平成31年1月25日知事会見記録

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記者会見開催日時

平成31年1月25日10時00分から10時46分

知事記者会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。

幹事社
 本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、質問がある社はよろしくお願いします。

記者
 先日、復興の基本方針の新たな骨子案が公表されて、復興庁の後継組織については言及がありませんでした。知事は、その復興庁の後継組織について、どうあるべきと考えていらっしゃいますでしょうか。

知事
 まず、福島県を中心とした放射性物質問題への対応というのが非常に大きいという状況の中で、宮城県、岩手県はじめ、まだ丸10年経っても復興の取組を続けていく必要があるというような事情も見えてきていると。この間、被災地の市町村の意見も復興庁として参考にしていく取組もあって、そういう中で適切な組織のあり方が決まっていけばいいというふうに考えています。

記者
 特に岩手県の事情を考えた場合は、どういった形が理想と考えますか。

知事
 極力早目、早目に事業が完了するように努めるわけではありますけれども、さまざまな事情から丸10年超えてハード整備が続く可能性もありますので、その財源がきちんと確保されていくということがまず大事です。そして、ソフト関係の心のケアなどについては、震災から一定の年月が経つと、かえってニーズが増えるというようなこともあり、丸10年を超えて取り組んでいかなければならないということが見えてきていますので、そういったことを国としても継続できるような体制というところが岩手からは大事なポイントです。

記者
 今後そういうことをどのように要請していきたいかと、県内の組織についてはどのように考えていらっしゃるか教えてください。

知事
 今回の復興推進委員会も含めて、随時復興庁と県や市町村との間のやりとりはあって、かなり意識を、考えを共有することはできてきているかなという手応えは感じていますけれども、毎年の予算要望のタイミングですとか、さまざまな時期に合わせて、さっき言った内容は繰り返し国の方に伝えていかなければならないというふうに思っています。
 もう一つ何でしたっけ。

記者
 県内の組織について。

知事
 まず、復興計画、県は復興計画を総合計画、いわて県民計画と一体化する形で、今いよいよ2月議会への提案というところまで来ていますので、その計画を推進していくために必要な体制というのは、県としてそういう体制を維持といいますか、復興局で言えば年度ごとに課の形を変えたりとかはあるわけですけれども、少なくとも来年度においては岩手県においても復興局の体制は続けていかなければならないと考えています。

記者
 ちょっと前後して恐縮なのですけれども、そもそも復興庁の後継組織は必要だとお考えでしょうか。

知事
 後継組織というか、今既に組織があって、それがそのまま維持されれば後継という言い方はしないのだと思うのですけれども、それも含めて、オールジャパンとして東日本大震災津波とそこからの復興に向き合うという体制は必要だと思います。

記者
 今日は、これ(週刊モーニング)についてなのですが、知事はILCの話、読まれましたでしょうか。

知事
 ええ、読みました。

記者
 どのような感想をお持ちになりましたか。

知事
 まず、毎号10万部とか20万部とかいう単位で売られている、非常に発行部数が多く、人気もある漫画雑誌の中の、またその中でも最も人気がある作品の一つ、「島耕作シリーズ」の中で、普通の連載の中でILCを取り上げてもらえるというのは非常にありがたいことだなと思います。さすが漫画としても、ゴルフ場でのある不思議な出来事から始まって、非常に漫画的に興味深くILCの話に入っていくのですけれども、ILC推進議員連盟に入っている国会議員が全国的な経済団体の役員を務めている島耕作さんにILCの説明をしていくという、自然な物語の流れの中で、まだ1回目の枠の中ですけれども、ILCに関する基本的な情報はもう大体伝えられています。それで、最初、全くILCを聞いたことがなくて、ちんぷんかんぷんだった島耕作さんが、最後の方では、よし、うちの経済団体としても、経済同友会をもじった経済交友会というのですけれども、経済交友会としてもILCに取り組もうと決断するところまでぐいぐい話が進んでいくので、非常にいいなと思いました。
 「島耕作シリーズ」は、その時々、日本が直面する経済、社会、政治上の重大なテーマを取り上げて、それで勉強になる、ある種大人の学習漫画として読んでいる読者も多いと思うのですけれども、そういう中でILCがきちっと取り上げられて、今までILCを日本国民全体に浸透させるため、いろんな手を打ってきたのですけれども、それらと比較しても段違いに広く深く浸透していくことができるようなことをしていただいているなと思います。

