「いわて幸せ作戦会議」(令和6年8月5日)
日時
令和6年8月5日(月曜日)13時00分から14時20分まで
場所
岩手県庁 3階 第一応接室
出席者
・参加者(敬称略)
赤坂 渉(株式会社山下組)
佐藤 美貴(株式会社中舘建設)
菊地 和弘(岩手県建設業協会青年部連絡協議会宮古支部 部会長、
岩手県建設業協会宮古支部 副支部長、株式会社菊地建設 代表取締役)
鈴木 悠太(岩泉町防災士連絡協議会 会長、NPO法人クチェカ 事務局長兼理事)
・県側
達増 拓也 知事
小野 博 政策企画部長
上澤 和哉 県土整備部長
開会
小野部長
ただ今から、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」を開催いたします。
皆様には、お忙しいところ御出席いただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。
本日は、「幸福の追求を支える社会資本」を懇談のテーマといたしまして、安全・安心な地域づくりに取り組まれている皆様に集まっていただいております。
私、本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部長の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
知事あいさつ
小野部長
それでは、開会にあたりまして、達増知事から挨拶申し上げます。
達増知事
皆様、こんにちは。ようこそ、県庁に来てくれました。お忙しいところ、また暑いところありがとうございます。
県政懇談会は、岩手の各分野、また各地域で活躍している方々の意見を、知事が直接聞いて、県政に役立てるということで昔からやっているのですが、「いわて幸せ作戦会議」という名前になったのは、今の県の総合計画「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標が、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」ということで、幸福を守り育てましょうとしているので幸せ作戦会議と銘打ってやっております。
そういう幸せを支える基本は、インフラであり、メンテであり、また災害復旧であり、そして救急、防災ということで、そういった分野で活躍している皆さんのお話を今日は伺いたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
小野部長
ありがとうございました。
出席者紹介
小野部長
本日は、県庁での県政懇談会となりますが、初めはオンライン懇談会という予定で、対面懇談を希望の方とは対面で、オンラインとのハイブリッドで行いたいと思っていたのですが、皆さんお忙しい中、本当に県庁に来ていただきまして、ありがとうございました。
それでは、この後の進め方でございます。私の方からお一人ずつお名前を御紹介いたしますので、続けて、大体1分程度で簡単な自己紹介をいただければと思います。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、大体お一人ずつ5分程度でお話をいただいた都度、知事がコメントをするというような形で区切りながら進めて参りたいと思います。最後に、自由懇談の時間も大体20分程度ありますので、是非その際には話し足りなかった点も含めてお話をいただければと思います。
それでは、順番に本日御出席の皆様を御紹介いたします。初めに、株式会社山下組、赤坂渉さんです。
赤坂 渉
花巻市の株式会社山下組、工事部の赤坂渉と申します。
出身は北上市で、大学は群馬県に出ていましたが、就職を機に岩手県の方に戻って参りました。
入社後は、主に東日本大震災復興関連工事の現場管理を、岩手県、宮城県の沿岸部で行い、花巻市に戻ってからは、地域経常建設(共同)企業体の代表会社として、地域の道路河川等維持修繕業務に従事し、地域住民の日常生活を支える道路交通の維持管理を行って参りました。直近では、大迫亀ケ森地区において砂防堰堤の築造工事に携わり、県民の生命や財産を守る社会資本整備に取り組んでおります。
本日は、よろしくお願いいたします。
小野部長
どうぞ、よろしくお願いいたします。
続きまして、株式会社中舘建設の佐藤美貴さんです。
佐藤 美貴
御紹介いただきました、二戸市の株式会社中舘建設の佐藤と申します。
私は、地元の高校を卒業した後、二戸地域の別の会社に一度就職しましたが、その後、御縁があって中舘建設に入社しました。土木課に所属しており、現在、軽米町の橋梁補修工事で、現場の工程管理や安全管理、発注者とのやりとりなどを行う現場代理人をさせていただいております。
4歳の子どもと、お腹に妊娠7か月の子どもがおります。本日は、こういった機会をいただけて大変うれしく思いますので、よろしくお願いいたします。
小野部長
よろしくお願いいたします。
続きまして、岩手県建設業協会青年部連絡協議会宮古支部部会長、岩手県建設業協会宮古支部副支部長、株式会社菊地建設代表取締役の菊地和弘さんです。
菊地 和弘
宮古市の菊地建設の菊地和弘です。青年部連絡協議会の宮古支部の方は令和3年から、建設業協会の宮古支部副支部長は今年から就任させていただいております。
平成11年に地元の高校を終わってから、自分の父親の会社に就職しました。それから、いろんな業種の建設業の仕事をさせていただいて、平成23年の東日本大震災の時には、当事者というわけではありませんが、宮古地区に住む者として地域の避難所を支えながら、自分たちにできることを探して一緒に復旧しながら、そのあとの台風災害では、県の御指導もいただきながら乗り越えてきて、今に至るところでございます。
本日は、よろしくお願いします。
小野部長
どうぞ、よろしくお願いいたします。
4人目でございます。岩泉町防災士連絡協議会会長、NPO法人クチェカ事務局長兼理事の鈴木悠太さんです。
鈴木 悠太
鈴木悠太と申します。
私は、進学就職で一度関東の方に出て、ふるさと(岩泉町)に戻ってからは主に行政職の臨時職員として、役所の方に長く勤めて参りました。その中で、町と話していくうちに福祉的課題を非常に感じまして、福祉関係のNPOの立ち上げに至りました。町と連携して立ち上げるような形で、現在はNPO法人クチェカを組織しています。
