令和3年2月8日知事会見記録

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開催日時

令和3年2月8日 15時30分から16時39分

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 それでは、令和3年度当初予算案、「命を守る幸福希望予算」について説明します。(説明資料の)A4横の「令和3年度岩手県一般会計当初予算案のポイント」の1ページ、令和3年度当初予算案一般会計の状況を御覧ください。令和3年度当初予算は、新型コロナウイルス感染症対策の徹底、東日本大震災津波からの復興を着実に進め、県民の命を守り、いわて県民計画(2019~2028)が目指す希望郷いわての実現につなげていく予算として編成しました。
 感染拡大防止や医療提供体制を強化し、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期します。
 社会経済活動を支える取組や、地方創生、デジタル技術を活用し、新たな働き方、暮らし、学びの場を発展させる取組を実施します。
 東日本大震災津波からの復興については、被災者の心のケアなど、必要な取組を着実に実施します。
 いわて県民計画の下、県民の幸福度向上を図る10の政策を着実に推進しながら、新しい時代を切り拓くプロジェクトとして、ILCの誘致や北上川バレー・三陸・北いわての3つのゾーンに関する事業などを展開します。
 東京2020オリンピック・パラリンピックが復興五輪にふさわしいものとなるよう、岩手の復興の姿を世界に発信する事業を行います。
 中期財政見通しを踏まえ、財政健全化に配慮しました。
 予算の規模は8,105億円です。新型コロナウイルス感染症対策は959億円です。令和2年度2月補正予算に感染対策や経済対策、大雪被害への対応予算を計上し、当初予算と一体的に対応します。
 2ページ目を御覧ください。歳入の状況については、震災分は復旧、復興事業が進み、国庫支出金や基金繰入金等が減少しています。通常分は、県税収入の減少を見込んでおり、実質的な一般財源は36億円減少しています。
 歳出の状況については、震災分は復興道路の整備や防潮堤の整備が進んだため減少し、前年度と比較して約1,945億円、率にして74.4%の減少となります。通常分は、公債費の減少や公共事業費の一部を令和2年度に前倒し実施することなどにより減少する一方で、新型コロナウイルス感染症入院施設等の確保など、感染症対策は959億円で、前年度と比較して約726億円、率にして10.8%の増となっています。
 公共事業費については、令和2年度2月補正予算と一体的に計上することとしており、2月補正と合わせた予算としては前年度の1.5倍の規模です。
 3ページ目を御覧ください。いわて県民計画に基づき、復興を県政の最重要課題として事業を着実に進めます。
 安全の確保では、完成していない一部の社会資本の早期整備に取り組みます。
 暮らしの再建では、いわて被災者支援センターを新設します。引き続き心のケアやコミュニティー支援などに取り組みます。
 なりわいの再生では、事業者の成長に向けた支援を行います。水産資源の回復や水産加工業の人材確保などに取り組みます。
 未来のための伝承・発信では、いわての復興教育を就学前教育に拡充します。10年間の復興支援への感謝を伝える様々なイベントを開催します。令和3年度は、新たに設置する復興防災部の下で、防災推進国民大会2021や三陸TUNAMI会議等を通じて、世界の防災力向上への貢献を目指します。
 復興五輪として開催される東京2020オリンピック・パラリンピックに呼応した事業を進めます。三陸地域の魅力のさらなる発信や交流の活性化を図ります。
 10の政策分野に基づく主な施策。
 健康・余暇分野では、医師の労働時間短縮のための体制整備や、障がい者の就労施設への支援などを行います。障がい者支援施設、みたけの杜の整備等を進めます。
 家族・子育て分野では、アプリを活用したプッシュ型の子育て支援情報の発信を行います。新婚世帯に対する新居の住居費用の助成などを行います。宮古児童相談所の新築整備に取り組みます。
 4ページ目を御覧ください。教育分野では、遠隔教育ネットワークの構築を進めます。いわて幼児教育センターの設置準備など、児童生徒の確かな学力を育む取組を進めます。豊かな人間性・社会性、健やかな体を育む事業に取り組みます。県立釜石祥雲支援学校の建築工事等を進めます。
 居住環境・コミュニティ分野では、県営住宅の空き住戸にWi-Fi環境をモデル的に整備し、若者の住宅支援を行います。地域コミュニティを守り育てる取組、日本語学習機会の確保に取り組みます。
 安全分野では、地震津波防災対策を強化するため、調査を実施します。登下校時の子供の安全確保や特殊詐欺被害予防など、安全安心に暮らせるまちづくりに取り組みます。第16回食育推進全国大会inいわてを開催し、食育の意識醸成に取り組みます。
 仕事・収入分野では、中小企業振興やものづくり産業集積に取り組みます。東北デスティネーションキャンペーンを通じた観光振興を進めます。モーモープロジェクトなど、農林水産物の付加価値向上、販路拡大に取り組みます。
 5ページ目を御覧ください。歴史・文化分野では、御所野遺跡の世界遺産新規登録に向けた事業を進めます。平泉の文化遺産の世界遺産登録10周年記念事業など、世界遺産を活用した地域振興を進めます。
 自然環境分野では、いわての森林づくり県民税を活用した森林環境の保全に取り組みます。家庭、産業部門の省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入に取り組みます。
 社会基盤分野では、デジタルトランスフォーメーション、行政のデジタル化を推進します。
 参画分野では、女性の職業生活における活躍を促進します。
 令和3年度は、若者活躍支援と移住・定住、関係人口の拡大を一層強化し、政策横断的、部局横断的に取り組みます。
 若者への住宅支援では、ライフステージに応じて県営住宅(の空き住戸)へのWi-Fi環境整備、住宅費用の助成、県産木材活用助成などに取り組みます。(若者活躍の一環として)岩手版リバースメンター制度を導入します。今般のいわゆるコロナ禍に伴う地方への関心の高まりを契機と捉え、移住・定住、関係人口の拡大を強力に進めます。
 新しい時代を切り拓くプロジェクトとして、ILCプロジェクトをはじめ、3つのゾーンプロジェクトを進めます。
 6ページ目を御覧ください。広域振興圏の施策として、各圏域の特性や資源を生かした特色ある事業を展開します。ふるさと振興としては、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の2年目です。岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、岩手とつながるの4本の柱の下、様々な事業を展開します。
 7ページ目を御覧ください。当初予算における新型コロナウイルス感染症対策関連事業です。感染拡大の防止(では)、医療提供体制や相談検査体制の強化、ワクチン接種体制の確保などに取り組みます。
 社会生活、経済活動を支える取組(では)、個人向けの支援や事業者向けの支援に取り組みます。
 デジタルトランスフォーメーションによる新しい働き方、暮らし、学びを進める取組では、デジタル化や先端技術を活用し、新たな時代への変化に対応した社会経済活動につなげる取組を進めます。
 テレワークを促進する機器の導入支援、ドローン物流モデル事業、オンライン授業大型掲示装置(の設置)などに取り組みます。
 また、この冬の大雪による農業被害について、被災した農業者の皆さんが意欲を持って営農再開できるように、2月県議会に提案予定の補正予算案に盛り込む方向で調整を進めています。この具体的な内容については後日公表します。

