令和7年5月12日知事会見記録
開催日時
令和7年5月12日15時30分から16時06分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表が4件あります。それでは、知事お願いします。
知事
まず、令和7年度の県勢功労者を決定いたしました。岩手県私学協会会長、私学教育の振興に貢献された小田島順造(こだしま じゅんぞう)様。元岩手県地域婦人団体協議会会長で、女性団体の連帯による地域づくりや社会教育の推進に貢献された及川公子(おいかわ きみこ)様。元岩手県収用委員会会長代理で、公共事業の推進に貢献された小泉寛(こいずみ いろし)様。元岩手大学学長で、高等教育の振興に貢献された岩渕明(いわぶち あきら)様。そして、元岩手県食生活改善推進員団体連絡協議会会長で、食生活改善などの健康増進に貢献された中軽米こう子(なかかるまい こうこ)様です。5月26日に表彰式を行います。
2番目の発表事項は、知事の中国出張についてです。5月14日から18日まで中国大連市を訪問します。大連市が主催する大規模な国際文化観光イベント、アカシア祭りの開幕式に出席します。日本の地方自治体を代表して挨拶をする予定です。また、大連市の求めに応じまして、大連市栄誉市民講演を行います。大連市栄誉市民は、昨年5月に大連市人民政府からいただいているものです。また、大連市政府関係者等と会談するなど行いまして、大連市との友好協力関係を強化し、県産品の輸出拡大やインバウンド需要の拡大につなげてまいります。
3番目、第81回国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会「大会愛称・スローガン」の募集についてです。令和9年2月に本県で開催予定のスキー競技会の大会愛称とスローガンを募集します。愛称とスローガンとありまして、大会愛称は親しみやすく呼びやすいスキー競技会の愛称。スローガンは、スキー競技会への思いや期待を印象づける言葉、キャッチコピーです。たくさんの御応募お待ちしております。
4つ目、ILC(国際リニアコライダー)実現に向けた合同要望活動の実施について。明日5月13日、ILC実現に向けた合同要望活動を実施します。政府の前向きな判断を後押しするため、岩手、宮城両県、関係市、経済界、学会の代表者が一丸となって政府に対する働きかけを行います。東北規模の合同要望としては、令和元年度以来6年ぶりとなります。要望内容は、1、政府全体での誘致を推進していただきたいということ。2、国際的な議論の推進をしていただきたいということ。3、国際共同の研究に資する予算を措置していただきたいということです。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
質問の前に、記者クラブへの転入者を紹介します。転入した記者から一言挨拶をお願いします。
(記者紹介)
幹事社
それでは、ただいまの発表事項4件について各社から質問があればお願いします。
記者
私から2点お伺いいたします。まず、本年度の県勢功労者について伺います。今回受賞される5名については、様々な分野で貢献された方々ということで、知事としてもお一人お一人への思いがあると思いますが、受賞に関してまず知事からねぎらいの言葉をいただければと思います。
知事
小田島順造様には、岩手県私学協会会長を長年やっていただいておりまして、近年の私学の振興、生徒たちの活躍、卒業生の活躍ということにつながっていると思っております。
及川公子様には、岩手県地域婦人団体協議会会長など県内女性団体のリーダー役、そして、リーダーの育成をしていただいて、東日本大震災の後、現地で陣頭指揮を執って、沿岸地域の婦人団体と連携して被災者支援に尽力していただきました。
そして、小泉寛様は岩手県収用委員会会長代理として、やはり東日本大震災のときに沿岸部の土地利用ということが大きな課題となる復旧から復興へのプロセスの中、委員会審議で主導的役割を果たしていただきました。
岩渕明様は、長年にわたり岩手大学学長を務められ、岩手の学問の振興に大きな貢献をしていただきましたし、県の総合計画審議会の会長、復興委員会委員長、そして、いわて未来づくり機構ラウンドテーブルメンバーと、県の重要な会議をリードしていただいて、東日本大震災からの復興や、いわゆる地方創生という時代の県の政策推進について指導していただきました。
中軽米こう子様は、岩手県食生活改善推進員団体連絡協議会会長として、食また食育を通じ、東日本大震災の際にも全国からの支援物資を現地に供給することに力を尽くしていただきましたし、岩手の郷土料理の伝承等を通じた交流事業を通じて被災者の心のケアや栄養改善にも貢献をしていただきました。そうですね、この近年の岩手県の直面した重要課題や、また、岩手県の発展、うれしいニュースについて力を尽くしていただいた皆さんであります。
記者
