「いわて幸せ作戦会議(in宮古)」(令和6年5月13日)
日時
令和6年5月13日(月曜日)10時30分から11時50分まで
場所
宮古地区合同庁舎 3階 大会議室
出席者
・参加者(敬称略)
中村 菜摘(宮古市地域おこし協力隊)
赤瀬 凱(山田町地域おこし協力隊)
三浦 咲奈(たのまるプロジェクト 代表)
澤里 寛行(株式会社澤里技研代表取締役/岩泉町地域おこし協力隊OB)
・県側
達増 拓也 知事
植野 歩未 沿岸広域振興局副局長
小野 博 政策企画部長
開会
小野部長
ただ今から、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in宮古」を開催いたします。皆様にはお忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。心から感謝申し上げます。本日ですが、「復興の先を見据えて-三陸の関係・交流人口拡大と地域課題解決への取組-」を懇談のテーマといたしまして、宮古地区でお仕事や地域活動など様々な分野で、地域の復興に向けて取り組まれている方々にお集まりをいただいております。私は本日の進行役を務めます、県の政策企画部長の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
知事あいさつ
小野部長
それでは開会にあたりまして、達増知事から御挨拶申し上げます。
達増知事
皆様、おはようございます。お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。県議会議員の皆様もお疲れさまでございます。
県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in宮古」ということで、県政懇談会は、以前から岩手県内各地、各分野で活躍している県民の方の意見を伺って、県政に反映させるということでやってきているのですが、今の県民計画「いわて県民計画」の基本目標に、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」という基本目標が掲げられておりまして、そこで「いわて幸せ作戦会議」という名前で最近はやっております。そして、今日は、「復興の先を見据えて-三陸の関係・交流人口拡大と地域課題解決への取組-」ということがテーマになっておりまして、東日本大震災津波からの復興というものは、まだいくつかの事業は続いておりますし、復興がまだ終わっていないというところがあるのですけれども、そこに、主要魚種の不漁問題でありますとか、新型コロナの経済的、社会的影響がまだ残っているということ、そこに燃料費、物価高騰も重なって、復興に影を落としています。
また、地域が直面する課題としては、復興をきちっと進めていくということに、人口減少問題対策というものが重なってきまして、今、国を挙げて人口減少対策ということになっているのですが、改めて、県としても、また市としても、町としても、地域としても、岩手県としては人に着眼して、人口統計も、参考にはなるのですが、要は一人一人の人たちが、例えば、大谷翔平君のような人を、地元に残ると言って羽交い締めにして、外国に出さないようにしたのでは、これは本人のためにもならないし、また地元のためにもならないというところがあるわけでありまして、一人一人の自己実現を地方自治体がどのように支えていくのか。ですから、一人一人に着目しますと、エリアの中だけを見ていれば良いというものではなく、そこにやってくる人のこととか、そこから一旦出るけれども、また戻ってくる人とか、戻ってくるかは分からないけれども、地域外での活躍がその地域にとって非常にありがたく、つながりを保つべき人とか、そうした多様な関係性というものが自治体には求められているなと考えておりますし、また地域社会においても、そのような人本位の地域社会というものを作っていけば、おのずと人口減少問題ということにも的確な対応ができるのではないかと考えております。
今日、お集まりの皆様は、それぞれ地域に大きな貢献をしつつ、自己実現という観点からもモデルになるような方々でありますので、是非その意見を参考にして、県政に活かしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
出席者紹介
小野部長
この後の進め方について御説明いたします。まず私からお一人ずつ御出席の皆様のお名前を御紹介いたしますので、続けて1分程度、簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、お一人ずつお話が終わりました都度、知事がコメントをするという形で、区切りながら進めてまいりたいと思います。そして最後に、自由懇談の時間を設けたいと思っておりますので、その際には、本日のテーマ以外でも結構でございます。さまざまお話をいただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
それでは、早速ですけれども本日御出席の皆様を順に御紹介いたします。初めに宮古市地域おこし協力隊中村菜摘さんです。
中村 菜摘
宮古市地域おこし協力隊で、今、観光課に所属しております、中村菜摘です。観光協会に配属されていて、観光案内業務、そして外国船が寄港したときのおもてなしとかその辺り、外国人の方がいらっしゃったら、その方に観光案内所での観光案内をしているところです。そちらが仕事で。そして、朝晩と言いますか、漁師の主人に嫁いだということもありまして、重茂での漁業を、ちょうど昆布が始まりまして、朝の4時から昆布を炊いて、そして9時には出勤みたいな感じで、頑張っているところです。神奈川県の出身です。どうぞよろしくお願いいたします。
小野部長
よろしくお願いいたします。次に山田町地域おこし協力隊の赤瀬凱さんです。
赤瀬 凱
本日はお声がけいただき、ありがとうございます。山田町で地域おこし協力隊をやっております、赤瀬と申します。出身が北上で、父の実家が山田町でして、一度関東に出ましたが、父の実家で、いろいろと人口創出だったり、事業を回したいということに所属した会社がゴーサインを出してくれたので、会社を引っ張るという前提のもと、まずは情勢を知ろうかというところで地域おこし協力隊に入って、いろいろと地域の情勢を知りながら活動しています。メイン業務は、観光ではあるのですが、最近は、もっぱら鳥獣被害対策というところで、クマの対策であったり、イノシシというところで、一昨日もクマを1頭有害駆除枠で捕殺ということをやっておりました。小学校2年生ぐらいのときに、現在の達増知事になったので、僕の中では県知事は達増さんだという感じで、もうそんな感じでずっと続いておりますので、今日よろしくお願いします。
小野部長
よろしくお願いいたします。続きまして、たのまるプロジェクト代表の三浦咲奈さんです。
三浦 咲奈
