令和元年8月9日知事会見記録

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開催日時

令和元年8月9日10時から10時49分

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 平成30年度岩手県芸術選奨及び岩手県美術選奨受賞者の件についてです。岩手県芸術選奨、岩手県美術選奨は、昭和56年度から実施しておりまして、岩手県内で行われる文化芸術活動を奨励し、その振興と水準向上を図ることを目的とした表彰制度です。
 今回の岩手県芸術選奨受賞者は、小畑 柚流(おばた・ゆずる)さん、四戸 正子(しのへ・まさこ)さんの2名。岩手県美術選奨の受賞者は、有馬 辰樹(ありま・たつき)さん、小野 ハナ(おの・はな)さん、しもかわら さとこさん、菅原 髙幸(すがわら・たかゆき)さん、成田 玄治(なりた・げんじ)さん、の5名です。表彰式は9月13日にサンセール盛岡で開催します。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 質問の前に記者クラブへの転入者を紹介します。転入者から一言挨拶お願いいたします。

 (記者紹介)

幹事社
 それでは、今発表された事項1件について、各社から質問があればお願いします。
 幹事社ですが、芸術選奨に選ばれたお一人の小畑さんですが、90歳という御年齢ですけれども、紹介文を見ると情熱的なというか、非常に魂のこもった作品のようなのですが、こういう年齢の方を含め幅広く表彰されていますけれども、改めて知事、こういう芸術に取り組まれている県民の活動に対して一言いただければと思うのですが。

知事
 今回、芸術選奨を文学から俳句、随筆と選ばれていますが、「文学の国いわて」という蓄積と広がりというものも感じます。そして、そういう蓄積と広がりを築き上げてくださっている方々の中には小畑柚流さんのように、90歳にしてあふれるような表現、情熱的な句作というのでしょうか、俳句作成を継続的にやっていらっしゃる、そういう努力、また、情熱というものが岩手の文学を支えているものなのだなと改めて思います。

幹事社
 ありがとうございます。
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんが、実は今日で達増知事任期中最後の定例会になるのではないかと想定されておりますので、改めて今任期最後の定例会見に当たって、この3期どのように御自身で総括され、次期任期満了後の選挙にも挑戦される御意向を表明されておりますので、抱負等あればお聞かせいただければと思います。

知事
 まず、この4年間につきましては、東日本大震災津波からの復興を力強く進め、仮設住宅生活からその次の新しい住宅に移る方々がどんどん増えて、それでもまだ、仮設住宅等での生活の方々はいらっしゃるので、その支援は増々、丁寧かつ力を入れていかなければならないというところではありますけれども、住宅の再建がどんどん進んでそれぞれの復興が先に進んでいることは良かったと思います。
 そして、象徴的なのは、復興道路・復興支援道路が次々と区間開通を重ねて、ちょうど昨日、来年度中に全線開通という国土交通省から発表もあり、まず、復興の基幹インフラと言ってよい、復興道路・復興支援道路がそのように進んだということが良かったと思います。これは港湾の活性化につながり、また、三陸防災復興プロジェクトで多くの方々が経験したと思いますが、沿岸地方を自由自在に行き来でき、沿岸と内陸の間もスピーディーに移動ができ、今までできなかったようなことが岩手沿岸で、そしてオール岩手でできるようになっているということを実感できると思います。
 そして、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功ということも大きかったと思います。その直前に台風第10号災害があり、これも大変だったのですけれども、迅速な初期対応から、また、県としても今までやったことのないような支援策を次々と講じて、東日本大震災津波からの復興に重なって被害を受けた市町においても、その後の復旧・復興の目処が立ったと思っています。
 そして、12年というスパンで見ますと、危機を希望にということで経済の低迷、雇用の不足、そして人口の流出、プラス地域医療の危機という、そういう危機を克服するため体制をつくり、その体制ができていたので、その直後に起きた岩手・宮城内陸地震でありますとか、リーマンショックでありますとか、そういった危機をしっかり受けとめて対応することができたと思っています。また、そこでの経験を生かしながら東日本大震災津波に対しても、地元の底力プラス様々なつながりの力もいただいて、復興もここまで来たなと思っています。
 復興の取組の中でも様々な新しいつながりができ、また、復興とも関連したところもあるのですが、あるいはまた独自の背景を持ちつつ、いわて花巻空港に国際定期便が就航する、イギリスハロースクールが安比インターナショナルスクールをつくることを決めるなど、そのような新しい国際的な展開も可能性が広がっていって、こうしたものを次の4年間、あるいは次の10年後の岩手の未来に生かしていければと思います。

