令和7年10月24日知事会見記録

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開催日時

令和7年10月24日10時30分から11時20分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表が1件あります。それでは、知事お願いします。

知事
 ツキノワグマ対策についてです。今週盛岡市や奥州市など、市街地でツキノワグマの出没が相次いでいます。7月から今月にかけて、北上市と雫石町でツキノワグマによると見られる死亡事故が3件発生し、先週北上市で発生した4件目の死亡事故についても、現在加害個体の特定のため、DNA解析を行っています。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたします。
 クマの出没件数が同期比で過去最多となっていることを踏まえ、県は10月から秋のクマ被害防止取組強化月間として、更なる注意喚起に取り組んでいます。今年は、山にクマの餌となるものが少なく、クマが餌を求めて人の生活圏へ出没する可能性が高く、山においても予期せずクマと遭遇し、被害に遭う危険性が非常に高くなっています。県では、(10月)30日に県と市町村による緊急連絡会議を開催することとし、その会議では岩手大学の山内准教授からクマによる被害防止対策について助言をいただきます。
 クマの生息域は本来山の中ですが、最近は山に近い集落だけではなく、山から河川、道路、鉄道などを通って、市街地にも出没していることから、県民の皆様には出没情報の確認なども行いながら、遭遇のリスクを避け、遭遇した場合にはむやみに近寄らず、安全を最優先に行動いただくようお願いいたします。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項1件について、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 先ほどの発表では、30日に専門家を交えた緊急連絡会議を開くということでした。具体的にはこの会議ではどのような対策についてお話しされるのか、お話合いになるのかをお聞かせください。

知事
 環境生活部の主催で、各市町村の野生鳥獣担当課の皆さんに集まっていただいて、具体的な現状認識、そして、対策、情報の共有と、あと方向性の共有を行おうとするものです。

記者
 ありがとうございます。市町村による緊急銃猟も非常に話題になっているのかなと思いますけれども、実施に当たっては保険の加入だったり、環境、銃を撃つ環境とハードルもあるというふうに伺っています。こういった連絡会議を通して、そして、ハードルに対してどう解消を図っていきたいとお考えでしょうか。

知事
 県議会の9月定例会で、関係の補正予算も、既に本会議採決もいただいていて、予算面での県からの支援もありますので、一方、市の決断、市町村の決断で対応するということについては、無理なくといいましょうか、きちんとその体制を作って行うことが基本ですので、拙速というふうになってはいけないと思っているのですけれども、一方、法律が整って、そして、予算面も整ってきていますので、スムーズに準備を進めてもらえればいいのではないかなと思います。

記者
 ありがとうございます。最後に、環境省が先日クマの捕獲を含めた個体数管理の強化を一層強化していくということになりました。こういう国の動きに対して、県として市町村と連携して、どう取り組まれるのかというのと、あと県としてガバメントハンターの確保、育成についてどうお考えなのかお聞かせください。

知事
 まず、個体数管理は今もやっているのですけれども、より確かなものにするために国の支援は必要だと思いますので、そこは期待しています。そして、頭数管理の担い手については、ここもそれぞれ市町村で不足を訴えているところありますので、県でも人材育成に取り組み、それから広域での対応なども始めているところでありますけれども、人材を強化していく、人的体制を強化していくことは必要だと思っています。

記者
 これはガバメントハンター自体を県として育てていくというお考えでよろしいのでしょうか。

知事
 猟友会の体制が充実してくればですね、そちらが対応できれば好ましいと思っていますけれども、そこは状況を見ながら考えていくということになると思います。

記者
 実際に盛岡市、奥州市でもありましたけれども、盛岡市で昨日も中心部(で)ありましたし、この土日ぐらいから県庁前とか本町通とか、市街地で発生しているのですけれども、改めて市街地にクマが出没しているということ、我々の居住地というか、知事も含めてですけれども、出ていることに対して知事、受け止めを教えていただいてよろしいですか。