皆さんはじめまして。田野畑村から参加しております、三浦咲奈と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私は、昨年の12月に子育て支援団体「たのまるプロジェクト」という任意団体を設立しました。出身は盛岡市です。2010年、震災の前の年に田野畑に嫁いできまして、翌年の2011年に長女を出産しました。現在は3人の女の子のお母さんをしています。その時ぐらいから、自分の中で、子どもとか、自然というものがキーワードになるような活動に携わらせていただいていて、その中の一つである活動で、野外保育を軸とした森の幼稚園というものがあるのですけれども、そちらを仲間と一緒に普代村で立ち上げようということになりまして、そちらで3年間活動をしてきました。三女もそこで3年間お世話になったのですが、卒園というタイミングで私もそちらを退職して、その後に、団体の設立準備ですとか、あとは、ボランティアの読み聞かせサークルで活動したりしてきました。今日、同じ分野の方がいらっしゃるっていうことで、すごく楽しみにしていたのですが、わな猟のハンター資格を取得して4年目になります。そうした自然の中に身を置いて活動するということに、必要性というか、本能的な魅力を感じていて、林業ですとか、農業ですとか、漁業ですとかそういうことに、今、興味を持っています。今日はお呼びいただいたのですけれども、実績も何もまだ無い団体ですので、申し訳ないぐらいなのですが、色々な方々からたくさんのことを学ばせていただけたらなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
小野部長
よろしくお願いいたします。最後に株式会社澤里技研代表取締役、岩泉町地域おこし協力隊OBの澤里さんです。
澤里 寛行
本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。令和3年度より岩泉町地域おこし協力隊として活動してまいりました、澤里寛行と申します。私は元々岩泉町の出身でして、岩泉町が被災しました台風10号の災害ボランティアをきっかけとして、岩泉町へのUターンを決断し、岩泉町地域おこし協力隊として、ICT、IoTを活用した地域の課題解決をテーマに活動してまいりました。主に、遠隔罠捕獲検知システムの開発及びドローンを用いた、人身被害防止を目的としたツキノワグマ夜間監視飛行等を実施いたしました。本年度より、岩泉町地域おこし協力隊の活動内容を引き継ぐ形で起業し、継続性のある事業を目指し、事業を進めております。以上、よろしくお願いいたします。
小野部長
県からは、達増知事に加えまして、沿岸広域振興局宮古駐在の植野副局長が出席しております。また本日は、宮古選挙区選出の県議会議員の皆様にお越しいただいておりますので、御紹介申し上げます。城内愛彦議員でございます。
城内愛彦議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、佐々木宣和議員でございます。
佐々木宣和議員
よろしくお願いします。
小野部長
続きまして、畠山茂議員でございます。
畠山茂議員
よろしくお願いします。
小野部長
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
懇談
<テーマ>
復興の先を見据えて-三陸の関係・交流人口拡大と地域課題解決への取組-
小野部長
それでは皆様のお手元にお菓子と飲み物を準備しておりますので、ぜひお召し上がりいただきながら、懇談を進めていければと思います。まず、植野副局長から、本日のお菓子、それから懇談のテーマを御紹介したいと思います。お召し上がりいただきながら、お聞きいただければと存じます。植野副局長お願いします。
植野副局長
遠慮なさらずに、お召し上がりながら、お聞きいただければと思います。本日のお菓子として準備させていただきましたのは、地元の老舗菓子店、藤田屋菓子店のいちご大福でございます。藤田屋菓子店の職人が一つ一つ丁寧に作った大福の中に、今回は、宮古市のよしはま農園のいちごを使用させていただいております。甘酸っぱくて肉厚ないちごを、満遍なくこしあんで包み、さらにしっとりとした求肥で包みました。地元産のイチゴの酸味と、こしあん、求肥の程よい甘さを一遍に楽しめるお菓子となっております。補足ですが、宮古で今いちごの栽培が段々と伸びてきておりまして、宮古市、岩泉町、田野畑村で大体七つの農家さんが栽培をしております。その中でも、宮古市のよしはま農園さんが一番栽培面積が大きくて、今日はそのいちごを使った大福となっております。いちごの旬の時期としては、最後の方の熟したいちごでございますので、御賞味いただければと思っております。
また、お飲み物として準備させていただきましたのは、皆さん御存知の龍泉洞コーヒーのブラックでございます。ミネラル含量が豊富な龍泉洞の水との相性がよく合う5種類の豆をブレンドした無糖の缶コーヒーとなっておりまして、飲んだ後に、口の中に広がる爽やかな苦みと香ばしい香りは龍泉洞コーヒーならではのものとなっております。モンドセレクションで最高品質賞を受賞したこともある、有名なコーヒーでございます。
続けて、本日の懇談テーマを簡単に御説明させていただきます。先ほど知事の御挨拶でもありましたが、今回の県政懇談会の主要テーマは復興となっております。これは、三陸のよりよい復興、ビルドバックベターの実現に向けまして、幅広い分野、世代の皆様の取組や課題等について、本日意見交換をしようとするものでございます。具体のテーマにつきましては、宮古管内につきましては、「復興の先を見据えて-三陸の関係・交流人口の拡大と地域課題の解決への取組-」とさせていただいております。
宮古地域は、三陸の豊富な魚介類を背景に水産業が盛んでありまして、皆さん御存知のようにマダラは長年全国有数の水揚げとなっております。また山間部では畜産、酪農が行われ、田野畑、岩泉を中心に乳製品の加工にも力を入れております。農林業における畑わさびは全国1位の生産量を誇り、干ししいたけについても全国トップレベルの品質を維持しております。また、令和3年12月には三陸沿岸道路が、同4年4月には宮古盛岡横断道路が全線開通し、交通アクセスが格段に向上したことは、ニューヨーク・タイムズ効果で注目された盛岡からの誘客であるとか、首都圏、関西圏方面からの物流の観点からも大きなメリットとして期待されております。また、宮古港においては、インバウンド需要を背景に、今年も沢山の外航クルーズ船の寄港が相次いでおります。
一方で、宮古地域におきましては人口減少が顕著となっておりまして、特に女性の社会減が深刻となっております。また新型コロナ等を要因とする婚姻数や出生数の自然減と相まって、人口減少の大きな要因となっております。また、主要魚種の不漁や鳥獣被害、あらゆる業種における担い手や人手不足など、これらも大きな課題となっております。このような中にありまして、復興の先を見据えた動き、人口減少時代にあっての関係、交流人口の取組や、新たに顕在化した地域課題への果敢な挑戦などの動きが宮古管内でも出てきております。
