平成23年4月28日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1019972  更新日 令和1年5月8日

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平成23年4月28日(木曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 全寮制小中一貫校構想について
  • 防災教育の在り方について
  • 学校再開プロジェクトチームの取組について
  • 平泉の文化遺産に対するイコモス勧告について
  • 校舎・仮校舎の建設について
  • 教職員の心のケアについて
  • 国体について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
会見に先立ちまして、今年度初めての開催でございますので、出席者の紹介をしたいと思います。
菅野教育長でございます。私は、教育企画室の石川と申します。1年間どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、記者の皆様の自己紹介をお願いしたいと思いますが、記者の皆様には、それぞれ社名とお名前を頂戴したいと存じます。それでは、幹事社さんから順番にお願いいたします。

記者クラブ
(自己紹介)

教育企画室
ありがとうございました。
それでは記者会見に入らせていただきます。
本日は、菅野教育長が就任後初めての記者会見になりますので、まず、就任のあいさつをさせていただきます。

教育長
改めまして菅野でございます。よろしくお願い申し上げます。教育委員会は3回目になりまして、2年前にも教育企画室長ということで務めさせていただきましたので、2年ぶりに教育委員会に気分的には戻ってきたという感じがいたしております。
3月11日の大震災津波の発災以降、法貴前教育長を中心として、なんとか学校を1日でも早く再開させたいということで、教育委員会のみならず、市町村教育委員会、学校とそれぞれ一体となって努力してきたところでございまして、ようやくその目途が立ちつつあり、ありがたいことと思っております。
ただ、これから子どもたちが学校に戻ってきて、子どもたち一人ひとりについていろいろな課題が出てくると思いますし、学校それぞれも同じだろうと思っております。
県教育委員会としましては、サポートをいろいろ行いながら、なんとか岩手の子どもたちにとって少しでもいい教育環境を整えてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

教育企画室
引き続き、記者クラブからの質問をお願いします。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
2点お伺いします。
まず1点目は、県が国に要望している全寮制小中一貫校の設置構想について、これに対する現時点での県教委としての考えがあればお聞かせください。
もう1点、大震災を受けた今後の防災教育の在り方について、現段階で県教委はどのように考えているか、という2点についてお伺いします。

教育長
全寮制小中一貫校の関係ですが、国に要望いたしました当時は、非常に大きな災害で、発災以降そんなに時間を置いていなかった状況で、教育の場面から何ができるのだろう、被災されたお子さん方に対して何ができるんだろうということから、このような構想を考えたものです。
今、保健福祉サイドで、児童相談所を中心として被災されたお子さん方の調査を進めていまして、ご両親を亡くされたお子さんが今のところ57名ということで調査がされております。
さきほど申し上げましたとおり、教育委員会も、学校が再開し始めましたので、担任を通じて子どもたち一人ひとりのいろんな情報を集約しつつ、子どもたちの実態がどうなのかということを調査したいと思っています。
そして、保健福祉サイドの調査と私どもの調査をすり合わせながら、そういうお子さん方がどういう状況におかれていて、どういう支援が必要なのかということをきめ細かくやっていかなければならないと思っています。
制度的には、おそらく後見人という制度がありますので、そういう方々が選任されて、お子さんにとって一番よい方法がこれから選ばれていくのだろうと思っています。
そうした中で、さきほど申し上げた構想も選択肢の一つとしてお考えいただく、そして今やるべきことは、お子さん一人ひとりの状況を把握しながら、それぞれのお子さんをどういうふうにサポートすれば一番いいのかというところを、今、一生懸命県全体で考える時期だと思っており、そういったことを踏まえて、選択肢として全寮制の学校に安心して入れたい、そういった中で教育をサポートしてほしいというご要望があって、それが必要と判断された場合については、私どもとしては躊躇なくやっていくという考え方でございます。
今は、お子さん方の状況を把握して、一人ひとりに何が一番よいのかということを、保健福祉サイドと私どもも入って、現在お子さんを養育されている方々と相談しながら、ひとつひとつ進めていくのかな、と思っております。
2つ目の防災教育の考え方ですが、この間開かれました復興委員会においても、防災教育をしっかりこれからもやっていくべきだと、遠藤委員からのご提言もございました。
私どもも非常に大事な視点だと思っており、今回の震災津波の体験を踏まえた防災教育の在り方、それから復興におけるそれぞれの子どもたちを含めた自己の関わり方をどうやっていくのかという、いわば震災津波の復興教育みたいなものを、県として考えていかなければならないと思っております。
ただ、一方で、あまりにそれを性急に進めてしまうと、お子さん方が心の傷を持っている状態ですので、やり方によってはそういった体験をフラッシュバックさせるというおそれもありますから、状況を見ながらどういう中身、進め方をしていくのが一番いいのか、これから検討する時期だろうと思います。
いずれ、今回の災害を経験した県として、これはどうしても取組まなければならない課題だろうと思っております。