 次に、令和3年度の組織職員体制の概要について発表します。復興を引き続き県の最重要課題と位置づけ、復興の着実な推進に取り組むとともに、東日本大震災津波や台風災害等からの教訓・知見を危機管理事案への対応に生かし、迅速な復旧・復興につなげていくため、復興防災部を新設します。復興防災部は、復興危機管理室、復興推進課、復興くらし再建課、防災課、消防安全課の1室4課とします。国の復興庁岩手復興局が釜石市に移転するのに伴い、沿岸広域振興局の副局長が復興防災部副部長を兼任し、沿岸広域振興局の復興推進課を復興推進室に格上げします。
 新型コロナウイルス感染症対策の推進体制については、医療政策室の感染症担当課長を感染症課長に格上げします。健康国保課に保健師の特命課長を配置し、(保健所の)保健師を増員します。
 続いて、いわて県民計画の推進に向けた体制ですが、県土整備部にまちづくり担当技監を配置します。科学・情報政策室に情報化推進課長を配置します。簗川ダム建設事務所を廃止し、盛岡広域振興局土木部に流域治水室を設け、流域治水室長を配置します。広域振興局の入札業務について、振興局の経営企画部等から審査指導官に業務を移管します。そのほか各行政分野の課題に応じて特命課長を配置します。
 令和3年度当初における知事部局の職員数は40人程度減少し、4,420人程度となる見込みです。