このような新しい取組に焦点を当てまして、今後の三陸の発展にどのようなことがヒントになるのか、本日、皆さんで考えてみる機会になればと、具体のテーマを「復興の先を見据えて-三陸の関係・交流人口の拡大と地域課題解決への取組-」とさせていただいた次第でございます。今回出席いただいた方々は、先ほどの御挨拶にありましたけれども、それぞれの分野で新しい三陸の創造に取り組まれている皆さんでございます。このような取組に焦点を当てまして、意見交換をし、今後の県政に活かそうと考えておりますので、本日はよろしくお願いいたします。
小野部長
今、説明がございました本日のテーマ、これに沿いまして、今日は懇談を進めてまいりたいと思います。先ほど、知事の挨拶でもございましたように、本日お集まりの4人の皆様、生まれた町で、あるいは、ゆかりのある町で、縁があり他の地域からそれぞれいらっしゃって、それぞれの地域で御活躍中でございます。「復興の先を見据えて-三陸の関係・交流人口拡大と地域課題解決の取組-」、このテーマに沿って、今の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負、あるいは、県への期待なども含めてお話を伺ってまいりたいと思います。
それでは早速ですが、中村さんからお願いいたします。
中村 菜摘
よろしくお願いいたします。私は、今、重茂という地域で、漁村に入って、結構狭い地域でもありますし、いろいろな課題はあるなと感じている中で、他の人が入って来ても良いのではないかというか、他の人たちを受け入れる場所が作りたくて、民泊を始めました。それで、一番最初の自分のつながりではないお客様は、ミュージシャンの方だったので、そのような方向性でいくのかなと少しドキドキしているのですが。
その中で、青山学院さんと文教大学さんの方々を受け入れてみて、宮古の駅前のゲストハウスでお食事を提供するという、宮古の魚・水中二大決戦タラVSサケみたいな、タラの方が優勝したのですが、そのようなことをやってみたり。それで、その子たちが、愛着を持って、漁師さんが忙しい時期とかにまた戻ってきてくれたら良いなと思いながら、よその目から見て、やってみているのですが。その中で、今年の夏頃、今ちょうど進めているのですが、色々な関東、関西圏の大学に声をかけているのが、うちに宿泊をして、漁師さんたちがその方々の宿泊費などを持って、そして、漁師さんのそれぞれの家に派遣される形で漁業研修という名のボランティアをするというものを進めています。
ただ、夏休みが、漁の忙しい時期とずれてしまうということもあって、ウニ漁とコンブ漁が重なる一番忙しい時期にどうしたら良いのかなと思って、今朝水産振興センターに御相談に行って、ぜひ振興局の方も現場を知れるチャンス。漁師さんは、どうしてもこうなっているところがあるので、3軒ほどオープンになったので、そこで現場を知るチャンスではないかなと思って、お声掛けをさせていただいたり。もちろん、宮古の地元の学生さん、特に水産高校には声をかけようかなと思って進めていました。
そのような中で、私自身も、もっと漁業の現場を知りたくて、いわて水産アカデミーに6期生で入講して、来年、再来年をかけて漁業権を取って、漁師になろうと思っています。その中で、思っていることがあって、漁村、現場とそこのルールを作ってくださる行政との距離はあると思うのですね。
今話したように私が動いていることも含めて、どんなことを漁村に求めているのか、漁村にもっとこうしてもらったり。前に、宮古で行われた水産シンポジウムに参加したときに、多分、行政の職員の方だったのかなと思うのですが、その方がお勉強会を開いても漁師さんは来てくれない、と言うんですよね。もし、その方々がウニの時期とかにお手伝いに来て、「お父さん。今度こういうものをやるからちょっと来てくれませんか。」とウニを食べながら、話したりとかしたら、距離も縮まって、そういうところも解消できるのかなと思いながら、お声をかけた。そうした意図もあったのですが、どんなことを一体求められていて、こうやって良くするために、本当はこうしていきたいということがあるのかなということが気になります。
あとは、よそ者である私なのですが、よそ者に期待されていることと言ったらおこがましいのですが、よそ者の人にこのようにやってもらえたら良い、みたいなことがあったら教えていただきたいなと思って。
私は、重茂の漁師の奥さんたちはすごく輝いていると思っていて、本当にもう、ワーッてやりたいのですが、実際のお母さんたちは、もうやめて、やめてみたいな。なんかこう、PRしたいことと地元の求めていることというのが違うのかなと思ったりするところもあって、よそ者ってどのように立ち回りをしたら、県が良くなる方向だとか、地域が良くなる方向に行くのかなというところが一つあります。
そして、もう一つのテーマが若者ですね。今、赤瀬さんと私も20代というところで、生粋の若者なのかなとは思うのですが、若者がどのように、どうしても若者が一生懸命やっていても潰されてしまうということも耳にしたりもするのですが。私は、重茂で大分伸び伸びとさせてもらっているのですが、県全体として若者がこのように頑張ってほしいなとか、ビジョンと言いますか、思いがあったらお聞きしたいなと思っておりました。私から以上です。よろしくお願いします。
小野部長
ありがとうございました。中村さんが頑張っていらっしゃる点、そして、知事への質問も含めてお話をいただきました。知事の方からお願いいたします。
達増知事
中村さん、ありがとうございます。重茂は、本州最東端の地でありますが、首都圏の生協さんが扱ってくれる大変クオリティの高い水産物を漁獲するというか、生産していて、全国有数の漁村漁場なのだと思うのですよね。ですから、そこで色々見えてくる課題というのは、他の地域でも非常に参考になるところがあるのだと思います。
重茂にどんどん来てもらうというのは一つ大きいポイントだと思いますね。重茂のものがどんどん首都圏の方にまで行って、全国有数の重茂の水産物というのが広まっているのですが、それに匹敵するくらい、全国から人が来てくれれば良く、7月でしたか、重茂の、年に一度東京の生協の代表とかも来るお祭りがありますよね。味まつりですよね。このようなことが普段から普通に起きていれば、すごく良いのではないかと思います。
そのための施設を新たに何年か前に作ったりとか、そこと、いろいろ人が集まったりとか、魚を扱ったりできるような場所も「えんやぁどっと」(注宮古市重茂水産体験交流館)とかもありますが、なるほど、泊まれる場所はあまり無いので、民泊というのはグッドアイディアだと思います。宮古市内の方に泊まってもらっても良いのですが、現地に泊まれば、なお結構でありますので、非常に良いことだなと思います。
