令和7年7月25日知事会見記録
開催日時
令和7年7月25日10時00分から10時50分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表が1件あります。それでは、知事お願いします。
知事
8月を「いわて・移住PR集中月間」として、岩手へのU・Iターンを促す事業を行います。1つは、「いわておかえりサマーキャンペーン」、もう一つが県主催移住フェア「THE(ザ)いわてDAY(デイ)2025」です。「いわておかえりサマーキャンペーン」は、7月19日から9月15日までです。盛岡駅に大型広告を掲出します。8月8日から11日までは、盛岡駅ビルフェザンにUターンPRブースを設置して、県のUターン支援策を紹介したり、県公式の就職マッチングサイト「シゴトバクラシバいわて」への新規登録を促します。この期間に新規登録された方には、抽選で「いわて牛」などの県産品をプレゼントします。8月8日には、盛岡駅で帰省客にチラシを配ります。11日、12日には、アイーナで「いわて就職マッチングフェアII(ツー)」と連携し、U・Iターン就職相談を行います。「THEいわてDAY2025」ですが、これは8月30日土曜日に東京都内で開催します。市町村のPRブースによる移住相談を行うとともに、地域おこし協力隊や就農、起業などについての相談ブースを設置します。「岩手県U・Iターン就職フェア」と合同開催として、県内企業35社による就職相談も行います。ステージイベントや体験型のワークショップもあります。近年この「THEいわてDAY」は、来場者が増えているところでありまして、今年(令和7年)も是非大勢の方々においでいただきたいと思います。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
それでは、ただいまの発表事項1件について、各社から質問があればお願いします。
記者
今回の集中月間のほうでは、U・Iターン促進に向けた県内外での一体的な取組になると思います。今回知事は、先日の全国知事会議でも話題になった人口減少の問題、議論されたと思いますけれども、今回の取組を通して、そういった県政課題にどう結びつけていきたいとお考えでしょうか。
知事
U・Iターン促進イベントでありまして、近年岩手県内の企業の働く環境や給与などの雇用条件はどんどんよくなってきているのですけれども、それがどんどんよくなっている程度に知られていないという課題がありますので、是非この2つの事業を活用して、岩手の企業のよさ、プラス背景になっている岩手の産業状況のよさを多くの人に知ってもらいたいと思います。
幹事社
このキャンペーン二つに知事は参加されたり、どういった形で関係するかというところを教えてください。
知事
出場の出番はないのですけれども、近くを通りかかれば声をかけたり、あるいは、ブースに一緒に立ったりすると思います。
幹事社
ありがとうございます。ほか、ございますでしょうか。それでは、発表事項以外について、幹事社から記者クラブを代表して質問いたします。今回の参議院(議員)選挙の総括についてお伺いします。よろしくお願いします。
知事
まず、岩手県選挙区については、現職の横沢高徳(よこさわたかのり)参議院議員の過去1期6年間の業績評価というところがあったと思いますけれども、国会での活動、そして、地元での活動、それぞれ高く評価されての当選だったと思います。それから、去年(令和6年)の岩手ダブル選挙に引き続いて、岩手の政治を正常化するという流れもあったと思うのですけれども、次点となられた候補は去年(令和6年)の秋のダブル選挙で落選というか、参議院補欠選挙のもとになった議員辞職をした参議院議員さんや、また、解散総選挙で落選された小選挙区の議員さんの選挙の選対本部長でしたか、責任ある立場を務め、一体となって運動していたわけで、去年(令和6年)の秋、そうした犯罪行為にまでいってしまうような不祥事や、裏金問題や過激ダンスショー問題などのような不祥事、それに関わって一緒に運動してきた方が次点にとどまったということで、やはり岩手の政治を正常化するという大きなテーマもあって、広く県民的な信任が横沢高徳議員のほうにあったということだと思います。それは裏を返すと、次点の方の得票数が過去に比べて大きく落ち込んだということでもあったと思います。
