平成30年11月19日知事会見記録
平成30年11月19日15時30分から16時17分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事、お願いいたします。
知事
11月28日に招集する県議会12月定例会に提案する平成30年度一般会計補正予算(第4号)の内容を発表します。
補正予算の規模は16億1,000万円、補正後の現計予算額は9,775億円余となります。今回の補正予算は、震災分としては、沿岸被災市町村が実施する福祉灯油等事業に対する補助に要する経費のほか、被災した大船渡警察署大船渡駅前交番の復旧に係る用地購入費等を計上、また、通常分としては、県立学校生徒の重大事案に関する調査委員会設置運営費と人事委員会勧告を踏まえた給与改定等に伴う給与費を計上しています。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
それでは、ただいまの発表事項1件について、各社から質問があればお願いします。
記者
今の補正予算の関係ですが、被災地の福祉灯油の事業継続ということですが、8年連続になりますが、改めて知事のお考えをお聞かせください。
知事
今、石油関係の価格が高くなっているということがあります。また、復興についても、いまだ3,600人くらいの方々が仮設住宅等で生活している段階で、沿岸の全ての市町村が県の支援があれば福祉灯油事業を実施したいという意向を確認することができましたので、それら市町村を対象に今年度も補助事業を実施しようと決めたところであります。
記者
原油の高騰もあり、厳しい状況の中で今後も被災地の方で支援を続けていくというご判断だということでよろしいでしょうか。
知事
はい。
記者
先ほどの福祉灯油の絡みでお伺いするのですけれども、もうすぐ(震災から)8年が経とうとする中、そういう苦しい状況に置かれている被災者について、どう思っているのか、改めて受け止めを教えていただきたいのと、そういう状況を打破するために今後、福祉灯油も含めてどういった取組をしていきたいか、お考えを教えてください。
知事
この時期の仮設住宅は、私も何回か泊まったことがあるのですけれども、エアコンが備えつけてはあるのですが、かなりエアコンを強く回さないと暖かくならなかったり、また、エアコンを止めていると非常に寒くなったりします。もともと岩手県は全国的にも寒い方なわけですけれども、その間やはり健康が大事ですし、特に復興が長期化するに伴って、仮設住宅等での生活というのが長くなればなるほど、それはきつくなっていくわけでありますので、体や心の健康を守るためにも、そういった福祉灯油事業などを活用してほしいなというふうに思います。
幹事社
それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。今回、岩手競馬の禁止薬物検出の問題について質問ある社の方は、その問題についての質問からお願いします。
記者
岩手競馬の禁止薬物問題をめぐっては、本来であれば今日も開催をしている予定だったわけですけれども、今日を含めて1開催6日間が開催取り止めというふうになっている現状があります。改めましてですけれども、競馬再開の見通し、もしくはめどについてお話を聞かせてください。
知事
ファンの皆さんも、今のシーズン、岩手競馬開催の期待がある中での閉催というのは、大変残念であります。申しわけなく思っております。先週金曜日の競馬議会でも申し上げましたけれども、公正な競馬開催ができるように、今準備を整えているところでありますので、それができ次第、一日も早く開催していきたいという思いです。
記者
競馬再開の状況なのですけれども、これまでも何度も公正な競走ができる体制が確保されるまでと、されてからということでおっしゃっていますけれども、その具体性がどうもないという指摘が(競馬)議会からもあったと思います。抽出検査等はやっていて、もう既に陰性というものが判明した検査もあるようですけれども、何か具体的にこうなれば再開というふうなめどというのは示されないものなのでしょうか。
知事
違法薬物を馬が摂取していない状況で競馬が行われるようにしていくということでありますので、そのために必要なこと、また、そのことを確認するための作業などをしているところでありまして、逆に言えば、そういうことができさえすれば、もう問題なく開催できるということです。
記者
ちょっと今の質問と同じ、かぶってしまうのですけれども、2つありまして、1つ目、再開のめどについて、12月8日以降まで開催が延びてしまうと赤字になる可能性があるという話で、ただ知事はこれまでに存廃については議論する状態にはないということで、黒字でいけるというふうな見通しを持っていらっしゃるということで、そうなると、先ほどなるべく早期の再開ということでしたが、12月8日以前の再開を目指して今取り組んでいるというようなことでよろしいのでしょうか。
