令和7年4月25日知事会見記録
開催日時
令和7年4月25日10時00分から11時03分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
本日記者クラブを代表して質問があります。先日知事は政治塾「いわて政友会」の設立を宣言されました。ステートメントも拝読しました。2点伺います。この政治塾が今後、政策集団あるいは政党へとつながるものなのか、これが1点。2点目、知事は5期目で今1年半経過したと思うのですけれども、今回の政治塾が知事の政治家としての活動にどう結びつくのか、今後の活動にどう結びつくのか、この2点を伺いたいと思います。
知事
まず、政治は行政のチェックだというキーワード、これを広めたいと、そして、その考え方に基づく言動が世の中をよくしていくということが広く起きていくようにしたいというのが政治塾「いわて政友会」の目指すところであります。ということで、まずメンバーシップにこだわらないというやり方でスタートし、「政治は行政のチェック」という、そういう考えを共有できるのであれば、皆「政友」という考え方でスタートしております。そういう意味では、メンバーシップというのに基づいている政策集団とか政党とかというものとは違うというところからスタートしておりまして、それがやがて政党とか政策集団になるのかということについては、今はむしろそうではない形でやっていきたいということが眼目です。
それから、政治家としての活動、今世界的に民主主義というのが動揺し、日本国内では日本国内の独特な形で政治が混迷を深めていて、また、岩手県内でも岩手県政においても、「政治は行政のチェック」という考え方に基づけば、だから行政は公正中立でなければならないが、政治はむしろ自由でなければならないという、そういう政治と行政の在り方も見えてくるのですけれども、政治は自由、行政は公正中立という考え方が、いま一つ岩手県政において、いま一つというか、まだまだ浸透していないなという実感を持っていまして、県議会でも知事になった頃から知事というのは選挙で選ばれた政治家でもあるのだから、政治については様々な国政選挙への関与も含め、これは自由にやらせていただく。ただ県行政を公正中立にやりさえすればよいと、何党を支持していないから生活保護の対象にしないとか、何党を支持していないようなところに予算はつけないとか、そういうことをしなければいいのだということをずっと言い続けているのですけれども、それでもまだ何かそれを理解、納得していただいていないというところもあるので、そういう意味で政治とは何かというのを広める、政治とは「行政のチェック」というのを広めるという意味で非常に政治家としての活動の原点みたいなことをやっていきたいなと思っています。
幹事社
分かりました。この件に関して、記者クラブのほうから各社尋ねたいことがあれば挙手してください。
記者
関連して数点伺います。先日の会合のほうで知事の御挨拶のほうでは相手の活動に制限を加えて自分を有利にするような発想は政治にはあってはならないと、そういったことを考える中で設立されたという発言がありましたけれども、今回の設立の背景と理由について改めて伺えればと思います。
知事
「政治は行政のチェック」という分かりやすいキーワードを思いついたということが直接のきっかけです。この「政治は行政のチェック」というキーワードを使えば、今指摘があったような県政の中での知事の政治活動を巡るいろんな混迷した議論を整理できると思いますし、日本の政治の混迷についても、あれは政治とは言えないのだよとか、あれは政治家としての活動には値しない、単なる個人攻撃であったり、単なる金集めだったり、単なる自分の団体の勢力拡大にすぎないと、それはもう政治とは言えないとか、いろいろ分かりやすく整理し、ひいては国際政治に関しても、国際政治でも肝は国際行政というのが健全に発展するように持っていくのが国際政治の肝なので、複数国が共同で法律の下にそういう行政を執行していくという形をつくらずに貿易の問題とか平和の問題とかをやろうとしても、うまくいかないという、非常に今いろんなところで問題になっていることを整理して改善していくのにいいキーワードを思いついたので、これをできるだけ広めて、そして、その考えに基づいた言動を行う人が増えるようにしたいというところがきっかけです。
そして、自分にはそれがやれるというふうに見ていますし、かつ、やりたいと思っていると。自分がやれるし、それをやりたいと思っているのは、これはやらねばならないということで設立宣言に至ったというところです。
記者
ありがとうございます。先ほどもありましたけれども、このタイミングでの設立という意味合いというのは何かございますでしょうか。
知事
思い立ったら吉日ということで、いいものを思いついたので、もうできるだけ早くそれをスタートさせるということです。