併せて、平成28年の8月に発生しました台風第10号豪雨災害からは、主に防災士としての活動も始めまして、現在では、岩泉町におります204名ほどの防災士の会長として、一緒に活動させていただいているといった形でございます。
県政懇談会は、平成29年4月に、一度宮古地区で参加させていただいております。そこから、今日は岩泉町の復興状況を少しお話できればと思っております。
本日は、よろしくお願いいたします。
小野部長
ありがとうございました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
県からの出席は、達増知事、そして上澤県土整備部長でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
懇談
<テーマ>
幸福の追求を支える社会資本
小野部長
皆様のお手元にお菓子を準備しておりますので、簡単に御説明いたします。是非、お召し上がりいただきながら、懇談を進めていければと思います。
本日お配りしている菓子でございますけれども、宮古市の中村屋せんべい店が作っております「ミルクせんべい」でございます。子どもからお年寄りまで、様々な世代にせんべいを届けたいという思いから開発された「ミルクせんべい」ですけれども、見ていただいて分かりますように、かわいい牛柄のパッケージに包まれたお菓子でございます。牛柄ですが、海の上の空のデザインを兼ねているといったことで、海に面した宮古らしさを感じていただけるんじゃないかと思います。この商品の開発にあたりましては、県立の宮古商工高等学校の生徒の皆さんにも参加していただいていまして、乳成分の量が違う二つのせんべいを食べ比べ、意見を集めて完成した商品とのことでございます。是非、濃厚なミルクの風味とやさしい味わいを食べていただければと思います。また、お茶も準備してございますので、こちらもお召し上がりいただきながら、懇談会を進めていければと思っております。
本日は、菊地さんが宮古市から御出席ということで、このお菓子はいかがでしょうか。
菊地 和弘
すでに皆さん御存じかと思いますけれども、(箱の)緑色は宮古市の色「エターナルグリーン」という色になっておりまして、そういうアピールも含めていて、私の知っている中村屋せんべい店さん(の商品)は、(箱がなく)この袋のまま置いて(販売して)あるっていうようなイメージなんですけど、やはりこういうの(箱)に入ると、お土産っていう感じがあってすごくいいなと思いました。
小野部長
ありがとうございます。エターナルグリーンのデザインということでございました。
それでは、上澤部長から本日の懇談のテーマについて説明をお願いいたします。
上澤部長
県土整備部長の上澤でございます。本日の懇談テーマについて、簡単に御説明します。
岩手県では、「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプラン「政策推進プラン」におきまして、「人口減少対策」を最優先に取り組むべきものと位置付けまして、「安全・安心な地域づくり」などの施策を展開してございます。そのためには、社会基盤の整備や維持管理などのハード対策と、関係者との協働によるソフト施策を効果的に組み合わせて取り組んでいくことが重要だと考えてございます。
今回、県内各地で活躍されている、社会資本の整備や日常生活を支える道路河川等の維持管理などハード対策に携わっておられる方、自主防災組織における活動などソフト施策に携わっておられる方、そして将来を担う世代の育成などに携わっておられる方に御参加いただきました。各政策分野を支える基盤である社会資本の整備・維持管理が図られまして、「安全・安心な地域づくり」の推進に繋がるよう、意見交換ができればと思いますので、本日はどうぞよろしくお願いします。
小野部長
上澤部長、ありがとうございました。説明ございましたように「いわて県民計画(2019~2028)」の中の大きな一つの政策の項目といたしまして、社会資本を掲げております。県民の幸福をしっかり支えていく上では、社会資本が重要といったことで、皆様には安全・安心な岩手のために、日々御活躍いただいてますので、本日は様々なお話を伺っていければと思っております。
それでは、本日のテーマ、「幸福の追求を支える社会資本」に沿いまして、皆様の現在の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負でありますとか、県への期待も含めてお話をいただければと思います。お一人5分程度でお願いいたします。お一人ずつお話をいただいた都度、知事の方からコメントをしていくというような形で進めてまいりたいと思います。
初めに、赤坂さん、お願いいたします。
赤坂 渉
私が最初に話したいのは、地元に戻ってきて建設業に入職した動機ですが、私が就職を地元に決めたきっかけは、良くも悪くも東日本大震災だったと思います。あの震災がなければ、おそらく大学があった群馬県、もしくは関東圏での就職を目指していたんじゃないかなと、今は思っています。地震発生時はアルバイト中で、地震関連の情報も特に見ないまま翌日の昼まで働き、帰宅後もすぐに寝てしまって、各地で津波や地震による被害があったことを知ったのは翌々日で、幸い、家族や親戚で命に関わるような被害はなかったため事なきを得ましたが、もし違う結果だったら、近くにいられなかったことを、悔やんでも悔やみきれなかったと思います。
建設業に入職した動機に関しては、大学進学時に明確なビジョンを持たないまま建設系の学部を選んでいたので、それ以上の理由は特にないのですが、学んだことを生かせる職業に就きたいとは考えていました。
続いて、やりがいを実感する場面や建設業の魅力に関してですが、建設業は社会資本の整備を担う重要な産業です。地域の主要産業として、人々の生活を支える社会貢献度の高い、誇りを持てる仕事だと思っています。地域の方々からも、直接感謝の言葉をいただくことがあり、特に災害時のような苦労をしたときには、その言葉だけで頑張ってよかったと心から思います。建設業の魅力ですが、よく言われることかもしれませんが、何もなかったところに道路や橋などを作り、それが長い間形として残ること、その施設が地域の方々に利用されている姿を見ることができることだと思います。ちなみに、子どもたちを連れて「ここはお父さんが造ったんだよ」と言うと、尊敬してもらえるのも魅力の一つです。また、同一の場所で同じ工法の工事に携わることは少ないので、現場が変わるたびに新鮮な気持ちで仕事ができることも魅力の一つだと考えています。
