「いわて幸せ作戦会議(in東京)」(令和6年10月29日)

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ページ番号1079197  更新日 令和6年12月20日

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日時
令和6年10月29日(火曜日)13時30分から15時30分まで

場所
都道府県会館 4階 410会議室

出席者
・参加者(敬称略)

 細川 瑠杏(お茶の水女子大学 文教育学部)
 松田 由希菜(早稲田大学 教育学部)
 佐々木 練磨(早稲田大学 文化構想学部)
 米内 陽香(中央大学 法学部)
 西森 菜々花(横浜国立大学 経済学部)
 吉田 舜(法政大学 国際文化学部)
 白岩 裕悟(東京大学 教育学部)

・県側
 達増 拓也 知事
 小野 博 政策企画部長
 高橋 孝政 東京事務所長

開会

小野部長
 ただ今から、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in東京」を開催いたします。皆様には、大学でお忙しいところで、御出席いただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝いたします。今日は「東京で気づく、岩手のチカラ」を懇談のテーマといたしまして、本県出身の首都圏在住の大学生7人の皆さんにお集まりをいただきました。私は本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部長の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

小野部長
 それでは開会にあたりまして、達増知事から御挨拶申し上げます。

達増知事
 皆さん、こんにちは。ようこそ、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in東京」に御参加くださいまして、ありがとうございます。また、わかすフェスをやってくださっている方もいらっしゃいまして、お世話になっております。ありがとうございます。
 県政懇談会は、岩手県の各分野、また各地域で活躍している方の声を知事が直接聞いて、県政に反映させるというもので、昔からあるものですが、最近、いわて幸せ作戦会議という名前でやっているのは、今の県の総合計画、「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標に「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」とあるので、幸福を守り育てるから、幸せ作戦会議という名前にしております。「in東京」というのは、いわて文化大使をやってもらっている人たちに集まってもらった記憶があるのですが、県政懇談会のスタイルじゃなかったですね。ですから、初の「in東京」参加者ということで、記念すべき第一回です。
 テーマが「東京で気づく、岩手のチカラ」ということで、東京から見た岩手についてでありますとか、また東京から岩手に関してあれやこれができるかもとか、そうしたことがテーマということでありまして、また「in東京」を初めてやるということも併せ、こうしたテーマを取り上げる背景には、今地方が直面する課題、それは日本が直面する課題でもあるわけですが、人口問題ということが、岸田内閣の異次元の政策など、国を挙げてやりましょうということになっていて、政府だけではなくて、いろいろ民間の団体ですとか有識者の動きも、今年が地方創生10周年という節目なので、去年あたりから活発になってきています。岩手県でも通称イクボス知事同盟、将来世代応援知事同盟という、人口問題に特に取り組もうという有志の知事、若手、中堅の知事とか言いつつも、10年以上活動しているので、私のような60歳ぐらいとその前後が結構多い知事の有志の会でもありますが、去年、岩手県でサミットがあって、20人くらいの知事が参加しているのですが、岩手に集まって、そこで人口戦略法案という本を書いている日本の官僚、役所、省庁の世界で一番人口問題に詳しい山崎史郎さんという、元厚生労働省で、今も内閣府で働いている方に来てもらって、人口戦略をテーマに開催しました。
 ということで、人口戦略という言葉が、その本が出て、今年も民間有志の人たちが、国民人口戦略会議ですか、そうしたものを立ち上げて、人口戦略という言葉が流行ってきているのですが、岩手県としては人口戦略というのは、個人個人の人生戦略に対応するものでなければならないということを言っております。
 人生戦略というのを一番意識して日々活動しているのは大学生ではないかというところもありまして、今日は大学生の皆さんに来てもらっております。皆さん、それぞれの人生戦略があると思いますし、岩手県としては、岩手県の人口戦略というのは、すべての岩手県民、または岩手に関わるすべての人の人生戦略に対応するものでなければならない、ということで、岩手県の人口戦略を磨いているところでありますので、その参考にもしたく、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。

出席者紹介

小野部長
 それではこのあとの進め方についてですが、まず私の方からお一人ずつ、皆様のお名前を御紹介いたしますので、続けて1分程度で簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、今回二つのグループに分かれていただいております。4名、それから3名ですね。各グループの発言が終わった後、知事からコメントをそれぞれいただくという形で進めていきたいと思います。
 そして最後に、自由懇談の時間も設けたいと思っておりますので、皆さん言い足りなかった点、あるいは他の人の話を聞いて、そういえばといったこともあるかと思います。様々自由に意見交換を進めてまいりたいと思います。
 それでは、座席表に従って本日御出席の皆様を御紹介いたします。初めに、細川瑠杏さんです。お願いいたします。

細川 瑠杏
 はじめまして、こんにちは。お茶の水女子大学文教育学部からまいりました、細川瑠杏と申します。まず始めに、本日は貴重な機会に御招待いただき、ありがとうございます。今年、私は岩手わかすフェスの実行委員長を務めさせていただきます。もともと不来方高校で中国語を学んでいたので、大学でも中国語学でしたり、中国古典文学などの中国に関する幅広い分野を専門的に学んでいます。岩手県に帰省するたびに、地元の方々の穏やかな人柄に触れるたびに、心が温かくなることがたびたびあって、その温かさこそが岩手県の魅力ではないかと感じております。今回の懇談を通して、岩手とのつながりについて改めて自分自身も考えていける機会となれば良いと感じております。本日はよろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 続きまして松田由希菜さんです。

松田 由希菜
 初めまして。早稲田大学教育学部3年の松田由希菜と申します。今日は御招待いただき、本当にありがとうございます。私は陸前高田市の出身でして、中学、高校と陸前高田市にいて、地域貢献がしたいと思って、学生団体で活動してきました。それから、将来的には、岩手そして陸前高田市に帰りたいと思っておりまして、そのためには、まず東京に出て外を見てこようということで、早稲田大学に入学しました。私は陸前高田市で活動してきたという中の者としての立場と、それから、現在岩手の葛巻町と陸前高田市で活動しているのですが、外者として、岩手に関わるというところで、いろいろ懇談できたらと思っております、よろしくお願いいたします。

小野部長
 よろしくお願いいたします。
 続きまして佐々木練磨さんです。お願いします。

佐々木 練磨
 早稲田大学文化構想学部2年の佐々木練磨と申します。本日はこのような貴重な場に御招待いただき、ありがとうございます。皆さん、私の学年より上ということで、とても緊張していますが、私は普段大学でセクシュアリティだったり、多様な形で表現された芸術文化の研究を主に行っております。サークルでは、週末に支援学級の子どもたちと遊ぶ、区と提携しているボランティアサークルに所属しております。今日は皆さんの貴重なお話を聞いて、たくさん勉強させていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

小野部長
 よろしくお願いします。
 続きまして、米内陽香さん、お願いします。

米内 陽香
 中央大学法学部からまいりました米内晴香と申します。今わかすフェス実行委員として参加させていただいていて、今年が初めての参加となります。大学は法学部だったので、法律や政治とか政策などについて学んで、それを活かせる公務員の仕事に関心を持ちまして、来年度からは公務員として働かせていただくことになります。今日は学生としての意見を述べる立場になるのですが、来年度からは若者を始めとした県民の方々の声を吸い上げる立場になると思うので、来年度に向けての良い機会にできたら良いなと思います。本日はよろしくお願いいたします。

小野部長
 よろしくお願いします。すでに始まっているということでよろしくお願いします。
 続きまして、西森菜々花さん、お願いします。

西森 菜々花
 横浜国立大学経済学部の西森菜々花と申します。本日は御招待いただき、誠にありがとうございます。私は現在、大学で経済学部の中でも副専攻で地方財政や地域財政政策を学んでおります。あとは昨年度から岩手わかすフェスの実行委員として活動させていただいているというのと、盛岡一高のOBの方が立ち上げた、東北の探究活動を支援する、あと、アントレプレナーシップ教育や、そうした教材を作っている企業でインターンをさせていただいております。将来的には、自分も企業の中であったりとか、起業したりとかという形で、地方創生に関わる事業を何かしらやっていきたいという思いがあるので、今回は民間企業がどうやって地方創生に関わっていけるのか、どうやったら地方を盛り上げていけるのかというところでお話をさせていただけたらと思っています。よろしくお願いいたします。

小野部長
 よろしくお願いします。
 続きまして吉田舜さんです。お願いします。

吉田 舜
 こんにちは。はじめまして、法政大学国際文化学部からまいりました3年の吉田舜と申します。よろしくお願いします。大学では国際文化学部ということで、国際協力などを学んでいます。そして昨年、私がフランス語を専攻しているので半年間フランスへの留学をして言語を学ぶということをしておりました。私、姉がいるのですが、2019年に、姉が達増知事さんとニコニコ生放送で対談をさせていただいた経験があります。本日はよろしくお願いします。

小野部長
 よろしくお願いいたします。
 最後になります、白岩裕悟さん、お願いします。

白岩 裕悟
 皆さんこんにちは。東京大学教育学部4年の白岩裕悟と申します。まず、本日はこのような機会をいただき大変ありがとうございます。現在大学では卒業研究に取り組んでいる最中でして、自分は教育学部ということで、地方の教育について、それも、地方の中の県庁所在地などではなくて、もっと人口の少ない地域に注目して、研究を行っています。それからわかすフェスの実行委員が2年目になっております。それで、出身地が紫波町で、出身校が盛岡第一高校なのですが、実は高校時代、部活がソフトテニス部でしたので、言って良いのか分からないのですが、いろんな面で達増知事の後輩になっているというようなところでございます。本日はよろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。本日はこの7人の皆さんで懇談会を進めてまいりたいと思います。県からは、達増知事、それから高橋東京事務所長が出席でございます。よろしくお願いいたします。

