令和2年3月3日知事会見記録

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開催日時

令和2年3月3日15時30分から16時35分

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 まず、「第1回上手な医療のかかり方アワード」で岩手県が賞を取ったということであります。厚生労働省が「第1回上手な医療のかかり方アワード」というのを開催しまして、昨日表彰式が行われました。岩手県の「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」が最優秀賞に次ぐ厚生労働省医政局長賞、自治体部門優秀賞を受賞しました。厚生労働省では、これは日本政府ではと言ってもいいのですけれども、『「いのちをまもり、医療をまもる」国民プロジェクト宣言!』を出し、医療機関の適正受診等について国民への普及啓発に取り組んでいます。その中で、このアワードが今年度からスタートしました。
 岩手県では、10年以上前、平成20年度から「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」を設立し、医療機関の適正受診、自分の健康は自分自身で守ることの重要性などの普及啓発について、オール岩手で継続して取り組んできたところであり、今回の受賞はそれが高く評価されたものと考えております。県民の皆さんと県民会議を構成する129の団体には、これまでの活動について感謝を申し上げたいと思います。
 一方、岩手県は医師偏在指標で最下位になるなど、依然として厳しい医療環境にありますので、県民全体で地域医療を支えていくという理念の下、引き続き県民運動に取り組んでいきたいと思います。

 発表事項の2つ目は、「コミックいわてQ(キュー)」の発行についてです。このパネルが表紙になりますけれども、三陸鉄道リアス線全線運行再開を記念して「鉄道むすめ」の久慈ありすをメインに、また銀河鉄道で旅をしているというイラストになっています。「コミックいわてQ(キュー)」は、第9弾であることと、クオリティー(Quality)の「Q」、そしてクエスト(Quest)の「Q」で、面白い漫画を探求する、そして長年の御愛顧への感謝、サンキューの「Q」でもあります。
 岩手ゆかりの漫画家の皆さんによる漫画13作品を収録しておりまして、6年ぶりとなる吉田戦車さんや、2度目の執筆となった「この世界の片隅に」で有名なこうの史代さんのほか、漫画「SAMURAI DEEPER KYO」の作者、上条明峰さん、そして「鬼踊れ!!」の篠原ウミハルさんにも描いていただいています。東日本大震災津波、そこからの復興、また宮沢賢治の世界、岩手の郷土芸能など岩手の魅力をたくさん発信できるコミックとなっています。3月20日発売です。

 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について各社から質問があればお願いいたします。
 (質問が無いことを確認し)各社さん、なしでよろしいでしょうか。

 それでは、次に移ります。それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありません。新型コロナウイルスに関しての質問があるようですので、先にそちらに関連したことをまとめさせてください。それでは、各社さん、質問ある方お願いします。

記者
 新型コロナウイルス関係ですけれども、本県ではPCR検査の12件が全て陰性、まだ発生は確認されていませんが、隣県の宮城県では1件発生が確認されています。あと、安倍首相の小中高臨時休業など、いろんな対応等を求められていますが、更にマスクやトイレットペーパーの品薄など、県民の生活にも大きな影響が出ています。知事はこの新型コロナウイルスの対応について現時点でどのようにお考えでしょうか。