それから、全国的には政権与党である自(由)民(主党)、公明(党)両党合わせて参議院の過半数を得られなくなってしまったということが大きかったですし、あとは議席の増加率という意味で、参政党が躍進したということが目立ったと思います。それぞれ国民生活や国民経済の現状が非常に危機的な状況にあって、有権者の中に悲鳴のような、もうこのままでは駄目だと、今のままではやっていけないという悲鳴のような思いが、全国的なそういう参(議)院(議員)選(挙)の結果に表れていると思います。ですから、参院選後、当選した議員さんを含め、今の国会議員、そして、政党がよほど危機意識を高めて国民生活を向上させるような、そのために背景となる国民経済をきちんと成長させていくような政策をしていかなければならないと思います。現状があまりにひどく、かつ、先に行けば行くほど悪くなるような印象が、強く、大きく広がっていると思います。ですから、今のままだともう日本は滅びるみたいな、そういう極端な感情も渦巻いて、今回のような参院選の結果になったと思います。
幹事社
ありがとうございます。ただいまの幹事社質問に関連して、各社から質問があればお願いいたします。
記者
今のに関連して、比例票について先ほど知事からお話ありました。与党のほうは、自公合わせて8万票近く減っているという一方で、県内で参政党であったり、国民民主党であったり、そういった政党さんが大きく伸びました。この結果が県政界にどう影響が与えられるのかということについて、知事の御所感をお聞かせください。
知事
地方政治は、これは岩手県に限らずですけれども、自(由)民(主)党の政権が長く続いて、地方の地域で何か役に就いている人とか、あるいは経済的に、経営者であったりとか、責任ある地位に就いている人とか、そういう人たちがまず政権与党を支持して当然、応援して当然という、そういう社会的風潮が日本に広くあると思います。それに合わせて、自民党さんのほうでも職域支部ということで、産業分野や業界、団体ごと、これは、医療、福祉のような社会的な分野についてもですけれども、職域支部というもので、そういった地域や経済界の基本構造をそのまま政党の支部に位置付け、政党として組織化し、選挙で動員するという、そういう形が日本全体にあったし、今もあると思います。ただ、それはある意味、選挙というのは有権者が、そのときそのとき自由に考えて、主体的に人を選んだり政党を選んだりすることですから、地域のリーダーになっているとか、経済的に重要な役に就いているとか、経済社会的な要因でもう自動的に、ある候補者とかある政党を支持しなければならないというのは、その人たちの政治的自由が奪われているということでもあるのです。ですから、長い間日本の人たちは政治の自由を奪われて、社会的、経済的な構造がそのまま政治的に政権与党に利用されるような状況がずっと続いていたのが、去年(令和6年)の衆(議)院(議員)選(挙)と今年(令和7年)の参院選で大きくそれが崩れてきたということだと思います。特に参政党の躍進というのは、既存政党のそういう在り方ということが日本を駄目にしているのだという、そういうかなり強烈な批判として出てきているものなので、自民党は改めて社会的、経済的役割で自動的にとにかく与党を支持せよというようなやり方をやめて、改めて自民党という政党が政治的にどういう理念で、どういう政策で、国民のためになることをしようとしているのかというのを、そういう中身を説明し、そして、自由な選択として選ばれる政党に生まれ変わっていかなければならないのだと思います。そういうことは、大なり小なり全ての政党に突きつけられている課題であって、その課題にうまく応えられるところが今後の日本の政治の主導権を握っていくのだと思います。
岩手県政の話を聞いていたのですね。岩手県政においても、やはり岩手県政という地方政治においては、社会的、経済的な役に就いている人は基本的に自民党を支持するという、そういう枠組みの中でやっていますので、県議会であれ、市町村議会であれ、自民党支持者が多数を占めるような傾向というのが現状としてはあるのですけれども、ただ、それはさっき言ったような話との関係で、有権者から見ると疑問を突きつけられるところでありまして、地方議員の皆さんがちゃんと有権者に対して、有権者の自由な選択として、自分の政党や自分自身が選ばれるような工夫をしていかないと、これからはうまくいかないというふうに思います。
記者
ありがとうございます。今回の与党過半数割れという結果を受けて、石破首相の責任論も強まっておりますけれども、首相の進退について知事はどうあるべきだとお考えでしょうか。
知事
選挙の主役は有権者で、選挙が終わった後の国政の主役は主権者、国民であって、国民の中にある悲鳴のような、このままでは駄目だと、国民生活の向上や経済社会の向上というのを今すぐに思い切ってやらなければならないという、そこをまず原点に考えていく必要があると思います。その正反対が、今の総理大臣をどうするかというのが正反対の視点だと思うのですけれども、ですから国民生活を向上させるためにこれをしなければならない、あれをしなければならない、そのためには誰を総理大臣にし、どういう政党が連携すればいいかという発想で考えていけば、そこで石破茂(いしばしげる)という人がどういう役割を果たすかというのは、後から決まることだと思います。
