週8月3日の火曜日に県の(新型)コロナ(ウイルス感染症)対策本部員会議を開いて、そのときの状況を踏まえながら、県民にあらためて特別な警戒をしていただくよう呼びかけたいと思います。

記者
 ありがとうございます。東京での感染が増えている中で、1万人を超えるというヨーロッパ級の感染状況になったということでしたけれども、そういう中でパラリンピックがいよいよ迫ってきているという、来月24日に開催ということで、これについて知事は開催すべきなのか、それともちょっと考えた方が良いのか、どのように見ていらっしゃるのか教えてください。

知事
 東京で1週間10万人当たりの新規感染者数が100(人)を超えているわけです。1週間で10万人当たり100人ということは、1週間の間に1,000人に1人は感染するという状況に今なっているのですが、それが今後1週間か2週間でさらに倍になるとか、今現在、陽性の数字としては1,000人に1人だけれども、でも実態としての感染状況は既に1.5倍や倍になっていて、一、二週間後にはさらに増え、だから元のところから4倍ぐらいに増えているのではないかと考えますと、そこに海外から大勢の人を受け入れ、また東京都内や東京都と他の日本の道府県との間で人が盛んに動くということは、非常にリスクが高くなってくるのだと思います。ですから、本当は東京オリンピックが始まる前にロックダウンくらいの徹底的な人の動きを止めることを東京でやっておかなければならなかったのだと思うのですけれども、今からでも遅くないので、とにかく今それをしないと、パラリンピック開会のリスクが非常に高まり、それは同時に東京都民の皆さんや日本国民の感染リスクが非常に高まる危険な状態になっていくので、今、東京は思い切ったロックダウン的なことが求められるのだと思います。

記者
 ありがとうございます。すごく危機的な状況という中で、パラリンピックまで時間が、期間としては少ないと思います。ロックダウンぐらいのそういった行動をしなければ、開催は難しいというような捉え方でよろしいのでしょうか。

知事
 本当は、去年3月下旬にオリンピックを1年延期すると決めたときに、オリンピックを安心してやるためには東京での感染者をほぼゼロにしておかなければならず、ほぼゼロにするためにはロックダウンも辞さないという、そういう合意を国民的に取りつけておく必要があったのだと思います。それは、そのときに完全にできなくても、そこから1年以上あったわけですから、その間に東京をほぼゼロにするためにはロックダウンも辞さないということであり、それは、イコール東京オリンピックをやっている最中にロックダウン的なことをやらなければならない状況になるかもしれないということを、あらかじめ国民的合意を取りつけておくべきだったのだと思います。そうすると、オリンピックはやっているのに、外での飲食は禁止するのかとか、そういう疑問が出てこないように、オリンピックをやっているからこそ、様々な行動制限をしなければならないのだと。その行動制限は、結局は都民の皆さんの安全につながり、命と健康にもつながるわけですから、そういう合意をやっぱり事前に取りつけておくべきだったし、今からロックダウン(的なこと)をやらなければならないということになるのであれば、今からでもそういう合意、国民的な合意、少なくとも東京都民との間での合意を形成するように努めていくということだと思います。

記者
 五輪について伺いたいのですけれども、知事は今の五輪が復興五輪として、満足といいますか、ちゃんと復興アピールにつながっているかどうか、どう見ていらっしゃるのかという点、教えていただけますか。

知事
 まず、コロナ五輪ということが優先されるということは仕方がないと思います。開会式もコロナで苦しむ人たちや、コロナで苦労したアスリートたちを表現することに時間が優先され、また、コロナ対策で頑張る医療関係者や救急関係者の出番の方に優先されるというのは、それは仕方がないと思いますし、あの震災を経験して復興に取り組んだ経験からすれば、今、目の前にとても重要な危機があるのであれば、そちらの方を優先させることが復興の精神にもかなうことだとは思います。そういうコロナ五輪としてやらなければならない中で、開会式でも被災3県の子供たちが聖火をバトンタッチする出番があったり、合唱に参加する出番があったりしたのは、ありがたいことだと思いますし、バッハ(国際オリンピック委員会)会長や橋本(東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)会長の挨拶の中でも、震災のことと復興のことにしっかり触れていただいたことはよかったと思います。
 あとは、岩手県として、岩手県内においては、全ての市町村が聖火と触れ合う、そういう聖火展示から聖火リレーをやったりとか、岩手の中で復興五輪の主題を、復興五輪のテーマを表現して、また、発信するということはかなりできていると思っておりまして、これは今のホストタウンや、そしてパラリンピックの聖火の集火などの行事もまだこれからありますので、そういうことを通じて復興五輪。これは、復興を経験した側がコロナ対策に頑張る全国を応援し、世界を応援するという、当初想定されていたスポーツの力で復興を応援というものの逆の方向ですよね。復興を成し遂げた、そして成し遂げつつある人たちがコロナ禍で苦しむ人たちを応援するという、そういう復興五輪になってきているのだと思うのですけれども、コロナ五輪との組合せでそういう復興五輪ができていけば良いのではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。以前に(国際政治学者の)イアン・ブレマーさんという識者の方が、五輪について、本当に開催したかった形ではないというふうに発信されていましたけれども、ということは本当に開催したい形ではないけれども、新しい形が見えてきたというふうに見ていらっしゃいますか。

