平成24年3月28日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020096  更新日 令和1年5月8日

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平成24年3月28日(水曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • 平成28年度以降の岩手県立高等学校入学者選抜の実施方法について

質問事項:

  • 平成24年度の取組の重点について
  • 高校入試での携帯電話の取扱いについて
  • 県立高校の再編について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
最初に教育長からの発表があります。

教育長
県立高校の高校入試を平成28年度から改善するということで、先週23日の教育委員会議で議決をいただきました。高校入試については平成22年6月に入試改善検討委員会をつくり、外部有識者の方々、中学校の校長先生、高等学校の校長先生、PTAの方々にご議論いただいていましたが、平成23年12月に答申をいただきまして、その答申を踏まえましてパブリックコメント等に付していたところであります。そのパブリックコメントにおけるご意見等に基づいて修正等を行いまして今回成案をみたところです。
現在の入試制度と大きく変わりますのは、一つは調査書で、今は中学校2年生、3年生が対象ですが、1年生も加えることにしました。もう一つは推薦入学で入ってこられる方々に対しては特に学力検査等を行っていませんでしたが、推薦入試の合格者の方々に対しても、一般入学者検査日に同様の問題を使って学力調査を実施するということで、その二つが非常に大きいと思います。
また、当初、平成27年度からの実施を想定していましたが、パブリックコメントを経て実施年度を1年繰り延べました。平成28年度からということで、今の小学校5年生の子どもたちから新しい入試制度を適用させていただきたいと思います。1年繰り延べた理由ですが、今回の決定により、これからいろんな方々に具体的な詳細についてご説明する機会を設けていきますが、平成27年度からにすると、現在の小学校6年生から対象になりまして、平成24年4月以降その方々は中学生になります。先ほど申し上げたように調査書の評点を1年生から対象にすることにしましたので、中学校1年生になったとたんに制度が代わるということになってしまうということで、1年間説明させていただく機会を設けたいことから1年間繰り延べさせていただいたということです。

記者
パブリックコメントの意見を受けて変更したということでよろしいでしょうか。

教育長
もう少し猶予を持つべきではないかというご意見がありましたので、内部で検討させていただいて、中学生になったら1年生から調査書の換算点に入りますよというふうにした方がより適切だろうということで、1年間繰り延べさせていただきました。

記者
新しい入試制度に対する期待について伺います。

教育長
やはり入試制度で一番大事なのは公平性だと思いますので、中学生の方々の日ごろの学習活動や生活を含めて、いろいろな努力を正当に評価させていただくことが非常に大事だろうと思います。入試制度というのは、これが絶対いいという制度がないので、その時々に応じて、子どもたちの状況を見て最もふさわしい制度というものを考えていかなければならないと思いますが、送り出す側の中学校の方々、受け入れる高等学校の方々、それから子どもたちを育てていらっしゃるPTAの方々、そういった方々でご議論いただいて、おおむね皆さん方の了解を得た制度になっていますので、これに基づいて子どもたちを評価できる仕組みができればと思っています。

記者
推薦入学合格者に対する学力調査についてですが、あくまで能力を更に磨くということであって、学力調査の結果によって合否が変わってくるものではないと理解してよろしいでしょうか。

教育長
はい。推薦入学の場合、合否が内定していますので、あとは高校入学後に子ども達一人ひとりの状況に応じてどう指導していくかということで、今までは入試を受けてきた子どもたちについては入試データがありますが、推薦入学の子どもたちについてはそのデータがないので、そういった意味では同じレベルのデータを揃えて一人ひとりそれぞれにきめ細かく指導できるのかなと思っています。

記者
調査書の評価に1年生も加えるということは、ある意味すごく早いうちから受検に向けた準備を始めなければいけないという意識が生まれてしまうのかなと思いますが、そのあたりについてはどのような思いが込められているのでしょうか。

教育長
これは外部委員会の座長をやっていただいた盛岡大学の望月先生からも、今の2年生から評価する制度も決して悪くはないと思っていると、1年生の間はのびのびと1年間過ごしてもらおうという思いからすると、今の制度も非常に意味があるとお話がありましたが、一方で、やはり中学校3年間を通じて、いろいろな活動やがんばりを評価して、高校に進んでもらうということからすると、1年生の時に一生懸命やったけれども評価してもらえないということよりは、3年間を通じて評価してもらう方が現段階ではベターであろうという意見が非常に多かったということで、こういう仕組みにさせていただきました。
従いまして、どちらの制度も優れたところがあると思うんですが、今回については3年間のそれぞれの学年でしっかり頑張ったねと、こういうふうに過ごしたよねと、中学校生活3年間を通じて評価をしたうえで、高校入試を行おうという考え方に基づくのだろうと思っています。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
復興の1年を経て、教育長も4月から新しい任期を迎えられるということですが、平成24年度はどういったことを重点的に取り組むか、抱負を含めて伺います。

教育長
教育委員会は合議制の機関ですから、教育委員会議で来年度こういうことをやろうと、特にも議会で委員長に演述していただきましたので、私はそれに基づいて執行する立場ですので、それをやっていくということになりますが、あえて個人的な思いを述べさせていただくと、やはり、来年度は復興元年ということで知事もおっしゃっていますが、そういう年になるのだろうと思います。したがいまして、当然、大震災津波からの復興ということと、今までやってきている県のアクションプランに基づく施策を一生懸命やっていくということの、2本柱でいくことになるだろうと思っていますが、特に今回の大震災津波というものを学校教育にどう取り入れていくのかということで、既にいわての復興教育プログラムということで、各学校にお示しをしながら来年度取り組もうとしていますが、そういったことを私としては力を入れていきたいと思います。それは震災を経験した県として、直接的な大きな被害を被った沿岸部と、被害の度合いが相対的には少なかった、むしろ被災地を支える立場の内陸部の子どもたちが同じ思いを持って、同じ岩手の子どもとして、岩手の教育を学んでそれを将来に生かしていくということで、やはりいわての復興教育というものに非常に力を入れていきたいと思っています。