次に、東日本大震災津波岩手県・陸前高田市合同追悼式の開催について、新型コロナウイルス感染防止対策の徹底を図った上で、東日本大震災津波から10年となる令和3年3月11日に東日本大震災津波岩手県・陸前高田市合同追悼式を開催します。会場は2か所設け、御来賓が高田松原津波復興祈念公園、国営追悼・祈念施設の会場、一般の方は陸前高田市民会館、奇跡の一本松ホールの会場となります。式典中は、国営追悼・祈念施設の模様を奇跡の一本松ホールに同時中継し、インターネットによる動画配信も行います。

以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、本日の発表事項3件について質問した後にその他の質問をさせていただくという形にさせていただきたいと思います。では、今の発表事項3件について、各社から質問をお願いいたします。

記者
 私は、当初予算案の関係なのですけれども、改めて命名で「命を守る幸福希望予算」というふうに名づけられましたが、この理由についてお願いします。

知事
 新型コロナウイルス対策が大事だということです。それに加えて、東日本大震災津波の原点に立ち返り、復興をさらに進めていくということを伝えるためにも命を守るという言葉を最初に持ってきました。

記者
 予算規模としては、復興の進捗状況にもより、昨年度より規模のほうは縮小していますが、その辺りと、あと通常分でコロナ対策が959億円というふうに盛り込まれていますが、その辺りの知事のお考えはいかがでしょうか。

知事
 まずは、必要な予算を確保したというふうに思っています。震災分が減っていることについては、それだけ復興事業が進んだということですので、よかったと思っています。

記者
 知事の中で、今回、主要な施策はありますか。特に力を入れている分野というのはございますでしょうか。

知事
 新型コロナウイルス対策は、力を抜くことができない大変大事な分野だと思っていますけれども、復興のほうも10年間を振り返りつつも、やはり新しいステージに進んでいくというところが大事ですので、復興はやはり最重要課題だというふうに考えています。あとは、復興の成果を生かすということと、コロナ対策にきちっと向き合うところから出てくるテーマでもあるのですが、東京一極集中の是正と地方への人の流れを促していくということです。岩手県にとっては移住・定住の促進ということになりますけれども、これについても様々な新機軸も展開していきたいところです。

記者
 今のお話に出た、地方創生の部分なのですが、そうすると、この資料にもあるとおり、若者の支援ということで、県営住宅の空き室をWi-Fiを整備して貸し出すとか、あと住宅のリフォームの支援も行うなど、この辺りも地方創生、コロナ禍での移住・定住を含めた対応なのでしょうか。

知事
 新型コロナウイルス対策を徹底していくことは、岩手県の感染リスクの低さというものをより確かなものにしていくことで、それ自体、岩手に暮らそう、岩手で働こうということにつながると考えています。コロナ対策の中で、デジタル化を進めるということも岩手をより便利にしていくことにつながります。
 そして、若い皆さんが結婚して家庭を持ち、子供を産み育てるために収入が少ない、お金がないという、そういう課題が指摘されていますけれども、フランス人の学者でピケティという人などは、25歳になった男女全てに日本円にして1,500万円支給すれば、かなりの国が直面する問題は解決するなどと言っているのですけれども、岩手県だけでそれくらいのお金を用意するのは難しいですし、日本一斉にやらないと、お金だけもらってよそに行くということもあり得ますが、土地や建物を提供するということであれば、岩手には結構ストックがありますし、また、岩手の中にいなければ受けることができないことでもありますので、その辺からさらに本気の若者支援というのでしょうか、それを岩手で始められればなと思っています。

