令和2年5月26日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1030854  更新日 令和2年6月22日

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令和2年5月26日(水曜日)
県庁12階  特別会議室

発表事項:

  • 「いわての復興教育」副読本「いきる かかわる そなえる」の発行について

質問事項:

  • 副読本の「高校用」を新たに追加したことについて
  • 震災を経験していない世代等にどう伝えていくかについて
  • 復興教育の授業時間の確保について
  • 震災から10年の節目に向けての県教委の取組ビジョンについて
  • 中高生の体育、文化関係の大会の中止に伴う代替大会の開催や指針について
  • 9月入学導入の是非について
  • 部活動の活動時間等の緩和について
  • 教員採用試験へのコロナウイルス感染症の影響について
  • 代替大会の開催におけるコロナウイルス感染症対策について

質疑応答

(教育企画室)

 ただいまから教育長記者会見を始めます。

 本日は、教育長から発表がございます。

 佐藤教育長、お願いします。

 

(教育長)

 「いわての復興教育」副読本「いきる かかわる そなえる」の発行について発表します。

 県教育委員会が「いわての復興教育」を推進し、9年目となります。

 このたび、「いわての復興教育」副読本、「いきる かかわる そなえる」を新たに発行することとなりました。

 今月末の発行で、各学校への配付は6月上旬になります。

 本日は、サンプルをお示しさせていただきます。

 発行の目的は、副読本の活用により、「いわての復興教育」をより一層推進し、郷土を愛し、その復興・発展を支える「ひとづくり」を目指すことです。

 副読本は、児童生徒に「いわての復興教育」の3つの教育的価値、いきる、かかわる、そなえる、を育てることをねらいとし、震災経験のない児童生徒、教職員等に教訓を語り継ぐための教材です。

 この副読本は、平成26年5月に小学校の低学年用と高学年用、中学校用を作成し活用してきましたが、今回、新たに高校用を加え4種類とし、内容を一新しました。

 これにより、特別支援学校を含め、小、中、高校の一貫した復興教育を一層推進していきます。

 副読本の特徴として、1つ目は、平成31年3月に改訂した「いわての復興教育」プログラム第3版に対応した内容としていること。

 2つ目は、陸前高田市の「東日本大震災津波伝承館 いわてTSUNAMI メモリアル」を取り上げたこと。

 3つ目は、自然災害のみならず、様々な困難な事象への対応に関係、関連づけ、その課題解決に向けた取組や活動について、地域の状況に応じて考えたり、調べたり、話し合ったりしながら、協働して学ぶことができるようにしたこと。

 4つ目は、小中学校用の3種類、小学校の低学年用と高学年用、中学校用は、郷土への誇りと愛着を育むよう、県内33市町村の御理解と御協力をいただき、全ての市町村の話題を盛り込んだこと。また、県内の取組を自分事として捉え、主体的、対話的で深い学びにつなげることができるよう、各単元に問いを入れました。

 5つ目は、高校用は、県内の高校と特別支援学校の実践事例を様々な切り口で取り上げ、自校の取組と比較、評価、改善することで、各校の復興教育を充実させることができるようにしたこと。

 6つ目は、教師用手引きも工夫を加えて作成したところです。

 今後も、東日本大震災津波で学んだ教訓を学校教育の中に生かし、未来を創造していくために、「いわての復興教育」を本県の教育の根幹に据え、今後も副読本を活用し、児童生徒一人ひとりに「生きる力」を育みながら、「いわての復興教育」を推進していきます。

 

(教育企画室)

 発表は以上になります。

 ここからは、幹事社の進行によりまして質問にお答えする形で進めます。

 

(幹事社)

 それでは、ただいまの教育長の発言につきまして、質問がありましたら発言をお願いします。

 

(記者)

 今回の副読本について、高校用の教材を改めて作った理由を、もう少し詳しく説明いただけますでしょうか。

 

(教育長)

 配付資料にもありますとおり、県内の高校生及び特別支援学校の高等部の生徒等に郷土に愛着を持ってもらって、将来の岩手を切り開いていく、そういうことを副読本の中に盛り込みながら、岩手を支えていく人材の育成を目的としているところです。

 

(記者)

 関連してなんですけれども、まもなく震災から10年になりますが、先ほど教育長からも震災経験のない児童生徒や教員に教訓を伝えるというお話がありました。

 この副読本を使って、今まで震災を経験したことない、またはもう記憶が薄れている当時幼くて、また記憶がなかった世代にどのように伝えていきたいかということを改めてお聞かせください。