知事
 ほぼゼロでやっぱり開催すべきだったと思うのです。また、開催中にほぼゼロにできるなら、それでもまだ良いのですけれども、そうなっていないということはあるのだと思います。それで、復興五輪というよりはコロナ五輪というふうになっているのですけれども、オリンピックの側からすれば、それはやっぱり残念で、無観客を強いられるとか残念なことが多いオリンピックなわけですけれども、そしてまた、コロナ対策の側からすると、やっぱりもっと徹底的なコロナ対策をしなければならないのだということだと思います。

記者
 先ほど知事の発言で、コロナの対策をするために思い切った行動が必要だということで、東京ではロックダウン級のことが必要だということだと思うのですけれども、やはりここから岩手にだんだんと感染者が増えてきているのかなと思うのですが、県内で今できることというのは、知事は何か考えていらっしゃるでしょうか。

知事
 やはりステージ3相当、1週間10万人当たり(新規感染者数が)15人を超えるようなときには、岩手県でも行動制限をお願いしていくということだと思います。昨日の時点で6.8(人)まで増えてきているのですけれども、15(人)を超える、あるいは15(人)を超えそうになった段階で、そのときに相応しい行動制限をお願いしていくということになります。そうならないように、今の6.8(人)水準より増やさない、むしろ減らしてほしいと、そういうところは「岩手警戒宣言」でお願いしている基本的な感染対策の徹底と、あとは緊急事態宣言など出ているところとの往来に注意するというところで対応していきたいと思います。あとプラスとして、飲食店の認証制度を急ぐということです。

記者
 先ほど東京では思い切ったロックダウンの対策が必要というふうにおっしゃって、そのことで伺いたいのですけれども、ロックダウンと一言で言っても、いろいろなやり方があると思うのですけれども、例えば自粛ではなくて、強制的に外出しないように言うとか、あるいは飲食店は全て閉鎖、休業させるとか、具体的にどのようなやり方が必要だというふうに考えていらっしゃるか、教えていただけますか。

知事
 去年の夏は、8月に入ってお盆を挟んだ夏休みシーズンで、東京の皆さんも、そして全国の皆さんもかなり動きを自粛して、緊急事態宣言を出さなくても、東京都で簡単な外出、不要不急の外出は控えてくださいというお願いが出たくらいで減っていったということはあるのですけれども、デルタ株になっていますから、その程度では足りないのだと思います。去年の春、第1波のときには全国一斉、ほぼロックダウンに近いような全国一斉緊急事態宣言をやって、ほぼゼロまで落とした経験があるのですけれども、やっぱりあのくらいのことをまず東京都では少なくともやるべきなのだと思います。

記者
 分かりました。あと、ロックダウンが必要な現状というふうに認識されているということですけれども、五輪の開催は8月8日まであるわけですけれども、それは予定どおりやるべきというお考えということですか。

知事
 多分オリンピック関係者の感染状況というものが1,000人に1人とか、そこからさらに増えていって、100人に1人ぐらいのペースでどんどん陽性者が出ていくことになったら、オリンピック自体がクラスター状態ということで、直ちに、それはオリンピックを止めることだけではなくて、関係者の隔離とか、関係者全員に対する、今やっている検査以上のPCR検査の徹底とか、そういう公衆衛生上の緊急事態をオリンピック関係者全員に発動するという緊急事態になっていくのだと思います。

記者
 そうすると、これからさらに増えていけば、思い切った対策が、より踏み込んだ対策が必要になるけれども、中止するべきとか、そういうのは拙速に判断するべきではないという。

