令和元年12月27日知事会見記録

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開催日時

令和元年12月27日10時から10時52分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」発足式の開催についてです。令和2年1月31日、都道府県会館で「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」の発足式を行います。
 この会は、国が公表した医師偏在指標で医師少数県に位置付けられた県など、医師不足に直面する県が連携し、
 1、全国の医療関係者や行政関係者への理解促進
 2、国民の機運醸成
 3、国による実効性のある医師不足偏在対策を求める働きかけ
のために立ち上げるものであります。岩手県から、まずは新潟県に提案を行い、更に青森、福島、長野、静岡の各県に呼びかけて、6県の知事が発起人となり、現在その他の県にも参画の働きかけを行っています。
 発足式では、第1部でシンポジウムとして、全国的な医師不足と地域偏在の解決に向け、国が果たすべき役割について、一般社団法人全国公私病院連盟会長、邉見公雄(へんみ・きみお)氏による基調講演をいただき、パネルディスカッションを行います。そして、第2部で発起人知事などによる設立宣言や共同記者会見を行う予定です。
 発足式の後は、具体的な提言を取りまとめて国への提言活動を行っていくなど、同様の課題を有する県がこれまでそれぞれに行ってきた取組を共有して統一的な動きとすることで、医師の不足と地域偏在の解消を目指していきたいと思います。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項1件について、各社から質問があればお願いします。

記者
 現時点で発起人6県ということでしたけれども、今後はどういった規模まで参画する都道府県を増やしていきたいとお考えなのでしょうか。

知事
 都合のつくところから、どんどん入っていただくという感じで広げていきたいと思います。

記者
 医師不足偏在解消に向けて、国の果たす役割を求めていくということですが、知事は国がどういった役割を果たすべきだとお考えでしょうか。

知事
 分かり易い例として、岩手県は今までも、そして現在も「地域医療基本法」というのを国が定めて、そしてそれに基づいて、主として都会の医師に地方に来てもらって、そして主として地方の病院勤務をしてもらうというような制度を国の方でつくって、都道府県境を越えた偏在是正ということを国の法律で制度化するというようなことを求めている訳でありますけれども、こちらの知事の会としては、もう少し広く一般論的に、国が制度的に都道府県境を越えた医師偏在の是正を実行するというようなことを求めていくことになると思います。

記者
 知事の団体としては全国知事会もある訳ですけれども、全国知事会でもこれまでそういったことを求めてきたと思いますが、この知事の会では、どのように取り組んでいくということになるのでしょうか。

知事
 相対的に医師不足、医師偏在に悩んでいない都道府県も一緒になって全国知事会は提言をしたり、国への意見書を取りまとめたりしますので、地域医療のあり方についても最大公約数的な一般論から始まっていき、会議の場などで特に困っているところが発言をして、そういう意見も参考にしながら運動していきましょう。というようにやっているのですけれども、こちらの知事の会の方はその裏返しで、一番困っているところがそれぞれ、岩手であればさっき言ったようなとんがった提案、提言などをしてきている、それをまずベースにしながら、最大公約数というより最小公倍数。一番困っている県をベースにしながら、その声を大きくしていくというやり方で積み上げていこうということです。

記者
 そうすると、発起人代表は岩手県ということになっていますけれども、つまり今までであると全国知事会などで訴えてきても、なかなかうまく訴えていけない部分があって、やはりそれを強めていくという手段というか、そういうことで今回に至ったということになるのでしょうか。

知事
 全国知事会は、バランスからいって、オールジャパンとして直面する課題を最優先するようなバランスで行きますので、一番困っている県からすると、やっぱり少し物足りなさを感じる部分はあった訳でありまして、そこをさっき言ったように一番困っているところをベースにしながら、運動を組み上げていこうということです。

