令和2年2月6日知事会見記録

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開催日時

令和2年2月6日18時58分から19時48分

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事、お願いします。

知事
 それではまず、令和2年度当初予算案について説明します。「令和2年度岩手県一般会計当初予算(案)のポイント」という資料の1ページ、「令和2年度当初予算案一般会計の状況」です。令和2年度当初予算案は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図る「いわて県民計画(2019~2028)」を軌道に乗せ、県民みんなが希望を持てる予算として編成しました。愛称「復興幸福希望予算」という予算であります。
 まず、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害からの復旧・復興に最優先で取り組みます。
 そして、「いわて県民計画(2019~2028)」のもと、県民の幸福度向上を図る10の政策を着実に推進しながら、「新しい時代を切り拓くプロジェクト」として、ILCの誘致や北上川バレー・三陸・北いわての3つのゾーンに関する事業などを展開します。
 また、東京2020オリンピック・パラリンピックを「復興五輪」として成功させ、岩手の復興の姿を全世界に発信するよう、聖火リレーを初め、関連する事業を行います。
 更に、5Gを初めとした情報通信技術を活用した地域課題解決の事業など、新たな科学技術により経済発展と社会的課題の解決を両立していくSociety5.0の実現に必要な予算を盛り込みました。
 また、中期財政見通しを踏まえ、地方創生推進交付金や有利な地方債などの地方財政措置を最大限活用し、財政健全化にも配慮したところです。
 予算の規模は9,323億円、この予算規模は令和元年度当初予算に比較して約32億円、率にして0.3%の減少となります。
 具体的な歳入歳出の状況については、資料2ページ目をご覧ください。まず歳入の状況については、震災分は復旧・復興事業の進捗に伴い、国庫支出金や基金繰入金等が減少しています。通常分は、県税収入の減少を見込んでおり、実質的な一般財源は59億円減少しています。
 次に、歳出の状況については、震災分は復興道路の整備に係る直轄道路事業費負担金や、恒久住宅への移転に伴い、応急仮設住宅の解体撤去を行う災害救助費が増加する一方、事業の進捗に伴い、漁港や水門等の災害復旧事業費が減少することにより、前年度と比較して約82億円、率にして3.1%の減少となります。
 通常分は、公債費が減少する一方、公共事業のプラスシーリングや国土強靱化緊急対策などによる普通建設事業費の増加や、地方消費税率引き上げに伴う市町村交付金の増加などにより、前年度と比較して約51億円、率にして0.8%の増加となっています。
 次に、令和2年度当初予算案における事業の概要について、資料の3ページ目です。いわて県民計画(2019~2028)に基づき、令和2年度も引き続き東日本大震災津波からの復興を県政の最重要課題として、復興に向けた事業を着実に推進してまいります。
 「安全の確保」では、災害に強い安全な多重防災型まちづくりの実現に向け、防潮堤等の津波防災施設や水門・陸こうの自動閉鎖システム等の整備を進め、また防災文化の醸成、災害に強い交通ネットワークの構築などに取り組みます。
 「暮らしの再建」では、被災者の方々が安定した生活に戻ることができるよう、心のケア活動や生活相談に引き続き取り組むとともに、生活再建やコミュニティ形成の支援などを実施します。
 「なりわいの再生」では、地域のなりわいの再生と経済の回復を進めるため、水産資源の回復に向けた支援、漁業者等の人材の確保・育成や、農林水産物の販路拡大に取り組むとともに、新たなまちづくりと連動した商業機能の再生や三陸の魅力あふれる観光地づくりなどに取り組みます。
 「未来のための伝承・発信」では、東日本大震災津波の事実・教訓の伝承のため、東日本大震災津波伝承館と海外の津波博物館との連携等による国際シンポジウムを開催します。また、復興の状況や復興支援に関する感謝の気持ちを伝える事業を国の東日本大震災10年事業と連動して実施します。
 次に、4ページ目、10の政策分野に基づく主な施策です。
 まず、「健康・余暇」分野では、脳卒中等の生活習慣病対策などに取り組むとともに、保健医療提供体制の整備や地域包括ケアシステムの構築を進めます。また、すぐれた文化、芸術に触れる機会の提供や、生涯にわたってスポーツを楽しめる環境整備などに取り組みます。
 「家族・子育て」分野では、結婚支援の機能強化や新たな妊産婦支援など、安心して妊娠、出産、子育てができる環境の整備に取り組むとともに、ひとり親世帯に対応する総合相談支援機能の充実、子供の居場所づくりの推進などに取り組みます。
 「教育」分野では、児童生徒の確かな学力、豊かな人間性、社会性、健やかな体を育む事業に取り組みます。また、グローバル化や第4次産業革命技術の進展に対応できる能力の育成、ものづくりや農林水産業など地域を支える人材や、地域の国際化に貢献する人材の育成などに取り組みます。
