「いわて幸せ作戦会議(in奥州)」(令和7年1月14日)
日時
令和7年1月14日(火曜日)10時30分から11時50分まで
場所
奥州地区合同庁舎分庁舎 3階大会議室
出席者
・参加者(敬称略)
菊地 毅 (有限会社菊地畜産)
渡邊 淳子 (Vegefruハーモニー 代表)
菊池 陽佑 (勘六縁 代表)
・県側
達増 拓也 知事
小島 純 県南広域振興局長
小野 博 政策企画部長
開会
小野部長
ただ今から、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in奥州」を開催いたします。
皆様には、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、「農林業に取り組む私の未来予想図」を懇談テーマといたしまして、県南地域で農林業の各分野において意欲的に取り組んでいらっしゃる皆様にお集まりをいただいております。
私は、本日の進行役を務めさせていただきます、県政策企画部の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
知事あいさつ
小野部長
それでは開会に当たりまして、達増知事から挨拶申し上げます。
達増知事
皆さんおはようございます。お忙しい中、御参加いただきありがとうございます。また県議会議員の皆さんにもおいでいただきまして、ありがとうございます。
県政懇談会は、岩手県内の各地域、また各分野で活躍する皆さんの生の声を知事が伺って、県政に役立てるということでやっておりまして、「いわて幸せ作戦会議」と銘打っているのは、今の県の総合計画(「いわて県民計画(2019~2028)」)の基本目標を、「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」とうたっておりますので、その幸福を守り育てるための作戦会議という意味で、「いわて幸せ作戦会議」と銘打っております。今日のテーマは「農林業に取り組む私の未来予想図」ということで、農林業がテーマでありますし、また、地方創生という人口減少対策でもあり、地域振興でもあるんですけれども、こうした視点も交えて、農林業というのが、岩手を、特に若者や女性に選ばれる地域として未来に向かって進んでいく、そういう県にしていくためにも重要な分野であるということもありまして、「農林業に取り組む私の未来予想図」というテーマであります。去年、米不足ということが日本全体に起きまして、改めてお米から農業に対する全国で国民の関心が高まったと思います。それと並行して、国の食料・農業・農村基本法が改正されまして、今の時代背景のもと、日本の農業が強くなるように、食料安全保障という観点から、ちゃんと国民が食べていけるように食料が足りなくならず、また質的にも良いものと、そういう流れになってきますと、食料自給率が一貫して100%を超えている岩手県というのは、日本の中でも重要な役割を果たしていくところになるわけでありまして、岩手の未来を考えるのにあたっても、農林業は非常に大事であります。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
小野部長
ありがとうございました。
出席者紹介
小野部長
本日御出席を予定しておりました、有限会社アイシンフォレスト取締役の曾澤麻希子さんですが、体調不良のため急遽御欠席といったことでございます。
本日は、お集まりの3人の皆様と懇談会を進めてまいりたいと思います。この後の進め方についてお話申し上げます。まず私の方から、お一人ずつ御出席の皆様のお名前を御紹介いたしますので、続けて1分程度で簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、お一人ずつお話が終わった都度、知事からコメントをお願いするというような形で、区切りながら進めてまいりたいと思っております。そして、最後に自由懇談の時間も30分程度設けたいと思っておりますので、お話が足りなかった点などは、自由懇談の時間もお使いいただければと思います。
それでは、私の方から本日御出席の皆様を御紹介いたします。はじめに、有限会社菊地畜産の菊地毅さんです。お願いいたします。
菊地 毅
皆様、改めまして有限会社菊地畜産の菊地毅と申します。よろしくお願いいたします。私は、牛(畜産)の方を経営しておりまして、メインは肉牛として出荷しておりますが、繁殖の方もやっておりまして、大体全部合わせて280頭ほど牛を飼っております。その中で、大体毎月出荷する牛の頭数が、10頭から12頭ほどおりまして、年間では220から230頭を出荷して経営しております。よろしくお願いします。
小野部長
よろしくお願いいたします。続きまして、Vegefruハーモニー代表の渡邊淳子さんです。
渡邊 淳子
皆様こんにちは。一関から参りました渡邊と申します。よろしくお願いします。今日は、このような機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。私は、地元(一関市花泉町)に生まれまして、高校卒業後は地元のJAに就職しました。24年勤めましたけれども、そこで農業に興味を持ちまして、転職という形になります。兄が農業を継いでおりましたので、現在は兄と一緒に年間約80品種の野菜を育てて販売しております。私自身は、7年ほど前に「Vegefru(ベジフル)ハーモニー」という屋号で6次産業を始めまして、今テーブルに並べておりますけれども、ドレッシング、それから甘酒といった商品を開発し、販売しております。品目につきましては、私自身はビーツという、こういった(赤の)ビビッドカラーの野菜、それからブルーベリーの生産をしておりまして、生産、加工、販売ということで今やっております。本日は、よろしくお願いいたします。
