「いわて幸せ作戦会議」(令和6年11月19日)
日時
令和6年11月19日(火曜日)13時30分から14時50分まで
場所
岩手県庁 3階 第一応接室
出席者
・参加者(敬称略)
天沼 ちさと(特定非営利活動法人 RINDO Blue Japan 理事長)
宇津野 泉(社会福祉法人花泉福祉会 理事 はなほこども園 園長)
大塚 瑠偉(岩手大学農学部3年 ひとり親交流サークル「エスクル岩手」)
木村 暁朝(社会福祉法人白楊飯岡こども園主幹保育教諭 男性保育士連チームファンタジスタ)
・県側
達増 拓也 知事
野原 勝 企画理事兼保健福祉部長
小野 博 政策企画部長
開会
小野部長
それでは、ただいまから県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」を開催いたします。皆様にはお忙しいところ御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。本日は、「こどもを中心に考える子育て支援について」を懇談のテーマといたしまして、子育て支援で活躍されている4人の皆様にお集まりをいただいております。私は、本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
知事あいさつ
小野部長
それでは、開会にあたりまして、達増知事から挨拶申し上げます。
達増知事
皆さん、こんにちは。県政懇談会というのは、県内各地、あるいは、各分野で活躍している人の話を知事が直接聞いて県政に役立てるということでやっています。近年、「いわて幸せ作戦会議」と銘打っておりますのは、今の「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標が、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」となっておりまして、この幸福というのを県政の目標にしているところから、「いわて幸せ作戦会議」という名前になっております。
今日のテーマは、「こどもを中心に考える子育て支援について」ということで、子育て支援というのは憲法が求める基本的人権の一環でもありますし、子育てということは社会にとって大事であり、必要な支援を行政が行うということは昔からあるんですけれども、近年は人口減少対策の一環として、子育て支援ということに注目が集まっていますし、こどもの権利という観点からも、こどもがちゃんとあるべきように育っていくようにしなければならない。また、こどもの意見もどんどん行政は取り入れていかなければならないということも言われております。そういうところで、人口に関する社会全体の歪みを直していく最前線を子育てということに期待する向きもあれば、逆に子育てというとおり、こどもが育っていくことこそ、そこが一番大事で社会はそれに合わせていかなければという両方の方向から子育て支援というのは今脚光を浴びていると言っていいと思います。
今日は、子育て支援で活躍されている4人の方々のお話を伺って、岩手県政の参考にしようと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
小野部長
ありがとうございました。
出席者紹介
小野部長
それでは、この後の進め方についてですが、まず私からお一人ずつ御出席の皆様のお名前を御紹介いたします。皆様には続けて1分程度で簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきます。お一人ずつ5分程度でお話いただきまして、その都度、知事からコメントするというような形で区切りながら進めていきたいと思います。そして、最後に自由懇談の時間を考えておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、早速、本日の御出席の皆様を御紹介いたします。はじめに、特定非営利活動法人 RINDO Blue Japan 理事長、天沼ちさとさんです。
天沼 ちさと
では、御紹介いただきました、特定非営利活動法人 RINDO Blue Japanで理事長をさせていただいております、天沼ちさと と申します。私の法人では、こども食堂の活動、あとは、性教育の普及活動、産前産後ヘルパーの派遣、ベビーシッター派遣、家事代行サービスの普及というところを主に重点を置いて活動させていただいております。私たちが、特に求めたいこととか、ミッションとしては、赤ちゃんの遺棄事件をなくすことが目標です。それから、私がタイトルとして掲げているものは望まない妊娠と望まれない命ゼロへというところをベースに置いた活動をしております。今日はこどもを中心に岩手県が進んでいけるように懇談させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
小野部長
よろしくお願いいたします。続きまして、社会福祉法人花泉福祉会 理事 はなほこども園 園長、宇津野泉さんです。お願いします。
宇津野 泉
こんにちは。一関市の宮城県境の花泉より参りました、はなほこども園の園長をしております、宇津野と申します。子育て支援で活躍してるというと、私では力不足ではないかなと思っておりましたが、「こども誰でも通園制度」が、今年度は盛岡市と一関市で試行開始しており、その中で、私立施設で受け入れをしているところが当方だけということでお声掛けいただき、今回お受けしました。本当に小さな活動ですけれども、日頃の取組と、私どもで子育て支援の観点から事業展開をしている事例を御紹介するところで何かお力になれればと思い、本日伺っております。どうぞよろしくお願いいたします。
小野部長
よろしくお願いいたします。続きまして、岩手大学農学部3年、ひとり親交流サークル「エスクル岩手」、大塚瑠偉さんです。
大塚 瑠偉
こんにちは。御紹介いただきました大塚瑠偉です。岩手大学の3年生で、ひとり親支援交流サークルのエスクル岩手のスタッフとして活動しています。自分はまだ本当にこどもなので、子育て支援とか、そんなにすごいわかってるわけじゃなくて、自分なりに何かお手伝いできればなということで、今年からエスクル岩手のスタッフとして活動させていただいています。自分は大学生で、大人とこどもの間ぐらいにいるなって自分は思ってるので、こども目線からでも大人目線からでも意見が言えるような、そういった立場をちょっと利用して、こども子育てに役に立てればなと思ってます。今日はよろしくお願いします。
小野部長
はい、よろしくお願いいたします。最後に、社会福祉法人白楊 飯岡こども園主幹保育教諭、男性保育士連 チームファンタジスタ、木村暁朝さんです。
木村 暁朝
チームファンタジスタの木村暁朝と申します。私自身、このチームで19年、子育て支援イベントなどに参加してきました。このチームは男性保育士の有志で立ち上げたグループですけれども、県内外で、遠くは横須賀、東北などに呼ばれて参加をしているということがあります。全国で「A1あそびうたグランプリ」というものに参加いたしまして優勝することができました。震災の時に優勝することができたということからCDを出させていただいて、それが遊び歌ということで全国に広がっていって、様々な方から声が掛かるようになりましたし、「たにぞうさん」とか「弘道お兄さん」とかそういう方々と一緒にイベントとか、そういうこともできるようになってきました。震災以降は、復興支援ということで、そちらの方に保育士として派遣っていうところから、なかなかそういうところでも沿岸の方とのつながりっていうのができまして、本当につながりって大事だなというふうに感じているところで、今日はこういう機会をいただいて、ますますつながりが深まって、それで子育て支援についても考えていけるということで楽しみにして参りました。よろしくお願いいたします。