幹事社
 ありがとうございます。あともう一点、一昨日終了しました三陸防災復興プロジェクトが、68日間の日程を終わりましたけれども、改めて知事からこの期間開催されたイベントやその効果等について、今の段階で結構ですので、どのような感想をお持ちでしょうか。

知事
 (東日本大震災津波から)今までの8年間と何カ月かの間に岩手を支援してくださった方々、岩手を応援してくださった方々、まずそういう県外の方々に改めて今回、つながりを確かめることができて良かったと思います。象徴的なのは、アメリカ大使館イコールアメリカ政府でありますとか、国連防災機関イコール国連でありますとか、そういったところにも改めて岩手の復興にコミットしていくということを言っていただいたのが良かったと思います。それは国もそうですね。復興庁イコール日本政府からもそういうことを言っていただいて、そういう広がりの中で、八神純子さんや坂本龍一さんに象徴されるように、今までもいらしていたのですけれども、またいらしてくださって、更にこれからもというような、そういう未来にもつながっていくような形ができたと思います。
 印象に残っているのは、宮古市での「いわて絆まつり」ですね。岩手県33全市町村の郷土芸能が一堂に会し、そして、市町村長さんあるいは代理の方も一堂に会したオープニングのパレードを思い出すと、オール岩手で復興を進め、そしてみんなで一緒にゴールインしていくのだという、そういうことを確かめ合うことができて、岩手の復興ということに非常に良かったと思います。そして、ガストロノミー関係。岩手の食を、外国人シェフにもいらしていただいて、改めて発掘し、磨き上げ、世の中に示していくということについて、かなり大きい規模のガストロノミー会議を開くことができ、岩手沿岸は、三陸は食の聖地だという言葉も出たりしまして、これは今後の岩手沿岸、更には岩手全体を食の聖地として対外的にアピールしていくことにつながると思います。
 先ほども申し上げましたけれども、そういった事業やイベントを行うに当たって、多くの方々が復興道路を利用したり、または三鉄リアス線、宮古・釜石間を通ったリアス線を利用していただいたりとか、震災後にどんどん整備された交通ネットワークを利用し、今まで出来なかったような事が出来るようになっているという事を実感していただいたことも大きいと思っています。
 企業の参加を沢山いただきました。これもこれからの発展に、復興の進展と地域振興に大きな財産になるつながりが、企業の皆さんとできたと思います。
 あとは、近いところで先週JAMSTECの深海研究船「かいれい」が宮古港で一般公開したときに関係者と話したのですが、三陸防災復興プロジェクトというものに参加できて大変うれしい、誇りに思うということで、この三陸防災復興プロジェクトという看板のもとで、だったら行こうとか、そこに参加しようということで広く県外からそういう国の機関も含めて参加いただけたことが良かったと思います。

幹事社
 そうすると今の話から感じ取る部分では、今回は成功あるいは大成功と言えるような知事御自身あるいは実行委員会としても満足いく、あるいは納得いく結果を出せたかなと、そういう受け止めととっていいですか。