記者
 発足式では、講演とパネルディスカッションということですが、今後、その後どんなことを取り組んでいく、というのがあれば教えてください。

知事
 直接的といいますか、国に迫るというところ、そして国の制度を実現するということが目標で、国に対する働きかけというのが運動の大きい部分になる訳ですけれども、それをうまく進めるためにも、全国の医療関係者や行政関係者への理解促進ということと、あとは国民の機運醸成ということが大事だと思っていますので、それでシンポジウム、パネルディスカッションなどで、改めて何が課題なのか、どういうことをしていかなければならないかというのを広く東京から全国に発信し、国民にも訴えていこうということです。

記者
 私も今の件なのですが、一番困っている県の要望をベースにというふうに今知事がおっしゃいましたけれども、そうすると医師少数県6県の要望というのは、各県個別に違ってくる状況なのかなとは思うのですが、そのあたりはどのように取りまとめて、国への要望につなげていくのかなという、いかがでしょうか。

知事
 最大公約数の反対の最小公倍数なので、そこは岩手が今まで言ってきたことから余り違わないくらいの、とんがった内容にできると期待しておりまして、それを6県の段階で大体作って、それを一緒にやろう、賛同する県、御一緒にということで、全国知事会での決議や提言よりもとんがった部分で参加都道府県を増やしてやっていくという、そういう作戦です。

記者
 今スケジュール感的には、この1月31日の記者会見でもう既に提言をまとめるのか、これを機に発足して、例えばいつぐらいまでに国への提言をまとめて、いつ提言していくのかという部分はいかがでしょうか。

知事
 今度の1月31日は、発足の趣旨ぐらいの文書で、具体的な国への提言の内容については、実際動くのは来年度になってから、というようなスケジュール感で準備しています。

記者
 では、来年度中に取りまとめて、できれば来年度中に提言を行いたいという感じですか。

知事
 そうですね、そうしたいと思います。

記者
 とんがった内容にしたいとおっしゃっていましたけれども、とんがった制度化というはどういうものをイメージされていらっしゃるのですか。

知事
 今、岩手が提言しているのは、「地域医療基本法」を制定して、法律のもとで若い医師の人たちが医師偏在、医師不足に直面している地方での病院勤務をするような制度にするということです。

記者
 例えば今だと、後期研修が終わってそのまま地方で働くことを義務化するぐらいのちょっと強制的な部分も含めてとんがった提案にしていきたいと。つまりもっと実効性のあるものにしていって、対応を求めていきたいというようなことなのでしょうか。

知事
 ホームページなどに「地域医療基本法」の文章が発表されているので、それを読んでいただければということです。

記者
 分かりました。あと、発起人の6県、青森、福島、新潟、長野、静岡、岩手ですけれども、医師偏在、不足している県はまだほかにもある中で、この6県にした理由というは何かあるのでしょうか。

知事
 新潟県とも相談しながら、まずは国が公表した医師偏在指数で下位になっている県、あとある程度の地域バランスも考えながらこのようにしました。

記者
 「地域医療基本法」をベースにしながら、新たな提言をつくっていくというふうにとっていいのかということが1点と、あと全国知事会等でも既にプレゼンされていると思うので、全国の知事の方には「地域医療基本法」の提言内容というのはある程度浸透しているとお考えでしょうか。

知事
 先程の知事からの発表事項の中で、「地域医療基本法」ということは一言も話していませんので、今回の「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」に関しては、まず国による実効性ある医師不足偏在対策を求めるということで、具体的な提言を取りまとめていく予定です。

記者
 あと、後段の方の基本法自体の浸透度というか、認知度というのはいかがですか。皆さんに、全国知事会でも提言されている内容だと思うので、それなりというか。

知事
 かつて秋田県知事さん、横手出身の寺田知事が一国二制度という、人口減少に悩む県は消費税率を低いままにして、二重の消費税率を設けるべきだという主張を毎回全国知事会で発言し、色々な機会で発言していた、そのぐらいには浸透していると思います。

記者
 分かりました。あともう一点なのですが、今回は県だと思うのですが、例えば今回の端緒となった公立、公的病院の関係で言えば、盛岡市立病院のような市町村立のものも関わっていると思うのですが、そういう県単位ではなくても、例えばその対象になったようなところの市町村で、我々も賛同しているというような自治体に対しては、どんな働きかけやネットワークみたいなものをお考えですか。