小野部長
お願いいたします。続きまして、勘六縁(かんろくえん)代表、菊池陽佑さんお願いいたします。
菊池 陽佑
遠野から参りました、勘六縁の菊池陽佑と申します。どうぞ、よろしくお願いします。私は実家が遠野なので、(一度市外に就職し)2011年に帰ってきまして、そこで新規で農業を始めて今に至ります。今は、妻と私、あと社員一人とアルバイトスタッフが7名ほどで、規模的には約8ヘクタールほどお米づくりをしています。作り方がちょっと特殊で、無肥料・無農薬というやり方をしていて、品種もまた特殊で、大体3品種メインであるんですが、まず一つが「亀の尾」、亀の尾というのは日本の白米の祖先にあたるお米で、「夏子の酒」(講談社1988年から1991連載)という漫画のモデルになったお米です。あとは「遠野4号」という品種があって、遠野に県の(農業)試験場が昭和初期にあって、そこで開発されたお米が、「遠野1号」から「遠野4号」まで四つあるんですが、その「遠野4号」を独自に復活させて栽培しています。これを紹介していただいたのは、県の(農業)普及員の方です。もう一つが「ササニシキ」です。販売は、個人のお客様に直接というのがメインです。あとは飲食店さんだったりするんですが、お米と一緒に、今日お配りしているリーフレットだったりを入れています。あとは、お米のパッケージはこんな感じで(パッケージを提示)、これ全部一つ一つ判子です。印刷ではなくて。あと、去年公開になったんですが、私たちのことをたまたま東京、神奈川の方が、映画に撮りたいと、残したいということでよくしていただいて、去年、映画も公開になりました。以上です。
小野部長
どうぞ、よろしくお願いいたします。
先ほどお話いたしましたが、有限会社アイシンフォレスト取締役の曾澤麻希子さんは、体調不良により御欠席でございます。曾澤さんが取締役を務める有限会社アイシンフォレストでは、従業員8名のうち女性が3名で、女性が働きやすい職場づくりを目指して取り組んでいらっしゃいます。また、県の農山漁村で輝く女性部会委員としても活動されております。本日御欠席ですが、こちらの方に1枚資料をお届けいただいております。後ほど、御覧いただければと思いますし、右下の方にインスタグラムのQRコードもついていますので、お目通しいただければと思います。
それでは、県からの出席者を紹介いたします。県からは、先ほど挨拶いただきました達増知事、県南広域振興局の小島局長が出席しております。
なお、本日は、県議会議員の皆様にもお越しいただいておりますので、御紹介申し上げます。
北上選挙区選出の、関根敏伸議員でございます。
関根敏伸議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、佐藤ケイ子議員です。
佐藤ケイ子議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、髙橋はじめ議員です。
髙橋はじめ議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、遠野選挙区選出の、はぎの幸弘議員でございます。
はぎの幸弘議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、一関選挙区選出の、岩渕誠議員です。
岩渕誠議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、奥州選挙区選出の、郷右近浩議員です。
郷右近浩議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、菅原亮太議員です。
菅原亮太議員
よろしくお願いします。
小野部長
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
懇談
<テーマ>
農林業に取り組む私の未来予想図
小野部長
皆様のお手元にお菓子と飲み物を準備しておりますので、是非お召し上がりいただきながら御懇談いただければと思います。まず、小島局長から今日のお菓子と懇談会のテーマについて御紹介いたしますので、是非お召し上がりいただきながら、お聞きいただければと思います。お願いします。
小島局長
座って失礼いたします。
まず、本日のお菓子とお飲み物を御説明申し上げます。本日のテーマが、農林業に関わるものということで、県南広域振興局管内の農産物を原材料としたお菓子とお飲み物を御用意いたしました。どうぞ、お召し上がりいただきながらお聞きいただければと思います。初めに、お手元のお菓子でございますが、「わらび粉みるくプリン」でございます。西和賀町の特産品である「西わらび」の根茎、根っこから採れる希少なわらび粉、これは精製法と採取量の貴重さから、金になぞらえられる逸品です。そのわらび粉と同じく、西和賀産の新鮮な牛乳や生クリームをたっぷり使い、もっちり濃厚に仕上げたミルクプリンとなります。付属の黒蜜をお好みでかけてお召し上がりいただきますと、より和テイストなデザートになります。このお菓子は、西和賀町にあります「工藤菓子店」で販売されております。次にお飲み物ですが、「奥州はと麦茶」でございます。こちらは、奥州市衣川産の「はと麦」を100%使用しておりまして、「奥州の歴史ロマンと味わい深い健康美茶」をキャッチコピーとしております。なお、ラベルを見ますと、衣川にゆかりのある源義家(みなもとのよしいえ)、安倍貞任(あべのさだとう)の武者絵が目を引くところでございますが、この絵は、衣川に居住された経験のある漫画家で、映画にもなりました「リトル・フォレスト」(講談社2002年から2005連載)の作者でいらっしゃる五十嵐大介氏が描いたものになります。このお茶は、岩手ふるさと農協の産直施設で販売されております。お飲み物とお菓子の説明は、以上でございます。