知事
 個々の事業がそれぞれうまくいったと思いますし、その総体として成功だったと言えると思います。

幹事社
 ありがとうございました。
 それでは、ほかに各社から質問あればお願いします。

記者
 八幡平市のふるさと納税の関係についてお伺いいたします。昨日、八幡平市が業務を委託していた法人が、ふるさと納税の返礼品のマツタケの産地を偽装して、県外産のものを八幡平市産ということで産地偽装をして、全国の寄附者に返礼品として発送していたということで代表が逮捕される事案が発生しました。この件に関しての知事の受け止めを教えてください。

知事
 逮捕は捜査の一環で、事実関係の解明、究明はこれから進んでいくのだと思いますけれども、まず言われているような事実があれば、これはふるさと納税の健全な発展に向けた関係者の努力に反するものでありまして、大変残念なことだと思います。
 ふるさと納税に関しては、制度が見直されて市町村それぞれが、総務大臣の指定を受けるような仕組みになっていますので、県としては総務省に対して今回のような事案があれば情報提供をしますし、また、総務大臣の指定というものも、間に入る、そういう形でやっているところでありますので、今後の推移についてはきちんと把握しながら総務省に対して報告をしていきたいと思います。

記者
 今回、受託業者が不正を行ったということでありますが、八幡平市が委託した業者でありまして、こういった件に関して自治体側の責任についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
 事実関係が究明されてくるに従って明らかになってくるとは思うのですけれども、基本的にふるさと納税の制度として、地場産品ではないのに地場産品だというようなことを、そういうことがないようにするという責任は、当該地方公共団体にあると思います。

記者
 当該地方公共団体に責任があるということですけれども、今後県としては当該自治体に対してはどのように求めていくことがありますでしょうか。

知事
 先ほど言ったように、まず、総務大臣の指定ということがありますので、八幡平市から報告を受けながら、それをきちっと総務省に伝えていくということが、まずは県としての務めになります。

記者
 県北振興についてお尋ねします。県北では、2045年に人口が10万人を切って2人に1人が高齢者になると言われています。全県で見ても所得が低いのも特徴です。知事の3期を振り返っての県北振興に関する総括をお願いします。

知事
 色々な要素が今の話の中には入っていましたけれども、まず、東日本大震災津波の後に、沿岸地方よりも県北地方の方が有効求人倍率が低いというような、岩手全体の中でも県北の経済関係の数字が総体的に悪くなる傾向がありました。東日本大震災津波の直後から、復興というのは、そもそもオール岩手でやるものでもあり、復興の過程で岩手の中で特に弱くなっていくところがあってはならないので、県北に対しても復興関連で沿岸から避難している人たちがいる二戸市のミニFMに対して復興事業として支援を行う等から始まって、様々な支援を県北の方にしてきたということがあります。そして、県北は高速道路、新幹線などの高速ネットワークは既にあり、また、地域資源についても、漆、天台寺、ブロイラーなど、また最近は、フルーツでも全国有数、世界に通用するものがどんどん出てきていますので、そういったものを全国に、更に海外に紹介するようなことを県も一緒になってやってきています。県が一緒にという点では、九戸政実関係の事業のような歴史、文化を発掘して発信していくところも、地元と県が一緒になってやっておりますし、1次産業から歴史、文化まで、そして間には色々な製造業も盛んなのですけれども、そういったものを総合的に振興していくということをやってきています。そういう中で、まだやれることがあるのではないか、特に再生可能エネルギーの活用のような先端技術も関わってくるようなところは、大学や研究機関にどんどん手伝ってもらうのがいいのではないかということで、今年度からの新しい県民計画の北いわて関係のプロジェクトでは、そういった新機軸を盛り込んで取り組んでいるところです。

記者
 先ほどおっしゃったように選挙戦でも県北の住民に総合計画を浸透するいい機会になると思いますが、重複するかもしれませんが、どういったことを具体的に県北の方々に訴えていきたいということがあれば教えてください。