小野部長
よろしくお願いいたします。県からの出席は達増知事、それから、野原企画理事兼保健福祉部長、そして私でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
懇談
<テーマ>
こどもを中心に考える子育て支援について
小野部長
皆様のお手元にお菓子を準備しておりますので、召し上がりながら、是非、懇談を進めていければと思います。私の方から本日のお菓子を簡単に御紹介させていただきます。お配りした資料にもお菓子の紹介がございますけれども、本日のお菓子は「早池峰ぶどうジュース」、それから、「奥州初恋りんご」を用意しております。「早池峰ぶどうジュース」は、岩手県産の原料にこだわり濃縮還元しない全くのストレートジュースでございます。ワインのようなくちあたりでありつつも、フレッシュなぶどう本来の甘みと味わいが特徴になってます。いわての自然に育まれたおいしい大地の恵みをぜひ味わっていただければと思います。それから、お菓子は、「奥州初恋りんご」でございます。いわて子育て応援の店の有限会社銘菓処「高千代」が製造する江刺りんごを使用した銘菓で、第27回全国菓子博覧会で受賞しております。手間と愛情をかけて育てた、ほんのり甘酸っぱいりんごのホイル焼きでございます。是非、お召し上がりいただきながら、懇談を進めていければと思います。よろしくお願いいたします。それでは、続きまして、野原部長の方から本日の懇談のテーマについて説明をお願いいたします。
野原部長
それでは、今回の懇談テーマについて簡単に御説明をいたします。もうすでに冒頭の達増知事からの御挨拶の中で御紹介させていただきましたけれども、県では「いわて県民計画(2019~2028)」という県の総合計画の中で「人口減少対策」を最優先に取り組むべきものと位置付け、「結婚・子育てなどライフステージに応じた支援」などの施策を展開しています。県民計画に掲げる「県民一人ひとりがお互い支え合いながら、幸福を追求していくことができる地域社会の実現」のためには、こどもの存在意義を尊重し、施策に生かしていくことが求められています。今回、子育て支援やこどもに直接関わりながら、将来を担う世代の育成などに携わっている皆様に御参加をいただきました。本日は短い時間でありますけれども、大切な人とのつながりや地域での支え合い、結婚や出産、子育てなどの環境づくりを進めることにより、家庭や地域でこどものいきいきとした成長が実感できる岩手の実現に繋がるよう、意見交換ができればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
小野部長
ありがとうございました。それでは早速ですが、懇談に入ります。ここからは、野原部長からもお話がございました、本日のテーマ「こどもを中心に考える子育て支援について」に沿って、皆様の今の取組、課題、今後の方向、御自身の抱負、それから県への期待なども含めてお話をいただければと思います。それでは、天沼さんから、お一人5分程度でお話をいただきます。お話をいただいた後は、その都度、知事の方からコメントをいただくという形で進めて参りますので、よろしくお願いいたします。それでは、天沼さんよろしくお願いいたします。
天沼 ちさと
よろしくお願いいたします。ではこども中心ということでですね。私は社会人になってから、老人福祉、障がい福祉の分野、美容の分野でお仕事をさせていただいておりまして、縁あって、9年ほど前から児童福祉の方に携わらせていただいております。この9年間、直近では学童クラブの施設長をさせていただいておりまして、私の生まれたときからの経験と学童クラブで見てきた、こどもたちの生活実態とを自分の中で掛け合わせてきた中で、私がやってあげなければいけないことなのではないかなという思いで、今年の1月にNPO法人を設立するという経緯に至りました。
私が過去から抱えてきた問題は、先程もお伝えしました性教育というところになります。こどもたちプラス保護者の方に向けて性教育をさせていただく機会を何度かいただいておりまして、最近ではPTAでのブロック研修での講演をさせていただいておりましたし、フリースクール内でのこどもたちに向けた性教育もやらせていただきました。あと、学童クラブのお子さんとかこども会に向けた性教育をさせていただいております。
性教育を始めたきっかけっていうところが、自分の中学校での体験がとても怖いことがありましたっていうことは皆さんにも伝えておりますし、新聞にも取り上げていただいております。それを、自分自身で気づいたのが、「これは事件なんだ。」、「伝えてよかったんだ。」っていうことに気が付いたのが大人になって30代後半になってからになります。その実体験を基に、こどもたちを目の前にした時、小学校低学年の時から携帯電話が普及しております。今、SNSで知らない人と繋がってしまっている現状だったり、保護者の帰りが共働きによって遅くなっているという現状がありますので、その現状からこどもたちが一人で家で待つ時間が増える、こどもたちが一人でSNSを使う、インターネットを見るというような状況がとても増えてきていますので、私たちがこどもだったときよりも、そこに対する教育というところがとても必要になってきているにもかかわらず、誰も教えてあげられる存在がいないっていうのは間違いないと思うんです。あるお子さんがSNSと繋がっていたり、性的な動画を見続けていたりとか、そのようなお話を保護者の方からお伺いするようなことがあるたびに、私の怖い経験を基に、やっぱり、こどもたちの命を守ってあげなければいけないのではないかなと思って、正しい性教育というものを普及させる活動をしなければならないと思いました。身近には、性教育、助産師さんだったり、医師会の皆さんだったり、そういう分野で活躍されてる方々が少なからず、教えてくださってはいますが、手が届きやすい金額でこどもたちに身近なところで、一人の大人として伝えてあげるっていうことが大切ではないかなと思っております。
では、活動については、そのように小さなコミュニティを回って、自分たちからこういう危ないことがあるんだよっていうことや、これからこういう身体の変化が起きていくんだよっていうような中身を伝えるような活動をしております。まだまだ、こどもたちに手をかける、取りやすい環境で教えてあげるということは実行できていないのではないかなと思っております。活動する上では資金的に必要になってきてしまったりとか、そこに対する何か支援が、私たちに対する支援があれば、もう少しこどもたちのところをかけ回れるのになという思いもあります。