記者
私は、投票率についてちょっとお伺いしたいのですが、3年前の前回の参院選より3.72ポイント今回上昇したわけです。知事は、主役は有権者だということで、投票の呼びかけをされてきたわけなのですけれども、投票率が上昇したということについての受け止めと、あと上昇した要因については、先ほど国民の危機意識的な意識とかありましたけれども、どのように見られているでしょうか。
知事
3年前の参院選は、本来、安倍一強政治の10年間の総決算をしなければならないような選挙だったのです。やはり物価高騰も重なってきて、国民生活が非常に悪くなってきて、それをどうするかということが大きかったのですけれども、ロシアのウクライナ侵攻があって、岸田首相がそれを戦後最大の国難、今、日本は戦後最大の国難に直面しているということで、だから与党が引き続きやっていかなければならないという、国難だから与党、国難だから与党という政策論争を封じるような形でスタートしたと思います。そして、安倍晋三(あべしんぞう)元首相の悲劇があって、あの瞬間多くの国民はどうしていいか分からなくなったと思います。やはり何をどう考え、何をすればいいかということがあの瞬間、あの金曜日にもう分からなくなって、それでも動いて投票行動に行った人の中には、安倍元首相の弔い合戦といいますか、安倍元首相がやろうとしていたことをやるという動きは一部あったのですけれども、ただ国民全体がそう動いたわけではなかったので、かつ、もともと争点がよく分からないような形で選挙が推移していたので、3年前の投票率というのが低めに抑えられていたのではないかなと思っております。
今回は、そういうことがなくて、国民生活、国民経済が大変だということで、思い切った減税をするのか、それともそれに代わる何かほかの思い切った政策かというところから始まって、比較的国民が持っている問題意識に対応するような争点で選挙が推移していったという中で、また、3年前よりも実質賃金は下がっていますし、物価は上がっていて、国民の生活は3年前より悪くなっていますから、そこでやはり悲鳴のような、このままでは駄目だという思いを中心に投票率が上がったということだと思います。
記者
先ほど話題になりました、飛躍したとおっしゃられた参政党についてのお伺いです。そのとおり既存政党は駄目だということを主に訴えていた政党ですが、それ以外にも、例えば日本人ファーストであったり、あとは選挙後、核武装が安上がりだと発言したり、行き過ぎたジェンダー平等が日本を駄目にしただったりと、正直知事の政治スタンスとは全く別の訴えをしている政党だと思います。現時点で知事の参政党に対する評価と、例えばこの発言はいい、この発言は悪いと、何か分析があればお聞かせください。
知事
一般国民といいましょうか、政治的な役に就いていないし、政治活動をふだんやっていないし、選挙にもふだんあまり関心を持っていないような人たちと接する機会が多いのですけれども、そういう議論の中で、今例として挙げられたような極端な差別的な発言とか、極端な軍国主義的発言とか、そういう意見、考えというのは、実は日本国民の中に見られるところであり、そういうところを引き出して力にして、今回躍進したというところが参政党にはあるのだと思います。これは、いろんなやり方で解消していかなければならないと思います。それぞれテーマごとに、そうではないのだということを説明していかなければならないと思いますし、というのは頭ごなしに、そういうことを言っているから、その政党に属する人とか、その政党を支持する人はみんな駄目な人だなんていう言い方をすると、我々は本当に困って日本のことを心配してこういうことを言っているのだとか、かえって反発されて、今の間違った考えをさらに強く持ってしまうようなおそれもありますので、それぞれ国の将来や国の現状を憂えているがゆえに、極端な考えに飛びついているようなところもあるので、じっくり、大きくはそうではないやり方でこそ日本は強くなるのだとか、そうではないやり方でこそ国民生活はよくなるのだというような形で納得してもらいながら、今の偏った極端な意見から卒業してもらうということが必要なのではないかと思います。
記者
今の質問に関連して、参政党の方の発言の中であった核武装は最も安上がりだという発言は、そこだけ報道されました。結構賛否両論あるようではありますけれども、知事はそのような発言をどのように受け止められますか。
知事