知事
 「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」ということで、知事は色々な機会に会いますから、この間も即位礼正殿の儀は全ての知事が出席し、休憩時間などには知事同士集まって色々な情報交換もでき、そういう知事たちの中に会をつくるという趣旨です。

記者
 市町村は、また別ですか。どうでしょうか。

知事
 今日発表したのは、「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」ということでありまして、まず岩手県から新潟県に提案を行って、青森、福島、長野、静岡の各県に呼びかけ、まず6人の知事が発起人となり、その他の県にも参画の働きかけを行うというところです。

幹事社
 ほかにないようですので、それでは幹事社から県政記者クラブを代表して質問します。今日で定例会見も今年は最後ということで、今年1年を振り返って達増県政としてできたこと、課題として残ったことなどをお聞かせください。

知事
 できたことは、まず、「いわて県民計画(2019~2028)」をスタートさせたということ、そして三陸防災復興プロジェクト2019、ラグビーワールドカップ2019™岩手・釜石開催を成功させたということ、そして東日本大震災津波伝承館をオープンさせたことも大きいと考えています。また、三陸ジオパークが日本ジオパークとして再認定されました。そして、復興に関して、沿岸地域の災害公営住宅が全て完成したのは大きかったと思います。そして、復興道路の整備が大きく進み、令和2年度中の全区間開通の国交省からの発表ということも含めて、大きく進んだということが大きいです。
 一方、課題になりますが、被災者の方々への心のケア、コミュニティの形成支援、そして事業者の支援などは、まだまだこれからも必要です。被災者一人ひとりの復興が成し遂げられるよう、取り組んでいかなければなりません。
 そして、台風第19号、国の制度を超える支援のための予算を一連の県の補正予算で確保したり、また国に対応を求め、国としても過去やったことがないような支援を含むパッケージを成立させて、国、県、市町村が連携して、復旧、復興への早いスタートを切ることができたというのはできたことではありますが、岩手県内の被害も大変大きいものがありまして、復旧、復興を着実に進めていくというのは、これは課題であります。
 特に三陸鉄道が大きな被害を受け、寸断されたこと。寸断された三陸鉄道を復旧させなければならないというのは大きな課題でありまして、三陸鉄道は東日本大震災からの復興の象徴でもありますから、これを来年3月20日全線運行再開を目指してやっている訳でありますけれども、県政として来年初めの3カ月間におけるハイライト、三鉄の復旧ということがハイライトになります。
 そして、もう一つ課題ですけれども、人口減少対策、いわゆる地方創生、またはふるさと振興、これも東京一極集中というものがかえって加速している状況でありまして、この転換、人の流れを転換させていくということが大きな課題です。
 次期岩手県ふるさと振興総合戦略の策定を年度内にしなければならないのですが、それも来年初めの3カ月間におけるハイライトとなります。

幹事社
 ただいまの幹事社質問に関連して、各社から質問があればお願いします。

記者
 復興のくだりについて少しお尋ねします。これから震災9年、10年に向けて、こうした議論は盛んになってこようかと思うのですが、ハード面の整備が終わろうとしています。特に沿岸部、市町村での道路とか、建物とか、そうしたものの維持費とか更新費というのは、これから10年、20年、大きな問題になろうかと思うのですが、これは県として、知事として、どうお考えかお願いします。

知事
 防災の主流化という言葉がありますが、国連の防災会議で出てきた言葉で、国や地方政府の行政の中で、防災というのを総務担当が片手間にやるような、そういう傍流の取組として行うのではなくて、それぞれの行政の主流として取り組まねばならない、柱に据えなければならないということが言われているのですけれども、まずそういうことが一般的に言えますし、特に日本の場合、首都直下地震との関連で、やはり人をどんどん東京から脱出させなければならないのではないかという話もしましたが、地方において命を守って、そして幸福を追求できるような共同体というのを地方に確立していくということが、これが岩手の復興の進む道であると同時に、日本のあるべき姿でもあると思うので、安全の確保に必要なインフラについては、これは予算をやりくりしてきちんと整備し、かつ維持していかなければならないと考えます。