記者
最後に、具体的な設立の時期と活動内容についてはどのようにお考えでしょうか。
知事
メンバーシップにこだわらず、「政治は行政のチェック」という考えを共有できれば、その人は「政友」だし、我こそが「政友」という人たちと一緒に勉強会をやったりとか、一緒に活動をやれば、もうそれは活動の始まりでもあり、そういう枠組みをつくったのは4月19日、達増拓也後援会側のイベントで設立宣言をしたと、そして、その設立宣言の紙も配ったということで政治塾「いわて政友会」は設立されたと。設立されたのは2025年、令和7年4月19日だというふうに考えています。
記者
私も具体の活動についてお伺いします。現時点で何か決まっている集会であるとか、例えば運営方針を決める会議であるとか、実際に先ほどおっしゃられた勉強会であるとか、何か決まっているものがあればお聞かせください。
知事
我こそは「政友」という人たちが自由に集まって、あるいは離れていても自由にやり取りして自由にやればいいと思っていまして、政治塾「いわて政友会」設立宣言をX(旧ツイッター)で紹介したら、それに対して自分も「政友」だとか、自分も参加したいとか、そういう反応もあり、そういうふうに実際に「政友」という意識を持った人が出てきたということで既に活動が始まっていると言っていいと思います。ネット上での活動は既に始まっていると言っていいと思います。
あと4月19日の後援会のイベントの会場で、うちの地域で勉強会をやるのもいいなとか、そういう話は出ているのですけれども、まだ具体的にいつどこでやるというのは決まっていません。見通しとしては、何か大きい設立総会のような大集会を盛岡でやるというよりは、盛岡以外のところでも数人でも集まってミニ集会形式で塾の活動、会の活動が行われていくというようなイメージです。
今みたいなこういうやり取りも既に政治塾「いわて政友会」の活動というところもあって、いろんな人が尋ねてきて、そして、その質問に答えるみたいなものも大事な活動だと思っていて、イメージは幕末の勝海舟の塾がイメージですが、補佐する人もいて、定期的に授業のようなこともきちっとやっていたようなのですけれども、それもさることながら坂本龍馬とかいろんな薩摩藩の関係者とかが急にやってきて、それで意気投合すれば、では一緒にやっていこうみたいな感じで、国際情勢とか幕府や各藩の情勢を共有し、そして、日本をこういうふうにしていけばいいのだねということをどんどん活動、そして、それぞれがまた自分のところに戻って、自分の持ち場で世の中をよくする活動を進めていったというような、そういう勝海舟の塾のイメージをまず1つ持っています。
記者
私からもいわて政友会についてなのですけれども、まずいわて政友会という名前ですね、この名前に決めた理由や込めた思いについて少し伺えればと思います。
知事
原敬総理大臣、原敬さんがつくった政党、政友会というのを参考にしています。自由民権運動から原敬政友会というのはできてきているわけですけれども、薩長藩閥政府に対してそういう行政のチェック、行政に対する物申すぞというところから自由民権運動が始まって、議会ができて、そして、議会を通じて行政に対してチェックし、また、行政をコントロールしようと。それが政友会という政党になって、原敬内閣によって政治がきちんと行政を恒常的にコントロールできるような政党政治にして、イギリス型議院内閣制というのが政友会で確立したという、そういう歴史故事を踏まえて「政治は行政のチェック」という考えを共有していく会の名前としてこれがいいなと思って政治塾「いわて政友会」という名前にしました。
記者
ありがとうございます。正式には立憲政友会ということになってくるのですね。あと「政治は行政のチェック」というところで少し伺いたいのですけれども、現状知事のお立場ですと、ある種行政のトップということで、チェックされるという側にもいらっしゃるかと思うのですけれども、その上で「政治は行政のチェック」だという部分についての今の知事というお立場を含めて少し整理して、もう少し御説明いただけたらと思います。
知事
選挙に選ばれた政治家は政治をする人なので、行政のチェックをすると。議員については分かりやすいのですが、首長ですよね。首長は行政の長なのではないのかと、行政をやる者であって、行政のチェックをする者なのかという疑問が湧くのは当然だと思うのですけれども、やはり戦前であれば内務省から県知事は派遣され、まさに行政の長は行政しかしないというふうにやっていたわけですけれども、それは結局法律の執行ということなので、その法律をつくった中央政府の言うなりになるということになってしまいますので、戦後地方自治の時代になって、選挙で選ばれた人が知事になると。これは、やっぱり有権者始め、広く子供も含め、県民の意見を普段からどんどん受けて、やはり行政をチェックするという視点を持ちながら行政の長を務めるという、二重の役割が首長にはあるというのが民主主義の本質なのだと思います。