 5ページ目、「居住環境・コミュニティ」分野では、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築、地域コミュニティの活性化、岩手への移住・定住の促進に取り組みます。また、海外の多様な文化を理解し、ともに生活できる地域づくりなどに取り組みます。
 「安全」分野では、自主防災組織の組織化支援の拡充など防災体制の構築や登下校時の子供の安全確保や特殊詐欺被害予防など、安全、安心に暮らせるまちづくりに取り組みます。また、地域に根差した食育の意識醸成に取り組み、食の安全、安心の確保を図ります。
 「仕事・収入」分野では、地域経済を支える中小企業の振興やものづくり産業の一層の集積、若者や女性などの起業の促進、国際線の誘致や観光産業の総合産業化、農林水産物の付加価値向上と販路の輸出拡大に取り組みます。
 6ページ目、「歴史・文化」分野では、御所野遺跡の世界遺産への新規登録に向けた事業や平泉の文化遺産を総合的に案内するガイダンス施設の整備、民俗芸能の保存、継承や後継者の育成などに取り組みます。
 「自然環境」分野では、森や川、海などの多様ですぐれた環境を守り、次世代に引き継ぐ事業に取り組みます。また、循環型地域社会の形成や再生可能エネルギーの導入を進め、地球温暖化防止に取り組みます。
 「社会基盤」分野では、第5世代移動通信システム「5G」の整備の促進、AIやICTなど、科学、情報技術の利活用に向けた事業、また自然災害に備えた洪水、土砂災害対策施設の整備や農業水利施設等の整備などの防災対策に取り組みます。
 そして、「参画」分野では、女性や若者、高齢者、障がい者の活躍支援、市民活動や県民運動を促進するためのNPOの運営基盤強化など、多様な主体の参画、連携、協力の推進に取り組みます。
 次に、7ページ目、「新しい時代を切り拓くプロジェクト」の推進です。「ILCプロジェクト」では、国際リニアコライダー、ILCの実現に向け、受け入れ環境の整備や国内外への情報発信に取り組みます。
 「北上川バレー」・「三陸」・「北いわて」のゾーンプロジェクトでは、第4次産業革命技術の産業・生活分野への導入や地域資源を生かした産業振興、新たな交通ネットワークや観光資源を生かした交流人口の拡大などに取り組みます。
 このほか、先端技術を活用した小集落における日常生活の利便性の向上に向けた事業、生産活動のイノベーションによる農林水産業の高度化に向けた事業、岩手独自の健康・医療・介護データ利活用システムの構築に向けた事業、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を図るための県立学校へのICT環境整備と活用に向けた事業、文化芸術やスポーツに日常的に親しむことができる環境づくりに向けた事業、水素の利活用の推進に向けた事業、本県の地域や人々と多様にかかわる関係人口の創出・拡大を図る事業など、プロジェクトの実現に取り組みます。
 8ページ目は、広域振興圏の施策、県北・沿岸圏域の地域資源を活用した取組を初め、各圏域の特性や資源を生かした特色ある事業を展開します。
 そして、「復興五輪」を掲げる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に呼応した施策についてですが、本大会を契機とした本県農林水産物や伝統文化の魅力発信、多くの県民が参画する事業の展開や新たな人的、経済的交流の促進に取り組みます。
 Society5.0の実現に向けた施策については、生産性や生活の利便性を飛躍的に高めるAIやICTなどの科学技術を活用し、イノベーションの力で少子高齢化に伴う労働力不足や過疎地域等における買い物弱者などの地域課題の解決に取り組みます。
 9ページ目、ふるさと振興の推進に向けた主な施策についてです。令和2年度は、第2期目の岩手県ふるさと振興総合戦略が始動する年であり、「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」を3本の柱に、地方移住の視野拡大に向けた関係人口の創出などの視点を盛り込んだ「岩手とつながる」を新たに加え、岩手の地域性や優位性等を生かした4つの分野横断の戦略を加えて、県の総力を挙げてふるさと振興に取り組みます。
 「岩手で働く」では、ものづくり産業や農林水産業の振興による産業全体の底上げや移住定住の推進。「岩手で育てる」では、県民の結婚したい、子供を産みたい、育てたいという希望に応える事業や、子育てと仕事の両立の支援、また子育てに優しい環境づくり。「岩手で暮らす」では、医療・福祉や文化・教育など豊かなふるさとを支える基盤の強化、地域の魅力向上。「岩手とつながる」では、関係人口や交流人口の拡大、岩手と多様な形でつながることのできる社会に向けた事業。これらを展開いたします。
 また、「国際研究・交流拠点地域形成戦略」、「北上川流域産業・生活高度化戦略」、「新しい三陸創造戦略」、「北いわて産業・社会革新戦略」の4つの分野横断の戦略を総合的に展開していきます。