結構まともな国際政治の教科書みたいな本にも、そういう趣旨のことは書いてあったりしますので、そういうのを断片的に取り上げて、そういうのに賛成しそうな人たちに向けて、1つアイデアとして出したということなのだと思います。そういう意味では、言った本人と話をする機会があれば、過去キッシンジャー博士が、ヨーロッパがソ連と冷戦しているとき、通常兵器の強化にお金がかかるから、アメリカの中距離核配備で安上がりに済ませてほしいなんていう、そういう話もあったけれども、でもいざ核戦争になったら、それはもうはるかに高くつくことになるのだとか、言った本人に対しては、そういう丁寧な説明をしていけばいいのだと思っています。本人以外に、その発言に対して何となく賛成している人たちに対しては、核兵器の悲惨さ、広島、長崎の実態、そういったところを改めて知ってもらって、そういうことに今まで興味関心を持っていなかった人も多いと思うのです。過去の歴史、新聞やテレビのニュースをふだんから読んだり見たりしている人の共通知識とは違うところで考えたり反応したりしている人たちには、改めてそういう共通知識を伝えるということが大事だと思います。
幹事社
代表質問について、関連する質問はございますでしょうか。なければ、それでは幹事社質問以外で各社から質問があればお願いします。
記者
先ほどちょっとありましたけれども、私のほうからも、昨日アメリカの空軍のオスプレイが花巻空港に緊急着陸しました。18日には、秋田県内の空港に緊急着陸したという経緯もありますけれども、まずは今回の事態についての知事の受け止めをお聞かせください。
知事
乗員の人命に関わるようなことでもあったと思うので、まず大きな事故にならなかったのはよかったと思います。一方、そういう大きな事故になりかねないような危ないことはしてほしくないという思いであります。ちょっと前にも米軍航空機の低空飛行問題というのがありました。だから、そういう危ないことはしないでほしいということです。日米安(全)保(障)条約や(日米)地位協定に基づいて、米軍は広く日本の国土を自由に移動したり、訓練をしたりとかするわけですけれども、やはり危ないことはしないでほしいということです。特にオスプレイの運用に関しては、岩手県から事前に情報を伝えてほしいと申し入れたことがあります。それは、令和3年にオスプレイが参加する日米共同訓練が岩手山演習場で実施されましたので、そのとき防衛省に対して、オスプレイの県内飛行ルート等について、事前に情報提供するよう申し入れています。ただ、その後オスプレイを含む米軍航空機の飛行計画については、県に対する事前の連絡がないのが実情でありますので、まず危ないことはしないでほしいということと、あとは飛行計画について事前に連絡をしてほしいということが今の思いであります。
記者
ありがとうございます。先ほど令和3年の際に申し入れられたということでしたけれども、2023年には鹿児島県のほうで同型のオスプレイが墜落して、搭乗員が死亡するという事故も発生しました。県民のほうから、今回の事態、あそこの花巻空港に緊急着陸したということを含めて、情報提供を行政に対して求める声もありますけれども、県としては今回どのように対応されて、今後どう対処していきたいとお考えでしょうか。
知事
まず、危ないことはしないでほしいという基本的な思いがあり、そして実務的には事前の情報提供ということを求めたいということがありますので、その辺を整理して、防衛省など関係機関への申入れを検討したいと思います。
記者
ありがとうございます。話題替わりまして、日米の関税交渉について伺います。23日に合意に達したと発表されましたけれども、相互関税がアメリカ側が宣言していた25%から10%ぐらい下がっているという状況ですけれども、今回の合意についてのまず知事の御所感をお聞かせください。
知事
そうですね、まず1つ、いつまでもこの合意が見えなくて、非常に不確実だった状況がずっと続いていたことが、合意ということで一定の不確実性の除去ということに至ったことは、まずよかったと思いますし、また、合意内容が事前に様々アメリカ側からというか、トランプ大統領が発していたような極端な高関税、高い関税などに比べますと、低めに抑えられているということについてはよかったと感じております。
一方、トランプ政権前に比べると、関税は引き上げられていますし、ほかにもいろいろ日本側がアメリカ側に譲った条件もありますので、それが日本経済、さらに、岩手の経済に一定のマイナスの影響を及ぼしかねないところがありますので、そこは残念に思いますし、対策を講じていかなければならないと思います。