続きまして、本日の懇談テーマ「農林業に取り組む私の未来予想図」についての御説明でございます。豊かな自然環境に恵まれております本県の農林業ではありますが、近年、従事者の減少や高齢化に加えまして、気候変動など、その取り巻く環境が変化しているところです。本日は、県南圏域内の農林業の各分野において、意欲的に取り組まれている方々から、御自身の活動内容や取組を御紹介いただくとともに、将来に対する展望、あるいは農林業の振興のために取り組んでいくべきことなどについてお話をお伺いし、今後の取組の参考とさせていただきたいと考え、このようなテーマといたしたところでございます。残念ながら、北上市の曾澤様が御欠席ということで、林業分野のお話を今日はお伺いできませんけれども、3名の方々から貴重な御意見、御提言を頂戴したいと存じますので、よろしくお願いいたします。私の説明は以上でございます。
小野部長
ありがとうございました。それでは、進ませていただきます。先ほど、小島局長からも御説明ございました、今日のテーマ「農林業に取り組む私の未来予想図」に沿って、現在の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負、県へ期待することなども含めてお話を伺えればと思います。進め方ですけれども、お一人ずつお話をいただいた後、知事からコメントしていただくという形で進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、お一人目、菊地毅さんお願いいたします。
菊地 毅
冒頭の挨拶で、私ちょっと間違ってしまったかもしれないです。毎月10頭から12頭の出荷ですので、年間では140頭ほどの販売になります。ちょっと言った後に「あれ」と思いまして、申し訳ありませんでした。
私が行ってる経営は、先ほど言ったとおり、肉として出荷する肉牛です。出荷先は、東京食肉市場(株式会社)というところに大体9割、あと、県内の(株式会社)いわちくさんの方に、月大体2、3頭くらい出荷しています。それで、もともと私の家は、雌を主体で肥育を行っていたんですが、今では去勢も行っていまして、今の牛というのが、改良だと思うんですが、すごい大きくなって、枝重(枝肉重量)が昔よりもすごいとれています。ただ、私の家で扱っている牛というのは、正直そんなに大きくありません。というのは、増体にこだわりたいところは確かにあるんですが、私の父からの教えでもあるんですけれども、牛の体型、あとはよく「モモ抜け」っていうんですけれども、モモまでしっかりサシが入って美味しそうなお肉を作りなさいと、そういう牛を作るためには、やはり、そういう俵型の牛を作っていかなきゃいけないのかなと、そうなると、なかなか枝重がとれないということもあるんですが、うちはそれを逆にストロングポイントとして、東京のお客さんたちにアピールしております。
この肉というのが、やはり相場に大変左右されるので、良いときは良い、悪いときは悪い。悪いときにやっぱり高く売りたいんですね。なるべく、皆さんよりも10円でも50円でも100円でも、そのために自分の家の牛の作り方のスタイルというのは変えないで続けています。一方で、「もっと菊地のところは、枝重を増やして、もっともっと販売額を大きくした方がいいんじゃないか」とは言われておりますが、私は、このやり方でこれからもやっていきます。うちは繁殖経営、繁殖の方もやっているんですが、もちろん子牛市場でも、子牛を買ってきて、育てて、お肉にして売る。子牛市場の相場は、基本的に、気持ちからすれば、安く仕入れて高く売りたい。ただ、やっぱり良い牛は良い。そういう牛はもちろん高くなるんですね。それは、繁殖農家さんがもうしっかり大事に育てていただいた牛なので、それはもう欲しい牛は頑張って(買い取りたい意思を示すボタンを)押し続けますが、買えないことが多々あるんですけれども、それでも、うちの経営に合ったやり方、そこまで「バン」と大きい値段を出して買うこともありますが、そればかりではなくて、まず(買い付けた)牛が小さくても、ちゃんときっちり「牛」として出荷できるような、子牛の目利き、その仕入れですね。もうこれは全部父から教えていただいたんですけども、今でも父と子牛市場に行っているんですが、やはりこの肉牛経営は、その子牛導入が一番大事と言われて、それがもうそのまま販売に直結するとも言われておりますので、まずそこを大事にしております。
また、その経営の場合でいきますと、2、3年前から餌が高騰しておりまして、これが経営に対して大きな打撃を与えているのが、まず一番なんですが、その経費というのは、頑張って抑えるところは抑えれるんですけども、やはりちょっと限界がありまして、そうなったときに、販売の方でなんぼでも一頭一頭の、販売額を高くするために、いろんなお客さん、その方々との交流、または問屋だけじゃなく、焼肉屋さんや量販店さん、そこら辺の方々と交流を持って、今やっているところです。また、昨日出荷がありましたが、明後日の木曜日に、東京食肉市場の方で江刺牛の共励会というものがありまして、江刺牛が全部で26頭販売されます。それが今年初めての競りでありまして、また、共励会ということもありまして、まず、ちょっと相場が落ち込んでいる時期ではございますが、何とかお客様との交流も含めて、何とか高く売っていきたいと思います。以上です。
小野部長
菊地さん、ありがとうございました。
お父様から教えられた経営や牛の作り方のスタイル、これは変えないといった強い思いや、焼肉屋であったり、流通業者の方々との交流を非常に大切にして、販売といったところにも力を入れていらっしゃるといったお話を頂戴いたしました。それでは、今のお話を受けまして知事からお願いいたします。
達増知事