知事
 中止とかなんとかを判断するというより、今、目の前にいる人たちを今いるところから動かさない。そうやって2週間経ったときに、その人たちが2週間後に、2週間前にやる予定だった競技、それは8月8日の閉会式の日以降になってしまうのかもしれないですけれども、開会式の前にも試合しましたから、だから決めれば閉会式の後に試合するとかというのはできるのかもしれないし、どこか感染のリスクの低いところのグラウンドや体育館を使うという手もあるのかもしれないのですけれども、いずれにせよ、まずは関係者の安全、命と健康を優先させながら、その人たちが、ではもう移動しても大丈夫、何しても大丈夫となったときに、そこから直接本国に帰るようにするのか、それとも競技団体としてやると決めたら、競技をやってから帰るようにするのかということは、臨機応変に決めていくということだと思います。

記者
 先ほどロックダウン的なことという言及について、私も質問させていただきます。春くらいの緊急事態宣言、ほぼゼロまでいったという話。緊急事態宣言の慣れも指摘されているところですが、果たしてそれで十分なのか、あるいは今の法律内でどのような方策までできるのかというところをいかがお考えでしょうか。

知事
 説明の仕方だと思います。既にもう1,000人に1人は、ほぼ確実に1週間の間に感染するペースということは、また、その倍ぐらいまでなることや各学校に1人とか、各職場に1人とか、東京都、各23区の町内で1人ずつ、どんどん出るのですよと、それを止めることをやりますか、やりませんかという感じで区民、都民に問いかけながら、ではこれをやれば、そういうふうに感染が広がらないというやり方をしましょうかというふうに迫りながらやれば、それに反発する人というのは少ないのではないかと思います。

記者
 分かりました。
 ちょっと話題変わりまして、もう一つ、7月1日時点の推計人口、県内で120万人を割りました。これは、1944年の水準であります。これについての知事の受け止めを教えていただけますか。

知事
 あらためて人口減少問題は、今、目の前にある危機だという受け止めが大事なのだと思います。やはり今この瞬間に結婚、出産、子育てということのハードルが高くて、なかなかやれない、諦めてしまうというような経済、社会的要因があるとか、あとは岩手を出て働くことを選ぶ、また一旦外に出た人が岩手に帰ってこないことを選ぶ、岩手にやってくる人がなかなか少ない、そういう経済、社会的要因が今、目の前にある。それを改善していくことをさらに力を入れていかなければならないと思います。人口の社会減については、岩手で働く、岩手で暮らす優位性が、いま一つその情報が伝わっていないところもありますので、これを若い人たちはもちろんですけれども、潜在的に県外から岩手にやってきて働くかもしれないような人たちにもどんどん届くように発信していくということにもさらに力を入れたいと思います。

記者
 ありがとうございます。ここ数年そういった施策を取材させてもらってきました。すごく県としても努力されているというふうに感じていますが、やはりおっしゃるとおり、なかなか首都圏の人、あるいは全国的に届いていない面があろうかなと思います。一方で、転勤してくる者にとっては、岩手は大変住みやすいという声も多く聞きます。これは、私は3年程度しか見ていませんが、これまでのやり方、そのまま継続ということでいいのか、周知する方法。あるいは、ほかのやり方を考えられるのか、アイデアがもしあれば教えてください。

知事
 社会現象にはティッピングポイントという言葉があるのですけれども、コップに水を少しずつ入れていって、あふれそうになって、あふれそうになったところに1滴、2滴ずつ入れていっても、なかなかあふれないのだけれども、ある1滴で一気にあふれるということがあって、ある政策をずっと続けても効果が出ないけれども、ある一線を越えたときに一気にばっと効果が出る、ブームとかブレークとかそういうことですよね。社会現象にはそういうこともあり、特に人口の移動には意識の面とか、ムードとか、雰囲気とかそういうのも影響しますので、そういう意味では今までずっと地道にやっていることというのは諦めずに続けていった方が良いと思っています。ただ、プラス情報提供のPR面でありますとか、あとは今年度は住宅支援を新機軸として強化しているところなのですけれども、そういう新機軸を毎年度毎年度何らかの形で入れていくということも大事だと思います。

記者
 ありがとうございます。
 もう一点、今のは社会増減、社会動態についてのお話。ガストロノミーとかもそういうことに通ずることがあろうかと思います。一方で、自然動態について、これは2019年から自然減が1万人以上となっております。なかなか対策が、やっていらっしゃるのですけれども、苦戦しているように見えます。これは、やはり国の施策という面が大きいでしょうか。そういう指摘もありますが、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
 出産世代、子育て世代の人口が減ってきているので、そこから生まれる人口も、その分減っていくという構造的に減り続けるような状況が今の日本にありますので、出生率が急に増えたとしても、人口としては急には増えないという構造にはなってはいるのです。ですから、問題は出生率が増えない、むしろ減りぎみだというところが問題なのだと思います。地域、地方ができるのは、実際の物やサービスを提供するような支援策なのですけれども、金銭面での支援策は全国一律、国はやった方が良いのです。行政学のセオリー、財政学のセオリーとして、金銭支援は国で全国一律にというのがあるのですけれども、やはりそれが徹底的に足りないということだと思います。住宅支援なんていうのは、まさに現物で支援する話なのですけれども、そういうのは地方が得意だし、やるのですけれども、財政的に全国の若い人たちをより、一言で言うと生きやすくする、生きにくさから生きやすさへという、そこはやっぱり国がやらなければならないところだと思います。