知事
 盛岡市始め、岩手県の都市部は川が流れていたり、山に近かったり、山の中でクマが増えて、そして、山から里に出てくるという事態になれば、都市部にもクマがやってくる、そういう可能性が高い、そういう県なのだと思います。
 急に寒くなったからでしょうか。今週になって都市部でのクマ出没が目立っているところでありますけれども、ニューヨーク・タイムズが盛岡市を世界に紹介したときも、川が流れていて山も近くにあるというようなことが、その自然の豊かさをまちの魅力として紹介していたわけですが、そういうまちの魅力が、クマが異常発生しているときにはリスクにもつながるということだと思います。県としても河川の雑草、雑木を取り除く、そして、クマが隠れるところを無くしていくなど、県管理のところは県で努力し、国や市町村管理のところは国や市町村にそういったことを県からもお願いしているところでありますけれども、自然の豊かさというのはそれはそれで守りながら、クマのリスクを減らしていくということが必要だと思います。
 そして、住民の皆さんにも都市部の場合は、山の中や山に近い集落に比べて、出会い頭で接触するような形の遭遇というよりは、ちょっと離れたところにいるのを発見ということが多いので、ある程度距離があるとか、人的被害のリスクとしては山の中や山裾の集落よりは低いところがありますので、クマがいたと発見したときには、冷静に安全第一で近寄らないようにするとか、また、そもそもクマが隠れそうな山とか川の自然に近い部分について、不用意に一人で近づいていったりせずに、歩く場合はなるべく広い道路を歩くとか、駐車場スペースとかいろいろ広く見通しの利くようなところを選んで歩くとか、そういう工夫をしてもらえればと思います。

記者
 もう一点、緊急銃猟の件、先ほども出ました。実際乱発していいものではないと思いますし、慎重に安全を確保してやるべきものだと思うのですけれども、盛岡市に関してはまだ緊急銃猟の体制が整っていないと。ただ、この感じですと、山内准教授もおっしゃっていましたけれども、山に餌がない分、やっぱり人里に下りてくる可能性が多いということで、冬眠の前の時期も今後も引き続き盛岡に限らず県内の市街地、都市部でもかなり出没が予想されるのですけれども、整っていないことに対して、県として協力できる手が補正予算とかで計上した以外で何かないのか、その辺りは例えば30日の連絡会議の話で出るとかということはないのでしょうか、あるいはまた12月の補正予算に向けて検討するかどうか、その点いかがでしょうか。

知事
 法整備、そして、予算の確保というところは、基本的なところはもう終わっていますので、既に全国でももう6か所ですか、6件実例もありますので、あとはそれぞれの市町村がそれぞれの市町村に合ったやり方で実際に取り組んでいくというところに基本的には移ってきていると思います。

記者
 何か市町村が、別に二の足を踏んでいるとは思わないのですけれども、人材が、ハンターさんの確保だとか、いろんなリスクというところを県が中間、国と市町村というよりも県が間に入って何か中間支援的な形でできることはないのかな、あるいは県独自に何か手を打てないのかなというのは考えるのですが、その点いかがですか。

知事
 基本的に何でも相談には乗りますし、県としてできることとか、やったほうがいいことというのはどんどんやっていこうと思います。一方、それぞれの市町村の自然環境とか、また、人間側の環境とか、体制とか、そこはそれぞれ違いがありますので、それぞれに合ったやり方で準備をしてもらえればいいのだと思います。