非常に高い経営意識を持って、畜産、肉牛の独自のスタイルを作りながら、相場の問題や飼料代高騰の問題など、構造的な課題や、また最近のそういう緊急事態にも対応しているということ大変心強く感じました。特に飼料代の高騰に関しまして、抑えるところを抑えながら、また少しでも牛が高く売れるように、様々な関係方面とのやりとりで努力されているというのは、ともすれば、相場で単に需要供給の競りで決まるというイメージはあるんですけれども、実は様々な努力の余地があるということで、大変心強く感じたところであります。一方、飼料代などの高騰は、ロシア・ウクライナ戦争など、国際情勢の緊急事態、非常事態によるもので、そもそも生産者に負わすわけにはいかないことでありますので、公的支援が必要で、国にも求めていきますし、県も様々支援をして、一生懸命、牛を生産されている方々が報われるようにしていきたいと思います。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。ただいま、知事からもお話がございましたが、県といたしましても12月の岩手県議会臨時議会の方にお諮りして、議決をいただきまして補正予算を組んでおります。今年は多く経済対策等で補正予算を組んでおりますが、今回の補正予算の中でも、配合飼料価格安定緊急対策費補助や、和牛繁殖経営支援緊急対策費補助などで、先ほど菊地さんからもお話をいただきました飼料代の高騰にも対応しながら、畜産を進めていけるように様々補助を行っているところですが、まだまだ大変かと思います。知事からもお話がございましたように、引き続き県の方でも国に働きかけながら、しっかりと対応してまいりたいと思います。
続きまして、お二人目、渡邊さんからお願いいたします。
渡邊 淳子
今日のテーマが、「農林業に取り組む私の未来予想図」ということですので、私からは6次産業についてお話をさせていただきたいなというふうに思っております。まず、6次産業を始めたきっかけなんですけれども、野菜を生産するにあたり、規格外のものを何とか形を変えて商品にしていきたい。そして、農業所得の向上という形で所得のプラスということを考えて始めました。当初、知識も経験も、何もないままでスタートしたんですけれども、本当に各関係機関の皆様に親切に御指導いただいて、何とか商品の開発、そして販売というところまでこぎつけることができました。そして、現在に至っているというところです。
いろんな農家さんから、6次産業をやってみたいっていう相談を受けることがあるんですけれども、なかなか進まない状況にあると思います。私なりに、なぜ6次産業が進まないのかということを考えているんですけれども、その原因の一つに、材料、原料のストックができていないというところではないかなと思っております。私自身、こういった商品を作り、通年流通させるためには、材料をストックさせなければいけません。そうしますと、一次加工というワンステップが必ず必要になってきます。農家はそういった野菜で例えますと、例えばトマトが生産されるときには、もう出荷に追われまして、規格外のものに手をつけている余裕がありません。何か商品を作りたいなと思ったときには、もう原料がないという状態になってしまいます。ですので、各地域といいますか、小規模でもいいので、そういった一次加工のできる加工場があれば、せっかく岩手県の農畜産物は、たくさんいいものが育っておりますので、もっともっと一次加工品として流通ということもできるのではないかなというふうに感じております。私自身も、当初はこういった商品を最終商品として、どんな商品ができるかなということで一生懸命、商品開発を考えていたんですけれども、なかなか一人の力では難しい、農家だけでは難しいので、その一次加工した原料の流通というところでも、農家の所得向上につながるのではないかなというふうに思っております。こういった商品を作るために、材料をストックする作業を私もしておりますので、今、一次加工の商品として、このビーツという真っ赤な色の野菜なんですが、ペースト状にしたものを販売させていただいております。ただですね、バイヤーさんとか業者さんも食べ慣れない野菜ですので、どういった形で営業したらいいのか分からない、販売したらいいのか分からないということで、逆にこちらから、「例えばアイスクリームもできます」、「餃子の皮にするとピンクの皮ができます」とか、そういった営業をしながら販売という形をしております。陸前高田の方に「サロンドロワイヤル」さんが工場を出されましたけれども、そちらと商品開発という形で、ピンクの餅の中にピーカンナッツが入った、そういったお菓子も製造しております。これからは、私自身が栽培した野菜だけではなく、地域のそういった野菜も一次加工として、流通させていきたいなというふうに考えております。
最後になりますけれども、今私が生活している集落は24戸ございます。ほとんどの家庭が、家庭菜園をしているような状況の、本当に典型的な農村地帯なんですけれども、5年後、この家庭菜園をする家が何軒あるかというふうに考えた場合、うちを含めて2軒ということになります。24分の2ですね、12分の1になりますけれども、こういった割合っていうのは、多少増減はあるかと思いますけれども、全国的に同じなのではないかなというふうに感じております。現在、家庭菜園をされている先輩方なんですけれども、地元の道の駅、それからスーパーの産直コーナーの棚を埋めてくださっている方々です。そういった方々が、作物を作らなくなるということは、地元にいながら地元の野菜が食べられなくなるっていう時代が、本当に近い将来に来てしまうのではないかなというふうに心配をしております。そういった状況は、やはり一般の方々というか消費者の方々も、普段田んぼとか畑を見慣れていますので、そんな身近なところが、近年そういう状態になるっていう想像が多分つかないと思うんですが、実際にそういう状態が起きてしまうということを、もっともっと農業だけの課題っていうふうに捉えるのではなくって、地域全体でもっと議論していかなければいけないのではないかなというふうに考えておりまして、今、若いお母さん方で家庭菜園をやってみたいという方々もいらっしゃいます。そういった方々に、うちの野菜の苗をお分けして、微力ではありますけれども、そういった興味を持ってもらって、将来的に副業でも構わないので、農業に携わってもらえればいいかなというふうに思って活動しております。今後も、そういったところに力を入れながら、活動していきたいと思っております。以上です。