ですから、実は1期目から、知事になったときから、その前国会議員として結構予算委員会で政府の追及などやっていましたので、その発想で予算委員が岩手県行政について、県民からはこういう声を聞いているけれども、あれはどうなっているのだ、これはこのままでいいのかというように、質問の形で行政を進めていくようなリーダーシップがいいと思って、ずっとそういう気持ち、かつ、実際の運用でやっています。ですから、県行政というのを県民の側の代表の立場で県行政をチェックする視点というのを常に持ち続け、ただ県行政が決定したことについては最終的な責任者という、そういう行政の長としての立場もそれはあるというふうに仕事をし、特に行政の長としては公正中立であることが大事でありますので、そういう意味で政治的な偏りが行政を侵さないようにということで、自分の中で行政の長ということと政治家というもののバランスを取りながらやっているところです。
記者
ありがとうございます。私からは最後になるのですけれども、今後の各所の選挙との関連です。直近ですと、夏に参院選を控えていますし、今後衆院選、2年後には知事選、県議選と巡ってくると思いますが、今後の選挙とこのいわて政友会、どういうふうに関わりであったり活動を予定されていたり、考えていることがありましたら教えてください。
知事
政治は自由でありますので、我こそは「政友」という人が何党を支持してもいいですし、どの候補者を支持してもいいということであります。ともすると日本の政治というのは、そういう実質を重んじるよりは形式、どの組織に所属するのか、そして、どの政党を支持するのか、そうすると自動的にどの候補者を支持するのかという、そういう形式に形式を重ねながら自分を縛って、自由を失うような形で政治に参画する、それはやっぱり嫌だと思う人が多くなるわけでありまして、またそういう形式に縛られて実質を失っていく。極端な例が、自民党さんが与党であり続ければ、つまり選挙で勝ちを続ければ実質は問わない、(旧)統一教会と組んでもいいし、パーティー券で裏金づくりをやってもいいみたいな、実質についてはもう何でもあり、政策についても何でもあり、ただ形式として自民党という形で存続し、与党であり続ければいいという、形式を重視し過ぎて実質が損なわれるというのが日本政治が直面している大問題だなとも思っていますので、まず人々が政治というのは本質的に自由なのだということを共有してもらって、その上で自由に選挙に参加してくれれば、おのずといい結果が出てくるのではないかというふうに期待しています。
記者
私、今の質問に関連して、(いわて)政友会と各級選挙との関わりという部分についてお伺いします。先日の知事の後援会連合会の会合で、知事はこのように発言されていました。「政友」の中では、大政友の一人が横沢さんであり、この夏、横沢さんが大きな活動を多くの人たちと一緒にやって、日本の行政をよりよいものにしていく、そういう大きな勝負をかけていくと。ただ、続けて、「政友」の皆さんもそれぞれ自由に自分がやるべきことを、やりたいことをそれぞれやっていくというふうにおっしゃっておりました。ということは、今回の(いわて)政友会というのは、各級選挙への集団としての関わりは考えておらず、知事は今回横沢さんを参院選で支持するのであれば、個人的に支持されるという、そういった認識でよろしいでしょうか。
知事
基本自由ということでありますので、投票所に行って、投票する瞬間まで自由な状況は続くので、あまりあらかじめどういう形で選挙に関わるのかと自分を縛るような、特に形式的なことにはあまりこだわらないほうがいいのではないかと今は考えているところであります。
記者
私も関連して2点ばかりお伺いしたいのですが、まず先ほど知事が、「政治は行政のチェック」というキーワードを思いついたというお話しされていましたが、これはいつ頃思いついたというお話なのかというのが1点と……またその後で伺います。
知事
これは、父の逝去の関係で忌引休暇、通夜、火葬、葬儀などに専念させていただいて、同時にその間、県議会のほうで知事の政務秘書を巡る議論が続いていたという状況を聞きながら、仏事の関係でありがたいお経をたっぷり連続して聞きながら、先祖のことも含め自分の来(こ)し方を振り返り、人生のことを今まで考えたことがないような形で考えながら、また岩手県議会の状況がそういうふうだという、そういうときに思いついたものです。
記者
すると、これまで長く考えてきたということではないということですか。
知事
ただ、そう思いついたときに、今まで自分が言ってきた政治は自由、行政は公正中立ということの根拠にもなる考え方だし、また、自分が今までやってきたことを一言で表すような言葉でもあるし、今まで自分が学んできた政治学とか国際関係論とか、それらとも合致する内容なので、これは多くの人に広め、そして、多くの人がその考えに基づいた言動をするようにということで、自分が活動するに値するというふうに考えたところです。