記者
 私は観光面のことについてお伺いしたいのですけれども、県内では紅葉シーズンがこれから本格化するのと、あと先日の北上市では温泉旅館の従業員さんが被害に遭われたということがあって、岩手県に観光に訪れる方も多少不安に感じているところがあると思います。達増知事御自身、岩手のクマの観光への影響についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
 担当部のほうからは、私のほうにはまだそういう、いわゆる風評被害というのでしょうか、クマが不安で、それでお客さんが減るといったような報告はありません。ただ、今週になって都市部にも出てくるようになったということは、そのニュースが全国ニュースで今週かなり時間も取られて報道されていますので、そういう意味で対策のほうもレベルアップさせていかなければということで、来週30日に緊急連絡会議を行ったりするわけですけれども、まずそういう対策をやっていると、そして、都市への出没増加も受けて対策強化しているということも発信しながら、また、観光の現場においても基本的に一人では行動しないとか、山とか、川とか、そういうクマが隠れられるところに気をつけるとか、安全な場所を確保したり、また、集団で行動することでより安全に外を歩くとかということはできますので、そういうことを観光の現場では工夫してもらいながら、また、それを発信していけばいいのではないかなと思います。

記者
 先ほど御質問されたガバメントハンターの件について、知事は猟友会のほうで体制が整うのであればそちらのほうが適切ではないかというようなことをおっしゃったわけですが、この辺の理由についてお教えいただけますでしょうか。

知事
 そもそも昔はクマの場合ですと、ジビエで肉を食べるとか、そして、いわゆる熊の胆(い)という漢方薬になる、高価な漢方薬になるような部位が取れるとかということで、むしろ狩猟が盛んで、狩猟に制限をかけていた時代もあったわけでありまして、そういった経済的価値、クマのものの価値プラスレジャーとしての狩猟というものの経済的価値も考えれば、そういうハンターというのは一直線で減り続けるものではないと思うのです。そういったアウトドアでの活動として維持、更には地域によっては発展させる余地はあるのではないかと考えています。ただ、今現在ハンター、特に射撃までやるハンターはもうどんどん減っていて、高齢化しているということは実態としてありますので、そこは今後の頭数管理の必要性との関係で、どうしても猟友会など民間有志のハンターさんによる捕獲だけではどうしても足りないというときには、公務としての捕獲人材というのをより考えていかなければならないというふうに思います。

記者
 ありがとうございます。ただ、やっぱり2018年だっけ、19年だっけ、北海道でヒグマの有害駆除で出られたハンターさんが公務員立会いの下で撃ったにもかかわらず、要は射線上に住宅があったということで鉄砲を取り上げられて裁判になって、いろいろもめているということは御存じかと思うのですけれども、そのように銃猟、要するにハンティングとして山の中に捕りに行くのと、あと街中に出てきたもの、あるいは出入りしているようなものを駆除するというのは随分違っているやに私は思っておりまして、かつ、そういう部分でやっぱり行政側にハンティングについて分かっている人がいないと困るよね、というのがガバメントハンターへの要請というふうな、世の中的にはなっているのではないかというふうに認識しておるのですが、その辺、今知事おっしゃったことはハンティングということでおっしゃっていましたが、駆除の観点においてどのように思われるのか、そういうものは必要ないのかということについて改めてお伺いさせてください。

知事
 岩手県の場合ですと、例えば花巻の猟友会の会長さんは、ふだん狩猟というものを楽しませてもらっている身として、いざ街の中にクマが出た場合は、駆除に街の中で協力するということを公言されていて、非常に協力的でありがたいというふうに思っています。それから、街の中での対応は緊急銃猟の制度は法律や予算や整備されてきているところではありますけれども、それだけが手段なわけではなく、吹き矢で麻酔を打つということもありますし、また河原に出たような場合には、まずは追い払う、上流のほうに追い払うということもありますので、都市部、街の中での発砲ありきというわけではありませんので、そこの街の中での発砲の必要性ということについては、より実態をきちっと見定めながら、その人材の必要性についても検討していくのがいいと思います。

記者
 要するに、狩猟に通じた自治体職員を育成していく必要があるというふうな御認識ということでよろしいでしょうか、狩猟免許まで取らなくてもいいけれどもということなのでしょうかね。

知事
 今現在岩手県としてガバメントハンターという制度を持ってはいませんし、また、具体的にそれを創るという案があるわけではありませんけれども、現状の民間有志、猟友会の体制というところで間に合わなくなった場合に、そういうガバメントハンターというものが必要になってくると、そういう理屈については承知しております。