知事
いずれにせよ、今岩手競馬の存廃について検討しなければならない状況にはないと考えています。
記者
具体的な日程についてはどのように考えていらっしゃいますか。
知事
まず、競馬の再開はできるだけ早くしなければならないと考えています。それはそれで、一方、岩手競馬の存廃問題ということについては、これは今検討する必要はないというふうに認識しております。
記者
わかりました。それからもう一点なのですけれども、先ほど具体的な再開の条件として、違法薬物を馬が摂取していないということ、となりますと再開前に再開に向けた全頭検査というのはこれから予定であったりするのでしょうか。
知事
現場の方が公正な競馬の確保のためにさまざま今対応しているところですけれども、いずれにせよ薬物が体の中にある状態で馬が競走しないようにすればいいということです。
記者
そうなりますと、今抽出で検査を行っているのですけれども、全ての馬に対して薬物がない状態にということでよろしいのでしょうか。
知事
条件という言葉が言われているのですけれども、要は公正な競馬の開催ができればいいわけで、そのために何が必要かという工夫を現場はいろいろやっていますけれども、いずれ公正な競馬ができる状態を整えて、一日も早く再開するということです。
記者
今の質問に続きましてですが、抽出検査によって、当該レース、週末のレースに出走する馬の陰性が確認されれば再開は可能という認識で捉えてもいいのでしょうか。
知事
公正な競馬の開催ができる状態が整えば、これはすぐに開催ということです。
記者
20日、明日には、盛岡でもカメラの設置は完了予定ではありました。一方で、時期が早くて、見切り発車になるのではないかという懸念もありますが、知事ご自身のお言葉からは、早く再開することが望ましいというお言葉ですが、その見切り発車という批判的な見解に対してはどのようにお答えになりますか。
知事
公正な開催ができる状態が整えば、それは見切り発車にはならないと考えます。
記者
わかりました。あと、赤字のボーダーについての質問です。12月8日以降でしたでしょうか、そこまで赤字が伸びると単年度赤字になる可能性があると、これは知事もご懸念なさっていることでしょうか。
知事
競馬議会で事務方が質問に対して答えたのは、ちょっと今記憶に頼って思い出していますけれども、12日(間)休んでも赤字にはならないということを言っていたと思うのです。いつ赤字になるということは言っていなかったと記憶しております。
あと一方で、金曜日の競馬議会では、昨年度の決算としてさまざまな基金が、数千万円、何億円が決算で承認いただいたということも報告されています。報告されたというか、そういうことが金曜日の競馬議会ではあったのを思い出します。
記者
ということは、今年度に関してもその基金を用いる可能性はあるということで理解してよろしいでしょうか。
知事
今それを検討する必要はないと考えています。
記者
さっきの再開の条件のところとちょっとかぶってしまうのですけれども、16日の競馬議会で、知事はその再開の条件を薬物検出の原因の究明がなされた時点と考えるとハードルが高過ぎるというふうにおっしゃっていたと思います。原因究明は二の次、三の次でもいいというふうにも聞こえてしまうのですけれども、その発言の真意というか、考えをもうちょっと教えていただけますでしょうか。
知事
まず、原因究明は、対策をより確かなものにするために非常に重要ですので、それについてはしっかり取り組んでいくということを競馬議会でも申し上げていますし、今もそのとおりです。誰か議員さんが、「管理者は原因究明を棚上げにすると言ったが」というような発言をしたと記憶していますけれども、全然棚上げではなく、監視カメラの設置は警備の強化も、またそれは原因究明につながり得るわけですし、さまざまな馬が口にするようなものの検査もやっていて、それも原因究明のための作業を着実に進めているというふうに考えてはいますけれども、それはそれでやり、それで原因が明らかになれば、それは対策をより確かなものにする意義はあるわけでありますけれども、公正な競馬の実現ということが目標でありますので、それを一日も早く整えて、競馬再開をするということが岩手競馬としてすべきことというふうに考えています。
記者
すみません。そうすると、公正な競馬を実現するための絶対条件としては、原因究明というのはなくても、そろっていなくてもいいということになるのでしょうか。
知事