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
 東京で気づく、岩手のチカラ

小野部長
 皆様のお手元にお菓子を準備しておりますので、お召し上がりいただきながら、懇談を進めていければと思います。
 今日のお菓子ですが、皆さん御承知のとおりかと思います。まず、水の方ですが、龍泉洞の水、それからお菓子は、銘菓かもめの玉子でございます。どちらも岩手わかすフェスで、去年、2024で提供された品と聞いております。
 龍泉洞の水ですが、龍泉洞から湧き出た水を濾過したもので、モンドセレクション世界最高品質賞を受賞しております。比較的硬度の高い軟水であるということが特徴ということです。
 それから、かもめの玉子ですが、大船渡の菓子店、さいとう製菓が製造する、三陸地方あるいは岩手を代表すると言っても良いかもしれません。しっとりほくほくとした黄色い餡を、黄身の餡をカステラ生地で包んで、表面をホワイトチョコレートでコーティングしたものでございます。本日は秋ですので、栗も出ております。
 お召し上がりいただきながら進めてもらえれば、ありがたいと思います。

 それから今日のテーマ「東京で気づく、岩手のチカラ」について、先ほど知事からもお話がございましたが、簡単に御説明したいと思います。岩手県では人口減少対策を最優先で進めています。現在、就学、就職期の若い皆さんの県外転出、それから高齢化、これが人口減少の要因となっております。こうしたことから、岩手県では進学により首都圏に在住している本県出身の皆さんに意見を伺うことで、今後の社会減対策、人口減少対策の取組の参考にしたいと思っております。
 先ほど知事からお話がありましたが、やはり一人ひとりの人生戦略、これが全体となって岩手県の人口減少対策につながっていくと考えております。岩手で生まれ育って、岩手に住み続けること、それから岩手からいったん出て、進学、就職してから再び岩手に戻ってくる方もいらっしゃると思います。また岩手から出て、県外で大谷翔平選手のように活躍するといったこともあると思います。また県外から岩手にやってきて活躍される、そして岩手ではないけれども、外から岩手を応援してくれる、様々な形での岩手との関わり方があると思っています。岩手県ではこうした一人ひとりの自由な選択を尊重していける、そうした生き方を応援していきたいと考えて、それが岩手県の人口戦略、人口減少対策になるのだと達増知事以下で頑張っているところでございます。
 今日お集まりいただきました7人の皆さんには、皆さんと岩手とのつながり、それから就職先として岩手を選ぶ若い皆さんを増やす、あるいは岩手出身ではないけれども外から岩手を応援していく、いただける皆さんを増やすために必要なことなどについて様々御意見をいただければと思っております。こうした皆さんの視点から見た岩手の力に関する様々なアイディア、お考えをいただきまして、県の人口減少対策を進めてまいりたいと思いますので、本日は様々、忌たんのない御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは次に東京事務所長の方から、岩手県東京事務所で行っている取組について、御紹介をお願いいたします。

高橋所長
 皆さんこんにちは。東京事務所長の高橋でございます。私は4月から東京事務所に勤務しておりますが、実は東京に来て気付いたことがございまして、東京事務所ってどこにあるのですか、という話をよく言われるのですが、知らない、分からないという方がいらっしゃいます。皆さん御存知ですか。いわて銀河プラザがございまして、そちらの2階に我々の東京事務所があります。
 実は東京事務所の方で、先ほどからお話しております、人口戦略、人口減少対策について、様々な取組をしておりまして、それについて四点ほど、御紹介をさせていただきます。
 まず一つ目でございますけども、企業誘致の取組になります。企業誘致といってもすぐに企業さんが決まるわけではないのですが、岩手で就職したいとか、希望する職業職種を選択できるように、東京の方でも、岩手の本庁とか、それから県内市町村と連携をとりながら、東京にある企業訪問をしながら、岩手での活動拠点を何とか設けていただけませんかという形で、様々企業さんと情報交換をしながら、若い方が岩手で働けるような仕事ができるようなものを作っていきましょうという取組をしております。
 それから二つ目ですが、特に移住に直結する取組になりますが、東京事務所の方に、岩手県U・Iターンセンターというものがございます。1階にいわて銀河プラザというショップがあるのですが、それを奥の方に行くと、U・Iターンセンターというものがありまして、今日もスタッフの三上がまいっておりますが、そうした専門の方々が、岩手で就職したいなとか、それから、学生の方、まさに皆さん学生さんなのですが、将来的に岩手の方で何かお仕事を考えたいとか、岩手のために何かやりたいといったような場合に、こちらの方に窓口がございまして、そうしたところを応援しているところでございます。
 それから三つ目は、皆さんに近い取組として、大学のキャリアセンターとか、それから就職担当教員の訪問、それから大学主催の就職相談会、こちらにも参加をいたしまして、県の方でも、新卒者向けの移住支援、就職活動費の補助、それから奨学金返還支援制度など、制度がございますが、そうしたものの御紹介をしているところであります。個別に大学に行って様々お話をしてきたりですとか、それから、今年度は岩手県内の企業さんも御希望であれば、一緒に大学に行って、企業の説明をしたりとか、そうした活動もしているところであります。
 それから最後、四点目ですが、皆さん御存知の通り、都内で、THEいわてDAYということで移住促進イベント、それから移住相談セミナーといったものを開催したり、それから、ふるさと回帰フェアということで、全国的なフェアのイベントもあるのですが、こうしたところに参加をしながら、岩手の魅力、いろいろ豊かな自然ですとか、美味しい食べ物がありますよとか、いろいろな岩手のPRを、こうした機会を活用しながら、紹介しているところであります。
 本日の懇談会、皆さん、日頃の活動を通じて様々思っていることや、先ほどお話がありましたとおり、東京での開催は初めてということでありますので、記念すべき第一回目でございますので、皆さんの忌たんのない御意見を頂戴しながら、是非皆さんと一緒に岩手を盛り上げていくような取組を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 高橋所長ありがとうございました。それでは、ここからは、本日のテーマ「東京で気づく、岩手のチカラ」に沿って、皆さんからお話を聞いていきたいと思います。
 まずは第1グループといった形ではじめに細川さんお願いいたします。6分程度で御発言をお願いします。

細川 瑠杏
 では私の方からお話をさせていただきたいと思います。
 まず私の将来のキャリアについてお話をさせていただきます。私は、仕事の面では新卒で岩手の企業でしたり、岩手に勤務地がある企業で就職をしたいと考えています。
 その理由としては、二つありまして、一つ目が、少しでも多く、家族や育ててくださった地域の方々に恩返しをしたいという思いがあるからです。岩手県には深い思い入れがたくさんあって、そうした思いがあるのは、育ててくれた家族だったり、地域の方々がいたからこそ生まれた思いだと感じています。また、岩手を離れて就職をするとなると、その地域の方々だったり、家族と過ごす時間というのが減少してしまい、恩返しをしようと思ったときには、後悔をしてしまうということがないように、少しずつでも早いうちから恩返しをしたいという思いから、岩手での就職を考えています。
 理由の2つ目は、岩手に帰省するときに、快適さだったり、住み心地の良さというものを強く感じたためです。私、個人の感想ではありますが、東京で生活していると、人の多さにすごく圧倒され、気が休まらなかったり、車や人の騒音などでなかなかリラックスする空間がないと感じていました。それに比べると、岩手に帰省すると人混みが少なく、また自然豊かということもあるので、気持ち良く快適に過ごすことができています。私は、都市部は電車だったり、交通機関がすごく便利な面もあるのですが、私自身は便利さというよりも快適さを求めて仕事をする場所を選びたいと考えているので、今は岩手で就職して、岩手で暮らすことを第一に考えています。
 もしかすると、ここ1年で考えが変わって、また東京や首都圏での就職ということを考えることもあるかもしれませんが、将来的には岩手で生活をしていきたいという気持ちは変わらないので、その地で得たスキルを岩手に持ち帰って、生かしていける仕事に就きたいと考えています。
 続いて二つ目の就職先として岩手を選ぶ若者を増やすために必要なこととしては、先ほど、高橋所長が仰っていたような企業誘致という面で都市部の企業との連携を深めることと、あと岩手県にいながら都市部の企業で働くために、リモートワークやテレワークの普及が必要ではないかと考えています。
 現在私も就職活動をしていて思うのが、学生の中でリモートワークを条件に入れている学生がかなり多いです。私自身も女性ということもあり、将来のキャリアを考えていく上で子育てをしながら仕事をしたいという思いから、リモートワークができる企業を探して考えています。場所にとらわれない働き方というのが、注目されているのですが、地方にはその環境がまだ整っていないことが多く、岩手もそうではないかと感じていました。また職業の選択肢が岩手県は少ないので、就職のために岩手を離れてしまう人がいたり、大学で岩手を離れて、そのままその地で就職をして暮らすというケースが多く発生していると感じています。そのために都市部の企業との連携を取って、リモートワークで働くことによって、若者が地元にいながら、多様な職種に携われる環境が整うと、さらに良いのかなと感じております。
 これによって、岩手に住むメリットが増加し地元に根を下ろしながら、都市部でのキャリアを築くという新しいライフスタイルを形成することができるのではないかと考えております。
 最後に、県外に在住している若者と岩手のつながりをさらに深めていくために必要なことという点では、やはりSNSの活用が重要ではないかと考えております。私自身もSNSで情報を得る機会がかなり増えてきています。特に、県外に進学したり、就職で離れた若者が岩手の魅力に触れ続けるというためには、SNSを通じた継続的な発信が必要だと感じています。例えばInstagramやXで岩手の四季折々の風景や伝統行事などの最新のイベント情報を発信したりすることで岩手に対する愛着を継続的に持つこと、育むことができるのではないかと感じています。私がずっと岩手を好きというのも、SNSでいろいろ岩手について調べて、継続的に岩手に触れているからこそ、愛着が継続しているのではないかと感じています。
 また、SNSやYouTubeなどで地元企業の発信をすることも大事と考えていて、首都圏から岩手の企業に就職したいという人も、どこから情報を得て良いのか分からないことが多いと思いますし、また交通費という面でも学生にとってはかなり負担が大きいと思うので、SNSなどで情報を得る機会が多くなると、さらに就職活動も効率化しやすいのではないかと感じています。特に、SNSの利用率が高い若者にとっては、情報は身近に接する機会が多いほど関心を持ちやすいと思います。そのため定期的な投稿でしたり、配信を通じて、若者と双方向のコミュニケーションを図ることが重要だと考えております。私からは以上です。

小野部長
 細川さんありがとうございました。便利さよりも快適さを求めるといった話。一方でつながりのためにはSNSの積極的な活用をというお話をいただきました。ありがとうございます。
 それでは続きまして松田さんからお願いいたします。