最後に、社会資本の必要性や重要性です。社会資本は、先にも述べましたが、人々の生活を支える身近なもので、関わりを持たないでいられる人は少ないと思います。そんな重要なものにもかかわらず、普通に暮らしていると使えることが当然と思われるため、有り難みを感じる機会が少なく、先日の山形・秋田豪雨のように自然災害が発生し、普通に暮らせなくなったときに気づく人が多いと思います。また、社会資本は、自然災害がなかったとしても、老朽化という問題があるため、定期的な維持管理や更新が必要となります。しかし、この維持管理が住民の方に軽視されているような気がしてなりません。私が体験したことですが、災害復旧等の工事で車線規制を行い、道路渋滞が発生すると住民の方に受け入れてもらえるのですが、維持管理や更新の工事で渋滞が発生すると、クレーム等が発生するということがありました。これは、社会資本の維持管理や更新が、いかに軽く扱われているかが分かることだと思います。通常の工事では、完成時のイメージ等をPR看板や工事日数を用いて周知することが多いため、対策として、普段自分たちが利用しているライフラインが老朽化し、腐食や破損をするとどうなるかを知ってもらうことで、自然災害時のように、目に見える大きな被害がなかったとしても危機感を抱いてもらい、工事の必要性、重要性を理解してもらえたらと考えます。
現状、不安なことですが、東日本大震災復興関連の工事が終わり、県工事だけでなく、公共工事全体が縮小の流れになり、工事の受注が難しくなるので、是非この社会資本整備のため、多くの工事発注をよろしくお願いいたします。以上です。
小野部長
ありがとうございました。赤坂さんからは、県民の生活を支える、普段では当たり前なんだけれども、やはり何かあったときに、その重要性が分かるという維持管理の重要性を、もっと分かってもらえたらなというようなお話もいただきました。
知事からお願いいたします。
達増知事
株式会社山下組は、花巻市内中心に、県内いろんなところで看板を立てて作業しているところを見かけることが多く、良い仕事をしてもらっているなと普段から思っております。
建設業の重要性は、やはり東日本大震災津波からの復旧・復興で、改めて県民の皆さんにも広まったんじゃないかと思いますし、また日本全体においても見直されたのではないかと思います。国や地方の財政赤字が増えて、財政を改善するために、公共事業を減らさなければという論調があり、その中でいろいろな工事は無駄だみたいな論調があったんですけれども、実は無駄ではないわけでありまして、特に災害に関連して、むしろ必要性が浸透したんじゃないかと思います。
大谷翔平選手が、なぜ岩手から出たのかとあちこちで聞かれて、自然環境や食べ物がいいとか、あとは本人やその周辺の人、花巻東高校の監督やいろんな人の力とかを説明してきて、さらにやはり大事だなと思ったのは、彼が生まれて育つ頃に、岩手県内では市町村ごとに、運動施設や文化施設、交流施設の整備が進んで、岩手にいながらにして全国水準の練習や試合、大会ができるようになったということがあって、そこで岩手でリトルリーグ、シニアリーグが発展し、また、全国の強豪と試合するときも新幹線や高速道路が発展していたため、全国の強豪との試合や大会がどんどんできるようになって、我々が子どもの頃はそれがなかったので、都会の方が有利だったわけですが、そういったインフラ整備のおかげで、東京や大坂の周辺の有利性というものは、もうあまりなくなってきて、設備や情報が大体対等になってきて、そうなってくると、もともと持っていた力も発揮されれば、地方の自然環境の良さや食べ物の新鮮さとかそういったことのメリットの方がむしろ出てくるみたいな感じで、花巻東高校の成功ということの背景には、やはり地方におけるインフラ整備の発展というのがあるんじゃないかということを、最近は発信しているところであります。
そういう東日本大震災関連の工事が終わって、全体として縮小しているということで、東日本大震災関係の事業は、非常事態的に多かったので、それと同じくらい復活というのは少し難しいわけですけれども、ただ、むやみに減らしたりはせず、またなくしてしまってはいけませんので、震災前ぐらいの水準はちゃんと維持していこうということで、国にも働きかけ、県としても工夫しているところですので、現場の声というのも大事にしながら、また発信していきたいと思います。ありがとうございました。
小野部長
続きまして、佐藤さんからお願いします。
佐藤 美貴
初めに、私が所属している中舘建設について、お話しさせていただきたいと思います。
中舘建設は、一般的な建築・舗装・土木工事の他に、約60キロメートルの国道4号線と一戸町、二戸市の県道の維持管理や、あと、冬には、国や県の除雪業務を請負っております。維持管理というのは、除草作業や道路清掃などの他に、災害対応や倒木処理などもあるため、365日24時間いつでも出動しなければならなく、地域の交通にとって重要な役割を担っております。災害に関する工事というと、岩手県発注の落石事故に伴う防護柵設置工事で、私が現場代理人を務めさせていただいたのですが、施工中は落石発生の可能性が常にあったため、常に気を張って管理しておりました。工事事故等なく、安全に終えられましたが、道路の維持管理業務の責任の重さを痛感しましたし、何年も二戸地域の道路の安全を守っていることを、誇らしいと思いました。
次に、私の経験談なのですが、2年前の子どもが2歳になる少し前ぐらいに、舗装工事の現場代理人を初めて務めさせていただいたのですが、その時は最後まで務めきれるかすごく心配でした。あるあるだと思うんですけど、発注者の方との立ち会いなど、大事なスケジュールの日に限って、子どもが発熱してしまったりとか、あと子どもの夜泣きであったり、夜中に起きてしまって、夫と3人で寝かしつけのドライブに行ったりして、寝不足で現場に向かっていたので、精神的にも体力的にも、とてもきつかったです。そんな中で、会社には同じ位の年の子を育てていて共感してくれる先輩たちや同僚がいて、そのことも支えになって頑張ることができました。また、その現場をうちの社長がパトロールしてくださったときに、「これからの建設業に女性は必要不可欠で、よりよい環境を作っていきたいので、女性目線やママ目線で、困っていること、気になっていることがあればどんどん意見して欲しい」と言っていただきました。その際に、子どもの急な発熱や感染症などで、何日もお休みをいただく場面もあると思うため、複数人体制で現場の周りを人員配置してくださったりとか、あとは時間単位での有給取得を推奨してくださったりとか、そういうことをすごく考えていただいて、とても安心して仕事をすることができました。さらに、工事部の上司や先輩方には、保育園の送り迎えの都合などもあるため、現場が遠い場合で直行直帰する際は、定時勤務を緩和してくださったり、あとは毎週の会議の参加を免除してくださったり、私が現場に出る上で、会社からのバックアップがたくさんあったことや、実家の家族にもたくさん協力してもらったことで、乗り越えることができました。