そして、毎月第3水曜日に、「ももも食堂」という、大人もこどもも誰でもの「ももも」を取った「ももも食堂」というものを開催させていただいております。これは、共働きが増えてきていることっていうか、私も共働き世帯でこども4人を抱えながら仕事をしておりまして、一日でもいいから誰かが作ったご飯を食べたい。でも、仕事まで時間もないし、お金もないし、どうしようっていうような悩みですね。日本ではやっぱり貧困というのが見えづらいと言われていますし、相対的貧困と言われる層に届けるというのもとても難しいです。お金がないから来てくださいねということではないのではないかなと思っております。共働きで子育てをしているっていうことだけでも、とても周りからは見えづらいんですが困窮しています。疲弊してます。月に1回でもご飯を作ることから離れて、こどもと過ごす時間が増えて欲しいなという思いで、毎月1回、お母さんもお父さんもおじいちゃんもおばあちゃんも一緒に食べに来てねという会を開催させていただいております。学童クラブの運営から、この「ももも食堂」のことに対しても、私が今まで接してきた方と相談をいただいている方の中では、ひとり親のお母さんがとっても多いということが見えてきています。
こどもたちの生活をこども中心にということなんですが、岩手県こどもの生活実態調査の報告も見させていただきまして、やっぱり、こどもが元気に、自分を認められる力を持って幸せに生活していってもらうためには、お母さんお父さんが元気でなければいけないよねということで、産前産後ヘルパーだったり、家事代行サービス、ベビーシッターというところに結びつくような活動に入ってきています。本来、私がやりたいことは、本当に困っている、誰にも相談ができない、手を伸ばすことができないというところに育児と家事で伴走に入るということを本当はしたいんですが、そこに入るためには資金と人、ヒト・カネ問題がつきまといます。まずは、そこに辿り着けていない。まだまだ私たちのところでも支援者に対する支援というものがまだまだない。私たち自身でも活動を循環させていけるような体制をとらなければならないということで、盛岡市母子健康課さん、市民協働推進課さん、あとは、アクセラレータープログラムということでものづくり課さんと一緒になって事業の伴走もしていただきながら、産前産後ヘルパーの普及というところを、モデル事業として取り組ませていただいております。ただ、岩手県でも盛岡市でも、産前産後ヘルパーというところが、まだ聞いたことがなかったのかなっていうぐらい、どこでも取り組んでいないというのが現状です。生まれてから亡くなるまで、やっぱり支援が途切れては欲しくない。でも、ブツブツと途切れているというのを、やっぱり、障がい福祉老人福祉から児童福祉に携わる中では、その切れ目というものを目の当たりにしてきました。まず、生まれたところから、もしくは生まれる前から、どのような支援があるのかなと思って、産前産後というところから取りかかっていますが、もうすでにそのスタート段階から途切れているという現状がありまして、産後ケア事業に関しては盛岡市も取り掛かって、お母さんたちが病院に出向くというようなことでは助けられる方がとても増えました。満員状態っていう話も聞いております。私たちが取り組んでいく産前産後のヘルパー派遣というのは、実際にお家の中に入って育児と家事をお手伝いするというような仕組みになります。もちろん、相談にも乗ってあげられますし、お母さん自体が赤ちゃんと一緒にいたいけれども、家事、どうしよう、家事に時間を取られてしまうと、こどもと一緒に過ごす時間が取れないというようなお母さんたちにヘルパー派遣に関しては補助などがありますと、手に取りやすい価格で皆さんにお受けになっていただけるのではないかなということでモデル的に活動していますが、まだまだ、私がやってるモデル事業では1時間1,900円というような価格設定になっておりますので、誰でも手に取れる価格というところには、まだ至っていないのが現状になります。
なので、私から、岩手県の活動にお願いするような中身としては、できれば、本当に中に入った、お母さん、お父さんの外側ではなくて生活そのものに本当に中に入って、もう一人の家族のように生活自体をフォローしてあげれる、この産前産後ヘルパーとベビーシッター家事代行サービスっていうものをもっと手に取りやすく簡単に中に入れるような存在として、一緒に協力していただきたいなあという思いがあり、今日はお伝えしたいと思います。こどもたちと親が一緒に過ごせる時間が増えてくれるといいなと思っております。
小野部長
はい。ありがとうございました。こどもたちの命を守ってあげるといったことから始まった活動、また、本当に困ってる人たちに届くようなといったことで、様々な取り組みを御紹介いただきましたが、知事からお願いいたします。
達増知事
性教育については、これだけ危険が増えて、また、情報が増えているにもかかわらず、それに見合った学びの場がないというのは本当にそうだと思いますね。私が小学生の頃は、小学5・6年生の小学館の学習雑誌に性教育的なことを連載されて、「なぜ大人になるの」という名前の小説だったりとか、小説形式で色々と小学校5・6年に教えるようなものがあったんですけど、今はあまり小学校の学習雑誌には、ほとんどないような状況であり、そういう誰でもアクセスできるような情報というのは意識して作らないといけない状態だと思うので大事なポイントだと思います。
それから共働きが増えているというのはそのとおりで、共働き時代といっていいような共働きの方が多数ですからね。共働きが当たり前になっている一方、「103万円の壁」というのが国会で話題になってますけど、いまだに男性が主に働いて専業主婦がいることを前提とした制度があり、それが制度的には、そっちの方がメインみたいになっていて、そこは共働き時代に合わせた制度にしてかなければならないと思いますね。
そして、「ももも食堂」ですか。家事も育児をやっているようなお母さんが、誰かが作ってる料理を食べたいというのは本当に切実な問題だと思います。そういうことは、かつてはなかった問題意識なんですけど、非常に当たり前の問題意識だと思うので、そういうところにも応えていかなければならないと思いますね。そして、育児家事で本当に困ってる人に伴走支援ができるように、本当に困ってる人に支援が届くようにということが、なかなかできないということは県行政としても問題にしているところであります。行政というのは、ともすれば、受け付けがあって申し込みがあって初めて動くみたいな、相談に来てもらってから始まったりするので、そういう相談窓口が分からないとか相談の仕方が分からない。また、そもそも、そういう行政に何か言いに行くということに思いが至らない人は少なくないわけで、そういった人たちに支援が届くようにするにはどうすればいいのかというのは非常に行政も悩んでいるところであります。
そこは行政以外の主体としてNPO等との連携というのが答えになっているというところでありますので、頑張っていきたいと思います。
小野部長
ありがとうございました。それでは、続きまして、宇津野さんからお願いします。
宇津野 泉
