岩手県食の匠231 勝部友子さん(一関市) 椎茸八斗
料理の紹介(いわれ・特徴)
八斗(はっと)は東磐井地方の古くからの郷土料理である。特に米の穫れない時に代用食として食べていた。つめりばっと、すいとんとも言う。
春はわらび、秋はしいたけをはじめとするきのこなど、季節の野菜、山菜、茸類を使う、具だくさんの八斗である。一関市大東町はしいたけの産地であり、周年食べられる特産品となっている。
かつて米の代用食として食べられていたときは、煮干しだけでだしをとっていたが、郷土料理として、代用食からごちそうに変わってきた中で、豚肉等を入れるなど食味を追求する味付けに変わってきたものもある。
八斗は、一旦湯揚げし水にさらしてから加えることで歯ごたえのある食感となっている。
材料(5人分)
- 小麦粉(ナンブコムギ) 150グラム
- 水(小麦練り用) 90cc
- えごま油 小さじ1
- さといも 200グラム
- だいこん 200グラム
- ごぼう 50グラム
- にんじん 30グラム
- しいたけ 100グラム
- 三つ葉 10グラム
- 水 1800cc
- しょうゆ 50cc
- 煮干し 140グラム
- 酒 大さじ1
- 塩 小さじ1
作り方
- 小麦粉に水を加え、こねる際に小さじ1のえごま油をたらし、耳たぶぐらいの固さにこねて、ぬれ布巾を掛けて1晩ねかせて置く。
- ごぼうはささがきにし、水につけてあく抜きをする。
- さといもは切って小さじ2分の1の塩で塩もみし、ぬめりをとる。だいこん、にんじんはいちょう切りにする。
- 頭と腹腸を取った煮干を入れて、一晩つけただし汁を煮立たせる。煮立ち始めたらあくを取り煮干しを取り出し火を止める。
- ごぼう、さといも、にんじん、だいこん、しいたけを入れる。煮えた後、しょうゆを加える。
- 別の鍋にお湯を煮立たせて、ねかせて置いた小麦粉をのばしながらちぎれ入れ、一旦湯揚げし、浮いてきたら引き上げて冷水にさらす。
- 汁が入っている鍋に入れ、好みに合わせて小さじ2分の1の塩で調節する。
- 器に盛り、三つ葉をのせる。
料理・技術のポイント及び工夫している点
- 小麦をこねる際に地域特産のえごま油を加えることで、手に付きにくく、香りもよくなる。
- 汁をさっぱりさせるため、八斗を一旦湯上げし冷水(流れ水)にさらしてから、汁に入れている。
- しいたけは、切ってから、一晩程度冷凍してから汁に入れると香りが出る。
- かつては、煮干しだけのだしであったが、現代の若者の好みに合わせて、豚肉を使うこともある。その際の豚肉は100グラムを目安とし、酒と小さじ4分の1の塩で炒めておき、野菜が煮えた後で入れ、仕上げの味を調節する塩は、煮干しのだし汁のみの時よりも少なめとする。
- さといもの代わりにじゃがいもやかぼちゃを使うなど、その時期に採れる旬の野菜を入れている。
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