最後に、個人的な今後の展望についてになりますが、ゆくゆくは1級土木施工管理技士の資格を取得し、安心して工事を任せていただけるよう成長していきたいと思っております。また、今、中舘建設には若い社員が入社してくれているので、みんなが結婚して子どもが生まれても、長く勤めたくなるような会社を、これからも繋げていきたいと思うようになりました。子どもが小さいうちは、子育て重視で働きたい方もいると思うし、そうじゃない方もいると思うんですけど、その人の考え方や働き方が尊重されて、急に誰かが休みになっても影響が少なくなるよう連携をとり、お互いにサポートし合える環境を作ることで、子どもが小さくても、みんなが働きやすい会社になるよう、自分にできることを一生懸命頑張りたいと思っております。私からは、以上になります。
小野部長
ありがとうございました。佐藤さんから、仕事のやりがい、また子育ての大変さ、そうした中での職場の皆さんからのサポート、あるいは取組や改善、そして一人一人の子育てについての考え方などを尊重することが重要というお話を頂戴いたしました。
知事、いかがでしょうか。
達増知事
現場の事故防止、安全確保は非常に大切で大変だと思いますけれども、これは絶対必要なことなので、そこをちゃんとやっているのは本当ありがたいと思います。それから、中舘建設の社長を先頭に、女性の働きやすさと休みやすさをということで、休みやすさは働きやすさのツールの多くを占めているわけでありまして、今、非常に求められていて、もともと基本的、人権的にやって当然というところもあるんですが、さっぱり行われていなかったので、日本全体として、女性の働き方や働く環境を良くしようということを国を挙げてやっているようなところがあるわけですけれども、それを丁寧に進めているということで、大変いいなと思います。そういうやり方で、会社の経営の方も良くなるとか、適切に休んでいい時や休むべき時に休むことがちゃんとできてこそ、会社全体の経営もかえって良くなるという、そういうところがあるので、会社としても伸びていって欲しいと思いますし、また、その中で自己研鑽を積んで、さらに活躍できるようになっていけばというふうに思いますので、その調子で頑張ってください。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。
続きまして、菊地さんからお願いいたします。
菊地 和弘
先ほどの繰り返しにもなるんですけれども、東日本大震災が発生したときは、私たちの会社に、まだ菊地建設としての重機とかそういう物がないときでした。たまたま除雪のために、市役所から貸与されていたホイールローダーがあって、あの時は、どこにも何も情報がなくて、どこで何をしたらいいか全然分からない状態でした。給食センターからご飯を持ってくる車が来たんですけれども、そこの小学校に避難してるかどうかも分からないけれども、とりあえず回っていくというんですけど、がれきがあって通れないとかっていうような状況がありました。やっぱり、それを通じて、私たち建設会社として機械とかそういう物を備えていくのが大事だっていうふうに、そこで強く感じました。
その後、事業量の増加とともに、私たちもその求めに応じて、人も増やし機械も増やし成長していく中で、その後、(平成28年)台風第10号がきました。その時は、人も機械もそれなりにあったので、しっかりその地域を守ることが、自分なりには凄くできたんじゃないかなというふうに思っております。
その後に続く(令和元年)台風第19号の時には、事業量が多かったこともあり、内陸の業者さんにお手伝いをしていただいておりました。私の父親の実家が、岩泉町の門地区の三田貝だったので、その三田貝の人から「孤立してたよ」っていう連絡をもらって、花巻市の業者さんでしたけども、その方々に門地区に入ってもらって、応急、復旧をしてもらったっていうことがあります。震災前は30数名の会社でしたけど、今85名ぐらい従業員がおります。これは震災で職をなくして建設業に入職してくれた方々もおり、一緒にここ13年勤めてくれた方々です。
ちょっと残念なことは、平均年齢が50歳でずっと変わらないってことで、うちの最高齢は77歳、まだ仕事がしっかりできるので、頑張って退職しないでもらっています。なかなか中間層の人が少ないっていうことがあって、若い子たちもなかなか入ってこないってこともあって、世代交代っていうか、若返りが進まないっていうことを課題に思っております。この人数の規模、会社の規模を何とか維持していきたいって思うものの、やはりある程度の年齢になると、10年前と同じにはいかないってことがあります。そういうこともあり、協会(岩手県建設業協会宮古支部青年部)を通じて、「(こどものまち)みやっこタウン」、これは小学生を対象にした職業体験の1日間のイベントになるんですけれども、なんとか、これから仕事を選ぶ人たちに、建設業を選択肢の中に入れてもらいたいっていう思いがありまして、建設業協会でやってるふれあい事業もそのとおりなんですけれども、何とかこっちを見ていただきたいっていうのが、本当の想いのところです。子どもたちはいるんですけど、どうしても都会の方に、盛岡・仙台・東京というふうに行ってしまって、宮古地区で言いますと6割から7割は管外に出てしまうっていう辛い現実があります。何とか、魅力ある建設業を作るために、私たちにも仕事があると、若い子たちを育てていくことができます。
地域には、やっぱり建設業がないと、例えば、何とか沢(地名)って言われても、多分、(災害時に)応援に来てくれた方は分からないですし、重茂半島でいいましても、千鶏とか石浜っていう地名はないので、何地割っていう表記にしかならないと思います。その辺のところ、やっぱり地元っていうのはとっても大事なんだと思っております。何とか、私たちも踏ん張って地元を守っていきたいっていう思いでおります。何とか、岩手県さんの方でも後押しをしていただきながら、よろしくお願いをしたいと思います。