知事
 まず、今、地域資源を活用して軌道に乗ってきているようなことを更に発展させましょうということと、また、再生可能エネルギー関係など新規の事業も、大学や研究機関、全国的な大学や研究機関とも連携しながら進めていきましょうということが軸になってきます。

記者
 私も関連して何点かお伺いしますが、3期目の関係ですけれども、先ほど様々、色々な成果を挙げられたと思いますが、一方でやり残したことであるとか課題として残った点、そういったことについては、知事はどのようにお考えになっているでしょうか。

知事
 地域医療については、岩手医大医学部定員増から奨学金支援制度を生かした医師育成ということで、3年前から現場で働く医師の数が増えてきているのですけれども、まだ不足、偏在という問題はありますので、これは力を入れて取り組んでいかなければならないと思います。あとは、復興の進展や地域振興により、働きやすさや生活のしやすさ、子育てのしやすさなども市町村ごとの努力もあって、かなり高まって来ていると思うのですけれども、今の政府のマネーゲーム優先といいますか、都会に有利な、首都圏等に有利な経済政策のせいで東京一極集中はむしろ加速しているという中で、国に、地方に有利な経済政策への転換を求めていくと同時に、やはり更に地方は地方で工夫と努力をさらに重ねて岩手で働く、岩手で暮らす、そして岩手で子育てなど、岩手で育てる、これをさらに進めていかなければならないというところです。

記者
 御自身で3期目を評価するというのはなかなか難しいかもしれませんが、自己採点としてはどのように評価されていますか、3期目について。

知事
 点数を付けるようなことではないというのが基本的な考え方です。足りない部分はやっていかなければならないですし、成果ということについても例えば復興道路・復興支援道路が国が1兆円の予算を投入として、それが完成するということが何点で評価されるものかというのは、なかなか点数にはならないような話かと思います。そういうものの面だけではなくても、矢巾の医大の施設内に都南の療育センターとあと学校を移したことで、そこで療育を受け、学ぶ子どもたち一人一人の生活、人生がどのくらい良かったかと、そこに点数付けるというのもなかなか難しいことかなと、やらなければならないことをどんどんやってきたのですけれども、まだこれからやらなければならないところもあるということです。

記者
 三陸防災復興プロジェクトの話もありました。県議会でも費用対効果という話が度々出ていたと記憶しています。4億6,000万円をかけて2カ月間催したわけですが、閉幕して費用対効果という面で、知事はどのようにお感じになっているでしょうか。

知事
 興行ではないので、人を集めてお金を稼ぐという営利事業をやっていたわけではないですから、そういう計算での費用対効果ということについては、そこを最優先にしてしまうと、では、(ジャニーズグループの)嵐を呼びさえすればいいという感じになってしまうので、インドネシアの津波博物館の館長さんより嵐の方が人を集められるだろう、お金も払ってもらえるだろうということなのですけれども、でもやっぱり、インドネシア・アチェの津波博物館の館長さんに来てもらったということは、すごい意義があると思いますので、それにかかった費用に対してどのくらいの効果があったかというのはなかなか数値化できないところもあるのですけれども、ただ、無駄遣いをしていないかという問題意識にはきちっと応えていかなければならないと思っていますので、県の予算が、三陸防災復興プロジェクトに対して適切に執行されているのかということについては質問には答え、ある種の説明責任は果たしていかなければならないと思っています。

記者
 もちろん震災の風化を防止するとか、なかなか数値で表せない面も沢山あったとは思うのですが、そういったなかなか目に見えない効果というのも含めて今後のために検証というか、分析して次につなげていくという作業も必要だと思いますが、それについては今後どのように。

知事
 そうですね、今思い出したのですけれども、そういうことをやって人が集まらなかったどうするのだという問題意識から、ちゃんと人が来ているのか、参加しているのかという問題意識もあると思いますので、それぞれの事業に何人人が集まったのかというようなこともまとめていかなければならないと思います。
 あとそういう、人が多く集まることによる経済効果は、という問題意識も一部にはあるでしょうから、計算できるのであればそういうことにも応えていければと思います。