記者
 私も当初予算のことについてお尋ねします。一部新規事業が前年度より多いようなのですけれども、一方で様々な未来を切り拓くプロジェクト等には、ほかの事業とも重複しているものがあって、確かに復興事業の進展によって予算規模が下がっているのはそのとおりかとは思うのですが、やはり通常分の規模としてもかなり少なくなっているので、その分かなり苦労もあったのではないかと思うのですが、先ほど知事は、うまく予算を配分できたというような評価もありましたが、改めて財政上の厳しさもあったと思うので、その点も教えていただきたいと思います。

知事
 いわて県民計画の11のプロジェクトというのは、かなり未来的な内容を思い切って入れたのですけれども、実際の社会、経済がもの凄い勢いでプロジェクトに追いついてきているなと思います。それで、普通の事業や予算がプロジェクトと兼ねるようになってきているというのは、そういうことだと思います。そして、コロナ対策ということと、あと復興の事業が、そのまま地方創生にもつながっていくという流れですので、そういう意味では一つ一つの事業、一つ一つの予算が非常に効果を発揮するような局面になってきていると思います。

記者
 そうすると、ややもすると減ってしまうと、消極型なのかなと思いますが、復興事業が落ち着いてきたということの中での予算規模としては、予算としては、やはり積極型のいろんなものに幅広く展開できるような予算編成ができたと知事は評価なさっていると受け取っていいですか。

知事
 はい。幸福関係指標を伸ばしていく、そういう結果を出していきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。あと、3つ目に発表のあった合同追悼式の件をお尋ねします。例年ですと、政府の閣議決定に対応して、その年の合同追悼式等について発表があると思うのですが、今のところ政府ではまだ発表がない中で今回の発表に至ったことに関して、どういう意図で今回の発表に至ったか教えてください。

知事
 復興大臣も何らかの形でやるという趣旨のことは、公にされているから、いいのではないでしょうか。

記者
 そうすると、(3.11まで)もう1か月ぐらいになってきているし、やるのかやらないのかというふうに県民の方としては関心があることなので、早めにそういう政府の説明等も踏まえて今のタイミングで発表したということですか。

知事
 特に変わったことをしているとは思っていません。

記者
 私も当初予算案の関係で、震災対応分が667億円ということで、震災後編成されたもので初めて1,000億円を割り込んでおります。先ほど知事がおっしゃったように、新しいステージに進んでくると。ただ、数字上では少なくなっていますけれども、目に見えない課題も多々あろうかと思いますが、そういった課題意識について伺えますでしょうか。

知事
 予算が減った中で、復興道路関係が602億円、防潮堤関係が286億円、そのくらい減ったというのは、それだけ完了したということなのでよかったと思っています。中小企業向けの貸付金が311億円減っているのですけれども、これはその分貸すべきところには貸したということなので、これもいいことだと思っております。

記者
 ありがとうございます。そうしますと、インフラ整備ですとか、なりわいの再建といったところかと思います。ただ、常々知事がおっしゃっているとおり、心の復興というのはまだまだこれから複雑多様化してくると思います。その辺りについての支援というのは、当初予算に関係していかがでしょうか。

知事
 次のステージに進むということで、次のステージというのは、これはまた大事なステージで、複雑化した問題に対して、より丁寧に対応していかなければならないということで、例えば、いわて被災者支援センターを改めて沿岸被災者の皆さんに寄り添うような形で再スタートするというようなところ、それから専門経営指導員の設置というのは、なりわい関係の新しい事業ですけれども、そういう大きな体制の変化や、また新しい事業の導入ということもしていきます。