ありがとうございます。次に、ILCの要望について伺います。来年に更新が見込まれる欧州戦略でしたり、あと中国のCEPC(シーイーピーシー:円形電子陽電子衝突型加速器)と、本年度は大きな動きが想定されます。ILCの日本誘致の現状を知事はどのように分析されていらっしゃいますでしょうか。
知事
今年は、欧州ヨーロッパでの議論がひとつ重要決定に向かうということで、その中で日本の果たすべき役割というものも議論されていくので、ILCにあたることを、それはヨーロッパがやりますというような方向に行くのか、それともやはり日本でILCをやってもらうということが前提になっていくのか、そういう重要な議論が行われるところですので、日本においてILC実現に向け、研究者の皆さんや、また、地元地域、関連する様々なところからILC実現への意思を示していくことが重要であり、そして、それを受けて、政府のほうで必要な検討が行われ、また必要な予算措置が行われるということが重要だと思います。
政府における検討の作業や予算措置というのは今までもあるのですけれども、やはり更に力強いものが欲しいということで、今回久しぶりの東北規模での大勢による合同要望をするということであります。
記者
ありがとうございます。その要望、先ほどの御発言のとおり宮城県や誘致関係団体と連携したものになります。地元として、ILC誘致の実現に向けて、知事としてどのような決意で今後の働きかけだったり準備を進めていきたいのかお聞かせください。
知事
科学の進歩ということが研究者の皆様はもちろんなのですけれども、地域で暮らし、地域で働く普通の人たちもそれを望んでいるのだということ、それにふさわしい、研究にふさわしい、施設を建てるのにふさわしい、そういう土地があるということであれば、その土地を活用していただくこと、また、それに必要な様々な研究者の皆さんが住む場所でありますとか、造るために必要ないろんな工事の段取りをサポートするような地元の体制でありますとか、そういったことを地元としてしっかり進めていきますよということを示していく、こういったことが重要と考えています。
記者
中国の出張の件なのですけれども、この出張期間の中でトップセールスや観光誘致などといった動きというのはしていく予定はありますでしょうか。
知事
大連アカシア祭りというのは、毎年行われている国際的な文化観光イベントで、大連市の中のみならず、広く中国全体や、また、世界中から観光文化、文化や観光の関係者が集まってきますので、まずは開幕式での挨拶というのは岩手の物産や観光をアピールするのに非常にいい機会を与えてもらったと思っております。開会式以外にも関係者といろいろ懇談する場とかありますので、そういった機会も利用してアピールをしていきたいと思います。
そして、大連市栄誉市民記念講演もその中身のかなりの部分は岩手のPRになりますので、これも大連という場で発信することで広く中国に広まっていけばいいなということを期待しています。
記者
特に岩手の物産、様々PRするものあるかと思いますけれども、特にどういったもの、幾つか挙げられるとすればお願いできますでしょうか。
知事
中国は南部鉄器始め、岩手の工芸品が結構売れますので、そういった工芸品、それから岩手の食ですね、その辺を力を入れてアピールしたいと思います。
記者
中国への出張について私からも1つ質問させていただきます。昨年度は、上海便の再開に向けて上海の航空会社を訪問されたかと思います。今年1月、2月には期間限定で運航を再開して、約8割の利用率でしたけれども、再開に向けた働きかけというのは、今回の出張で予定されていますでしょうか。
知事
私が上海まで行って航空会社を訪問するとかという日程はないです。上海の航空会社は東京にも事務所がありますし、そことは県の担当が常にやり取りをしておりますし、今年の冬の再開は非常に評判もよかったということなので、来年引き続き、また、更に多くやっていただきたいということは県から航空会社のほうに伝えているところです。
記者
ILCについてですが、6年ぶりですかね、今回また大がかりな要望ということですが、知事として一番これを直接伝えたいというところ、要望3つ挙がっていますが、それも含めてですが、一番伝えたいところというのはどういうところになりますでしょうか。
知事
最初のそもそも論ですけれども、基礎科学の進歩というのは人類共通のテーマで、日本がその中で重要な役割を果たすことは、もうこれは当然のことだということと、そして、世界の研究者が日本、素粒子物理、加速器科学に関しては日本に次のILCを期待しているということで、やはりこれを世界の期待に応えて実現することが日本が本来のあるべき姿を取り戻していく第一歩になるのではないかということからまずやっぱり伝えていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。復興庁だったり自民党本部、文〔部〕科〔学〕省等、回る先が様々ありますが、伝える内容というところは変えたりとかということになるのでしょうか。
知事
さっき話した1、政府全体での誘致を推進していただきたい。2、国際的な議論の推進をしていただきたい。3、国際共同の研究に資する予算を措置していただきたいという、この3つを基本的に伝えて歩くということになると思います。