記者
 岩手県に何か相談とか取材はあったのでしょうか。

知事
 (ILC)100人委員会に弘兼憲史さん(にも)入っていただいていて、そこでのやりとりなどには岩手県からも資料を提供したりとか、お手伝いをしているところであります。作品を描くに当たって、直接誰にどのような取材をして描いているかについては、私は承知していません。

記者
 このタイミングになったことというのは、何か推測されることはありますか。

知事
 去年、(日本)学術会議のもとでの検討が原案の段階で公表され、そして全国的に広く議論が巻き起こり、そして最終案も発表されたのですけれども、この過程の中で今まで取り上げられていなかったような全国的なメディアでILCが取り上げられるようになり、今まであまり発言されていなかったような人や、あとはメディアも発言するようになるなど、ILCが日本の論点といいますか、ナショナルイシュー(国家的な問題)として確立したということが背景にあると思います。今まで多くのナショナルイシューを取り上げてきた「島耕作シリーズ」としては、やっぱりこれは取り上げなければと。また、その中で賛否両論ありますから、大事な問題であり、かつ、賛成の側から島耕作に活躍してもらわなければという思いを弘兼憲史さんが持ってくださって、そして描き始めたのではないかなと推測します。

記者
 ありがとうございます。岩手で取材していると、応援の機運がすごく高まっていることを感じます。一方で、東京で意見を聞いてみると、予算編成の立場から、まさに今知事も(予算)査定という状況でありますが、教育や科学の分野において予算がざっくりと決まっていると。それで、そこから減らしたりして、捻出して予算を持ってくるというような、その一般的な考え方からすると、おっしゃったとおり、(日本)学術会議があのような意見を出したことというのはやはりとても厳しいのではないかという意見があります。ここについて改めてどう思われているのかと、そういう牙城のようなものをどういうふうに岩手県としては突いていこうと。

知事
 (日本)学術会議の答申は、図らずも今の日本の学術界が置かれている状況、具体的には大学や公的研究機関が置かれている状況というのを浮き彫りにしたと思うのですけれども、政府として経済成長に直接つながるような分野を優先させて、そうではないような学部学科は減らしていくとか、また、経済成長に直接役立つような学部学科においても、その中の研究で成果がすぐ上がらないような部分については予算を減らすというような考え方とか傾向とかが、それが全てを支配しているとは思っていないのですけれども、要所要所にそういうのが出てきていて、大学関係者や公的研究機関の関係者の皆さんがそういう苦労をしている中で、ある種魂の叫びのような形で、そういう現状を前提としていて、巨大プロジェクトということには賛成できないという魂の叫びのような悲鳴が上げられたのかなと思いますので、ILC問題とはまた別に、今の日本の学術のあり方、大学や公的研究機関のそれ(研究)に対する予算のつけ方というのでしょうか、それについても日本の論点として議論しなければならないところなのではないかと思います。
 私の個人的な考えでは、やはり哲学とか歴史とか、そういう文系の直接経済成長に役に立たないように見える研究も非常に大事だと思いますし、また、理系の分野においても基礎研究というのがなければ、長期的には経済成長の力も弱くなっていくのではないかと思いますので、そこのところも見直しの議論をしていかなければならないのではないかなと思います。

記者
 よくわかりました。そうした基礎研究の大切さ、みんな考えていることであろうと思う一方で、その中で国の予算で造るということを念頭に置いていますが、その中で岩手がそこまで貢献したいということであれば、岩手県からはお金が出るのだろうかという議論も出てこようかと思います。現時点で知事は、岩手県からのお金ということを考えるとどのようにお考えですか。

知事
 マクロ経済政策の議論からすると、先月というか、去年というか、内閣官房参与を辞められた藤井聡先生などは、日本は公共投資が足りな過ぎると、平成の経済の低迷はひとえに緊縮財政路線がもたらしたものであって、もっともっと筋のよい公共事業、公共投資を日本は増やしていかなければならないと、そういう議論は若手論客の皆さんに結構広く浸透していると思います。
 フォーリン・アフェアーズというアメリカの国際関係雑誌を見ていますと、アメリカ国内は、これは共和党系も民主党系も、ヨーロッパ、ドイツの緊縮財政主義、それに引っ張られてEUが危機に陥っている、ユーロ危機に陥っているようなのを見ながら、やっぱり緊縮ばかりではだめなので、政府による公的な投資、インフラ整備とか、そして公共投資の中でアメリカにとって必要なのはインフラ整備と、あとは科学研究、基礎科学研究だという趣旨の論文がしょっちゅう載っていますので、ですから日本においてもやはり国の信用力で国債によって資金を調達し、そして国債の暴落とか、利子の急騰とかもない中で資金を調達して、それで公共投資を増やせるということは、やはりそれは国にしかできないことですので、ILCに関してはまさにそういう国の役割が求められていると考えます。