そして、よそ者、若者への期待という話がありましたけれども、私もよく聞かれるのですが、私が思い付かないようなことを思い付き、やったことがないようなことをやって欲しいというようなことが、まずありますよね。ただ、今、話を聞く中で、地元としては、地元の周りがやっているようにやってほしいみたいな風潮というか、雰囲気というか、そうしたものもあるのかもしれません。全てにおいて他の人と違うことをやるというのは、かえって難しいと思いますので、かなりの部分は皆と同じようにやると。特に昆布の収穫とかですね。一定の時期に、一定の時間に同じようなやり方でやらなければならないようなところは、皆と一緒にやるのだと思うのですけれども、一方、同時に、地域の人が考えたこともなかったこととか、やったことがないようなことをやるというのは、非常に大事だと思いますね。
いろいろな問題解決の視点から言っても、かつてないような課題に直面したときというのは、大体、今までやったことがないようなことをやらないと解決しないというところがあるんですよね。東日本大震災津波のときも、かつてないような大災害でしたので、今までの災害対策でやったことがないようなことを、次々に繰り出して、今、能登半島の地震のその後の復旧、復興も見ているのですが、もう少し、今までやったことがないようなことをどんどんやらないと、復興に弾みがつかないのではないかと思いながら、見ていたりします。
ですから、誰も考え付かなかったようなことを考えたり、やったことがないようなことをやるということが、いわゆる、よそ者、若者に期待されていることで、その思い切りの良さを、第三の何とかものという表現もあるのですが、そうしたところを期待しているということではないかと思いますので、最初はその辺から議論のきっかけにしていきたいと思います。ありがとうございました。
小野部長
今、知事からもお話がありましたように、地域の人たちが今までやってこなかったようなことも、ぜひ、若い人、女性の皆さんも含めてやっていただきたいということで、県としても、若者女性活躍支援といった形で取組を進めております。職場であったり、地域であったり、アンコンシャスバイアス、無意識の偏見みたいな、最近、ラジオやテレビでも言われておりますけれども、地域として、そうした頑張りを応援できるような、職場だったり地域、こうしたことが重要になってくるのかなと、県としても考えておりまして、そうした取組を進めてまいりたいと思います。
続きまして、それでは赤瀬さんからお願いいたします。
赤瀬 凱
自己紹介で言ったとおり、出身は北上でして、関東に一度出た後、こちらに戻ってきたという流れになります。関東で入った会社が、小さい会社ですが、地元に喜ばれる仕事をいろいろなところで展開していきたいというところで、被災地に雇用を作りたいという方向がポッと出たんですよ。そのときに僕が山田に父の実家があるので、山田でやりましょうということで、山田でやることになりまして、今、いろいろと地域需要を知るために、地域おこしに入ったという次第なのですが、ここで何をやって雇用を作ろうかということは、その時は決まっていなかった。
ですけれども、やっぱり第一次産業が衰退している、人口が減っている、高齢化が止まらないというところで、そこにせっかく美味しいもの、良いものがあるのに、やっていかなければというところに着目して、漁業、農業、狩猟で起業しようというところに、今、方向性を固めた次第です。
やっぱり、町として、沿岸地域として、人口を引っ張っていきたいというところは課題となっているので、そこは、ではどうしたら良いかというところなのですが、来てください、来てください、だけでは駄目なのかな、正直、限界があるなと。山田も、三陸道ができても、素通りする町になってしまっているのかなと。そこに留まって山田のこれに来たいから来たんだ、というのは、どこも沿岸地域全部そうで、浄土ヶ浜とかも、そのためだけに泊まりに来たという人はそんなに作れないのかなというところから、着目点を変えて。
もともとの会社は体操教室なんですよ。生徒が600人とか、そのようなところ。社長しかいないのですが、600人の生徒がいて、都会なので、ビルしか見たことない子どもたちという状況を逆手にとって、そうした子どもたちに、山田で、山田じゃなくても良いですよ、三陸で、夏合宿をやって、規模を大きく、20人、30人単位で連れてきて、おいで、おいでではなくて、もう連れてきてやらせるというところで、子どもたちが満足して帰れば、親世代にも広がっていく。そうすれば、口コミで広まるかなという別方向から今計画を立てていまして、そうした方向で作戦をやっているところです。
観光はそれで良いとして、食物の方はどうかというところで、例えば、マグロは大間だみたいな、メロンは夕張だみたいな感じで、その食材は岩手だみたいなものを、もちろん名物はたくさんあるのですが、何かお手伝いをできないかなというところで、岩手県産、三陸産みたいなところに着目するために、今、減っている、漁業、農業、あとは最近課題になっている鳥獣被害対策で、もう今年、山田の駆除数だけで、シカが400、500頭となってきまして、クマも10頭、イノシシも何10頭となって、それを全部宮古のごみ処理場に投げている状態になってきているので、そうしたジビエ等々も活用していこうかなというところでいろいろやっています。
大槌町が、今、「MOMIJI」(注大槌町に工場を所有するジビエ肉専門加工製造会社)をやっていますが、そことのタッグを組んで、いろいろやっていまして、あっちはBtoC、一般消費者向けに力を入れているのですけれども、僕らはBtoBで、飲食店とかに売っていこうかというところで、パイプを構成中でして、新宿から一番近いキャンプ場を、僕は立ち上げメンバーでやっているのですが、キャンプ場とかに、消費者に刺さるところに、どんどんやっていって、岩手、三陸、山田をアピールすれば、影響は絶対、宮古、田野畑、岩泉等々に、絶対広がるというところで、今底上げ、僕らが売れなくても、まず岩手が売れてくれということで底上げで活動している次第です。
そのような感じでいろいろ考えて動いているけど、今日の懇談会で、人口の関係で何をすれば良いのか、何を意見ですというところは今日持ってきていなくてですね。一歩引いた視点から出てきた意見に対して食らいついていきたいなということで考えてきた次第です。お願いします。
小野部長
ありがとうございました。知事からお願いいたします。
達増知事
赤瀬さん、山田に戻ってきてくれて、ありがとうございました。戻ってきたというか、親のふるさとターンみたいな感じで。
私の父親のいとこが船越の方で漁師をしていたので、小さい頃は、夏休みに、船越で漁船に乗せてもらったりとか、海のものを食べさせてもらったりとかというのが、やはりずっと残っていますよね。ですから、そうした親から引き継ぐような経験、体験というのはすごく大事だと思います。そして、ビルしか見たことがない子どもを連れてくるというのは非常に大事だと思いますね。
日本が直面している人口減少問題は、都会と地方と分けると、地方の人口減少と都会の人口過密問題というのでしょうかね、都会は都会で、深刻な問題に直面しているわけで、私も東京に何年か住んだことがありますけれども、やはり東京というのは普通ではない。これは万国共通で、アメリカに行けばニューヨークというのはあれは普通じゃない、本当のアメリカではない、みたいに言われたりするわけですが、そうした意味で東京は本当の日本ではないみたいな、これは批判とか悪口とかではなくて、社会学的にそのようなものであるわけですよね。
