令和7年12月26日知事会見記録
開催日時
令和7年12月26日10時00分から10時29分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はございませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
私から大きく2点お伺いいたします。まず、2026年元日で能登半島地震から2年経過します。石川県の被災地のほうでは、復旧が進む一方で、いまだ多くの被災者の方が仮設住宅での生活を余儀なくされていると、そういう現状でありますけれども、まず2年たった現地の復旧・復興の状況について、知事の御所見をお聞かせください。
知事
生活の再建、なりわいの再生、安全の確保というのが大きい災害からの復旧・復興の3本柱だと思いますけれども、それぞれまだ途中だなという状況だと思います。日本列島の中の位置的に支援が入りにくいような、特に直後の状況でそういう地理的な条件で、また、地震の性質上、半島内の道路も寸断されて、半島内の移動も大変だったということがいろいろ重なって、復旧・復興に時間がかかっているのだと思います。
そういう中で、岩手県で経験した東日本大震災津波でも地元の底力プラス様々なつながりの力が復興の力となったと思うわけですが、能登半島から石川県、北陸の皆さんの底力というのはやはりすごいものがありますし、そこが全国各地とつながって、様々な支援を受けながら、前例がないような災害だったと思うのですけれども、いろいろ前例がない支援、取組も重ねながら復旧・復興してきていると思います。
岩手県もまずは有志の人たちがどんどん能登半島入りして支援をしたり、また、能登半島、石川県の物産を岩手県でも買って応援するということもやってきましたし、更に今年(令和7年)は馳知事と直接(会って)、岩手県庁で包括的な県と県の協力連携をしましょうということも決めて、高校同士の交流とか、あとは今新幹線で北陸と東北を乗り換えなしで結ぶという、そういう構想も準備が進んでいるところですし、そういう前例がない災害に対しては前例がないような対応で復旧・復興を進めていければいいと思います。
記者
ありがとうございます。先ほど地元の底力が復興の力になっているというお話がありました。これまでも県としても応援職員さんの派遣であったり、あと災害の知見の共有等されてこられたと思います。来年(令和8年)発生から15年を迎える東日本大震災の経験を、能登の復興につなげるということも大きな観点だと思いますけれども、2026年というくくりで現地の支援の形で、例えば具体的に何かお考えがありましたらお聞かせください。
知事
現地に寄り添い、現地のニーズに合ったことをやっていくというのが基本になりますが、実際震災直後の建物の損壊の判断とか、災害廃棄物の処理とか、そういうのはもう終わって、本格的な復旧・復興の段階に入り、プラス岩手の復興教育を能登半島地震でもということでいろいろ協力は進んでいるところもありますし、そういう伝承・発信という、これは、第4の復旧・復興の柱になりますけれども、第4の柱も立ち上がっていく2026年になるかなというふうに思います。
記者
ありがとうございます。話題変わりまして、南昌みらい高校隣の体育施設の工事が中断されている事案について伺います。矢巾町のほうから(12月)24日に知事のほうに第三者委員会の共同設置を提案する文書が送られておりますけれども、現時点での知事の御回答のお考えというのはどのようにされますでしょうか。
知事
通し番号つきの正式な行政文書の形でいただいていますので、県教育委員会のところで行政の事務の執行という形で対応すればいいと思っております。法律、政令、条例、規則に従いながら権限ある人たちが責任を持って役割分担しながら対応するのが行政の本質ですので、そのように対応していきたいと思います。
記者
ありがとうございます。町のほうから11月にも県教委の対応をただす文書も送られておりますし、知事の御回答でいきますと説明責任を果たすように指示したと、そういった趣旨の内容の回答をされたと伺っております。町と県教委の主張の乖離もあると思いますけれども、事態の解決に向けて両者に今後どのような対応を求めていきたいとお考えでしょうか。
知事
