岩手県食の匠226 柴田照子さん(一戸町) 笹まき

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ページ番号1007837  更新日 平成31年2月20日

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料理の紹介(いわれ・特徴)

笹まきは、一戸町鳥越地区で旧暦の端午の節句に作られる行事食です。神様にお供えし、また大量に作って町内外の親戚や友人等に配るのが地域の慣習で、この時期の風物詩となっています。

昔、疫病が流行ったときに地域に入ってこないよう、地元の鳥越観音に笹まきを奉納したという記録もあり、現在も、旧暦の5月5日には観音様にもお供えします。

地域では、笹まきは旧暦の端午の節句の時のみに作るもので、旧暦の6月に入ったならば作ってはいけないと言われてきましたが、現在では、笹の葉がとれ始める時期になると作られ始め、笹の葉が冷凍できるようになったことから、いつでも作られるようになってきました。

笹まきは、米粉を熱湯で練り、細長い俵状に成形したもちを笹の葉で巻き、ゆであげたものです。

昔は米が貴重だったので、お供え用には米粉で作っても、自分達が食べるためにはヒエや麦が多かったのですが、米がとれるようになってからはどちらも米粉で作られるようになり、こしあんを包んだり、くるみを入れたりするようになってきました。

被推薦者の作る笹まきは、笹の香りが良く、軟らかいながらも噛みごたえがあり、甘さも控えめで、地域の子どもから老人にも喜ばれています。

笹の葉の抗菌作用で保存性が増すので、昔はたくさん作って天井につるしておいて食べたということです。現在も常温で3日から4日は保存できます。

材料(4人分)

くるみ入り 10個分

  • 米粉(うるち米:もち米=7:3) 300グラム
  • 砂糖(三温糖) 100グラム
  • 塩 小さじ2分の1
  • 剥きぐるみ 50グラム
  • 水 250cc程度
  • 笹の葉  20枚から30枚(葉の大きさによる)
  • い草 40センチ程度のもの30本

あんこ入り 10個分

  • 米粉(うるち米:もち米=7:3) 300グラム
  • 塩 小さじ2分の1
  • こしあん 150グラム
  • 水 250cc程度
  • 笹の葉 20枚から30枚(葉の大きさによる)
  • い草 40センチ程度のもの30本

あんこの笹まきに使うこしあん 笹まき10個分

  • 小豆 120グラム
  • ザラメ 56グラム
  • 黒砂糖 12グラム
  • 塩 小さじ3分の1

作り方

くるみ入り

  1. あらかじめ米粉から大さじ2程度を分けておき、取り粉とする。残った米粉をこね鉢(ボウル)の中に入れ、砂糖を混ぜ合わせる。
  2. 混ぜ合わせた粉の真ん中に、沸騰させた熱湯を少しずつ加えながらヘラで混ぜ合わせ、手でさわれる温度になったらヘラと手で水分をなじませ、もちの生地の温度が人肌程度になるまでそのまま冷ます。
  3. 2に手で大きめに割ったくるみを入れ、大体均等に混ざるまで、取り粉を手に付けながら2分程こね、まとめ、それを10個に分ける(1個60グラム位になる)。
  4. 3のちぎったもちをまん丸に丸め、両手の平で転がして細長い俵型に成形する。
  5. 洗った笹の葉の水分を軽くふき取り、1枚の笹の葉を表面を上にして縦に持ち、葉の上に4のもちを縦に載せる。
  6. もう1枚の笹の葉を同じ向きに持って、葉の縁を5の葉ともちの間に挟むようにして、1センチ以上葉を重ねながら、隙間ができないようにピッタリとくるむ。
  7. 水に浸けて軟らかくしておいたい草で、笹でくるんだもちの真ん中ともちの両端を縛り、5個位ずつ笹の茎をい草で束ねる。
  8. 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、沸騰したら分量外の塩10グラムを入れる。7の笹まきを入れ、蓋をして強火で15分程ゆでる。途中、上側と下側の笹まきを逆にするなどして全体に熱を通す。
  9. ボウルにたっぷりの水を用意しておき、ゆで上がった笹まきは、ザブン、ザブンという風に上側と下側を逆にして冷水に浸けて冷やし、すぐにザルにあげて水気を切る。笹の葉が乾いたら束をとき、茎を短く切ってできあがり。
    できあがった笹まきは常温で3日から4日位保存できる。軟らかいうちに密封して冷凍保存することもできる。冷凍した笹巻きは、自然解凍か、沸騰したお湯に凍ったまま入れて10分程ゆで直していただく。