記者
 昨日(10月23日)全国でクマによる被害が相次ぐ中にあって、ハンターの確保を強化するために自治体がハンターを職員として雇用するための交付金を環境省が検討しているというような報道が一部でされたと思うのですけれども、実際にやはりこれだけクマが多くなってきますと、地元のハンターさん、猟友会さんの負担というのもすごく大きくなってきているところだと思うのです。実際にそういった負担の観点から知事としてどういうふうに感じられているかということと、逆にこれまで自治体でハンターを雇えなかった何かネックとなることがあれば教えていただければと思います。

知事
 おととし(令和5年)にクマが出没数が急増し、そして、去年(令和6年)は落ち着いたのですけれども、今年(令和7年)また増えたということで、基本的におととし(令和5年)と今年(令和7年)にそういう状況になっているということなのです。まずは、やはりそこは状況を見極めながらの対応ということになると思います。そして、狩猟というものがレジャーとして、あるいはなりわい、お金を稼ぐこともできるものとして昔からあって、その担い手の人たちがいざ街の中にクマが出たときには一肌脱いでお手伝いしようという、そういうやり方が一定確立している部分がありますので、それはそれで大事にしていかなければならないと思っております。
 そして、亡くなる方が出るということについては、今年(令和7年)はおととし(令和5年)よりも増えていて、あとは遭遇数も今年(令和7年)はおととし(令和5年)より多い傾向がありますけれども、人的被害の数については岩手県ではおととし(令和5年)よりはまだ少ないというところもあって、様々な総合的な安全確保の方法ですね、山の中に入るときに気をつけるとか、山に近い民家において気をつけるとか、特に山に近い民家で食べられる餌になるものを出さないようにするとか、柿の実を木に実らせたままにしないとかということについてはかなり進んできていると思います。更に言えば、盛岡市の猪去(いさり)地区の例のように岩<手>大<学>の学生さんたちが地域の皆さんと協力して、山と里の間の緩衝地帯をきちっとつくるということで、あれはクマによる農業被害とか出没数も減っているのではなかったかなとか、そういった総合的な対策の中で射撃の担い手の体制についても考えていけばいいと思います。

記者
 そうすると、実際に猟友会のほうで対応するのがやっぱり適切なのではないかというお考えと。

知事
 適切というか、ボランティアベースでやっていただいているというのは、もうありがたい限りでありまして、それをあたかもやって当然、やりたまえというような思いではないというところはあります。
 また、凶暴なクマの例というのも出てきていますので、クマ退治のリスクが上がっているという面もありますので、そういう意味ではガバメントハンターを全否定しているわけではありませんけれども、基本的には対策の体制が確立しているものについては、やはりそれを生かしていくのがよく、同時に山と里の間の緩衝地帯を確保するような根本的な対策もやりながら、かつ、基本的にはおととし(令和5年)と今年(令和7年)の2年間の異常事態ということでもありますので、その辺の実態を見極めながら対応していけばいいと考えています。

記者
 緊急銃猟に関して、これまでの質問と重複するようで恐縮なのですけれども、あくまでも実施主体は市町村ということなのですが、自治体で備品の整備とか、財政面での課題もあるとされております。あくまでも主体は市町村ということですけれども、県としての支援のお考えがあればお聞かせください。

知事
 相談には何でも乗ります。相談がなければ、それはそれぞれ順調に進めているのだなということで、そうやっていただければいいと思うのですけれども、ですからそういう支援をしないと決めているわけではありませんし、ただ逆に一律に全ての市町村に一定の支援をすると決めているわけでもないということです。

記者
 全国で連日ニュースになっている中で、岩手県に対するクマ関連の苦情などが1日どれくらいあるのか、また、そういった意見に知事の御意見、どういったものがあるのかお聞かせください。