松田 由希菜
 私は、まず自身の就職については、現在、東京と盛岡にある企業、どちらも見て考えている状態になります。ただ将来的に、いつになるか分からないのですが、先ほど申したように、陸前高田市で自営業を始めたいと思っております。なぜかと言いますと、東京の大学生として陸前高田市と関わっていく中で、学生が地方に出向くときに、交通費だったり、あと宿泊費というのがすごくかかってきて、宿泊する場所がないというのは学生にとって、特に東京だったり違う地域から来ている学生にとっては痛手になっていると感じております。そのため、私自身が実際に陸前高田市で拠点を持つことで、そうした学生さんを受け入れできるような体制をとれたら良いと思っている状況です。
 二つ目の就職先として岩手を選ぶ若者を増やすにはというところなのですが、私自身も就活を始めて、岩手出身ながら、岩手にどのような企業があるのか、正直よく分かっておりませんでした。なので、岩手県内にある企業の情報がより就活生の目の届くところにあれば良いと思っております。
 先ほど仰っていた大学のキャリアセンターとの提携は、自分自身が知らなかったので、見に行きたいと思ったのですが、実際、早稲田大学には、地域連携をしている学生のコミュニティがありまして、今はLINEのオープンチャットで、早稲田生で地域連携に興味がある学生だったりとか、あとは地域に就職したいと思っている学生が集まっている、掲示板のようなオープンチャットがありまして、そこに様々な地方の自治体の方だったりとか、企業の方がその掲示板に参加して、インターンシップだったりとか、スタディーツアーだったりとか、そうしたものの発信をしてくださっているということもあって、岩手県でもそうしたことができれば、早稲田生にはなるのですが、大学生により直で知ってもらえるのかなと思っております。
 三つ目の県外に在住している若者と岩手がどうつながっていけるかというところなのですが、私が大学生になってから、外者として岩手に関わるという経験を通して感じたことが、地元の人と触れ合うことが、一番、関係人口創出に良い効果があると思っております。例えば、岩手の素晴らしい風景だったりとか、食べ物というのは観光としてのアピールにはなるのですが、やはり関係人口創出というところに関しては、他の地域に行っても似たようなものはあるし、美味しい食べ物はどこにでもあると思ってしまうので、継続的に関わってくださる学生だったり、若者を増やすという意味では、その地域にいる人だったり、企業と実際に関わってみるということが一番大事であると感じるようになってきました。
 実際に私が昨年度葛巻町で、NPO法人でインターンをしていたのですが、その時も盛岡にいながら葛巻に来たことがないだったりとか、県外での山村地域にはなかなか行く機会がないという学生が本当にたくさんいました。その人たちに、山があるよ、牧場があるよと言っても、結局観光でしか来てもらえなくて、それから毎年遊びに行くというところにはつながらないと感じました。しかし葛巻町で活動されている事業家の方とお話をして一緒にイベントを作るという経験から、去年関わった学生が12名、今年も葛巻町に関わっているという結果があったので、やはり、人と関わるというのは関係人口創出、それから移住定住していく若者が増えるには重要なところなのかなと思っております。
 最後になるのですが、私は陸前高田市に、団体の活動として春夏とか月に1回弱帰っているのですが、先ほどお伝えしたように宿泊費や交通費というのは、どうしても学生にとっては痛手になってしまいます。県の方々に東京で岩手のために活動している学生や県外在住の若者への岩手での活動を支援していただきたいと、強く思っております。

小野部長 
 松田さんありがとうございました。早稲田の方に、地域連携チャットラインがあるということで、これはもう、学生さんとどのようにつながるかということはすごく重要なので、良いお話を聞けたと思います。また、関係人口創出のためには、地元の人、あるいは団体企業等、やはり直に触れ合っていただくことが重要といったこと、また、首都圏で頑張っている学生さんへの支援といったことについてもお話をいただきました。ありがとうございました。
 それでは、3人目、佐々木さんからお願いいたします。

佐々木 練磨
 まず、はじめに、就職の際に岩手を選ぶ若者を増やすために必要なことについて、私の意見をお話しさせていただければと思います。事前に県の方から共有していただいた資料から読み取れるように、県外から地元に戻るUターン率の年齢というのは22歳がピークになっていまして、このことから、流出、流入、いずれにおいても学校を卒業して就職をすることが移動の大きな契機となっているため、このタイミングで、いかに県内への定着を図るかが非常に重要になってくるかなと思います。社会人はUターン就職するに当たって、転職だったり、家族も含め、転居、転校などといった生活に大きな変化が生じてしまうため、Uターン就職を決意するまでの時間を結構要してしまって、その点からも学生の働きかけが最も効果的で即効性があると私は考えております。
 このような状況下で、私は従業員の労働環境や処遇向上によって、安心して働き続けられる企業といったブラック企業等と対極のイメージを描いている企業を増やして、県が情報発信だったり、支援をする取組が必要だと考えております。その理由としましては、以前、インターネットで調べた際に、若者の採用育成に積極的で雇用管理の状況などが優良な中小企業に対して、厚生労働省が行っているユースエール認定制度というものを認知したのですが、岩手県にどれぐらいあるのかなと思って、気になって調べたのですが、現在、21企業であって東北地方においては下から2番目という数値になっています。東北地方の中でも、特に、福島県では、本県の3倍以上である66の企業が認定されていることから、まずはこうした他県の企業との質の差を埋めていくことが非常に重要と考えております。
 ユースエール認定制度の審査項目よりもゆるく、と言ったらなんですけれども、県独自の認定制度を用いて、魅力ある企業の増加を図るとともに、若者の県内就職への受け皿の増加にもつながるので良いのではないかと考えております。例えを挙げると言ったらなんですが、企業に対して従業員とその家族の満足度だったり、地域社会経済への貢献度、労働環境や経営を行っているか、といった項目を満たしているか審査を行って、そのあと、県は審査項目を満たした企業に対して、学生や保護者に向けたインターンシップマッチングフェアの開催であったり、独自のロゴ、名称やシンボルマークを、名刺や会社のホームページに記載することの許可であったり、企業紹介の動画作成や、県のホームページや新聞などの媒体に掲載することを、名称は難しいと思うのですが、大幅な補助制度などを用いることによって、経営者においても、従業員の労働環境や処遇の向上に対する意識改革だけではなく、従業員の定着率も向上できると考えております。
 加えて、本県出身学生に対して確実に県内就職に関する支援や情報が届くように、地域創生推進事業であります、「COC+(シーオーシープラス)」(大学が地方公共団体や企業等と協働して、学生にとって魅力ある就職先の創出をするとともに、その地域が求める人材を養成するために必要な教育カリキュラムの改革を断行する大学の取組を支援することで、地方創生の中心となる「ひと」の地方への集積を目的とした文部科学省の補助事業)というのを、僕が、最近、知ったのですが、そうした県内外の大学との連携のさらなる強化も大切だなと感じております。
 次に、岩手とのつながりをさらに深めるために必要なことについてお話をさせていただきます。私が実際に東京で生活をしていて、最近、新宿、代々木、高田馬場などの駅において、そちらに旗もあるのですが、岩手県の秋の観光キャンペーンである「秋は短し旅せよ岩手」の広告を目にしました。そのあと、気になってインターネットで調べてみると、首都圏のJR東日本の主要駅において、盛岡市と住田町と西和賀町の3種類のポスターがあって、12月末まで掲載予定だと知りました。どのポスターも岩手の魅力を感じられて、見やすい、素晴らしいデザインとなっているため、私が実際にポスターを目にした際には、地元の懐かしさであったり、思いを考えさせられるきっかけになってくれました。特に代々木駅を利用した際に、改札のICカードをかざす場所のすぐ側に、小さくシール、広告がありまして、利用する全ての人の目につきやすい、確実に目に入るのがこの場所ですね。非常に有効な宣伝の仕方だなと思って非常に良いと思いました。
 こうした、ポスターを目にする一瞬の出来事が大切だと私は考えていまして、目にした人の中には気になって、ネットで調べて次の旅行先の候補に挙げてくれたり、就職先の候補として考えてくれる人もたくさんいると思います。そのため、キャンペーンに関わらず、様々な、今でしたら3つの地域のポスターがありますが、それ以外の地域の魅力を発信できるようなポスターを制作して、簡単ではないですけど、全国的に掲載することによって本県が得られるメリットは大きなものになるのではないかと考えております。私からは以上です。ありがとうございます。

小野部長
 佐々木さん、ありがとうございます。ユースエール認定企業が岩手は少ないということでお話をいただきました。これは頑張らなければいけないなと思います。また今日東京駅に来たときに、東京駅の丸の内中央のところに「秋は短し旅せよ岩手」のポスターがダーッと張っていますよね。すごいなあと思って、東京事務所頑張っています。
 では続きまして米内さんお願いします。