知事
 まず、感染した人が出たら、適切に医療、治療するということが対策のメインだと思います。岩手県は、現在、1日20件の検査体制、そして9の病院の38病床を用意して対応しようとしている訳でありますけれども、そういう中で疑わしい症例がある場合は、専門家委員の皆さんに相談しながら随時検査を、その都度検査を行って、今日の時点では13件陰性となっています。
 また、電話相談もセンターが受け付けて、それで熱がなくて、ただ持病が悪化しているというようなそういう場合は、「かかりつけ医にどうぞ」というように、適切に必要な医療が受けられるように相談にも応えながら対応しているところであります。
 宮城県の場合は、ダイヤモンド・プリンセス号から下船された人ということで、ダイヤモンド・プリンセス号から下船された方々については検疫所が名簿を作って、関係自治体に伝え、関係自治体の方でフォローする中、今回陽性と分かったということなので、御本人に対する治療や周辺の人に対する適切なフォローなどを期待しているところであります。
 そのように1人ずつ陽性の方が明らかになっていくような場合であれば、例えば岩手県は、38病床ありますから、そこできちっと治療をしていけばいい訳であります。分かりやすい例だと、東京の屋形船のような集団感染、1人の感染者から一度に複数の人たちに感染が広がり、そうした人たちが検査、そして入院といったことになった場合に、今の体制、いきなり1件出てきたところには、まず初動として対応できる体制を岩手は持っていると思っています。ただそれが続くとか、2件目もすぐ起きるとなってきた場合には、体制不足が懸念されますので、県から国の方に、これは全国、全ての都道府県共通の問題でもありますから、全国知事会も通じ、また岩手県からの単独の要望も含めて、この検査体制の充実と医療体制の強化について国に要望しているところであります。
 そういう中、先月25日に政府の基本方針が発表され、そして翌26日にはそこから一歩踏み出すようなイベント等自粛要請があり、そして更にその翌日、27日に休校要請があって、28日に文部科学省から各自治体にその要請の内容が通知されたものが岩手県にも来たのが28日ということです。
 28日の通知の内容は、学童保育も活用しながら、子供の居場所の確保、自宅で面倒を見ることが難しい場合、御両親が働いている、あるいは働く独り親世帯のような場合には、そういう学童保育の活用などというのもあったのですけれども、やはりそれだけでは足りないですし、具体的にどのようにやっていいのか分からない内容だったと思います。
 ということで、昨日3月2日付で文部科学省の担当部局長と厚生労働省の担当部局長の連名で各都道府県等に対し、かなり現場の困っていることに対応するような内容の通知が届きました。そこでは、それまでは文部科学省と厚生労働省がそれぞれやっていたのを一緒になっているがゆえに、例えば学校の先生が学童保育で働くこともありだというような内容とか、それから休校に伴う子供の居場所確保について、学校に登校してもらってもいいとか、あと学校の教室を使ってもいいというような内容が書かれています。これを県から市町村の方にも知らせ、私立学校にも知らせ、現場で今調整してもらっている訳ですけれども、その通知の一番最後には国としても現場の状況を把握したいので、都道府県において市町村の現場の様子を把握しておいてくださいと書いてあるのですが、それは書いていなくても県としては市町村の現場の状況を把握し、うまく調整できるよう手伝い、また足りないものがあれば県から、あるいは国に要請するといったことをやっていきたいと思います。
 あとマスクや衛生用品の不足については、県内のそういったものを扱う卸業者とは連絡を取り合って確保の上、まずは医療現場で足りなくならないようにということを考えて調整しているところですけれども、岩手県内でのなくてはならないところにないということを防ぐためには、そういう県内での対応がありますが、やはり国に対して、国でも国内での生産増大とか、中国からの輸入を増やすとか、また中国からは色々なルートでどんどんマスクの寄附が来ていると聞いていますので、そういったものを活用できればと思います。
 あとトイレットペーパーの不足というか、不足はしていない訳なので、トイレットペーパー売り切れ現象というのでしょうか、あれは十分生産量は足りているのに不足しているかのごときデマが流れて、そういう現象が起きているということですので、これは県民の皆さんにトイレットペーパーの生産は足りていますので、ほぼ国内で生産されているそうでありますので、普通に仕入れて店頭に並ぶのに対して、普通に消費していただければと思います。

記者
 ありがとうございます。その上で、昨日の県議会の常任委員会等でも委員の先生から話があったのですけれども、情報、いわゆるデマとかそういったものに惑わされないようにするために、もう少し県の方で情報発信を強化していくべきではないかというような御意見も何人かおっしゃっていましたが、その点についてはいかがでしょうか。

知事
 まず、国、そして県、市町村、あとはマスコミ関係の情報というのをベースに判断してもらいたいところで、それ以外の個人の発言のようなことについては、それを公ないし正式なマスコミの情報というもので裏付けを取るような、そこで確認してほしいということは申し上げたいと思います。
 また、県からの情報の発信の仕方については、これは工夫の余地というのはあると思うので、どんどん工夫していきましょう。

記者
 先週からのイベントの自粛要請、あるいは27日の臨時休業の一斉要請、この政府の、総理の責任で要請したということなのですけれども、一連のイベントや休校の要請の在り方について、知事はどう評価していらっしゃるのでしょうか。

知事
 休校の要請については、昨日3月2日付の文部科学省・厚生労働省合同の通知に書いてあるくらいの具体的な現場での調整のやり方というもの、それを決めた上で発表すればよかったと思います。