記者
分かりました。あと、もう一点伺います。今までのお話で、形式という言葉をおっしゃっていましたけれども、あまりこだわらないみたいなことをおっしゃっていたようですが、設立宣言を拝見すると、代表は知事がお務めになるということのようですが、まずそれでよろしいのかということを伺いたいのと、それから、さはさりながら、先ほどから聞いていますと、とてもふんわりした、形とかにとらわれないみたいなお話のようですが、例えば本部というか事務所というか、そういったものをどこかに置くのかとか、誰か事務局みたいなところをどこかに置くのかとか、そういう組織的な話ですね、そういったことについてはどうお考えでしょうか。
知事
形式についてはこだわらないので、今質問があったようなことについては、政治は自由なのだということで、いろいろネット上の反応とか、あと岩手県内の周りの人たちの反応など、そういった中から実質的に活動が始まり、広がっていき、その活動をやっていくに必要な範囲内で形式的な部分が整えられていくのかなと思っております。
記者
そうしますと、設立宣言を読むと、何となくそうかなと思うのですけれども、「政友」というふうに自分が思えばもう「政友」だという、そういうことなのでしょうか。
知事
ええ、もう本当にそのとおりですので、今ここにいる皆さんも心の中でそう思えばそのとおり。ただ、それを今ここで明かせなどと、内心を外に出せみたいな、そういう不自由なことは私は言いませんし、そういう強制というのは自由の正反対なので、ここでは言わないわけでありますけれども。
代表ということについては、「政治は行政のチェック」というのはどういう意味かというのに答える係の人はやっぱりいたほうがいいし、何かやろうというときに、私の知らないところでどんどん活動する人がいたり、私の知らないところでどんどん組織化が進んでも全然構わないのですけれども、ただ逆にそういうことというのはそう簡単に起こらないので、大体我こそは「政友」、何かしたいという人が連絡したい先として私がいるということが、活動が盛り上がり、広がるためにはやっぱり代表という存在がいたほうがいいと思って、そういう役割を設けたという感覚です。
記者
分かりました。そうすると、連絡先みたいなものは知事の後援会ということになるのですか。
知事
どこでもよくて、まちを歩いているところに声をかけてもらってもいいし、ネット上でのやり取りでもいいし、どこでなければ駄目ということはなく、欧米だと結構政治家に手紙を書く、そして、それに政治家が返事を出すという習慣が一般の人たちと政治家の間にあったりし、本当は手紙のやり取りというのが結構自分の考えをきちっと正確にまとめて、相手に伝えて、相手もよく考えて返事を出すということで、それは県庁の住所が一番分かりやすく、県庁の住所に書いてもらえば、すぐ私はそれを読むことができる状況にあるので、そういうことで連絡したい人は連絡してもらえればいいと思います。
記者
いろいろお話を聞きました。あと、4月19日の場にはいませんでしたが、そうすると県議会の中で政務秘書の問題を始め、それに対して指摘をする勢力あるいは議員たちにも政治は自由、行政に関しては公正中立だということを浸透させるためにこの政治塾を立ち上げる、そういう趣旨なのでしょうか。
知事
およそ政治家を名のり、また、政治をなりわいとして、そして、日々自分の時間を政治にささげたいと思っている人であれば、誰でも「政治は行政のチェック」という考えを持って、そして、政治は自由、だからいろんな考えの人、いろんな意見の人がいて、ただそれは「行政のチェック」として行われるわけなので、県行政とか国の行政、また、市町村行政とか国際行政もあるのですけれども、そういうところに対してああすべき、こうすべきという、それはいろんな考えがあるから、自分ないし自分たちと違う意見もいっぱいある。それは同業者というか、同じ行政をチェックしようという同じ志を持った仲間がそれぞれ分担して仕事をしているようなものなので、だからお互いの政治活動はやっぱりお互い尊重し合おうではないかと。法律に反していないのであれば、基本極力自由にやるべきものだし、そして、自分たちの仲間が増えることだけではなく、ほかの自分と考えの違うところの仲間が増えることも政治全体にとってはいいことなので、それに対して直接それを妨げるようなことは、やっぱりしては駄目だなという考えを持って政治を行い、行政のチェックに専念してもらえば、世の中どんどんよくなると思っています。ただ、それを強制はしません。あくまで自由に、主体的にそうなるかどうかという、そういう考えを持つか、そういう考えに基づいた言動をするかというのは、本人の主体性、自由の問題です。