米内 陽香
 まず、岩手での就職やつながり方に関する考えについてですが、私は今大学4年生で就職活動が8月ぐらいに終わったので、まさに終わりたてといった感じですが、私自身公務員に絞って就職活動をしていまして、東京を拠点にする公務員と岩手を拠点にする公務員、どちらも受けていまして、最後までどっちへ就職しようかなみたいなことをずっと迷っていたのですが、最後の決め手となったのは、やりがいでして、自分が公務員として公務員の仕事を通してどのようなことに貢献していきたいかとか、仕事を通してのやりがいみたいなものを一番感じられるのは何かと考えて地方公務員を選んだので、そうした仕事を通してとか、やりがいを通しての岩手とのつながり方みたいなものがあるのかなと私自身の体験を通して感じました。
 次に、就職先として岩手を選ぶ若者を増やすために必要なこととして、私が岩手で就職しようと決めた要因としては、活躍されている先輩職員だったり、あとはロールモデルとなるような人に出会えたということが大きいかなと思います。私はたまたま身近な人だったり、大学の先輩で活躍されているといった方が多かったので、岩手で働くことに魅力を感じやすい環境だったと思うのですが、私の友人などでは、岩手でどのようにキャリアを積んだり、活躍できるか想像できないと語る友人も多くいます。
 それらを踏まえて、やはり都市部と比べて、岩手では転職などの選択肢がどうしても少なくなってしまうと思うので、企業とのマッチングみたいなものを学生はかなり重視しているのかなと思いました。そのため、職員や企業の従業員の方などがどのように働いて活躍しているか、人生を送っているかなどということをもっと具体的に発信していく必要があるのかなと思いました。
 例えば、YouTubeなどでのSNSへの発信において、農林水産省の公式チャンネルで、「BUZZ MAFF」というチャンネルがあるのですが、職員の方のリアルな1日といった動画がかなりの再生回数になっているのを見まして、学生はリアルな姿の発信みたいなものに、興味があるというか、関心があるのかなと思いました。あとは、学生が就職活動をしていて疑問に思ったこととか、早い段階で相談をラフに話せるアドバイザーを設置したりとか、また、学生の不安を取り除けるような体制を各企業で導入するように促進したりするようなことが必要なのではないかと思いました。さらに、学生が気になる企業などにおいて、職員の方と話をしてみたいと思う人とマッチングをさせてもらって、Zoomなどで気軽に就職活動の早い段階から話せるような、労力がかかると思うのですが、それぐらい、一人ひとりに対しての手厚い支援、就職活動のサポートなどが必要なのではないかと思います。
 公務員になろうと思ったきっかけとして、インターンに参加したことが私自身かなり大きかったと思うので、岩手の企業のインターンの促進がもっと必要になると思うのですが、インターンをやりっ放しにするのではなくて、インターンをしてからリクルート活動だったり、アドバイザーの方につなげていただくような、そのあとのフォローみたいなことも必要なのではないかと思っております。
 次に若者が岩手とのつながりをさらに深めていくために必要なことに関しまして、現在盛岡市にいわて若者カフェというものがあると思うのですが、フラットに参加できたり、若者の交流とか、主体的に活動できる場所が作ってあるということはとても魅力的だと感じておりまして、そのような場所が東京にもあると良いと感じております。
 わかすフェスの課題として、イベントが年に1回しかないため、そこで生まれたつながりにどう継続性を持たせるかといったことが挙げられておりまして、そのような課題を解決するためにも、首都圏で岩手が好きな若者とか、岩手に関わりたい若者の継続的な拠点が必要かなと思いました。そのような場所があれば、我々わかすフェスのように、首都圏から岩手を盛り上げる、関わるというような活動が、私たち以外の人にも、もっと広まっていくと思いますし、あと、岩手にいわて若者カフェがあるので、そのような岩手にいる若者と連携して何かイベントを行ったり、新たな可能性があるのかなと考えています。また、岩手が好きとか、関心がある若者が集まる場所に、県の政策だったり、岩手にある企業のアピールなどを行えば、より効果的なものに、発信になると考えているので、そうした拠点があったら良いと私自身考えています。私からは以上です。

小野部長
 米内さん、ありがとうございました。わかすフェスをはじめ、東京の学生さん、若い人たちのつながり、継続性ということがすごく大事ではないかというお話。
 それから企業とのつながり、これもインターンだったり、様々なマッチング、そのあと、どうフォローしていくのかが重要という話がありまして、先ほど農水省のYouTuberという話がありましたが、あれを参考にして、岩手県でも、公式YouTuberのようなものを職員が自分たちでやってまして、職員が自分たちで作った情報を見ていただいているのかなという感じもします。
 先ほど、東京での若者カフェの延長みたいなものという話もありましたけれども、様々具体的なアイディアを頂戴いたしました。ここまで細川さんから米内さんまで、4人の皆さんから、お話をいただきました。知事の方からお願いいたします。

達増知事
 ありがとうございました。まず、細川さんの御自身の今後のことで、岩手の企業にということで、家族や地域への恩返しと、家族や地域を重視するというのは、非常に素晴らしいことであります。あとは、戦略的にも、血縁とか地縁は仕事をしていく上で非常に頼りになったり、役に立ったりしますので、そうした現実的な発想からも良いと思います。
 そして、岩手の住みやすさ、快適さのお話もしていただきましたが、ともすれば日本全体、都会ほど良くて地方ほど悪い、人口の多いところが優れていて人口の少ないところは劣悪、劣っていて悪い、みたいな偏ったイメージ、ステレオタイプやアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)があると思います。
 女性差別に関してアンコンシャス・バイアスという言葉がありますが、中央と地方の関係にもアンコンシャス・バイアスがあると思っていて、それをひっくり返そうと思って、最近はいろいろ過激なことも言ったりするのですが、東京は人工的に、首都機能がまずあって、そのために作られた人工的な空間なので、月面基地とか、宇宙ステーションとか、あるいはガンダムのスペースコロニーとか、そのようなものだと思います。
 ですから、そこには、自然とか、第一次産業とか、そのようなものは基本的にないですし、そこで暮らして働くということには、どうしても人工性がつきまとってしまうというところがあると思います。私も学生時代は満員電車に乗るということに抵抗があって、自転車で通えるところに住んで、大学から自転車で通える範囲内にずっと住んでいましたし、外務省で働いていて、2年間アメリカに留学し、その後2年間シンガポールの大使館で働いて、4年外国に出て東京に戻ってきて、満員電車に乗れない体になっていて。電車を見逃していましたからね、一本、見逃して次の空いたものに乗るとかをしていたので、そのようなところはよく分かります。
 東京のメリットは、スペースコロニー、人工的に作られたところであるがゆえに、いろいろな分野のこと、最先端のことが行われているというのが東京のメリットですね。いろいろな分野の最先端のことが行われている。そして、人口が多いので、消費の場として傑出しているということですね。東京でしか買えないものとか、あとはヨーロッパのオペラが日本に来るという時に、東京でしか公演されないとか、そのような消費経済が非常に発達するというのが、東京の特徴だと思います。地方は、第一次産業を基盤にしながら、第二次産業、工業、製造業も広いところに立地しますので、産業のバランスが取れるような経済が地方には形成されるのですが、東京はそのような独特な大都会経済、社会が作られていくということだと思います。
 そして、岩手の企業の努力すべきことで、リモートワークが良いのではないかという話がありました。リモートワーク小説、岩手出身の楡周平という小説家が「サンセット・サンライズ」という本を書いているのですが、読んだことがありますか、「サンセット・サンライズ」。実は1月に映画が公開される予定で、宮藤官九郎監督、そして、菅田将暉主演で1月に公開されます。宮城県の北の端、岩手県境に近いところが舞台となっているので、陸前高田市に近いところが舞台になっているわけですが、釣りが大好きな主人公が東京の会社に勤めていて、東京だったかな、首都圏の会社に勤めていて、そこに、リモートワークを始めるというところから、日本全体の地方創生のあり方に好影響を及ぼすような展開になっていくという社会派小説なのですが、それは、やはりこれからどんどん増やしていきたいし、日本全体としても注目していると思いますね。その本が最初に単行本になったとき、帯の推薦文は、私と石破茂さんの2人の推薦文が並ぶという形で売りに出て、最近文庫版が出て、映画関係の帯になっていて、私の推薦文はそこにはないのですが。
 そして、SNSとか、YouTubeの重要性ですね。東京と岩手の関係は、ドラマ「あまちゃん」で描かれていたのですが、主人公のおばあさんの若い頃、1960年代は上京する人、しない人に真っ二つに分かれ、東京に出た人はもう戻ってこない。そして、岩手に残った人は二度と東京に行かないみたいな、それは交通が不便だったからなわけですが、そのような時代だったのが1980年代、バブルの時代、主人公のお母さんの時代で、80年代は僕が上京した時代でもあったのですが、新幹線ができて結構移動は便利になった。
 だから東京に行きやすくはなったのですが、ただ当時インターネットがまだないので、情報面で、一旦東京に出ると地元のことはさっぱり分からなくて、それで結構東京に出ることと地元に残ることに断絶があったのが80年代。それが主人公、のんこと、能年玲奈さんの、アキちゃんの時代になると、現代ということですが、インターネットがあるし交通もより発達しているので、地方から東京に出るということがそれほど深刻ではないし、また、東京で生まれ育った人が地方で働くということも結構普通な感じになっていて、岩手と東京を行ったり来たりしながら、好きなことをやるということがドラマ「あまちゃん」では描かれていまして、情報インターネット時代になってそれができるようになったと思います。
 ただ、交通についても、だんだん便利になってきているのですが、途中は、まだいまいち不便みたいなところもあったように、情報環境も便利になってきているのですが、まだ物足りないというところがあるのだと思いますね。そこは、県行政としても、情報空間の中でより自由自在にやってもらえるような仕掛けをどんどんしていかなければならないと思います。
 松田さんは、東京の企業、盛岡の企業、しかし、やがては陸前高田で自営業ということで、細川さんに言ったとおりで、地元ということの良さ、そして戦略的な優位さというのは、ばっちりあると思います。岩手の企業があまり知られてないという問題はありますね。岩手に残っている、岩手に生まれ育って岩手大学や県立大学に入った人も岩手の企業をよく知らないというところがあって、小中高と岩手にいたとしても、消費の場とか、そうした消費のサービス、財を提供するものとしての企業とか、そのようなものは分かるのですが、それがイコール働く場にもなりうるという感覚というのは、就活を始めないと、そのように岩手の企業を見ないので、働く場、それはイコール生産の主体であり、サービス提供の主体である、そのようなものとして企業を外にアピールするということが必要ですよね。
 企業も普段は消費をしてもらうためのコマーシャルとか、イメージ戦略をやっているので、なかなかそこで働くという感覚には届かないので、働く場としての企業情報をもっともっと知ってもらうような工夫をしていく必要があると思います。それを学生同士で共有できるような仕掛けもするということですね。
 そして、関係人口というのは地元の人との触れ合いが大事。葛巻を例にして、そのとおりだと思います。ちょうど昨日、八木君ですね、企業名は「三陸とれたて市場」。ひらがなの「とれたて」というのが特徴で、三陸とれたてで検索すると八木社長が出てくると思うのですが、北里大学水産学部が震災前まで大船渡にあって、そこを卒業して、大船渡に残った青年男子なのですが、今、非常にフレッシュな形で冷凍し、解凍するとすぐ刺身として、カルパッチョとして食べられる海産物をドバイにも輸出するとか、東京のホテルでも使ってもらうとか、手広い仕事をしているのですが、彼がどうやってニーズに応えるサービスをうまく提供できるようになったかというと、個別具体的な相手を想定して、その人のために作るという発想でやっていると言うのですね。知り合いになった京王プラザホテルの料理担当の〇〇(まるまる)さんという、その人がより素材として魚を使いやすくできるように届けるにはどうすれば良いかという、それが誰にとっても便利な商品の開発につながるということで、生身の人間同士のつながりというのが、経済の分野でも社会の分野でも非常に大事なのだと思います。
 そして、佐々木練磨さんですが、ユースエールは岩手県もあまり力を入れていませんでした。厚生労働省のえるぼし認定という、女性の働き方改革に関するえるぼし認定は東北一の企業数で、それに準じる岩手県版も結構企業が増えてきているというところなのですが、えるぼし認定と、あと、子育て体制がよくできている企業のくるみんという認定も結構あるのですが、ユースエールはあまり力を入れてなかったので、そこにも力を入れていきましょう。
 あと、岩手県独自の「いわて働き方改革AWARD」という、働き方改革を進めて良い環境を作っている企業にアワードを出したり、それをホームページで紹介したり、とかもあるのですが、検索に引っかかりやすいような形で情報発信しないと知られていかないので、例えば、岩手独自というのも良い点もあるのですが、他県がやっていないところは検索で引っかからないみたいなところもあるので、その点、全国共通の基準みたいなものもやはり大事なので、そのようなところも頑張っていきましょう。
 あとは、「秋は短し旅せよ岩手」キャンペーン。これはJR東日本と岩手県が連携してやっているプロジェクトなので、やはりJR東日本が全面協力しているのでバンバンやってくれているのですよね。観光振興について、岩手県がどのような工夫をしているのかといろいろ聞かれることはあるのですが、JR東日本との連携というのは、駅でバンバン宣伝してもらえるので、これは改めて良いなと思いました。
 来年もまた似たようなことをやるということが今決まりつつありますので、そのようなことをしょっちゅうやっていきたいと思います。
 そして米内さん。職員と実際に会って決めたというところが良いのではないかと思いますね。私も外務省で働くことを決めるに当たっては、実際外務省で働いている人たちに会って、このような人たちと一緒だったら、これは働き甲斐がある、良いなと思って、外務省に入ったところがあります。
 外務省主催の懸賞論文で最高賞の外務大臣賞をいただいて、その次の優秀賞の、学生併せて5人で、東南アジア5か国を2週間で回るという、御褒美をいただき、行った先々で、大使館で働いている外務省の人たちと会って、働きぶりを見たり、話を聞いたりして、それで決めたというところがありまして、働いている人と会う、さらに働いている現場を見るという機会を学生の皆さんに提供することが岩手の企業にとっても大事なのだと思うので、せめて動画で生々しく見ることができるというようなものはどんどんやっていきたいと思います。
 そして、いわて若者カフェin東京ですね。物理的な空間を岩手で確保するのは安上がりにできるのですが、東京で確保するにはすごくお金がかかるというのが、普通にやればそうではあるのですが、工夫ですよね。学生時代に外務省の懸賞論文コンクールの毎年の入賞者を、OB、OG会を作って僕はその事務局長をやってですね、毎月1回東京の大使館をどこか訪問するという企画をやって、いろいろな大学の学生が集まって、大体10人ぐらいで集まって、大使館訪問をやるというのをやっていたのですが、それは月1回、場所は違うのですが、月1回同じ同好の人が集まれる場づくりをやっていたような感じで、いろいろな工夫によって、お金をかけずに居場所とか、たまる場をつくるということはできるのではないかと思いますので、県として、東京事務所としても工夫をしてみましょう。ありがとうございました。