記者
2点お伺いしたいのですが、震災発生から県教育委員会の中に、小中と高校のそれぞれ学校再開プロジェクトチームができたと思うのですが、今取組んでいることと今後の動きを教えていただきたいのと、平泉の文化遺産に関して、イコモスの勧告が迫っていますので、県教委としての対応と菅野教育長の考えをいただきたいのと、その2点をお願いします。

教育長
学校再開プロジェクトチームを小中と高校別に立ち上げておりまして、なんとか一刻も早く学校を再開して、子どもたちを学校に、という思いでやってきました。
幸い、県立高田高校を除いては、今のところ全部再開ができてますし、高田高校も連休中もしくは連休明けには始業式、入学式ができる状況となっております。
当初の目的としていました学校の再開ということはできましたので、これからの課題は先ほど申し上げましたとおり、学校は再開できたのですが、いろんな状況での再開となっておりまして、一つの校舎に複数校が入ったり、授業の形態でも午前授業をやっている学校もありますし、それから県立高校で言うと高田高校のように別の校舎に通ってもらうということもあります。
従いまして、ようやく学校は再開できたのですが、学校の機能をどう回復していくか、さらにどう正常化していくか、もう少し長いスパンになると思いますが、さらに教育の振興をどう図っていくのかと、これからやらなければならないことが多々あると思っています。
私どもとしては、高田高校の再開が一つの目途になるかと思っておりますが、連休明けにもこのプロジェクトチームを再編したいと思っております。
学校再開ができましたので、さらに学校の機能支援について、学校給食をどうするかとか、教育の備品をどうしていくのか、さらに市町村からは仮校舎のご要望もいただいておりますし、教職員の居住環境をどう整えていくのかなどいろいろな課題がありますので、それに対応するプロジェクトチームを連休明けにでも再編して立ち上げたいと思っております。
その中でそれぞれの学校の課題一つひとつをよくお伺いしながら、どう対応していくのが学校にとって一番良いのかということを教育委員会挙げて取組んでいきたいと思っています。
平泉の文化遺産の関係ですが、前回のイコモス勧告の時は、私も教育企画室長をやっておりましたので、法貴教育長が就任されてすぐの時だったものですから、個人的にはイコモス勧告の時にまた巡り合えるというのは幸せなのかどうなのかというような思いはありますが、前回、登録延期という勧告があった訳ですが、これまでの間、国、関係市町、地域の方々を始めとしていろんな支援をいただきましたし、また、構成資産を絞るという苦渋の決断をお願いしたり、これまで県を挙げてやるべきことは本当に一生懸命やってきたと思っています。
従いまして、イコモス勧告は制度的には5月8日まで、早ければ5月6日ということが想定される訳ですが、県として、教育委員会としてやるべきことは、いろいろご協力いただきながらやってきた、もしくはやってこられたと思っておりますので、その結果を期待をもって待ちたいと思っておりました。
一方、勧告をいただいたのち、最終の決定は委員会ですので、それまでの間、気を抜くことなく登録を目指して、これは県民の方々が待ち望んでいらっしゃると思いますので、教育委員会としては気を緩めることなく対応していきたいと思っております。

記者
さきほどお話しされた仮校舎の話で、津波で流されて被害があった場合、仮校舎を建ててほしいという要望があると思うんですけれども、浸水区域であった場合、別の場所に建てなければならない場合、どういう指針で仮校舎を選ぶのか、どういうところに建てるのかというのが現段階でありましたらお聞かせください。

教育長
県立の話をさせていただくと、高田高校が最も被害を受けています。同じ場所に建築するというのは非常に難しいだろうと思っております。ただ、陸前高田市の状況があのような状況ですので、まちづくりの中で学校をどう位置付けるかという検討が必要だろうと思っています。
これからいろいろと復興委員会等で議論いただく必要があろうと思っておりますが、私どもとして、今回の事案に鑑みると、学校が学校としてだけではなく、もう少し多機能にすべきかなという感じを持っています。
例えば、防災拠点としての役割をどう持つのか、現実的には今回のように避難所になって地域の方々の最終的な拠点となっている学校も多々ありますので、それらを前提とした機能を持たせなければいけなんじゃないかという気がいたします。
そこは復興委員会でいろんな議論いただきたいと思っております。
それから、市町村からなんとか仮設校舎を一刻も早くということでご要望いただいているところもございます。そういった市町村におかれましては、もうすでにある程度用地の目途がついていて、浸水区域外のある程度安全なところに仮設校舎の目途が立っているので、そういった場所については一刻も早く仮校舎を建てたいというご要望をいただいております。
本来であれば、災害査定を行ったうえで復旧に進んでいくのだと思いますが、待っていられないという事情もありますので、文部科学省からもある面で事前の着工届を出してもらえれば着工することは可能だという話を頂戴しております。それぞれの学校ごとに何をするのが一番良いのか、市町村とよくよくご相談しながら対応していきたいと思っています。