実際、ビルしか無いというのは、人が生まれて育つところとして、いかがなものかというのは本当にそのとおりなわけで、やはり、農業、漁業、あと、林業や狩猟も含めた第一次産業的なことに関わるのが、まず人類の基本でありますし、そこをベースにしてものづくりがあって、サービス業があるということが、それが普通、自然なので、東京というのは、広く首都圏というのは、言ってみれば、宇宙基地みたいなものだと思っていて、必要に迫られて、そういう場が作られて、必要に迫られてそこで働かなければならない人が、そこに住み着くようになっている場所で、極めて人工的な中で生活をしたり、仕事をしたりしていると。それはもう、宇宙ステーションやら、月面基地とか、そのようなところと同じようなところなので、事情で、そういうところで生きていかなければならないということはあり得るのですが、ただ、やはり推奨するのは、地方の方に住むこと、地方で働くことを推奨するし、事情があってずっと都会にいなければならない人でも、時々地方の方に来てみてくださいということだと思うんですね。そのように、都会の方の立場に立って、より良い人生のために、時々は地方に来てくださいということなのではないかと思います。
そして、ジビエですね。有害鳥獣問題ということになっているのですが、有害というのは人間側の都合で、あと、気候変動的なこととか、人間と自然の関係の中で、鳥獣が増えているということで、大所高所から見れば、いかに共生するかということなのですが、そうした共生の中で、ただ命を奪うだけではなくて、その命を活かすという発想からすると、ジビエというのは、非常に良いことでありますので、大槌の「MOMIJI」さんもですが、いろいろな手続き面とかを県の方でも支援しているところでありまして、岩手の中にも広がるようにしていきたいと思います。そう簡単ではないというところもあるので、いろいろ試しながら、少しずつ、手をつけ、拡大していくような形でないと、なかなかジビエ産業というのは進んでいかないのですが、でも、「MOMIJI」の例とかもありますし、北海道などは、エゾシカを生きたままたくさん柵の中に飼っていて、それで、食肉処理をしていくという、家畜状態にしてやっていて、ジビエを超えたような、ジビエじゃないような、家畜化してやっているようで、そこまでは本州サイドでは、ニホンジカはエゾジカほど数がいないので、北海道方式というのはそう簡単に真似できないと思っているのですが、地域の事情に合わせたようなやり方を編み出していければなと思います。ありがとうございました。
小野部長
続きまして、三浦さんからお願いいたします。
三浦 咲奈
ありがとうございます。改めまして三浦です。「たのまるプロジェクト」ではですね、三つのミッションを掲げていまして、一つ目が、子どもの自由な遊びの居場所づくりというものをやろうかなと思っています。昨年の4月にこども家庭庁というものが国で発足されました。それと同時に、こども基本法というものが施行されましたが、そうした背景もあって、田野畑村の子育て環境がどうかなと見直したときに、いろいろな課題が上がってきて、一番多かったのが、少子化ということで子どもたちが地域で遊ぶことができない、遊べる子どもたちがいないということなのですよね。そうなると、子どもたちが家の中でゲームをしたりとか、外でもゲーム機を持ってきて遊んでいますから。そうした子どもたちの遊び場が、どうしても画面の中になってしまっているというように、そうなると視力が落ちたり、体力が落ちたりというように、そうした健康面に影響が出てくるということが課題だなと思っていました。子どもが遊ぶことというのは学びそのものですから。多分皆さんも、かつて、外遊びをしてきた子ども時代があったと思うのですが、畑で遊んで怒られてしまったりとか、地域の人たちに声をかけてもらえるみたいな、そのような経験から、社会性とか、今話題の非認知能力とか、そうしたものを培うことができる遊びという機会を、作らなければいけないなと思って、小中学生対象ですが、放課後の時間を使って、プレイパークというものを企画しました。これが一つ目になります。
二つ目が、体験学習の創出というものですが、田野畑村では運動の習い事が充実しているんですね。ただ、子どもは多様ですから、料理をしたりとか、絵を描きたいとか、音楽を習いたいとか、そのような子どもの色々な意欲、体験できる機会というものが少ない。全ての子どもたちが、同じように、公平にそうした体験ができるという機会は必要ですから。そのために、そうした企画をしました。ここで一番大切にしたいのが、私は村民先生と呼んでいるのですが、地域の方たちが、自分のスキル、知恵とか、技術というものを子どもたちに還元できる、教える場として、地域の方たちを巻き込むわけですから、地域の活性化につながるというようなことを目的としています。
三つ目ですが、食育の推進になります。こちらは簡単に言えば、子ども食堂ですね。一般的なイメージとして、生活困窮世帯への食事の提供というのが、皆さんが持っているイメージかと思うのですが、もちろん、そうした目的もありますし、やはり田野畑村には美味しいものが沢山ありますから、そうした地域資源を活用して、食事を提供する、郷土愛の醸成につながる、地域の人たちも集えるみたいな、そのようなことを目的としています。うちでやる子ども食堂の特徴としては、子どもたちが畑で実際に野菜を栽培できたり、野生動物を解体してみたり、魚を捌いてみたりみたいな、そのような命をいただくということが、どのようなことなのかというところ。一貫した食育というものを提供できたらなと考えています。
この三つのミッションの行く先の展望としては、子どもたち自身の困難をクリアにするというのが一番大きい目標ではあるのですが、どうしても少子化対策というのは、忘れてはいけないなと思っていまして、具体的に考えているのは教育移住というものになります。実践している県とかもあるのですが、子育て環境を充実させる、教育の質を上げるということで、私たちのような子育て世代が移住、定住してきてくれるような、そのような活動にしたいなと思っています。
ただ、少子化対策をするに当たって、子育て支援というものが出生数を上げるということと直接的なつながりは、いろいろな方が言っていますけど、ないので、出生数を上げるために婚活イベントをするかということにはいかないので、やはり私たちができることというのは、お母さんになりたいと思う方を増やすために、赤ちゃんを身籠って、子育てをしていくという、そこのラインだと思うのですが、そこでいかに子育てが楽しいんだよとか、価値があるものなんだよ、というそのような魅力を私たちが発信していく、再現していくということが、私個人でもそうですが、団体としても、課せられた役割なのかなと考えています。
小野部長
ありがとうございました。「たのまるプロジェクト」の三つのミッション、そして、そこから教育移住、子育ての負担と考えられますが、そこから子育ての魅力といったところを、上手く発信していくといったことでお話をいただきました。ありがとうございます。知事の方からお願いいたします。