知事
 何か大変なことになっているという報告は受けていませんので、そうですね、後でちょっと担当課、どこか、広報担当になるかもしれませんが、確認してもらえればいいと思います。

記者
 そういった意見がないわけではないと思うのですが、そういった意見に対する知事のお考えというか、あればお聞かせください。

知事
 日本全体として、このようにクマがたくさん人と遭遇するとか、街の中に出てくるということは今までになかったことなので、不安に思ったり、また、行政に対して不満を持つ人が増えるということは、それはあるのだと思います。
 これを機会に、人と自然の関係について関心を高めていただいて、そして、本質的には共生を目指すというのが本質だと思っていますので、どうすれば人間側も被害を受けたり、まして命の危険がないようにしつつ、そして、クマはクマで日本の中で暮らしていけるかということをこの機会に全国の皆さんにも考えてもらえばいいと思います。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 本日(10月24日)で県議会の9月定例会が最終日を迎えます。昨日(10月23日)の決算特別委員会のほうでは、昨年度(令和6年度)の一般会計決算について物価高であったり、自然減の対策等、多項目の附帯意見をつけての採択という結果になりましたけれども、まずはこの結果についての知事の受け止めをお聞かせください。

知事
 決算認定につきましては、地方創生10年の総括をしながら、新しい地方創生を進めていこうということで、県でも子ども・子育て支援から、働く場の雇用環境の改善、そして、更に地域の魅力を高めていく、海外にも打って出るということを大々的に進めた1年でありますし、年度の後半、終わり頃には鳥インフルエンザの発生があり、そして大船渡林野火災という、そういう危機対応補正予算を組みながらやった1年でもあり、そうした1年について認定という形で、肯定的に議会として受け止めてもらったことは大変よかったと思っています。附帯意見については、今後精査してその内容を生かせるようにしていきたいと思います。

記者
 附帯意見の中にもありましたけれども、今回の議会を通して知事のマニフェストプラス39をめぐる論戦もあったかなと思います。一般質問などで各政策の財源の見通しであったり、達成期限について話題になる場面もありましたけれども、こうした議会での意見についての知事の御所感を改めてお聞かせください。

知事
 基本的には、2年前の知事選で有権者の皆様にお示しして、そして有権者の多数の支持をいただいた内容であります。
 ただ、もともと選挙公約、投票した人たちも全てについてオーケーして投票しているとは限らず、投票した人(が)、自分としてこれは絶対やってほしい、だから賛成ということで、部分的に投票するとか、それ以外の公約については投票の時点ではまだ完全に肯定していないということはあり得るので、ですから当選の後、それぞれ県民的な議論や、または県民的な共同作業を通じて、内容を高めていくことが、内容をよいものにしていくことが大事だと思います。そういうプロセスにそれぞれ、マニフェストプラス39関係の政策というのは、そういったプロセスに入り、いたずらに遅らせたり、いたずらに手をつけないということはもう全くなくて、それぞれ法令上必要なこととか、また、計画上望ましいようなプロセスを経てとり進めているところでありますので、そういう答弁については基本的に御理解をいただいているのかなと思います。

記者
 ありがとうございます。話題変わりまして、北上市が進出(設置)を目指していた、市立工科大学の基本計画の策定関連費を盛り込んだ補正予算が、先日市議会のほうで否決になりました。財政負担の増加等も懸念するという声も背景にあると思いますけれども、知事は今回の議決の結果について、どのように受け止めていらっしゃるかお聞かせください。

知事
 北上市によりますと、まずは議会の議論の内容を精査して、今後の対応方針を検討するとしているというふうに聞いておりますので、市当局執行部と議会、それぞれ住民を代表する存在ですので、様々なやり取りの中で市民の皆さんにいいように、市民のためになるように進めていってもらえれば、それが県のためにもなると思います。