原因究明がない状態で南部杯をやったこと、皆さんもご存じだと思いますけれども、あの時点で南部杯をやったというのは、誰がいつ、どのようにして薬物を馬に投与したのか、あるいは誰がの部分というよりも、馬がいかにして薬物を摂取するに至ったか、そういう5W1H的なことについて明らかでないまま南部杯をやっているわけでありまして、ただあの時と今と違うのは、警備の体制をより強化しなければならないと考え、そしてそれを実行に移していること、そして必要な馬の検査ということを、あの時一通り終わったわけですけれども、今さらに追加的にやる必要があって、それらをまずやれば公正な競馬開催が可能というふうに今考えているわけです。
記者
私もちょっと今の質問に関連してなのですが、そうするとあくまでも原因究明ありきではないと。再発防止、それこそ対策は防犯カメラの設置等、そういった公平な競馬ができる条件が整えば、例えば、ボルデノンがしばらく検出されなかったという状況であっても、原因が分からなくて、しばらくボルデノンが検出されないという状況であっても、再開に踏み切る可能性があるということでしょうか。
知事
過去に既に南部杯をはじめ一連のレースをやったという例があり、そういう考え方に変更したところはありません。
記者
特に原因究明で長期間かかるようなことがあったとしても、そこはあまり重要ではないということですか。
知事
南部杯をやりながらも、監視体制の強化ですとか、真相究明につながり得る手はさまざま打っていたわけですので、それは今も変わりません。
記者
今回、(禁止薬物陽性馬)3頭が同じ厩舎から出ている、この点についてのお考えと、これは単なる偶然ではないと思われるのですけれども、それについて何らかの指示を出されたのであれば教えていただけますか。
知事
これは、競馬組合としてもこの真相究明に今取りかかっていますし、また警察の捜査によって明らかになることを期待します。
記者
知事は、このことについてどう受け止めていらっしゃるのですか。
知事
これは、事実を明らかにするというのは、証拠に基づき、証拠と推理を組み合わせて事実関係を明らかにしていくという作業を既に競馬組合、それぞれつかさつかさでやっていますし、また、警察の捜査もしているので、そのような形で事実関係が明らかになるよう期待しますし、また、何か知事部局として必要なことがあれば、したいと思います。
記者
重く見ていらっしゃるということでいいのでしょうか。
知事
なるべく私のしゃべったことを私の意思として、私がしゃべっていないことについて、それが知事の考えですかと聞くのはやめてください。やめろというのはきついから、やめてほしいと思います。
記者
わかりました。今週末については、判断を早くしなければ、開催するにしてもできないと思うのですけれども、今週末に限ってはいかがでしょうか。
知事
今、公正な競馬が開催できるような準備を進めているところですので、今週、中ごろ、水曜日ぐらいには発表できると思います。
記者
どういった発表ですか。
知事
それは、その時の発表の内容を聞いてほしいと思います。
記者
それは、週末に再開できるかどうかも含めてということですか。
知事
質問は、週末どうなるかという質問だったと思うのですけれども、それを発表するということです。
記者
先ほど知事が岩手競馬は現在、存廃の検討をしなければならない状況にはないというご認識だということですけれども、その根拠といいますか、言いかえると12月8日までに公正な競馬体制を確保できるという見通しにあると思ってよろしいでしょうか。
知事
まず、先週金曜日の(競馬)議会で執行部からの報告にあったとおり、今日までの開催の停止によって、赤字になることはないということが根拠です。
記者
再開の時期に関しては、先週の競馬議会でも少し踏み込んでスケジュール感を示すようにという声もありました。そうした中で、管理者の知事はじめ(競馬)組合の皆さんはできるだけ早くとおっしゃって、具体的には踏み込まなかったのですが、時期を言ってしまうとできなくなるかもしれないのに、この日には再開させますとかという目標だとしても、掲げても、後でみんなをがっかりさせては困るから、そういうスケジュール感みたいなものはあえて示さないように、そういうお考えのもとでできるだけ早くとおっしゃっているのでしょうか。
知事
計画では次の開催は今週土曜日、24日ですので、そのぎりぎりにならないうち、水曜日ぐらいには24日どうするか発表できると思います。
記者
それは、さっき別の記者さんともやりとりしていたみたいに、その当日の発表を待ってもらえればということでしょうか。
知事
裏を返すと、今は発表できる状態にないので、そういう意味では先週金曜日の時点と変わりがありません。
記者