 続きまして、令和2年度の組織・職員体制の概要です。まず、東日本大震災津波からの復興に係る体制についてでありますが、事業の進捗状況等に応じ、合計で223人の職員定数を配置します。また、令和元年台風第19号災害からの早期の復旧・復興に向けて、沿岸広域振興局土木部や宮古土木センターなどに担当職員を増員し、事業推進体制の強化を図り、3月に全線運行の再開が見込まれる三陸鉄道の運営を支援するため、交通政策室の宮古市駐在職員を増員します。
 次に、「いわて県民計画(2019~2028)」の着実な推進に向けた体制整備のうち、まず政策企画部とふるさと振興部についてですが、総合的な政策の立案調整や評価等の業務を担う政策企画課を新設、現行の地域振興室の体制を拡充し、全県にわたる地域振興や県央、県南地域の振興を担う地域振興室と県北・沿岸地域の振興を専担で担う県北・沿岸振興室を設置、3つのゾーンプロジェクトを初めとする地域振興施策を推進します。
 また、安心して子どもを生み育てられる環境づくりに向け、就労支援や女性活躍など関連施策との連携を一層緊密に図り、部局横断の取組を推進するために子ども子育て支援課を室に格上げし、新たに総括課長級の次世代育成課長を配置するなど体制を拡充します。
 また、福祉総合相談センターと一関児童相談所の児童福祉司、児童心理司を増員し、相談体制を強化します。
 次に、観光産業の振興に向け、農林水産業、文化・スポーツなど分野横断の取組を進めるために観光課を室に格上げし、観光・プロモーション室に改称します。地域振興室から対外戦略の事務を移管し、新たに総括課長級のプロモーション課長を配置し、交流人口の拡大に向け、観光施策と連携したプロモーション活動の推進体制を強化します。
 そのほか資料にもあるとおり、医療政策室への医療情報課長、商工企画室への新産業育成課長、森林整備課への全国植樹祭推進課長の配置、そして北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録など、県政課題に適切に対応するため職員の増員を行っています。
 次に、職員体制についてですが、令和2年度当初における知事部局の職員数は、平成31年度当初から20人程度増加し、4,460人程度となる見込みです。引き続き任期付職員の採用や全国の都道府県に対する職員の派遣要請などマンパワーの確保に努め、復旧・復興事業や様々な県政課題に適切に対応できる体制を構築してまいります。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればお願いします。

記者
 予算の方でお伺いします。県民の幸福度向上を図るということで、10の政策を推進していくということになる訳ですが、その幸福度を高めるために今回の予算で特にも力を入れた分野であるとか部分について、知事のお考えを教えてください。

