令和7年8月1日知事会見記録
開催日時
令和7年8月1日10時00分から10時27分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
私からは、(7月)30、31日と、県内のほうでも影響がございました津波注意報や津波警報に関する質問をしたいと思います。まず、こちら、今回の出来事に対する所感をお願いいたします。
知事
カムチャツカ半島での大きな地震に伴う津波というのは、1952年に同様の例があったということなのですけれども、近年ありませんでしたので、なかなか予想がつかないようなものだったのですけれども、まず気象庁からしっかりした注意報や警報が出て、その情報を踏まえて岩手県内でも避難が行われ、大体避難対象者数の1割くらい、5万3,000人の避難指示対象のうち、最大で5,229人が避難したということで、ほぼ1割の人たちが避難をし、(津波による直接的な)人的被害がなかったことはよかったと思います。
一方、久慈で1メートル30(センチ)、また、(ほかの観測地点では)50センチくらいの津波が記録されているところもあり、漁業被害がありますので、今後安全を確認しながら漁業被害の実態を把握して対策を講じていくということになります。
記者
ありがとうございます。今回の津波警報などに対する県の対応についてお伺いいたします。県としては、まずいち早く災害救助法を適用したりだとか、そういった対応は取られておったと思いますが、今回先ほど知事からもお話ありました久慈で1.3メートルの高い津波が観測されたりだとか、そこからしばらく津波が長期化したりだとか、あとは今回の酷暑に対する熱中症などの対応というのも必要だったかと思います。そういったものも振り返って、今回の対応、県としてどのようにできたか、また、課題となったところについてお伺いしたいと思います。
知事
避難指示が出た期間が結構長くなりましたし、そこで避難所での食料の必要性が出てきました。また、暑さの中での避難ということで、避難所での暑さ対策というのも必要になりました。災害救助法の適用を決定しましたので、そうしたことに対する対応ができるようにしておいたことはよかったと思います。
記者
ありがとうございます。一方で、今回も車での避難というのもありました。ケースによってということも考えられるかとは思いますけれども、まず原則は車(徒歩)での避難と、各自治体のほうではそれぞれの事例というのを検討はされていると思いますけれども、他県に目を移しますと、大渋滞が発生したりだとかという例も今回ありました。そういった点を踏まえて、車での避難の在り方について改めてどのように感じたか伺います。
知事
今回は、岩手県は、全国の中では避難する方の割合が高いほうでありましたし、また、人的被害、津波による被害がなかったというのはいいことだと思います。一方、それぞれ様々なことが指摘されておりますので、岩手県内の各市町村やそれぞれの避難所で、様々指摘されていることがあるようでありますので、県と沿岸市町村で巨大地震・津波対策連絡会議というのを設置してありますので、その場を活用して、今回の貴重な経験、避難における課題など、確認しながら対策を検討していきたいと思います。
記者
ありがとうございます。私から最後に、先ほど冒頭知事も触れられました漁業関係の被害確認についてです。まず、昨日(7月31日)注意報解除されて、早速漁業関係者の方も沖に出たりして確認もされているようですし、恐らく県のほうも本日(8月1日)から始まっているのでしょうか、確認に着手されているのかと思います。一方、海のほうを見ますと、今台風が近づいてきたりとかして、ちょっと潮の状況も気にはなります。今のところ、県としては大まかな被害の状況の確認というのをいつぐらいまでにできればというふうに考えているでしょうか。
知事
早くできるに越したことはないのですが、安全を確認しながらチェックしていくことになりますので、台風の状況次第では少し時間がかかることはやむを得ないのだと思います。離れたところから見て、様々異常は認められているようですので、共済とか保険とか、そうした既存の制度で補える程度であればいいのですけれども、それで補えないような深刻な被害があるかどうかというのは確認していきたいところです。
記者
私からは、県内で続く渇水のことについてお伺いします。6月から続く高温、少雨、あと乾燥、それによって県内各ダムで貯水量の著しい低下が見られます。気象条件に関わることなので、人間が何かできるというものは少ないかもしれませんが、県としての現状の認識と今後の対応についてお聞かせください。
知事
まず、高温、少雨という気象状況であります。そして、農作物に関しては高温対策、少雨対策ということで、様々技術的に対応できるところは技術的に対応するよう、関係者情報共有したりして対応しているところです。そして、少雨ということで、ダムや河川の水位低下ということが起きておりまして、これに関しては水の使い方について、エリアを分けて順番に配水する番水(ばんすい)、順番の番ですね、番水による節水のような、そのような節水ということがあちこちで行われているという状況であります。このまま雨が降らないでいると、水不足はより深刻になっていく見通しではあるのですけれども、今接近中の台風でどのくらい雨が降るか、また、来週後半には前線の影響による雨というものが予測されておりますので、そこでできるだけ雨に降ってほしいというところです。