私どもは認定こども園に移行しましたけれども、さらに、子育て支援の役割が最近かなり比重として重くなってきているというふうに感じます。コロナ禍により、子育て家庭に限らず、それぞれ個人もさらに孤立しましたよね。人との関わり、社会、地域住民との関わりがすごく希薄化してしまった5年で、その間に生まれ育っているこどもたちの実際の姿を目の当たりにすると、たくさんの経験をすべき時期にとても大事な経験の機会を失ってしまって大きくなっているなというふうに感じています。こどもたちに対して、人生の礎を築く乳幼児期に、私たち保育者含め、大人がいかに大事に望ましい環境で育み、保育・教育を行っていくということは、もちろん、第一の目的として取組を進めております。コロナが明けて、さらに、保護者と地域、こどもたちと地域、多世代とこどもたちの関わりをもっと重点的に取組を進めていこうと、法人内でも話し合いをして、そういった方向で規模は小さいながらに様々な事業を行っております。
御紹介するところで言うと、まずは、誕生から幼児期ですが、就園前のお子さんに関しては、親子で安心して過ごせる、あそこに頼ればいいんだという場を作りたいということでの子育て支援の「親子教室ぽかぽか」を月に2回やっております。その時にランチを希望する親子で食べていただきます。こどもはこういうものを食するんだな、こういう食材をこのように生かせばいいんだなという食育、親子への食育も兼ねて、お子さんは無償で提供させていただきます。ただ、親御さんが食べる場合は300円ご負担いただく。これはコロナ前もやっておりまして、今年度からまた再開しました。先程、天沼さんもおっしゃってましたが、親子で家から離れて別の場所で安心して過ごし食しながら、他の人との関わりを持てる場が必要だと思います。そのような場を提供したいという思いで、今年度は、そこの親子教室でランチの提供をこども食堂の一環という位置づけをして皆さんに知っていただく機会と捉えております。園のある場所が、統合した新花泉小学校からかなり離れてしまいました。小学生が通いやすい場所ではない、集まりやすい親子で歩いて来れる場所では全くもって無くなってしまったので、私たちが夕方の時間にいろんなところで場所を貸していただいて、移動こども食堂をやっていこうということで御相談をさせていただいております。旧花泉小学校の跡地でフリースクールがありまして、そちらが夕方の時間は空くので、来年の4月には、そこで移動こども食堂を開催することが、先々週に話がまとまったところです。
他の園でやっていないところで言いますと、いつでも園庭を開放しています。開園時間に限らず、土日祝日、いつでも公園のように使っていただいて結構ですということで、皆さんに好評で大分活用していただけるようになりました。卒園した小学生も遊びに来ます。宮城県に続く県道金成道路沿いにあるので、宮城県にお住まいの方も遊んでいるということでお顔をお見受けする機会もだんだんと出てきました。へき地といってもいい場所だと思います。私たちのところは人口減少がかなり進んでおりまして、コロナになってからはぐんとまた出生数が減り、定員の変更を、昨年20名減らしました。もともとは90名の保育に幼稚園部門12名を足して102名の定員の場所だったんですけれども、現在は定員を20名減らして、保育70名と教育部門12名の82名の定員。そこに現在84名の在園があります。そこに至るまでも、年度当初は80切って74とかだったんです。子育て支援の親子教室で、こども園ってこういうところなんだ。こどもたちってあんなふうに遊んでいるんだ。そうか、楽しそうにしているな。じゃあ、私も一緒に遊びに行ってみようから始まって、それが継続してこう通っていただく間に入園をさせてみようというふうに移行していただいてきているので、だんだんと年度途中から入園が確保されて、今の人数になっている状況です。
あとは、紹介の時にもお伝えしましたが、「こども誰でも通園制度」が、今年度始まりまして、一関市は8月から開始になりました。一関市には3か所の受け入れ先がありまして、1か所は中央にある保健センターすぐ脇の公立保育所1か所。あとは、旧東磐井で公立保育所1か所。南の方でということで、当方にお声がけいただきました。というのは、一時預かり保育をもうすでにやっておりましたので、それを基盤に、うちではいつでもできますよと気軽に言ったところもあったんです。そういうことで実施したものの、はなほこども園では実績ゼロです。先週、施設長会議がありまして、その際に担当課の方にも「実績ゼロでごめんなさいねって、こちらの広報の活動が悪いかしら」なんてお伝えしたんですが、その方いわく、「はなほこども園は「親子教室ぽかぽか」で足りてるようですね」っておっしゃっていただいたんですね。何となく、その集団生活を経験させたい親御さんが気軽に行ける場があると「こども誰でも通園制度」だけに限らず、特段、はなほこども園では必要ないのかも、もしかしたら、あまり実績としては伸びないかもしれませんっていうところが、今の現状です。
あとは、お預かりしている園児の保護者に対しては、こどもの成長の道筋がより伝わりやすいようにドキュメンテーション写真を使って、日頃のお子さんの活動や教育内容もわかりやすいように写真を用いたり、動画を用いてお伝えするようにして、親御さんへの子育て教育、こども理解を深めるようにという取り組みを進めております。
あとは、病児保育を実施しておりまして、病児保育、かなり好評なんですね。これもまず看護師の確保ができ、花泉に小児科があるというところがありがたい。そこの小児科の院長先生の御協力もいただくことができて実施しておりました。病中病後の対応もしております。
その他にコロナが明けてから、地域との関わりを深めるために取り組んでいる事例としては「はなほまつり」っていうのをしょっちゅうやってます。「はなほ春まつり」、「はなほ夏まつり」、「はなほ秋まつり」っていうふうにですね、何でもかんでも「はなほまつり」とつけてしまって、みんなで楽しみましょうというイベントをしています。これは強制参加ではなく保護者の自由参加です。卒園児も親御さんも一緒に帰って来てくださいますし、地域の皆さんも従兄弟や別のお孫さんをお連れになって施設を活用していただいて楽しむイベントを企画して実施するようになりました。
コロナが5類になる直前の昨年4月から取組を始めさせていただいて、それもかなり好評でイベントを通して保護者の関わりが深まったり、地域の皆さんが、こどもがいなくても孫がいなくても園に足を踏み入れる機会となっていたりということで、こどもとの距離が近づいたなあというふうに感じております。
あとは、地域の市民センター事業の高齢者学級と連携を取り「はなほで遊ぼう」という企画で、園に遊びに来ていただいて、伝承遊びだとか、もしくは、こどもたちが今こういう遊びしてるんだよっていうのを伝えたいものなんかを環境として準備して、一緒にただ遊びます。胸に名前を貼っていただいて名前で呼び合う、「○○ばあちゃん一緒に遊ぼう」って手を取り合って遊ぶ。そういった高齢者とこども、血の繋がりも住む地域も全く別であっても一緒に楽しく触れあって過ごす。家にこどもたちがいない家庭、高齢者の世帯って大分増えてるので、そういった皆さんからも好評をいただいている事業になっています。