記者
 私からは、農林水産関係について大きく2点お伺いいたします。岩手県知事として、県内の考えだけでなくて、全国知事会の農林商工常任委員長としての全国的なお考えも伺えればと思います。まず1点目、政府が主食用米の増産方針を事実上見直して、需要に応じた生産に転換するとしました。石破政権が夏に打ち出してからあまり時間がたっていない中での方針転換に、生産現場は戸惑っていると思いますが、こちらに関しての受け止めをお願いいたします。

知事
 鈴木新大臣がフォローするように説明していますけれども、需要に見合った生産を行うということなので、足りなかった分は増やすという石破内閣の方針と大きく矛盾するわけではないのだと思います。
 ただ、むしろ石破内閣のときに、では余っても増やすのかという疑問が、むしろ生産の側にそういう疑問が出て、そして、それは米価暴落につながってしまうのではないかという心配が、生産者やあるいは農業団体のほうにあったと記憶していますので、むしろそういう心配を解消するように、米が暴落するような、そういう需要に見合わない生産はしないということで、より場合分けして厳密に農家のためになるような生産の仕方でいくと言っているのかなと思っているところなのですけれども、全国知事会……あれは北海道・東北(地方)知事会として、米問題について農林(水産)省に緊急要望したいと思っていたので、新内閣ができたので、日程調整を始めたところで、大臣御本人に会えるかどうか分からないのですけれども、いずれ米価の暴落に対する心配というのは、やはり北海道、東北、米どころとしては大きいので、そうならないように農家が意欲を持って生産を続けていけるような、そういう収入を保証するような、そういう政策を進めてほしいというような要望をしに行く予定です。

記者
 まず、その方針自体については、知事としては、ではその矛盾は大きくはないということで、冷静に受け止めていらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。

知事
 ただ、言うは易し行うは難しの世界でありまして、決して余らないように、余ったらたちまち米価が暴落するから余らないようにと気をつけていた結果、大きく足りなくて米価高騰になったのが去年(令和6年)から今年(令和7年)にかけての令和の米騒動ですので、基本的な考え方はいいのですけれども、では実際そうならないようにするには、では具体的にどうするのかですよね。いろいろ作柄という統計の取り方はやめるとか、何かそういうことは前内閣で決まっているのですけれども、それに替わるより精緻な米の流通量の把握の仕方とかというのはまだ見えてきていないので、まずそれをやっぱり求めていかなければならないと思います。プラスそこまで丁寧にやっても、市場というのは読めないところがあり、米の暴落というのはあり得るので、そうなったら所得補償的なものをするとか、そこまで視野に入れて、やっぱり要望していかなければと思っています。

記者
 今お話で出てきた中央への要望ですか、日程調整中ということですけれども、これは特に昨日(10月23日)の大臣の方針が出たからというのではなく、新内閣組閣発足に当たってのというか……

知事
 そうですね、もともとは石破内閣での農水相に要望しようとしていましたので、こっち側からの事情ということですね。

記者
 分かりました。ありがとうございます。大きく2点目については、今度は水産業に関してです。小型釣り漁船によるするめいか漁について、こちら漁獲枠を上回ったとして、水産庁が10月末に採捕停止命令を出すことを明らかにしました。まず、この対応をどのように受け止めていらっしゃいますか。

知事
 急に増えてきて、だからといってとり過ぎると、またとれなくなるということを心配しているのだと思います。米の需給関係とも似ていますけれども、漁をしている方々からすればもうちょいとってもいいのではないかという感覚があると思いますし、実際もうちょっととっても大丈夫なのかもしれないのですが、ただより慎重にという水産庁の姿勢も理解できるところではありまして、こういう経験を積むうちに大体の相場観が見えてくるのかもしれないのですが、急にとれなくなったのも異常事態なら、それがまた今急に回復しているというのも今までなかったことでありますので、水産庁のほうにはそこの見極めというのを前例がないことではあるのですが、より実態に近いようにしてほしいということは求めたいと思いますけれども、基本的にたくさんとれるようになったからといってとり過ぎるのはまずいという考え方は理解できるところです。