知事
 今回の記者発表も今まで以上の分量になっているように、かなり政策の数を増やしてあり、また主要事業の数が増えています。それはそれだけ幸福関連指標を参考にしながら県民の幸福度向上のための施策というのをきめ細かく様々な産業分野、様々な生活ステージ、ライフステージ、そういったところに対応するようにより包括的に、またよりきめ細かく予算を編成したというところが特徴と言えると思います。

記者
 事業が増えているというお話がありましたけれども、ふるさと振興部を来年度新設する訳ですが、その予算額、新規事業の面でもふるさと振興部、ふるさと振興の部分ですね、増えていると聞いています。新しい部をつくるというところもあって、このふるさと振興に予算上力が入ったような印象を受けている訳ですが、その点いかがでしょうか。

知事
 ここは過去の県議会答弁でもありますけれども、今まで5年間のふるさと振興は県民の「生きにくさ」を「生きやすさ」に転換するでありますとか、また雇用の場を増やし、またより雇用の条件がいい、そういう環境をつくっていくということについてはそれなりに進展してきていて、これは更に力を入れて前進させて、これと国の施策が相乗効果を上げれば東京一極集中の人の流れを逆転することは決して不可能ではないと考えておりますので、そのようにしていきたいと思います。

記者
 ふるさと振興部の話ですと県北・沿岸振興室、あと地域振興室、体制も拡充する訳ですが、地域の振興ですね、そういった部分でも今回力が入っているということになるのでしょうか。

知事
 今回主要施策を見ていただくと、まず北いわて、北いわて、北いわてとあちこちに「北いわて」という言葉が出ているところを見ていただけると思いますし、また三陸、三陸、三陸と「三陸」と冠させる事業も沢山ありまして、そのような県民計画のゾーンプロジェクトを踏まえた新しいタイプの地域振興事業がたくさん盛り込まれているというところが特徴です。

記者
 総額の話なのですが、今回、復興事業、復興分が減って通常分が増えているということで、全体では微減、前年度とほぼ同じような規模になっている訳ですけれども、県税収入も減収していくと見込まれていますけれども、財政状況が厳しい中で、通常分も増やして、それなりの規模を確保したというのは、先ほどきめ細かくというお話もありましたけれども、その点の考え方というか、理由についても教えてください。

知事
 必要に応じて所要の予算を計上ということでありまして、金額ありきで幾ら以上にしなければならないとか、そういう発想ではなく、必要な事業を積み上げてこういう全体像になっているところであります。
 なお、特徴的なのは、公共事業についてプラスシーリングでの方針を打ち出しまして、それは近年通常の公共事業予算が抑えぎみになっていたことなどがありまして、そういった理由から普通公共事業費のプラスシーリングの方針に基づき編成を行った結果、でき上がりとしてこういう数字になっているというところです。

記者
 組織体制の方でも1点お伺いしたいのですが、地域振興の部分は先ほどお話がありましたけれども、今回、子ども子育て支援と観光の分野でも課を室に格上げして体制も強化していくということになっていますが、今、子育てと観光というところに力を入れる、その辺の理由を教えてください。

知事
 先ほど「生きにくさ」を「生きやすさ」にという話はしたのですけれども、進展はしているのですが、問題が全て解決している訳ではなく、まだまだ結婚、出産、子育てというところの支援が必要な、そういうニーズがあると見ていますので、それにしっかり応えようというところでありますし、観光については来年の東北デスティネーションキャンペーンに向けて一つ大きな流れをつくっていくと、今年はオリンピック・パラリンピック関連の観光への注力というものがありますし、昨年はラグビーワールドカップがあって、そういった段階を踏みながら岩手の観光の力をさらに高めて県民経済、そして県民生活に資するようにしていこうという趣旨であります。

記者
 今回の予算、命名された「復興幸福希望予算」ということで、この名前にした理由についてもう一度教えていただけますか。

知事
 改めて「復興」という字をこの予算の愛称に入れたほうがいいなということで、これは様々なインフラ、復興道路の開通、完成などが相次いでいる訳ですけれども、一方でまだ仮設住宅等に生活している方々がいらっしゃって、復興が長期化するほどそうした皆さんのケアというのは増々力を入れて、あるいは注意してやっていかなければならないので、改めて県内、そして県外、復興ということに関心を持っていこうということがまずあります。
 そして「幸福」というのは新しい県民計画のもとで県民の幸福度を高めるような施策を広く沢山盛り込みましたので、そこをアピールしたいということです。
 それだけだと、もう一つ躍動感に欠けるなというところで、やはり「希望」という文字も入れて「復興五輪」のオリンピック・パラリンピックイヤーでもありますから、うまくそれを生かして今までできなかったことがやれるようになる日本、そして今までと違う日本と世界の関係、その中で岩手も名誉ある地位を占めるというような、そういう希望につながるような予算ということで「復興幸福希望予算」としました。