学童期と青年期のところが、まだまだ課題かなあというふうに思っています。学童保育、放課後保育のニーズってすごくあったんですけども、なかなかそのスペースを確保することは園内だと難しかった。その当時は保育所だったんですけれども、保育士の確保が難しかったとか、運営するには経済的に厳しいとか。今の状況では、移動こども食堂を細々と開催しながら、小学生たちに、はなほこども園がまたあそこでやるんだってよっていう話から、あそこに行けばおいしい温かい食事があるんだとか、あそこに行けば宿題を見てくれるおばちゃんがいるんだとか、そういう場の提供を、大げさなものではないですができる範囲でやっていきたいなというふうに考えております。
あとは、青年期の皆さんにはボランティアとして、そこに関わってもらえば、こどもってこういう姿だなんだな。その時にベビーも一緒にそこで集まれば、さらに、赤ちゃんかわいいな、お父さんなりたいな、お母さんなりたいなというふうに、親になるということを身近に感じてもらえる機会をもっともっと作っていけたらいいなと考えております。
老年期の皆さん、うちの保育者で70代もおります。知識、経験豊富なんですよね。豊かなこの日本の文化が染み付いて、その存在だけでもありがたいから動かなくてもいいから走らなくていいから是非来てくれということで、ずっと来ていただいてます。そういった保育者だけに限らず、地域にすごくたくさんの人材があって、その人たちをもっともっとこどもに寄せていきたいなあというふうに思ってるんです。なので、グループホームをやっているところとの交流が全くね、今はコロナの後もできませんし、老人施設と以前は交流があったんですが、そういうところとも今はまた感染症の関係でできていない。ホームだとか施設との連携もですけど、もっと地域で元気に過ごしてるおじいちゃんおばあちゃんを、もっともっとこどもに会わせたいなっていうふうに、今のところ考えておりました。
すいません、長くなりましたが、課題として、1つだけお伝えしなきゃいけないのは、人口減少地域だと閉園が差し迫った課題となっています。そういう話題も日本保育協会の事務局を担当してるんですが、ちらほらと聞くようになりました。なくしちゃいけないなって思うんです。フェイス トゥ フェイスでずっと長くそこでやってきた保育所、こども園がなくなってしまうと、そういった細やかな地域住民とこどもとの行き交う交流の場の提供ももちろんですし、気軽に相談できる場がどんどんなくなってしまう。もう小学校と同じく、統合されて中央に多分そういったところでは残ると思うんですけど、それだと、車で運転して5分10分走らないとそういう場に行けないとなってしまうのは、こどもを中心に考えて地域をこども真ん中社会としてこれから作っていくのには大変な損失だな、人材もあるのにと思います。というところが大きな課題かなと考えておりました。すいません、長くなりました。
小野部長
ありがとうございました。宇津野さんの方から特に地域に開かれた施設ということで、こどもと親御さん、地域との繋がり、場の提供といったことで様々な活動についてお話をいただきました。知事からお願いいたします。
達増知事
一度、見に行って見せていただいたことがあって、そうですね。その時は、病児保育もやってるって本当すごいなあと思い、やはりニーズがあって本当に助かるのだと思うんですよね、病児保育をしてもらえるっていうのは。にぎやかな感じが非常にいいところだなと思った記憶がありますが、コロナは本当にひどいことでありまして、集まれないとか一緒にいられないとかっていうのが、何年か続いたということは学校でも色々なダメージを負って、その傷跡は今でも残ってるのですが、こども園においても、そうだったんだと思います。まず、回復して色々な活動をまた始めていることは大変いいなと思います。
親子教室、そして、親子ランチっていうのは、やはりグッドアイデアで、こども食堂というのも大事ですけど、親子で食べるということもまた大事で、親御さんもいろいろ学ぶところがあって非常に良いのだと思います。そして、移動こども食堂で小学生がいるところに出張して、小学生の相手もしていくということは、本当に地域にとって大変ありがたいことだと思います。また、この高齢者の皆さんにも来てもらうとか、園庭を開放して誰でも来ていいみたいなところっていうのが非常にありがたいことなんだと思います。そして、青年期のボランティアもあれば、こどもや赤ちゃんに触れる機会があれば、こういう家族が欲しいなっていうふうになっていくというのはそのとおりで、最近の若い世代はそれぞれ進学就職等でバラバラになってしまい、そういう機会がなかなかなくて、結婚出産子育てという方に頭が向かないまま働く日が過ぎていくみたいになりがちなんだなと思うので、そこをやっぱり何とかしなきゃなんないなと思います。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。ぜひ、飲みながら食べながら、お願いします。それでは先程、大人とこどもの中間というふうにおっしゃっていた大塚さんからお願いいたします。
大塚 瑠偉
お願いします。改めまして、大塚瑠偉です。今、岩手大学3年生です。自分はひとり親交流サークルのエスクル岩手のスタッフとして活動していて、エスクル岩手って何をしてるんだってことなんですけど、エスクル岩手はこども食堂、それこそ親子食堂みたいな感じで、ひとり親のお母さんとこども、お父さんとこどもが一緒に料理を作って食べようとか、そういった活動をしてます。今年の6月にも、自分の出身が新潟県の南魚沼市って米どころなんですけど、そのお米の美味しさをみんなにちょっと楽しんでもらいたいってことで、6月にはその米を使った料理を作ったり、自分の新潟県の郷土料理をこどもたちと一緒に作るといった活動をしたりしています。
皆さん本当にすごい活動をしてらっしゃって、自分はそんなになんかすごい、これがしたい、あれがしたいってことはないんですけど、自分のなんか一番大事にしてるのが、とにかく、こどもに悲しい思いとか、つらい思いとかはして欲しくなくて、楽しんでもらいたいってのが一番あって。というのも、自分も小学校2年生の時に母親を亡くしてて、そこからひとり親で育てられて、そのときに自分もやっぱり外出があんまりできなかったりとか、お父さんも働いていたり、あんまり楽しかった思い出がなかったんですけど、やっぱり、今もそういうこどもたちが多いみたいで、先月はハロウィンパーティーをエスクル岩手主催でやったんですけど、その時に、こういうイベントがあって、何か外出するきっかけになったよ、みたいな御家庭があって、そういう言葉を聞いてすごい嬉しいなと思って。とりあえず、楽しんでもらいたいので、そういう声が聞けると嬉しくて、そういうのを力に今頑張ってて、そのエスクル岩手の活動の中でもう1つ、セラピーファームっていうのがありまして、体験型農園なんですけど、親子で畑に行って区画貸しみたいな感じで、毎月1回、2回、畑に来て収穫したり植えつけたり、手入れしたりなどをやっていて、その中で、こどもたちが畑に触れたり、畑の空いてるスペースでボール遊びをしてたりとか、そういうことはとっても素敵だなと思って。やっぱり、皆さんの話でもあったんですけど、コロナでみんなが外に出れなかったりだとか、携帯電話が普及していたり、ゲームが普及していたりで外で遊ぶこどもがすごい少なくなっちゃったなっていうふうに思ってて、そのせいなのかは分からないんですけど、不登校のこどもが増えちゃったりだとか、あとはうつ病になってるこどもも増えてるなあと思うので、こどもが外で思いっきり遊べる場所とか遊べるイベント、そういうのを企画したいなあと思っています。