達増知事
森の幼稚園というのは、全国知事会の中でも色々話題になっていて、長野県が力を入れてやっていて、あと広島県もだったかな。いくつかの県が先進的にどんどんやっていて、他の県もそれを聞かせてもらいながら、そのようにやろうかとか、一部参考にしようかということでやっていて、就学前の子どもたちが、できるだけ自然に触れるというのは、日本全体にとって求められていることなのだと思います。
なるほど、田野畑村は、そのような場としては非常に良いところで、教育移住ということも、現実的なのではないかと思いますね。高いところは酪農など農業をやっていて、そして、海の方では全国有数の漁業が行われていて、また、そのようなところには、アーラム大学(注大学の所在地はアメリカ合衆国インディアナ州。田野畑村で学生と交流する取組に参加している。)なんていうのは昔から学生が定期的に来ていたりとか、やはり、学びの場として、非常に良い場所ということなのだと思いますね。そのようなところを県としても活かしていきたいなと思います。
人口が、市町村で、岩手県内で下から2番目になっている田野畑村ではありますが、村が岩手に四つあって、あと5,000人以下の町が三つあって、七つの町村が特に人口が少ないのですが、それぞれ非常に魅力があって、全国有数の経済的にも価値あるものも生産されたりしていて、決して地域が悪くて人口が少ないわけではなくて、地域の良さが知られていないがゆえに人が少なく、かつ、一定程度の交通の不便さもあって人が少ないというのが本質だと考えておりまして、そうした交通の不便さもなるべく解消しつつ、そこの良さや価値をどんどん広めていくことが大事だなと考えています。
それを子どもというところに注目して、田野畑村の価値や魅力をさらに深掘りできると話を伺って思いました。ぜひその調子でやっていただきたいなと思います。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。それでは最後に澤里さん、お願いいたします。
澤里 寛行
岩泉町地域おこし協力隊として活動してまいりました、澤里と申します。岩泉町は、人口減少、少子高齢化、野生動物との関係性の変化、これら課題の最先端だと認識しております。これは私は悪い意味では捉えていなくてですね、これらの課題を近い将来、全国で課題となる問題だと思っております。岩泉町は、現在、時代の最先端を走っていると見ることもできます。
ここで、課題の解決のためのソリューションを作れば全国で通用すると考えておりまして、例えば、遠隔罠監視装置。これは鳥獣被害対策として、大手さんが東京などで色々開発されているのですが、やはり現場にいないで作った物にはずれがあります。私は、クマ罠の中に頭を突っ込みながら、現場でプログラムを書き換えたり、文字どおりゼロ距離で開発を行いましたが、このような開発方式は他には真似できないと思います。
また、昨年度、ドローンによるツキノワグマの監視飛行を行いましたが、あっさりツキノワグマの生きた姿を映像で捉えることができるという環境も、そんなに無いと考えておりまして、しかも撮影は、私が住んでいる家の前で撮ったようなものでして、特にツキノワグマがいるところに行ったわけではなく、どこでも撮れるというのが、岩泉町の現状でして、非常に危険ではあるのですけれども、調査研究する場としては、これ以上のところは無いという状況になっております。
ただ、どうしてもやはり、先ほど子どもの遊び場という話を伺いまして、なるほどと思っていたのですが、やはり自然に魅力を感じて岩泉町に移住してくださる方々が、地域おこし協力隊でも結構いまして、現在、地域おこし協力隊だけで27名、岩泉町におります。ただ、外で子どもを遊ばせることができないほど、クマが普通にいます。
私もドローンの夜間飛行で、まず夜間飛行として飛行計画を立てたのですが、実際は夜間でなくても、いることが分かりまして、3ページ目(注参加者に資料を配布しているもの)の赤外線ではなくて可視光で撮っている映像は、要するに昼間です。クマは警戒心が強くて、デントコーン畑の中で人の目につかないようにしていますが、人とクマの距離は、想像以上に近いことが分かりまして、少しでもバランスが崩れると、人身事故がいつ起こってもおかしくない状況が発生しておりました。
5ページ目。これが、実際人身被害が起こってしまった現場なのですが、人身被害の翌日、ドローンで空撮した映像、ドローンで見ると分かるのですが、デントコーン畑の中心部で食害が発生しています。この段階では外から見ても食害も分からない状況でして、これは人身被害が起こったので捕獲許可が出るのですが、人身被害が出る前には捕獲許可が下りない状況になっております。現状、捕獲許可が下りるのが、これは12日後の映像となりますが、外まで食害が進むと、これは食害が発生しているなと役場の人が確認して、「食害が発生しています、あと、電気柵をしています」という条件を基に、県に捕獲許可をいただく形になっております。
ただ、この段階ではですね、捕獲できないに等しくてですね、トウモロコシ畑に美味しいトウモロコシがたくさん生っている、生ってしまってから罠をかけても、わざわざドラム缶の中に入ってくるクマはそうそういないのです。なので、岩泉町が要望しているのが、予防捕獲。
クマは繁殖力が、シカとかイノシシと比べて強くないので、やはり頭数を減らしてしまってはいけないというのは分かるのですが、例えば民家の隣に来てしまったクマを、このような条件の場合に、予防捕獲を考えてもらっても良いのではないかと。山の中で予防捕獲しろということは私も違うと思います。
クマの捕獲に従事している人たちも、クマを獲りたくないのです。正直。冬に狩猟としてクマに挑戦するという猟師はいるのですが、夏のクマは獲りたくないです。ましてや、子グマなんて絶対獲りたくない。でも、農家さんに頼まれたら駆除しないといけないという、かなり苦しい思いをしているのです。それでも作物が実ってから捕獲を始めるとですね、もうどうしても歯がゆいと言いますか、クマが入らないし、果樹園の果物は、一晩で、200キロ単位で食われていきますし、もう来年は果樹やらないと言う農家さんの話を聞きながら従事している状況です。ぜひ民家の近くもしくは果樹園の中とか条件つきで、予防捕獲を検討していただきたいというのが、現場からどうしても伝えたいことです。
今年の3月頃に国会で審議が通ったと思うのですが、ハーフライフル規制(注ハーフライフル銃の所持許可の要件を、猟銃所持歴が継続して10年以上など、厳格化しようとするもの)。これは若い猟師さんたちにとっては非常に致命的に近い規制になりまして、シカを撃つとき、散弾銃とか、ハーフライフルとか、ライフルとかを使うのですが、ライフルは10年の経験が必要です。なので、若い猟師さんは、ライフルが持てない。でも、散弾銃は有効射程が実際50メートルくらいでして、岩泉町のような山間部であっても、今年の3月みたいに雪が降ると、射程が長くなってしまうので、100メートルとか、180メートルで打つのですが、普通の散弾銃では歯が立たない。