記者
 先ほどの地域振興に関連してなのですけれども、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクト、来年度を見ると科学技術とか先端技術を使った事業が新たに盛り込まれていると思うのですけれども、改めて実際に来年度からこういうことが始動する狙いと期待などがあればよろしくお願いします。

知事
 「北上川バレー」や「三陸防災復興ゾーン」に比べれば「北いわて」のビジョンはこれから描いていくというようなところがあり、そのためのシンポジウムでありますとか、大学や研究機関との連携など、そういったことは引き続きやるのですけれども、やはり具体的に形が見えるような事業をそろそろみんなでやっていくことがビジョンをつくるに当たっても必要であろうということから具体的な事業を幾つか入れているというところがあります。また、5Gはいよいよ日本においても本格実用化されていきますので、5G関連の事業については具体的なところに手をつけていかなければならないなという、そういうタイミング感もあります。

記者
 先ほど様々な事業を紹介していただきましたが、特に知事にとって思い入れの強いものを具体的に数個教えていただけますでしょうか。

知事
 沢山あるところに意義がある訳ではありますけれども、「てしろもりの丘整備事業」と「みたけの杜整備事業」ですね。療育が必要な子供たちを対象とする施設整備、ここはやはり岩手として誰一人取り残さないという、これはSDGsでうたわれている理念でもあるし、復興を通じて岩手の中に育んできた基本的な考え方でもあるのですけれども、そういうところをちゃんとやって、一番大変な課題に直面している県民に対する支援というのを県としてきちんとやるのだという意味で、先ほど言われたような思い入れ的なものはあります。

記者
 改めまして、この予算にかける思い、決意、意気込みというのをお伺いできますでしょうか。

知事
 「復興幸福希望予算」という言葉に象徴されていますけれども、改めて東日本大震災津波からの復興ということをきちっとやっていかなければならないという思いがまずあります。そこに台風第19号災害からの復旧も重なって、三陸鉄道の復旧など、ちょうどその両方が重なって象徴的なのですけれども、そういうのをきちんと県民みんなで力を合わせてやっていこうというところです。
 そして、幸福ということ、幸福関連指標を使いながら県民の幸福度を高めるということを軌道に乗せていきたいという思いがあります。
 そして、オリンピック・パラリンピックイヤーということもあり、普通の年以上に希望が持てる、そういう躍動感も日本全体の中で岩手も名誉ある地位を占めていきたいという、そういう思いです。

記者
 財政健全化についてお伺いしたいのですけれども、国の復興創生期間が20年度で終わりまして、支援の方もだんだんと先細りしていく中で、財源の確保というのは厳しくなっていくと思うのですけれども、県の中期財政見通しを見ると財政基金とかも徐々に減っていくのですが、県独自で稼ぐような仕組みが必要になっていくと思うのですが、そういった中長期的な財政健全化の在り方というのはどういうふうにお考えでいらっしゃるのか教えてもらえますか。

知事
 県民の皆さんがきちっと稼いで、そして生活していける、それで過剰に減少していかないような、そういう安定した経済、社会が実現していくということが大事だと思っています。その中で、個人や企業からの税収というものがきちんと確保されていくということが基本だと思います。

記者
 どういった事業をしてそういうふうな稼ぐ仕組みというのをつくっていくのか、具体的に教えてもらえますか。

知事
 そうですね、特に予算を今、発表した瞬間の頭からいたしますと、それは世界遺産の振興から、誰一人取り残さないような福祉の充実まで、その全てが県民経済の向上や、また県民生活の向上に関わってきますので、他にやれることはないか、他にやれることはないかというのを考えて、やれることは何でもやるという発想でいくことが大事だと思っています。