小野部長
渡邊さん、ありがとうございました。農家の皆さんは出荷の忙しい中で、規格外のものに手をつける余裕がなかなかないといった状況をもとに、一次加工によってそれを流通させることで、農家の稼ぎにつながっていくんじゃないかといった点や、農家だけではない将来的な課題といったことも考えながら、農業に興味を持っていただくような取組を進めていらっしゃるといったお話を頂戴いたしました。知事からお願いいたします。
達増知事
非常に広がりのある活動になっていて、大変すばらしいと思います。規格外の野菜を商品にするという基本がしっかりしているので、どういうところから規格外の野菜を集められるか、また通年で使えるようにするためには一次加工が大事という課題が、どんどん目に見える形になり、あとはその課題にどう取り組むかというふうに考え、軌道に乗っているんじゃないかと思います。一次加工というのは、野菜を刻んだもの、そういう加工をするというイメージですかね。
渡邊 淳子
日持ちがするようにというところであれば、冷凍になるかなと思います。そこにはそういった技術だったりとか、あとは施設の問題など、いろんな課題が出てくるかと思います。
達増知事
そうですね。日持ちをさせなきゃならないんですもんね。そうすると、かなり第二次産業系のいろんなノウハウや技術など、流通の方でクール便で冷凍の輸送など、そういうことをやっている分野もありますし、広くいろんな産業とつながっていくことが大事だなと思いますし、また、先ほど渡邊さんがおっしゃったように、消費する側も、生産や流通の実態というのをよく知りながら、産直などを利用してもらうと、賢く消費ができるようになっていくでしょうから、これからの農業は、ますます他の産業との連携や、消費者の皆さんに生産や流通に関する実態を知ってもらうこと、医療などのいろんな分野で「リテラシーを高めてもらう」とよく言うんですけれど、実態を知って、いろいろ仕組みを知ってもらうというようなことを、県の方からも働きかけていきたいと思います。
また、野菜が入ってるドレッシングは、スーパーなどである頃から登場して、使ってみるととてもおいしいというのを経験したことがありまして、非常にグッドアイディアだと思います。是非この調子で進んでいっていただきたいと思います。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。知事から話がありましたように、ドレッシングは野菜にかけるだけではなくて、料理のソースみたいな形でも使えますし、様々な活用があると思います。ありがとうございました。
それでは3人目、菊池さんからお願いいたします。
菊池 陽佑
よろしくお願いします。さっき言い忘れたんですが、私たちのお米の1キロの販売価格なんですが、玄米で1,300円という価格で販売していますので、1俵で7万8,000円、約8万円という価格で販売しています。
何のために経営しているかというときに、私たちは地域のために、地域が大好きなんです。遠野の小友というところなんですが、そこを存続させるために、私たちは経営をしています。では、今の地域はどんな現状なのかというところなんですが、今人口が1,100人ほどです。それが、2040年には700人になるという予測なんですね。地域に農地が、田んぼと畑を合わせて700町歩あります。逆算すると、一人あたま約1、2ヘクタールほどの管理面積なんですが、その人口ですべてを賄うとなると、7、8ヘクタールを一人で管理しなければいけないということになるんです。それは、かなり不可能です。あと地域の農家の平均年齢は、今年で74歳です。75歳までが、バリバリ働けるラインだと思っているので、いよいよ限界が近づいてきているなというのが、私たちの地域です。そこで、私たちが経営を通して何ができるかなんですが、いよいよ(田んぼを)作らなくなる人が増えてきたので、田んぼがガンと(一気に)集まってくるようになったんです。なので、集まった分(の田んぼ)を全部一気に無肥料・無農薬に転換するのは、かなり大変なので、減農薬というステップを去年から導入してみました。実験的に、私たちは肥料を使わずに除草剤を1回だけ使うという方法をとったんですが、それなりに作れたので、これを遠野市内でも仲間を増やして、減農薬という一つのブランドみたいなものを作って、売っていきたいなと思っています。来週、妻がフランスに行って商談会に参加してくるんですが、輸出をメインにできないかなというふうに考えています。