記者
 事後にはなりましたけれども、やっぱり昨日の通知があったことで、この措置というのは適切だったというか、担保されて何とかそれをやることの意義、休校だったり、イベントを自粛したりする意義はあるというふうにお考えですか。

知事
 イベント等の自粛と、あとは休校の根拠になっているのは、まずここ一、二週間が重要な時期だということなのですけれども、どう重要なのかは更に説明が欲しいなとは思います。
 岩手で先ほどのような疑わしい症例があれば検査をし、また悩み相談等々、適切な医療が受けられるようにきちっと対応していくということをやっている中では、まずは屋形船型の集団感染が起こらないということ、そこに集中していればいいのかなというような感触もあるのですけれども、ただそこは東京、神奈川等、首都圏がどれだけ大変なことになっているのかとか、またそういう日本国内の異なる地域間の影響がどのくらいあるものなのかということが分からないので、この一、二週間が重要な時期ということが、どこにどう力を入れて、どういうことに注意をすればいいのかということがいま一つ。
 そういう中でも、まずは疑わしい症例の人をきちっと検査し、また悩み相談してくる人たちが適切な医療を受けられるようにということをきちっとやり、万一集団感染が発症したときでも対応できる体制を準備するというところに集中しているところではあるのですが、それでいいのかということは、一、二週間が重要ということの意味が分かれば、より確信を持って様々できるでしょうから、そこを知りたいなとは思います。
 あとイベント等の自粛に関しては、休校ほど困っている人たちはこうすればいいというフォローがまだあまり出ていないと思います。資金繰りをつなぐための融資の体制、信用保証の体制については、まず手厚いものは、セーフティネット部分については用意されたと思いますけれども、実際に受ける損失の部分についてどうしていくのか。それが企業、事業者側、そして働いている人たち側について、勤め人については8,330円を上限に、企業にきちっとお金は出すということなのですけれども、県の場合だと、これは国から人事院通知があって、人事委員会から県の方にも通知があって、災害時等通勤困難の特別休暇という仕組みがあって、これも必要な期間、そういう事態が続いている間ずっと休暇を取得し、その間収入も続くという仕組みが公務員の場合にはあるのですけれども、それに比べるとやはり民間の方のフォローについては、もうちょっと踏み込んだ対策をしないと、どんどん収入が減る人、あるいは収入が断たれる人などが出る恐れを懸念します。

記者
 イベントだけでしたけれども、例えば先ほどのように感染や重症化を止めるための休校措置なのですけれども、関連して子供の預け先とかということで、仕事にも支障が出るということが実際あって、取材もさせていただいたり、テレビ、新聞等で報道されている訳ですが、そうした親の立場への支援の部分に関して、改めて知事からもう一言頂きたいのですが。

知事
 行政側からのメニューは、一通りそろった格好にはなっているのですけれども、それがちゃんと現場で機能するのか、機能しているか、そして当事者の、特にお母さん方が困らないでやれているかというのは現場を見なければ駄目だと思いますので、そこは市町村と連携し、あるいはマスコミの報道も参考にしながら対応していきたいと思います。

記者
 この件で最後に1点、出てこないことが望ましいですが、感染者が出た場合に、各自治体のそれぞれの形を取っていますが、行政のトップが出て会見等をしておりますが、岩手県の場合はそういう感染者等が出たり、重要な大きな変化があった場合には知事が先頭に立って発表するという、そういう形になるでしょうか。

知事
 県民の皆さんに伝えるべき内容、内容によっては県民だけではなく、日本、世界、天下万民に伝えなければならないということだと思いますけれども、速やかに正確な情報を伝えるということが最優先だと思いますので、誰がやるかは二の次なのかなと。また、発症というか、患者さんの様子とかそういったことも参考にしながら、総合的に情報発表の段取りは工夫したいと思います。

記者
 休校に伴って、小さい子供を持つ親が働けないということによる社会の混乱というのが懸念されているという状況だと思いますが、県内において医療機関であるとか、何か影響が出ているという点など、把握されていましたら教えてください。

知事
 舞田敏彦という人が2015年の国勢調査を基に表をまとめて、ツイッターで公表していて、母親が医療・福祉産業で働いている6歳から9歳児の割合は、全国平均16.2%ですが、岩手県は21.7%、一番多いのは島根県で28.1%なのだそうですが、かなりの割合のお母さんが実は医療・福祉産業で働いています。厚生労働省は、学校休業の通知が文部科学省から出るのにきびすを接するように、病院、福祉現場が困らないように、そういうお母さん方への配慮を、という通知をまず各都道府県に発したところであります。非常に危機意識は高く持って、地域医療の現場が、きちっと地域医療提供体制が崩れないように、そこはしていきたいと思います。