記者
 昨日、県内の最低賃金が790円に決まりました。引き上げ額は28円ということです。先ほど知事が首都圏有利な経済政策、その東京一極集中ということがあると岩手で暮らすということを推し進めていくこととは反するのではないかというお話もありましたけれども、今回、東京も28円の引き上げ幅ということで、引き上げ幅は一緒だったということで、格差は広がらなかったのですが、そういうことも含めてこの790円という最低賃金に対する知事の評価というのを教えていただけますでしょうか。

知事
 国全体として最低賃金を1,000円なら1,000円で全国一律1,000円にすると決め、ただそれは、地方の中小企業は経営状態など都会に比べて弱いですから、緊急経済対策や、あるいは復興のときに実施した経済支援で、1人雇う毎に幾ら補助金という、そういうことは過去にもありましたから、高い水準の最低賃金で苦しくなるような地方の中小企業に対しては、国からきちっと補助金を出すようなことをすれば、地方において高い賃金を実現、都会よりも低くない賃金を地方において実現しながら、経営者、企業の側も困らないということをオールジャパンで実現できると思うのですけれども、今はそういうことにはなっていないので、そういう経営側、企業の側の論理と、そして賃金を上げていくべきという論理のせめぎ合いの中で、岩手において今回このように決まったというのは、それぞれ頑張って、いい数字を出してもらったと思います。
 また、岩手で働く、岩手で暮らす事を考えるときに、賃金水準が都会より低かったとしても、ほかのメリット、岩手での生活費が都会よりも安く済む部分でありますとか、豊かな自然、おいしい食べ物、安心、安全、治安の良さというような、そういう総合力で総合的な環境条件ですね、総合的な条件で岩手の方が上というように多くの人に見てもらえるようにしていけばいいと思っていますので、今回決まった最低賃金というのを前提にしながら、そういう総合的な条件で岩手を選んでもらえるようにしていきたいと思います。

記者
 ありがとうございました。今、東京との賃金格差というのは223円あるわけなのですけれども、考えを示されるのは難しいのかもしれませんけれども、これはもっと縮めていくべきだと考えているのか、それとも今おっしゃったように、その生活コストも安く済むからこれぐらいがあっても、十分岩手に住み続けるというか、そういう施策というのはやっていけると思うのか、その辺の格差というのはもっと縮めるべきなのか、今のままでもいいのか、その辺ちょっと教えていただけますか。

知事
 そこは最初に言ったように、全国共通の最低賃金にして、地方はその変化に対して企業側が大変きつくなりますから、現行の最低賃金と新しい全国統一の最低賃金の差を埋め合わせる分、国が補助金をきちっと地方の企業に出すというようにすればいいと思います。

記者
 復興についてお尋ねします。先ほどもこれまでオール岩手で取り組んできたというお話がありましたけれども、岩手県は宮城、福島、ほかの被災県と比べても、災害公営住宅を県でも整備したことに象徴されるように、県主導で復興に取り組んできたというところがあると思いますけれども、それについて知事はどのように自己評価されていますでしょうか。

知事
 岩手はもともと県と市町村の連携というものが強く、道路管理などのインフラ対応でありますとか、あとは農林水産業、また企業誘致など、県と市町村が一体になって共通のテーマに対処するということが昔から得意だったと思うのですけれども、復興に直面し、私もこれはもうやらなければならないことについて、市町村、県、国どこか1つとするのではなくて、みんなで、寄り集まって被災の現場、被災した方々に対応していく必要があると考えてやってきたところもあり、そういうところがそういう実態として出てきているのだと思います。