もう一つは、無肥料・無農薬の一番のメリットは、すごく自立度が高い栽培方法だということなんですね。材料が、種と土と、あとは人だけなんです。海外もしくは外から購入する資材がゼロなので、原価ゼロなんです。とても外部環境に左右されにくい方法なので、それをもって、私たちが地域に何かできないかというところなんですが、世界には飢餓人口が、まだ7億人、8億人というレベルでいます。アジア中心です。アジアの主食は、ほとんどのところが米です。なので、海外から研修生を招いて、私たちの自立度の高い栽培方法を伝えて、母国に帰ってから自立した暮らしを構築してもらうということができたら、遠野は、「日本のふるさと」といういい代名詞があるのですが、「世界のふるさと」だというふうに言われるようになると思うんですよね。それを私が、今40(歳)なんですが70歳になるまでには、そういうふうにしていきたいなと思っています。そのために、お米づくりでいうと、地域では130町歩の田んぼを作付しているので、その約30%を、約40ヘクタール弱なんですけど、無肥料・無農薬の田んぼに変えることができれば、世界的にみてもそんな地域ってどこにもないので、おのずとそういう状況が作っていけるのではないかなと思っています。ただ、そのためには私一人では無理で、仲間づくりがどうしても必要なんですが、やりたい人は結構いますが、(市外から遠野市に移り住むための)住宅が結構ハードルになっているんですよね。なので、そこをどうするか、これも自分たちの経営の課題だと思って、いろいろ取り組みたいと思っているんですが、でも、なかなか簡単には乗り越えられないところがあるなと感じています。以上です。
小野部長
菊池さん、ありがとうございました。特に印象的だったのは「日本のふるさと」と言われる遠野市を、将来「世界のふるさと」と言われるようにしたいといったことで、自立度の高い栽培方法を、アジアや世界に広げていきたいという思いをお話いただきました。そういった中で、仲間づくりのためには住宅が一つの課題であるというお話も頂戴いたしました。知事からお願いいたします。
達増知事
お米というのは、実はインターナショナルなものなので、輸出もあれば、技術研修もあるということで、非常に広がりのある将来ビジョンが描けているなと感じました。また、そういう国境を越えていく海外展開を視野に入れれば地域を守れるという、そういう時代でもあるんだなと感じたところでありますので、県としてもそういう海外を視野に入れながら、農業でもそうですし、地域振興も進めていきたいと思います。
そして、低家賃で住める住宅が少ないという住宅問題は、実は岩手全体で悩んでいることでありまして、やはり改めてこの分野は強化をしていかなきゃというところですね。県営住宅とか、そういう公営住宅の使用目的を広げて、そういうところを使えるようにするとか、あとは空き家対策で対応するとかもあるんですが、本当はアパートが増えるなど、民間が手頃な住宅に投資してくれればいいんですが、土地はなかなか値上がりしないということで、なかなか新規にアパート経営をやろうという人たちが、キオクシア周辺の北上市はまた別なんですけど、それ以外では、なかなかいないという問題がありますので、県でもさらに工夫したいと思います。来週封切りの、「サンセット・サンライズ」という映画が、一関市出身の楡周平さんが原作で、菅田将暉さんが主演、宮藤官九郎監督の、リモートで地方に住んで、それから地方創生につながるお話なんですけれども、改めて、またその作品を読んだのですが、民間企業がリスクを負って、空き家のリフォームをやって、そして住む人を募るというようなビジネスモデルはどうかという提案が、小説の中でされていたりしました。いろんな地方、岩手における手頃な価格の住宅の確保というのは、県も力を入れていきたいと思います。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。皆様から一通りテーマに沿ったお話をいただきました。まだお時間がございますので、先ほどの御発言に加えてといったことでも結構ですし、テーマにかかわらず、他の皆さんのお話を聞いて、そういえばといったこともあると思いますし、お持ちいただいた商品を加工する際の苦労談、あるいはPRポイントでも結構でございますし、何でも結構ですので、ここからは自由懇談という形でお話をお願いできればと思います。
いかがでしょうか。では、お願いします。
菊地 毅
これは畜産関係全般の問題なんですけれども、やはり後継者がいないということで、今の市場の子牛の頭数も年々減少してきていまして、この後、5年、10年経てば、もう半分ぐらいになるんじゃないかなと、そこまでいかないかもしれないんですが、何かそういうふうに感じてしまうんです。その生産者の後継ぎがいない。これは繁殖もですし、肥育もですし。また獣医さんも、年でこれから引退する方もいますし、それから今度は新しい若い方々がなかなか入ってこないんですね。こうなると、なかなか診療に回れないという状態が今でもちょっとあるので、そうなると救える命が救えなかったりとか、そういう場面も出てきます。これはもう生産者だけじゃなく、獣医など畜産に関わる人たちの減少が現実あるので、私が考えるのは、これからただ(畜産関係が)衰退していくんじゃないかなとちょっと危機感を持っております。以上です。
小野部長
ありがとうございました。後継者がいないことや、後継者の不足で将来的には半分ぐらいになるんじゃないかという御懸念、それから獣医不足といったことで、畜産に携わる若い人たちが、将来減ってくることへの御懸念についてお話をいただいたところでございます。やはり畜産の振興のためには、獣医さんでありますとか、そもそも畜産に携わる方々を一人でも増やしていくといった取組が重要と考えております。県といたしましても、獣医不足は県議会でも様々御質問、御意見を頂戴しているところでございまして、県の農林水産部の方で獣医対策についての取組を、引き続き進めてまいりたいと思います。また、後継者につきましては、農業大学校などで農業についての様々な勉強をしていただくといった機会も設けてございまして、こういったところで一人でも多くの皆さんに農業に興味を持っていただいて、また技術を蓄えて農業にあたっていただけるように進めてまいりたいと思います。これは非常に重要な課題と考えておりますので、菊地さんからいただいた御意見は、しっかり持ち帰って、県庁内で共有し、対応してまいりたいと考えております。ありがとうございます。