 

(教育長)

 東日本大震災津波から10年近く経過しているということで、震災経験のない子どもや父兄、そして教職員も増えてきていますが、この震災の経験や伝承を風化させないことが大事ですし、今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策も進めていかなければならないということで、先日も総合教育会議でもお話をしましたし、県の対策本部員会議でも、教育委員会で、パンフレットを作って発表させていただきました。

 これには東日本大震災津波で学んだ教訓を踏まえた、この復興教育の考えを生かしながら、新型コロナウイルス感染症というこれまでに経験したことない状況にも対応した取組を進めていくこととしています。それから、この震災津波で学んだ教訓を学校教育に生かしていく、そして、それによって、この復興発展を支える人材を育成していくということで、活用して取り組んでいきたいと考えています。

 これまでの震災津波の苦難を、学校、それから地域、そして教職員、お互いが知恵と工夫、そして協力し合って乗り越えてきたということでありますので、これからも新型コロナウイルス感染症の対応についても、様々、学校現場では苦労しているということもありますが、児童生徒も平常の学校教育活動ができない状況になっている中で、震災津波で得た教訓、そういったものをしっかり生かして、学校教育活動を、こういう時代だからこそ、どうやって乗り越えていくか、それにつなげていっていただければいいなと考えています。

 

(記者)

 復興教育に関連してお伺いしたいんですが、新型コロナの影響で、学校の休校が相次ぐことにより、宮城県や福島県では十分な、復興教育というか、震災の授業が確保できていない状況で、その震災に関わる授業を国語や算数の授業に回さなければいけない状況があるんですけれども、岩手県の場合は他県と比べると休校は少なかったんですが、復興教育に関する授業の確保っていうのはきちんとできているんでしょうか。

 

(教育長)

 本県では、4月から通常の学校が再開できておりまして、4月以降においては、県内市町村の一部について、休校措置をとった地域、陸前高田市内の小中学校で休校措置が取られたり、ゴールデンウィークの期間については、4月30日と5月1日の2日間ですが、ゴールデンウィーク期間を含めての休校として、そしてまた、一部、県北の洋野町では、5月17日までの休校措置というところも中にはありましたが、基本的には大きな教育活動への影響というのはないと考えています。

 今回の副読本については、これから6月上旬に各学校の方に配付させていただきますけれど、そこで諸行事が先送りになったり、いろいろと年間の学校教育活動のスケジュールについて変更等はあると思いますけれど、その中で新型コロナウイルス感染症の感染防止対策と合わせて、ぜひ取り組んでいただければよろしいかなと考えています。

 

(記者)

 確認なんですが、この今回の教材というのは、6月上旬に学校現場に配付されたら、すぐ活用できるものでしょうか。

 

(教育長)

 すぐ活用していただきたいと思っています。

 

(記者)

 今回、復興教育の副読本の作成をしたという御報告だったんですけれども、震災10年に向けてということだと思うんですが、来年の3.11の震災10年の節目に向けて、県教委として取組、方針ビジョンがありましたら教えていただければと思います。

 

(教育長)

 これまでの、この岩手の復興教育について、毎年度、実践事例発表会という形で県民会館の大ホールを使った発表会等も開催してきました。

 今、手元に、令和元年度の復興教育の実践事例集を持っているのですが、これには令和元年度に小学校、中学校、高校、特別支援学校、それぞれが取り組んだ実際の取組事例について、写真を入れて発表しています。

 来年度は一区切りということで、どういった形で対応するかということについては、新型コロナウイルス感染症の対応もありますので、開催の仕方については、今後検討していかなければならないと思いますけれど、これまでも毎年度、この実践発表会を通じて、それぞれの学校の取組を各学校の方に周知をしてきたということがございます。

 そういった意味で節目の年を迎えるということもありますので、その辺はこれから十分に検討していきたいと考えています。

 

(幹事社)

 次に発表事項以外について、記者クラブからの代表質問はありませんので、各社さんから質問がありましたらよろしくお願いします。

 

(記者)

 県高総体や中総体、高校野球、夏の甲子園、吹奏楽コンクール、合唱の全国コンクールが中止という発表がなされまして、中高生の体育ですとか、文化関係の大会が軒並み中止ということになっていますが、改めて県教委としての、代替開催の方針ですとか、指針を出す予定はありますでしょうか。