記者
 大槌(町)の旧庁舎についてお尋ねします。1月19日に建物の解体が始まりました。県内からまた震災の惨禍を伝える建物が1つ減ることについて、知事の受け止めを教えてください。

知事
 まず、大槌町内の自治のあり方として、震災発災以降、多くの議論を重ね、また、町長選挙、町議会議員選挙、そういう民意を示す場も重ねながら、町として解体を決めて進めているということは、大槌町の自治として尊重したいと思います。
 一方、東日本大震災津波を風化させてはならない、そしてそこから得られる教訓をしっかり伝承して未来に伝え、また、地域外にも伝えていかなければならないということについては、来年度からの新しい復興計画といいますか、いわて県民計画の中での復興事業の新たな柱として、3本の柱につけ加える4本目の柱として県としては立てますので、県としては陸前高田市に造られる(津波復興)祈念公園プラス津波伝承館を中心にしながら、ジオパークのサイトになっている震災関連のサイト、そういったところを軸にしながら、風化防止と津波の伝承ということをしっかり進めていきたいと思います。
 また、東日本大震災津波の今までの津波災害と違う大きな特徴は、動画が残っているということ、そしてその動画に加えてさまざまなテキストであるとか、写真であるとか、そういったものもデジタル化されて、岩手県は「希望」という愛称のアーカイブをつくっていますし、このアーカイブが国のアーカイブ、大学のアーカイブ、そして外国のアーカイブとつながっていますので、そういう意味では今までの大規模災害になかったくらいの風化防止、伝承ということは、さまざまな手段を使ってやれると思っていますので、県としてもしっかり取り組んでいきたいと思います。

記者
 震災の伝承についてなのですけれども、解体に先立って庁舎から時計だったり、はしごが取り外されたのですけれども、町がそれをどういった方法で活用するかというのは決めかねているのですけれども、それこそ先ほどお話に出た陸前高田の津波伝承館などで展示するという方法も一つ考えられるのかなと思うのですけれども、その辺り県からそういう働きかけみたいなのをするお考えというのはないのでしょうか。

知事
 今までの経緯からすれば、まずは大槌町の中で決めていただくことかとは思うのですけれども、何か相談があれば、県はいつでも相談には応じようと思います。

記者
 最後もう一点、解体に先立って盛岡地裁が示した判決の中で、震災遺構の存廃については地域住民の意見を十分に尊重する必要があるという司法判断が示されたのですけれども、今回の問題で改めて地域で震災遺構の存廃を議論することの難しさが浮き彫りになったかと思うのですけれども、知事として望ましい震災遺構の議論のあり方というのをどうお考えでしょうか。

知事
 今、国土交通省が震災伝承施設という名前、さきの週末、仙台で復興加速化会議があって、そこでもその話が出たわけですけれども、震災遺構という呼び方ではなくて、震災伝承施設ですか、ですからそもそも震災で損なわれたものというのはたくさんあり、それらをどれは直して使うのか、どれはそれを廃棄して新しいものを、例えば岩手県の3つの県立病院については移転新築という形にしているわけですけれども、住民がどのように暮らし、また仕事を確保し、そして学びが必要であれば学ぶのかという中で、津波で被害を受けた地域や、またそこにある施設をその後どのようにしていくのかが決まっていくわけで、その中で震災遺構として残すと決めれば、それが震災遺構となるのでしょうし、震災遺構という名前ではなくて、震災伝承施設という名前で生かしていこうというならそういう名前にもなるということだと思います。ですから、そういう視点でよくよく話し合いながら取り組んでいけば、変なことにはならないと思います。