幹事社
 それでは、発表事項以外について本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
 中国のコロナウイルスの流行を受けて、12日から運休と発表されていた花巻空港の上海便です。今週、土曜日の便も欠航が発表されたのですけれども、その受け止めをお願いいたします。

知事
 中国全体として海外への渡航について様々制限をかけていくという中で、中国東方航空が会社としてそういう判断をしたというのは今の新型コロナウイルス対策としてやむを得ないものかなと感じております。

記者
 昨日、最後の上海便となった訳ですけれども、上海から花巻に来た人はわずか10人ということで、今後も東方航空としては春以降の再開未定というふうにしている訳ですけれども、これについて知事としてどのように対応していきたいか考えがあれば教えてください。

知事
 中国での新型コロナウイルス関連肺炎等の患者数はまだまだ増え続けていますので、その終息というものが一日も早くなることを期待いたします。それと関連して、日本は日本で日本の中で蔓延しないようにということで、中国の方が終息して、日本の方が渡航していい場所かというところが問題になるようではまずいですから、日本は日本でちゃんと蔓延しないような対策をやっていかなければならないし、岩手県もその中でやるべきことをきちんとやっていきたいと思います。

記者
 春節で中国人の方が多く岩手にやってくるはずだった訳で、観光への打撃も少なくないと思うのですけれども、そのあたり県としてフォローしていきたいとか、そういった考えはありますでしょうか。

知事
 お互いそれどころではなかったということだと思いますし、今回使わなかった分のお金を次にまた使って、今回の旅行をしたいのにしないでしまったこととか、そういうのを取り返すことができればいいなと思っています。
 なお、県内の観光については、国の事業ですけれども、台風第19号等の去年の台風災害の被災地の「ふっこう割」を2月に入ってスタートさせていますし、様々な冬のイベントもこの週末から来週にかけて色々とありますので、そういうのを県もどんどん後押ししていきたいと思います。

記者
 ILCについて伺います。先日日本学術会議の方でマスタープランが公表されました。ILCに関しては大型施設計画には載りましたけれども、重点計画の方にはなりませんでした。知事としては残念だというふうに見ているのか、別に構わないというふうに見ているのかお考えをお聞かせください。

知事
 重点計画というのはすぐにも予算化されるようなものだと思っていますので、まずは重点がつかないけれども、大型研究として研究者の皆さんのお墨付きをいただけたのは大変いいことではないかと思います。1年半くらい前の議論を思い出すと、そもそも意義があるのかというような議論が学術会議のもとで行われていた訳でありまして、それに比べればもう意義が認められたということで、萩生田文部科学大臣も一つの目安になるという発言をしていたと記憶しますし、また、科学技術を担当されている竹本内閣府特命担当大臣は、科学技術としての事業ということに加えて復興とか地方創生という観点からもいいのではないかという話もされており、そのような財源をどう確保していくのか、そのためにアメリカやヨーロッパとどう協力していくのかという方向に話が更に進んでいくことを期待します。

記者
 冒頭で、知事は、重点化されればすぐにも予算化されるものであったということであり、今回、大型止まりでもまあよかったというお話ではありますけれども、ということは今年中に予算化されるのはかなり厳しいというふうな見方はされているということでしょうか。

知事
 もう何年も前に決定して、既に工事が始まっていてもいいとは思っていますので、速やかにできるだけ早くやると決めてやってほしいという思いはあります。

記者
 思いはあるけれども、なかなか現実的には厳しいというふうに見ていらっしゃるというふうには受け止めたのですが、そうするとILC実現に向けて明日、明後日、今日中に政府が誘致を表明するという短期的な見方ではなく、もう少し中長期的な取り組みとして県としても取り組んでいくというようなお考えなのでしょうか。

知事
 財源の議論というのはどのようになっていくか、これも復興や地方創生などの意義も加味し、そういった柱立ての予算編成をするなどということが決まれば、それはすぐに数字の詰めになっていくでしょうし、アメリカ、ヨーロッパとの協議についても、アメリカ側、ヨーロッパ側の方では細部まで詰めなくても方向性の段階で合意というやり方もあり得るのではないかと思いますので、そうであれば早く決まることも諦めなくてもいいのかなと思います。