一つ矢巾町側から、結局何をしたいのかと、共創の取組でいろいろうまくいっていないと、様々な問題点の指摘とかはあるのですけれども、要は何を実現したいのかというところがあんまり見えていないなと思っておりまして、県教育委員会はやはり学校の体育館をちゃんとつくって、生徒が不自由しないようにするという明確な目指す姿があるわけですけれども、矢巾町側の目指す姿と県教育委員会の目指す姿をすり合わせていけばお互いが納得できる共通の答えは出てくるはずなので、そういうところをそれぞれ、知事にせよ、町長にせよ、自治体の長の役割というのは全て補助機関である自治体職員に役割分担されて、法律、規則等に従って事務を執行していける体制になっていますので、そのように対応して問題を解決していけばいいと思っております。
記者
今年(令和7年)最後の知事会見ということで、先週「今年の漢字(一字)」を発表していただきましたが、改めて知事としての今年(令和7年)の総括と来年(令和8年)どんな年にしたいかお願いします。
知事
多事多難な一年、鳥インフルエンザ、大船渡(市)林野火災、猛暑、水不足、そして、物価高騰、米問題、そして、クマ問題、12月8日の青森県東方沖地震と津波、その後の後発地震注意情報という大変な一年ではあったのですけれども、一方、2月8日のシンポジウムで「世界に開かれた地方創生」という考え方やビジョンを提示して、今年度(令和7年度)予算も「世界に開かれたいわて地方創生予算」と銘打って事業を様々展開し、今年(令和7年)は私も2度もアメリカ、カナダに行きまして、時あたかも大谷翔平さんと佐々木朗希さんがドジャースで、そして、菊池雄星さんがエンジェルスでロサンゼルスを拠点に大活躍をしていて、そういう動きと呼応するように県の「世界に開かれた地方創生」ということも進めることができた一年だったと思います。
インバウンド観光振興と輸出振興を軸にしながら世界に開かれた形で地方創生を進めていくというのは、県内全ての人が関わるようなことでありまして、2月8日のシンポジウム以降、経済界からもいろいろ関心を持っていただいて、中小企業団体中央会からも依頼があって同じテーマの講演をする機会がありましたし、来年(令和8年)早々には県の経営者協会の新年の集いで同じテーマで講演をする予定にしておりますし、年明けてまだ年度内には、ほかにもそうですね、同じテーマで講演をする機会が予定されているところで、広く県民的に「世界に開かれた地方創生」というビジョン、目指す姿を共有しながら進んでいくための大きな一歩となった年でもありました。
記者
ありがとうございます。来年(令和8年)の抱負もお願いいたします。
知事
年明けて年度内にもまた「世界に開かれた地方創生」ということを県民的に共有し、更にパワーアップしていく、バージョンアップしていくようにスタートダッシュをしていきますし、国のほうで高市内閣の地方創生が、強い経済を地方からというような内容になっていて、地方の経済成長率を東京圏を上回るようにするという、そうしないと人口の、地方からの転出超過、東京圏への転入超過は歯止めがかからないということも、もう10年前から私や岩手県からずっと言ってきたことが、いよいよ国もそういう考え方を踏まえた新しい地方創生を今週の閣議で決めて、来年(令和8年)からそれをロケットスタートということを期待したいと思いますけれども、それとも連動しながら「世界に開かれた地方創生」を力強く進めていきたいと思います。
記者
先ほどのツキノワグマ対策(関係部局長)会議において、1月1日から改めて警報から注意報に引き下がるという話が出ております。まだ依然としてクマの出没、目撃情報が相次いでおりますが、今回注意報に引き下がることに対して知事の受け止め伺えたらと思います。
知事
これは、引き下がるというよりも冬眠シーズンだけれども、注意しなければならない。出没数は減っているけれども、注意しなければならないという、そういう注意報というところに意義がありますので、1月からツキノワグマ注意報というのは極めて異例なことですので、特別な状況であるということを県民の皆さんにも御理解いただければと思います。
記者
今年(令和7年)ありました大船渡市の大規模林野火災を受けまして、来年(令和8年)から新しく林野火災注意報(・警報)が新設されることになります。盛岡管内以外では来年(令和8年)1月からということで、盛岡(管内)では3月からの見込みということですけれども、各市町村、地域で対応状況が分かれた形で運用することになりますけれども、知事の所感としてはいかがでしょうか。
