令和3年2月17日知事会見記録

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開催日時

令和3年2月17日 10時30分から11時1分

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
 まず、先ほど県の地球温暖化対策推進本部会議で、気候非常事態宣言を決定しましたので、発表します。
 「いわて気候非常事態宣言」
 近年、世界各地で猛暑や台風、集中豪雨などの異常気象が頻発しています。
 2015年に「パリ協定」が採択され、脱炭素社会を目指す取組が世界各国で始められていますが、昨年の世界の平均気温が過去最高となるなど、地球温暖化に歯止めがかかっておらず、世界の気候は、今まさに非常事態に直面しています。
 本県においても、平成28年の台風第10号、令和元年の台風第19号により甚大な被害が生じ、大雨災害のリスクが増加していること、また、海水温の上昇等により、秋サケの漁獲量が極端に減少していることなど、県民の生活や本県の豊かな農林水産物に深刻な影響が出ています。
 人々の生活が脅かされる世界共通の大きな試練に、一刻も早く効果的に取り組み、自然環境や資源・エネルギー、社会基盤などを持続可能なものとして次世代に引き継いでいく必要があります。
 今こそ、私たちには、経済社会活動や生活様式の変革など、あらゆる面において、自分のこととして覚悟を持って行動し、協働することが求められています。
 気候変動が差し迫った危機であることを県民一人ひとりが認識し、共に行動していくために、ここに、気候非常事態を宣言し、温室効果ガスの削減を図る「緩和策」と、災害から県民の命を守る対策等を行う「適応策」に一体的に取り組みます。
 今後、本県では、「温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロ」の達成に向けて、省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入に、これまで以上に積極的に取り組むとともに、本県の強みである自然の豊かさを最大限に活用し、地域経済や県民の生活の向上にもつながるよう、オール岩手で気候変動対策に取り組みます。
 令和3年2月17日、岩手県知事 達増拓也。

 2つ目の発表事項は、「東日本大震災から10年記憶と教訓を未来の力に。」をテーマに、県外向けポスターと動画を新たに制作しました。
 新しいポスターは、こちらにあるように、「祈り―震災遺構―」、「いわての学び希望基金」、「生活支援相談員の皆さん」、「いわて感染制御支援チーム(ICAT)」の4種類です。
 これらのポスターは、2月22日から3月19日にかけて、県内外の自治体や団体等で開催される「岩手県復興ポスター展」や、3月11日前後に行われる都営地下鉄での中吊り広告などにより、岩手の復興を発信します。また、県内市町村、関係機関、支援団体に配布します。
 ポスターと連動して動画も制作し、本日から公開します。
 岩手県特設サイト「いわてとあなたが、つながるページ」と、ユーチューブ(YouTube)の「岩手県公式動画チャンネル」で公開します。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
 気候非常事態宣言についてですが、県のほうでは、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを掲げていますが、非常事態宣言を発出される意義というか、それを改めて知事のほうからお考えをお願いします。

知事
 まず、去年の県議会で、岩手県として気候非常事態宣言を行うことを求める請願が採択されています。そして、事務方のほうの動きとしても、来年度から10年間、新しい岩手県地球温暖化対策実行計画を策定して、今議会、今日から始まる議会に提案することとしていますので、ビジョンを描きながら、具体的な工程表も示しながら取り組んでいくことができるというタイミングもあって、気候非常事態宣言をしたものであります。

記者
 温暖化の部分に加えて、近年では気象による大規模災害等も発生していますが、そのあたりも対策等を行う適応策として盛り込まれていますが、このあたりについてお考えをお願いします。

知事
 緩和策と同時に、適応策にも取り組むということで、今までなかったような自然災害が起きるということに対しても、しっかり対応をしていきます。特に来年度からは、復興防災部として、過去の災害の経験を生かしながら、新しい災害にも対応していくという体制になりますので、そこを中心に県全体で対応していきたいと思います。

記者
 私も気候非常事態宣言についてです。省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入について、これまで以上に積極的に取り組むとありますが、これについて具体的にどういった事業等をイメージされていらっしゃるのかということと、オール岩手で取り組むということですので、県が旗印を掲げて、県民一人ひとりの協力が不可欠ではないかと思います。そうした周知についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
 県内の中小事業者等を対象に、LEDや空調設備などの設備の導入に補助をします。それから、家庭用の再生可能エネルギー機器の購入を支援する事業も行います。県でも県立美術館でLEDを導入することで、かなり節約することができましたし、療育センターも建て替えによってかなりCO2削減に成功しています。設備によって削減することというのはかなりできますので、そこをしっかり支援していきたいと思います。あとは、省エネ意識を高めるということもやはり重要ですので、今日の気候非常事態宣言も岩手県の木であるナンブアカマツを使用したものに刻みまして、県民の皆さんにも浸透するよう工夫していきたいと思います。

幹事社
 遠野には、メガソーラーの規制条例があったと思うのですけれども、ちょっとそれに逆行する流れもあるようなのですが、知事のお考えをちょっとお伺いできればと思います。