小野部長
ありがとうございました。菊地さんから、地域にとっての建設業の大切さ、そうした中での従業員の皆さんの若返りがなかなか進まないという御苦労といったことについてもお話をいただきました。
知事からお願いいたします。
達増知事
東日本大震災津波の時、建設業協会宮古支部は、全県の中でも非常に迅速に、また様々まとまって、あるいは役割分担して対応していただいて、国や県、市と一緒になって、迅速な復旧に大きな貢献をされたこと、お話を聞いて思い出しておりました。
また、そこから10年ちょっとで、従業員の人数が倍以上に成長していて、非常にすごいことでありまして、東日本大震災津波の復旧・復興から二度の台風災害を乗り越えるというところで、適切に対応してこられたということが大きかったのだろうなと思います。やはり、地元の建設会社の方は、その土地をよく知っているということが、災害の時に非常に大事ですし、あとは岩泉町の門地区とのつながり、そういう人脈、人のつながりというものも大きいので、是非この調子で、持続可能な発展を遂げていただきたいなと思います。
平均年齢が50歳ということで、高齢化というのは、あらゆる分野にあるんですが、先週、全国知事会が福井県で開催され、そこで人口減少と地域の産業振興を組み合わせたようなテーマで、冨山和彦さんという、県北自動車や浄土ヶ浜のホテルと関わりがある方に基調講演をしてもらったんですが、冨山さんは、福島県や関東の方でも、いくつかバス会社を持っており、そういった富山さんの傘下にあるバス会社の生産性の高さ、時間当たりの稼ぐ額や一人当たりの稼ぐ額ですが、バスの運転手の方で一番要領が良く、的確に稼ぐのは60歳代の人だと言っていました。あと、海の海女さんについても、若い方が量はたくさん獲るけど、値段の高いアワビなどは高齢の方が要領良く獲って、収入に関しては、高齢の海女さんの方が多いという話も聞いたことがあります。そういう高齢の方の凄さみたいなものもあるので、活用されるといいんじゃないかと思います。
一方、子どもたちや若い方にどんどん入ってきて欲しいというのはそのとおりでありますので、地域で情報発信や、子どもへの体験をされていて、県としても若い方たちに建設業の魅力や意義を伝えることや、そして県外に対しても、岩手でそういう仕事をすることの魅力をどんどん発信していきたいと思います。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。
それでは4人目、鈴木さんからお願いいたします。
鈴木 悠太
鈴木と申します。自己紹介の部分でも一度お話しさせていただいたんですが、県政懇談会は二度目の出席ということで、前回は平成29年の4月に宮古地区で行われた懇談会に参加させていただきました。その時は、まさに台風災害後から半年ということで、本当によくわけが分からないままという形で、必死にやっていたのを思い出されます。その中では、河川氾濫で公民館とかが被災してコミュニティが壊れてしまったりというところで、こちらから出向く形で支援をしていく移動型カフェサロンバスというお話をさせていただいたと思います。そちらの方も、能登(能登半島地震の被災地)などでも現在、運行実績があって、少し岩泉がそのモデルとしてお役に立てたのかなとうれしく思っているところです。
以前、懇談させていただいた以降の岩泉の状況についてですけれども、現在では災害復旧工事等も進んでいて、同時に、大きく災害前のふるさとの景色とは違いつつあって、少し寂しさも感じるんですけども、着実に復旧は進んでいると思っています。あわせて、ソフト面でも地域を主体としたコミュニティの復興であったり創生が進んでいて、一部の側面から見ると、災害前よりもコミュニティ活動が盛んに行われているという印象を受けます。
流域治水の取組についてですけども、ハード関連の工事、施設整備であったりとか、備品、物品配置など、着実に整備が進んでいるほか、ソフト面でも治水の取組についての広報啓発活動というのを丁寧に行っていただいて、住民に届く機会も多くあって有り難いと感じています。今年度には、町の防災士連の総会後に、県の担当者の方から流域治水等の取組に関する講話勉強会も行っていただきました。やはり、台風災害を受けた町ということもあって、参加者はとても興味深く、質問も多く飛んでいて、本当に興味を持っていたなという印象を受けます。このようにハード面も推進していきながらも、やはり住民等による自助、共助の大切さというのもますます重要になっていて、その点の啓発なども含めて、まさに両輪での取組が現在の岩泉町でも求められていると感じています。
その中、防災活動の一端として、私の方では防災士連の会長として、そして一人の防災士として、将来を担う防災リーダーの育成に取り組んでいます。具体的には、地元の高校であって、私自身の母校でもあります岩泉高校で防災学習の一端を担わせていただいています。対象となってくる生徒は、小学校や中学校の青春時代に、まさに台風災害を経験した世代です。中には、避難所運営などに携わった子たちもいて、やはり様々な経験を乗り越えてきた世代でもあります。それゆえに、彼ら、彼女らからは、授業だから受けているんだという感じは全く感じられません。すでに、災害を自分事化できている世代であるというふうに常々感じています。前向きに取り組む姿勢もあってか、やはり知識、経験の吸収力であったり、モチベーションも非常に高く、とても頼もしく感じていて、将来が楽しみです。先生方も、防災学習への理解も深く、まさに学校一体、地域一体となって取り組んでいるという印象を受けます。今後、きっと進学や就職でふるさとを離れる子も少なくはないと思うんですが、このふるさとで学んだこと、自らで得た経験を、それぞれが置かれた場所で生かしていって欲しいと私自身は思っています。もし、将来ふるさとに戻って、防災リーダーとして活動してくれれば、こんなにうれしいことはないんですけれども、離れていてもできることはあると思うので、ふるさとを思って、それぞれの形で、防災、減災に関わってくれることを期待しています。