知事
まず、制度的なことが新しくなってはいるのですけれども、本質的には異常な乾燥というのは危険だということですね。盛岡地区については、去年(今年:令和7年)1月、それまでなかった大規模な鳥インフルエンザが起きたのですけれども、やはり乾燥していることとか雪が積もっていないこととかで鳥や小動物の活動が活発になり、感染した鳥や小動物のふんが飛び散り、広がりやすいとか、やはり乾燥の危険性というのはそういうところにもありますし、ましてや山火事に関しては乾燥というのがもう火が出やすくなり、広がりやすくなり、深刻化しやすくなる、より危険になるということなので、まずは乾燥ということに気をつけなければならないということだと思います。雨のクリスマスとか言われていますけれども、からからに乾いているクリスマスよりははるかにいいなと思っておりまして、こういう湿り気が年明けも続けばいいとは思っているのですけれども、そういうふうに乾燥の状況にやはり責任ある立場にある人は気を付けていって、必要があれば新しい制度に基づいた林野火災(注意報・)警報を発令するということですね、この制度もどんどん活用しながらそういう乾燥に対する注意をうまく形にして共同体としての(地域ごとの)取組に反映させてもらえればと思います。
記者
ありがとうございます。市町村ごとにいろいろ取組変わってくるところもあると思うのですけれども、そこについてはいかがでしょうか。
知事
その場その場で、乾燥の仕方とか、乾燥がリスクになっていく仕方とかは地域によって違うでしょうから、地域なりのそれぞれの対応というのはあり得るのだと思います。また、過去の経験とかもありましょうし、これからこういうことをやるということに関する合意の形成の仕方とかもありましょうから、そこはそれぞれの市町村がその地域になじんだ形で進めてもらえればいいのではないかと思います。
記者
ありがとうございます。林野火災注意報(・警報)につきましては、県のほうも周知広報のほうで協力したりですとか、あとは市町村に働きかけを行っていくということは、もう方針示されているところですけれども、改めて来年(令和8年)以降どういった取組に注力していきたいかということをお伺いしたいです。
知事
まず、もう異常な乾燥はそれも一種の災害だということを基本的に認識理解して、そして、今年(令和7年)の大船渡(市)林野火災の経験というのをみんなが自分事として、二度とこういうことがないように取り組んでいく、まずは防火、火を出さないということが決定的に重要ですし、火が出たときの初期消火、拡大させないということにもつながっていきますので、そういう自覚を持って、とにかく屋外での火の取扱いには十分注意してほしいというところであります。
記者
私もツキノワグマの被害対策に関して、先ほど関係部局長会議開かれまして、その中でいわゆるガバメントハンターや専門職員の募集を本日(12月26日)から始めたという報告ありました。改めてこちらそれぞれの職に関して、実際稼動するのは本年度(令和7年度)の末、3月から来年度(令和8年度)にかけてということになりますが、今年度(令和7年度)県内で起きた様々な問題を踏まえて、これらの職に当たる方々にどういうことを期待されるかを伺いたいと思います。
知事
まず、ガバメントハンターとして期待するところは、野生動物の生態に関する知識、経験、そして、山歩きや、また、チームとして狩猟を行ったり、また、有害鳥獣の捕獲を行ったりしてきた経験ですね、そういう今岩手において、更に全国的にもかつてないような危機的な状況にあるクマ問題ということを解決して、そして、クマと人間の共生を目指していく、そういう事業の最前線に出て働きたいという、そういう方を募集したいということです。そういう方はいるのだと思いますけれども、普通にしていると分からないところもありますので、そういう人が持っている志とか、そういう人が持つ能力というのをこういう募集ということを通じて、どんどんそういうのを表に出してもらって、共有し、そして、その選ばれた方々と一緒に仕事をしていきたいと思っております。
あとは、クマや山に関する知識、研究調査のほうを重点にする専門家についても募集をするわけでありまして、岩手大学の山内准教授のようなふうに育っていくことができるような人、ああいう仕事をしてみたい、そして、動物と山を中心とした自然環境にとても関心があって、自分の仕事にしたいという人は、やはりそういう人もいると思うので、ぜひ名乗りを上げていただいて、採用していきたいなと思います。
