「いわて幸せ作戦会議(in釜石)」(令和6年9月10日)

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ページ番号1078420  更新日 令和6年10月30日

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日時
令和6年9月10日(火曜日)10時30分から11時50分まで

場所
釜石地区合同庁舎 4階 大会議室

出席者
・参加者(敬称略)
 
小笠原 梓(co-ba kamaishi コミュニティマネージャー)
  横木 寛裕(釜石市地域おこし協力隊 観光地域づくりコーディネーター)
  東谷 いずみ(NPO法人カタリバ はま留学生生活支援員)
  大場 理幹(NPO法人おおつちのあそび 代表)

・県側
 達増 拓也 知事
 工藤 直樹 沿岸広域振興局長
 小野 博 政策企画部長

開会

小野部長
 それでは、ただいまから県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in釜石」を開催いたします。皆様には御多忙のところ御出席をいただきまして本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。
 本日は、「交流人口・関係人口の拡大を通じた新しい三陸の創造」を懇談のテーマといたしまして、釜石地域で様々な分野で地域の復興や振興に向けて取り組まれている皆様にお集まりをいただいております。
 私は本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部長の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

小野部長
 それでは開会にあたりまして、達増知事から御挨拶を申し上げます。

達増知事
 皆さんおはようございます。そして県議会議員の方々も、朝からありがとうございます。県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in釜石」ということで、県政懇談会は、知事が直接、県のいろんな地域、いろんな分野で活躍している人の話を聞いて、県政に役立てるということでやっておりますが、「いわて幸せ作戦会議」という名前になったのは、今の県の総合計画10年計画の基本目標が「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」というふうになっていまして、この県民の幸福を守り、増やそうという、そういう一環として取り組んでいるということで、幸せ作戦会議と銘打っております。
 この「交流人口・関係人口の拡大を通じた新しい三陸の創造」というテーマですが、去年から今年にかけまして、交流人口、関係人口で、地方と中央の関係を逆転させていくような、潮目のようなものが起きているというふうに感じています。去年、ニューヨークタイムズが盛岡市を選んで、この日本で、是非地方に注目せよということを発信してくれまして、それを受けてタモリステーションという番組が今年春頃放送されたんですけれど、ニューヨークタイムズの記事をなぞるような内容で、番組の最後でタモリさんが、日本の良さは地方にあるとバーンと言ってくれまして、良かったと思います。そして、今年、NHKがプロジェクトXを再開し、新プロジェクトXという名前でやっているのですが、島根県の海士町が取り上げられまして、隠岐の島の小規模高校を中心に、この人口減少からV字回復とまではいかないんですけれど、人口減少に歯止めをかけて、非常に魅力的な地域を作っているという。そして島根県海士町の例は、地方自治や地域振興に関わる人たちの間では、もう10年くらい前から広く知られていたのですけれども、お茶の間にその話が入ってきたというのは、新しいことでありまして、地方創生から今年で丸10年で、地方創生のきっかけになった地方消滅可能性自治体のデータというのが、また10年ぶりに公表されたのですけれども、10年前は、さあ大変だ人口が減ってるところはもう終わりだみたいな雰囲気が広がったのですが、今年はそういう統計に振り回されないで、ちゃんといいことをやっているところはあるじゃないかとか、地方の側がある程度自信を持っていて、人口が少ないけれども地域振興を成功させて、そして、人口減少に結果として歯止めがかかるような、そういうところもどんどんあるよというような情報がどんどん出てきておりまして、地方の逆襲が、去年から今年にかけて始まってきているなという感じがしております。そういうところの現場で、最前線で活動している皆さんの声を今日は直接伺い、岩手県政の参考にしながら、かつ、日本全体のこの地方の逆襲にもつなげていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 知事、ありがとうございました。

出席者紹介

小野部長
 それではこの後の進め方について簡単に御説明いたします。まず私からお一人ずつ御出席の皆様のお名前を御紹介いたしますので、続けて大体1分程度で、簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、今日のテーマに沿いまして、お話を皆様からいただきます。お一人ずつお話をいただいた都度知事がコメントするという形で、区切りながら進めていきたいというふうに思います。最後に自由懇談の時間も設けたいと思っておりますので、その際には是非、様々なお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。それでは私の方から、本日御出席の皆様を御紹介いたします。
 初めに、co-ba kamaishi(コーバカマイシ)コミュニティマネージャーの小笠原梓さんです。

小笠原 梓
 小笠原梓と申します。よろしくお願いします。肩書きはちょっといろいろあるんですけれども、今、御紹介いただきましたのは、釜石大観音の仲見世通りにあります、コワーキングスペースのco-ba kamaishi marudaiというところのコミュニティマネージャーをさせていただいております。あとは、後ほど紹介させていただきたいと思うんですけれども、その隣に今高校1年生の娘と、新しくお店をオープンさせようということで今準備中です。他のところはまた後ほど紹介したいと思います。よろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 続きまして、釜石市地域おこし協力隊の横木寛裕さんです。

横木 寛裕
 釜石市役所商工観光課で地域おこし協力隊として活動してる横木寛裕と申します。私は、新潟県新潟市出身で、高校まで新潟にいて、大学で首都圏の方に出ました。その後ですね、新卒で、釜石の方の温かさと、高校時代にラグビーをしていて、釜石市をその時に知って、親近感が湧いたなどのいろんな理由から新卒で移住して参りました。現在は釜石市のグルメである、うにしゃぶに関する活動とか、首都圏の大学生が今度釜石に来るということで、それに関する調整とかを行っております。本日はよろしくお願いいたします。

小野部長
 どうぞよろしくお願いいたします。
 続きましてNPO法人カタリバの東谷いずみさんです。 

東谷 いずみ
 認定NPO法人カタリバの東谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私はですね、今、大槌高校と大槌町、そしてカタリバが連携している大槌高校魅力化プロジェクトの柱の1つでもある全国募集の事業の方に携わっています。私自身大槌町大槌生まれで、高校まで大槌町で育ちました。その後は県外の方に行って、大学進学と社会人経験、計6年ぐらいですかね、経て、釜石市の方にほぼUターンという形で戻ってきて、当時行っていた起業型の地域おこし協力隊に着任して、ゲストハウス立ち上げの方をして参りました。御縁あってカタリバの取組に出会いまして、今は大槌町の方を拠点として活動しております。本日はよろしくお願いいたします。