あんこ入り

  1. あらかじめ米粉から大さじ2程度を分けておき、取り粉とする。残った米粉をこね鉢(ボウル)の中に入れる。
  2. 粉の真ん中に、沸騰させた熱湯を少しずつ加えながらヘラで混ぜ合わせ、手でさわれる温度になったらヘラと手で水分をなじませる。
  3. 1つの塊にまとまったら、取り粉を手に付けながら2分程こね、まとめ、それを10個に分ける(1個50グラム位になる)。ちぎったもちは、それぞれをまん丸に丸め、手の平で潰して直径7センチから8センチ程の円盤状にする。
  4. 15グラムずつ丸めておいたこしあんを4の真ん中に置き、少しずつ手をすぼめてだんごのように包み、生地で包み込んだらまん丸に丸め、両手の平で転がして細長い俵型に成形する。
  5. 以降はくるみ入りと同じ。
    あんこ入りは、常温で2日位保存できる。

あんこ入りに使うこしあん

  1. 一晩水に浸けておいた小豆を鍋に入れ、水をたっぷり入れて強火で水から煮る。煮立ったらすぐに火を止めて、ゆで汁を捨てる。
  2. 鍋に小豆の1.5倍量の水を加え、もう一度強火で水から煮る。沸騰したら中火にし、20分程、小豆がやわらかくなるまでコトコトと煮る。
  3. 小豆を目の細かいザルにあけ、できるだけ大きなボウルにザルを載せ、水をかけながら小豆を潰して皮だけを取り除く。こした小豆汁に水をたっぷり張り、少し置いて沈殿するのを待つ。
  4. 沈殿したら静かに上澄みを捨て、ザルの上に木綿の袋を広げ、中身を流し入れて濁りがなくなるまで流水をかけて洗う。
  5. 濁りがとれたら袋ごと絞ってしっかりと水気を切り、袋に残った生あんと砂糖類を鍋に入れて中火にかけ、煮立ったら火を弱火にする。
  6. 焦げないようにかき混ぜながら煮詰め、あんの水分が飛んで全体が硬くなったら、最後に塩を加えて味を整える。

料理・技術のポイント及び工夫している点

  • くるみは、細かくしすぎるとアクが出て渋くなるため、包丁で刻まずに手で大きめに割ること。また、もちの生地が少し冷めてから混ぜると渋みが出にくい。
  • 米粉に加えるお湯は熱湯を使うことで、硬くなりにくい。熱湯の量は、米粉の乾燥具合により加減する。
  • 笹の葉にくるんだ後は、蒸す方法もあるが、ゆでる方がもちに笹の葉の香りが移りやすい。
  • ゆで上げた笹まきを素早く冷水に浸すことで笹の葉の緑色が鮮やかになり、また、ゆでるお湯に塩を少し加えると笹の葉の色がきれいになる。
  • ゆでたら、ザルに上げたり竿にかけて早めに冷まして乾かすと日持ちがよい。
  • 笹の葉は6月上旬から6月いっぱい頃までに、新芽に茎を15センチ位つけて収穫する。この時期の葉は柔らかく色が鮮やかで香りも良い。時期が過ぎた葉は硬く、巻きづらくなる。茎は、ゆでるときに笹巻きを束ねるために必要。
  • 笹の葉は乾くとよれるので、採ってきたらすぐ束ねて水に浸けておく。笹の葉は、水を取り替えておけば数日は使える。保存しておくときは、きれいに洗って拭いて冷凍できる。使うときは自然解凍する。
  • い草は畳屋さんから譲ってもらう等して入手し、1本ずつほぐした状態で水に浸ける。ぬるま湯の場合は30分位浸ければ軟らかくなる。手に入らない場合は、たこ糸などで代用が可能。
  • 本来、神様へのお供え用なので、米粉で作るものではあるが、分量の米粉に対し、1割程度の雑穀(いなきび、ひえ等)を混ぜて作ることもできる。雑穀はゆでて軽く水を切っておき、粉類を混ぜるときに一緒に混ぜて作る。水分の多少により、加える熱湯の量を調整する。

写真:笹まき

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農林水産部 農業普及技術課 普及担当
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