記者
 岩手競馬に関してなのですけれども、先日、刑事告発に踏み切ったことについて、管理者としての理由だったりとか考えを教えてください。

知事
 競馬組合は、地方自治法上の特別地方公共団体、地方公共団体という意味では議会もあって、県とか市町村と同じ地方公共団体でありますので、そこが刑事告発をするというのは、これは非常に重いことでありますから、まずしっかり準備し、また、さまざま検討した上でやる時はやらなければならないというふうに考えてきたわけでありますけれども、まずその告発をするに足りる状況があり、また、準備も整った中で告発が行われたものであります。
 被告発人による行為は、公正を確保して行われる競馬事業の根幹を揺るがす重大な不正行為であり、日々誠実に業務に取り組んでいる岩手競馬関係者の努力を踏みにじるとともに、多くの競馬ファンの期待や信頼を裏切る極めて悪質な行為であるため、捜査の上、被告発人を厳罰に処していただきたく、告発するものであるという、特別地方公共団体である岩手県競馬組合のそういう立場をはっきりさせたものであります。

記者
 そうしますと、刑事告発したことによって、捜査の進展を期待したいと考えているとは思うのですけれども、再開の方針として、春競馬、3月で再開したいという方針だとは思うのですけれども、捜査の進展で再開する、しないというのは関係しないものと考えているのでしょうか。

知事
 さっきの震災遺構という言葉もひとり歩きし始めると、何か震災遺構と呼ばれるものはとにかく残さなければならないとか、震災後の状況に手をつけてはならないみたいな極論にもつながりかねない、言葉の使い方はよくよく気をつけなければならないと思うのですけれども、開催しない理由がない限り競馬は開催するものでありまして、再開するかどうかということではなくて、開催しなかった時は、それは開催できないと判断したから開催しなかったわけですので、そうでなければ開催はするわけです。今開催できない理由がないように、警備体制の強化を図り、また、警察による捜査の進展にも期待しているところです。

記者
 例年ですと、調教始めを2月20日ごろに終わっていると思うのですけれども、そのぐらいのころまでには再開を発表したいとお考えでしょうか。

知事
 今のところ、年末年始の競馬を開催しないということの発表しかしておりませんので、今後競馬をやらないという発表をするかどうかは、そこは状況を検討して決めたいと思います。今はまだやらないということは発表していないということです。

記者
 国で統計の不適切な処理問題について影響が広がっております。厚生労働省を皮切りに、国の特に重要な統計の56のうち、約半数近くにミスがあったということで調査結果が出ていますが、これについて知事の所感をお願いいたします。

知事
 昨日、総務省からそういう発表があって、驚いているところです。県それぞれの担当が、関係する統計について、何かしなければならないことがあるのかというのを検討してもらっていますけれども、今のところ県の方で何かしなければならないということは上がってきていないところです。
 総務省は公表の中で、国民生活に大きな影響はなく、予算案の修正は必要ないと説明しているということなので、そのとおりであれば地方自治体としてこれに関して何か求められることはないのかなという印象は持っているのですけれども、まだこの後、国の方から詳しい説明とか何かあるかもしれないので、それを待っているというところでもあります。

記者
 別件ですけれども、障がい者雇用の水増し問題と同じように、地方にもこの問題が波及していくという懸念もあるのですが、そこら辺はどうお考えでしょうか。

知事
 まず、岩手県として、不適切であるという22基幹統計で、県で作業(関連)しているところもありますから、そこで何か対応しなければならない問題があるかどうかは今調べているところです。今のところ、ゆうべからけさにかけて調べた範囲では、何かしなければならないことがあるという報告はない状況です。

記者
 それは、国の統計を活用する県の事務についてということだと思うのですけれども、県の統計そのものについて問題が波及するのではないかという懸念はお持ちなのでしょうか。

知事
 今回の総務省発表に伴い、県の方が何かしなければならないかどうかということについては、今は国からもそういう話はなく、県で独自に調べても、そういうのは今の段階では報告されていないという状況です。

記者
 私も基幹統計の件で、毎日勤労統計だけに絞ってお尋ねします。労働行政を揺るがしかねない事態だと思うのですが、毎日勤労統計の今回の不正、不適切に絞ってお尋ねしますが、どのように受け止められますか。

知事
 賃金水準とか、GDP水準、成長率等々、まさに国の基幹に関わるようなデータ、そしてそれに基づいて実際にさまざまな福祉の給付額が決まったり、また、民間部門においては給与水準を決めたりとかというような、そういう大事な統計が長い期間にわたって間違った数字が出されていて、かつ、最近は間違った数字を調整するために、何か急に数字がよくなるような作為的な調整も行われたとかと(言われていると)いうのは、これは決してやってはいけないことをやってしまったという、取り返しのつかないことが国として起きたということですので、国のあり方を根本から改めるようなことをしないと信頼回復もできないでしょうから、そこはよほど考えていかなければならない問題だなと思います。