記者
 では、特に県としてリーダーシップをとってやっていこうという思いだったというよりは、本当に協力してというところでしょうか。

知事
 法律上、制度上、日本の災害対策基本法は、まず基礎自治体が頑張るという構造になっていますし、あとは一頃流行った行政改革の論理からすると、二重行政、三重行政はよくないということで、その中でまず、基本的に基礎自治体がやりなさいという流れで県や国が地方の様々な住民の諸活動から手を引いていくような、それが改革だというトレンドがあったと思うのですけれども、三位一体改革なんかそうだと思うのですけれども、結果としてそれで地方がどんどん弱くなってしまってきたわけです。地方が弱くなるような地方分権改革では、それは本末転倒で、市町村や県、現場に近いところがパワーを高めていく、分権の「権」というのは英語でパワーだと思っていますので、そのためには住民に対し、基礎自治体任せにするのではなくて、やっぱり県がどんどん出ていかなければということでやってきたということはあります。実際に分かり易い例は、県職員がどんどん市町村の中に入って、それで市役所、町村役場の機能を強化してやっているというような、そういう形で県も市町村任せにしないで、どんどん直接住民の皆さんに対応していくように心がけています。

記者
 話が大きく変わるのですが、知事公舎についてお尋ねをします。小林陵侑選手の表彰など、そういうときに行かせてもらったことがあるのですが、すごく広くてきれいだなという印象は持っております。知事御自身は週に1度とかそういう頻度で行かれることがあるのでしょうか。

知事
 そうですね、平均すると週1回は行き、盛岡生まれ、盛岡育ちで、今も盛岡に家族と住む住宅はあるのですけれども、その住宅に応接の機能と書斎の機能はありませんので、やはりまとまって読んだり書いたりする作業でありますとか、あとは様々な人に会う、これも公務だったら県庁で人に会うのですけれども、公務以外で人に会う場合に知事公舎、知事公館を使わせてもらっています。

記者
 泊まられることってほとんどないですか。

知事
 最近は余り泊まっていないです。

記者
 全国的に見ると、他県の知事が公舎に住まないことを宣言して空き家になっていることを問題視したりする県があるようでして、知事としては今の時点では公舎に住むというのは余り選択肢としてはなさそうですよね。

知事
 一つは、東日本大震災前は結構泊まっていたのですけれども、東日本大震災直後は家族とずっと一緒にいる時間を増やした方がいいなということで、子供が小さかったことから知事公館及び知事公舎に住むより、普通の住宅に住んでいた方が子供の教育にいいのではないかと思って、それで子供と妻は住宅に基本的に住んでいて、震災以降、私も住宅の方に寝泊まりすることを基本としたところがあります。その流れで最近も余り公舎には泊まってないのですけれども、震災前には様々な公舎の活用として、外国人の歌手とか、二胡の楽器の演奏者に演奏してもらって、それを近所の人に来てもらって見てもらうとか、あとは震災後の話ですけれども、アメリカに短期留学した大槌高校の高校生の発表を知事公館でやってもらうなどしました。新しい県民計画になって、復興の取組も県民計画のもとでやるような体制に今年度からなっていますので、これからはもう少し知事公舎及び知事公館というものを、県民に開かれた公共的な事業もやるような形で使っていきたいなと思います。

記者
 ありがとうございます。もう一点、ちょっと他県のことです。「表現の不自由展」、これは自治体がいわば脅しのようなものに屈したよう形になっているという見方もできます。知事はこの件どのようにごらんになっていましたでしょうか。

知事
 色々な論点があるのですけれども、まず、展示するに当たって、過去に物議を醸した実績があるようなものだけを集めて、それを展示するという、そういういわば批評精神が非常に高い、そういう展示、そういうものですよと断った上でやるということは大変意義のあることだと思います。ですから、それに対して暴力的にやめろ、やめろというふうにそこに襲いかかるというのは、本当に良くないことだなと思っています。
 あとは主催者の愛知県ですか、そういう暴力的な攻撃に対してイベント自体をどうやるかということについて、まずは展示場を封鎖みたいな感じにしているそうなのですけれども、展示場は封鎖されていて、中のものを撤去したりして完全にやめてしまったわけではないと理解しているのですが、ガソリンをまくぞといったファクスを送った人は逮捕されたと聞いていますので、暴力に対して対応する体制、警備とか、それが一定できるのであれば再開すればいいのではないかなと思います。
 この件を繰り返しますと、そういう物議を醸した芸術作品というものを、そういうものですからねといって展示するというのは有意義なことだと思います。