今後の将来の展望、取り組んでいきたいことについてですけれども、本日のテーマに沿ったところだと、過去には東日本大震災、そして二度、平成28年の10号であったり(令和元年の)19号災害という大きな台風災害を、何度も乗り越えてきた町でもあります。まだ道半ばではあるんですけれども、それを乗り越え復興してきた町だからこそ培ったノウハウ、経験、そして伝えること、発信できることが数多くあると思っています。その中には、ワンストップ型の相談窓口「岩泉よりそい・みらいネット」などを専門職と連携して、災害ケースマネジメントの取組として実施しています。これらは、まさにこれから防災に本格的に取り組んでいく、被災経験がない市町村などの参考となるケースも多くあると感じていますし、それらをまず広く内外へ伝えていくこと、そして次世代の防災リーダーの育成というのが、私自身、防災士連会長として、そして防災士としての一つの務めだと思っています。その取組の一つとして、今月8月28日に、岩泉高校生が自らが先生となって、岩泉小学校の生徒を対象に、岩泉町内の防災ジオラマづくりというのを計画しています。私たち、防災士連がバックアップをしまして、防災を学ぶ生徒たちが行う出前事業として行う予定です。こちらも、未来へとつながる取組の一つであると感じているので、この取組にも大いに期待をしているところです。以上になります。
小野部長
ありがとうございました。岩泉町は様々な災害がございました。これを踏まえて、流域治水については、ハードとソフトは両輪なんですが、鈴木さんはソフトに力を入れて内外に伝えていくこと、そして未来につなげていくことといった取組を進められているというお話を頂戴いたしました。
知事からお願いいたします。
達増知事
福祉関係の事業をやろうと始めたところに、平成28年台風が岩泉町全体を襲い、救助、復旧、防災をやらなければならなくなったという流れなんでしょう。もともと福祉をやろうとしていたその視点や発想が、防災にも非常に活きたと思います。一人一人の生活や安全の確保から始まって、生活できて働ける人や働きたい人は働けるようになるというような、そういう防災の安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生というようなところをなぞるような形で、移動型カフェサロンバスの事業とか、そういうものが生まれてきたんじゃないかと思います。
岩泉町の災害は、町全体が被害を受けたために、町全体で取り組むことができるようになり、岩泉高校もまさにそういう意味で自分事として取り組んでくれているのかと思います。その岩泉高校生を指導し、人に教えられるようになるというのが一つの達成でありましょうから、小学生に教えられるところまでいっているというのは、非常にいいことで、私からも御礼を申し上げたいと思います。
災害から引き出せる教訓というのはたくさんあると思いますし、この1年の間に、安家川の整備が大体終わったところを見に行って、安家の公民館の人が集まっているところで話を聞く機会があり、かなり姿や形が変わってはいるんですけれども、人口も少なくなっているんですが、栗しぼりが丸ごと中に入ってる饅頭、独特の栗饅頭など、非常に魅力ある地域資源がある安家ですから、そういう地域のこれからというのは非常に楽しみだと思います。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。4人の皆さんからそれぞれお話をいただきました。
ここからは、大体30分程度時間がございますので、1回目、1巡目でお話足りなかったというところもあるかと思いますし、他の皆さんのお話を聞いて、そういえばといったところもあるかと思います。また本日のテーマ以外のことでも結構ですので、何かこの際話してみたいといったことがありましたら、是非お願いしたいと思いますけど、いかがでしょうか。佐藤さん、お願いいたします。
佐藤 美貴
私からは、実際に現場を担当してみて、建設業ってイメージと違ったことがあったので、それについてお話させていただきたいと思います。
建設業は休みが少ないイメージがあるかもしれないんですけれども、実際、公共工事では、今、週休二日が基本となっておりまして、さらに、中舘建設は今年から土日祝日が休みになりました。なので、家庭と仕事の両立がしやすく、有り難い環境で働けております。
また、現場事務所や現場の休憩所とかは、エアコンが完備されておりまして、季節問わず快適でありますし、あとは、仮設トイレに関しては洋式であったりとか、女性のトイレのドアは開けたら真正面ということがないように、ドアの向きに配慮された仕様でなければならないといった、国や県の設置基準というのがあるので、女性が建設業で働く上で、細かい配慮をしていただいていると思っております。
このように、国や県をはじめとして、みんなが働きやすい環境づくりをしてくださっているため、建設業は、女性や、特にママでも働きやすい環境が整っていると実感しております。ですので、建設業はまだまだ女性から敬遠されるイメージがあるかもしれないんですけれども、入ってみると実は違うので、県には、情報発信の方を頑張っていただきたいなと思っております。建設業は現場に出ている女性が少なくて、特に今まで現場に出ている方っていうのは自分の周りには全くいないので、女性でも、ママでも現場ができるのかなとかって、不安のある若手の女性技術者の方もいらっしゃると思うので、まだ現場代理人を任せていただいてから3年と短い期間ではあるんですけれども、私の経験が誰かの参考になれば嬉しいと思っております。以上です。
小野部長
ありがとうございます。佐藤さんの現場代理人としての経験、また子育てなさっている、なさってきた経験というのは、これからの建設業を目指したいという女性の皆さんに、本当に役に立つんじゃないかなと思いますけど、いかがですか。
上澤部長
まさに、私たちが日頃から言っていることを代弁していただいたのではないかと思います。今の建設業は、非常に高齢化が進んでいるということもありますし、そもそも入職者が少ないといった状況の中で、いかにしてその新しい世代を確保するかといったところで、今、高校生向けに、毎年、秋や冬にセミナーみたいなことをやっていますが、女性の方もこういった形で働けるという、今のお話は非常に参考になるんではないかと聞かせていただきました。私も、建設会社の社長さんとか、県の(建設業)協会の役員の方々とはお話しをする機会はあるんですが、なかなかこういった現場の細かいことを直接聞く機会はないものですから、非常にいいお話を聞かせていただきましたし、あと建設業もそうですし、私ども県の方も発注者として、女性が様々な形で入ってきておりますので、そういった発注者と受注者との間で交流できるような機会も考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