記者
中国出張について併せてお伺いしたいと思います。知事の記念講演、あと3日目の円卓会議に出席調整中とありますが、こちらそれぞれ講演、意見交換のテーマなど決まっていれば教えてください。
知事
大連市栄誉市民講演は、岩手県が大連に事務所を構え、そして、長年にわたって交流事業やビジネス関係の事業を積み重ねてきているという、そういう過去の歴史を振り返りながら、今の岩手県の経済産業関係の現状を中心に今の岩手というのを紹介し、そして、お互い協力できるであろうこととか岩手の物産、観光を活用してほしいというようなことを話す予定です。
そして、円卓会議というのは過去やったことがなくて、やるとすると、今回初めてになるのですけれども、内々、何かしゃべらせてもらう時間はもらえそうなので、そこでも大連市栄誉市民記念講演の内容をうんとコンパクトにしたような、大連市との関係の歴史部分はカットして、岩手の説明、紹介をやりたいと思っています。
記者
もし開催されると、世界各地から友好都市の方々が集まるという、首長さんたちが集まるということなのですが、どういったことについて意見交換できればなという思いがありましたらお伺いいたします。
知事
アメリカやイギリス中心に欧米のメディアで盛岡市が取り上げられたり、みちのく潮風トレイルが取り上げられたりとなっているのですけれども、アメリカの新聞を読めとかいう調子で話をするのではなくて、一般的にアメリカや欧米のみならず、日本への外国人観光客の数というのはここ10年、20年で見たときに、どんどん増えています。そして、来た人たちは日本を嫌いになって帰る人はほとんどいなくて、日本を好きになって、帰ってからも日本食が食べたいとか、そして、また日本に来たいとか、その中でどんどん地方への関心が高まってきて、地方への外国人観光客も増えているというようなことを紹介して、そういう地方の中でも岩手はまた一段と注目されていていいですよというようなことを話せばいいかなと思っています。
幹事社
それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
昨日、立憲民主党県連の定期大会が開かれました。開催前に、立〔憲〕民〔主〕党本部の小川幹事長に対して知事から要望書を交付されたと思います。大船渡市の林野火災からの復旧、復興支援等、様々な要項、項目が盛り込まれておりますけれども、交付後の意見交換では具体的にどういったやり取りがあったのかお聞かせください。
知事
東日本大震災津波からの復興関係、そして、大船渡林野火災関係プラス地方創生関係と、そして、病院の危機ですね、その中でも特に公立病院の危機ということを要望しまして、簡単に説明しました。小川幹事長からは、それぞれ重要なテーマで、岩手県がそういう課題に直面しているということがよく分かったし、また、日本全体にとっても重要な問題であるので、大船渡の林野火災も含めて、この日本全体としても重要な問題なので、党としてもしっかり取り組んでいくという趣旨の発言がありました。
記者
ありがとうございます。県連大会のほうでも知事御出席されて、御挨拶のほうでは先日立ち上げられたいわて政友会の御紹介もありました。立ち上げから間もなく1か月になりますけれども、現時点で例えば勉強会であったり、具体的な活動が決まっていましたらお聞かせください。
知事
この間、まず政治塾「いわて政友会」設立宣言というパンフレットの文章をいろいろブログでも読めるようにしたり、X(旧ツイッター)でも見られるようにしたりして、その説明も添えたりするなどして、広く受け止めてもらっているかなという手応えはあります。リアルで人が何人か集まって勉強会をするという予定はまだありません。
記者
ありがとうございます。話題変わりまして、大船渡市の林野火災について伺います。現地では、依然として観光需要の回復が大きな課題とされております。4月の1号補正予算でも大船渡市への支援策が盛り込まれておりますけれども、県として今後観光キャンペーンであったり、取り組んでいきたい支援について知事の御所感を伺えればと思います。
知事
まずは、さきの補正予算で議会に承認いただいた観光支援予算を活用していくということだと思っております。その中で、大船渡市としての戦略も形になっていくと思いますし、岩手県も広域的にみちのく潮風トレイルの活用でありますとか、三陸鉄道とその沿線の振興でありますとか、そういう大船渡市に関わる観光振興策というのは、こういう火災がなくてもいろいろありますし、今回の林野火災を念頭に置きながら、意識しながら、大船渡市の戦略とうまく相乗効果があるように、県の施策も展開していきたいと思います。
記者
ありがとうございます。最後に、被災木の活用について、前の会見のほうで知事からの言及もありましたけれども、現状例えばこういった活用策であったり、伐採後のいわゆる利活用の部分で進展がありましたら伺えればと思います。
知事