記者
 現段階では、何かそういう特別な影響が出ているという状況ではないということでしょうか。

知事
 外来停止というような話も聞きますが、岩手県ではそのようなことはないです。そのような報告はありません。

記者
 あと県職員の対応ですが、霞が関、省庁の方では時差通勤であるとか、在宅勤務であるとか、そういったことをして感染防止に取り組んでいるというような話もありました。県の対応としては、どんなことを検討されているのか教えてください。

知事
 今日付で総務部から通知が出まして、さっき言った災害時等通勤困難の特別休暇、学校等の臨時休校で、その子の世話を行う場合はその対象になりますよということを徹底したりとか、あとは今、時差通勤が原則1カ月単位で指定されているのですけれども、当面の間1日単位で時差通勤の変更を認めるとし、明日8時半には来られないから、ちょっと遅くみたいなことを柔軟にやれるようにしたところです。

記者
 先ほどの話の中で、27日の安倍首相の発表で、28日の翌日の通知の中身では、どう説明していいか分からないし、フォローアップの通知なんかもなかったと、民間の企業なんかも含めてという話でしたけれども、であれば28日に県の方に通知があった段階で、これを各市町村や県立高校の方にそのまま流して、各学校や市町村で決めてしまったのですけれども、それは県として止めるべきだったのではないですか。県として止めて、もう少し情報があってから休校等を判断してほしいというようなことを県としてやるべきだったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

知事
 週が明ければ、より具体的な策は出ると思っていて、そのとおりになったというのがありますのと、あとは2月28日の文部科学次官から都道府県知事等への通知は、これは臨時休業の期間や形態については地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではありませんと言いつつ、学校保健安全法に基づく臨時休業を行うようお願いしますともうはっきり言い切っていて、臨時休業はお願いしますと。ただ、臨時休業の期間や形態については柔軟にという内容でしたから、やはり正規のルートで、内閣として、政府全体として担当の文部科学次官からそういう通知が来れば、県教育委員会はそれを重く見たと理解しています。

記者
 分かりました。次官通知に従ったということは今理解したのですけれども、ただ昨日の安倍首相の国会答弁なんかを見ても、休校措置に関して専門家の意見を聞かないで決めたと、つまりエビデンスがないまま政府は決めてしまったような状況なのですけれども、そういった状況の中で通知が出てくる在り方についてはどう思われますか。

知事
 ちょっと信じられないところがありまして、そういう意味で一、二週間が重要な時期だというものの内容というのを明らかにしてくれれば根拠があったことが明らかになるのでしょうけれども、それを期待したいです。

記者
 あともう一つ、28日にこちら県政記者クラブとして、首相が休校要請をしたということに対して、知事へのぶら下がり取材等を要請したところ、秘書広報室を通じて、教育長が議会答弁したから知事はされないというふうな御回答でした。ただ、先ほど知事御自身でおっしゃったように、県としての情報発信のやり方や工夫の仕方があるというふうにおっしゃって、どんどんやっていかなければならないというお話でした。であれば、他県では一部事例がありますけれども、知事自身が先頭に立って積極的にメディアの前、もしくは県民の前に出て情報発信するというのは大事な時期ではないかと思うのですが、知事はどのように考えていらっしゃいますか。

知事
 総理が国の対策本部会議で話したことの説明は、これは総理自身がしなければならないことで、すると言っていたし、した格好にはなっていると思います。
 そして、県の状況については、まだ国からの通知も各省庁毎に五月雨式に届いてきている状況で、分からないことも多く、特に現場でどう対応するかというのは、主として市町村において調整していく部分も多いので、そういったことについて知事がテレビにも映るような形で登場して、分からない、分からない、何も分からないみたいなことを言っていると、かえって不安を広げることになるのではないかということを懸念しました。

記者
 今後については、どのように考えていらっしゃいますか。

知事
 今日になれば、3月2日の文部科学省・厚生労働省の合同の通知で、大体国からの主要な通知は出そろった感がありますので、今であればここ30分、1時間くらいやってきたように、大体県民の皆さんの疑問に県として答えられる体制に今はなっていると言っていいと思います。先ほどの「ここ一、二週間が重要」という意味については、より丁寧な説明を求めたいというような、そういう意味で分からないことというのは多々あるのですけれども、県として県民の皆さんに応えなければならないことについては応えていきたいと思います。