記者
関連して、まず津波のほうからお伺いいたします。先ほどの質問でも出ましたけれども、津波の警報によって当然避難所の在り方であったり、漁業の作業の関係に影響があると思います。特にも工場の操業停止であったり、あと観光面、あと物流など、幅広い産業の側面でも影響が出ているということですけれども、そういった状況を県として現状をどのように把握されていらっしゃって、それに対する対応についてどのようにお考えかお聞かせください。
知事
これまでのところ、商工業関係の被害情報は入っていないのですけれども、昨日(7月31日)の17時から国の相談窓口設置と併せて県でも相談窓口を設置しています。注意報や警報の関係で海に近づくことができないと、そして、海沿いの道路で通行止めになったり、鉄道が運休したりなどなどありましたので、様々影響はあるのだと思いますけれども、その内容については調査中というところで、状況によって必要な対応を検討していきます。
記者
ありがとうございます。話題変わりまして、渇水のほうで追加で伺います。先ほどのお答えでもありましたけれども、仮に被害が出れば、特に農業の影響が大きいのかなと思います。特に我々の取材でも出穂期を迎えた米への影響が非常に懸念されているということで、令和の米騒動の再来も危惧されているという状況です。知事は、全国知事会の農林商工常任委員長のお立場もあると思いますけれども、要望も含めて、ちょっと仮の話で恐縮ですが、被害があった場合の農家への支援についてはどのようにお考えでしょうか。
知事
全国的にも少なくなってきている水をどう調整して利用するかという、いわゆる節水の工夫と、あとは高温や少雨でもそれを乗り越えるようないろんな技術的な工夫で乗り越えようとしているところでありますけれども、仮にでありますけれども、被害が広くあって、特に問題になるのは主食用米が不足することだと思いますけれども、2年前にそういうことが起きて、米価高騰にもつながったのですが、その際のことを反省しながら、生産者に対する支援というのをしっかり求めていきますし、また、2年前の米不足で去年(令和6年)起きたような米価高騰が起きないような措置を国に求めていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。最後に、話題変わりまして、ガソリン税の暫定税率の廃止について伺います。与野党6党が今年(令和7年)中のできるだけ早い時期に廃止を実施するということで合意しました。参院選では、野党の公約にも入っている文言もありましたけれども、今回の合意についての知事の受け止めをお聞かせください。
知事
物価高騰問題で日本全体消費が落ち込み、景気が悪化するような状況にありますので、消費の力を高めていくために、今指摘があったガソリン関係の税金を緩くするというのは効果があると思います。特に自家用車での移動が多い地方の生活にいい影響が出ると思いますし、運送関係、燃料を使ってやる仕事は、人手不足も重なってかなり苦境にありますので、そこも楽になるのだと思います。
一方、ガソリン税関係は地方の重要な財源にもなっていて、いろいろ報道を見ますと地方の財源に影響を与えないようにするということをセットで調整しているようですので、そこはしっかり、地方の財源に穴が空いたりしないように調整してほしいと思います。
記者
全国知事会長選について伺います。現職の宮城県の村井知事が退任を表明する中、長野県の阿部知事が出馬を表明しました。知事としてどのようなスタンスで臨むのか、特に御自身の出馬があるのかも含めて伺えればと思います。
知事
私自身は、出馬は考えておりません。そして、長野県の阿部知事が名のりを上げていらっしゃいますけれども、阿部知事は岩手県で総務部税務課長、総務部地方振興課長をやったことがありまして、平成元年4月から2年5か月ほど岩手県庁で働いたこともあり、岩手に詳しいということは日頃から頼りにしていたのですけれども、岩手だけではなく、自治省、総務省での経験も豊富で、地方自治、地方行政について詳しいですし、知事になってからの仕事ぶりも大変頼りになりますので、阿部知事の全国知事会会長就任ということは、非常にいいのではないかと思います。
記者
津波警報、注意報の話に戻って、また水産業の関係のことをお聞きしたいのですが、特に今年(令和7年)山火事で、大船渡ですし、あと過去にもトンガの噴火に伴って津波が観測された際も、やはり同様の水産業被害があったと思うので、ある程度、風水害とは違いますけれども、いろいろこれまでの知見から予測される被害であったり、あと支援スキームなんかも組みやすいのかなと思うのですが、これからの台風の接近の状況とか、実際に現地を見てということはあるにせよ、ある程度構えが立てやすいのかなと思うのですが、その点知事、いかがでしょうか。
知事