小野部長
 ありがとうございました。
 それでは後半3人の皆さんからお話をいただきます。はじめに西森さんからお願いします。

西森 菜々花
 まず、自身の今後の関わり方についてなのですが、私は現在、東京での、100、200人規模のベンチャーへの就職を考えておりまして、というのも、やはりファーストキャリアとして選ぶ際に、教育環境と成長環境が両立して存在しているというところを重視して選んでおりまして、その点で見ると、どうしても岩手の方は、現在、「スタートアップいわて」という、起業とか、創業のところをすごく重視して政策をやられていると思うのですが、やはり創業しはじめだと教育環境が弱い。逆に、何年も続いているところだと成長環境としての負荷が少し弱い。新しい活動がやりづらいというところで、東京をファーストキャリアとして選んでいるところになります。
 就職先として岩手を選ぶ若者を増やすために必要なこと、私自身は現在やられている、スタートアップいわてに、プラスアルファで創業して、ある程度、続けられた企業に対して、新卒の方を入れるための教育環境の支援をするというところが重要かなと思っております。
 私の姉が大学3年生のときに、釜石のベンチャー企業さんで1年間インターンをしていたのですが、結局、就職自体は東京に落ち着いておりまして、それがなぜかと言うと、企業規模が数十人規模で、どうしても教えてもらえることが少ない。新しくできるということは多いのですが、新卒で社会のことを何も分からない状態で就職しようとなったときに、何も社会のことを教えてもらえない環境というのはどうしても入りづらいというところで、数百人規模の東京のベンチャーに就職することになっていました。
 やはりそこを見たときに、現在、岩手から東京に来てそのまま東京で就職するという方、上昇志向が強い方であればあるほど戻りづらいというのがあるのかなと思っていて、その上昇志向が強い方をどうやって就職の段階で岩手にもう1回、Uターンとして戻すかということを考えると、教育環境と成長環境が両立しているということが重要なのではないかと感じました。
 就職活動の中で地方から来ている同年代の方のお話を聞いても、二つの両立が新卒として企業に入るときに重視している点と多く聞いたので、今やられている「スタートアップいわて」にプラスアルファ、もしくは、並立してベンチャーがこれから規模を拡大していくフェーズの支援ということが、若者が岩手を就職先として選ぶ際にも、すごく重要になってくるのではないかと考えました。
 三つ目の県外に在住している若者と岩手のつながりに関してなのですが、先にお話していただいた4人の方の意見をまとめるような形になると思うのですが、関わることのハードルを下げることというのが一番重要と考えておりまして、若者が一回大学に入るために、東京に出たりとか県外に行った方が関わるためには、旅行とか帰省という形では、どうしても交通費がかかってしまうというので、ハードルが高めになっているので、東京にあるいわて銀河プラザであったり、岩手の食材を使って、レストランをやっているところであったりとか、東京にある岩手というものを、もっと強く発信していって、もっと気軽に東京にいても県外にいても、岩手と関わることができるというのを強く押し出していくことが、重要なのではないかと考えております。
 全体に関わってくることなのですが、マーケティングやブランディングといったところが、これから地方を強くしていくという点で重要と考えておりまして、先ほどまでの話でもあったのですが、良いものがあるのに、良い活動をしているのに知られていない。今この場でお話した際にも、女性の働き方という点で東北の中で1番ということがすごく魅力的なところなのに、今初めて聞いたという方も結構いらっしゃるのではないかと思っていて、良いものがあるということを、そこを強くしていくことも重要だと思うのですが、それをしっかり相手に届く形で発信していくことが重要かなと思っています。

小野部長
 西森さん、ありがとうございました。我々もいつも課題だと思っていたのですが、相手に届かないと意味がないのですよね。そこをどのようにやるのかというのは、様々今日も御意見をいただいていますし、しっかりそこを良くしていかなければいけないと思っています。ありがとうございました。
 次に吉田さんお願いいたします。

吉田 舜
 私の岩手での就職とか岩手とのつながりに対する考え方は、新卒の場合はまず関東圏内で就職したいと考えております。その理由といたしましては、西森さんと同じ理由でキャリアを積みたいと考えているからです。そこで、もしキャリアを積んで得た経験とか得たスキルを、地元へ、いつか、もう何年後かは分からないのですが、岩手に恩返ししたいと考えております。
 次に、就職先として、岩手を選ぶ若者を増やすために必要なことは、「知る」から「触れる」ことにつなげるということが大切かなと思っております。実際私が岩手に帰省した際に、いわて就職マッチングフェアなど気軽に企業の情報を知るという機会はあるのですが、そこから触れるという活動につながっていないのかなと思っております。あそこの話だけを聞いて、そこで終わってしまうというのが非常にもったいないと私は感じております。
 他に知る機会はマッチングフェア以外にも、大学のキャリアセンターにはその地方専用のパンフレットが置いてあったりだとかそういうところがございまして、そこから情報を得たりすることができます。また、私も現在就職活動中で、SNSとか、インターネットから企業の情報を知るということがすごく多いので、SNS、インターネット上での発信ということが非常に大事かなと思います。
 「知る」という活動をどう「触れる」につなげるかというような課題は、皆さんも言っていたように、交通費だったり、宿泊費だったりの問題につながってくると思います。また、そこから「触れる」というのは、岩手の人に「触れる」ということが大切だと思うので、東京にいると、交通費や宿泊費がかかってしまうので、Zoomとかオンラインセミナーとかそういう形で、岩手の声を生で聞けるということが大切かなと思います。
 次に県外に在住している若者について岩手とのつながりを深めるためには、岩手と関わるハードルを下げることや、つながりを維持するということが大切だと思っております。私の友人は、ほとんどの人が関東圏出身なのですが、決して地方に興味がないというわけではないということが分かりました。あと、私が岩手出身だと言うと、どのようなところなのとか、そのように興味を示してくれる人がほとんどで、私も地方の出身だからこそ、友達を岩手に招いたりということをしましたので、そこから岩手は良いところだなと感じてもらえたと思います。岩手と触れる機会を増やすことが大切だと思っております。

小野部長
 ありがとうございました。「知る」から「触れる」ということで、「知る」だけではなくて、実際に、理解するとか感じるとか、そうしたところまでいかないともったいないのではないかというお話をいただきました。交通費についても、2回まで、例えば東京圏の皆さんですと、インターンシップだったり、マッチングフェアだったりに参加する場合なのですが、一部条件はありますが、1万円まで支援があるといったこともあります。あるいは、宿泊についても宿泊支援といったのがございまして、1万円程度といったことであるのですが、皆さんそうした支援制度があることは御存知だったりしますか。
 知らないということで、伝えないといけないということが、重要なテーマかなと思っております。また、シゴトバクラシバいわてというスマホから入れるサイトがあり、そちらに登録していただくと、様々岩手の情報だったり、あるいは企業の就職情報だったりも入ってくるのですが、そこもやはりわかすフェスの中で、そうしたものを積極的に岩手県としてもPRして、できるだけ多くの人たちに登録していただくといった取組も必要なのかなと、吉田さん、それから皆さんのお話も聞いて思いました。ありがとうございます。
 それでは最後に、白岩さんからお願いします。