記者
 新型コロナウイルス、先ほどの話とも関連するのですけれども、すごく政府の対応もいろいろ日々変わっていく中で、県民の方、混乱がやっぱり続いていると思うのですけれども、こういったときこそ知事のリーダーシップが求められている時期なのかなと思うのですが、そういった中で県民に何かを知事としてまだ発信はされていない状況かなと思うのですけれども、ここで例えば企業に、それこそ時差通勤とかを知事として求めるとか、例えば県民に、北海道はかなり陽性者が出ていますけれども、外出について控えるみたいな要請をするとか、何か知事として県民に発信したいことがあれば教えてください。

知事
 学校休校に伴う様々な事柄については、まずその学校の先生とか、あるいは子供たちであれば保護者の方の言うことを聞き、また相談しながら、今日、明日、また当面何をやるかを決めていってもらえればと思いますし、そして岩手で感染者が出た、そして広がる可能性があるようなときには、それにまつわる事実関係をきちっと県民の皆さんに説明し、またやらなければならないことをきちっと私が直接言わなければならない局面もあるかなと思っておりますけれども、今岩手でまだ発生がない段階においては、東京では屋形船のように突然そういう、ある一人の人からも集団感染が広がる、そういう可能性は常にある。そういうこともあるので、うがい、手洗い、そしてそこから先は国や自治体の出している情報、そしてマスコミが報道している部分を参考にしながら、それぞれの衛生を、健康を守っていただきたいということかと思います。

記者
 陽性が出た場合とか、そういった大きな変化があった場合は、やはり知事、直接発信される場合もあるということですか。

知事
 そうですね。既に感染者が出ている他の道府県でのやり方も参考にしていきたいと思います。そういうところでは、知事が発表していることが多い、というのは認識しているところです。

記者
 分かりました。そういった中で、経済への影響も大きいと思うのですが、宿泊業とか観光業、それに伴ってタクシー業界とかもお話を聞いていると、やはり乗客が少ないという話で、県外では倒産する企業も出ている段階なので、やはりそういった対策が待ったなしの部分も企業によってはあるのかなと思うのですけれども、知事として県内の経済への影響とか、今後でき得る対策を教えてください。

知事
 今は状況把握の段階ではありますけれども、既に観光、交通運輸、それから製造業でもサプライチェーン関係で大きな影響が出ているところがあると聞いていますので、セーフティネットの資金の確保はしているところでありますけれども、どのくらい、一、二週間で終わるものであればと祈る部分もありますが、一、二週間で終わらない、更に長期化するのであれば、やはり更なる経済対策的なものを国に求めたり、あるいは県もまた工夫をしていかなければならないと思います。
 あと就職活動、これが非常にやれなくなっている部分があるので、3月に入って説明会シーズンが始まっている訳ですから、特にこれは地方の就職活動をやる若い人たちにとって不便が大きい状況だと思いますので、そういったところも対策を講じなければと思います。

記者
 PCR検査の体制について伺いたいのですけれども、先ほど検査で陰性だったのが13人だったということなのですけれども、ただ帰国者を含め、相談センターに寄せられているのが100件を超えていて、あと新型コロナウイルスの専門委員の会議で諮られた、検査が必要かどうかというのも40件ほどあるというのが昨日の県議会の常任委員会でもあったのですけれども、40件ほど検査が必要かもしれない人がいるのに、まだ検査が13件程度にとどまっているというのは、これは一般の感覚からするとなかなかちょっと理解しがたい部分があって、みんな全員やればいいではないかという意見もあるのですけれども、検査がまだ進んでいない状況というのをどのように理解したらいいのか解説いただけますか。

知事
 相談の部分も含めて、それぞれ自宅で休む、かかりつけ医にかかる、そして感染症指定ではない病院で治療を受ける、また感染症指定の病院で治療を受けると、それぞれが必要な治療が受けられるようにしていると理解をしています。
 日本のあちこちでは、熱が39度とか40度近くあるのに家にずっといさせられたみたいな話とか、そういう人が外に出てばったり倒れてしまったとか、そういう状況については岩手県では報告を受けていないのですけれども、1日20件という検査体制の中で、必要な検査は随時やり、国が示している基準以上に、そんな4日も待たないで検査をしたりとか、渡航歴とかそういったことについても、全然問題にせず検査するなど、日本のあちこちで起こっている検査拒否のような問題にはなっていないと理解しています。