あと、自分がやりたいなって思ってることなんですけど、自分は農学部に在籍してるってこともあって、畑とか野菜を学んでいるんですけど、保育園とかに苗を提供して、みんなで一緒に植えて、そこから、それを使って自分の育てた野菜で料理を作ってみたり、そういう活動してみたいなと思って、実際にそのエスクル岩手でやってる体験型の場合でも、自分で育てた野菜を食べて嫌いな野菜が食べれるようになったっていうこどもがいたりして、すっごいそれが自分は嬉しくて、それをすごい楽しそうに教えてくれるんですよ。なので、そういった手助けではないですけど、こどもの楽しみの一つになれたらいいなって思ってます。
あと、もう一つ自分が大事にしてることが、こどもをとにかく褒めてあげたい。自分はあんまり褒められた経験がなかったような気がして、やっぱり、今の自分の自己肯定感とか、そういうのにすごい繋がってるなんて思ったり、自分の周りのそういうひとり親とかの境遇で育った子から聞いても、自己肯定感低いよみたいな子が多かったりするので、その活動を通して、自分はこどもをとにかく褒めるっていうことと、こどもを笑顔にしたいっていうそういった思いで活動しています。県への要望とかは特にないので、このまま自分の活動を見守っていただければと思います。ありがとうございます。
小野部長
ありがとうございました。とてもいい話でした。知事からお願いいたします。
達増知事
農作業とか野菜を作ったりするっていうのは大学でも学んでいるから、それをこどもたちやひとり親、親子に提供できるってのは非常にいいことだと思いました。やっぱり、専門的な勉強がすぐ即戦力的に大いに役に立つということで素晴らしいなと思います。農業で生産するっていうのは人間にとって根源的なことなので、そうやってこどものためにもなるし、親子のためにもなるので非常にいいと思いますね。
このセラピーファームというのも非常に面白いなと思います。本当にコロナもあって、外出控えというのが長く続いて、それがあちこちにマイナスの影響を残しているんだと思いますが、こどもたちもゲームをしがちで、なかなか外に出ないようになっちゃうという、そういう外に出る機会を作っているというのは非常にいい企画だと思いますね。あと、魚沼からお米を取り寄せて料理して食べるってのは、日本で一番おいしいお米でありましょうから、すごくいいんじゃないかなと思います。新潟の郷土料理っていうのはどんなのがあるんですか。
大塚 瑠偉
6月に作ったのは「きりざい」っていう、納豆とにんじんと漬物を合わせた料理みたいのを作ってたり、あともう1つ、郷土料理で甘いやつなんですけど、「笹団子」っていう笹の葉で包んだ団子があって。
達増知事
笹団子、美味いですよね。小説「坊ちゃん」には笹飴が出てきて、清というお手伝いさんが食べたいと言い、主人公が買って帰ってあげたというシーンがありましたね。
大塚 瑠偉
笹団子を笹の葉で包んだりする作業とかも、みんなでやったり、団子が手にくっついたりする感覚も大事かなと思うんです。
達増知事
結構、ネチャネチャするのですか。
大塚 瑠偉
そうですね。ちょっと失敗しちゃって、すごいネチャネチャすることもありました。
達増知事
はい、分かりました。ありがとうございます。
小野部長
ありがとうございました。それでは4人目、木村さんからお願いいたします。
木村 暁朝
私は、チーム・ファンタジスタとして子育て支援のイベントなどを実施してきた経験と、あわせて認定こども園の保育教諭としての観点というところからお話させていただきたいと思います。
一つ目ですけれども、現在の子育て支援っていうところでは、認定こども園の役割からお話しすると、子育て相談、親子の集いの場などの提供、育児不安の大きい専業主婦家庭への支援、地域における子育て支援の充実などが挙げられると思います。その他には、冠婚葬祭などの急な用事、短期パート、リフレッシュしたい時に利用できる一時預かりや、地域で気軽に子育て相談や親子の交流ができる地域子育て支援拠点など、そういうような企画が行われていることと思ってます。その中で、年々、虐待などの報告の対応っていうのが園の方で増えているっていう印象があります。お金がなくて病院も通えずに、自分の体調不良で子育てもままならない家庭、親と絶縁して家庭のサポートが受けられない家庭、様々に手立てが必要な家庭があって、園で対応するっていうことは、全国的な保育士不足も相まって大変厳しい状態にあります。園見学などに来る未就学児のお子さんがいる家庭も、様々な子育てに向けたサービスがある中で、やはり、子育てが忙しくて余裕がないということで、そういう子育ての支援が受けづらかったり、情報不足などから子育てイベントなどを利用できずにいる方もいるというふうに聞いております。
私たち、チーム・ファンタジスタの活動というのは、楽しい時間を共有するということが目的の1つとなっています。こどもと思いっきり触れ合って楽しむ、その時間をともに過ごすことっていうのが、何より子育てには大切なことであるというふうに考えています。ところが、その時間が今の社会では減少しているという事実があります。先程もありましたとおり、切れ目のない支援体制、やはり、子育てしている方が悩みや相談事を関係機関に相談するということは、働きながらでは難しかったり、関係性がない専門機関などへ相談するっていうことに難しさを感じているケースが多くあると思います。園では保護者の方の様々な相談を受けることが多くあります。その中で、保育者はあくまで子育てに関する支援の分野でしか専門性を持っておりませんので、関係機関とつなぐ力が弱いのが現状です。業務の多忙さから保護者への継続した支援を行っていくことに難しさを感じているケースが存在しています。保護者の困り感をいち早くキャッチして、それぞれの悩みに応じた関係先につなげる他分野との連携体制の充実のために、こども家庭ソーシャルワーカーなどの資格取得に係る補助と支援、そして、各園に相談員を置いて、相談事業を行う施設として、子育て世代、卒園した後も地域の方々も身近に活用できるようにする方法は、虐待不登校、育児不安、家庭問題や就労問題の支援や早期に小さな芽を摘むことにつながるなど、よい効果なのではないかなというふうに感じているところであります。その他にも発達に支援が必要なこどもの参加は、周りの方々の目を気にしたり、普段お世話をすることに疲弊していてイベントなどに参加しにくいというケースがあるように思っております。インクルーシブの観点からも、お互いの理解がなされるようなイベントづくりということが欠かすことはできないのではないかと考えております。
二つ目に、これからの社会は、地域力が問われる世の中になっていくことは間違いないと思います。私は前沢町出身なんですけれども、父親の関係で、盛岡、花巻、前沢と移り住んできましたけども、やはり、住む地域によって地域との繋がりっていうのが全く違うなと感じております。特に前沢町で言いますと、こどもの数が少なくて、その中でお年寄りの方がすごく多いので、こども向けのイベントとかそういうものをやりづらいっていうところ、企画する若手がいないというようなことで、すごく格差というかなんていうか地域差というか、そういうのがあるように感じてます。高齢者とか学生とかこどもなども、お互いに支え合って力を合わせていくことが求められる時代になっていきますし、これからの子育て支援イベントっていうのも、こどもに限定せずに様々な世代が関わるイベントが増えていくといいなというふうに思います。