白岩 裕悟
 私からお話させていただきます。
 まず一つ目に、自分自身の就職などについてということですが、私は将来研究者を考えていますので、進路としては大学院に進学することを考えています。それで、教育の分野ですと、研究としての教育ができ、教育の研究ができる大学院というのは限られていまして、地方の大学とかになると、教職員大学院みたいに教職に絞った教育学研究科というものがあるので、そちらの方向ではないと思って、自分は大学院も県外で進学するということを考えております。
 ただ、研究者になったとして確実に岩手に戻ることができるかというと分からないのですが、その機会があれば是非とも戻りたいとも思っております。それから研究の話になりますと、地方の教育について、ざっくり言うとやっているのですが、特にも、そこに絡んでくるのは、地方から都市部への人の流れ、もっと言えば、地方の同じ形の中でも田舎から県庁所在地とかの都市部に流れていくとか、そうした人の流れというのはすごく感じますので、将来地方創生につながるような示唆を与えるような研究ができたらと思っております。
 それから、二つ目として就職先として岩手を選ぶ若者を増やすために必要なことについてですが、働き方や待遇の改善というのは、事前の資料でも取り組んでいらっしゃることが分かりました。ただ、地方に、そしてその中でも、岩手に住んで働くということを、メリットを広く学生に知らせることが必要だと思います。
 岩手には、今、改善に取り組まれているところもあると思うのですが、すでにもう住むとか働くとか、そういう場所としての魅力というのはあるのではないかと僕は思っています。その魅力に共鳴して、岩手に住む、働くことを選ぶ人も、潜在的には、多く存在するのではないかと思います。
 実際、岩手県を出て東京に来て、いろいろな人と関わる中で、地域とか、地方のことに関心がある人というのは思ったよりもいるというのが、自分の印象です。ただ問題は、その魅力をいかに発信して、UターンとかIターンにつなげるかというところだと思います。具体的には、今県内の大学について、大学のところに、県の方とか、企業さんが行って、紹介する、魅力を伝えるという講座をやられていると思うのですが、そうしたものを例えば首都圏でも継続的にできないかということは考えております。
 県内の大学生とか、岩手出身の首都圏在住の学生にアプローチすることも必要だと思うのですが、今の局面だと、別に出身であるかどうかに関わらず、首都圏の人をいかに取り込んでいくかということが大事なのではないかと思っています。あとは、地方で暮らすとか、働くことの良さを伝えて、その中で岩手はこのようなところが良いですと、最初から岩手に行きませんかみたいなことを言うよりも、地方に暮らすことを選択肢として考えてもらった上で、行き先として岩手をどうですかと言ってみるという流れもひとつ、地方に興味がある人たちにとっては、食いつきやすいのかなとも感じます。
 あとは、あまり聞いたことがない例を言うことになるのですが、やはり大学進学のときに流出する人も多数いるとは思います。それで、私がヒントを得たのが、岩手医科大学の地域枠というものです。将来、卒業後に岩手県内で医師として働くことを、一定期間働くことを条件として、受験の際に、県内出身者の枠を設けるみたいなものだったと思うのですが、それを踏まえると、ここで言う地域枠というのは、例えば、就職先を岩手県内に限定して大学生を募集すること。ただそれだけだと、もちろん自由な選択ということには反しますし、なかなか難しいところではあるのですが、例えば、大学の4年間で、岩手の第一次産業とか、それから工芸とかの第二次産業とか、そうしたものを活かした内容を授業で取り込んでいくことで、どこの出身の人であっても、岩手県のことをよく知って、その上で岩手に就職してもらうことにすることができるみたいな流れを作っていくことも、一つありえるかなと思っています。少なくとも全国的に何か話題にはなると思いますので、地方に興味ある人というのはかなり呼び込めるような気がしています。
 三つ目ですが、県外に在住している若者について、岩手とのつながりをさらに深めていくために必要なことですが、出身者は定期的に岩手に帰ってくること、それから県外の人は実際に岩手を訪れることがつながりを深める上では必要不可欠なのではないかという視点で、三点提案させていただきます。
 一つ目として、これは、わかすフェスでも似たようなことをやったりはしているのですが、例えば、首都圏で岩手ゆかりの飲食店というのがいろいろあると思うのですが、実際にまず入口としてそこを訪れてもらう、何かしらのきっかけづくりで訪れてもらって、そこから岩手に観光目的で訪問してもらったり、それがゆくゆくは移住という形になって現れるかもしれないというところで、一つ手は打てるのかなと思っています。
 それから二つ目が出身者についてなのですが、今までお話が出たようにこれは就活の話だったと思うのですが、例えば帰省の際にも、何かしら支援をいただけると、ありがたいのかなと思っています。というのも、県外在住の岩手出身者、特に学生は、岩手に住んだり、働く上で出身地であるという、先ほど知事が地縁とおっしゃいましたけど、実際にそういう縁があるので、まず社会減対策としては一番呼び込みやすいのではないかと、そのような層なのではないかと思っています。そうすると、帰省をしやすくすることで、実際に住んでいるところは違くても、触れる期間を長く、より頻度を高くする、そうした取組によって、やがてその人が将来のキャリアを考える上でも、岩手というものを選択肢に入れてもらうことができるのではないかと思います。
 それから、三点目として、同じ考え方をするということで、岩手県外出身の人に対しても、例えば岩手を訪れる際に旅行支援みたいなことができないかと思っていました。というのも、大学に入ってから、周りは首都圏の人が多く、その人たちにいろいろ聞いてみると、東北は仙台までは近いという言葉がよく出てきます。仙台までは近いのですが、確かに新幹線でつながっているのですが、どうしても心理的に距離があるというところです。実際は、仙台からもう1時間ぐらい新幹線乗ってもらえば盛岡に着くというところです。距離の問題はどうにもできないので、例えば、せめて仙台、盛岡間を支援していただくことで、仙台に行ったついでに盛岡まで足を伸ばしてみようみたいな。せっかく盛岡市がニューヨーク・タイムズに掲載されていますので、岩手の訪問ということを、今この時代に促進していく、それが移住とかにつながるところでありますし、関係人口という面でも大きく重要なところだと思っております。私の方からは以上になります。

小野部長
 白岩さんありがとうございました。白岩さんからも、岩手出身に限らず、岩手のことについてしっかり学生時代から様々分かってもらうために、岩手の良さとかについての講義と言いますか、授業も取り入れるという話もありまして、これは県内の大学の地域創生論やいわて学といったことをやっている大学がございますし、あと、県としましても、首都圏の大学の方に行って、知事に講師になっていただいて、岩手について様々講義いただくような時間も設けたりしておりますので、こうした取組をどんどんして、岩手の良さについて、多くの学生さんに理解していただければと考えました。ありがとうございました。それでは、次に知事の方からコメントをお願いいたします。