記者
 ありがとうございます。先ほど地方創生の部分で、今、社会全体がコロナ禍であって、おっしゃっていたとおり、いろいろ行動変容ですとか、社会の在り方が変わっていくという中で、そうした震災復興とか、通常の事業、10の政策課題に結びつけて、どうやって相乗効果を図っていくかというのが大切だと思うのですけれども、その辺りで特にまた力点を置いた点というのはございますでしょうか、政策体系として。

知事
 もともとお互いの幸福を守り育てるという基本目標からして、岩手で暮らす、岩手で働く、岩手で育てるということにつなげるというところもあるので、県の事業の全てが地方創生に関係しているというところがありますので、様々な経験を積むにつれて、より手段と目的の関係が効果的になってきているというところはあると思います。

記者
 先ほどの震災関連のお話で、10年になって次のステージに進んでいくという話がありましたけれども、具体的にどういうステージに進んでいく、どういうステージを想定していらっしゃるかお伺いいたします。

知事
 この前、日本記者クラブで、10年経っていよいよ復興の総仕上げに入るのですねというような質問があったのですけれども、おしまいのフェーズに入るというよりは、ハードでまだできていないところというのは、それぞれ、それだけ様々な難しい部分があるのでまだできていないですし、心のケア、コミュニティ支援というのも、やはり難しいところがあるので、いまだに課題として残っていると。そういったところに末永くきちっと寄り添って対応していくようなステージだと考えます。そういう意味では、そう簡単に早く終わらせられるものではなく、もちろん理念としては早く終わるにこしたことはないのですけれども、拙速な対応が被災地に背を向けることがないように、きちんと被災地、被災者に寄り添いながら、末永く丁寧に対応していくというようなステージではないかなと思います。

記者
 ありがとうございます。先ほど、今回の予算には未来的な内容を思い切って入れたというような話がありましたけれども、今回の事業の内容の中で、特にそういう今おっしゃった未来的な内容だなと思っていらっしゃる部分があれば教えてください。

知事
 県民計画のプロジェクトが未来的で、基本的にあらゆる分野にICTの活用ということだったのですが、国の政策、デジタル化ということもあって、あらゆる分野にICTを活用するということがかなり具体的な事業としてやれるし、やらなければならないようになってきています。学校現場の生徒1人1端末体制というのも、県民計画をつくったときよりもかなり早く実現させていくような格好になっていますので、それへの対応などは典型的な例だと思います。

記者
 ありがとうございます。あと、今の関連なのですけれども、ICTの活用というのは多くの自治体で今ちょうど取り組んでいるところだと思います。岩手県としては、全国より一歩先を整えるのか、それともまず最低限の環境を整えていく段階なのかについてお伺いいたします。

知事
 Society5.0と呼ばれているタイプの今のICT利活用というのは、学校とか病院とか、あとは農地とか建設現場とか、人々の暮らしや仕事の現場に先端技術が入っていくということですので、そこは岩手らしい、岩手なりのデジタル化というのを進めていくのがポイントだと思います。岩手における産業とか生活様式、社会習慣、そういったものになじむような形でデジタル化を進めていくということがポイントだと思います。

記者
 ありがとうございます。あと、合同追悼式についてお伺いいたします。今回、一般参加の方と来賓の方と会場を分けるということですが、一般参加者の方は県内の方に限るというような自治体もあるかと思いますけれども、岩手県としてはそういう対応を多分取っていらっしゃらないと思いますが、その点についてお伺いします。

知事
 具体的な参加者については、まだ調整中ではありますけれども、一般参加者という整理の仕方、基本的に一般の方は自由に献花をできるようにすると。奇跡の一本松ホールが会場となりますが、一般の方はそこに自由に献花できるということを基本にしていきたいと思います。