漁業というのは、昔からたくさん取れることもあれば、全然取れないこともあるというような、そういうリスクとともにある産業ではあったのですけれども、ただ昔は大漁というのは結構すぐあったわけでありまして、不漁が続いたとしても、それが数年間にわたって不漁だけということはなく、大漁というのはやがてあって、リスクをカバーできるようなところが昔はあったわけですけれども、やはり気候変動の関係でありましょうか、主要魚種の不漁というのは非常に長期にわたっていますし、それの関連で貝毒なども出やすくなったりするなど、リスクへの対応というのがより高いレベルで求められる産業になってきています。様々な保険的な補償のシステムも高度化していかなければならないですし、リスクの中で稼いでいくための安定的に収益が期待できるような養殖などの育てる漁業を増やしていくとか、そういう構造転換が今求められていて、そういう努力を岩手でもやっているところです。それでも想定されていなかったようなリスクが襲ってくるということがやはりありますので、そういった場合は公の支援によって支えていくということが求められると、そういうことだと思います。
記者
まずは、現地というか実際の被害を確認した上でというのが前提、当然だと思うのですけれども、に立った上でという受け止めでよろしいでしょうか。
知事
主として心配されるのは、養殖のいかだなどだと思いますけれども、養殖いかだも上手に海底に固定する技術とか、様々潮位の変動に対して強靱化が進んでいる、技術が改良されている分野でもありますので、なるべく被害が抑えられていることを期待はいたしますけれども、そうでないことも予想されますので、そのときは保険的な対応でいくのか、また既存の制度での補償ということになるのかの検討をしていくことになります。
記者
ありがとうございました。あと、一応確認だったのですけれども、冒頭のほうで知事が言っていた人的被害がなかったというのは、津波によっての被害がなかったということですよね。
知事
そうですね。津波による直接の被害、熱中症やその疑いの方が出たということは別途あり、その皆さんにはお見舞いを申し上げたいと思います。
記者
私から、話題変わりまして、自動車ラリーの関係です。トヨタガズーレーシングラリーチャレンジのプレ大会が来年(令和8年)2月に雫石町で開催される見通しとなりました。ラリチャレでは初の雪上大会として準備される予定ですけれども、こうした動きについて知事の受け止めをお聞かせください。
知事
去年(令和6年)初めに岩手出身のトヨタドライバー、佐々木ドライバーに岩手県主催の企業向けセミナーで講師をやってもらって、ラリーの魅力というのを語ってもらって、それで一気に岩手県の自動車産業関係者の間で、ラリーというのがあり、それはなかなかいいものらしいぞという認識が深まって、そういうところにちょうど岩手工場でのレクサスLBXのお披露目式で、モリゾウという名前でレーサーでもある、(トヨタ自動車の)豊田章男(とよだあきお)会長が岩手工場に来て、そこで佐々木ドライバーと一緒にLBXで岩手を走ってみたけれども、非常にいいところで、ラリーにも向いているという認識をまた岩手の自動車産業関係者で共有することとなって、とんとん拍子に話が進んで、来年(令和8年)2月に小岩井農場で実際にやってみようと、ラリープレ大会を実際にやってみようというところまで話が進んだところであります。
私も不勉強だったので、去年(令和6年)の初めに佐々木ドライバーの話を聞くまでは、公道ラリーというのは昔の自動車漫画にあったような、公道を自動車で競争するものかなと思っていて、そんなことはそう簡単にはできないなと思っていたのですけれども、実際には1台1台区切られた区間の道路を走って、そのタイムを競うという非常に緻密に計画されて、安全をしっかり確保して、そして、車という機械と運転する人間の能力の相まったところでスポーツとして楽しむという、そういう事の本質が分かったところでありまして、岩手県を自動車生産の場だけではなく、自動車スポーツ、自動車文化の場にもしていく一つの象徴として、ラリーというのは非常にいいのではないかなと期待しています。
記者
すみません、お話が行ったり来たりで大変恐縮なのですけれども、津波関連で再び、暑さの中での避難の対応について伺います。先ほどもお話にあったとおり、熱中症疑いで搬送される方がいたことなど、岩手県だけでなく、全国的にも暑さの中での避難というのが課題になってきたと思うのですけれども、県として今後暑い中での避難の対策についてお考えがあればお願いいたします。
知事
近年千島海溝と日本海溝の巨大地震に伴う大きな津波への対応を迫られる中、国の想定でも冬の雪が降っている夜などが大変だということで、そういうときの避難について検討することが多かったのですけれども、今回それの正反対、日中の暑い時期、真夏における避難というのも大変だということが今回分かったので、改めて今回のことを教訓にしながら対策を検討することになると思います。巨大地震・津波対策連絡会議というのを岩手県と沿岸市町村で立ち上げておりますので、その場を利用しながら今回の教訓を生かして対策を検討していきたいと思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は8月8日(金曜日)の予定です。
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