達増知事
 西森さんは、東京の人数の多いベンチャー企業を目指しているということで、先端的なことは東京でまず盛んに行われているということが、東京の優位性だと思います。あとは、話を聞いてそういえばと思ったのは、規模の大きさというのも、東京などの都会のメリットで、人口が多いので、企業なども人数が多いということですね。
 岩手の場合でも、林業とか、畜産とかいう分野に関しては、日本の中でも関係者がたくさんいて、林業とか畜産を勉強したいという人が岩手まで来るということは結構あるのですが、あとは郷土芸能が全国一盛んで、最近出た日本総研が出している、全都道府県幸福度ランキングで岩手は30位に入っているのですが、郷土芸能の団体数が全国一位。ランキングは50か60の指標を組み合わせて幸福度ランキングを決めているのですが、岩手が唯一、一位になっている指標が郷土芸能の団体数という、正確には文化庁指定の無形民俗文化財の数で全国1位。星野源さんが、岩手の中野七頭舞にすごく惚れ込んで、岩手まで来て中野七頭舞を習ったという事実があるのですが、そうした郷土芸能をやっている人数とか、お稽古の場に関しては、岩手は数がものすごく多いという規模のメリット。
 分野ごとには、岩手も、スタートアップでも、ヘラルボニーという、障がい者芸術を商品化したり、あるいは社会運動に結びつけたりするという、今、勢いのあるスタートアップのヘラルボニーがあるのですが、背景には障がい者芸術が岩手ですごく盛んだったという、そこに規模のメリットがありましたね。
 パリで「アール・ブリュット ジャポネ」、フランス語で障がい者芸術をアール・ブリュットと言うのですが、障がい者芸術の優れた作品を日本からパリの展覧会に出展しようというとき、一番たくさん行った県は、滋賀県の作品が一番だったのですが、二番目が岩手県の作品で、実は岩手県は障がい者芸術が盛んだったということが、そのようなスタートアップが花開いた背景にありますね。
 分野ごとに規模を背景にしつつ、先端的なことも岩手でもできるというところもあるので、そういうものを増やしていきたいと思います。
 そして、交通費と宿泊費、滞在費の問題。これは、吉田さんと白岩さんもそこを指摘してくれていて、確かにそうですね。こちら側でも指摘してくれた人がいましたが、交通は便利になって、新幹線は東京-盛岡間が2時間強ですからね。
 ニューヨーク・タイムズの盛岡記事を書いたクレイグ・モドさんというアメリカ人が書いているのですが、盛岡の良さがまず三つあって、東京から新幹線ですぐ、混雑していない、歩いて回れる、という三つが記事の最初に書かれていて、2時間ちょっとで行けるが、お金は結構かかるという問題がありますよね。
 在来線をたどって、私が学生時代、13時間ぐらい、4時間ずつ3回乗り換え、あるいは、3区間、4時間ずつで12時間、乗り換えも合わせて13時間だったのかな。6000円くらい。40年くらい前のことなのですが。高速バスを使えば安くできるかもしれないですね。
 でも、新幹線代を出すのが一番速さ、せっかく東京から2時間少しという、そこでお金があまりかからないということが非常にメリットになるのでしょうから、そこの支援策はやっぱり考えていかなければならないところでしょう。
 吉田さん、関東圏でキャリアを積みたいということで、私は、中学生の頃にアメリカ大統領補佐官にすごく憧れて、アメリカ大統領補佐官みたいになりたいと思って、具体的には、ニクソン大統領の補佐官のキッシンジャーさんとか、カーター大統領補佐官のブレジンスキーさんとかが、世界を動かすみたいな感じでやっていて。大学に入って、日本の総理大臣のブレーンですね、総理大臣に相談されて、いろいろ意見を言う政治学者という人のゼミや授業をとって、だんだんその気になって、外務省の派遣でアメリカに留学したとき、普段は別の大学にいるブレジンスキー教授が私が留学していた大学にたまたまやってきて、カーター大統領の補佐官をやったブレジンスキー教授のゼミと講義を両方取ることができて、それで人生の目標が1つ達成された感じになって。そもそも日本人ですから、アメリカ大統領補佐官にはなれないわけですが、例えば具体的にアメリカ大統領補佐官になりたいというよりは、私が中学生の頃の日本の政治というのは、芝居がかっていて、やらされ感というのですかね、全然、本気でやってない。政治家や総理大臣、リーダーたちがしゃべることが筋書き通りのことをただ読んでしゃべっているみたいな。それに比べて当時のアメリカの政治というのは、非常にダイナミックで、政治家も、また政府で働く人たちも本気で楽しんでやっているみたいな、権力闘争を本気で楽しんでやっている。
 日本の政治の権力闘争って今でもそうですけど、やらされ感みたいな、本当にやる気でやっているのかみたいに突っ込みたくなるようなところがあって、だから、そうした日本の政治のあり方を変えたい。アメリカみたいな、個人の自由主体性を基に、本当にやりたくてやっている政治みたいな、日本の政治を変えて、その中で仕事ができればみたいなことを思いながらやって。
 岩手県知事の仕事はそのような感覚でやれるので、非常に楽しく県庁職員の皆さんと一緒にやっているのですが、県職員も結構主体性に基づいて、自由に活発にいろいろアイディアを出したり、働いたりしているところがあって、地方自治体でそういうことってできるのだなと思ってやっているのですが、いずれにせよ、先端的なこととか、規模の大きいことは、東京の優位性でありますので、そこで経験、キャリアを積むということは非常に有意義だと思います。
 そして、知るから触れるという話ですね。触れるためには、交通費と宿泊費ということで、あと生身の人に触れることが大事。改めてそうですね。
 白岩さんはまずは大学院に残って研究をしていきたいということで、研究は非常に大事なことなので、誰かがやらなければならないことで、それをやるには、まずは東京が日本の大学界では有利な場所なので、そこで仕事をする、研究をするということなのだと思います。
 そして中央と地方の関係、中央と周辺とかいう言い方もありますが、日本の中の中央と地方があると同時に、地方の中にも中央と地方があるというのは全くそのとおりですね。私もそこは反省しなきゃと思って、最近は岩手県の中でも特に人口の少ない5000人規模以下の町村を大事にし、そこに光を当てなければと思って、葛巻町と、西和賀町、住田町の3つの町が5000人規模で、あと四つのそれ以下の人口の少ない村を合わせて計七つ。
 この町村に光を当てようと最近やっているのですが、村は、自前の高校というのは野田村にあったけれど久慈と合併する話になっていて、九戸村には伊保内高校があります。まず、岩手で話題になっているのは、人口5000人規模の町の中でも小さい、葛巻、西和賀、住田に学年1クラスという小規模高校があるのですが、県外から留学生を受け入れるようになって非常に勢いが出てきて、今年は西和賀高校の1学年を今1クラスだけど、どうも来年1クラスを溢れるくらい入ってきそうだから、2クラスにしたいと。でも県教育委員会は2年続けてそのような状況になったら検討するけど、来年多く入ってきそうだからという理由で1クラス増やすわけにはいかないということを言っていて、県議会で県議会議員の人たちが、いや、そんなこと言ってないで、来年度2クラスにちゃんと増やせという議論が県議会であって、結局、恒久的に2クラスに増やすのではなくて、とりあえず来年度だけでも1クラス増やして2クラスにするという解決法を県教育委員会が思い付いて、そうすることになったのですよね。
 全国的には、島根県の海士町、海という字に武士の士で海士と書いて海士町というところが、これは、人口は二千何百人くらいの町で、もう消滅に向かって進んでいて、そして高校が廃止になりそうになって、そこで住民の皆さんが一念発起して、高校魅力化、県外からの留学生も受入れるということをやり始めて町が活性化し始めたという、そうした地域活性化のお手本みたいになっているのですが、そうしたことが岩手県でも行われているので、高校の存在が人口減少に歯止めをかけて町を活性化するための非常に重要な要素になっているということが今大変面白い現象としてあるので、研究の対象に良いのではないかと思います。逆に、村になってしまうと、高校がなくて、踏みとどまるのに苦労している。人口減少に歯止めをかけるのに苦労しているという面が、村にはあるなという感じがしていまして、高校の存在は非常に大きいと思っております。
 そして、帰省支援とか、旅行支援、やはり交通費支援の話があり、あと大学の岩手大学や岩手県立大学でも、岩手のことを学ぶ機会をというのは、さっき小野部長が言ったとおり、少しはやっているのですがもっと本格的にやった方が良いかもしれませんね。年に1コマぐらいの枠、1講座しかないので、もっとがっつりやっても良いのかもしれないですね。
 そして、東京における岩手の拡大というのは、西森さんが指摘していたのでしたっけ。東京の岩手ゆかりの飲食店を活用というのは白岩さんが言ったことでありますし、これは東京事務所が頑張るという話かと思いますが、東京における岩手の存在を拡大していくことで、岩手に触れられる、岩手の人に会える、そうしたところを東京において拡大していくと。
 実は、岩手県というのは、ドラマ「あまちゃん」でも描かれましたとおり、東京との因縁というのはすごいものがあり、明治時代から、東北本線という鉄道がいち早く明治時代に作られて以来、東京の労働力や食料やエネルギーやらを東北からバンバン出していて、東京には岩手県人連合会というのがあって、鳥取県などは鳥取県人会という鳥取県人の会が1つあるだけらしいのですが、岩手の場合は、市町村ごとのふるさと会というものがあって、市町村ごとのふるさと会も旧市町村ですよね。一関市など旧市町村の千厩町とか大東町とかそのような単位でふるさと会があって、それらの連合体として岩手県人連合会というのがあって、年に1回総会をしているのですが、旧市町村単位のふるさと会だけではなくて、高校の同窓会もそこに入ってくるのですよね。高校ごとの同窓会もそこに入ってきて、70とか80ぐらいの団体の連合会としてあるので、だから東京と岩手の関係の蓄積というのは、やはり、西日本に比べれば距離的にも近いし、またそうした経済、社会的な必然性もあって、もともと、岩手の人口は、114万人というところにいるのですが、岩手県人やその子孫は、東京に100万人以上いるのではないかと思っていて、過去特に1960年代の高度成長時代は2万人ぐらいずつ、毎年岩手から県外に転出する数が年2万人とかいう時期もあったりして、バブルの頃は1万人ぐらい県外に転出していたのですが、ほとんどが東京に来ているのかなとか思いますとね、明治以来の分から足し合わせて、子孫とかを足せば、100万人近くいるのではないかみたいな。
 白岩さんが言っていたのですが、そうした岩手にゆかりある人に限らず、学生全般に対して、岩手のことを紹介するようなことも大事じゃないかと。
 そうした意味では、ニューヨーク・タイムズの記事のおかげで、何となく日本の地方筆頭が盛岡、岩手みたいなイメージが作られつつあるので、岩手県というのは地方筆頭として、地方をアピールする存在だと思うし、特に東京との関係では、そうした地方と東京の関係に関する筆頭みたいなところもあるので、ゆかりのない人たちにも、どんどん岩手に来れば地方が分かるとか、岩手と東京の関係を知れば日本の東京と地方の関係がおよそ分かります、みたいに宣伝していくと良いのかなと思いました。ありがとうございます。

小野部長 
 ありがとうございました。
 皆さんからの発言そして知事コメントが一巡いたしました。時間が若干押しておりますが、全体が終わるのを、もしもよろしければ15時30分ですね、あと12分ぐらいにしたいと思います。あと10分ぐらいですので、皆さんから自由懇談といったことで、ちょっと言い足りない、おそらく皆さん言い足りなかったのではないかと思うのですが、どなたかありましたらぜひ皆さんから。事前にいただいたペーパーを見ますと、自由懇談のところまで、今回の一巡目でかなり踏み込んでお話いただいたり、知事の方からコメントがあったりしたところもあるかと思いますが、いかがでしょうか、皆さん。では細川さんお願いします。

細川 瑠杏
 ありがとうございます。
 先日、ジョブカフェいわて主催の就活スタートアップ講座という、東京の八重洲で開催していたものに参加させていただきまして、そこで実際に、東京や岩手から離れた大学に進学している人たちとコミュニケーションをとったり、実際に、私の高校の後輩とも会うことができて、そのイベントがなければ知り合うことがなかった人とコミュニケーションをとることができて、すごく貴重な機会となりました。その際に少し、先ほども出てきた交通費の話になるのですが、長野県から東京にバスでいらっしゃった方がおりまして、その方は自腹で来たらしいのですが、それはジョブカフェいわて主催のイベントだったっていうことで、交通費支援がふるさといわて定住財団の開催するイベントのみで利用できるものであったため、自腹でいらっしゃっていたということで、額を増やすとか、利用回数を増やすとかではなく、就職活動の支援金の選択肢を増やすことで、さらに、東京で開催するイベントなどにも足を運びやすいのかなと感じました。

小野部長
 ありがとうございます。
 今お話がありましたように財団のホームページに掲載している県内企業への職場見学であったり、あるいはマッチングフェアであったり、対象が限られているということで、今回東京でやって、しかも定住財団の方が、指定したというか、対象としているものから外れてしまっていたということなのですかね。長野から東京まで。

細川 瑠杏 
 はい。そのとおりです。

小野部長
 分かりました。具体的な提案をいただきまして、そういった東京で行われるようなイベントのときの対象にもなるような、これはしっかり持ち帰ってですね、担当と検討したいと思います。ありがとうございます。その他、何かございますか。今の細川さんのような具体的な話でも結構ですし、他の人、あるいは知事の話を聞いて思った点、感じた点などでも何でも良いですので、ぜひお願いします。松田さんお願いします。