記者
 特別、県民の方に限るというような対策ではないということでしょうか。

知事
 今は一般の方と考えているところです。

記者
 合同追悼式の件で、陸前高田市さんを会場にしたわけですけれども、今回たしか2回目だったと思うのですけれども、なぜ陸前高田市を震災10年のタイミングの追悼式で会場に選ばれたか、その理由について教えていただけたらと思います。

知事
 自然体でそうなっていた、いつの間にかそういう方向で準備していたという印象なのですけれども、なぜそこかという理由を説明するには4つの角度からあるとアリストテレスが言っていて、目的、原因、その性質、その本質とあるのですけれども、そういう意味ではごく一部の理由ですけれども、オープン、アウトドアで、しかし厳粛な追悼ができる国営追悼・祈念施設が存在するということと、あとはインドアの一般の方が自由に献花できるような場所も同時に確保できるという、そこは非常にいい条件だなと思っております。

記者
 あと、例えば陸前高田市で3月にいろいろな施設が完成するとか、そういったことも要素としてあったのですか。

知事
 そういうのもアリストテレス的には形態に関する理由であり、また本質に関する理由だと思います。

記者
 あと、すみません、先ほどの質問の中で、一般の人の参加の方法、今コロナの状況で県をまたいだ制限とか、かなり難しいところもあると思うのですけれども、例えば陸前高田市ですと宮城県に現在お住まいの方もいらっしゃると思いますし、関東のほうに被災を原因として住んでいる方もいらっしゃると思います。そういった方の対応については、どのように考えますか。何か特例とか考えていらっしゃいますか。

知事
 そこは、コロナ対策のほうで、人の移動については、まずきちっとコントロールするのが原則で、例えば、今現在東京にいらっしゃる方々は、やはり不要不急な移動は控えるようにということをベースに考えていただいて、その不要不急の中に追悼式は入れないということなのだと思います。ただ、3月11日が近づくにつれて、東京の10万人当たりの1週間感染者数が今は30人ぐらいまで減ってきてはいるのですけれども、まだ15、25人より高いので、そこによって3月11日に関する制限は、コロナ対策の論理でそちらのほうの部局に検討してもらうということになります。

記者
 今回、インターネットでも動画配信するわけですけれども、そういったものを見ていただくとか、そういうこともお願いすることになるかもしれないという、選択肢としてはありそうですか。

知事
 ちょっと個別具体的に相談があれば、相談に乗ります。

記者
 今出ました追悼式について重ねて質問させていただきます。今まさにIATさんとのやり取りの中で出ました追悼は、不要不急の中には入らないということだというふうにおっしゃっていただいたと思うのですけれども、なので難しいところではあるかとは思うのですが、当日の一般の方の献花するスペースに関しては、参列なさる方のお気持ちを尊重される、要は緊急事態宣言が出ているようなエリアであっても、これは不要不急の行動ではないという認識でいらっしゃるのでしょうか。

知事
 そこは、伝え方もこれから考えます。一人ひとりもまた、どういう行動が自分の思いを適切に示す行動かという判断は、また一人ひとりによっても違うのだとは思うのですけれども、基本的に動くことが気持ちを出すことと考える人と、また動かないことが気持ちを出すことというような違いもあるのだと思うのですけれども、そういった様々な方々に共通のメッセージとしてうまく呼びかけられるような案内を考えていきたいと思います。

記者
 同じく追悼式の関連で伺いたいと思います。10年目というある意味で節目ですけれども、改めてこの追悼式、どのように思いを寄せる場にされるというふうに知事はお考えでしょうか。

知事
 新聞、テレビ、そういったメディアの特集もどんどん増えてきていますし、また特別に東日本大震災や復興の特集をしてくれるような定期刊行物も出てきています。東日本大震災も、そこからの復興もそれまで経験したことがなかったようなことなのですが、この10年目の迎え方というのも今まで経験したことがないようなこととして、その日がどんどん近づいてきているなと思います。また、一人ひとり、自分の生き方の問題として、それぞれ3月11日の迎え方というのがあるのだと思うのですけれども、その中でできるだけ、より多くの人たちが力を合わせて、より多くの人たちがお互い理解し合えるような形で3月11日を迎えられるようにしていきたいなと思います。