記者
 1日20件検査できるということですけれども、要はもっと検査をしたらいいのではないかという声がありますけれども、そういうのを県として国にもっと検査を進めるように要請したりとか、そういったことというのは考えていらっしゃいますか。

知事
 韓国や中国でやっている、特に韓国は国を挙げて検査の体制を強化してドライブスルー検査とか、まちのつじつじで、そこに行って座って検査を受けられるとか、そこはなかなか自治体限りでは、やはりいざ屋形船的な集団感染が起きたら、20件の検査体制はフル回転させ、他県あるいは国にも支援をお願いするという状況にはすぐなりますので。だから、検査体制の強化はしていきますけれども、今もそういう医療を必要としている人たちに適切な医療が、ちゃんと医療にアクセスできるように、その中で検査もして、陽性なら陽性なりの医療が受けられるようにという趣旨での検査ということの中では、岩手においては今までで13件ぐらいの検査のペースで事態は推移していると受け止めてもらえばと思います。
 そういうインフルエンザでもなく、その他の色々な感染症でもないのに、突如肺炎が悪化したというようなケースを中心に、これまでそのくらい(13件)しかそういう症例は岩手では出ていないということですよね。そして、ことごとく陰性だということです。

記者
 すみません、さっき聞き忘れた部分。イベントの自粛の関係でですが、東日本大震災の追悼式について、国では規模縮小を検討すると。県は釜石と合同で予定されていますが、その辺りの御判断についてはいかがでしょうか。

知事
 釜石市と相談しながらやっているところではありますけれども、基本的に同じ姿勢で、報道によれば釜石市長さんは、まずやりたい、やる方向、ただ規模は縮小と、簡素化というようなことをおっしゃっているということで、そういう方向で調整中ですけれども、先ほども、ここ一、二週間が重要という話の関係で、首都圏がどれほど大変な状況になっているのかについてはよく分からないところもあるので、国もまだ国の追悼式をやるというのは正式に決めていないですよね。その辺の国の方の対応とも平仄(ひょうそく)をそろえながら対応していきたいと思っています。

記者
 そうすると、国のほうが今後どういうふうなものを示してくるかというのを踏まえた上で、あくまでも規模縮小で開催は検討したいというようなところでしょうか。

知事
 よほど岩手県にとって、そういう集団発生が相次ぐ危険性がないのであれば、そういうことが起きないような万全の体制を現地において取ってやりたいなと思っています。

記者
 現時点ではということですよね。

知事
 そうです。

幹事社
 ほか、いかがでしょうか。新型コロナウイルス関連の質問、もし終了してよろしければ、その他の質問ある方お願いします。

記者
 新型コロナウイルスとも少し関連したものがありましたが、医療局が、県立二戸病院でのマスクの転売があったということで、女性の非常勤職員に関して被害届を出したというのが昨日の県議会でもありました。
 それとあと、もう既に知事のほうからも陳謝されたり、県民におわびするメッセージは出ましたけれども、釜石で起きた酒気帯びの交通死亡事故等があり、医療局だけでも今の時点で今年度6件ほどそういった酒気帯びでしたり、不法侵入等があったり、また今回二戸病院でということで、少し県職員の方、県の関係の不祥事が相次いでいるのですけれども、改めて知事にこの辺に関する御所見を頂きたいと思います。

知事
 飲酒運転については、2回目の新型コロナウイルス対策本部会議の始まる前の時間を利用して、県の幹部職員に、あってはならないことだと、走る凶器となって死亡事故を引き起こしてしまうおそれがあるというだけで厳しい処分をしているのに、人の命を失わせるというのは本当にあってはならないことであって、飲酒、酒気帯びの部分についての再発防止ということを徹底するように言い、それに基づいて副知事名でそういう趣旨の通知を発し、改めて県、組織挙げて飲酒、酒気帯び撲滅に取り組んでいるところであります。
 それから、県立病院でのマスク盗難、それの転売ということは信じられないことで、世界中が力を合わせてこの新型コロナウイルスと戦っているときに正反対の方向に向かうというのは、これは遺憾の極みであります。岩手の県立病院でそういうことが起こったということについては、私も申し訳なく思います。医療局において被害届も出しながら、適切に対応してくれていると期待しますけれども、その衝撃は医療局職員、関係者に大きなものが走ったと思いますので、改めて県民の命と健康を守りながら、人類全体の医学の進歩や守るべきものを守るということにも貢献する非常に大事な仕事をしているという自覚を持ってほしいと思います。