小野部長
 よろしくお願いいたします。
 最後にNPO法人おおつちのあそび代表の大場理幹さんです。

大場 理幹
 NPO法人おおつちのあそびの大場理幹です。私は神戸市出身で、大学進学をきっかけに大槌町へ移住しました。大学進学がきっかけだったんですけど、その後MOMIJI(モミジ)の兼澤さんと出会って、修行というか、弟子入りするような形になってMOMIJIのジビエツーリズムの運営を手伝うようになったんですけど、その後、大槌に住んでる中で、猟友会だったりとか河川組合だったりとか、あと消防団なんかにも所属して、自然だったりいろんな魅力的な人や一次産業がある中で、もっと大槌町のいろんな楽しいことを発信していけるなと思いまして、個人事業主として、3年、4年ぐらい活動したんですけど、去年NPO法人おおつちのあそびを立ち上げまして、地元の漁師さんやハンターさん、あと農家さんと連携した自然や食の豊かさを体験できるツアープログラムを企画しております。よろしくお願いいたします。

小野部長
 どうぞよろしくお願いいたします。
 県からの出席は達増知事、それから沿岸広域振興局の工藤局長でございます。
 また、本日は、県議会議員の皆様にもお越しをいただいておりますので、御紹介申し上げます。
 釜石選挙区選出の岩崎友一議員でございます。

岩崎 友一議員
 よろしくお願いします。

小野部長
 続きまして、大久保隆規議員でございます。

大久保 隆規議員
 よろしくお願いいたします。

小野部長
 よろしくお願いいたします。

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
 交流人口・関係人口の拡大を通じた新しい三陸の創造

小野部長
 皆様のお手元にお菓子と飲み物を準備しておりますので、是非お召し上がりいただきながら懇談を進めていければというふうに思います。まず、工藤局長の方から、今日のお菓子、それから、懇談テーマについて御紹介をお願いいたします。

工藤局長
 それでは私の方から紹介させていただきます。
 最初にお配りしているお菓子についてでございますが、お手元に県政懇談会の茶菓の紹介という1枚ものの資料ありますので、こちらも御覧いただきながらお聞きいただければありがたいと思います。
 まず、おしゃちの梅、こちらでございますが、大槌町のおしゃっち、大槌町文化交流センターの向かいのチャリカフェさんで製造販売されているお菓子ということで、地域で昔から親しまれている「しょうじ団子」、この「しょうじ団子」というのは地域によって呼び方が違っていて、かま団子とかひゅうず団子とか呼ばれているそうですが、しょうじ団子を大槌町の御社地天満宮の梅をモチーフにかたどったお菓子ということでございます。どうぞ皆様お召し上がりいただきながら、お話をお聞きいただければと思いますが、中に黒砂糖、くるみ、味噌などの餡が入っていて、餡がこぼれやすくなっていますので、お気をつけてお召し上がりいただきたいと思います。
 なお、東日本大震災津波の前、町民の憩いの地域であった御社地の御社地天満宮は、大震災の津波で流出したものの、震災後、住民の皆さんが寄付を集めて再建されたと聞いております。御社地天満宮は、九州の太宰府天満宮から分霊された東北唯一の直系の天満宮ということで、太宰府天満宮から梅の苗木を譲り受けた白梅、紅梅が植えられていて、このお菓子は天満宮の参拝者に地域に伝わるしょうじ団子を味わってもらいたいという思いで作られたということでございます。それから、梅しゅサイダーでございます。釜石市の酒造会社浜千鳥の梅酒は、釜石、大槌産の梅を使用した梅酒として人気ですが、このサイダーは、その浜千鳥の梅酒の製造過程で使われた梅の実、取り出された梅の実のエキスで作られたご当地サイダーでございます。梅酒を作った後の梅の実は、従来廃棄されていてその活用が課題であったところ、その梅を活用したサイダーということで、今年4月から発売されております。製造過程でアルコール分は飛ばされていて、この梅しゅサイダーの下に、小さくこれは酒ではありませんと書いてありますが、お子様にも安心してお飲みいただけるということでございます。釜石市のシープラザ釜石などで販売されております。日本酒の香り、梅の風味とサイダーの清涼感をお楽しみいただけるものと思います。そういうことで、お召し上がりいただきながら、テーマについてお聞きいただければと思います。
 続きまして、本日の懇談のテーマでございますが、「交流人口・関係人口の拡大を通じた新しい三陸の創造」とさせていただきました。県では、いわて県民計画(2019~2028)の第2期復興推進プランで参画、交流、連携の三つを重視する視点として、多様な主体との繋がりを強めながら、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指すこととしております。どうぞ召し上がったり、飲んでいただきながら、リラックスして聞いていただければと思います。そして、いわて県民計画の第2期政策推進プランというプランでは、重点事項の自然減社会減対策の柱の一つとして、岩手とのつながりの維持強化として、交流人口、関係人口の拡大に取り組むこととしております。そうした中、釜石、大槌地域では、NPO法人や地域おこし協力隊の皆さんなど、各方面の皆さんが地域資源を活かして、交流人口や関係人口の拡大に向けた取組を活発に展開されているというところでございます。今回の県政懇談会では、そうした取組をされている皆様から、現在の取組や今後の展開、取り組まれている中での課題など、交流人口・関係人口の拡大を通じた新しい三陸の創造に向けた様々なお話や、御意見、御提言をいただけるとありがたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 工藤局長、ありがとうございました。それでは早速ですが、懇談の方に入らせていただきます。
 ここからは今、工藤局長の方からも御説明ありました、今日のテーマ「交流人口・関係人口の拡大を通じた新しい三陸の創造」このテーマに沿いまして皆様の今の取組や課題、今後の方向、県への要望なども含めて様々お話をいただきたいと思います。それでは早速でございますけれども、先ほどと同じ順番で、まずは小笠原さんの方からお一人、大体5分程度でお話をお願いいたします。それではお願いいたします。