記者
 先ほどの人口の話も相まってですが、ここ数年そういう議論はされているものの、そんなにうまくいっているようには見えない気がしています。どうしていったらいいのかというアイデアがあれば教えていただきたい。

知事
 国の地方創生の枠組みに国土強靱化というか、防災の視点も組み合わせて、よりスケールの大きい国家事業として取り組むという国の姿勢の転換が必要と考えますし、それを見据えて地方は地方でちゃんと命を守り、そして住民誰一人取り残さないという形で幸福の追求ができるような共同体を地方に作っていくということに、より覚悟と努力と工夫が必要になってくると思います。

記者
 今おっしゃった覚悟と努力と工夫というのは、今の話の流れではマクロの視点に感じます、国として。市町村でもそういった覚悟と努力と工夫、そういうものが求められていくとお考えでしょうか。

知事
 地域包括ケアのやり方があらゆる分野で参考になると思っていまして、一人の人をケアするために、医療関係者、介護などの福祉関係者、そして保健、衛生プラス運動不足解消のような、そういう地域での取組等、一人の人が命を守り、健康で安全に、そして幸福追求できるようにしていくために、色々な専門家が寄ってたかって一人の人を支えていくというようなことがあらゆる分野でやっていかなければならないような時代になってきていると思います。その基本的なところは、基礎自治体である市町村がやっていくところですし、そのための専門家の育成ですとか、またそういう専門家がチームを作っていくやり方については、これは県がどんどん支援をし、市町村レベルで着実に誰一人取り残さないというような地域社会が実現するようにしていくべきところです。

記者
 お金の限界、予算の限界もあろうかと思うのですが、それはそうしたところが工夫という言葉にあらわれているという理解で、かつこれからも工夫次第でやっていけるというふうに知事は御認識ということでよろしいですか。

知事
 地域社会の中では、市場経済とは別の原理で人が動き、お互い助け合うという形をつくっていくことができますし、また市場経済の枠の中でコストというものをきちっとお金で払わなければならない部分についても、Society5.0的な先端技術の活用によって効率化を進めていくということを特に地方行政では進めていかなければならないところです。

記者
 今、今年の県政について、できたことと課題を挙げていただきましたけれども、これを踏まえてあえて知事が今年の県政について点数をもし付けるとしたら、何点を付けられますでしょうか。その理由もあわせて教えてください。

知事
 これも議会答弁で点数は付けられないということも明言していますので、今回のこれについても、やっぱり記述式の採点は難しいです。

記者
 できたこと、できなかったことに加えて、特に知事として印象に残ったイベントを1つ挙げるとしたらいかがでしょうか。

知事
 ラグビーワールドカップのフィジー、ウルグアイ戦は、東日本大震災からの復興の一つの節目としても、全国から、また海外から注目をいただき、そして全国、海外に復興の今と感謝の思いを発信することができたビッグイベントだったと思います。過去に三陸鉄道北リアス線、南リアス線の全線開通や、あとは去年の釜石鵜住居復興スタジアムのオープニングセレモニーなど、そういう感動的なイベントがあったのですけれども、それに勝るとも劣らぬイベントになったと思います。

記者
 そういう意味では、台風があって、釜石で2試合のところ1試合しかできなかった訳ですが、今、再試合という形ではないと思いますけれども、ぜひやってほしいという思いありますけれども、前の会見でも出たと思いますが、改めてそういったムーブメントというか、訴えに対して知事としてはどういうふうに考えますか。