記者
 現時点では、やはり十分ではないと強くお感じですか。

知事
 そこは、やっぱり結果として、数字として十分でないということが出てきてしまっていると思います。

記者
 国政関係の話題なのですけれども、衆議院の任期満了まで3か月切りました。先ほどイアン・ブレマーさんの話も出ていましたけれども、最近の7月22日の記事でブレマーさんの記事を読んだのですけれども、菅総理というのはカリスマ性に少し乏しいところがあると。ただ、野党関係で言えば、総理にとっては野党は弱くて、自民党外からの挑戦はないという、総理にとっては楽な点だというような記事があったのですけれども、なかなか自民党に対する野党勢力の、今後対抗となり得るのか、国民としても今の時点ではまだ微妙なところかとは思うのですけれども、知事はどのように期待していきたいでしょうか。

知事
 ざっくり言って鳩山内閣への政権交代が起きたときの選挙での国民の投票率ですよね。数にして、その後の一連の選挙では1,000万票とか2,000万票とか少なくなってしまっていて、国民が潜在的に求めている大きな変化、日本をいい方向に持っていく大きな変化というのを与党であれ、野党であれ、今の政党が作れないのではないかという雰囲気が選挙にも行かないという人が増えているような状況を作ってしまっていると思うのです。国民は、私が最初に選挙に出た25年前、衆院選に出た25年前あたりから、一貫して国民が求めているような大きな変化を引き起こすぞという人たちには物すごく投票数として表れていて、投票率も高くなって、政権交代やそれに近いことが起きたりということがこの25年間にありましたから、ともすれば国会議員たちは国会議員同士の誰がどこに入るとか、どの集団とどの集団が一緒にやるとかというところにエネルギーを注ぎがちになるのですが、有権者の方に目を向ければ、どういうことが求められているのか、そして何をやれば一気に支持を得て日本を大きく変えることができるのかというのが見えてくると思います。

記者
 コロナ関係について再度、すみません、話を戻して恐縮ですが。政府が6都府県に緊急事態宣言を拡大するという方針が示されました。要は政府の方の緊急事態宣言が繰り返されることで、先ほどお話にも出ていましたけれども、形骸化というのも指摘されています。分科会の尾身会長は、今最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されていないことだというふうに指摘して、政府に強いメッセージの発信を求めるようなことを発しています。先ほど知事のお考えでは、東京都のロックダウン、思い切った対策が必要とのお考えもありましたが、新たな感染急増、デルタ株も含め、そういったステージを迎えた中で、政府の対応についてはどのように現時点でお考えですか。

知事
 感染者数が増えても、重症者の割合が低ければ良いとか、死者の割合が低ければ良いとか、そういう理由で感染者数の増大に対して危機感を減らす方向で、政府は今までずっとそういうアナウンスをしているし、また、自分たちもそういう態度で政策を取っていて、そこがやっぱりまずいのだと思います。感染者数がどんどん増えてしまうと、割合が少なくても実数はぐいぐい増えていくわけで、病床の逼迫、医療体制の崩壊というのは、幾らそれを引き起こす要因の割合が低くても、感染者数が異常に増えていけば実数も増えて、あってはならないことを引き起こしてしまうわけなので、もっと感染者数の増大に敏感になることがポイントだと思います。やっぱり去年、当初決めていたステージ4が感染爆発なのだと。1週間10万人当たり(新規感染者数が)25人になったら、もうそれは感染爆発なのだという意識が大事だと思います。ステージ4、25人というのは、これはもうあってはならない数字で、だからステージ3、15(人)になったら、そこでいろんなことをやるというのが仕組みの基本のはずなので、だから東京が今、100(人)になっているというのは、あってはならないの4倍になっているというのは駄目だという、そういう意識が大事だと思います。