禁止薬物陽性馬をめぐる一連の(競馬)組合の広報姿勢についてお伺いしたいのですけれども、まず、3頭目の禁止薬物陽性馬が出た後になります11月9日に、盛岡競馬場で再発防止対策チームの会議があったかと思うのですけれども、その後対策チームの委員長、県の競馬改革推進室長ですけれども、対応していただけるというお話だったのですが、結局、再発防止策を議論したというお話だけで、その後質疑応答にも応じられませんでした。その後、先週のレース、休止が決まった後、(記者)クラブから管理者である知事に対してぶら下がりを要請したと思うのですけれども、こちらも応じていただけませんでしたけれども、県をはじめとする構成団体からかつて330億円の融資を受けたという経緯を踏まえましても、県民に対してその都度しっかり説明をする責任があるのではないかと思うのですけれども、それについて知事のご見解をお願いします。
知事
私自身については、今聞かれたことにことごとく答えていると思っているのですけれども、何かあれば今聞いていただきたいと思いますし、また、競馬組合のマスコミ対応については、なるほど、不満があることがわかりましたので、私からもちゃんと対応するように指示したいと思います。
記者
よろしくお願いします。
幹事社
競馬の関連の質問はいいでしょうか。次に、ILC(国際リニアコライダー)に関して質問ある社の方、お願いします。
記者
2点お願いします。先日の日本学術会議の回答案を受けて、知事が出してくださった談話の中で、意外な案だというようなコメントがありましたが、この言葉の背景というか、ここは違うのではないかと反論する場所であったり、その辺具体的に教えてください。
知事
まず、巨額の予算だとか、ほかの学問分野の影響云々とかということは、果たして学術会議において検討することなのかなということを疑問に思います。やはり学術、科学の視点からILCがやろうとしていること、ILCにできることについて検討していただくことが期待されているのではないかなと思います。幾つか科学の中身の部分で記述されていることもあるのですが、ただそこもLHC(大型ハドロン衝突加速器)の役割とか、そしてILCを20キロメートルにした場合の効果などについて、どうも明らかな誤りがあるようですので、その辺は専門家の方が反論を、明日東京で反論の発表会、記者発表のようなことが行われると聞いていますけれども、そういった問題があると思います。
記者
学術的な部分というお話でしたけれども、知事の談話の中では、どちらかというと例えば、海外との、本県であったり、誘致団体のコミュニケーションの部分であったりとか、県民、国民に対する理解促進の部分についても、学術会議の言っていることは、現場というか、やっている側とは捉え方が違うというような指摘なのかなと思ったのですが。
知事
そうですね。コミュニケーションがなかったかのごとく書かれているけれども、かなりあったと思います。地域住民の皆さんがこれだけ基礎科学に関することについて学んだり、活動したりしている例というのは、古今東西あまりないのではないかと思いますし、県は県で工藤知事のころから、国内の専門家の方々とのやりとりをはじめ、そしてそれは海外の専門家とのやりとりにも広がり、日本の地方公共団体でこういう基礎科学についてこれだけ科学の専門家の皆さんとさまざまやりとりしている例というのもあまりないのではないかと思いますので、そういった事実関係が反映されていないなという思いもありました。
ただ、改めて思うのは、そういう地元とのコミュニケーションとか、何かコミュニケーションの話というのが学術会議において検討されるべきことなのかというのもちょっと疑問があります。いざ造ると決めた時に、地元の理解はあるかみたいな話になってくるのかと思うのですけれども、今検討が期待されているのは、ヒッグス粒子が本当に質量を決める重要な粒子で、あらゆる科学技術の分野に関係しているそのビッグス粒子の性質が明らかになることの効果がどのくらい広くあるかみたいなことの検討が期待されているのではないかと思うのですけれども、そういうのも全然書いていなかったのも意外でした。
記者
もう一点お願いします。今の知事の受け止めからすると論点がずれてしまうかもしれないのですけれども、その回答の中で国際経費分担がまだ見通しがないですとか、あとは国内外含めた人材のやりくりというか、確保に対しても不安が残るというような指摘がありまして、ただこちらというか、結構海外の研究者であったり、フランス、ドイツの国会議員さんだとか、アメリカのエネルギー省の方だとかが来て、誘致支持、何かある時に人材であったり、あとは技術的とか金銭的な支援もするという前向きな態度を表明してくれている中だと思うのですけれども、そうなるとこれから誘致側としてどこをポイントとして取り組んでいけばいいのかというのが見えにくいなと私は個人的に思ったのですが、日本政府の前向きな態度表明に向けて、ここをクリアすればそういうのを引き出せるのではないかとか、そういうものというのはどうなのでしょうか。
知事