松田 由希菜
 先ほどの6分間で触れた内容にはなってしまうのですが、今、いわて若者アイディア実現補助というものが、おそらく県主催でやられていると思うのですが、これは確か県在住の方だったり、県に拠点を持っている団体が対象だったと思っていて、実際自分が今東京にいるのですが、東京から岩手県に関わるという団体さんは、割と多いかなとは思っていて、そうした団体向けのビジネスコンテストとか、あとは、何かそうした補助の取組というのはどういったことがあるか、どういったことをされているのかというのをお伺いしたいです。

小野部長
 具体的には県内ではなくてということですよね。むしろ今、松田さんからお話をいただいて、そうやって県外で頑張っている学生さんからの提案といったものも、そうした枠も作るべきではないかと僕も思いました。あれは、若者、女性活躍の事業でやっていますので、これは持ち帰って、また、先ほどの細川さんの話も同様ですが、関係人口と言いますか、あるいは将来岩手で頑張ってくれるかもしれませんので、対象にできないか持ち帰って検討したいと思います。ありがとうございます。

松田 由希菜
 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

小野部長 
 ありがとうございました。
 その他いかがでしょうか。白岩さんお願いします。

白岩 裕悟
 先ほど、知事のコメントで、自由懇談で話そうと思っていたことに触れていただいて、非常に参考になったのですが、地方の教育、特に私は高校を見ているのですが、やはり先ほど知事がおっしゃったように、高校が地域の核になって、活性化につながっていくという事例があるなと思っていて、自分も一時期、大槌町でNPOカタリバさんに入って、インターンをしたことがあったのですが、あそこも高校の魅力化に力を入れていまして、というのを間近で見てきたからこそ、やはり高校というのは、今、統廃合の計画とかも、教育委員会の方から出ていますが、やはり、できるだけ避けたいところではあるなと思っているのですよね。それで、今だと、各地域の高校で、全国募集をして、留学生を受け入れるとか、そうした言ってみれば、自力で頑張っているところがいろいろな団体の力を借りながらやっているところがあるというところで、もし、県として支援とか対策とか、入学者の減少に対してやっていることとか、あとは、これからできたら良いと思っていることとかがございましたら、教えていただきたいと思っております。

小野部長 
 私の方からよろしいですか。大槌高校の話は、まさに、県政懇談会を釜石で行ったときに、大槌高校、はま留学(大槌高校の新入生を全国から募集する地域留学制度)と言っていますが、それに取り組んでいるコーディネートとかをされている方に参加していただきました。地域おこし協力隊の制度、国の制度がございますが、これは県だったり、あるいは市町村だったりで、そうしたコーディネート役、地域とのつなぎ役、あるいは生徒さんが暮らしやすいようにということで、そうした取組を、コーディネート機能が重要だといったことで、地域おこし協力隊の方にお願いして、つながりと言いますか、取っ掛かりから連結部分というのですかね、支援をしているといったこともあります。
 また、高校としても、例えば、大槌町であったりと一緒になって、留学してきた生徒さんがうまく地域に馴染んで、そして地域の人たちと一緒になって、現地の人とつながることで、関係人口ができていくというお話をいただきまして、まずそこだと思うのですよね。つなぎ役といったところを自治体で支援するといった取組をしております。人口減少の中で地域振興上、高校の果たす役割は、白岩さんがおっしゃるようにすごく重要だと思うのですよね。ですから、高校を持っている地域はこれを核にして頑張っていこう、といった動きもどんどん出てきているところです。ありがとうございます。
 その他いかがでしょうか。まだ若干時間がございます。いかがですか。西森さん。

西森 菜々花
 最後に少し触れさせていただいたのですが、私自身が現時点で拠点がすでに実家も東京に移ってしまっていて、帰省とかをしないという点で、岩手の外側の人になるのかなと思うのですが、その視点でいくと、一度岩手に関わった人をどれだけそこからさらにこう引っ張っていけるかということが重要だと思っていて、それで言うと岩手に関わった人のファン化、岩手のファンになってもらうことが結構大事かなと思っていて、その上でも、岩手に帰ったりとか、岩手に直接触れる機会が少ない人に対して、岩手に関する首都圏での活動とか、イベントを知ってもらうという点で、マーケティングであったり、岩手をどのような地方として発信していくかという点でのブランディングというのが重要ではないか。SNSマーケティングが主流になってきており、気軽に発信ができ、簡単に、広く、すぐたくさん発信ができるようになってきている。
 そのため、今のニューヨーク・タイムズに盛岡が載ったという話題性があるこの段階で、SNSマーケティングであったり、岩手のブランディングということを、いかに進めていけるかということが結構重要なのではないかと考えているのですが、マーケティングとか、ブランディングという点で、現時点でどのようにお考えをされているのか教えてください。

小野部長 
 ありがとうございました。SNSを活用したマーケティングだったり、ブランディングといったことで、一つには、やはり岩手は、大変な災害ではありましたが、東日本大震災津波というのがあって、そこから三陸が大きく復興してきていると。そういった中で、三陸復興国立公園であったり、それから三陸ジオパークであったり、あと、トレッキングの潮風トレイルであったり、三陸に様々な活動のフィールドとして活用できるものが増えているのですよね。
 これを、ブランディングというのは、岩手全体でもあり、また三陸でもあるのですが、どのようにブランド化して、あるいは三陸というもので、もしかしてある意味ブランドになっているのかもしれません。これを、SNSを通じてどのように広めていくかというのが、これから重要でありまして、そのために、新たな組織もつくり、今検討中なのですが、三鉄を一つの核としながら、今お話ししたようなルートを、一つの縦だったり、横だったりのルートを活用しながら、三陸を一つのものとして、その中には多様な人がいたり、魅力があるのですが、生かしていこうといったところ、新たな会社と言いますか、団体、組織を作って、取り組んでいこうと。これを知事の考えの下、今みんなで頑張って検討をしているところです。御期待いただければと思います。
 そろそろ時間がまいりました。まだ二巡目、お話いただいてない方もいらっしゃるのですが、時間の関係もございまして、御容赦いただきたいと思います。

知事所感

小野部長
 それでは全体を通じまして、知事から、総評と言いますか、コメントをお願いいたします。

達増知事
 今の、最後の部分の情報発信については、やはり非常に大事で、えるぼし認定東北一位とかですね。行政は、まず、ニュースリリースみたいな形で、何か新しいことを始めたとか、作ったとかいうときに発信するけど、その時もその一回しか発信しないのですよね。陸前高田市にある東日本大震災津波伝承館の来場者数が100万人を突破などということを、突破したときにしか発信しないのですが、良いことを繰り返し発信しないと届かないということがありますよね。民間の企業団体などのコマーシャル、「サンセット・サンライズ」の映画も今ガンガン、専用アカウントができて、Xで同じようなことが繰り返しポストされていて、そうした感覚が行政にも必要なのだと思いますね。ニューヨーク・タイムズに盛岡が取り上げられたということも、そうですね。先週、日本を代表するようなある団体のトップと会う機会があったのですが、知らなかったですからね。だから、繰り返し発信していかないと知られないということは徹底するようにいたしましょう。そこは要検討の部分です。岩手にとっての良い情報を繰り返し発信する部分をどこかに作る必要があると思いました。
 さて、総合的にでありますが、まず皆さんがそれぞれ自分自身の人生戦略というのをしっかり考え、また実行していることを大変頼もしく思いました。是非是非、この調子で進んでいってほしいと思います。そして、そういう自分自身の人生戦略ということと関連させて、岩手県の人口戦略と言いますか、人々との関わり、そして東京にいる人との関わりについても、非常に真剣に考えていただいていてありがとうございます。参考になる話がとてもたくさんありましたので、それに反応していて私もたくさんしゃべって時間を取ってしまいましたが、それだけ良い論点がたくさんあったということでありますので、大いに参考にしていきたいと思います。ありがとうございました。
 あと、最後に、冒頭小野部長からも話があったのですが、岩手の人口戦略は人生戦略に対応するものであるべきということで、まず岩手に生まれ育ってずっと岩手に残っているという選択、そして岩手に生まれ育って進学とか就職で県外に出るという選択、出てまた帰ってくるという選択と、そしてもう出て大谷君みたいにずっと県外で活躍するという選択、そのどれを選んでも成功し、かつどれを選んでも幸福になっていくような、行政サービスを岩手が提供し、岩手県という地域をそのような地域にしていくということを、岩手県当局は取り組んでいくというようにしていきたいと思っています。
 さらに、県外に生まれ育った人が岩手にやってくるという、そのような県外の人にとっての選択肢もあって、それも成功、幸福に向かうようにしていくということで、人口減少対策というものを知事になってから17年間ずっとやってきて、特に地方創生というこの10年間はかなり力を入れてやってきたのですが、一方で、2018年が明治維新150周年だったり、2021年が原敬没後100年だったりとかで、そこではたと気づいたのは、明治維新の頃から、職業選択の自由と居住移転の自由というのは保障されていて、日本国憲法ができる前から、職業選択、居住移転、この自由は保障されていて、それが明治維新、近代化ということだったんですよね。江戸時代は生まれたところにずっといなさい。農民の子は農民、武士の子は武士であって、そういうものはやめましょうというのが明治維新だったので、その時から職業選択と居住移転の自由は保障されている中で、人口減少対策というのは何なのかというのを考えたときに、先程言ったように、私はそれを自由主義的人口戦略と呼んでいるのですが、個人の尊厳、個人の人権、個人の自由というのを最大限保障する形で人口減少対策に取り組むということを、地方自治体はしなければならないと思っておりますので、岩手に既にゆかりがあり、我々は皆さんに対する働きかけも、成功や幸福に向かうような、そのような岩手づくりということをやりますので、ぜひ活用していただきたいと思いますし、御協力をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

閉会

小野部長
 ありがとうございました。
 今日、具体的な様々な御意見をいただきました。これらにつきましては、整理をして、県の関係部局と共有をして、県の施策にしっかり反映させていきたいと思います。本日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。時間を超えての開催になりました。本当にありがとうございました。これをもちまして、県政懇談会を終了いたします。今日は本当にありがとうございました。

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