ただ、ハーフライフルは、岩手県警察本部に問い合わせたところ、県警本部も情報を持っていないということで分からないということですが、県や市町村が必要を認めた場合にこれまで通り所持許可を出すという話になっておりまして。なので、多分、県警は遅れてしまうと思うので、事前に岩手県として、ハーフライフルが必要なのかどうかという意思表示を、先手を打ってしていただかないと。所持許可って、大体半年近くかかるんですよ。許可を取ろうとした段階で駄目となっても、結構大変なものになりますし、実際、今、岩泉でもハーフライフルの所持について悩んでいる方もいるのですが、不透明で所持許可に踏み切れない状況になっております。ここは意思表示を、岩手県の方からできるだけ先手を打っていただくことを検討いただけたらなと。
あと、ドローンですが、国交省が2年前に100グラム以上は航空機とみなして、すごく厳しくなりました。これも霞が関で考えていることもあってですね、岩泉町のようなところで飛ばすことを想定されていなくてですね、私も先日飛行許可が不許可になりまして。申請をしたのですが、夜間のデントコーン畑、私は、クマの被害が出ていて住民は夜間立ち入ることはない、リスクが低いという飛行計画を出したのですが、夜間のデントコーン畑に人がいない理由を説明しろ、という補正命令が入ったんですよ。要するに、クマの人身被害が出ているというのも、そのような事情は考慮してくれない。
あと、クマを追跡したい300メートル範囲を指定して、この範囲でクマを追跡します、としたところ、範囲は経路ではないから駄目だと言われたんですよ。確かに、クマに応じて動かすので、事前に経路を設定できない。となると、経路を設定しない飛行となって全国どこでも飛ばすことと同じ扱いになってしまう。そのような感じで、どうも融通が利かないので、これはもう、一個人や一企業が対処できることではないので、ぜひ、県としてガイドライン、ドローンの運用に対して検討していただくチームを作っていただけたらなというのが一つあります。
これは、実際、鳥獣被害対策に限らず、ドローンの規制が厳しくなったせいもありまして、岩手県内の事業者さんも、あと行政さんも、ある程度詳しい人は分からないから活用を控えようということになっていまして。もしくは全く分からないで不適法に飛ばしているかのどちらかになってしまっています。業者に発注する際も、簡単なガイドラインの設定で適法かどうかを判断することができますので、是非、そのようなガイドラインの設定をしていただけたらなと考えております。私としては以上です。
小野部長
実は、達増知事が北海道東北知事会の会長を務めておりまして、昨年度も、クマ類の指定管理鳥獣への追加などについて、国に対して要望し、それが実現したといった経緯もございますし、さまざまな銃器の使用につきましても、併せて要望を行っているところでございます。県といたしましても、今いただいたような御意見もいただきながら、是非そのようなところについては、持ち帰りまして検討していきたいと考えておりますけれども、知事の方からお願いいたします。
達増知事
より踏み込んだ対策を可能にしようという流れは、去年から出来てきている感じはしておりまして、あとは、県も対策の予算を増やしたり、あとは人も増やして、特命課長を新設するとかもしていますので、さまざま御指摘いただいたことは早急に検討していきたいと思います。
いただいた写真を、このような赤外線の写真というのは初めて見ましたし、あとはデントコーン畑で出た、食べている最中のクマの写真というのを初めて見まして、ドローンの威力はすごいなと思いました。できるだけ活用できるようにした方が良い、しなければならないと今改めて思ったところです。
このようないろいろな技術、罠捕獲検知システムもですよね、技術的にいろいろなことができるということで、できることを広げようとするときに、法律やら何やらが立ち塞がるということで、まさにそのような最前線にいらっしゃると。どんどん県も参考にしながら、新しい技術を導入し、そして対策をより踏み込んでやっていけるようにしていきたいと思います。
むしゃむしゃ実ったやつを食べているときに罠をしかけても、ということは本当にそのとおりだと思いますし、また人里に出てきてしまったクマというのは、山のクマとは別扱いというのも、そのとおりなのだと思います。
まさに現場からの声、答えは現場にありというのが、この場合、危機管理で言われる言葉ですけれども、クマ問題も答えは現場にありということだと思いますので、それが活かされるようにしていきたいと思います。ありがとうございました。
小野部長
皆さんありがとうございました。これまで4人の皆さんからお話をいただきました。その中では、体操を通じ子どもたちを地域に岩手に来てもらおうといった取組。それから大学などの学生の皆さんを呼び込んで漁業体験をしていただこうといったお話。それから、地域の課題解決としての子育て環境の改善、子育て支援といったこと、さらには、そこから教育移住といったところまで視野に入れていらっしゃるといった点。そして、まさに現場の視点からといった形で、鳥獣駆除。さらに赤瀬さんも携わっていらっしゃいますが、ジビエの展開といったこともお話をいただきました。
さまざま分野は違いますけれども、地域の魅力であったり、課題であったりと、そうしたものを踏まえて、4人の皆様、取組をいただいております。さまざまお話、御意見等をいただきまして、ありがとうございました。
ここからは大体10分ぐらい時間が残っておりますので、言いたりなかった点も含めて、自由に御発言をいただければと思います。もう少し話したいといった方もあるかと思いますけど、いかがでしょうか。中村さんお願いいたします。
中村 菜摘
今、外国人の方が宮古に訪れるということが増えていて、客船も、もちろんなのですが、みちのく潮風トレイルで結構来られているなということを感じています。今、思っていることとして、復興、三陸の関係人口となると、潮風トレイルというのが結構テーマなのかなと感じているのですが、盛り上げていこうねという機関と、あと、実際に歩かれる人と地元の人との間で温度差があるなというのは感じていて、本当に1週間前ぐらいに、義理の父が外国人に車を停められて、「えんやぁどっと」まで乗せていってくれというのを日本語で言われて、「日本語をしゃべれるんなら良いよ」と言って乗せたみたいな話をされたんですよ。その時、「潮風何とかと言われたんだけど、何。」みたいな。
そのようなこともあって、各地域は各地域で動いているのだと思うのですが、県の考えとして、流行っているから外国の人たちが歩きに来て、地元の人が気づいていく方針なのか、それとも、もっともっと地元の人たちが知っていってウェルカムという体制を整えていきながら、外国人が増えていくのに対応していくのかという。
もし後者であるならば、まだ足りないところもあると思うのですが、どういう方針になっているのかということをお聞きしたいなと思っています。
小野部長
この辺、植野副局長いかがでしょうか。