知事
 前提として、試合は行われなかったのですが、カナダチームが釜石に残って泥かきをやってくれたこと、ナミビアのチームが宮古市内で市民との交流をやってくれたことというのは、実際試合をやったことに勝るとも劣らぬ意義があったと思っています。そのことが全国、海外にも広く画像や動画で広まりましたし、カナダ、トルドー首相がツイッターでメッセージを出してくださったりもしましたので、それはそれで非常に意義があったと思っているのですけれども、一方あそこでナミビア、カナダの試合をやってほしい、見たい、手伝いたい、そういう思いがあるのも事実でありまして、その思いはとても大きいものがあると受け止めていますから、それが実現するよう関係者と連携しながら取り組んでいきたいと思います。

記者
 今、今年1年を振り返っていただきましたけれども、今年の漢字、令和の「令」というのが選ばれていますが、知事は今年の県政をあらわす漢字1文字についてどのような字がふさわしいとお考えか。また、その理由も教えてください。

知事
 今年の漢字は、岩手県的には「一」という漢字かなと思っております。令和の1年目であること、そして「いわて県民計画(2019~2028)」の1年目であること、また年の初めにも言っていたのですけれども、亥年らしく一直線に進んでいきたいという、そういう1年になったなということもあります。復興道路、その関連の道路の整備が進んで、沿岸部と内陸部が一つに結ばれた年になりました。沿岸も復興道路、そして三鉄リアス線によっても岩手沿岸、三陸が一つになり、三陸防災復興プロジェクトでそれを確認しながら、そういう沿岸がまた内陸とつながって、岩手が一つという一体感がより強化されたと思います。そして、奇跡の一本松がある高田松原に東日本大震災津波伝承館がオープンし、そして高田松原は全国植樹祭の舞台にもなることが決まった、そういう年でもあります。そして、ラグビーワールドカップ2019がワンチームとして成功した、そういう年であり、また一直線と言えばリニア、ILC、国際リニアコライダーですが、日本政府が初めて関心表明を行って、実現に向けてステージが一段上がった1年と受け止めているところです。

幹事社
 ほかに各社から質問があればお願いします。

記者
 少し古い、前の話ですが、再生エネルギーについてお尋ねします。COP25の議論、これを知事はどのようにご覧になっていますでしょうか。

知事
 政府間合意がもっと進めばいいと思いますし、またアメリカも参加すればいいと、こう思っています。

記者
 岩手県としては、2050年の排出実質ゼロを打ち出したところです。一方で、具体的取組については、少し言い方が悪いですけれども、まずはかけ声だというふうな印象を抱きました。他県の事例を見ていると、政策が進んでいる横浜市とか、進んでいるところもあります。改めて岩手県としてはどういうところを向いて、どういうところを大事にして実質ゼロを目指していくのか、教えてください。

知事
 エコハッちゃんをシンボルにしながら、県民一人一人が日頃から温暖化対策を実行していくという呼びかけ、今はわんこそば形式でどのくらいCO2削減をそれぞれの家庭でやれているかというのをインターネット上で確認できるような取組も行っていますけれども、そういう県民一人ひとりが参加できる日々の取組から始まりまして、再生可能エネルギーの推進によって、岩手のエネルギー自給率を高めていくということ、これは計画を上回る勢いで増えていますので、太陽光で急速に伸びた訳ですけれども、そこを太陽光以外の風力とか、また岩手が潜在的に大きなポテンシャルを持っている地熱のようなところでも増やしていくことがテーマになります。加えて、水素についても取り組もうということで、いわて県民計画の11のプロジェクトの中にも水素プロジェクトを入れてあります。今、岩手県はまだ水素ステーションもないし、何にもないようなところなのですけれども、新しい県民計画のもとでは水素自動車、水素ステーションの導入といった具体的なところも実現していく方向に、そういうプロジェクトをスタートさせたところです。

記者
 太陽光の話が出ました。まさに太陽光はすごく増えて、特に東京の資本がたくさん入ってきているところです。一方で、地熱などに関しては、地元資本で、地元で回していく、災害対応というところが出てきつつあるところ、これは東北全体でちょこちょこ出てきているように見えます。こうしたものを、規模は小さいのですが、バックアップしていくというようなお考えというか、方向性でしょうか。