記者
 そうすると、東京もしくは首都圏をはじめ、もう既に感染爆発と捉えた早急的な対応が必要といったところでしょうか。

知事
 そうですね。ステージ4を起こしてはならないという意識を持つようにすることが大事です。

記者
 先ほど(8月)3日にコロナの対策本部会議を開くとおっしゃいましたが、多分お盆の前ということもあると思うのですけれども、7月上旬には県独自の警戒宣言を出していますが、それよりもうちょっと踏み込んだ呼びかけになるのか、もう少し具体的にどういうことを想定しているのか教えていただければと思います。

知事
 お盆の時期に合わせたお盆の過ごし方として、より具体的なメッセージを出していくことになると思います。

記者
 あともう一つ、コロナの収束に関してはワクチンの接種が重要だと思いますが、65歳以上の接種は7月末に完了を目指すとおっしゃっていましたが、あと数日で7月も終わります。知事としては、終わりそうと見込んでいるのか、今のお考えをお聞かせください。

知事
 実際の数字を集約するのにタイムラグがあったりしますので、正確な数字の把握というのはちょっと難しいのですけれども、まず7月末までにという目標の下、岩手県内各市町村が頑張ってやっていったということは、かなりその成果は出ていると思います。ただ、人口の多い市、また、岩手はそもそもお医者さんや看護師さんの数が人口当たり少ないですので、ほかの県よりもやっぱり同じだけ努力しても数を増やすのが大変というところもありますので、それを何とかしようという努力を現場でもやってもらい、また、県から市町村への支援というのもやっているところで、いろんな追加的な工夫や努力によって7月末の目標に向かっていく流れが大きく破綻しないような形でゴールに向かっていっていると思います。

記者
 一方、国からのワクチンの供給量がなかなかうまくいっていないように思うのですけれども、64歳から下の世代も接種を進めないといけない中で、県として国にさらに要望したいことがあれば教えてください。

知事
 全国知事会からの徹底的な要望もあって、河野ワクチン(接種推進担当)大臣をはじめ、政府の方でもワクチン供給の仕方について、より地方寄りのやり方に変更するということは最近出てきていると思います。さらに地方寄りにしていただいて、特に地方が準備している体制が無駄にならないような形でちゃんと供給をしていただくと、政府の方で言っているような早め早めの接種完了というのがより現実的、実現可能になっていくので、そこを国と地方で力を合わせてやりましょうということだと思います。

記者
 ちょっと話が戻ってしまって、私も国政に関する話なのですが、先ほど知事は感染が拡大している状況では、東京などはロックダウンというお話もありましたが、そういう行動制限を取っている場所と取っていない場所とで、同じ状況で選挙がまず可能とお考えなのか。そして、違った状況がある中で選挙をやるのであれば、どういう形が正しいと思うのか。もしくは、それが、全て解除、(制限)が解けた段階で選挙をやる、任期の延長ではないですけれども、そういった何か、どういう対策をした上での選挙が必要だとお考えかお聞かせください。

知事
 アメリカで大統領選挙をちゃんと予定どおりにやっていますし、世界中、国政選挙であれば、大体コロナ禍であっても予定どおりやっているのだと思います。今の日本よりひどい状況だったアメリカでもやっていますし。やはり民主主義の大原則、選挙権の行使でありますので、それは立候補する側の権利の行使でもあるのですけれども、そこはかなり感染が広がって、感染リスクが高くてもやるものなのだと思います。いろんな映画で描かれているパンデミックのような、外に出られない、外に出れば即感染みたいなことになれば、実態としてできなくなってしまうのでしょうけれども、かなり感染リスクが高くなったとしても国政選挙というのはやるものなのだと思います。投票所にいる人たちが防護服を着てでもやるものなのだと思います。

記者
 ありがとうございます。そして、今のは国政の話ですけれども、県内の国政、(政党)勢力に対する今の受け止め。自民党さんの方は、もう推薦者を決めている状況ですけれども、野党共闘の方がまだ動いていないという状況もあります。あらためて知事としてはどういった認識をお持ちなのか、あとこれからどういったことを期待したいのか、もしあればお聞かせください。

知事
 告示日の夕方までに立候補すれば良いわけですので、特に立候補する人の権利ということを考えれば、それはぎりぎりまで立候補というのはあり得るのだと思います。政党のそれぞれの動きについては、実は選挙というのは公職選挙法上、衆議院議員選挙であれば12日間だけが選挙期間で、事前運動は禁止されているところもありますので、だから選挙を意識した日常の活動が盛んという、そういう政党としてのやり方もあるのでしょうし、選挙を意識させる度合いが弱い活動とかという政党の在り方もあるのでしょうし、それは政党それぞれなのだと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は8月6日(金曜日)の予定です。

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