その他、何かございますでしょうか。まだお時間ございます。それでは菊池さんお願いいたします。
菊池 陽佑
分野にかかわらずなんですが、おそらく農業の1番の課題は、(生産者が)価格決定権を各々が持っていないということだというふうに考えています。例えば、去年お米が高くて、お米農家さんはすごく喜んでいます。おそらく、今年の新米も高い価格でいくであろうということは予測が出ているんですが、これ、価格決定権がないので下げられたらもう下がっちゃうじゃないですか。なので、これをいいタイミングとして、どうやって価格決定権を持っていくかっていうところに、しっかりみんなで知恵を絞ってやっていくっていうのが大事だと思っています。そのときに、一ついい方法だなと思っているのが、「スマート・テロワール」(農村自給圏構想)だかっていう、カルビー(株式会社)の経営をしていた方が書いた本があるんですが、ある何個かの市町村を一つのエリアと考えて、そこで野菜やお米を自給していく、自給したエリアを作っていくという考えがあるようです。地域内循環とかっていう言葉をよく聞くと思うんですが、そうすると飲食店さんも、例えば、今小麦の価格が高騰しているとかで、すごく外部環境の変化を受けやすいと思うんですが、外部環境の変化を受けにくい地域エリアができていくと思うんですよね。なので、それを生産者、飲食店さん、あとは加工業者さんなど、いろんな人たちと連携してやれるような仕組みができたらいいのになというふうに思っています。以上です。
小野部長
ありがとうございます。今、菊池さんからお話いただきました価格決定権については、非常にポイントになるものだと思っております。賃金をどんどん上げていきましょうという中で、また一方で、コストもどんどん上がっていくといったことで、生活あるいは産業の中で、適切にコスト上昇を価格の方に転嫁できないと、結果的に、働いている人たちの(最低)賃金が上がって、間にその経営者の人たちが挟まれてしまうといった事態も起きているかと思います。国の方でも、新しい農業基本法(食料・農業・農村基本法)ができまして、それに基づいた計画を国で作っておりますが、その中で農産物の価格決定についての新しい方向性について、確か検討会のような形で様々な検討がされているというふうに聞いております。フランス、ヨーロッパの方では、ある程度コスト上昇分については自動的に価格に上乗せするというような仕組みを作っていったこともあるようでございます。また、菊池さんの方から自給エリアを設定するといったお話もございました。達増知事は、全国知事会の農林商工常任委員会委員長を務めておりまして、その中でも、今お話しいただいたような農業分野の価格決定に関わる仕組みづくり、これについて知事会としても国の方に要望しておりますので、まだちょっと具体的な動きは見えてきておりませんが、こういった検討も踏まえて、生産者の方にしわ寄せが行かないような価格決定の在り方について、国の方に引き続き働きかけていきたいと考えております。ありがとうございました。
まだ時間がございますので、皆様の方から何かございましたら、いかがでしょうか。渡邊さんいかがですか。
渡邊 淳子
菊池さんがおっしゃったように、本当に価格決定権がないっていうのが農家に後継者がいないっていうところに直結していくかなというふうに思います。農家は、本当に戦うものが多すぎるなと思っています。農業を始めて10年になりますが、やはり年々、作付が厳しくなってくる、難しくなってきているという状況です。うちは、このピンクのパンフレットにもありますが、年間80品種ということで、季節問わず栽培しております。特に秋冬の野菜に関しては、夏の暑いときに種を蒔いて、畑に植えつけをしなければいけないということで、やはり暑過ぎて芽が出ないという状況もあります。ですので、品薄っていうことも出てくるかなと思いますが。あと、キャベツですね。今話題になっていますけれども、うちは今、寒じめキャベツを出荷させていただいているんですが、本当に高値で、お客様に申し訳ないなという形で販売させていただいているような状況です。やはり、こういった天候の問題、今回のキャベツに関してはいろいろな条件が重なって、こういった高騰になったかと思いますけれども、安定した価格っていうのが、産地リレーができなくなることによって、崩れてきているということかなと思います。
私、さっきは一次加工のお話をさせていただきましたけれども、一次加工だけではなくて、レトルトみたいなものでもいいかなというふうに考えているんですけれども、この岩手の豊富な農畜産物を、レトルトにして非常食にしてはどうかなと思ったりしています。何かあったときの災害食ということで、岩手のおいしい農畜産物を一気に詰めてまとめて、どんなレトルトになるかは加工業者によると思うんですけれども、そういったものを岩手として、販売っていう形でもいいのではないかなというふうに考えております。以上です。
小野部長
渡邊さん、ありがとうございました。今、一次加工といった形でレトルトのような形もあるんじゃないかというふうにお話をいただきました。(パンフレットの写真にもある)ミニトマトにしてもそうですけれども、規格外のものではありますけれども、味はおいしいですからソースにしたり、一次加工という形で次の段階に原料としてつなげることによって、さらに付加価値を高めていくことが可能と考えております。県といたしましても、こういった6次産業化の支援ができるような、先ほどそのための加工場といったことのお話もございましたし、様々な他の産業分野、あるいは業者さんとの連携といったところも重要に、コーディネート機能も重要になってくるかと思いますので、こういったところについても持ち帰りまして、しっかり関係部局にも御意見として伝えたいと考えております。