前答えたときに、発電の燃料に使うというようなことを答えた記憶がありますけれども、その頃そういうバイオ発電に使いたいという提案があるという、それ以降はまだ特に報告を受けていません。
記者
田植の時期となりましたが、お米の販売価格は高値が続いている状況になっています。2月の会見で、政府が備蓄米21万トンを市場に放出するという方針を発表したことを受けて、知事は買占めなどが起きない限りはうまくいくと思うとおっしゃっていましたが、今も高値が続く状況についてどうお考えでしょうか。
知事
じりじり高い値段、より高い値段、どんどん高くなってきていて、これは生産者が多く、生産量も多い岩手県としては、高い値段でお米を買ってもらえるというのはありがたいことではあるのですけれども、高くても売れるという、買ってもらえるという状況があって、更にまた少しずつ高くなっているということが今起きているのかなと思います。ちょっと正確な数字ではないのですが、5キロ当たり4,000円を超えると、もう幾ら高くなってもそれは生産者に高くなった分のお金が回ってくるわけではないので、4,000円を超えない、どのくらいの価格がいいのかということを国でもちょっと考えていただくといいのかなと思います。生産者が生産を続けるのに必要な価格、そして、消費者としてやはりこのくらいの値段、これ以上高いと困るというような値段を折り合えるような価格というのがあるのだと思います。そういう価格の見当をつけるに当たっては、新しい食料・農業・農村基本法の下での基本計画などで、適正な価格形成に関して農林水産省でいろんな情報を集め、また、その情報を提供して、このくらいの価格が適当なのですよということを主要な作物についてやることになっていると思いますので、お米についても今は高過ぎると、もっと安い値段でいいのだという、そういう合意を図っていくというのですか、そういう調整が必要な局面なのではないかと思います。
記者
今月6日に政治学者のジョセフ・ナイさんがお亡くなりになりました。知事もいわてソフトパワー戦略を提唱するに当たって、ジョセフ・ナイさんの言葉を使っていたと歴代の担当者から伺っていたのですが、改めて知事にとってどのような存在であったのかという点と、SNSで留学先で論破されたというようなエピソードをおっしゃっていて、それについてもし差し支えなければ詳しくエピソードをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
知事
1990年頃に日本がもう経済力でアメリカの3分の2くらいの経済規模になり、アメリカに迫り、アメリカに追いつき追い越すのではないかというようなイメージが広まっていた時代です。アメリカが相対的に地位を低下させて、ソ連がまだソ連であった頃ですし、超大国としてソ連があって、また、EUができてくる頃、ヨーロッパが統合に向かっていた頃、そういう世界の5大パワー、米、ソ、ヨーロッパ、日本。そうか、中国というのはまだその頃はそんなに注目されていないから、4大パワーですね。4大パワーの中で、アメリカはどことどういう関係を結べばいいのかというのがアメリカの中で議論されていた時代で、そのときにジョセフ・ナイさんはいろんなパワーが台頭してきているけれども、やっぱりアメリカが1番という本を出したばかりで、その内容を留学先の大学に来て講演してくれたのです。その中では、日本は経済力はあるけれども、軍事力が全然ないし、自らの世界戦略も持っていなくて、大したことはないみたいなことを、本にもそう書いていたし、講演でも言っていたので、いやいや、そんなことはないぞというような質問をしたのですけれども、その後の歴史を見ると、日本とアメリカの差はどんどん今開いてしまっていて、残念ながらジョセフ・ナイさんが言っていたとおりの展開になっているので、さすが世界を代表する国際政治学者だなと思っています。
日本国内では、知日派とか(アーミテージ・)ナイレポートですね、日本の外交防衛政策についてアメリカはこういう注文をすべきというような、そういうのをやった人として有名なのですけれども、やっぱり広く世界全体のことを見て考えて、そういう中から、そうそう、アメリカはやっぱり1番だというのはソフトパワーが圧倒的だからということです。民主主義の理念やそれを制度にし、また、科学や経済が発展していく、文化も世界中に愛されるという、そこはもうアメリカは圧倒的に強いという、そういうソフトパワー論を編み出していた人なのですが、ただこの点については今トランプ政権で、全然そうではなくなっていますので、そこはジョセフ・ナイさんが指摘した国際社会とは違う世界に対して、今を生きる我々が向かい合わなければならないなというところです。
記者
ありがとうございます。知事の任期中にお目にかかったことというのはあったのでしょうか。
知事
ないですね。ありません。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は5月30日(金曜日)の予定です。
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