記者
 この件をめぐっては愛知県知事と名古屋市長が鋭く意見を対立させている状態です。ここは憲法21条でしたでしょうか、それはどのように、対立というのはどのようにご覧になっていますでしょうか。

知事
 物議を醸した実績のある芸術作品ですよと断って、それを集めて展示するというその作品について、権力的な立場にある人が非難するというのは余りしないほうがいいと思います。個人的に気に入らないとか、個人的に不快に思うというのがあったとしても、それがよほど周りに影響を与えない形であれば個人的発言で済むのだと思うのですけれども、やはり権力的な立場にある人が発言すれば、それは周りに影響を与えて、表現に対する萎縮効果が出てきてしまうし、やっぱりそういうことは好ましくないと思いました。

記者
 ありがとうございました。もう一点、話は変わりまして、盛岡市長選についてです。希望郷いわてのメンバーの県議さんでも特定の候補を応援していこうという姿勢を示されている方もいらっしゃいます。知事御自身は、市長選に向けて特定の候補と連携を図るということは今後あり得るでしょうか。

知事
 盛岡市長選挙について、私は誰かと対応について話し合ったことはなく、今のところ正に個人的に対応するような格好になっています。個人的にどう対応するのかをしゃべってしまうと、権力的な立場にいる人がしゃべると様々な影響を及ぼしてしまうので、それは控えたいと思います。

記者
 権力的な立場ということなのですが、希望郷いわてを通して県議選でのそういう連携は大いに図っていかれる姿勢は、知事はお示しになっているので、その考えていらっしゃることの市長選に向けて、考えていらっしゃることを少し教えていただけると。

知事
 希望郷いわてを実現する会は、もう4年前からやってきていることでありますし、野党結集というような形もこれは4年前からやっているようなことでありますし、そういった関係する人たちと様々なやりとりをしながら準備を進めてきた知事選や県議選というのに比べて、盛岡市長選についてはそういう準備を一切しておりませんので、特にコメントすることはないというところであります。

記者
 希望郷いわてとはスキームが違うかとは思うのですけれども、市長選の候補予定者が希望郷いわてに近づいていこうとすることがあれば、それは知事としても応じる用意はあると。

知事
 それぞれの候補者とも選挙にまつわるやりとりはしていませんので、そこは何とも言えないところです。他に候補者が出る可能性もゼロではないのでしょうし、また、選挙公約というのは選挙戦の途中に変わったりすることもありますからね、そういう可能性も視野に入れれば、本当に何も言えないなと思います。

記者
 今の点で確認ですけれども、盛岡市長選の関係で、特定候補について公言はしないけれども、知事として特定候補を応援するという意味なのか、ただ全く個人的に思っているみたいな話なのか、その辺どういうニュアンスなのでしょうか。

知事
 白紙というのが合っている表現、実態に合う表現かもしれません、対応は白紙、市長選に関する対応は白紙ということです。何の準備もしていないし、何の相談もしていないという意味で白紙です。

記者
 私も市長選のことで、私も知事も住んでいる、県都盛岡市のトップを決める市長選なのですけれども、一有権者としては市長選にどういう論戦を、今3人立候補予定されていますけれども、期待されますか。

知事
 住民ですし、生まれ育ったところでもあるので、大事な選挙だと思っています。投票には行きます。あと周りの人にも投票に行くことは勧めたいと思います。

記者
 私も投票に行きたいと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は9月中旬の予定です。

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