知事
 環境を守るという視点から、省エネに役立つような施設であっても環境破壊にはならないようにということで、環境を守るということと、CO2削減を両立させようという試みだと思いますので、そういうことは広く行われてしかるべきと考えます。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事者質問の用意はありませんので、各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
 島根県の丸山知事が東京オリンピックの聖火リレーについて、中止をすべきではないかというような見解を示されています。一つの都道府県の県知事がこのような発言をされたということで、改めまして東京オリンピックに対する知事の見解をお聞かせください。

知事
 基本的には、新型コロナウイルスの流行によって開催が危ぶまれているということだと思いますので、東京を含めて、新規感染者をほぼゼロに持っていくことで、オリンピック・パラリンピック開催の可能性は現実的なものになっていくと思いますので、やはり新型コロナウイルス対策を徹底していくことが大事だと思います。

記者
 そうしますと、知事としては、今のところ感染状況さえ収束するのであれば、特に聖火リレーの中止ですとか、そういったことをする必要はないというお考えでしょうか。

知事
 感染状況に応じた、関係者の安全や健康を守るための措置というのは、臨機応変にしていかなければならないと思います。局所的にクラスターなどで新規感染者数がどんどん増えているような場所で、何かオリンピック関係の行事が予定されていた場合には、中止や延期ということは検討しなければならなくなると思います。

記者
 新型コロナウイルスの関係で、本日から(全国で)医療関係者に向けて、優先的にワクチン接種が始まります。今後、県内では、医療従事者の方に来月中旬以降、全国的に見ても4月から高齢者に一般接種が優先的にスタートされるというスケジュール出ていますが、改めて知事に、県内の医療従事者あるいは一般接種に向けた今の課題と、あと、どのぐらい検討が進んでいるか、現状でどのように捉えているかを教えてください。

知事
 県がやる医療従事者への接種については、どこでやるかという接種場所になる医療機関を決めるというところまで来ていて、場所については大分具体化してきていると報告を受けています。国がまず優先、医療従事者の接種をやってみせて、次に県、全国都道府県が医療従事者への接種をやってみせて、それらを参考にしながら市町村も住民の皆さんへの接種を高齢者から順番にやっていくことができるということで、そういう流れができていけばいいなと思います。

記者
 これは全国知事会でも議論されていることだと思うのですけれども、ワクチンの獲得競争というのが国際的に激化している中で、ワクチンの供給ということがまず肝腎なのだと思うのですが、改めてその点について国に求めること、あるいは地方としてできること、準備しておくべきことは、どのように捉えていらっしゃいますか。

知事
 日本もワクチンを開発できるような国であればいいなと改めて思います。これは普段からの国内における医薬産業政策というものが、いざ非常時に実を結ぶわけですけれども、コロナワクチンについては、アメリカとEUの間でもワクチンの取り合いみたいなことが起きているという報道を見ましたし、生産されている国や地域同士でもそのような、予定どおりにはいかないところがあるということなので、まして生産が行われていないわけではなくて、自主開発も行われてはいて、ただ、今すぐには用意できないということではある日本ですが、中々、いつ、どのぐらいのワクチンが国内にあるか不透明という状況については、これは仕方がないのかなと思います。

記者
 ありがとうございます。加えて、先日、大きい地震がありまして、停電したところもありました。今、超低温の冷凍庫が届いているところは自家発電等があって、非常電源、バックアップがあるので大丈夫だとは思うのですが、こうした災害にもワクチンを適切に保管し、供給されたものを小分けにして送ったりする体制というので、やはり日本であれば、特に岩手も同じように、災害時でも安定的に保管、供給できる体制が必要と思います。その点については、どのようにお考えでしょうか。

知事
 ワクチンの取扱いについても、様々不測の事態、自然災害などの不測の事態などにも備えながらやっていくということが基本だと思います。

記者
 そのことに関して、当然、十分これから検討されると思うのですが、必要に応じて、やっぱり国に、知事会等を通じて要望が改めて必要だと思うのですが、今のところそういう動きというのはありますか。

知事
 一方で、何か地震があっても箱は揺れないとか、何があっても箱は壊れないみたいな、そういう堅牢な箱ができるまで、ワクチンの輸送などをしない、というようでは、やはり駄目であって、できるだけ早くワクチン接種は始めて、かつ終わらせる必要があると思うのです。ですから、スピードということもやはり大事ですので、その兼ね合いの中でしっかりやっていくということだと思います。

記者
 ありがとうございます。あと、別の質問をもう一つ、(東京)オリンピック(・パラリンピック)組織委員会の森喜朗会長が御自身の発言をめぐって辞任されて、今、組織委員会で新たな会長の選出の作業に入っております。前回もお聞きしましたが、改めて今回の発言をめぐる辞任と、あるいは改めて会長の選出に関して、知事の受け止めというか、御見解を教えてください。

知事
 この前も言ったように、組織委員会が組織的に対応すべき状況ですので、組織的に今、対応しているというのはいいことだと思います。ただ、求められているのは、東京2020オリンピック・パラリンピックというものが、きちんと世界と共有できるような、平等や自由など、そういう理念の下に行われるのだということをまず諸外国に、国際的に広めなければ納得してもらわなければなりませんし、あとは国内的にも、伝統的には男女の古い役割意識のようなものが昔はあった日本かもしれないけれども、今はそうではないようにしていくのだという、そういう決意を組織委員会として国内の人たちにもきちんと伝えて、国民に支持され、ボランティアをやると決めた人が喜んでボランティアをやるような環境を、組織委員会が責任を持ってつくるということが今求められていると思います。