記者
 今の政府としては、今回の勤労統計もありますけれども、さかのぼって調査の仕方について国会でよく与野党で議論があって、今回の勤労統計に関しては与党内からも異論が出ていますが、根本から改めないと、と知事がおっしゃっていたのは、この勤労統計に限らず、情報とか統計のあり方が今の国のやり方だと問題があるというふうに受け止めていらっしゃるということでしょうか。

知事
 はい。

記者
 わかりました。あともう一点、別件で、これも中央の話なのですけれども、国民民主党と自由党さんが最初は合流するという話が出て、今は統一会派を組むというような話になっていますけれども、今年参(議)院(議員)選(挙)がある中で、あるいは通常国会が来週から始まる中で、今中央政界の方で動いていると思うのですが、報道等をご覧になって、知事はどのような受け止めをされていますか。

知事
 身近なところを参考にしますと、岩手県議会においては両政党が既に統一会派を組んでいて、さらにその2つの政党のみならず他の党というか、無所属の方というか(他の党や政党に属していない方が)広く県民的な結集ということで会派を組んで、それが第1会派となって、岩手県議会において重要な役割を果たし、県から提案していること(議案)の議決も大事ですけれども、国政に対する意見についてもその会派を軸としながら、広い県民的な結集をつくって、大事な意見書をどんどん議決しているという、そういう実績があると思います。さきの議会においても、去年全国知事会が出した日米地位協定の見直しに関わる提言と同じ内容の意見書を採択するなど、岩手県のみならず日本全体に対しても大事な役割を既にもう果たしていると思いますので、そういうことを岩手県政の中だけではなくて、日本全体でやろうというのはいい話なのではないかと思います。

記者
 複数、国会等でも協力し合っている野党がいる中で、まず2つというのが、それは最終的にはもっと大きい塊になっていくための動きだと思いますか。

知事
 岩手県政において四分五裂という、盛岡タイムスさんが使い始めた言葉と記憶していますけれども、四分五裂ではだめだという県民の民意を受けて、そうではないような、県民の多数が結集するような形が県議会の中でもつくられるし、国政選挙の時でもそういう体制で国政選挙に臨むということが行われているわけで、それはその時々の当事者一人一人の努力と工夫によって、その時その時の形ができているということもあるわけですから、岩手県の中で成功していることが日本全国で成功しないことはないのだと思います。
 去年、明治150年の中で、明治維新は岩手で始まったとか、完成させたのは岩手県人だとか、日本全体の政治に対する岩手の人が果たすべき役割の大きさというのを私も盛んにしゃべっていたのですけれども、県民の間にも結構そういう意識は広がっているのではないかと期待しますから、岩手でやっているようなことを全国でもということには、岩手県民の皆さんも応援するのではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。例えば県政界でいうと、希望郷いわてを実現する会という、それは政党だけではなく、同じ志を持った人たちが結集したという形だと思いますし、今言ったような(日米)地位協定の話とかというのも、それはやっぱり政策パッケージみたいなものが一致していて、それを選挙で示して戦うというものだと思うので、そういう中で今の野党間のやりとり、国民民主党さんと自由党さんだけではなく、立憲民主党さんと社民党さんもいろいろ動きがあると報道で見ましたけれども、それは参(議)院(議員)選(挙)を見越してのことであるのであれば、政策のすり合わせみたいなのがあってしかるべき。でないと、ただただ数の優位をとるために結集していくのは意味ないと思うので。ただ、そういう観点からすると、政策で一致して合流する話になっているのかどうか、報道で見る限りはあまり感じられなかったのですけれども、知事はどうご覧になりますか。

知事
 岩手において、県民的な総結集、先ほど希望郷いわてを実現する会の話もありましたけれども、そういうのが実現した背景には、やはり東日本大震災という経験を、しっかり向かい合い、そして復興に真剣に取り組む中で、より大きな力の結集をということに特に岩手は先行してそういう流れができてきたのかなと思います。
 日本全体について、そうでなくていいのかというと、決してそういうことはなく、沖縄の問題、そして日米地位協定の問題なども象徴的なのですけれども、ある意味、岩手が直面している課題とはまた、もちろんオールジャパンで東日本大震災とそこからの復興に今以上に向き合って取り組まなければならないということも大きな要素としてあるのですけれども、プラス岩手以外の日本のあちこちが直面している問題、日本全体に関わるような問題に真剣に取り組もうとすれば、岩手で起きていることに勝るとも劣らぬ力の総結集ということが必要と思われて、そういう形ができてくるのではないかなと思います。

