平成23年12月22日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020094  更新日 令和1年5月8日

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平成23年12月22日(木曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • 幼児児童生徒のこころのサポートについて

質問事項:

  • 岩手国体について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
最初に教育長からの発表があります。

教育長
子どもたちの心のサポートの関係です。今回の大震災津波に関係した子どもたちの心のサポートについては、教員に対する研修の開催や、緊急的に県外から臨床心理士の方々においでいただいて被災された学校等のサポートをいただくなどこれまで取り組んできたところですが、その一環として、本年9月に「心とからだの健康観察」というアンケート調査を実施し、その結果がまとまりましたのでご報告します。
なぜこのアンケート調査を行ったかといいますと、これまでいろいろなサポートを行ってきましたが、必要とされている子どもたちに必要なサポートが行われているのかどうか、やはり子どもたちの現状を出来るだけ把握する必要があるだろうということ、また、阪神・淡路大震災の際には、発災直後ではなく何年か後に、心にダメージを受けた子どもへの影響が強くなったという報告もあります。本来であれば心のダメージは徐々に回復していくのだろうと思いますが、それがどんどん蓄積されてPTSDなどが発症されるなどの例があるということなので、長期的に子どもの動きをよく見ていく必要があるということから実施しました。
アンケートは、県内の公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を対象として行いました。それぞれ学校のおかれている状況もありますので、基本的にはアンケート調査を実施するかどうかは学校の任意としましたし、実施する場合でも、子ども個人が書きたくないという場合については決して強制してはならないということも徹底しまして、今回、県下645校、13万5千人を超える集計結果をまとめたところです。
アンケート調査の様式は、小学校と中学校、高等学校では発達段階が違いますので、2パターンに分けています。質問項目が19項目あるのが小学校用で31項目あるのが中学校用、高等学校用になりますが、質問項目が4種類のストレス反応項目に対応するということで、小学校の質問用紙では、1から3が「過覚醒」と呼ばれている過剰な反応を見る質問で、4から6がつらい体験を思い出すという「再体験」に係るもの、7から9がつらいことを思い出したくない、逃げようという「回避・まひ」という行動、それから、10から12がマイナス思考の「否定的認知」ということで、それぞれ4項目のストレスを計る質問になります。岩手県全体では4種類の項目のうち1項目でも該当するお子さんが、小学校で16.3%、中学校で12.4%となり、内陸と沿岸を比較すると若干沿岸の方が全体的に高いという傾向は出ていますが、これが有意な差と言えるのかという評価はまだ難しいと思っています。
このアンケート調査を行うに当たっては、さまざまな専門家の方々のご助言をいただきました。あまり全国的にも例のない調査ですので、どのように実施すればよいか、どういう質問とするかを精神医学、心理学の専門家の方々にはかり、県のいわて子どものこころのサポートチームの中でいろいろ検討いただいて、こういうアンケート調査を行わせていただいたということです。
今後の取組についてですが、これは調査のための調査ではありませんので、先ほど申し上げたとおり、子どもの状況をよく把握して、それに対応していく必要があります。このアンケート結果はそれぞれ学校にお返ししていますが、もともと学校ではそれぞれの教員が子どもたち一人ひとりを観察していますので、その観察と今回のデータをよく照らし合わせて、教育相談などが必要な場合には怠りなく対応していただきたいと思いますし、また、カウンセラー、臨床心理士の方にそれぞれの学校を回っていただいているほか、もともと学校におられる方もいらっしゃいますので、そういった専門家と情報共有しながら今回の調査結果に基づいて一人ひとりの子どもたちに、きめ細かくサポートしていただけたらと思っています。
やはり体制構築が非常に大事だと思いますので、一義的にはやはり学校で先生方がよく子どもたちに向き合っていただいて相談等対応していただき、そこで難しいという場合にはカウンセラーの方々など専門家のご助言をいただきながら対応して、さらに必要な場合については、保健福祉部と連携を行っていますが、沿岸地区では子どものこころのケアセンターがすでに各地区にできていますので、そういったところと一緒に連携しながら子どもたち一人ひとりに対応していくという、そういう重層的な取組を行いながら、子どもたちの心のサポートの一層の充実を図っていきたいと思っています。

記者
継続実施ということだと思いますが、いつまで継続されるのか確認させていただきたいのと、この蓄積されていくデータは、例えば小学生が中学生になるとき、中学校から高校にいくときには上の学校に持ち上がって付随していくものかどうか確認させてください。
また、全体で14.6%の該当する児童生徒がいたという調査結果について、どのように受け止められているか伺います。

教育長
先ほど申し上げたとおり、阪神・淡路大震災の例などによると長期にわたっての観察が必要だろうと思いますので、いつまでという話はまだ難しいですが、これは当面続ける必要があるだろうと思っています。また、お話のとおり小学校から中学校に、中学校から高等学校にそれぞれ進学されますので、基本的にはそのデータを学校間で引継を行うようにして、このお子さんが継続的にどういう状況だったかを学校で把握できるようにしたいと思っています。ただし、例えば県外に転校された子どもさんについてどうするとか、大学に進学された場合どうするとか、そういったことについてはこれから詳細を詰めなければならないところがありますが、基本的には小学校、中学校、高等学校についてはデータを引き継げるようにしたいと思っています。
それから調査結果に対する評価ですが、素直に今の沿岸地区を含めた岩手県の子どもの状況を表していると受け止めていますが、この数字が高いのか低いのかということについては、実はこれに類似する調査の例がほとんどないものですから、これがどうなのかということはなかなか言えないのですが、いずれ14.6%のお子さんがおられることが調査の中から出ていますので、より一層心のサポートというものを学校の中で非常に重要なものとして取り組んでいかなければならないという思いを新たにしています。