いかがでしょうか。皆様のお話を聞いてといったこともあるかと思いますけども、よろしいですか。ありがとうございました。皆様から、畜産、野菜や6次産業化、そしてお米の関係について、今の現状や課題、そして様々な今後の方向などのお話を頂戴いたしました。ありがとうございました。
先ほど申し上げましたけれども、県政懇談会でいただいた御意見につきましては、しっかり持ち帰りまして、知事、副知事、関係部局長が集まる会議の場で、報告いたしまして、今後の県の政策につなげて参りたいと考えております。
知事所感
小野部長
それでは、最後に知事からお願いいたします。
達増知事
加工にすると、そこで一定の価格がつく商品になるというところがメリットだと思うんですね。無農薬・無肥料のお米も、その希少性は、もう他にないということで価格がつく商品の形になっているので、キロ1,300円で売れるんだと思います。(株式会社)いわちくに(牛を)売っているというのは、一定の価格で買い取られている、競りにかかるわけじゃないですもんね。
菊地 毅
相対の取引です。
達増知事
相対の取引ですね。そこはいわちくもちゃんと頑張って買い上げて、それがいわちくの商品になっていくということで、やはり加工につながって、価格が保障されるといいますか、保障というほどでもないけれど価格がつくような形に持っていけるというのがあると思います。そして、「スマート・テロワール」は、なるほどヨーロッパの方はレストランなどでも、周辺何キロ以内のものしか使わないとかそういうこともあり、一定の地域内で生産されて消費もされると、競りにかけられるというよりは、相対の取引の中でお互いの事情とかを理解した上で、共存共栄が図られるような経済圏がそこにできていくということだと思います。いろいろ、それぞれ役に立ちそうなものを、岩手県でも次々に取り入れていくのがいいと思います。国の議論ですと、一つは、価格はやはり自由を原則としつつ、価格が下がったときに所得補償的なことをするみたいな、自由主義的なアプローチが一方にあって、もう一方には、ある程度、公定価格(法令に基づき国家が指定した物品の販売価格)みたいな一定の価格を維持するための制度をというのがあるんですけれども、いずれにしろ、全国共通の制度というのは大きい話になり、それですべてを解決できるかというと、なかなかそういう制度は難しいと思うので、国の制度をより良くしつつも、やはり地域独自、また県独自の、農家の収入を確かなものにしていく手段をどんどん打っていくということが必要だと思いますので、そういうふうにしていきたいと思います。
担い手も、一般の中小企業でも、事業承継、後継ぎがいないなどで、第三者に継いでもらうためにどうすればいいかなどやるんですけど、そこでは、事業計画が非常にクリアにあって、毎年毎年こういうやり方でやれば、このぐらいの収入があるというのがはっきり見えれば、「じゃあやりましょう」など、またそういうのがつくれないと、それは無理な存続できない事業なので、存続できない事業はやっぱり引き継がせることはできないので、ちゃんと存続できる事業として、計画といいますか、将来の見通しが立つような収支の計算の表ができれば、「じゃあ、やりましょう」と後継者もやりやすくなるし、そうなってくると、もう都会などの、全く新しいところからの参入もやりやすくなるというところもありますので、一般事業者さん、中小企業は、自力でそれができないところが多いので、商工会議所や商工会、銀行などがそれを手伝うようになっていて、農業においても、だんだんそれが必要になってくると思うんです。いろいろ企業秘密的な部分もあったりするでしょうけれども、分かりやすくできる部分については分かりやすく、一般の企業もそうですが、いろんな企業秘密的なノウハウは秘匿しつつ、まずは見積もり的なものは出せるでしょうから、これで「年収がこのくらいは、まず普通に確保できるよ」とかいうのを農業の分野でも示せるようにしていくと、漁業は特に収入の上がり下がりがあって、この間、沿岸の方でそういう話があったんですよ。漁業でもそういうことをしなきゃなんないみたいなことを沿岸の方で話してきたところもありまして、地方創生人口減少対策的にもいいですし、また、今やっている人たちの経営をより安定させていくためにも、そういうアプローチをしていきたいと思います。県が今、農業ビジョンを策定中で、関係団体と、もう大体作ってきているんですけれど、その中に入れるか、それを運用するときの計画段階で、そこに入れてもいいですし、是非入れていって、「未来予想図」というのをちゃんと分かるように、個別の形態についても「未来予想図」があって、分野とか地域についてもちゃんと「未来予想図」が描けるようにしていきたいなというのを、一つ今日の結論としたいと思います。どうも、ありがとうございました。
閉会
小野部長
皆様、本日は貴重なお話をいただき、本当にありがとうございました。知事からも、最後の挨拶でございましたように、今日のテーマ「農林業に取り組む私の未来予想図」といった形で、個々の皆さんの「未来予想図」でもあり、岩手県の農業、畜産業にとっての「未来予想図」でもあり、県としても皆さんの御意見を伺いながら描いていくようにしてまいりたいと思います。
以上をもちまして、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in奥州」を閉じさせていただきます。本日は、皆さん本当にありがとうございました。
このページに関するお問い合わせ
政策企画部 広聴広報課 広聴広報担当(広聴)
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5281 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。