達増知事
発注の仕方も(女性目線だと)全然違いますからね。
小野部長
非常に重要なポイントだと思います。よろしくお願いいたします。その他いかがでしょうか。では、赤坂さんお願いいたします。
赤坂 渉
今、佐藤さんが触れた休みについてなんですけど、家庭との両立に関しては、今の建設業は大分改善されてすごく良くなったと思います。先輩社員の方に昔の話を聞きますと、土曜日出勤は当たり前で、天気が良ければ日曜日も平気で仕事をして、月に休みが3日とかあればいいほうじゃないかみたいなことを言われて、入った(入社した)時はすごく恐れていたんですけど、弊社では、完全週休二日ではありませんが、週休二日相当はほぼクリアされていまして、休みに関しては全く不満はない状況です。残業に関しても、現場の追い込み時などには多少ありますが、普段の調整の仕方次第では、極端に多く発生することは特にありません。休暇に関しても、同じく現場の中で、他の技術者の方との調整さえできていれば、以前と比べると大分取りやすくなって、子どもの授業参観とかにも参加できるようになりましたので、大変助かっています。ただ、これは弊社の話で、下請けの方に話を聞くと、日給月給制をとってる会社さんはまだ結構多いみたいで、そういう会社さんですと、週休二日を実施するのは、今の仕事の量で給料を維持したまま休むっていうのがすごく難しいということでした。それが、これから改善しなきゃいけない内容なんですけど、その際に生産性向上を図るのか、落札率を上げて受注を頑張るのか、方法は様々かと思いますけど、何かしら変化をしなければいけないのかなというふうに考えます。以上です。
小野部長
ありがとうございました。やはり、人手不足というのもありますし、働き方改革というのもありますし、そういった中で生産性の向上をどのように上げていくのかという、建設業を始め、県内や日本全体で考えて悩みながら、少しでもいい方法をとっていきたいと思いますけども、いかがでしょうか。
上澤部長
高校、大学あたりまでは、当然土日が当たり前の休みの人たちが、いきなり建設業に入って、土曜日が仕事という世界では、なかなか新しい人たちも入ってこないのかなというようなことを、会社の方から聞いたことがあります。そして、(働き方改革関連法により中小企業にも残業規制などが始まった)2024年ということで、建設業にも残業の上限規制がしかれましたので、ICTなど、そういった生産性の向上などを、これまで以上に進めていく必要があるのではないかと思っております。
そのあたり、菊地さんは会社の経営者として様々な思いがあるんじゃないかと思っています。
小野部長
ありがとうございます。今の案件でも結構ですし、何かありますでしょうか。また、先ほど菊地さんから小学生を対象に子どもたちに建設業を知ってもらって、将来勤めたいと思ってもらうといったことで様々ふれあい事業などをされていますが、その反応なども含めてお話をいただければと思います。
菊地 和弘
今の話について、私からも一つ言わせていただきたいのですが、私の会社も10年ぐらいまでは休日70何日とかっていうことで、本当に少ない休日で、やっと今年110日ということで少しは皆さん並みにできるようになったのかなっていう反面、会社の管理と労務というんですか、職人と呼ばれる人たちが半分います。今、言われたとおり日給月給の方々です。年収が下がらないようにということで、単価を上げていくんですけれども、今までからいくと、本当に3割ぐらい1日当たりの単価が上がっています。ICTやIT化とかっていうことで、管理の方々の効率は上がるんですけど、大工さんがハンマー打つスピードを2割上げるって本当に大変なことになってしまいます。そういうところにも是非目を向けていただいて、労務単価2割上げていただいたのは大変ありがたいことなんですけれども、やはり一番最後は人の手が動いての現場になりますので、その辺のところの配慮を一つお願いできれば、大変有り難いように思います。
それから、ふれあい事業に関してですけれども、残念ながら(事業が)終わった後のその年以降は(子どもたちのことを)追いかけていないので、その効果でどのぐらい入職者があったのか掴めていない部分ではあるんですけれども、概ね、いい感触はいただいているなという、自己満足かも分からないですけれども、そういう形で毎年開催させてもらっております。ようやく去年からコロナが5類にっていうことで、大規模校(学校)にも行けるようになって、どんどんアピールをしていきたいなというふうに思ってます。コロナの時は、人数が少ない学校、5人とか3人とかっていう学校をメインに回らせてもらっております。地道な活動にはなりますけれども、何とかやっていきたいと思ってます。あと、「みやっこタウン」に関しましては、一昨年から、岩手県さんの方にも一緒に入っていただいて、VRゴーグルなんかを準備してもらったりとか、あと整備の設計など、そういうのを一緒に入れてもらって、小学生を対象に一緒に開催させていただいております。これは大変人気の事業で、今年も秋に開催しますけれども、定員がいっぱいになるってことで、いい結果がでるんじゃないかなというふうに思ってます。以上です。
小野部長
ありがとうございました。
鈴木さん、先ほどお伺いしたらNPO法人クチェカという名前はスワヒリ語に基づいているとのことで、名前の経緯と、あとそれからもう一つお伺いしたいのが、防災士の方々が地域で200名を超えるということで、この多くの方々の関心が高いといいますか、危機感でもあるかと思うんですけれども、こういった方々とこれからさらにどうされたいか、先ほども展望の方で、内外に伝えていきたいというお話をいただいてますけれども、具体的にどのような活動を考えていらっしゃるかなどをお話いただければと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木 悠太
ありがとうございます。NPO法人クチェカというのは、スワヒリ語で笑うこと、笑顔っていうのを意味してまして、この法人の活動に関わる皆さんが、笑顔になっていただきたいというところで、名付けさせていただいたという形でございます。