記者
 先ほどから話も出ていますけれども、やはりコロナということで、献花のスペースを設けても、やはり今は行けないなという方もいらっしゃるかと思うのですけれども、そういう方たちの思いの寄せ方というか、どのようにしてほしいというのを知事、ありましたらお願いします。

知事
 多くの人たちに共通して、行政から一つの案内、一つのメッセージを出していく際、工夫していかなければならないなと思います。そして、できるだけ感染が鎮静化していること。県内でほぼゼロが続き、また日本全体としてもほぼゼロが続いていれば、より3.11を迎えやすくなりますので、やはりコロナ対策ということにさらに力を入れていかなければならないと思います。

幹事社
 それでは、発表事項以外に質問がある方は挙手をお願いいたします。

記者
 先週の土曜日に全国知事会で、知事もウェブで御参加なさったかと思うのですけれども、その中のお話で、ICAT(いわて感染制御支援チーム)の実績について触れておられたかと思います。災害時であったり、今のコロナ禍でICATを常設した効果をどのように感じておられるのかということをちょっと具体的に教えていただければと思います。

知事
 第一に、コロナ前の段階で、沿岸中心に感染対策の指導というのをずっとやってきたということが岩手の感染対策に役に立っていると思います。コロナの後はクラスター対策や、あとは感染された方々が出入りする施設の運営などについて、動線のつくり方など助言をもらっていて、それが非常に役に立っていると思います。青森県でのクラスター発生のときに応援に行って、今言ったようなお手伝いをしてきた実績もありますし、県境を越えてそういう仕事をするチームというのがオールジャパンでつくられるということ、知事会の提言に盛り込まれてよかったなと思います。

記者
 今もお話の中で出たかと思うのですが、オールジャパンでの体制づくりでの課題という、現状でのこれからつくっていく上での課題というものを知事はどのように認識されていらっしゃるのか。岩手の場合は、ICATが常設されていると思うのですけれども、岩手からオールジャパンでつくるときに支援ができること、どういうものがあるかというのが、お考えがあれば教えてください。

知事
 DMAT(災害派遣医療チーム)を参考にしようということになっていますので、普段はそれぞれの地方にいるということです。何かあったときに現場に集まるということになりますので。岩手県は既にICATがありますが、まだない都道府県が多いところが課題ですので、それぞれ自分のところにつくっていかなければならないのだと思います。それについては、福祉版DMATとか、あとは精神医療版のDMATとか、岩手が他県に先駆けてつくった、そういうのは結構あって、そして同じようなものを他県がつくるときにいろいろお手伝いした経験もありますので、ICATについても、そのようにやっていけばいいなと思います。そして、青森県に呼ばれて行ったことがありますので、今でも必要であればそこに駆けつけるというような、貢献ができるかなと思います。

記者
 オリンピックの関係で、森喜朗会長が先日、会議の中に女性がいると時間がかかるというような趣旨の問題のある発言をしたと思うのですけれども、それについて今回の予算でも復興五輪の発信の関係でかなり予算を上げているのですが、知事としてこの発言、どのように見ていらっしゃいましたか。

知事
 特定の団体の役員の構成、会議体の構成についてのことですので、その団体が責任を持ってきちっと対外的に発表すればいいのだと思います。

記者
 森会長のその問題発言を受けて、知事として会長を辞任すべきぐらいの発言だとか、どのように見ていらっしゃるのか、その辺りはいかがですか。

知事
 団体として放置されているとしたら、それは問題ですので、問われているのはやはり団体としてきちっと責任ある対応を取れているかだと思います。

記者
 その団体の責任の部分は、現在果たされているような状況ではないとは思うのですけれども、その辺りどのように見ますか。

知事
 まずは、ラグビー協会の中がこうだという話があって、そしてオリンピック、IOCはそうではないから大丈夫みたいな発言だったと思うのです。それについて、それぞれの団体がどういうメッセージを出しているか、あるいは組織の中で対応しているのか、ちょっと承知していないところがあるので、大きな問題、大勢の人が注目し、海外からも注目されている問題なので、私もちょっと勉強してみようと思います。