小笠原 梓
 現在取り組んでいることとして、co-ba kamaishi marudaiのコミュニティマネージャーを今年の6月からさせていただいております。co-baのオーナーが宮崎と申しまして、もともと三重出身の方なんですけれども、震災をきっかけに釜石の方に移住されまして、震災復興のために活動されております。今は2拠点で、地元の三重と釜石とを行ったり来たりしながら活動しつつ、釜石を盛り上げるために日々活動しているところです。co-ba kamaishi marudaiがある釜石大観音の仲見世通りというところなんですけれども、こちら行って見ていただけるとわかるんですけれども、すごい今は人通りが少なくて、土日も、観光客の方もちらほらというところです。昔はものすごいにぎわっていて、毎週のように観光バスが来て通りもにぎわっていて、最盛期にはお店が20店舗ぐらいあったっていうことなんですけれども、現在は宮崎がオーナーしておりますこのco-ba kamaishi marudaiと、その隣のLIFULL FaM(ライフルファム)というお母さん方がネットでお仕事できるような施設があるんですけれども、そこの2店舗のみになっておりまして、どうにかそこのにぎわいを創出できればいいなというふうに考えています。宮崎が代表しております仲見世リノベーションプロジェクトという団体もあって、そこでは定期的にイベントをしておりまして、最初はそこの仲見世通りのリノベーションからスタートしまして、今は11月にマルシェを企画して定期的に人が集まってくれるように考えていますが、なかなかちょっと難しくて地元の人も、あそこでお店やるんだよみたいな話をすると、「なんであそこで?」みたいな、「もうあそこじゃ無理じゃない?」みたいな話を正直結構されるんですけれども、仲見世通りの街並みっていうのはすごく雰囲気が良くて、商業高校が近いので、高校生が集まってくれたりとか、あと、ふらふらっとこう遊んできてくれるような場所にはなり得るんじゃないかなと、私も宮崎も考えておりまして、いろいろ試行錯誤して動いています。そのco-ba kamaishi marudaiの隣に、実は私と私の高校1年生の娘なんですけれども、二人でお店をオープンさせようとしておりまして、それも、今、クラウドファンディングに挑戦中なんですけれども、そちらが上手く進むといいなというふうに思っています。そこでは、私が古着だとか、あと自分がデザインとかもしているので、自分のデザインしたグッズだとかの販売で、娘の方が、レンタルスペースを開こうとしています。レンタルスペースを使って、例えば高校生がダンスの練習をしたいよだとか、あと小さなマルシェを行いたいよとか、いろんな人が挑戦しやすい環境をつくれたらいいなというふうに考えています。仲見世でやりたいのはそういうところで、挑戦しやすい場所、人が集まりやすい場所っていうのを、これから作っていきたいなというふうに考えています。あと別の、今やっているのが、私、釜石こども園の子育て支援センターのバンビールームというところの支援員。あとこれ(参加者配布資料)に書いてなかったんですけれども、放課後子供教室という、週1回、小学校の子供たちと、スタッフで居場所を作るような活動もしております。あと、co-ba kamaishi marudaiの中で、ho-caというイベント、企画というのを立ち上げておりまして、毎週火曜日なんですけれども、商工生(釜石商工高等学校の生徒)の子どもたちが、ここ自体はコワーキングスペースなんですけれども、高校生が自由に使える時間というのを設けまして、起業者とかだけでなく、高校生が集まりやすい場所をつくれたらいいなというふうに思っています。小さい子どもの子育て支援っていうのは、結構恵まれてるかなあというふうに今いて感じているところなんですけれども、中高生の居場所づくりだとか、守ってあげる環境っていうのが、私が見ててまだちょっと、足りないかなというか、もう少し何かできることがあるんじゃないかなというふうに思っているので、私自身もできることがあると思いますし、県としても何かこう、そういうちょっと大きい子どもたちを守ってあげるだとか支えてあげる、サポートしてあげるような環境が作れたらいいのかなというふうに思っています。挑戦できやすい環境が、釜石でできればいいなというふうに思ってます。以上です。ありがとうございます。

小野部長
 はい。ありがとうございます。それでは、今、小笠原さんからお話いただきました人が集まる場所、挑戦できる場所といったことで、仲見世通りを中心に取組を展開されているといったことですけども、知事の方からお願いいたします。

達増知事
 私の子どもの頃、釜石大観音はやはり観光の目玉で、釜石の観光だけではなく岩手沿岸の観光の中でもすごく目玉で、私は盛岡に生まれ育っていますけど、家族で釜石大観音に行った記憶があります。そこを今、より生活密着型、地域密着型のお店とか、レンタルスペース、コワーキングスペースということで活用しようというアイディアは非常に良いんじゃないかと思いますね。
 また、釜石商工(高校)が近くにあるということで、その高校生の力をまた活かしていただくというのもすごく良いんだと思います。より商業とかを工業とか実践的な授業とかやっている生徒たちなので、そういう場がその力を発揮できる場や力試しができる場が、近くにあるっていうのは非常にいいと思いますね。
 また、やはり、今日大槌高校の方のはま留学支援、運営をしてもらってる東谷さんにも来ていただいているわけですが、高校生パワーというのはやはり地方にとって地域振興のものすごい力になりますので、そういう可能性もあるんじゃないかなということを期待いたします。ありがとうございます。

小野部長
 はい。ありがとうございました。
 私も小学校の時の修学旅行は釜石大観音でしたが、今でも家に大観音の白いレプリカがあります。
 続きましてそれでは、お二人目、横木さんからお願いいたします。

横木 寛裕
 私からはですね、今回のテーマである「交流人口・関係人口の拡大」というところについて、大学生のインターンとかフィールドワークといった、そういった観点から、実体験を含めてお話させていただければなと思います。私の業務ですね、先ほどもお話したように首都圏から今度大学生が大体25人ぐらい来るんですけれども、学生たちの釜石市内での行動の調整というか、そういうところをやっておりまして、これはですね、釜石市の政策の1つであるオープン・フィールド・カレッジというものの一環というところもありまして、オープン・フィールド・カレッジっていうのはこの釜石市全体を大学のキャンパスのように見立てて、学びの場として開放するというような政策になっております。やっぱり大学生が街に来るっていうところで、宿泊とか、あと飲食とか、あと交通、おみやげなど、経済の活性化っていうところでいい点っていうのもありますし、関係人口・交流人口の増加、あとは、街に若い人が歩いているだけで、「あれ今日何かあるのかな」って感じで活気が出てくると思うんですよね。今お話した交流人口、関係人口の増加っていうところで、私の実体験で意見をお話させていただくと、私が学生のときですね、石川県の能登町に関する活動を行っておりまして、研修とか、あとサークルというかそういった団体に所属していて、5、6回能登町を在学中に訪問していました。訪問する前まで能登町自体は全然知らなかったんですけど、5、6回も行ってるうちに愛着が湧いてきて、あそこのジェラート屋さんおいしいよとか、寒ぶり祭りっていうのがあるんだよっていうことを周りにどんどんしゃべるようになってきています。現在も第2の故郷っていうとちょっと大袈裟ですけど、心が落ち着く場所っていう場所になって今も地酒を取り寄せたり、今度は旅行に行く計画をしたり、今も自分は能登町の関係人口になってると思うんですけど、こういうことを考えたときに、学生時代に関わってたってことがすごく大きいなというふうに思いまして、社会人に比べて、感受性が豊かで縛られるものがないっていうのが大きいかなと思いました。私はもともと都会志向だったんですけど、高校のときは東京行きたい東京行きたいっていう感じで、実際に能登町とか地方行ってみると、地方魅力的だな、何かまだまだ地方やれるなと思って、結果的には釜石に移住したんですけど、それまで能登町を検討したりしていて。こういったことからですね、大学生、現在、岩手県に限って、ホームページとかで調べるとインターンに関する補助金っていうのが見つけられたんですけど、ゼミ活動とかそういうフィールドワークに関するものっていうのが、県全体でやってるものっていうのが見当たらなかったので、私としては大学とか、そういう若いときに来てもらうっていうのは、交流人口として普通の社会人の方より1個何か違う影響があるんじゃないかなというふうに思いました。今度、首都圏から来る学生はですね、釜石祭りへの参加と、あと市内の企業でのインターンとか研修っていうことを予定しているんですけれども、10月中旬に来訪予定で、その学生たちにですね、釜石に来てよかったとか、関わり続けたい、あわよくば移住したいと思ってもらえるようにこれから調整頑張っていければなと思います。一応私からお話したいことは、以上です。ありがとうございました。