防災士連の活動としましては、やはり災害後、特に防災士育成に町は力を入れてきまして、現在までで200名を超える防災士が地区に誕生しています。防災士連絡協議会の役割としては、防災士というのは災害が起きた場合には自分の判断で決めて、フェーズフェーズで大切なことをやっていくというのが重要なことだと思うので、防災士連全体の活動としては、情報共有であったりとか、あと日頃からの研修、人材育成というところに力を入れています。全体感での研修への参加であったりとか、あとは防災士はせっかく(資格を)取っても活用の機会がないとモチベーションが落ちていく一方なので、定期的に研修に参加していただいて、自分自身が防災士であるということを認識してもらうとか、あとは、やはりみんなで学び合うというのは非常に大切な機会だと思うので、その機会を増やしていきたいなというふうに思っています。有事の際、災害の際には、やはり防災士間の連絡共有の中で、本当に岩泉町の場合ですと、局所災害だったり、分断が起こって、なかなか情報統制がとれなくなったりとかっていう課題もありましたので、その中で情報共有ができるよう設けているので、今この地区の被災状況はこんな感じだよっていった形で、スピーディーに災害の実態と把握ができるような形で進めていければというふうに思っています。この地域も含めまして、防災士の活動が地域に根差したものになっていって、防災士の基本的な活動の部分で、地域づくりというのが明記されているので、皆さんが地域づくりにも関わっていただけるような組織になっていければいいのかなというふうに、今は思っております。以上です。
小野部長
ありがとうございました。先ほども、鈴木さんからハードとソフトの両面で流域治水に取り組んでいくことが重要といったことで、県の方でも多重防災といった形で、ハードとソフトを組み合わせた取組を進めております。また、そのソフトの中でも、自助、共助、公助、特に共助といったところが、非常に地域の防災力の強化のためには重要なのかなと思っております。200名を超える防災士の皆さんが活動されているという、さらに地域づくりまでつながっていくということで、岩泉町では大変な災害があったわけですけれども、将来に向かって、ある意味大きな宝でもあるのかなと思っております。ありがとうございました。
2順目まで皆様から様々お話を頂戴いたしましたけれども、いかがですか。若干まだ時間はございますけれども、よろしいですか。上澤部長、お願いいたします。
上澤部長
私から御礼といいますか、実は岩泉町のその取組、流域治水は、今、岩手県の全県下で進めておりますが、一番の先陣は岩泉町です。河川改修はそのとおりやるということにしたんですけれども、併せて避難に続くような取組、その防災士の育成に町として取り組んでいただいているんですが、主にこのソフト施策の部分で、県外の説明といいますか、出前講座をするということもあったんですが、まずは県内の岩泉町外の市町村の方に、岩泉町の取組を是非広げていただきたいというのが、非常に感謝とこれから期待する部分でございます。そのとおり、河川改修自体は令和6年度の完成を目指して進めており、土砂災害対策の砂防ダム管理に関しても、概ね終盤にきつつありますが、やはりハード整備にはどうしても時間がかかりますので、その間にできるソフト施策として、我々は円滑な避難や指示のための河川などの情報を提供しますので、鈴木さんやそういった団体の皆さんといい連携を取りながら、減災に取り組んでいきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。
小野部長
上澤部長、ありがとうございました。
本日は、4人の皆さんから、ハード、そしてソフトの面で、岩手県の安全・安心な地域づくりにつながる活動に取り組んでいらっしゃる皆さんからお話を頂戴いたしました。本当に、様々な面での御苦労も含めてお話を頂戴いたしました。
知事所感
小野部長
それでは、最後に知事からお願いいたします。
達増知事
冒頭で、今の「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」というのを紹介したんですけれども、まさに、皆さんも東日本大震災津波の経験に基づきながら、また復興に取り組む中で、今に至っているなと感じました。東日本大震災津波後の、平成28年台風も含めて、そういったことを乗り越えながら今に至って、そして、それぞれ未来に向けた展望がちゃんと開けているなということを感じました。
建設省という役所、今は国土交通省になっているんですけれど、もともと戦前までは、地方行政をやる内務省という中に、建設もあれば、自治もあって、そして自治の一環として消防、防災があって、あとは、厚生省の医療や保健、福祉もすべて内務省の中にあって、地方行政、地方自治の中で、この建設というのは、なくてはならない分野だということでありますし、消防、防災というのは、もともと自治は、そのために人々は集落を作って集まって、いざというときに助け合うということが、村や町の原点でもありますので、それで非常に地方自治の大事なところをやってもらっているなというふうに思います。そこで建設にせよ、防災にせよ、まちづくりとか地域づくりにも大きく関わって、地域の将来、未来、そして人口減少対策といったことにも関わってくるということですし、また、そういうことはうまくいきますと、大谷翔平君みたいに大活躍する人が出てきたりもしますし、また、外で活躍するだけじゃなく、地元で活躍する機会もどんどん増えていき可能性も広がるので、是非この調子で進んでいって欲しいと思います。
今日は、どうもありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。
閉会
小野部長
本日、4人の皆様から様々なお話をいただきました。特に、維持管理の重要性でありますとか、将来的な産業としての公共工事の発注量の関係についてもお話を頂戴いたしました。また、子育ての大変さ、そうした中での休み方、働き方改革といったことの重要性もお話をいただきましたし、将来的な人材確保、育成の大切さ、そして共助の中で、例えば災害ケースマネジメントなどについての取組を推進し、また発信していくこと、これは岩手県だけに限らず全国にとっても重要だというようなお話も頂戴いたしました。
本日いただいた御意見につきましては、県の関係部局と共有して、今後の県の施策にしっかりと生かして参りたいと考えております。本当に、本日はありがとうございました。
以上をもちまして、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」を閉じさせていただきます。
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