 

(教育長)

 各種大会等が中止になっていますが、これまで各大会に向けて児童生徒は一生懸命努力をしてきたと思います。

 特に3年生にとって、この各種大会の中止ということは、非常に悔しく、また、残念な気持ちであると私も思っております。

 全国高総体については中止を決定した際に、全国高体連から各県の高等学校体育連盟に対して、高総体に替わる大会の設定等について、配慮、検討するよう要請がありました。

 それを受けて各競技団体等において、今、様々検討進めていると聞いています。

 これまで日々努力してきた生徒、特に3年生、そして、それを支えてきた保護者、或いは指導者など、多くの関係者の何とかしてあげたいという思いについては、私も十分理解できるところです。

 健康・安全面を確保した上で、代替開催ができるような場合は、私ども教育委員会としても支援をしていきたいと考えています。

 基本的には、それぞれの競技団体の方で、様々な検討を進めていると聞いておりますので、それらの状況を確認しながら対応していきたいと思います。

 それから、指針というお話もありましたけれど、今日の午後に県の対策本部員会議があるわけですが、全面的に宣言が解除されたということもありますので、今日の本部員会議の決定事項を踏まえて、部活動のあり方等について、いわゆる対外試合とか、そういったところがどこまで可能なのかどうか検討を進めて、学校に通知を出したいと考えています。

 

(記者)

 今の部活動の話なんですけれども、今、宿泊を伴う対外試合とか、県外の対外試合等は自粛するように要請されてると思うんですが、そのあたりを緩和するという考えでしょうか。

 

(教育長)

 東北の地域については、ここ数週間、新たな感染者が確認されていないというようなこともありますし、それから県を越えての移動等について、そこについては緩和されてきているということもありますので、そういった意味では対外的な練習、或いはいろいろな代替開催に向けた検討の中でも、そういうことが可能となるように、できれば私どももしていきたいと考えておりますので、感染防止対策をきちんと徹底したうえで、遠征といったことができるよう、また、それは東北各県、或いはそれ以外の地域も含めてなんですが、それぞれの地域にも様々な対応の仕方があるわけですので、本県だけが決めても対応できるものでもなく、相手方の方で受入れができないというようなことも出てくると思いますので、その辺は様子を見ながら、徐々に緩和していくということになると思います。

 

(記者)

 9月入学の検討の是非についてお伺いします。

 政府が9月入学の一斉での実施案と、段階的な実施案等を示し、検討を始めていますが、岩手県教育委員会としての考え方など、導入の是非などについてお伺いしたいと思います。

 

(教育長)

 9月入学については、現在、文部科学省をはじめ、関係機関において様々な論点整理が行われていますが、私どもとしては、そういった検討状況等、国の動きも含めて、その動向等について注視をしていきたいと考えています。

 また、本県としては、この感染防止に努めながら、児童生徒等の学習機会が確保されるように対応していくことが重要であると考えています。

 実際に9月入学を導入するというようになっていきますと、様々な多くの課題が生じてくるのではないかと考えます。

 社会全体の仕組みであるとか、それから年間を通じての様々な日程、諸行事とか、そういったものが大幅に変わってくるのではないかというようなこと。

 それから、それに伴う膨大な見直し作業とか経費とか、多額の財政支出が伴うというような大きな影響も見込まれます。

 そういった中でしっかり、様々な観点から議論が必要になってくると思いますし、私どももそこをしっかり注視しながら対応していきたいと考えます。

 

(記者)

 教育長自身のお考えとして、現在で、この9月入学の導入っていうのは、必要なものと考えているのか、それとも、もう少し慎重な議論を求めたいのかっていうのは。

 

(教育長)

 基本的には慎重な議論を求めたいと思います。

 社会全体に及ぼす影響が相当大きいものであると思いますし、相当困難なものではないかなと考えています。

 そういった中で、この短時間で結論を出して、すぐ対応していくということは、たぶん難しいのではないかなと考えています。

 

(記者)

 政府の方で今検討されている一斉の導入と、それとも段階的に5年かけての9月入学の導入と、教育現場としては、どちらの方が実際として、現実的かっていうのはありますでしょうか。

 

(教育長)

 学校現場等に具体的に9月入学についての話を聞いているかというについて、それはまだ行っておりませんけれど、そもそも9月入学を導入するということ自体に学校現場での困難さが出てくるのではないかという気がしています。