知事
 当然、再生可能エネルギー推進の中では、そういう小規模なものも含まれるというか、またそれは大きな比重を占めると言っていいと思いますので、小水力発電とかもありますよね。岩手はそういう水には恵まれていますし、そもそも県も企業局で水力発電をやっていますし、そういうのも含めてローカルな再生可能エネルギー振興ということにも力を入れていきたいと思います。

記者
 カジノを含む総合型リゾート事業で、現職の国会議員、秋元議員が収賄容疑で逮捕されましたけれども、IRは安倍政権の成長戦略の一環として位置付けられていて、一応野党としては来年1月召集の通常国会で徹底追及する構えですが、桜を見る会の疑惑に引き続き、こういった政権の疑惑が出たことについて、知事はこの事件についてはどのように受け止めていらっしゃいますか。

知事
 国民の中に広く不安や心配があり、また反対論があって、それを踏まえて野党の方も時間をかけて審議しなければだめだという中、最近の逮捕に至る事件の報道で、IR法案について5時間、6時間ぐらいしか審議しなかったとか、逮捕された人が委員長をやっていて、野党から見れば強行採決だったということで、やはりその辺からちょっと異常な法律の成立のさせ方というのがあって、今、構造的に様々な利権や癒着等の関係、トランプ大統領に近いカジノ経営者が、そのためにやっているのではないかという疑問もあちこちで呈されているのを目にしますし、法案成立のときの議論が少なかったという、そこに戻って、改めて国民の不安、心配、疑問に答えるようなことが国会の中でできればいいし、あるいは国会の外での説明等があってもいいのですけれども、そういうことをしなければならない状況にあると思います。

記者
 そうすると、知事のお考えとしては、やはりしっかりと説明責任を国民に対して果たすべきだというようなことでよろしいでしょうか。

知事
 国民が納得できていないまま進む中で不祥事も起きてきている訳ですので、まず一旦立ちどまって議論をし直すということです。

記者
 私もIRの件でなのですけれども、今回IRで現職国会議員が逮捕されるということもそうですし、桜を見る会、あるいは内閣改造後、閣僚が2人辞任するなど、そういう色々な疑惑があった中で説明責任が果たせているとは言えないということで、野党が反発する状況でもあります。ただ一方で、先月、憲政史上最長の在任期間を安倍政権が今更新中でありますが、疑惑が森友・加計問題とかも過去にはありましたが、そういった中で今安倍政権というのを知事はどういうふうに捉えていらっしゃるでしょうか。

知事
 ちょっと前までは桂内閣が一番長い総理大臣の内閣だった訳ですけれども、桂内閣の最後のところというのは、護憲運動が盛り上がり、野党がばらばらだったのが立憲政友会と立憲国民党かな、尾崎咢堂の政党と犬養毅の政党、それが一緒になって、野党が結集する形で、薩長藩閥政治ではだめだぞと。そこに米騒動ですね、経済の混迷といいますか、経済的に国民が困っているという状況で米騒動も起こって、結局、原敬内閣の成立というところに時代は動いていくわけですけれども、そのときに似たような状況に今なっているような感じもしまして、そういう意味では長ければいいというものではなくて、桂内閣は長かったがゆえに藩閥政治を本当に終わらせなければという、かえって国民が盛り上がって、大正デモクラシーの花が咲く訳でありまして、ですから令和デモクラシーが花開くことを導くような展開に今なっているのかもしれません。

記者
 そういった意味では、今、中央政界では一強多弱と言われていますけれども、特に知事が選挙なり、色々な政策的なことも含めて、地方がリードしていくというような発信というか、意思が会見の随所から感じるのですけれども、中央は中央だし、本当に日本をよくしていくためには、地方からも声を上げていくことの大切さというのをすごく強調されていたのかなとも思うのです。その点はどうでしょうか、地方からという。