記者
政務秘書に関して追及するほうの会派だったり議会議員の方たちも、「政治は行政のチェック」という趣旨でやっているのかなと受け取っておりますし、民主主義ということで言えばいろんな意見があって、当然批判だったり論戦というのはあることなのかなと思っておりますので、その意味では今回の政治塾の立ち上げが、今私が質問したことに対して知事がおっしゃったようなことを抑制あるいは改善するようなものにつながるのかというのがなかなかイメージできませんでした。その点はいかがでしょうか。
知事
まず、内容の話からいきますと、政治家の発言が全て政治活動ではないわけで、「行政のチェック」になっていなければ、それは政治家が政治とは別の何かを語っているということで、日本のあちこちで、ある大きい都道府県で政務秘書が特定の企業と癒着して、その企業が都道府県の行政の中でひいきされているのではないかという、まさに都道府県行政の在り方をチェックする一環として、政務秘書問題を取り上げた議会での発言というのをネットで見たことがあります。それは、「行政のチェック」だと思いますが、そういう行政の問題と離れて、およそ一般的に政務秘書というのは要らないのではないかとか、およそ一般的にそこに公費を出す必要はないのではないかというのは、そもそも今それを認めている法律の趣旨に反することでもあるとずっと言い続けていたし、それは政治とは言えないと私は思います。そういう意味で、「政治は行政のチェック」という考えがきちっと広まれば、というのは「行政のチェック」というのは、人々の生活に直接関わることなわけです。行政がねじ曲げられると困るのは人々ですから。特定の企業がひいきされ、行政の中立公正がねじ曲げられて困るのは人々だから。でも、そういう行政と離れて知事の仕事の仕方がどうだとか、政務秘書の存在がどうかというのは、人々の生活に直接関わらない。だから、「行政のチェック」ではないような言動というのは、政治ではないと私は言っているわけです。そういう考えが広まると、およそ政治家の活動は「行政のチェック」イコール人々の暮らしに直接関わる部分に集中することで、世の中をどんどん改善、改良していくことが進むと私は期待しています。
記者
加えて、そういう筋の違った議会での論戦みたいなものはなくなっていくという、そういう認識が変わっていくというふうに、この政治塾の立ち上げによってつながるというふうにお考えでしょうか。
知事
西郷隆盛も人間一人にやれることはたかが知れていると言っているのですけれども、私は究極的には自分のやることしかコントロールできないと思います。自分以外の人がやることというのは、結局その人が決めることなので、私として考えてやっていかなければならないのは、せっかく「政治は行政のチェック」という有用な考え方を自分の中に持つことができたので、それを多くの人と共有していくということが自分にやれること、やりたいこと、だからそれをやらなければならないという、それだけです。マックス・ウェーバーでいう政治に関しては、動機における正当性と、結果における正当性と、両方あると言われているのですけれども、こと政治塾「いわて政友会」の設立というのは、結果もさることながら、動機の部分を重視している、マックス・ウェーバー的にはそういう説明になります。
記者
すみません、ちょっと振り出しに戻ってしまうのですけれども、設立のきっかけについて、知事の言葉を借りれば、自由ではない政治、公正中立ではない行政があるから設立に至ったのだというふうに私は理解して解釈したのです。では、それは一体何なのだと、もう少し具体的に、政務秘書の問題なのか、ちょっと理念が先行していて、具体的に私はここに引っかかったから設立したのだみたいな、もう少し具体的に御説明いただけますでしょうか。
知事
今の段階では、設立宣言とか、あとブログに書いて、X(旧ツイッター)で読めるようにしてあるオピニオンなどの内容では、今質問にあったように、そういう問題が日本政治にあるし、国際政治にもある、県政にもあるという抽象論にとどまっているのですけれども、今は抽象論に留めたいと思います。これは、それぞれ論点ごと、問題ごとにそれを追及したい人との関係の中でお互いに情報を共有し、そして、意見交換しながら整理していくやり方で、それぞれの問題に当たっていけばいいと思うので、今は抽象的、不特定多数に向けた発言としては抽象レベルに留めさせていただきたいと思います。
記者
それだと、不特定多数の人の心に響かないのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
知事
でも、結構X(旧ツイッター)では好意的なコメントがあり、あとインプレッションも結構何千、1万までいったかな、増えているので、まずは今はこういう感じでやっていきたいと思っています。あとは、4月19日の後援会のイベントでも反応はよかったので、まず今はこれでいきたいと思います。