小野部長
 ありがとうございました。
 今、横木さんから感受性が豊かで縛られるものがない学生、その時に地域を知ってもらうことの重要性、非常にこれは大きなポイントかなというふうに思いますが、知事の方からお願いいたします。

達増知事
 企業インターンと釜石祭り両方で期間はどのくらいの期間になるんですか。

横木 寛裕
 
二組に分かれてきまして、長い方の組が3泊4日で、短い方が2泊3日になっています。

達増知事
 大学生力というものも、この地域振興には大事で、大学があればそこに常にいるわけですけども、大学がない地域の場合、時々来てもらうという仕掛けを作らなければならないのですが、そういう仕掛けを作ってもらって非常にありがたいと思います。御自身が能登町に学生時代に行って、もう関係人口になっているという実感があるということ。そういうものだと思うんですね。大学生に、広く岩手に来てもらうような企画を増やしていければいいと思います。それを支援するスキームがないということで、なるほど、企業インターンについてはいろいろあるのは、そうなんですけれども、そうでない形は、多分やっているところはあちこちにあるけれども、やり方とか、内容とかが結構千差万別なので、行政がそこに統一的に対応している形になっていない、少なくとも県としてはなっていないという状況だと思うのですが、そういう大学生交流人口化、関係人口化的な実態を調べながら、また、どういう方向に発展させていけばいいかということは、県としても考えていきたいなというふうに感じました。是非、今度のオープン・フィールド・カレッジが成功することを期待します。ありがとうございます。

小野部長
 それでは続きまして東谷さんの方からお願いいたします。

東谷 いずみ
 よろしくお願いします。私からは、現在の取組とその中で感じることをお話しする前に、まず前提のお話なんですけれども、大槌高校は震災前100名以上の新入生がいて、私も大槌高校出身なので120人ぐらいいたかなと思うんですけど、ただそれが2019年度には42名まで減少して、町内唯一ある高校の存続が危ぶまれたっていうのが背景としてあります。
 その中でスタートしたのが大槌高校魅力化プロジェクトっていうものでして、選ばれる高校を目指した改革として先ほど話した町と高校、そしてカタリバが連携してプロジェクトを推進してきました。そのプロジェクトの柱の一つとなってるのが、全国募集の事業となっております。これは2020年度に募集をスタートしまして、大槌高校では、はま留学という名前で呼んでおります。翌年の2021年度に、埼玉から一人留学しまして、その子が今年の春に卒業ということで、はま留学生として初めての卒業生を送り出すことができました。この魅力化プロジェクトをスタートして丸5年なんですけれども、入学者数は60名程度で向上して着実に成果が生まれているっていうような状況です。現在はま留学生は、1から3年生合わせて9名となっておりまして、下宿生活を送りながら大槌高校に通っております。大槌町は寮がないので9名が一緒の場所に生活はしていなくて、町内の民宿に下宿というパターンと、あと、一般のご家庭に受け入れていただく個人宅下宿のこの2パターンで運営をしているというような状況です。ちょっと前段が長くなったんですけど、実際どういう具体的な受け入れをしてるかっていうと、主には二つありまして、一つが生活支援っていうところと、もう一つは地域への接続のところを私は主に担当しております。ちょっと生活支援の方は今回割愛させていただくんですけど、地域への接続の部分でいうと、生徒から地域でこんなことをしてみたいっていう声をもとに、地域との接点づくりを行っています。あともう一つは、はま親制度っていうのをやっておりまして、島親とか名前を聞いたことあるかなと思うんですけど、それを大槌町では、はま親という名前で、はま親制度っていう名前でやっております。これは生徒が安心して暮らしたり、あとは地域でチャレンジする幅を広げることのできるように、個人家庭とか、あと団体にはま親になっていただいて、交流機会を設けていただいております。そうした中で着実に成果も見られるようになってきまして、地元の生徒と地域に変化が見られてくるようになりました。具体的に言うと、例えば、今まで地域活動に関わってこなかった、参加してこなかった地元の生徒が、はま留学生が外にいきいきと活動して出ていく姿を見て、一緒に地域に足を運んで活動するようになったっていうような事例もあったりします。イベントによっては、初めは、はま留学生の数人が参加するようなイベントが、今年20人ぐらい、地元生含めて20人ぐらいイベントのお手伝いで参加するっていうような形も見られています。というように、地域へ出るっていうハードルがもともとあったと思うんですけど、はま留学生をきっかけに、クリアになっているんじゃないのかなというふうに思っております。もう一つがそういう地域に高校生が出て、その姿を地域の人が見ることで、その姿に元気をもらったりとか、ちょっと私たちもやんなきゃいけないよねっていうような大人の刺激にもなっているかなというふうに思ってて、今年4月にあったお花見企画では、高校生がいなかったらこのイベント成り立たなかったよねっていうような、自治会の会長さんからお話をいただいてるようなこともあったりしました。
 あとは、外から来た人だからこそ、町内のその街の良さに気づくみたいなところもあるかなと思います。例えば、海好き、釣り好きの生徒がいまして、大槌暮らしを始めて数か月たった頃に、海のある地域だけど意外と魚を知らない人が多いよねっていう話をしてまして、その子が釣りをしているときに隣で親子連れがいたらしくて、その親子が浮いてるふぐを見て、あれメダカじゃないかって言う話を言っていたと。その子はメダカじゃないメダカじゃないと心の中で思っていたらしいんですけど、そういった何か気づきや疑問があったらしくて、こんなに自然が豊かでいいところなのに、意外と知らないってのはもったいないよねっていうので、この自然をいかした水族館を作りたいっていう話を生徒から話があって、今日来ていただいてるんですけど、大場さんのおおつちのあそび、団体さんにちょっと協力をいただいて、つなぎをさせていただいて、6月ぐらいからその水族館プロジェクトがスタートしたというような形で、あとはもう地域にお任せをしているんですけれども、夏ぐらいにプレオープンして、今では、放課後に地域の子どもがそこに遊びに来るなんていうような声も聞いております。生徒自身もそうやって地域に出ることで、生徒自身の成長もありますし、あとはさっき言ったように、地域への変化、地域の人たちも元気をもらって活発になるっていうところもあるなと思っているので私自身は、はま留学事業が生徒にとっても地域にとってもよりよいものになって欲しいなというふうには感じておりますし、それはなかなか学校だけでは、動きが作りづらいので、やっぱりつなぐ立場の人がいることが結構大事なんじゃないのかなというふうには思っております。ちょっと長くなりそうなので、一旦ここで、切らせていただきます。