知事
 戦前のことを考えてみますと、人の命を守り、幸福を追求していけるようにするには、大河ドラマ「いだてん」の最終回を見ていて思ったのですが、1964年、あの辺の55年前というのは日清、日露が終わって第一次大戦に行く直前ですか、10年に1度戦争をやっているような時代で、1964年オリンピックの55年後は今年、今なのですけれども、その間は全然戦争がないと。10年に1度国家間戦争に日本も参加するような時代は、やっぱり軍を持っている国家が防衛をしっかりやらないと国民の命を守れないみたいな時代で、かつ経済情勢というのも国による富国強兵、殖産興業、そういう国による政策がないと国民の幸福も追求できないみたいなことが、100年ぐらい前はそうだったのでしょうけれども、今は命を守るということについては、むしろ自然災害から命を守るということが大事だけれども、首都直下地震のNHKのシミュレーションで、東京一極集中を是正しない限り、もう命が幾つあっても足りない、いわば国家といえども人の命を守れない状態で、むしろ地方、地域社会、地方自治体がどう工夫と努力を凝らすかで人の命が救われるかが決まってくるのがやはり今の新しい時代で、そして象徴的なのはGNP、GDPという国民総生産、国民所得が国民の幸福の大部分を決める要素であれば、それは国のレベルで取り組まなければならないけれども、それ以外にも色々な要素があって、生きにくさの解消とか、子育てのしやすさとか考えたとき、国がやらなければならないこともいっぱいありますが、結構、地方のあり方のほうが決め手になったりする、決め手にできる時代でもあって、そういう意味で生命、自由、幸福の追求というのは民主主義の原点、共同体の存在意義なのですが、地方こそその担い手たり得る時代になってきているのではないかなと思っています。お正月特集みたいな話になりましたが。

記者
 外交とか防衛に関しては当然国ですけれども、今おっしゃったように役割分担の中で地方がリードできることというか、地方こそやらねばならぬことがあると、そういう趣旨だと受け取りました。よろしいですか。

知事
 科学技術が発展して、世の中全体が豊かになるに従って、人の運命を左右するのは国だという比重はどんどん下がって、地方だという比重が上がってくるということです。

記者
 先ほど戦前の立憲政友会と立憲国民党の話をしましたけれども、今現在中央で立憲民主と国民民主が合流、どういうふうになるかわかりませんけれども、それについての今後の期待というか、どのようにあるべきか、知事の考えをお願いします。

知事
 岩手で四分五裂という政治の状態はよくないというところから、県民党的な結集ということで、野党の結集、野党共闘ということが実現して、今年も参院選や知事選でその成果が出ている訳ですけれども、国政においても一強他弱というのは、これは自民党にとってもよくないことでありまして、やはり健全な競争が行われるような政党の切磋琢磨がないと国政もだめだと思います。原則的にそうだし、あと国民の期待もあって、今そういう野党結集から合流へという動きになってきているので、原理原則から考えてもそのとおりだし、国民の期待もあるということだと思うので、そういう方向に進んでいくことを期待します。

記者
 原理原則はあるとしても、政策でやっぱり折り合わない部分もあるようなのですが、結局最終的に合流はどのようにあるべきか、どう思われますでしょうか。

知事
 民主主義のもとでの理念、政策は、突き詰めれば個人一人ひとり違う訳ですから、宗教とか思想信条とかそれぞれあって、それでも共同体としてやっていくには、多数を形成していかなければならない訳ですから、色々な意見の違いを乗り越えて共通する部分を広げながら、また一見対立しているような部分も大所高所から、双方が満足するような解決方法等もありますので、そうやって多数を目指していくということは、これは野党が目指すのは当然ですし、自民党は自民党でやはり多数を目指すということは常にやっていかなければならないことで、自分たちに反対する人を切って捨てて、言うことを聞かないとか議論をしないとかというふうにしてはだめで、自分たちと対立している人たちこそ大事にして意見を聞き、時間をかけてその人たちも含めた多数を形成する努力は、与党だってしなければならない。政治の基本ですから、それができないようでは政治をやっていく資格が疑われるわけですから、政治の道に入った以上は頑張って多数を形成してくださいと期待します。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は1月7日の予定です。

このページに関するお問い合わせ

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