幹事社
この件に関して、よろしいですか。では、ほかの質問、自由にどうぞ。
記者
すみません。新型コロナの5類移行から間もなく2年を迎えるのですけれども、この間の県内の観光産業あるいは経済活動の現状について、知事はどのように見ていらっしゃるか。そして、課題などの認識、課題等があれば県としてはどのように対応していくお考えなのか、お伺いできればと思います。
知事
基本的に観光経済は、コロナをめぐる様々な制限がなくなって、順調に回復していると言っていいと思います。インバウンドについては、コロナ前よりも増えているという状況です。お花見とか歓送迎会とかをやらない事業所が多くなった、コロナ前に戻っていないということはあり、そこの行動変容ということです。行動変容がいろんな分野で起きていて、婚姻数の減少とか、そして、そこから出産数の減少とかにもそういう影響があるのではないかという指摘もあるわけで、そういうふうに経済活動、社会活動を縮める効果が残っているという部分はあると思います。
コロナがなくなったわけではなく、県も1週間に1度感染状況を発表していて、そして、この2年間の間にやはり注意を要する、警戒を要する水準まで感染者が増えたときなどは、ちゃんと保健福祉部長とか担当の課長とか、県からも呼びかけをするようなことがありました。県民の皆さんもそういうところ注意しながら、予防を強化すべきときは強化するという場面、場面に応じた感染対策というのを2年間続け、今もやっていただいていると思います。そういう感染対策を場面、場面しっかりやれば、経済活動、社会活動はどんどんやりましょうというのが基本的考え方だと思いますので、いろいろコロナ前に比べて縮んでいる経済活動、社会活動については、もっとやっていいのではないですかということを呼びかけたいです。婚姻とか出産に関わる部分については、特に呼びかけたいと思います。
記者
先ほども少し出ましたが、任期満了まで3か月を迎えた参院選について伺います。出馬を予定している立憲民主党の横沢高徳さんが初当選した6年前の参院選では、知事が支援された経緯があります。今回の夏の参院選について、御対応を現時点ではどうお考えでしょうか。
知事
自由にやらせていただくというふうにお答えしたいと思います。
記者
現時点では未定だという捉え方でよろしいですか。
知事
国政選挙については自由にやらせていただくというのは、過去も使ったことがあるフレーズではあるのですけれども、まず今自分として言えること、言いたいこと、言うべきこととしては、自由にやらせていただくということに留めたいと思います。
記者
大船渡の山林火災、2か月になろうとしております。県営住宅への入居も始まるということのようでございますけれども、2か月迎えて復興に向けての状態といいますか、現状についての御認識、あるいは補正予算などありましたけれども、その後お考えなど、また、新しいものとかありましたら教えていただけないでしょうか。
知事
まず、昨日の消防庁のところでの調査や会議などの関係の報告で、2時間で600ヘクタール延焼したという、岩手県は釜石で約400ヘクタール、そして、その後宮古で180、200(ヘクタール)、そのくらいの面積の大規模な林野火災を経験しているのですが、2時間で600(ヘクタール)というのは普通の山火事ではない大災害と、大規模な自然災害と言っていいものだと思います。ですから、それだけの破壊があり、また、犠牲になられた方もいらっしゃるということで、そこからの復旧、復興については、本格的に取り組んでいかなければならないと改めて思っています。生活の再建やなりわいの再生に関して、まず被害の状況が把握でき、そして、こういう支援があれば復旧、復興に向かえるという部分について、県も2度の補正予算を編成しているところでありますけれども、まだ森林被害など、調査が本格的にはこれからという部分もありますし、生活やなりわいに関しては、その影響、困っていることというのが今後見えてくるところがある可能性もあります。そういったところにきちんと、何もしないで放っておくということがないように、県としても市や国、様々な関係者と連携しながら対応していきたいと思います。
記者
ちょっと堅い話題が続いたので、柔らかめの話題を。本県出身の大谷翔平選手、御自身のSNSでお子様が生まれたと発表されました。その件について、何か祝意であるとかコメントがあればお聞かせください。
知事
大変おめでとうというふうに私からも祝福したいと思います。出産の際に休暇を取ったのもよかったと思います。そして、やはり岩手県民が楽しみにしていたことでもありますので、赤ちゃんが生まれましたということで足の裏の写真を発表してくれたというのも非常によかったなと思います。ニュースを見ていたら、日本の人で「野球と子育ての二刀流を頑張って」と言っていた女の子がいたのを思い出しますけれども、大谷翔平さんの人生の中で野球も家族も大事だと思いますので、両方うまくいくように期待しています。