記者
 しつこくて申し訳ないのですけれども、改めてお聞きしたいのは、組織委員会の会長として、森前会長が女性を蔑視するような発言をしたことは、やはり今回、世論的には批判があったり、擁護がありましたが、知事としては、組織委員会の会長として発言したことに対して、間違っていたのか、それとも間違っていなかったのかというのは、どう捉えていらっしゃるのでしょうか。

知事
 今、世の中に求められているのは、組織委員会がきちんと、さっき言ったような対応をするということだと思います。

記者
 新型コロナウイルスの関係で、県内の飲食店をはじめ関連産業等々、緊急事態宣言対象外の本県であっても時短営業なり、かなり利用者が減っているという状況だと思います。県として、そうした事業者さんを支援するために支援金の制度を創設されるとのことです。この支援金について、どういった制度設計になりそうかというのを現時点で伺える範囲で結構ですので、伺えますでしょうか。

知事
 飲食店の皆さんが非常に困っているということは、県も様々な調査をしていて、時間短縮や休業を行っている飲食店が半分以上になるという調査結果もあります。緊急事態宣言対象地域でないにもかかわらず、あたかも緊急事態宣言地域であるかのような、そういう感染対策が取られているような形になっていて、その中で収入が大幅に減っているということについては、やはり公的に支援すべきことと思っておりまして、それは国が緊急事態宣言地域内で、協力金の形で思い切った支援をしているようなことを、全国に広げるべきということで、全国知事会もそこは一丸となって求めているところですけれども、年末年始、12月から1月にかけての収入の落ち込みということについては、いつまでも待っていられないということがありますので、国の支援の決定を待たずに、県としても支援をしなければならないと考えています。飲食店だけでいいのか、どこまで対象にするのか、また具体的な金額については、検討しているところでありますけれども、いずれ支援金という形で、県としてもさらに追加的な事業をしなければならないと考えています。

記者
 ありがとうございます。そうしますと、当然、財源というものも必要になってくるかと思うのですが、これはあくまでも国の支援を待たずに県として独自にそういった制度を設けるというふうに捉えてよろしいでしょうか。

知事
 国が何か決める前にもやらなければならないということですので、国が新しい何かそういう県や市町村への給付金事業ということを追加的にしない中でも、(県が)やらなければならないと考えています。

記者
 ありがとうございます。そうしますと、具体的な仕組み、金額等は検討されているということですが、どういったことに活用してほしいという想定というのはございますでしょうか。

知事
 基本的な考え方は、売上げの激減で、このままでは資金ショートで直ちに店を閉めなければならないとか、営業活動が全然できない、物を買うこともできなくなる、物を仕入れることもできなくなるとか、そういうことを防ぐということです。

記者
 ありがとうございます。おっしゃるとおり、年末年始で当座の資金も稼ぐのも大変だということも多いと思うのですが、時期としては、当然、議会を経る手続もあるとは思うのですけれども、支給目処どとしては、いつ頃というようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。

知事
 今年度の補正予算という形で事業化したいと思います。

記者
 予算の議決を経て、速やかに設計して、すぐに支給されたいということでよろしいでしょうか。

知事
 そうですね、そういうことです。

記者
 13日の地震についてお伺いしたいのですけれども、大きな地震で、さらに1週間程度は余震の警戒が必要だという発表がありました。特に先日、夜間の地震で、住民の皆さんの避難呼びかけということが1つ課題だったと思うのですけれども、その点、震災の教訓が生かされていたかどうか、あるいは今後、どういった課題があるか教えていただけますでしょうか。

知事
 岩手県内については、大きく物が壊れたりとか、そのまま自分の家にいられなくなるというような強い地震ではなかったと承知しておりますけれども、それぞれ市町村や県で、警戒本部や、そういった状況を把握するための体制を地震直後から立ち上げて、何か必要なことはないかと検討し、消防の緊急(消防)援助隊も岩手県内で待機モードに入ったと報告を受けたのですけれども、結局、宮城県、福島県のほうで、他県からの応援は求めないということで、待機を解除したというようなこともあり、そのように様々、空振りに終わっても色々な準備をするというようなことは行われたのかなと思っています。

記者
 ありがとうございます。余震が続くということで、不安に感じておられる住民の方、たくさんいらっしゃると思うのですけれども、知事のほうから改めてメッセージがあればお願いします。

知事
 東日本大震災津波を引き起こした地震の余震というのは今でもあり、あのくらいの強さで起きることもあると。そもそも余震でなくても、大きい地震があって、そしてまた大きい津波になる可能性も、それは今日にでもあることですので、いざ地震があったら津波のことも念頭に置き、対応をしていただくよう改めてお願いしたいと思います。

広聴広報課
 それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次回記者会見

次の知事定例記者会見は3月5日(金曜日)の予定です。

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