記者
 それで、昨日の県議会で、複数の常任委員会でこの件、不祥事という全般についての指摘が委員からありまして、その都度記者発表があって、陳謝があって、再発防止策について明示されても、そのときの掛け声だけになってしまっていないかというようなところがあって、例えば今知事がお話をされましたけれども、もう少し踏み込んだ対応を取らなければ、本当の再発防止や県職員の意識の浸透というところまでいかないのではないかという疑念も出ていたのですが、改めてそれについて知事はどのように受け止められますか。

知事
 それは、飲酒、酒気帯び問題については、ふだんの働き方や、また働いた後、働く前のお酒の飲み方の問題とか、そういった日々の仕事と暮らしの部分について、かなり立ち入った情報の共有や対策の徹底ということがそれぞれの部署で図られなければと思いますし、またこういったときに病院でマスクの盗難というような異常なことについても、やはりその背景や、警察において、警察というのは動機というのをきちっと調べるものですから、そういう捜査を通じても、なぜそういうことをしたのかということを明らかにし、それに応じた対策が講じられることを期待します。

記者
 今日県議会の方に新しい副知事の起用について説明がありました。前副知事の千葉副知事が2月に退任した訳ですけれども、改めて副知事2人体制に戻すということの狙いについて、知事どのようにお考えなのか教えてください。

知事
 これは総合的な判断でありまして、条例上は2人設けられる体制になっていて、そういう意味では2人が基本ではあります。そういう中で、しばらく1つを空けて待っていればあの辺から引っ張ってこられるかもとか、色々なそのときそのときの事情とか、あるいはある特定の人物とかそういう事情とか、そういう中で決まってくる話な訳でありますけれども、今回4月1日付の人事異動とも併せて4月1日から新体制という中で、しかも2人とも県職員からの副知事体制スタートということで、ある意味今までにない全く新しい体制ということもできると思っておりまして、新しい県民計画にふさわしい、また部局も幾つか大きく、来年度から新しくなりますので、新しい県の組織にもふさわしい新しい人事の体制を保、菊池両副知事に引っ張っていってほしいという、そういう思いです。

記者
 2人が基本だというお話がありましたけれども、今の県政における課題であるとか業務の量であるとか、そういったものを考えたときにやはり2人が基本だと、そういう認識でよろしいですか。

知事
 総合的に考えて、条例の趣旨からして2人が基本ということかなと思います。

記者
 これから同意を得るというタイミングではありますけれども、千葉副知事のいた時代はそれぞれ副知事2人が役割を分担してやっていたということがありますけれども、その辺の分担はどのように考えているか、その点お考えあれば教えてください。

知事
 これも適材適所ですし、新しい部局長との関係とか様々総合的に判断して役割分担を決めていきたいと思います。

記者
 東日本大震災の追悼式についてお伺いしたいのですけれども、先日のインタビューのときには、県としては10年で区切りという考え方は持ったことがないという言葉があったのですけれども、国が10年目の開催をもって一区切りとするという方針を出したことについて、コメントも既に出されてはいるのですけれども、改めて9年の追悼式を前にして思うことだったり、国に対して求めたいことがあれば教えていただけないでしょうか。

知事
 国も全くやめてしまうということではなく、いろいろ国のしかるべき人が被災地に赴いて追悼するやり方もあろう、というようなことも言っていますので、何らかの形で3.11ということを末永く風化させないようにし、追悼の思いをきちっと国としても示しながら、また反省や教訓を防災に生かしていくということは、何らかの形ではやっていくという意思だと思うので、そのやり方を地元市町村や関係者と随時情報の共有や意見交換などをしながら決めていってもらえばいいと思います。

記者
 3月は自殺対策強化月間になっておりますけれども、岩手県、ずっと自殺死亡率が高くて、去年も速報値で全国3位の人口10万人当たり21.7人ですね。そういった状況の中で、震災関連自殺もこれまでで53人と伺っていますが、県としてそういった自死を予防するためにどういった取組を進めていかれたいか。今もちろん策定されている計画もあると思うのですが、さらに強化していきたいことがあれば教えてください。