また、全体として、アメリカは今やG7(ジーセブン)諸国、サミットをやっているG7諸国の中で一番一人当たり国民所得が高いのです。そして、日本は一番低いのです、7か国の中で。その差はもう倍以上あるわけでありまして、ですから経済的に圧倒的に強いアメリカが、経済的に圧倒的に弱くなっている日本に対し、より日本に厳しくなるような交渉をして、そういう合意をしたというのは、やはりそこには不公平な印象を持ちます。トランプ政権以前は、アメリカはもっと寛容な姿勢で、特に防衛上の同盟国に対しては経済的に非常に寛容な姿勢で、共に共存共栄しようと、経済的に共存共栄しようということでやっていましたので、そういうやり方のほうがやはりよかったのではないかなと思います。
記者
ありがとうございます。先ほど日本経済に一定のマイナスの影響を及ぼしかねないという御発言でしたけれども、ちょうどアメリカのほうから米の輸入であったり、様々条件があるのかなと思います。そういった個別の部分で、知事が懸念されていらっしゃる事項というのはどのようなものでしょうか。
知事
そうですね、これちょうど昨日、全国知事会(議)で米国関税政策に関する提言、政府への要請、これを取りまとめておりまして、農林商工常任委員長の私のところで取りまとめているのですが、まずどういうマイナスの影響があるのかということがまだ見えないところがあるので、日本政府においてはこの影響についていち早く示してほしいし、その影響に応じた対策を講じてほしいというふうに取りまとめています。
そして、お米については、今回ミニマムアクセスの枠内でアメリカの分の量を増やすということのようなのですけれども、いずれにせよ今あるお米をめぐる貿易のルールというものを尊重し、そして、アメリカとの交渉を進めてほしいということを改めて取りまとめておりまして、それらは岩手県としての主張でもあります。
記者
私から、昨日まで開かれておりました全国知事会議、こちらのほうで採択された青森宣言についてお伺いします。こちらのほう、排外主義や排他主義が明記されたほか、消費税減税については代替財源なき減税への懸念を示され、さらに、人口減少は国を揺るがす最大の課題というふうに様々盛り込まれておりました。まず、こちらの宣言、採択されたことの意義についてお尋ねいたします。
知事
参議院議員選挙の結果にあるような形で国政が混迷を深めているときに、日本のあるべき姿を知事たちが全国知事会として宣言にまとめることができて、大変意義があったと思います。
その中で、生活の現場であり、生産の現場でもある地方の実態をきちっと把握して、地方から発展していくような経済社会を実現し、その中で人口問題に関しても新しい地方創生を進めていくのだという、そういうビジョンを示すことができてよかったと思います。
また、参議院議員選挙の結果に表れた国政の混迷としては、排他主義、排外主義のそれが目立ったということもありますので、地方にとっては外国人というのは住民でありまして、地方自治は誰一人取り残さないということですから、そして、誰一人取り残さないという中に住民としての外国人も当然入るわけでありますので、そういう地方の目から見ますと、日本人か、そうでないかとか、いろんなところに線を引いていくようなやり方は、地方自治、地方行政にはそぐわないものでありまして、日本国憲法にも平等主義がちゃんと掲げられていて、基本的人権というのは国民の権利ではあるのですけれども、それを広く国民以外にも広げようというのは、国際人権規約とか国連憲章もそうですし、そういうところで定められているところで、いずれ地方の生活者としての住民を誰一人取り残さないという地方の姿勢について、改めて強調できたのはよかったと思います。
記者
ありがとうございます。様々トピックある中で、今ちょっと排他主義、排外主義について明記された部分について触れられましたけれども、今回の宣言の中で、知事としてはどの点に特に注目されておるでしょうか。
知事
「以下の提言について、決意する」と書いた後の提言の、丸で段落を区切っているのですけれども、2つ目の丸で、「人口減少問題を我が国を揺るがす最大の課題と位置づけ、希望ある未来の創造に向け、とりわけ若者・女性の意見に耳を傾け、国と地方が一体となって取り組んでいく」ということをはっきり宣言したところが重要だと思います。
記者
ありがとうございます。最後に、宣言の中には消費税減税のことについても触れられておりました。知事は、これまでも、会見などでも、物価高騰対策としては消費税減税が有効であるというふうな私見も示されておりました。今回知事会での統一見解としての青森宣言ということでしたけれども、この点については今回参院選でも争点の一つにもなっておったところで、この点について、改めて今のところ知事は消費税減税についてはどのような考えを持っていらっしゃるでしょうか。
知事
