合同追悼式での知事式辞(令和5年3月11日)
令和5年3月11日(土曜)に釜石市にて開催された「東日本大震災津波岩手県・釜石市合同追悼式」より、知事による追悼式辞を掲載します。
追悼式辞(全文)
東日本大震災津波から12年となる本日、岩手県・釜石市合同追悼式を執り行うに当たり、尊い命を失われたお一人お一人の御霊に、岩手県民を代表し、謹んで哀悼の誠を捧げます。
12年前の3月11日、マグニチュード9.0の巨大地震が引き起こした凄まじい津波により、本県において、4,675人もの方々の尊い命が奪われ、また、この震災に関連して470人の方々が亡くなられました。
無情な津波は、今もなお、1,110人の方々を行方不明にしたままです。御家族の皆様の切なる想いが報われることを祈ります。
ここ釜石市でも、郷土の先人達が築き上げてこられた街並みや産業基盤が破壊され、1,064人の方々の命が失われました。
犠牲になられた方々のふるさとへの思いを受け継ぐこと、そして、東日本大震災津波の事実と教訓を確実に次世代に伝承し、復興の姿を国内外に発信することは、この災害を経験した私たちの責務であります。
この12年間で、岩手県では、釜石港湾口防波堤をはじめとする津波防災施設の整備が進み、災害公営住宅の完成などにより、応急仮設住宅にお住いの方々全てが、恒久的住宅に移られました。
復興道路等の完成により、県土の縦軸、横軸を構成する新たな道路ネットワークが形成され、釜石港へのガントリークレーンの設置や海外とのコンテナ定期航路の開設など、産業基盤の整備も進みました。
復興に携わった全ての方々の尽力により、復興の取組は着実に進んできました。
一方で、復興は、まだ終わっていません。残る社会資本整備を早期に進め、被災された皆様のこころのケア、新たなコミュニティの形成など一人ひとりに寄り添った支援を続けます。主要魚種の不漁対策やなりわいに関する課題に対しても、被災地の実情に即した対策を講じます。
また、依然として続く新型コロナウイルス感染症の流行や、ロシアによるウクライナ侵攻、原油価格・物価高騰などは、人の流れや産業、消費活動に影響を及ぼし、被災地の復興にも大きな影を落としています。私たちは、震災と復興の経験を活かして、この困難を乗り越えて参ります。
岩手県では、現在、「いわて県民計画(2019~2028)」の第2期アクションプラン「復興推進プラン」の策定を進めています。私たちは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指して、更なる復興を進めて参ります。
これまで、私たちは、全国や海外から多くの御支援をいただき、国内外との絆に支えられてきました。
2019年に釜石市で開催された「ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石」や、沿岸各地をつないだ2021年の「復興五輪」の聖火リレーなどを通し、国内外からいただいた御支援への感謝と復興の姿を発信してきました。
東日本大震災津波伝承館は、日本を代表する震災学習拠点として、開館から、67万人もの方々が来館しています。
今年6月には、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、高田松原津波復興祈念公園で第73回全国植樹祭を開催します。多くの方々に岩手の復興の今を御覧いただき、これまでの御支援への感謝を改めてお伝えしていきます。
私たちは、これまでも、何度も大きな津波被害に見舞われてきましたが、決してくじけず、県民が協力し合い、苦難を乗り越えて参りました。
将来、発生が予想される日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に対しても、過去の災害の経験と教訓を忘れず、常に災害に備え、津波による犠牲者を決して出さないという強い決意で、全力を挙げて対策に取り組んで参ります。
3月11日は、「東日本大震災津波を語り継ぐ日」です。私たちは、過去の災害の大きな犠牲の下で学んだ教訓を、今後決して忘れることなく、次の世代に語り継ぎ、一人ひとりの大切な人に想いを寄せ、ふるさと岩手を築いていくことを誓います。
犠牲になられた方々の御霊が安らかでありますように、そして、御遺族の皆様と私たちをいつまでも見守り続けてくださいますようにお祈りし、追悼の式辞といたします。
令和5年3月11日
岩手県知事 達増 拓也
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