知事
 やはりやればやっただけの効果はあります。久慈地域が過去、特に自殺死亡率が高かったとき、久慈モデルと言われるようなやり方で、自殺死亡率を目に見える形で減らしたこともありますし、そういう意味で決して一人一人のことである、いわゆる自己責任だみたいに受け止めるのではなくて、みんなでお互い声をかけ合って、また様々な支援を求めている人に手を差し述べていくことで自殺は減らしていくことができるということを改めて県民の皆さんに確かめていただく、また、自殺に追い込まれていかないように見守る、そして様々な形で引き止める、そういうゲートキーパーの役割を多くの県民が担えるようにしていくということに組織的に取り組むということが基本でありまして、それをまた改めて自殺対策の中で進めていきたいと思います。

記者
 分かりました。ゲートキーパーの指導者養成セミナー、3月6日に行われる予定と伺っていたのですけれども、新型コロナウイルスの関係で中止になったと伺って残念だなと思っているのですけれども、そういうふうに社会の中で考えていく課題だなと思っています。久慈モデルの中でも、1次予防、2次予防、3次予防とあると思うのですが、そういった中で私は自死遺族という、亡くなった方の支援とか、サポートというところも次の自死を出さないためにも必要な支援かなと考えているのですが、そういったところを県として、なかなか表に出てこない存在ではあると思うのですけれども、何か心を寄せられることがあれば教えてください。

知事
 遺族の方々が直面する共通な悩みということに組織的に対応できればと思いますし、また一人ひとり色々と違う悩みもあると思いますが、支援団体もありますので、そこと連携しながら、県としても取り組んでいきたいと思います。

記者
 ILCに関して伺いたいのですけれども、先月2月の下旬にアメリカの方で高速加速器の国際会議がありまして、そこで日本政府の姿勢が表明されました。引き続き強い関心をということで昨年3月の表明と変わらない姿勢だったのですけれども、その報告の中で、ヨーロッパの方からは資金的にかなり厳しいというような意見交換があったというふうに政府のほうからも発表がありました。そうすると、現時点でやっぱりお金の問題がかなり実現するには大きな課題、大きな壁になっているのではないかと思うのですが、知事としてこの辺を打開するためにはどう考えていらっしゃいますか。

知事
 まず、文部科学省としては引き続き欧米との意見交換を行うとしていますし、またICFA(イクファ、国際将来加速器委員会)から声明が出て、日本に対する期待というものがそこに示されていました。お金の問題については、決してそれぞれの国としての正式な考え、意思をそれぞれの財務当局と調整した上で発言してきたということではなく、取りあえずの感触のようなものをその人のポストにおいて見聞していることとか、そういうことを話してきたのではないかと推測している訳でありますけれども、言わばそういう突っ込んだやりとりまでするようになったというのは進展だとも思いますし、文科省としても欧米との意見交換を引き続き実施するという、そういう中でILC計画が具体的に進展することを期待します。

記者
 アメリカは資金面ではなく物品を出すといった話でしたけれども、特に欧の方がかなりお金が厳しいということであれば、逆にILCを実現する上で、もう少し世界的な枠組みなんかを広げるのも一考ではないかと思うのですけれども、つまり例えば世界第二の経済大国である中国を巻き込むとか、もしくはその辺のアジアなり、欧米だけではなく世界中にもう少し枠を広げてやっていくという手もあるのではないかと思うのですけれども、結局一部の学者の中では中国に負けるから日本がやらなければいけないのだという話もありますが、知事はILCを実現するのは宇宙の成り立ちを発見するためだと、要は人類の夢だというようなお話でしたけれども、そうであれば世界中を挙げてやるべきだというふうには思うのですけれども、その辺どう思われますか。

知事
 交渉してみなければ分からないというところはあるのですけれども、岩手に何度かいらしているべシュト議員、アルザス日本研究所の所長さんでもあって、何度か岩手に来て、そしてILCを推進するフランスの国会議員の代表格でもあるのですけれども、べシュトさんの話などを聞いていると、フランスもしっかりILCに参画していかなければならない、そしてフランスだけではなく、EU全体として参画していくべきだという感触は伝わってくるのですけれども。

記者
 現在の枠組みのやり方で、まず今のところは問題はないのではないかというようなお考えですか、実現する上で。

知事
 私は、ヨーロッパとのやりとりを今までと違うようにしなければならないというような感触は感じていないところです。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は3月24日の予定です。

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