私がいる飯岡こども園の地域では、「エスぺロの会」(エスペロ=エスペラント語で希望)という地域組織がありまして、先日20周年記念コンサートが開かれて、地域の方々の前で、園のこどもたちが発表会を行いました。「エスぺロの会」っていうのは、飯岡中学校区のこども園、保育園、幼稚園、小学校、中学校、工業高校、また、特別支援学校を中心に据えて、関係機関と地域社会の組織及び関係者の連携を図りつつ、こどもの健全育成を推進して、充実強化を図ることを目的とした会であり、年に3回会議を開いているっていうところから記念イベントが今回開かれてたところがあります。このように、地域発信の行事を支えるための仕組みづくりだったり、補助を行うっていうことが地域力向上のためには大切であるんじゃないかなと思います。
例えば、「いわてこどもの日」っていうふうに題して、子育て支援だけではなく、全世代でイベントづくりをするなどそういうような思い切ったものがあると素晴らしいなと思います。その中で学生がボランティアとして参加したり、高齢者の力を借りて昔遊びを教えてくれるブースがあったり、世代間交流がなされるようなイベントのあり方っていうのが重要ではないかなと思っています。昔はどの地域でも当たり前にやってきたことを、より大きな枠組みで社会に広く世代間で交流し合う場を行政も一緒になって実施していくことで、地域全体の地域力向上を目指すことがよりよい社会づくりの一助になるのではと思っております。その中に、各企業が行政と連携して支援を促進する仕組みやイベントづくりを合わせていくと、企業においても子育て世代に対する理解が高まるようにしていく。そうすることがよりよい社会づくりの方法となると思っております。
三つ目ですが、現在、子育て政策っていうのはこどものためにと言われつつ、大人目線であるのではないかなというふうに思っています。保育料無償化だったり、児童手当、一時預かり、こども誰でも通園制度、どれをとっても、どちらかというと親支援の名目の方が強いのではないかなというような印象があります。今の社会というのは、世代間にすごく隔たりがありまして、こどもを散歩に連れて行くと、うるさいと園に苦情が寄せられたり、ボール遊びができない公園、自由に穴が掘れない芝生だけの公園というようなものがあって、土が汚いとか、虫が嫌いとか、そういうこどもたちがすごく増えてきていますし、親の生活リズムに合わせざるを得ないこどもたちというのがすごく増えていますので、朝ご飯も満足に食べていないこどもっていうのも多くいると思います。様々な理由から、各世代が自分たちが困るという理由で、こどもたちの経験というのが阻害されています。遊び場所としての公園も、危ないからと遊具が消えました。大きくなると管理が大変と木が切られ、草むしりができない。草を刈る予算がないということで芝生となってしまう。子育て家庭では、ゲームやスマホを与えていれば子育てが楽という考え方をしている家庭っていうのも多くおられます。昔は自分の家の前とか地域の空き地で遊んだ経験っていうのがありまして、その中で自発的に遊べたということが、今は自発的に遊べる環境がないという考え方になっていると思います。大事なのは箱ではなく意図した経験の場、こどもたちが経験できる場を作るっていうことではないかと考えます。こどもたちが生きる上で必要な経験を得られる場がどんどん減っていますので、国や行政や企業が何かを決めたり始めるときにも、こども目線でも考えるという視点という行動が大事となっていきますし、こどもにとってということを考えるためにも、こどもの意見を聞くことは大事なことですけれども、やっぱり大学講師などの専門的な知識がある方、そういう方の意見をもらうっていうことが、今後何かを進める時には非常に大事になっていくんではないかなと考えております。今後もイベントなどでこどもと一緒に楽しむ経験を子育て世代のみならず、広く様々な世代に知らせるようにしながら、同時に、保育という仕事の素晴らしさを社会に伝える活動を続けていきたいと思います。ありがとうございます。
小野部長
どうもありがとうございます。やはり、これからは地域の力が問われているんだといったことで、特にその世代を超えて、一緒になって交流企画をしながら交流することが重要。また、最後、木村さんの方からこども目線で考えることの重要性といったこともお話をいただきました。知事からお願いいたします。
達増知事
いろんな人がつながっていくことが有効で、イベントというのがいろんな人が集まるきっかけとして非常にいいということなんだと思うんですね。歌ったり踊ったり、あと、その昔遊びとか。そういう昔遊びっていうのは、「せっせっせ」とか「ずいずいずっころばし」とかっていうものしか思いつかないんですけど、そういうことなんでしょうか。
木村 暁朝
「こままわし」とかありますし、やっぱり、「メンコ」とか。
達増知事
「けん玉」とか。
木村 暁朝
そうですね。「けん玉」とか。やっぱり、お年寄りの遊びって多彩ですね。今のこどもたちって自発的に遊びを考える力も弱いので、そういうところで自然の力を借りながら、遊びに変えるっていうのは、やはり高齢の方の特技だと思います。
達増知事
こどもと楽しむイベントに、大人もまたこどもと一緒じゃなくても、大人もそれを見物に来るとか、そういうように広がっていくといいのでしょうね。テレビで動物動画スペシャルとかに赤ちゃん動画も混ざっていて、赤ん坊やこどもというのは他人のこどもでも見て楽しいってのがあるはずなんですよね。最近、YouTube動画などで、一度そういう動画を見始めると、次々と関連動画が出てきて、何か月かの赤ちゃんがただ初めて寝返りを打てるようになるっていうだけの動画でもすごくかわいいので、大勢の人がそれを見たりしていますし、だから、こどもをうるさいだとか邪魔などという屈折した価値感を逆転させるようにしていかなければならないと思いますね。こどもが楽しむためのイベントというのは、大人が見ても楽しいというようになる可能性についてはどう思いますか。
木村 暁朝
やはり、そういう場を作ることが、まずはこどもの有用性とか、こどもっていいなっていうふうに見てもらえる社会づくり。そうなると、こどもを容認しやすくなったり、働きやすい、休みやすい、そういうようなことに最終的にはつながっていくんじゃないかなと考えます。
達増知事
こどもが楽しむ場としては、前から運動会や文化祭の生活発表会のようなものがあると思うのですが、チームファンタジスタとしては、そのようなものとどのようなところに違いを出しているんでしょうか。
木村 暁朝
チーム・ファンタジスタの活動でいうと、私たちが自発的に活動するというよりは、例えばこの時間で子育てイベントを開くので、こどもたちと一緒に触れ合ってくださいだったり、保護者の方と一緒に触れ合う機会を与えて遊びを伝えてくださいというような、そういうことがすごく多いです。そういうことも大事ではあるんですが、例えば、ふれあいランド祭にも私たちが呼ばれて行ったりするんですけど、あそこにはステージがあって、様々な団体が発表するのをお年寄りも見ていかれますし、こどもたちも私たちが行くと、うちの園のこどもたちもいっぱい来るんです。そうやって、こどもたちが踊ったり歌ったりするのをお年寄りの方が嬉しそうに見てらっしゃいますし、その中に、こども食堂だったり、色々な企業さんが子育てにこういう商品がある、県や市でこういう子育て支援をやってますよっというところがより深まっていったり、意図したイベントっていうところで、もっと大きくなっていくと、ますます良いのではないかと思っています。