記者
 やっぱり政策で一致しないと一緒にはできないですよね。

知事
 いや、復興に真剣に取り組むという中で、ある事業をどのぐらいの規模でやろうとか、あるいは何年度までやろうとか、あと市町村がどのくらい役割を果たし、県はどのくらい、そして民間とかNPOにはこういう役割をというのは、そこはいろんな意見をがちゃがちゃやりながら、最初の段階ではいろんな意見があるというのが岩手の経験から見てもそうではないですか。県議会でも統一会派の中にもいろんな意見もあれば、違う政党からは違う意見は出てくるのですが、ただみんな復興ということに真剣に向き合う中で、最終的に意見が一つに絞られたり、あるいは多数決で決まったりしていくわけで、それを例えば被災者の方々への医療、介護を県独自の支援するのを何年度までやると決まってないから協力できないなんていう、そういうことで政策の不一致なんていう話にはならないわけですからね、そこはよくよく考えないとだめだと。考えるというか、政策不一致、政策不一致という言葉で殊さらに何か大きい目標に向かっていこうということの妨げになるような議論というのは危険だと思います。そういう何年度まで支援を続けるのかというのが決まらない限り、みんなで復興に力を合わせるということはやらないなんていうことになったら終わりだし、でも岩手ではそうはなっていないわけでありまして、それはオールジャパンでも同様なのだと思いますよ。

記者
 私も今の話題に関連してなのですが、県議会の方では統一会派を組んでやっているといったいい流れではないかということですが、国民民主党の中では小沢代表とたもとを分かった人もいるわけですし、抵抗感があるというような報道も出ていますが、それでもやはりたもとを分かった人ともまた再び合流するというのは知事としては可能だというふうに見ているのでしょうか。

知事
 結局は一人一人の国会議員の判断ですから、あの時の民主、自民、公明の3党合意で消費税は早い段階で10%まで上げますと、それに見合った社会保障の充実をやりますというところをやらなければならないというなら、それはまさに当時たもとを分かった小沢一郎さんはじめそういう人たちとは一緒にやれないということなのでしょうけれども、今こそ自民、公明とともに税と社会保障の一体的改革という人たちがいるなら、それはアウトなのでしょうけれどもね。

記者
 そうした意味で、こうした野党結集に向けた動きなのですが、知事ご自身の知事選(挙)の進退はまだ公表されていませんが、そうした進退等への影響というのはあるのでしょうか。

知事
 もう全然知事選(挙)のことは考えていませんで、そして今報道されているような国政の動きについても報道で知っているようなところでありますので、今しゃべってきたような感想を今は持っている段階です。

記者
 今のところは、特に進退等への影響というか、その判断にはまだ影響はないというような感じなのでしょうか。

知事
 知事の働き方としては、まだ2月議会も始まってなく、今日、予算の知事査定を終える予定ではあるのですけれども、まず年度内にやらなければならないことがたくさんありますから、まずこの1月、2月、3月にやるべきことにしっかり集中していくというところです。

記者
 私も今の関連でちょっとお伺いしますけれども、先ほどから知事は、言うならば結集といったものが必要だというようなお話でしたけれども、県議会の例なんかも挙げてですね。知事が考えている結集というのは自由党と国民民主党の合流のことを言っているのか、もっと大きな野党の塊というか、そういうことを念頭におっしゃっているのか、その辺お聞かせください。

知事
 四分五裂ではなくて、県民的な大きな結集をという、それは県政においては多数を形成して県議会であれば議長選挙とか、あとはさまざまな議決においてそこに結集した人たちが描くようなことをどんどん実現していくことができるという、やはり民意を形にしていく、実現可能な力まで結集しなければだめだと思いますよ。だから、国政であれば与党になるということです。

記者
 そうすると、今回統一会派を組むというところではありますけれども、国民民主党、自由党がですね。その先の合流であるとか、もっと立憲民主とか、そういった広い結集というか、協力が必要だろうというお考えでしょうか。

知事
 もうすぐにも政権交代できるくらいの広がりができれば大変結構なのでしょうけれども、まず少なくとも1強多弱と呼ばれる、民主主義国の政治のあり方としてどうなのかというような今の現状を脱却して、国民がちゃんと政権を選ぶことができるような二大勢力ぐらいに持っていくというくらいまでにはやっぱりすぐにもしなければならないのだと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は2月6日(水曜日)の予定です。

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