小野部長
 ありがとうございました。ただでさえ、全く知らない地域に来た生徒さん、その生徒さん方が地域で活躍をして地域の人たちの意識を変えていくっていう、非常になんていうかすごい取組だなというふうに思います。知事の方からお願いいたします。

達増知事
 はい。ありがとうございます。はま留学は9人にまで増えているということで大変素晴らしいと思います。人口の少ないところは、この方向も、学年、学級数も、2とか、また1とかになったりし、文部科学省の基準からすると2以上じゃなければ駄目とかということではあるんですけれども、でもこの額面のこの学級数が2そして1とかになってくると、かなり地域を挙げて魅力化に取り組もうという機運が高まり、岩手県もあちこちで、この小規模高校の魅力化の特徴的な取組が、葛巻とか西和賀とか住田とかでも出てきていて、それぞれ、やはり県外から生徒を受け入れるということが魅力化を軌道に乗せることとの相乗効果といいますか、魅力化の中の重要な部分を留学ということが占めてるなという感じがします。これはどんどん岩手において、成功させたい、発展させたいと私も思っておりまして、大槌高校の取組にも注目しております。もともと復興研究会でしたか、そういう取組もあったり、またカタリバの震災直後からのいろんな活動もあって、高校生パワーを潜在的な力を発揮していくような機運はじわじわ高まっていたんだと思うんですけれども、はま留学ということと合わさって、より高校パワーが引き出されているんじゃないかなと思います。それがもう地域振興の大きな力にもなっているということで、それが好循環になって、地域の側も高校生を守り育てながら高校生のパワーも借りて、地域振興を進めようと。そのシンボリックなのが水族館プロジェクト、これは私もうっかりして、よく知らなかったのですけれども、地元ならではの、実際魚がいて魚がとれるところならではの企画だと思いますし、そういう対外的に知られざる良さ、またそれをそこに住んでいる人たちもよく知らない良さというのをどんどん発掘して磨いて、お互いまず自分たちのものにしながら対外的にも発信していくということができていくと、大体、日本の地方、地域というのは、決して悪いようにはならないと思うんですね。特に岩手県の場合は、特に沿岸地方は、もともと国立公園で風光明媚で、水産資源にも恵まれていて、そして、そういうのを背景に文化伝統も豊かというところがありますので、それを活かしながら、いろんな新しい取組も組み合わせていくと非常にいいんじゃないかと思っております。期待しています。ありがとうございます。

小野部長
 それでは、4人目になります。先ほどの東谷さんのお話の中でも既に連携の話が出ておりました。大場さんの方からお願いいたします。

大場 理幹 
 よろしくお願いします。私は、ジビエツーリズムをMOMIJIさんとグリーンツーリズムをきっかけに、大槌サーモンを釣る体験だったり、他ではちょっとできないプログラムの企画やガイドをしております。さっき東谷さんの方から、お話があったように、僕も観光プログラムを運営していく中で、その地域の人たちにもこれ知って欲しいなみたいなものがすごくたくさん出てきていまして、高校生からも要望があがったりだとか、地域の小学校からも地元の魚に触れるような場所を作って欲しいっていうのがあったので、僕は本当に場を用意してプロジェクトを始めただけで、あとは高校生が基本的には自発的に魚を取りに行ってくれて、小学生と交流するような場所の運営なんかもしております。
 僕は、今日多分観光事業者として、ここでお話させてもらえたらいいのかなと思っているんですけれども、関係交流人口における観光事業の重要性っていうところについてで、少しお話したくて、やっぱりジビエだったりとかサーモンみたいな、すごく特色のあるかけがえのない体験だったりとか、あとは(MOMIJIの)兼澤さんだったりとかいろんな地域の人の温かさに触れた観光客の皆さんというのは、この夏休みに来て、次の夏休みも行こう、その次の夏休みもまた来るねだったりとか、複数回来てくれたりとか、あとはふるさと納税もやっぱ大槌でしてくれたりとかですね、やっぱすごく、本当にちゃんと長く関係交流人口として、関わってくれるんですね。それだけじゃなくて、昨年度はサントリーさんの企業研修でジビエのツーリズムに来てくれたりだとか、今年は台湾からのインバウンドの富裕層の台湾人が三陸まで来てくれる。これまで台湾人の旅行者は、内陸にはすごく多かったんですけど、三陸はほとんど来てなかったんですね。それは台湾の方が、岩手県に求めてくるものは雪と温泉だったんですね。なので来てなかったんですけど、ジビエだったりサーモンだったり、やっぱ特色のあるプログラムがあると三陸まで来てくれるというすごく感触で、また来たいというお話だったんですね。やっぱり三陸沿岸、今、大槌町だけじゃなくて釜石だったり山田だったり田野畑だったり、いろんな地域でその特色のある魅力的なプログラムをたくさん作ってはいるんです。ただやっぱり、アクセスが悪いんですね。それは、花巻空港からも遠いし、公共交通機関で行こうと思うとすごく難しい。外国人観光客からすると、レンタカーを借りるのもハードルが高いですね。やっぱ動線がちょっと悪いところがあって道路は通ってるんですけど、そこを何とかやっぱり人を引っ張ってこれるようなルートづくりっていうのをしていきたいなと思っていてですね。それはやっぱり大槌町だけじゃなくて大槌まで来る途中である遠野だったりとか、宮古だったりとかのところと連携してルートを作っていく必要が、観光のルートを作っていく必要があると思うんですね。もちろん実際来てくれたお客さんも、この近くだと他には何ができるんですかっていう当然視点で来られる。僕らが旅行するときもそれはやっぱり、ここ行って、ここ行ってってそのルートを考えていく。それってのはすごく、市町村単位だとやりづらい事業になるんですね。大槌町の観光予算は大槌町の観光のために使うものであって、その他市町村と連携してルートを作るようなことってのはすごくしづらいんです。私の要望としてはそこを、県の方で観光のルートを作ってまとめていくような、観光事業っていうのをやっていただきたいなと思っています。余談ではないんですけど、僕ちょっと調べたら、観光経済新聞による2023年度の県別の観光予算ってのはですね、岩手県が最下位だったんですね。いろんな算出の仕方があるとは思うんですけれども、なんかツーリズムEXPOっていう、昨年度ジビエツーリズムだったり、あと釜石DMCさんがツーリズムの大きいアワードを受賞したんですけど、エキスポに行っていろんな都道府県がブースを出すんですね。秋田県とかここよりも広いようなブースを出していて、その中に何々町、何々町、何々町ってなってて、何々町だったらこれができます、何々町だとこれができますっていうのが並んでいてですね、そこを旅行会社が回って、ここだと何ができるんだろう、ここだと何ができるんだろうだったんですけど、岩手県で出ていたのは、僕は三陸DMOさんの一部で出させていただいたのと、あと洋野町さんが出ていただけ。他の多くの都道府県と比べても岩手県のブースってのはすごく小さくて、正直迫力がないっていうか、何かあんまり出すものがないのかなって思われちゃうような感じだったんですね。そういう、せっかく魅力あるプログラムがいろんな市町村間でそろっていてもそれをちゃんと外に売り出すっていう、それはやっぱ多分都道府県として売り出すっていうことの必要性を、そこに行ってすごく感じました。なので、県として外へしっかり売り出していくような商談会だったりとか、エクスポへ参加いただいたりとかっていうところにつなげていかないと、どれだけそれぞれの市町村とか観光事業者が頑張っても、生み出せる関係交流人口には限界があるのかなというふうに感じております。私から以上になります。
 