記者
私のほうからもクマ対策に関しましてです。新たに募集するガバメントハンターと専門職員に関してですけれども、クマの個体数管理や捕獲の強化に向けて数年という限定的なものではなく、長期的な採用につなげるお考えはありますでしょうか。
知事
まずは任期付職員、会計年度(任用)職員としての採用で、まずは短期が想定されてはいるのですけれども、本人のやる気、能力、そして、実際仕事を始めてからの実績によっては、長期的な雇用につながり得ると考えています。気候変動が進んでいて、それで山を中心とした岩手の自然環境は、やはりどんどん変化をしてきていて、そういう中で今回のクマ問題も出ていますけれども、クマだけではなくシカも異常に増えているという問題がありますし、今までいなかったイノシシが増えているとか、ほかにもいろいろ増えているという問題もあります。そして、いかにそういう動物と人間が共生していくかというのは、ある一定の状態をつくってしまえば、あとはそれを放っておいていいというふうにはならないと思うのです。常にその状態をチェックしながら、手直しすべきところを手直ししていく、それは個体数管理であったり、緩衝帯を広げるとか、そういう作業というのはもうこれからずっと続くのだと思います。もう半永久的というか、永久に続くという可能性もあるし、あとは日本の中では特に岩手が、そういう野生動物と人間との共生ということに関しては、日本の中では一番大きく、そういう課題に直面している、それは自然が豊かだからそうなのですけれども、そういう豊かな自然を大事にしながら人間も安全に自然と共生していくということに関しては、そういうことについて働く人材というものを岩手は特に必要としていると、全国の中でも。と思いますので、将来的な、恒久的な就労というのですか、そういうのは視野に入れているところです。
記者
ちょっと話題変わるのですが、昨日(12月25日)三重県のほうで今まで県職員採用に国籍要件というのは撤廃していたけれども、共生社会は推し進めるということは大前提の上でですけれども、情報漏えいの観点からその要件を復活させる検討に入るという三重県の知事が表明されました。岩手も少なくとも知事部局の採用では国籍要件がない都道府県の一つというふうに伺っているのですけれども、今回三重県が打ち出した方針についての所感と、今後岩手県として同様の対策など、一方で情報漏えいについてなどは、やはり国際情勢の中から実際に課題があるというのは一つの見方としてあるのかなと思うのですけれども、その点についてお考えを伺えたらなと思います。
知事
県組織の中での情報の取扱い方については、どんどん新しくなっていくパソコンとかインターネットとかの使い方の問題として、誤った操作によって情報が漏れるということが時々起きていますから、そこはしっかり対応しなければと思っておりますし、また、うっかりミス的なそういう機械的な要素なしの人的な要因での情報、どこかに置き忘れたということですけれども、そういうことも起きたりしていますので、内部統制的にそういうことについては今のところしっかり対応しておりますので、この調子でやっていけばいいなと思っております。情報漏えい対策というところがそもそもの話の始まりでありましょうから、岩手県的にはまずそういう内部統制的にちゃんと取り組んでいくということで対応すればいいというところであります。
記者
単なる情報漏えいというよりも国外への機密情報とかが漏れるおそれというのが背景にはあるみたいなのですけれども、その辺り含めても岩手県としては今後も今の国籍要件というのは守っていきたいというお考えということでよろしいでしょうか。
知事
過去何度もそういう情報が漏れてしまうような不適切な取扱いというのはあるのですけれども、そういう経験の中で職員自身の属性というのですか、その人の出身地とか、その人の学歴とか、過去の経験とか、そういうのが原因になっているということは全くありませんし、そういったところを配慮しなければならないというようなことは全然経験していないと言っていいと思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は1月6日(火曜日)の予定です。
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