10年くらい前にもう決まっていてもいいのではないかという話だと思いますので、日本に造ることを決めるに当たって、何が必要なのか、何がクリアされればいいのかというのは、説得(する)技術とか、会議の開き方の技術的な問題としていろいろあるのかとは思うのですけれども、今、学術会議との関係で言えば、科学的には世界的に必要性が唱えられ、人材については日本の国の研究機関とか、あるいは旧国立大学、今の国立大学法人ですか、そういったところだけ見ていれば、足りないとかという話が出るのかもしれないですけれども、岩手でも世界中のILC、あるいは広く加速器科学に携わる人たちが集まったりしていますけれども、あの人のネットワークがあればILCは造るのに10年かかるわけですけれども、すぐにでも動かせるような人的状態にはあるのではないかなと思います。
そして、お金の問題というのは、基本は財政民主主義、民主主義のプロセスにおいて最終的には国会で決められることだし、その準備は政府が行うことなので、学術会議との関係でお金の問題についてどうこうということは本来心配しなくていいことなのだと思います。
学術会議の問題を離れて、日本として最終的に国民的にやると決めなければならないわけですので、そのためにはまだまだ日本国民に広く知られ、そして強く支持されていく必要があるとは地元としても思っていますので、やはりそういう国民全体に知らせ、そして必要性を訴えていく活動というのを今年度重点を置いてやっているところでありますけれども、これはしっかりやっていかなければならないと思っております。
あとは、政府や国会との関係については、この夏から秋にかけ、自民党の政調の調査会(など)の正式な機関を束ねたILC(誘致実現)連絡協議会ができましたので、そこへの働きかけ、そことの連携というのが大事だと地元としては考えています。
記者
おっしゃっていることはすごく理解できたのですけれども、とはいえ、政府も学術会議の提案というのは無視するわけにはいかないことだと思います。早ければ21日にも見解案がまとまると見られていますけれども、研究者たちは明日意見書を出すということですが、県として何かされる予定はあるのでしょうか。
知事
やはり学術会議における議論として大事なのは、科学的な内容に関する部分で、そこに関する事実誤認が今指摘されていますので、それを解消することが今は大事なのだと思います。ということで、専門家、科学者の皆さんが今集まって、明日こういうふうに直すべきだという意見をまとめて発表するということなので、そういった流れに県として何かあれば協力しますけれども、県独自に何かということではなく、やはり学術会議と呼ばれ、科学的な議論をする局面については、そういう科学者の皆さんの主導権に委ねたいと考えます。
記者
別の記者さんの質問とちょっと重複するのですけれども、懸念されている1つ、大きな壁が巨額な建設費用だと思います。それについて、この前の見解では、日本学術会議は意義は認めるとする一方で、そこへの懸念が大きかったかなと思います。改めてそれについての受け止めと、一部の指摘では国際分担は日本が誘致を示してからでないとテーブルに着けないというようなご指摘もありますが、知事はどう考えているのか教えていただけますか。
知事
意義があるというのはそのとおりだと思いますし、また、国際分担についてもヨーロッパにおける締め切りが近づいていく中で、フランスのベシュト議員さんなど、日本側としてできるような形で、また、ヨーロッパに対してもきちっとメッセージになるような動きを期待するというような、そういう現実的な調整の段階に入ってきていると思います。そして、先ほど述べた自民党のILC(誘致実現)連絡協議会、これは超党派の議連と連動して動いているわけですけれども、そちらでも国内的には既存の科学研究費とは別枠にするでありますとか、あとは日本政府としてやると決めなくても、国際的な交渉のスタートはオーケーするぐらいの、議論の対象にはするぐらいの決め方でもいいというような主張にトーンも変わってきていますので、そういう中で現実的なまとまりどころを目指して、今、事は動いているなという、そういう手応えを感じています。
記者
これは、確認なのですが、私から最後で、建設費に関しても本来議論は日本学術会議でするべきではないことなのでしょうか。
知事