小野部長
 ありがとうございました。
 大場さんの方からは、一つには広域でのルートづくりといった市町村を跨いだルートづくり、そして広域での情報、これを全国にもっと積極的に出していくことが重要だというお話をいただきました。知事の方からお願いいたします。

達増知事
 ジビエツーリズム、大槌サーモンのツーリズムとか、特に最近どんどん出てきている、かつ、いい方向に伸びそうなものをさらに広めてもらっていて非常にありがたいと思います。ジビエツーリズムなどは、日本全体可能性があるんですけど、MOMIJIは、もう本当正面から真面目に、しかも全力で取り組むことで、ジビエツーリズムの可能性を最大限引き出すような感じでやっていて、それを県としても応援していきたいなと思います。そして、市町村ごととか、地域ごとに魅力あるそういう素材もあれば、プログラムもあるけれどもアクセスが悪いというのは、もう本当そのとおりだと思います。なぜ、この今、人口の少ないところが人口が少ないのかというと、やっぱりアクセスの悪さというのが根本的にあり、それのせいでアクセスのいいところにやっぱり人が住み人が集まるという傾向があって、そこからどんどん来てもらえばいいし、さらにはその良さで移住定住にまで来てくれれば、さらにいいということだと思うので、2次交通ですよね。空港とか新幹線駅とかからどうさらに来るかということについては、永遠のテーマなんですけれども、やはりそこが決定的に重要だなというのを、やはり最近感じますので、もうそれ以外には地域にはあまり問題はないみたいになっていて、地域資源の豊かさやそれを活用しようとする人についても、おかげさまで大場さんのような方もいて、MOMIJIの兼澤さんのような人もいて、人材についてはかなり充実してきているなんていうところもあるので、交通についてやっぱり、もう一歩踏み込んだ手を打たなければと、今日改めて思いますね。今、思いつきなんですけれど、盛岡市内を「でんでんむし」という、中心市街地の主な観光スポットとか商業スポットをグルグル回るバスがあるんですけれど、あれの県内広域版みたいな、盛岡から例えば宮古に来て沿岸をずーっと降りてきて、遠野からか一関からまた内陸に戻る、なんか常にグルグル回っていて、ぶらっといって利用できるようなそういう交通機関があれば、大槌にもそれを使えばいつでも誰でも簡単に時間はちょっとかかるけど行けるとかという、なんかそういう仕掛けも検討したほうがいいような、今、岩手の状況になっていると思います。民間事業者さんたちというのは、盛岡とか花巻とか、そういう中心的なところと、そこから見た地方を往復するような放射線状の交通路、通勤通学とかはそういうニーズが多いですからね。周遊するような類の路線バスというのは、基本的にほとんどないし、鉄道でもなかなか周遊に向いたような路線というのはあまりなくて、中央と地方、これは日本全体でいうと東京と地方だし、そして地方ごとにその地方の中心と地方の、さらに地方の周辺地域をそういう放射線状交通というのが基本ではあるんですが、そうじゃないような仕掛けを作るということをちょっと検討していきましょう。
 あと、岩手の宣伝。例えば旅行博については今まで力を入れてなかったなと。台湾での旅行博とか、海外で、香港でも東北として行ってやって、県単位では台湾ぐらいだったんですけど、コロナ後、県としてもあまり行ってない感じもしますが、去年はニューヨークタイムズ効果もあって、結構観光庁の予算を8,000万円ぐらいもらって、盛岡でわんこそば国際大会をやったり、あと世界遺産のある平泉や釜石、そして、御所野遺跡でわんこそばをやるみたいな企画をやったりして、そういうところと、あとJRと一緒にやる観光キャンペーンに予算を使っているというところがあるんですよね。ある程度ターゲットを絞った感じの発信をしていたというところがあるのですが、不特定多数向きとかは、あと旅行業界というところに広く宣伝するというのは、あんまり力を入れてなかったところはあり、そこはちょっとまた検討したいと思います。ありがとうございました。

小野部長
 皆様から様々、お考えそして御意見等もいただいております。こうしたものにつきましては、今日のお話の内容をしっかりまとめて県に持ち帰りまして関係部局にもしっかり伝えて、県政に活かしていくように今後やっていきたいというふうに思います。一巡いたしました。まだ20分ぐらいお時間ございます。一巡目、皆さん言い足りなかったのではないかというふうに思いますので、是非ここからは自由懇談の時間でございますけれども、もう少しこの点を是非知事と話したいというようなところがございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。では、東谷さん、お願いします。

東谷 いずみ
 今回、交流、関係人口がテーマなので、その側面でお伝えしたいなというところは、はま留学事業では、地域とありながら、その中で3年間、濃厚な3年間を過ごすことになります。そういう経験を経て今年3月に育っていった1期生なんですけど、その卒業式の翌日に行われた地域送別会っていうのがありまして、そこでの最後、彼女が話していたのを是非紹介したいんですけど、最初大槌に来て本当に変われるかなあと、私変わったのかなと思っていたけど、でも自分で企画したイベントに地域の人が協力してくれたりとか、あと送別会にもこんなにたくさんの人が来てくれたりとかで、自分は本当に愛されているなと感じたっていうことを話していました。第2の地元としてまた帰ってきたいっていうことを、最後、涙ながらに話していたのは私はすごく印象的で、そういう言葉を聞くと、やっぱり地域の方に温かく触れながら、触れ合いながら育ってきた生徒たちはきっと、卒業後も関係人口、交流人口として大槌に関わってくれるんじゃないかなというふうに思っています。その卒業した生徒は大学に進学したんですけど、ちょうど今大学の休みに入ってまして、休みを利用して大槌に遊びに来ています。大槌で過ごした中で、その留学生同士で企画したバーベキュー企画があるんですけど、それが非常にいい思い出になったらしくて、それを今度は自分が今いる生徒たちにサプライズで企画してあげたいっていう話を地域の方に相談して、今日の夜にその会があるので私も楽しみにしているんですけれども、こういったように、事業が始まって卒業生を送り出し、まだ1人ではあるんですけど今後もこういう形で、交流関係人口のところで期待できるんじゃないのかなというふうには思っております。はい。以上です。