植野副局長
御発言ありがとうございます。まさに後者の方で、地元の人たちがウェルカムでおもてなしをするのが一番大事かなと思っていました。
今年、振興局でも「みちのく潮風トレイル」に力を入れたいと思っていまして、まずは、手始めに、今月ですが、熊野古道の中心になっている方をこちらにお呼びして、セミナーをやる。熊野古道も、ロングトレイルで外国の方が長期間歩かれている。そのためには、地元の人たちの意見を集約して、おもてなしステーションとか、いろいろな長年の取組をやってきているので、そのようなお話を聞いて、広げて、地元で、重茂とか、船越とかいろいろなところで、そうした人を一人一人増やしていくような取組を展開していきたいと思いますので、これからも協力しながらよろしくお願いいたします。
中村 菜摘
セミナーをとても楽しみにしているのですが、この前、ハイカーさんから聞いた情報として、自動販売機のある場所をマップ化できたらすごく助かります、という話を聞いたので、皆さんにお伝えしておきます。
達増知事
熊野古道が外国人に人気になって、押し寄せてくるところになっているのですが、それはある外国人がそこを気に入って、そこに滞在してくる外国人に世話をしたりとか、そうしたことで外国人が多く行くようになったと聞いたことがあります。あとは高野山も外国人が多いのですが、それは、あるフランス人が高野山のことをフランス語で書いて発表したのが非常に良い文章で、それが世界に広がって、高野山に行こうという流れができたと。
去年、ニューヨーク・タイムズに盛岡のことが紹介されて、盛岡に来る外国人の数が増えているのですが、それもクレイグ・モドという日本通の人が書いた文章が凄く良くて、そのようになっているというところがあります。
そのような外国人は地元の人以上にその場所の価値を深掘りし、それを上手に表現したりもしていますので、よそ者に期待されていることの一つとしては、地元の人以上に地元の価値や魅力を感じ、それを表現する人が出てくるというところもあると思いますね。そうなると、それをきっかけにして、どんどん来るようになってきて、もともとの地元の人たちの想定以上に来るということも起きたりしますので、上手く、地元の良さに地元の人以上に気付いた人が、地元の人にもそれを伝えるというような感じで価値や魅力を共有できれば良いと思います。私は、交流人口とか、関係人口は、国境とか、国籍も関係ないと思っていますので、地方自治体というのは、外国から来る人に対しても、自分の領域に入ってくる以上は、もともとそこに住んでいる人とか、一旦出て帰ってくる人、やってくる人、それぞれが希望を果たすことができるよう、自己実現、より幸福度を高めようとすることが地方自治体の務めだと思っていまして、できるだけ、岩手全体、そのようにしていきたいと思います。
小野部長
その他、皆様、何かございますか。まだ時間が若干ございます。いかがですか、赤瀬さん。
赤瀬 凱
僕も澤里さんの意見を聞いて、また半分内容が被る鳥獣系ですが、夜間のドローン、僕もそのために免許を取ったのですが、夜間住宅街で暴れているクマがいるみたいになってくると、鉄砲も使えない。
警察立ち会いでも、本当にこれ撃って良いの、誰が責任取るのみたいな、今、ふわっとしている状況で、先週も夜間にクマが住宅街にいるということで来てくれと言われたのですが、来てくれと言われてもという感じで。警察官もおっかないってパトカーから降りてこないので、ナイフだけを持っていくような感じで、危険というか。婚約者には携帯と銀行のパスワードだけを教えておくみたいな。そのような状況になっているので、その辺のふわっとした、これをこの場でとかではないのですが、夜間の鉄砲だったり、警察官立ち会いのもとではどうなるのかというところがはっきりしない現状が非常にまずい感じですね。
僕も、なぜそこに行き着いたかというと、岩手県で、マツタケとか、農業もそうなのですが、イノシシに限らず、クマに限らず、一晩でテニスコート3面分くらい、ブルドーザーをかけたみたいになったりとか、マツタケもそうなのですが、人身被害の他にも、作物被害等々で、夜間、クマが家の壁をガリガリしているとこもあったので、そうしたときの対策というか、体制の整えが非常にまずい。急がなければまずいかもしれないという状況であるということを、現場の意見としてお伝えしたいと思います。
小野部長
今、赤瀬さんからお話がありました、住宅街での銃器の使用につきましては、まさに、昨年、北海道東北知事会の中でも、秋田県も含めて、そこについて要望をしっかりしなければならないといったことで、環境省などにも知事が直接出向きまして、要望しているところでありまして、まずは指定鳥獣の追加については実現したところでございます。
まだ、なかなか直ちにといったところは難しいし、やはりさまざまな兼ね合いがあって、警察の関係、安全性の関係、一か零かといったところでは、前に進めることができない部分もあるかとは思いますけれども、今日、先ほど、澤里さんからも御意見を頂戴しておりますので、今の赤瀬さんのお話も含めて、頂いた意見をしっかりと文章にして、担当の部署とも共有をして、要望につなげられるかどうかも含めて、検討を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます
まだまだお話足りないところもあるかと思いますけれども、お時間の方が来てしまいました。誠に申し訳ございません。本日は、「いわて幸せ作戦会議in宮古」ということで、三陸の関係・交流人口拡大と地域課題解決へ向けた取組といったことで、4人の皆様から、さまざま実際の取組、そして御意見等を頂戴しました。限られた時間ではございましたけれども、ありがとうございました。
頂いた意見につきましては、しっかり持ち帰りまして、県としても検討して、対応をするものについてはしっかり対応するように努めてまいりたいと思います。
知事所感
小野部長
それでは最後に知事からお願いいたします。
達増知事
4人の方々、それぞれ専門性と経験に基づいて、非常に深く地域の中に入られて活動をしていて、初めて聞くような話とか、初めて見るようなこととかが、今日は非常に多くて、大いに参考になりました。
やはり、そのように深く堀下げれば、堀下げるほど価値や魅力が出てくる、岩手の、特に沿岸地方ということを改めて思いましたし、県としても、そのような価値や魅力がどんどん実を結ぶようにしていきたいと思いますし、またそれを制度とか法律的なことが妨げる課題になっているのであれば、そこはどんどん変えていきたいと思いますので、本日は誠にありがとうございました。
閉会
小野部長
皆様本日は貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、いただいた御意見につきましては、県の関係部局と共有して、今後の県の施策に活かしてまいります。
これをもちまして、県政懇談会を終了いたします。本当にありがとうございました。
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