消費税減税というのは、国民生活を向上させるためには非常に効果的な政策だと思います。食品の消費税をゼロにするとか、いろんなアイデアが出ているのですけれども、それに代わる、国民の消費する力を底上げするための大規模な財政出動というのはほかにもいろいろあり得るのですけれども、そういうのと比較しても、消費税減税というのは今悲鳴を上げざるを得ないような非常に困っている消費者、生活者の人たちにとっては、やはり非常に効果のある政策だと思います。
ただ、消費税の半分ぐらいは地方の財源でありますので、消費税を下げた分、自動的にその割合、地方財政が減るというのでは、地方創生とか人口減少対策とかに正反対、逆行するようになってしまいますので、そこはまさに代替財源といいますか、地方財政にとっての代替財源は確保する必要があります。
記者
私からもアメリカの動きについての質問なのですが、関税ではなくて、ユネスコを脱退すると表明した件についての質問です。まず、知事として、今回の脱退表明についての所見と、あと今後岩手に対してどういった影響があると考えるか。また、世界遺産であるとか、基礎教育であるとか、そういったものを担っているユネスコの役割についてどうお考えかお聞かせください。
知事
過去にもアメリカはユネスコを脱退したことがあって、広く国連の事務局体制に対するアメリカの批判というのは昔からありますし、そもそもアメリカは、どんな小さい国でも一国一票の、そういう多数決で物が決まる国連システムについては、アメリカのような超大国にとっては非常に不利な制度だと思っていて、国連というものに対して批判的になりがちなところがあるのですが、でもそもそも国連をつくったのはアメリカだと言ってもいいわけですし、世界最大の金持ち国になっているわけですから、ユネスコはお金が足りなくて困っていて、世界の文化遺産の保存ということに非常に困っているわけですので、やはりアメリカはユネスコの中にちゃんと入って、そして、その資金を大々的に協力して、世界の文化遺産を守るということに大きな貢献をすべきだと思います。
記者
岩手県への影響というのは今のところ、まだ調査中であるとか、調査に着手していないであるとか、何か動向があればお聞かせください。
知事
直接の影響というのは今のところ思いつかないのですけれども、世界の国々が協力して世界の文化遺産を守ろうと、あと広く教育というものを高めていこうということに世界一の金持ち国が参加しないというのは、様々な影響というのはあるのだと思います。
記者
全国知事会議について伺います。会議では、人口減少の克服を目指した提言で、司令塔として対策に取り組む庁レベルの行政組織の設置を要求する内容も盛り込まれましたが、知事は今回の提言を受けて、国はどう人口減対策に取り組むべきとお考えでしょうか。
知事
例えば地方創生ということを10年間やっている一方で、東京オリンピック・パラリンピックの開催を中心に東京への大きな公共投資が行われていくということがあったので、東京一極集中の是正という目標は達成されなかったのだと思います。広く地域振興という地方行政の部分だけではなくて、産業政策とか、あとはスポーツに関する国家プロジェクトみたいなものも含め、総合的に縦割りを排して、国全体として人口問題に対応していく必要があるのだと思うのです。
特に私が青森での全国知事会議でも発言したことなのですけれども、岩手県の中で人口の少ない町村の転出超過は、県外にはあんまり出ていなくて、盛岡市始め県内の市に転出しているのです。その人口というのは消滅しているわけではなく、盛岡市や県内の市で様々活躍したり、生活したりしているわけで、転入先の市において、転出元の町村と特別の関係を結んで、旅行に行ったり、宿泊したり、物産を購入するとか、そういう形で、それは関係人口を発展させるということであると同時に、地域同士の関係を特別なものにしていくということでもあるのです。これを国全体として、特に北東北は東京の一極集中の求心力で東京への転出超過が多いので、東京の、首都圏の側が積極的に北東北に旅行するとか、物産を購入するとか、首都圏と北東北の特別な関係というものを発展させていく必要があるのだと思います。そういうのは、国全体の中で人口の移動というものを踏まえながら、転出先も転出元も共存共栄できるような、そういう新しい日本のデザインをしていくことで、国策としてやっていくべきなのです。そのためにも、国において司令塔役が必要なのだと思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は8月1日(金曜日)の予定です。
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