最終的には国会の中で国の予算は決められるわけですよね。福祉にどのくらいかけるべきかとか、あるいは国防ですか、防衛費をどのくらい、そういう全体の中で、今80兆円から計算の仕方によっては100兆円ぐらいの国の予算がある中で、年間300億円から400億円というものをILCの方に出すかどうか。それは、今、国際宇宙ステーションで日本がさまざま実験をやるというのの、たしかそれは年間500億円で、それよりはまだ少ない額と理解していますけれども、やはりそれは予算全体の中のバランスとして最終的には決められるので、宇宙についてはかなり、宇宙ステーションとか宇宙飛行士の人がスペースシャトルでそこに行く、ソユーズとかも使ってそこに行くなんていうのは、スペースシャトルとソユーズの違いなどもかなり多くの国民の知るところとなっているのですけれども、CERN(セルン(欧州原子核研究機構))のLHCとILCの違いみたいなものも広く国民の中に知られていく中で、日本にとってお金をかけなければならないことはたくさんあるのだけれども、基礎研究という観点、友好、平和のための国際的事業という観点、また、東日本大震災後の新しい東北のあり方という観点、そして日本全体の科学技術を基礎にした未来の発展方向とかという、そういうビジョンの中にうまくはまる。今言ったような話は、学術会議で福祉予算とか国防予算の比較とか、新しい東北はどうあるべきかというのは議論すべきことではないのではないかなと。してもいいけれども、何かそれを理由にして反対みたいになるのはちょっとおかしいのではないかなと思うわけです。
記者
すみません、もう一点だけ。そういう決められた予算がある中で、年間300億円、400億円かける価値は十分にあると考えていらっしゃるということでいいのでしょうか。
知事
まず、ヒッグス粒子の究明ということだけでもそれだけの価値はあると思いますし、東日本大震災後の新しい東北というののグランドデザインの中での要の施設として意義がそれだけでもあると思いますし、また、10月にCERNを訪問した時に改めて思ったのは、国連本部の誘致ほどではないですけれども、科学という普遍的なテーマ、何人であれ、どんな民族、あるいはどんな国籍であれ、共通に語り、そして共通に追求していくことができる基礎科学ということについて、世界中の人が集まって活動する大きな場を日本の中に造るというのは、アジアの平和、そして世界全体の(平和)ためにもかなり有効だと思っていて、そのために年間数百億円というのは十分に回収できるといいますか、価値がある、価値を実現できるそういう事業だと思います。
幹事社
ILCの質問、以上でいいでしょうか。その他の質問ある社の方、お願いします。
記者
今、一旦切りましたけれども、ILCの話を私も。なかなか東京でいろいろ行われていて、つぶさに理解しているわけではないのですけれども、結構先週の議論というのは、誘致を進める、建設実現を願う地元にとってはショッキングな話だったのかなと私としては受け取ったのですけれども、今回のこの見直し案に対する検討で今週いろいろ動きがある中で、これを通り過ぎて年内が山と言われている建設実現がどうなるかということに関して、これから県とか、あるいは明日ILC推進プロジェクトさんの方で発表する内容というのは、サヨナラホームランを打つような、そういう思いでやるものなのでしょうか、それとは全く違う類いなのでしょうか、どう捉えたらいいでしょうか。
知事
価値あることをみんなでやっていこうという時には、やはりいかに価値があるのかということを先に気が付いた人、先にそれが分かった人たちがそれを徐々にこれから分かる、これから知るという人たちに広げていくということが大事だと思うのです。そういうことを着実にやっていけば、筋のいいこと、世のため、人のためになることというのは実現できると思っていますので、そういうことをやっていくというふうにすれば、そうそう悪いようにはならないと考えています。
記者
ありがとうございます。あと、別でもう一件。今日、議案説明会でもありましたし、あと、盛岡市の方で先週説明があったのですけれども、県と盛岡市で共同で整備しようとしている野球場の件について、連携協約という、地方自治法に基づいた協約に関する議案をそれぞれ議会に提出する予定なのですけれども、その中でも費用負担に関しては別途定めると基本計画案の中にもあるのですけれども、それぞれ理解が一致して共同で整備した方がいいということで判断したわけですが、県と盛岡市が整備する中で、今後の管理運営のところも含めて、費用分担のあり方というのはどういうものが望ましいと知事はお考えでしょうか。
知事
分担することに意義があるので、それによって100%出すよりは負担が少なくて済むわけですし、また、それがあるからこそ、単独でばらばらにやってできるであろうものより大きいものを造ることができるので、一緒にやることに意義があるので、まずそのことを決めましょうと、あとは(費用の)分け方はこれから決めていけばいいと思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は11月28日(水曜日)の予定です。
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