 今年はコロナウイルス感染症対策で、様々な会議等において学校現場の校長先生方からお話をお聞きする機会が取れなかったということも実態としてありますし、ただ、そういう中にあっても、実際、コロナウイルス感染症対策では、大変苦労されてるということは重々承知していますので、その辺は学校教育課の方でも、情報の把握に努めるようお願いをして、いろいろ情報収集に努めています。

 特に、この9月入学については、まだ論点整理とか議論が始まったばかりですので、それよりは、感染防止対策に集中していただきたいなということで考えておりまして、この9月入学について、改めて意見をというような対応についてはまだしておりません。

 

(記者)

 ちょっと話が一つ前に戻ってしまって恐縮なんですけれども、部活動の先ほどの緩和の方向という話もありましたが、今、平日休日ともに部活動の時間も規制されていると思うんですが、そちらについての緩和については考えていらっしゃるのかというのが一点と、通知を出される場合は本部員会議を受けてということでしたが、いつごろまでにとかいつごろに出したいっていうような、時期の指針はありましたでしょうか。お願いします。

 

(教育長)

 中総体とか県全体の大会は中止という決定になっておりますけれど、各地区で代替の大会を開催する報告が出てきております。

 そういった中で、学校現場において、部活動について、もう少し取り組みたいという声も実はありまして、そこについては対応が必要だというふうに考えております。

 今日の本部員会議で、この県の方針が変更になる場合は、そのことを踏まえて、早急に各学校に緩和に向けた通知等について発出していきたいと考えています。

 

(記者)

 教員採用試験の関係です。

 新型コロナの影響で、他県の方では試験日程の変更とかそういうことをする動きがあります。

 教育実習もなかなか難しいという中で、本県の教員採用選考試験の方には、何かそのコロナ関係で影響あるのか、今の段階で、把握していることを教えてください。

 

(教育長)

 教員採用試験の日程、それから試験の内容、対応等について、現在、検討を進めています。

 特に試験日程について、或いは実際に実施される実技等の試験内容についてどのような形で対応していくか、今、検討を進めておりまして、来月の早い時期には判断をして、受験者にお知らせしないと日程的に間に合わないことになりますので、現在、様々な観点から検討を進めている段階です。

 

(記者)

 検討しているという部分なんですけれども、具体的に、実技というお話がありましたが、例えば、音楽とか体育とかの実技、あと、面接なんかも集団になる可能性があるのか、どういった部分を具体的に検討されているのか教えてください。

 

(教育長)

 いろいろと実技の対応とか日程ですね。今までの試験は1日で終わらず2日間とかであったわけですが、そういった日程が果たして可能なのかどうかとか、今、お話があったように集団面接とか、そういったところの対応についてどうかということ。

 それから、もう1つはそもそも試験の会場の設営とか、3つの密を避けるというようなことで、この試験会場を広く確保しなければならない、そういったことが可能なのかどうか、そういったことも含めて、今、具体的な検討作業を進めております。

 

(記者)

 ちょっと話を戻してしまうんですが、中総体、高総体、甲子園の各県の独自開催についてですが、福岡の県高野連は独自開催を行わないということも発表してまして、完全にリスクを避けることが難しいというような内容を理由として述べられてたんですが、県教委として、各主催団体があると思うんですが、そこに対して、どこまで感染対策を行うのか徹底して欲しいのかっていう具体的な部分っていうのは何かお考えはありますでしょうか。

 

(教育長)

 それぞれの大会に向けて各主催者の方で、様々検討を進めているわけですけれど、そこに対して、県教委として統一的なガイドラインとか、そういったものをお示しするというところは、今のところは考えておりません。

 といいますのも、学校現場における基本は、文部科学省のガイドラインと、それからそれを踏まえて本県の教育委員会で、新型コロナウイルス感染症対策等についてということでお示ししていますので、基本はこういった内容を踏まえて判断していただくものと考えています。

 あと、実際に各主催者の方と、様々情報交換をしながら実際の開催に向けた検討状況とか、お話をお聞きしながら、私どもとしても支援のあり方とかそれらも含めて、方向性等もお聞きしながら、できる限りのことは支援していきたいなと考えています。

 

(教育企画室)

 それでは他にないようですので、これで教育長記者会見を終了させていただきます。

 

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