記者
 ありがとうございます。私自身も資源管理そのものの必要性というのは十分理解しているつもりですが、ただ命令は来年(令和8年)の3月まで続くとされています。余計に今期は豊漁になっているだけに、漁業者にとっては苦しい対応だと思います。ましてや、小型船は事業規模が小さいので、これまで不漁に悩まされてきた面もありますし、なおさらかなと思います。先ほどの話もありましたけれども、より実態に近いようにするように求めたいというふうなお話でしたけれども、知事会のほうの常任委員長として、先ほど省庁のほうに行かれるということもありましたので、その際にこちらの話題についてもどのように対応したいなというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

知事
 まず、一定量まではマグロをとった後逃がさなくてもいいという数量について、たくさんいるようなので、基準を緩くするというようなこと、途中でルールを変えるということは過去ありましたので、するめいかについても漁を解禁しても大丈夫そうだなという状況であれば予定の期日前でも漁を解禁するような柔軟性は持ってほしいと思います。
 お米に関する緊急要望というのは、そういうテーマの緊急要望すると決めておいたことではありますが、一般論ですけれども、主要魚種不漁問題というのは日本全体として共有している重要課題でありますので、これも必要に応じて国に要望すべきときにはしていきたいと思います。

記者
 分かりました。ということは、最後の点に関しては、主要魚種不漁に関しての国の対応というのは求める中で、まず今回のトピックに関しては状況の説明というか、そういう感じでとどまるということなのでしょうか。

知事
 今準備しているのは米の生産と流通に関する緊急要望で、まずそれを日程調整しているところです。するめいか問題について、全国知事会でどう対応するかというのはまだ全くの白紙状態ですので、状況を見ながら特にするめいか漁に深く関わる県と相談するかもしれないぐらいなところですね。

記者
 分かりました。長くなりました。ありがとうございます。

記者
 国政について1点伺います。自(由)民(主)党と(日本)維新の会が合意している一方で、各方面から慎重論も出ている国会議員定数の削減案について、国会議員経験もある知事としてどのようにこの議論を見ているかお伺いさせてください。

知事
 そうですね、まずG7(ジーセブン:先進7か国首脳会議)の国々で比べますと人口当たりの国会議員の数はアメリカが異常に少ないのですが、それ以外の国々は日本よりは多いので、日本がアメリカに次いで人口当たりの国会議員が少ないという状況ですので、更に無理に減らす必要はないと思っています。まして最近人口の移動の関係で、地方の議席数がどんどん削減され、あまつさえ参議院のほうでは2つの県を合区して一つの参議院選挙区にするという、これは大変よくないことだと思っているのですけれども、そういうことまで起きているので、そういうルール、そういう選挙区変更のやり方を変えずに議員定数を削減するとますます地方の議員定数が減らされて、そして、また合区などのような政治の実態は県ごとに行われているにもかかわらず、ほかの県と合同での選挙を強いられるという非常に非民主的なことが増えるわけでありますので、議員定数削減というのは今はしないほうがいいと思います。

記者
 すみません、先日なのですけれども、岩手経済同友会さんからアリーナ整備の提言がなされたと思います。これについて、改めて知事の御所見と今後についてお伺いできればと思いますが。

知事
 そうですね、体育館という運動施設を超えて音楽関係のコンサートも行う場としてのアリーナというのが近年日本のあちこちで好事例が生まれていて、県としてもそういうところは情報をキャッチしていたところではあるのですけれども、最近の目立つ例では愛知県の例なのですけれども、かなり民間企業が大々的に資金を出して、そして、運営もするということもあって、県単独でそう簡単にできる話ではないと思っていたのですが、民間を代表する団体からああいう提言があって、やはりそういう民間の活用、PFI方式(ピーエフアイ方式:公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法)とかですね、そういった民間の活用ということが盛り込まれていましたので、大変心強く思ったところであります。改めて提言を精査し、そして、岩手県におけるアリーナの可能性というものを検討していきたいと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は10月31日(金曜日)の予定です。

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