小野部長
 ありがとうございます。今日のテーマ、交流人口、関係人口ですけれども、先ほど横木さんもお話いただきましたけれど、やはり感受性が豊かな子ども、あるいは学生さん、生徒さんのときに是非地域に来てもらって、そこでその地域の人と一緒になって様々な体験していただくことで、それはただの観光にとどまらないといった思い出が、あるいは経験が身についていくんだというようなことが皆さん共通のお話ではないかというふうに思っておりますけれども、ここまでの皆さんのお話など聞いていかがでしょうか。その他、では、横木さん、よろしくお願いいたします。

横木 寛裕
 はい。すごい私事の話にはなるんですけれども、今、一応交際相手と同棲していて、釜石で結婚して、子育てして定住するかみたいな話をするときがあるんですけど、何かどうしてもやっぱり実家が遠いってのもあることあるんですけど、やっぱり釜石とか岩手で永住するっていう話にはあんまりならなくて、それの理由っていうか大きいところが子育てとか、あと今後への不安っていうところがあって、小中学校は公立だとそれほど変わらないと思うんですけど、高校の教育に対するところへの不安というか選択肢がやっぱどうしても狭まるっていうところがあると思っていて、そこの高校ってやっぱりその市町村っていうところでも、ある程度経営するところであると思うんですけど、県立のところなので県の取組いろいろやられてるのは重々承知ではあるんですけれども、やっぱりもうちょっと選択肢っていうところ、釜石だったら釜石の高校だけじゃなくて、大槌とかいろんな高校を比べて考えられるようなことがあればいいのかなと思って。ごめんなさい。そこでちょっとやっぱり通学とかが課題になってくると思っていて、やっぱり電車とかバスが止まると親が送っていっていうところで、そこで、そこについて何か学校単位で取組をしてもらえると、通いやすくなるのかなというふうに思いました。そうですね。まとまってないんですけど。以上です。

小野部長
 はい。岩手で子どもを育てる上で特に高校での教育といったことについて、様々選択肢を広げたり、あるいは通学の問題であったりするところが、広大な岩手の中で人口密度はある程度低いのですけれども、その中に様々な地域があり、高校もあると。そういう中での学びといったところについて、もっと様々な選択ができるような形があれば、もっと岩手で子どもを育てたいという気持ちになるんじゃないかというお話をいただきました。これにつきましては、非常にこれまでも重要な課題ではありましたし、これからも取り組んでいかなければならないことだというふうに思っております。ありがとうございました。その他いかがでしょうか。では、小笠原さんからお願いいたします。

小笠原 梓
 皆さんのお話を伺っていて、交流人口、関係人口の拡大っていうことで、よそから来てもらうっていうことももちろん大事かなと思うんですけれども、その地元の人を大事にするっていうことも大事なんじゃないかなあと思っていて。私自身、釜石生まれ、釜石育ちで、釜石出たことなくて、よそから、それこそ復興支援とかで来てくださった方たちに、「何で釜石に来たの」って、田舎がいろんなところがある中で、どうして釜石選んだのってお客さんに言ったときに、結構、人がいいって言ってくれる方とかがいらっしゃって、なんかこう、地元の人が地元の魅力に気づいてないかとか、あと何かこう自信が持ててないみたいなところがあるんじゃないかなって思っていて、そこがもし、何かっていうか、そこをもっといいとこだよって、本人たちが気づいていくと、発信力っていうのもアップしていくのかなっていう。自分たち自身がいいところだからおいでよみたいな感じで言っていくことで、地元も輝いてきて、結果的に交流人口、関係人口っていうのが拡大していくんじゃないかなというふうに思っているので、大人だけじゃなくて、子どものうちから、いろんな大人とお話したりとかしながら、魅力ある地域づくりっていうのが各市町村でできるといいのかなというふうに思いました。

小野部長
 ありがとうございます。先ほどの東谷さんの話でも、留学している子どもたちが頑張っていろいろな活動をしていく中、それを見ている地元の生徒さんがそこにつられて一緒になって活動が広がっていくという話もありました。やはり、ある意味気づきというのは外から得ることによって、そこに地域の人たちも気づいていくということもあるのかなというふうに思っていました。昨日の(NHKの鶴瓶さんの)テレビ番組で、岩手の人の良さというのが出演されている皆さんからも言われておりましたけれども、そういったことを「いいんだよね」でとどめるんじゃなくて、それを次にといったところ、ありがとうございます。大場さんいかがでしょうか。

大場 理幹
 そうですね、そこに関わるところだと、やっぱり地元の人たち、結構漁師さんだったりとか含めて、照れ屋の方が多いなという印象が三陸の人たちはあるんですけど、でもやっぱり、ここが良い所として、何回もお客さんを連れていくと、当然おしゃべりも上手になるだけじゃなくてですね、自分たちの地域はこんなによそから人が来てくれる魅力的な場所なんだっていうのがどんどんわかってきて、どんどんまたこうおしゃべりになっていくというか、それを自分だけじゃなくて、家族だったりとか、その会社の方だったりとかとも共有してくれていてですね。その観光客が来て楽しんで帰ってもらうってのは、その観光客が楽しむだけじゃなくて地元の人も楽しめる、こういうwinwinな関係になってるなというのをすごく感じるので、そういう関係交流人口がたくさん増えるといいなと思います。

小野部長
 
ありがとうございます。皆さんからまたお話をいただきましたけども、いかがですか。まだ時間が若干ございますけれども。
 今お話をいただいている中で、やはり地域の人たち、人の良さっていうのはあるけれども、なかなかシャイなところが多いと。それを外に出せないといった中で、まさに今日お集まりの皆さんがそこをいい意味でかきまぜていただいて、そこから地域の人たちが気づきを得て、それによって、地域の人たちも自分たちで参加したり外に対して様々な発信をしていくといったことがあるかと思います。
 県といたしましても、その中で様々御意見を頂戴いたしました。例えば、横木さんからは、ゼミ活動であったりフィールドワークであったり、インターンシップに限らない、学生さん方の様々な活動に対しても何か支援といったことはできないだろうかといった御意見もいただきました。
 また、小笠原さんからは、人が集まれば挑戦できる場所といったことで、様々そういった空き家と言ってしまうとあれですけども、仲見世通り、ここを頑張って様々なそういった場づくりをされていると。こういったところにも行政としても、様々御支援できるところがあるのではないかというふうに思ってます。東谷さんからお話いただきました、地域との接続といったところを中心に活動いただいている中、そこで学校であったり、あるいは地域であったり、地域の人たちとのつながりが上手ですので、そこを行政としてうまく、さらにチャレンジできるような支援といったことがあるかというふうに思いますし、また、大場さんから、まさにその広域としてのルートづくり、あるいはその動線といったものについて、あるいは情報発信といったことについても御意見を様々いただいたところでございます。
 本日は関係人口、交流人口といった形で、特に若いお子さん、生徒さん、学生さん、こういった方々を対象として様々な活動を通じて将来的にも、関係人口につながっていくといったお話をいただきました。ありがとうございました。