記者
 ILCの関係なのですけれども、1月31日、日本記者クラブで記者会見された際に、ILCについては文部科学省既存の研究予算以外の財源を本格的に検討すべき段階に進んでいくのかなと期待しているというふうにおっしゃっていましたけれども、これはつまり既存の日本学術会議の重点計画に盛り込むかどうか云々ではなくて別のもの、つまり例えばそこの建設部分が核廃棄物の処理施設にするとか、色々な選択肢があると思うのですけれども、そういうことも含めて検討されるのでしょうか。

知事
 核廃棄物の処理施設というのは深さ、深度がもう桁違いに全然違うから、ILCとは関係ない話と認識しています。文部科学省のいわゆる既存の科学研究予算というものを大幅に拡大して基礎研究に力を入れるという政策は、それはそれであり得るのだと思いますよ。特に、世界中でドイツ流の緊縮路線というものを批判する人たちはアメリカの学者などでも、あるいは日本の学者などでも筋のいい公共事業を積極的にやらないと今の国民経済というのは一定の成長をしないので、それは筋のいいインフラ整備あるいは筋のいい基礎研究ですね、科学の基礎研究、民間企業などができないような科学の基礎研究の分野に予算を増やすということは。ですから、その辺はある種の会計技術というか、予算技術というか、文部科学省予算内で大きく膨らますのか、それとも復興とか、地方創生とか、他の予算という形でやるのかというのはあるのですけれども、ただその中で文部科学省予算の外に新たな予算の柱を立てていくやり方というのも真剣に検討していいのではないかと思います。

記者
 済みません、繰り返しで申し訳ありません。今の別立てでもいいのではないかというお話ですけれども、そうすると科学予算のつくり方からすればイレギュラーな形としてつくる形になります。そうすると、知事はお嫌いなのかもしれませんけれども、政治的な力が必要ではないかという気もします。その辺、知事としては政治力、政治の力というのをどのように今回このILC実現のために考えていらっしゃいますか。

知事
 東日本大震災発災直後に復興の在り方の中で既に岩手県からはILCの建設というのを政府や世間全体に示していたところでありますので、それはいよいよ今、政治的というよりは9年前にそうであってもよかった訳でありまして、そういう意味でこれは何年前かにもう決めていてもよかったこと、それはイコール今日、明日中に決めてもいいことだし、やろうと思えばできると。ただ、今現在はまだそういう動きは具体的にはないので、岩手県としてはできる限りいいほうに行くように働きかけながら国民への皆さんへの機運の上昇、そういったことについてもやっていくというところです。

記者
 そうすると政治家の力、もしくは官邸の力ということではなく、今おっしゃった岩手として機運の上昇に力を入れていくというのが本筋だというふうにお考えなのでしょうか。

知事
 明日にもやると決めて発表していただけるなら、もうやってほしいですよ、はい。

記者
 そこまでのものを今現在感じていらっしゃらないという感じですか。

知事
 そこは感じる、感じないではなくて、そういう情報には接していないという客観情勢です。

記者
 冒頭の発表事項の来年度の組織体制ともしかしたら重複するかもしれないのですが、改めてお聞かせいただきたいのは、千葉副知事の任期が2月20日までなのですけれども、その点については知事はどのような構想をお持ちかお聞かせください。

知事
 大変活躍してもらいましたし、感謝の気持ちを込めて卒業してほしいなと思っています。

記者
 そうすると、今の話ですと任期満了で御退任の予定だということだと思います。新年度の体制に関しては、今は保副知事もいらっしゃいますが、構想としてはやや時期的なものにずれはあるかもしれませんが、新年度以降も2人体制でいきたいというお考えか、その点はいかがでしょうか。

知事
 そうですね、4月1日の人事異動は今、色々と調整しているところな訳ですけれども、副知事の在り方についてもその中で総合的に判断していきたいと思います。

記者
 お楽しみにしていていいということでしょうか。

知事
 お楽しみというか、4月1日の人事ということとの関連の中で決めていきたいと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は2月14日の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
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