記者
復興教育の中でも、具体的に力を入れていかなければならないと考えていることはありますか。

教育長
それはあらゆる面にということだと思いますが、やはり非常に大事にしなければならないのは防災教育だろうと思います。昨日、県の防災計画がまとまりましたが、そのなかでも防災文化というものが非常に強調されています。従いまして、学校教育でもその一翼を担っていくというか、非常に大きなウエイトを占めてくるんだろうと思います。今回の大震災津波では、釜石の事例等が全国的に非常にご紹介いただいていますし、それだけではなく、それぞれの学校において懸命の努力をしていただいたと思っています。こういったものをさらに、岩手の教育の中にしっかりと位置付けていかなければならないだろうと思っています。

記者
震災発生から1年間振返って、学校現場は当初に比べるとだいぶ改善されてきていると思いますが、まだまだ苦しい状況も多く、今後更に継続的に取り組んでいかなければいけないと思いますが、ここはある程度成果を上げてこられた、あるいは力を入れていかなければいけないというようなことについて、御所感を伺います。

教育長
一番気になったのは子どもたちの状況です。高校入試が終わりましたので、そういう状況についていろいろお話を伺ったりしました。御存知の通り学校の再開もかなり遅れましたし、スポーツの環境にしても勉学の環境にしても、特に被災地は必ずしも十分な状況ではなかったので、子どもたちにとっては非常に苦労させた1年だったと思いますが、そういった中で、高校、中学校の先生方から聞くと、入試の状況を見るとそんなに極端に落ち込んだ状況ではないと、そういう意味ではああいう厳しい環境のなかではあるけれども、子どもたちは力を発揮してくれた、というのがそれぞれの先生方の心境です。そういったことで、子どもたちには御礼を申し上げなければならないと思いますが、お話のとおりまだまだ厳しい環境だと思います。仮設校舎や自分たちの学校ではないところに通ってもらっている子ども達も多々いますし、スポーツ環境にしてもまだグラウンドが十分に使えない状況で、引き続きそういう厳しい環境が続きますので、何とかそういった中で、子ども達の夢を一つでも二つでもかなえられるように、私どもとしてやれることを全力を尽くしてやっていきたいと思います。具体的に言うと、最後は教育はマンパワーということになりますので、国の支援をいただきながら、極力沿岸に手厚く教員を配置したいと思いますし、それから、震災発生後、一生懸命がんばってくれた子どもたちですが、阪神淡路の経験からも、心のサポートが長期間にわたって必要だと言われていますので、そういったことにも十分力を尽くしながら、また市町村ともどもまずは学び舎の復興ということで、学校建設にも力を尽くしていきたいと思います。

記者
一般入試で携帯電話を校内に持ち込んだということで、不合格という処置がありましたが、それについて教育長はどのようにお考えですか。

教育長
ある面で厳しいですが、携帯電話の取扱いについては過去に全国的にいろいろな議論があった際に、本県としては今回のような事例の場合にはこう対処しましょうということを決めて、今年急にやったわけではなくて、何年間かにわたってそういうことを継続してきて、それをお知らせもしていたということなので、ある面で厳しい処置だとは思いながら、やはりそういうルール化してずっとやってきたことですので、おそらく学校としてはそのルールを、子どもがかわいそうだよねと一人の判断で変えてしまうということになると、他で同じようなことがあって、そのルールに沿ってやっていた場合、非常に不公平感が出てしまいます。やはり入試というものは公平の場を提供して、公平な状況で競争してもらわなければならないという面からして、そういう判断をしたのだろうと思います。ですから私としては、ルールはルールとしてやらせていただいたので、実際不合格になったお子さんには大変気の毒だと思っていますが、一つの判断だったのだろうと思っています。

記者
高校の再編に向けた話し合いが一時ストップしている状況だと思いますが、新年度に向けて、取り組むかとか、まだもう少し様子を見ていくというような方針はありますでしょうか。

教育長
高校再編についてもう一度検討する際には、また改めて色々なデータを積み上げながら、地域の方々、外部の有識者の方々とあらためてお話合いを積み重ねなければならないと思っています。復興の状況により、地域、子どもたちの状況もかなり変化しており、それらを踏まえながら、どういう高校教育を行うのが岩手の子どもたちにとって最も良いのかという議論をしなければならないと思いますので、まだゴーサインを出す時期ではなく、少し時間がかかるのかなと思っています。

記者
今までしてきた議論の続きというかたちではなく、復興の状況を考え直したうえでのリスタートということでしょうか。

教育長
そういう意味ではリスタートなのかもしれませんが、ただし、今まで地域の方々からいろいろな御意見をいただいて議論した積み重ね、あるべき高校教育の姿というのはこうだよねというベーシックなところはあると思います。そこを踏まえつつ、今回の震災で子どもたちの状況、地域の状況が大幅に変わってしまったので、そういったところをもう一回補強しながら議論しなければならないと思います。
一方で今年の高校入試を見ていただくとわかるように、かなり倍率が下がっています。学校によっては大幅な定員割れが生じている学校もありますので、そういった場合については、義務教育であれば子どもの数に応じて学級数が決まってきますが、あまりに極端に乖離がある場合にはやはり高校再編とは別に学級数調整は行わなければならないと思っています。それは学校のそれぞれの状況に応じて、個別に議論していく必要があると思いますが、全体的に高校をどう再編するかというのは、もう少し議論が必要だと思っています。

教育企画室
以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。

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