記者
ありがとうございます。それでは、話題替わります。明日開所します北上市における半導体関連産業人材育成施設についてです。当日も式に出席されるようですが、知事としてこの施設に期待すること、現時点であればお聞かせください。
知事
これは長年にわたって岩手県として半導体関係の産業界と、そして、大学など研究教育関係の皆さんと、いわゆる産学官連携しながら半導体産業振興に取り組む中で、今こういうのが必要ということで、みんなで力を合わせて立ち上げる人材育成施設、まず必要なものなので、これの開所によりまして、人材育成がスムーズに進んで、岩手の半導体産業が更に発展することを期待いたします。
また、全国に例がないような施設ですし、製造業の強化を図りたいアメリカにとっても参考になるのではないのかなと。半導体分野というのは、何か安全保障の観点から米中の関係などで非常に国と国が対立するような分野みたいなイメージもあるのですが、むしろ非常に国際分業とかサプライチェーンの国際化が進み、各国、力を合わせて発展させていく分野であるというのが本質で、岩手でもキオクシアさんはサンディスク、ウエスタンデジタルでもあるのですが、今はサンディスクと連携してやっているわけで、今のトランプ関税問題でも本質的にはアメリカ製造業を発展させたいということなのでしょうから、そういうところにまで役に立つような、海外からも視察が来てもいいのではないかなというような思いで、明日は開所に向かいたいと思います。
記者
先日、改正鳥獣保護管理法が参(議)院で可決されまして、秋には市町村の判断で市街地での猟銃の使用が許可されるということになります。国はそれに向けてガイドライン等をつくるようですが、クマの出没、今年も直近でも起きておりますが、県として何か市町村に助言、指導等する予定、あるいは安全面に対して何か対策を講じる予定があれば教えてください。
知事
これは市街地にクマが出没し、そして、それを放っておくと非常に危険で、人的被害のリスクも高く、一方、それを捕獲しようとしても、それがまた非常に危険で、捕獲しようとする人たちの命の危険もあるというようなときに銃を使える可能性をちゃんと法律で認めるということで、クマ対策をよりしっかりやっていける法的基盤が進んだなというふうに思っています。ただ、法律ができただけでは駄目で、円滑な運用に結びつけるには、やはりガイドライン等の整備が大事ですので、国におけるガイドライン等の整備に期待したいと思います。
また、先頃盛岡市内のお寺に出たクマは、比較的小さく、逃げるばかりで人間側のほうに襲ってこないで、逃げた末に木に登ったというようなことで、麻酔銃(吹き矢による麻酔)で眠らせて山に帰すことができたわけで、やはり野生動物とは共生するのが基本なので、そういうことが安全にできるのであれば山に帰すということができればと思っています。ただ、ああいう場合だけではないので、住民に危害を及ぼし、捕獲しようとする人たちにも危害が及ぶ危険がある場合には断固たる措置も取るという形ができてよかったと思っております。
記者
その上で、ガイドラインをつくるということなのですけれども、岩手県の市町村でもまた市街地というか、盛岡市のような場所だったり、あるいはほかの市町村でいろいろ事情があります。あと許可をされるのですけれども、ハンターの方たちにとっても非常に心配な部分があるのかなと。今まで警察の依頼を受けて猟銃の使用ということがありましたけれども、市街地で人がいるかもしれない場所で撃つということのリスクということで、ハンターの方も非常にリスクも負うのかなと思うのですが、その点に関して岩手県独自で、あるいは岩手県の特性、特徴を踏まえた上で何か県として指導、助言する考えがあるかどうか、その点をお聞きします。
知事
盛岡市で既に市街地でのクマ対策訓練をやった実績もありますし、県としては市町村や猟友会、警察と連携した体制づくりを進めていきたいと思います。
記者
国のほうのガイドラインはまだこれからつくるということなので、例えばガイドラインの中で先ほど申し上げたような市町村の特徴とか地理的なものとかで何か足らざるところがあれば県として何か補足して市町村をサポートしていくような、そういう手だてを講じる方針というか、構えがあるかどうかというのはいかがですか。
知事
岩手でのクマ事情やクマ対策事情に詳しい方も国のガイドラインづくりに参画していると記憶しているところもあり、現場の実態を踏まえたガイドラインづくりはされるのだと期待はしているのですけれども、随時質問があれば答えるし、そこはこうしたほうがいいということで何か気づく点があれば指摘したいと思います。
記者
