岩手県食の匠224 鈴木恊子さん(山田町) するめの口っこ煮
料理の紹介(いわれ・特徴)
山田町は、するめいかの町である。(この地方では、するめいかのことを「するめ」という)かつて漁港では、するめが大量に水揚げされており、するめを干す「よろい」で浜一面が満杯となった。
冷蔵や冷凍の保存技術が発達していない時代であり、するめいかは天日干しされ、その日に割ったするめの口も干しておいて、大豆や乾物(昆布、干し椎茸等)や、その他の具材と一緒に煮付けて食されていた。
またするめの口のみの煮付けもあり、こうしたするめの口を使った料理は、浜仕事等で多忙な漁家女性が家族にすぐ食べさせられる常備食であり、その家庭や地域ごとの味があった。
現在はするめを干すのは、魚店や加工業者などの一部であるが、旬の時期に、家庭で調理した時のするめの口を天日干しするところもある。
干すと味がよくなり噛むほどに味が出るするめの口と、うま味成分たっぷりの乾物(昆布・干ししいたけ等)を組み合わせ、上手に利用してきた先人の知恵を受け継ぎたいと思い作っている。
材料(4人分)
- するめの口(干し) 100グラム
- ごぼう 100グラム
- にんじん 100グラム
- 大豆(乾燥) 40グラム(戻して100グラム)
- 干しいたけ 中3枚15グラム(正味12グラム)
- こんにゃく 150グラム(下ゆでする)
- 干し昆布(5センチ×20センチ) 15グラム
- タカの爪 少々
調味料
- 干しいたけの戻し汁・するめの口の戻し汁・水 合わせて600cc
- しょう油 大さじ2と2分の1
- 日本酒 大さじ1
- 本みりん 大さじ1
作り方
- 大豆は一晩、水に浸して戻す。つけ汁ごと5分から6分煮て、そのままおく。
- 干しいたけは水で戻し、石づきを取り除く。
- ごぼうは皮を包丁の背で軽くこそげ、細い方は1センチ厚さの小口切り、太い方は縦半分又は4等分にし、1センチ厚さの小口切りにする。にんじんも同様に切る。タカの爪は種を除き、小口切りにする。
- 下ゆでしたこんにゃく、戻した椎茸、干し昆布は1.5センチの角切りとする。
- するめの口はサッと洗い、ひたひたの水に30分位浸しておき、するめの口のまわりが白っぽくなる状態まで戻しておく。
- 鍋に1の水切りした大豆、するめの口、ごぼう、にんじん、こんにゃく、しいたけ、干し昆布を入れる。分量の干しいたけの戻し汁とするめの口の戻し汁、水、日本酒を加え、初めは強火で煮る。煮立ってきたら中火で煮る。
- 野菜が柔らかくなったら火を弱め、タカの爪を入れ、分量のしょう油と本みりんを加え、汁気が少なくなるまで弱火でコトコトと30分位煮付ける。
- 火を止めたら、鍋の蓋をしたまま味を含ませる。
- (生のするめいかを使う場合)
するめいか(中1本:正味150グラム)は割って内臓と骨、目を取り除き、洗って野菜に合わせた大きさに切り、作り方7のところで加える。
料理・技術のポイント及び工夫している点
- 昆布の質により、鍋に入れるタイミングをずらしている。
- 厚い昆布の場合、ダシがしっかりと出るように作り方6に入れて煮ていく。薄く煮えやすそうな昆布は、作り方7のタイミングで入れる。
- 化学調味料はいっさい使用せず、干しいたけの戻し汁、するめの口の戻し汁など天然の素材で、うまみをしっかり引き出す。
- 干し昆布はキッチンバサミで切ると楽である。
- 一つの鍋で煮込む料理なので、作りやすく冷めても美味しい一品である。
- 冷凍技術が発達した昭和30年代以後、この料理を家庭で調理する場合は、干した口だけではなく、冷凍のするめの口や生のするめいかを用いて調理されることが多くなった。
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