知事所感

小野部長
 それでは、全体を通じて知事の方からお願いいたします。

達増知事
 具体的な話からまずいきますと、岩手の高校教育ですね。横木さんが指摘してくれましたが、かなり改善されているところはあり、釜石高校は、震災前は医学部に進学する生徒はほとんどいなかったらしいんですが、震災後、岩手医科大学の定員が増えて奨学金が充実したということもあるんですけど、震災後、釜石高校から医学部に進学する生徒が毎年のように出てきているというところがあります。
 あと5年ほど前だったでしょうか、県北の軽米高校から東京大学に合格した生徒がいるんですけど、毎年東大に入学実績のある盛岡一高と軽米高校の進路指導担当の先生が連携して、盛岡一高の生徒が受けるような、東大模試、東大オープンとか、そういう模試を軽米高校のその東大志望の生徒も一緒に受けられるようにするみたいな進路指導を、複数の高校で共同でやったりするような仕掛けを、教育委員会で、県で工夫したりとかもしていてですね、そういうやり方をどんどん発展させて、岩手県内のそして身近な高校で、いろんな選択肢に応えられるようにしていきたいなと思います。通学についても、これは小中にもそういうところがあるんですけど、特に高校は親御さんの送迎に頼るところが大きくなってるのは申し訳ないなと思っておりまして、やはり親御さんの送迎に頼らないで成り立つような通学というのは、高校としてやらなければならないですね。高校、そこの市町村がマイクロバスとか、相乗りの車を出してくれたりみたいなことをしてくれるところもあったりするんですけれども、そういうのをより発展、充実させていきたいと思います。
 そして、そのあと、やはり地元の良さが地元の人に知られていない問題が提起され、そこはやっぱり非常に大事だと思います。やはり、アンコンシャスバイアスっていう言葉があって男女間の差別について近年言われていて、男はこういうもの女はこういうもの、典型的なのは、会社にお客さんが来たときにお茶出しをするのは女性社員みたいなそういう思い込み、これが良くないということが今言われておりますけど、そういう男女間の方、思い込み以上に日本にとって深刻なのは、中央と地方、地方と中央の関係に関する思い込みを直していかなければならないと思いますね。無条件で中央、東京とか大都会人口の多いところの方が、優れていて良いところで、周辺のほうにある人口が少ないところは劣っていて悪いところという先入観と言ってもいいんですけれど、そういう思い込みというのが結構根深くあって、それで地方とか地域は、何となくどうせ駄目みたいなものが通常モードで広がっているんじゃないかと思うんですけれども、むしろ実態は、都会とか人の多いところというのは、人工的にそういうふうになっている特殊な場所であって、東京であれば、首都機能というのを維持するために、議会があって政府があって、そして人が集まると、そういう大勢の人を対象にする消費経済が発展し、消費ということについてはすごい傑出するわけですね。世界中のいろんな珍しいものとか、世界中の料理とか、有名なオペラなどは東京でしかやらないみたいなことが起きるんですけれど、ただそれは消費だけが非常に発達した、この異常な経済、社会であって、人間がそこで生まれ育ち生きていく場所として本当にそれでいいのかというのをよくよく考えると、ちょっとそこはやっぱり慎重に考えないといけないのではないか。人口が多いところの、その危険性というか、いわば消費経済の豊かさっていうのに目がくらみ、本質的な問題点ということが見逃されてる傾向があるのではないかと思いますね。それは岩手の中ですら、盛岡市というところも気をつけていかなければならないと思っているのですけれども、やはり人間にとって本当に大切なものとか、大事なものそして良いものというのは、基本的に、まず第一次産業が行われていれば、食べ物を獲得したり生産したりしているところ、そしてプラス第二次産業ですよね。ものづくりが行われている場所、そしてそこから発生してくるサービス業とかですね。そういう人間が集団で生活し、生きていき、いろんな文化を発展させ、自己実現を図るために必要なものは自然に、また長年のこの歴史と文化の中で育まれてきたところこそ、人がそこに生まれ育って生きていくのにいい場所なんじゃないかという、ちょっと前はそういう正論をテレビで話す人とか結構多かったと思うんですけど、近年、テレビで全然そういう正論が言われなくなったというところもあり、特にこの人口減少問題ということに、国を挙げて取り組むというこの10年の中で、何かこう、人口が少ないことは悪だみたいな感覚が広まってしまっているんじゃないかなと、こう思っておりますが、今こそ、地方の良さというのを丁寧に、まずそこに住んでる人たちが確認し、そして発信していくと。そして、はま留学のような外から人に来てもらう。特に若い感性、感受性豊かな人、学生でもそうですが、そういう人たちに来てもらうというのが、地元の良さを地元の人たちも確認し、対外的に発信していくための非常に良いきっかけになるので、それが大事ということですよね。交流人口、関係人口の拡大もそういう地元の良さを、地元の人が確認しながら外にも発信していくという、非常にいい営みになるので、これをどんどん発展させていこうということなんだと思います。
 私は「黄金の國、いわて。」というキャッチフレーズをずっと使っていて、もともとは世界遺産の平泉中尊寺金色堂のイメージなんですけれど、その黄金っていうのは、沿岸のこの辺は金が取れたりもしたところですが、アワビとかウニとかも黄金のイメージがありますし、お米の稲穂の実る姿も黄金のイメージがありますし、そういう実は物質的にも非常に岩手には豊かさがあって、そこで育まれた歴史、文化、人々のこの日常っていうものも、もう黄金に例えるぐらいいいものなんですよと。内で確認しあい外に発信していいし、そうすべきじゃないかと。最近特にそれをまた思っているところでありまして、今日皆さんのお話の中で改めてそういうことを県として組織的にもやっていかなければと思いましたので、よろしくお願いしたいと思います。本日は誠にありがとうございました。

小野部長
 どうもありがとうございました。

閉会

小野部長
 皆様、本日は貴重なお時間、お話をいただきまして本当にありがとうございました。先ほど申し上げましたが、本日様々な御意見をいただいております。そして御意見は、県の関係部局と共有しまして、今後の県の施策にしっかり活かしてまいりたいというふうに考えております。
 それでは、以上をもちまして、県政懇談会を閉じさせていただきます。

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