私からもちょっと参院選に絡んで1点お伺いします。参院選に向けて物価高騰などへの対策として、与野党問わず消費税減税論が出ているようです、賛否はあるようですが。知事はこれまでも折に触れて、危機的状況下では消費税を減税すべきとの主張を期間限定も含めてですが、されていました。与野党問わず高まりつつあるというのが一つここ数年では異なる状況かと思いますが、現状に対する所感をお聞かせください。
知事
全国知事会として消費税減税に慎重なスタンスがありまして、ここから先は個人的な考え、全国知事会の役を離れた個人的な考えになりますけれども、アメリカが製造業の衰退で経済的な格差が拡大し、経済や社会の分断が進んでいるという悩みに直面しているのと同じくらいの深刻さで日本は実質賃金がずっと上がらず税負担、社会保障負担が増えるから可処分所得がむしろ減っていくということで、そういう経済の停滞の中で人口減少が加速しているという、これも国難というふうに言われているわけでありますので、人々の消費力を高めるというのは喫(きっ)緊の課題、国難を克服するための一丁目一番地と言ってもいいと思うのです。それで消費力を高めるために消費税減税か、あるいは給付を行うかとか議論があり、大所高所から言えば消費力が高まりさえすれば、特に困っている人たち、やっぱり若い世代が社会活動、経済活動を縮めて婚姻数、出産数の減少にもつながっているのではないかという、その辺りは強力に消費力を高めていかなければならないと思います。
あと、消費税減税反対の議論の中で、ちょっと見過ごされているなと思うのは、日本は消費税に非常に弱い経済構造と言っていいと思うのです。アベノミクスという10年の間に金融面ではものすごくお金がどんどん市場に流れて、利息なしでお金を借りて、経済活動や投資活動のパラダイスのような状況があったにもかかわらず、消費税率が段階的に上がっていくことで、景気はさっぱりよくならなかったということがあります。日本経済というのは、基本的な力がすごく弱いのだと思います。消費税率がちょっとでも上がると人々は消費を萎縮し、人々の消費の萎縮を予想して企業も投資を控えて経済全体が縮むという傾向、そういう消費税に弱い傾向があると。欧米など違う国では、多少消費税率が上がってもとか、高い消費税率の下でも使うものは使ってしまうとか、買うものは買うみたいな、その辺の態度が日本の場合全然違うので、そういう意味では消費税率を引き下げるとか、消費税減税をするとかということが消費の回復、そして、消費力を高めることにほかの国以上に役に立つ可能性があると思います。そこはあまり指摘されていないので、この機会に指摘しようと思います。
記者
ありがとうございます。先ほどの質問で参院選の関わりについてお話ありました。この消費税の減税という部分も御自身の参院選の例えば政党の支持だとか、候補の支持だとか、そういったところの見方というか、選択肢というか、そういったものの一つに入ってくるでしょうか。
知事
ただ、失われた30年ということで、また、特に直近10年のアベノミクスの失敗ということに関しては、大体どの政党も共同責任というところがあると思います。消費税増税に強く反対し、今でも消費税はそもそもないほうがいいという主張をしている政党もありますが、ただその政党は勢力が小さくて、その考え方を広く広められなかった責任というのもやっぱりあるのだと思います。結果として経済の停滞と少子化が進んだことに対しては、全ての政党にやはり責任があると思っているので、やっぱり今までやってきた、そういうまさに「行政のチェック」ですよね、それは与党が駄目だったということもありますけれども、そこを大きく変えられなかった、変える方向性をつくれなかった野党の側にもやっぱり責任はあるので。
今回の参院選、そういう今までのことをちゃんと反省して、生まれ変わる勢い、去年の衆院解散総選挙のときも生まれ変わり競争だと思っていたのですけれども、どの政党がどれだけ生まれ変わって、過去と違う、ちゃんと国民に責任を持てる、そういう行政を実現できる政党になるかの生まれ変わり競争だと思っているので、今回も政策論争という形式にこだわることで、そういう過去を振り返ることがおざなりになり、変えるべきところを変えられなかったのが直近10年、過去30年の失敗でもあるので、今回はそういう今までやってこなかったことを今突然やると言われてもなという。だから、政策論争自体、ちょっと眉に唾をつけながらではないと聞けないなというところもありますし、でも本気で生まれ変わってそうするのだというなら、これはまた別なのですけれども、そういう政党としての生まれ変わり競争のようなところをしっかり見ていきたいと思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は5月12日(月曜日)の予定です。
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