達増知事
はい。ありがとうございました。
小野部長
ありがとうございました。ここまで4人の皆さんからお話をいただきました。じっくりお話をいただいておりまして、2順目のところですがお時間が5分ぐらいになってしまいました。お二人ぐらいから何か追加のコメントとかございましたら、是非いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。宇津野さんからお願いいたします。
宇津野 泉
保育に対してのネガティブキャンペーンみたいな悪いニュースが続いたじゃないですか。それって、とても困るなあと思ってるんですよね。養成校の先生方もおっしゃってるんですけど、保育教諭、保育士になるというところを将来の夢として選ばない若者が増えていると。以前は、幼稚園の先生になりたい、保育園の先生なりたいというのはあったんですけどそうではない。こどもに関わる現場はとっても疲弊しているというようなところだけが前面に出て、だから、処遇を改善しなきゃならない。処遇改善で手当てが上がるんだなんて、今やってますけど、どれだけ保育園、幼稚園、こども園の先生たちは苦労しているんだろうっていうような見方も反対にされてるのかなと思うんですよね。なので是非、こどもの現場はとってもやりがいのある場なので、そういうところに夢をいだいて、若者たちが大人になって選んでいただけるようなふうになったらいいな。あとは、もう少子化少子化って言ってるから園はなくなるだろうと。就職先がないだろうっていうような見方もしている学生さんもいるようなので、そうではない。そこのところは必ず確保されて、なお、重要な役割だからどんどん処遇が良くなってるんだっていうのを前面に出していただければいいなあというふうに思っています。
達増知事
風評被害にならないようにですね。
宇津野 泉
風評被害になってますよね。
小野部長
ありがとうございます。では、天沼さん、お願いします。
天沼 ちさと
こども中心というタイトルなんですが、こどもたちからの声をお届けするの忘れていたなと思いまして、私が関わってきたこどもからの言葉を二人分お伝えしたいなと思っています。
一人は3年生の男の子。外遊び大好き、水遊びも大好き。ちょっとやんちゃな男の子なんですけど。春になりました。公園で遊ぼうと思ったら、蜂が飛び始めました。蜂が飛んでる公園には行かないでくださいとなります。何で今日も公園に行けないのかと。そして、木に登ろうとしました。私は津志田地区なのですが、一本だけ登ってもいい木という暗黙のルールがあるんですけど、なかなか他の木はもう登りづらいということ、他人の目も気になって、保育所もいいよと言ってあげられない現状があります。そして、花を摘んだり、葉っぱを取ったりもするんですけど、北欧の方とかスウェーデンとかノルウェーとかだと、本当に小さい保育園や幼稚園、生後から自然とのつき合い方を教えてもらってる国ですので、どういう花を取ったらよくて、どういう草を取っちゃ駄目かとか、どういう道を通ってよくて、どこまでは入っちゃいけないのかというのは幼少期には教わっているそうです。だけど、日本ではその教育がなされていないので、もういいよ、自由にってやると大変なことになるんですよね。こどもたちの世界では取っていいのか取っちゃいけないのかってすごく先生たちが怒って、外遊びすら禁止になるみたいな現状があったりします。そして、夏になると今度は計測器を見て、だめだ黄色になってるから、今日は外に出れないということが長いこと続きます。夏の間、外遊び禁止。学校ではプールも禁止になっておりますので、プールも行けない。先生たちが外に小っちゃいプールを出してちょっと我慢するかみたいな現状が続いております。そして、夏から秋にかけてザリガニ。あそこの川にはザリガニがいるんだぜ。あそこの川入りたい。駄目よ、あそこの川は入っちゃ駄目って盛岡市の人が言ってるから、ということで川にも入れずに、ザリガニ釣りはこどもたちがここならいいかな、ここの下にはいるんだけど、糸をたらして引っかかるんだけど、用水路の網がじゃまをして上がってこないんだ、なんて。こどもたちが工夫しながらなんですが、なかなか外遊びが制限されているっていう感じがあります。
もう一人は女の子なんですけど、学級閉鎖などの学級崩壊とかが結構進んでいるというか、まだまだ小学校の1クラス、先生とこどもたちの対立が結構すごい学校が多いのかなあと思っておりまして、その女の子からは、学校でも学童でも大変なこどもたちに先生が取られて、私たちの方には誰も来てくれないと。私、先生と遊びたいのに男の子たちとか、やんちゃなこどもたちの方にばっかり先生行っちゃって、私は先生たちとなかなか遊んでもらえないんだよねというような声が聞こえてきます。発達にもすごくグレーゾーンだったり、発達障害というところがぐんぐん増えてきていますので、そこに対する先生達の配置の仕方というところも、そっちにばっかり取られすぎて、5人いたら5人取られますから、そういうところも少し考えていただきたいなと思います。
小野部長
こどもたちからの声、ありがとうございました。お時間の方が来てしまいました。もっとお話いただければというふうに思ったんですけれども、本当に申し訳ございませんが、意見交換につきましては、ここまでにさせていただきます。特に、親子で安心して暮らせる、生活できるようにということで、困ってるところに支援の手を届けられるようなことが重要である。そして、地域世代、切れ目のない支援といったことも重要ということでお話いただきました。そのための持続できる活動のために様々な行政としての支援も必要である。本日は4人の皆様から様々お話いただきました。県の行政にしっかりといかして参りたいと思います。
知事所感
小野部長
それでは、最後に知事からお願いいたします。
達増知事
現場では早い変化が起きているので、行政側は油断してるとその現場の変化に気がつかないまま、古いイメージで古いやり方で的外れなことを続けることになりがちなので、やはり、この現場の声を伺って、変化にきちんと対応してかなければならないということを感じました。変化に敏感になって、それに合わせて制度を変えたり、やり方を変えていくようにして参りましょう。ありがとうございました。
小野部長
皆様、本日は本当に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
閉会
小野部長
それでは、これをもちまして県政懇談会を閉じさせていただきます。今日は本当にありがとうございました。本日いただいた御意見につきましては、県の関係部局と共有して、今後の県の施策にしっかりといかして参りたいと考えております。本当に、本日はありがとうございました。
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