記者
前提として浸水した校舎については、今のところには建てられないという判断なのでしょうか。

教育長
それぞれの施設管理者がおられますから、市町村立学校についてはそれぞれの市町村の判断になりますので、県として建てるなとか建てろというのはなかなか難しいのですが、少なくとも県立高校に限って言えば、高田高校についてあそこまで津波が来ていますので、別途対策を施してからでないと、同じような位置に同じように立てるというのは難しいのではないかという感じを私は持っております。

記者
児童生徒の心のケアの問題も非常に大事だと思うのですが、教職員も被災者になられている方が多く、心のケアの問題など何らかの対応をされていると思いますが、その進捗状況と今後どのようにされていくのかお聞かせ願います。

教育長
学校が始まって、いろいろな経験をされたお子さんがおられるということで、心のサポートが非常に大事だろうと思っております。
まずは学校が再開され、沿岸から内陸に転校されたお子さんもいることから、沿岸だけではなく内陸も含めての学校で、被災したお子さんにどう接していくのかという問題がありますので、すでに専門家のご協力をいただきながら県内で研修会を開催し、1,000人近い教職員に参加をいただいています。
ただ、それだけで足りるとは思っていませんので、研修会も当然やりますが、昨日成立した県の補正予算の中にも心のサポートチームの派遣に要する経費も盛り込んでおりますので、専門家を中心としたチームを作りながら各学校のサポートに努めていきたいと思っております。
一方で、教職員のサポートも非常に大事だろうと思っております。教職員の中にもご親族を亡くされたり、自宅が被災したり、実際に津波に巻き込まれて生死をさまよったという方もおられます。そういった中で今のところはなんとか子どもたちのためにと、言葉は悪いのですが気を張ってなんとか頑張っているという状況ですので、そのサポートが必要だと思っておりますし、あわせて、教職員の心のサポートということについても今検討をさせていまして、相談窓口の設置や支援の体制など教育委員会としてできる限りのことをやっていきたいと思っています。
それから、市町村教育委員会を訪問した時に市町村教育長からお話があったのですが、心のケアをやるのであれば、子どもだけではなく震災津波の体験をされている親の心のケアも考えてほしいというお話を言われています。
教育委員会のみならず、県として、福祉サイドとも連携をして、関係部局と一緒になって対応していきたいと思います。

記者
インターハイはやるということで決まりましたが、先日の知事記者会見で国体のほうは難しいのではないかという声がありまして、それ以降、復興関連の会議でも国体はぜひやってほしいという声もあがってきましたが、改めて教育長から国体に関する所見をいただきたい。

教育長
インターハイはさきほど会議を開催しまして、ヨットとレスリングの会場地を宮古市から八幡平市と秋田県に変更させていただくということを決めていただきました。
インターハイは予定通り実施させていただきたいと思っておりますが、国体については、知事が、現状のままでは予定通りの開催は難しいのではないかということをお話になったというのは承知しています。
インターハイは高校生の課外活動の総決算として行われておりますので、私どもとしましても、高校生にそれぞれの課外活動の目標を持っていただくということで、実施したかったと思っております。
一方で国体そのものは、スポーツの祭典のみならず、前回の一巡目国体は県民総参加の国体ということで、県民運動を盛り上げつつ、県全体として取組んだ国体だったと思っております。
知事がおっしゃっているのは、今の状況で国体をやるとなると県全体のかなりの部分を使って県民全体で盛り上げていかなければならない、一方で、沿岸地域の復興という非常に大きな課題を抱えておりますので、そちらを今は最優先に県全体でやっていかなければならない時期だろうということだと思います。
国体そのものをやるだけでは5年後にできないことはないのかなと思っておりますが、あくまでも一巡目国体のように県民挙げて県民総参加で国体を行い、本当にやってよかった、しかも教育委員会の立場からすると開催県としてふさわしい成績を収めることが県民で盛り上げた国体の成果として問われているのだということになると、県全体を挙げて国体の準備に取りかかれるという時期は必ず来ると思っておりますし、来なければならない、そしてそれをやることによって復興岩手の国体ということでやれるのだろうと思っておりますので、もう少し県全体でいつになったら準備ができるのかというのを見極める時間があってもいいのかなという感じは持っております。
ただこれはあくまでも、私の見解でして、これについて教育委員会議で議論しているというわけではないので、そういったことでご理解をいただければと思います。

教育企画室
ほかにないようですので、以上をもちまして本日の記者会見を終了させていただきます。

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