記者
 分かりました。あともう一点、GoToトラベルの関係で、今日の国会の衆院の予算委員会で、自民党の佐々木議員が質問に立って、GoToトラベルの再開に関して質問したようなのですけれども、赤羽大臣が地域を限定して再開するのも一案というような発言をしました。先日知事も感染が少ない地域ではGoToを全国一斉に停止せずにやってもよかったというような趣旨の発言があったと思うのですけれども、どのように見ていらっしゃいますか。

知事
 GoToという制度があるがゆえに、今、観光については、GoToが再開されたらお得になるので、それまで控えようという、そういう特殊な消費控えが起きているのではないかという指摘があって、そういう意味でも全国一斉に止めるということはしないほうがよかったと思うのです。ですから、全国一斉に止めてしまったがゆえに、そういう消費控えということも起きてしまっているし、最初からなければ、かえって起きなかったような消費控えが今起きているということです。ですから、なかなかこれを解決する手というのは非常に難しくなっているというのが今の現状なのだと思います。

記者
 ありがとうございます。前回は、再開についてはまだ考えが及ばないということもおっしゃっていましたけれども、今回の大臣の、地域を限定して再開するのも一案ということというのは、そういったものも今後の再開について選択肢になると考えますか。

知事
 岩手は、止めなくてよかった場所の一つだと思うのですが、でも今止まってしまっているというのをどうするかというのはなかなか難しい問題だと思っております。

記者
 私も森会長の発言のことでお尋ねします。今の質問でありましたけれども、部分的な発言とはいえ、多様性を尊重するオリンピックというスポーツの祭典の場を取り仕切る方が、そういう発言をしたのはふさわしくないということで、辞任すべきだという意見や擁護する意見がありますけれども、その点に関してはいかがでしょうか。

知事
 組織としての対応が問われていると思うので、私もさっきIOC(国際オリンピック委員会)と言いましたが、東京オリンピック・パラリンピック(競技大会)組織委員会のほうでしたか、あとそれから組織の問題ということを考えれば、いろんな機会を捉えてオリンピック・パラリンピックの理念をどんどん発信していく、そして世の中が平昌オリンピックのときに、バッハさんが米朝対話を促進するような労を取ったとか、そういう平和とか平等とか自由ということも大事でしょう。そういうことを言葉や行動で、IOCにせよ、組織委員会にせよ、していかなければならないと思います。

記者
 組織の問題という、今の時点ではまず組織の問題ではないかというのがこの一連の騒動に対する知事の受け止めということでしょうか。

知事
 発言者個人として問題になっているわけではなく、組織の一員として、組織のトップとしてそういう発言をしたから問題になっているので、問題は組織の問題と受け止めていますけれども。プライベートな問題ではないということです。

記者
 オリンピックは、特に復興五輪なわけですよね。それで、コロナの状況でやめるべきだという、この森さんの発言にかかわらず慎重な意見があったりするわけですけれども、復興五輪を行う中で、森さんが組織委員会のトップでいるということに関しては、特に知事は今、何か付け加えるような所感等があるでしょうか。

知事
 コロナとの関係で言えば、やはり10万人当たり15人というのを超えて、ほぼゼロを目指していくことによって無観客開催というのが現実的なものになっていくでしょうから、まず東京においてもほぼゼロを目指すということが肝腎なのだと思います。できる、できないの話は、それに付随すると。コロナ対策がまず国として全力で取り組まなければならないことだと思います。そして、IOCとか組織委員会がやるべきことは、開催の暁にはそれを成功させるためにあらゆることをやるということだと思います。

広聴広報課
 それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次回記者会見

次の知事定例記者会見は2月17日(水曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
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