記者
結果についての評価は、その専門家のチームにお願いしたものでしょうか。

教育長
専門家の方々にそれぞれ見ていただいています。今回のアンケートは個人情報でもありますので、どういう格好でお示しするか、どう学校にフィードバックしていくかについても、さまざまな専門家の方々のご助言をいただきながらまとめています。心という未知の領域の問題ですので、常に専門家の方々のご指導ご助言をいただきながら一つひとつ取り組んでいきたいと思っています。

記者
このアンケートについて、専門家による分析が終了する目途はありますでしょうか。

教育長
分析といいますか、全体的な評価というものは、学問的領域になるのだと思いますが、専門家の方々によると、これだけの規模でやっている調査というのはなかなか世界にも例がないということですので、やはり学問的評価というのはこれからしばらくかかるのではないかと思っています。
ただし、先ほど申し上げたように、私どもがやらなければならないのは子どもたちをどうサポートしていくか、現況をどう把握するかということですので、ここに出てきたデータについて、学校それぞれの知見、それからカウンセラーの方々と相談しながら、どう対応していくべきかということを一つ一つ詰めていかなければならないと思っています。当然県教委としてもどう対応していくべきなのかについては、学校にお返しするデータの中で、このデータはこういうふうに評価されますということも併せてお返していますので、今回の調査に対しては私どもとしては、やれるところまではやっていると考えています。

記者
学校にはどういう形でデータを出しているのでしょうか。
また、それを使って学校では具体的にどのような対応が考えられますか。

教育長
お子さん一人ひとりに対応するための、お子さん個人の個票をお返ししています。学校では日常的に子どもと接していますから、このお子さんはちょっとダメージを受けているのではないかというような、もともと学校が持っている知見がありますので、そういう知見と今回のデータと照らし合わせて、学校によってはすでに対応を始めている学校もありますが、例えば養護教諭の先生と一緒にこのデータをみんなで分析してどう対応するべきかということを評価したり、スクールカウンセラーと相談されて、どういう教育相談をやっていくか一つ一つ対応している学校がすでに出ていますので、それぞれお子さん一人ひとり個別に、必要に応じて専門家の助言をいただきながら、対応していくということになると思います。

記者
やはり沿岸部の方が若干対応を必要とする子どもの割合が高いですが、これは大震災津波の影響ととらえてもよいのでしょうか。

教育長
比較できるデータがないのでなんとも言えないところですが、沿岸部に内陸に比べて若干高い影響が出ているというのは事実ではありますが、ただし、例えば中学校では0.3%しか差がない状況ですので、大震災津波の影響が沿岸部に強くでていると言い切るのは、まだデータとしては不十分なのかなという気はしています。

記者
アンケート調査は任意ということですが、最終的には誰の判断で調査の参加が決定されるのでしょうか。
また、実際にこのアンケートを受け入れられないと拒否された学校がどの地域にどのくらいあったのかを教えていただきたい。

教育長
学校として実施するかどうかは、やはりその学校の責任者たる校長先生のご判断で、当然ご判断される際には、いろいろな学校の事情に応じて、学校内でいろいろ議論されたと思いますが、その結果、今の段階ではもう少し待った方がいいというご判断で参加されなかった学校もありますし、あとは子どもたちの中で、例えば、学校を休んでいた子どもに必ず出させるようなことはしていませんし、お子さんの状況によっては書きたくないという場合については書かなかったという例もあると思っています。
具体的に参加しなかった学校の詳細は担当にお聞きいただければと思いますが、それほど多くないと承知しています。

記者
全国的にも世界的にもあまり例がない調査というお話でしたが、それは調査対象の規模感がということでよかったでしょうか。

教育長
規模的なことと思います。さまざまこういった調査はやられている例というのはあると思いますが、ご助言いただいた専門家の方々からは、全県下を対象としてこれだけの規模でやっているというのはあまり聞いたことがないと話されています。

記者
例えば阪神・淡路大震災のときにこういった調査をしたという話はありますか。

教育長
市町村全域や兵庫県全域でこういう調査をやったというお話は聞いていません。ただし、阪神・淡路大震災の時には、今ほど心のサポートということがそんなに言われていなかった時代ですので、むしろ、その阪神・淡路大震災などそういった先行するいろんな災害でご苦労された方々の知見があったので、今、我々がこういう取組をできているということがありますので、それぞれの積み重ねがあるのだろうと思っています。

記者
一人ひとりの結果に対して学校に資料を提供するということですが、前例がない中で、その資料は何に基づいてつくられたものなのでしょうか。

教育長
調査としてこの規模の調査は前例がないということで、これまでの阪神・淡路大震災、スマトラ島沖地震、四川大地震など大災害が発生した際に子どもたちに対してどうその心のサポートをやっていくかという知見は徐々に積み上げられていますので、そういった知見などについて、専門家の方々のご助言をいただきながら、こういう場合にはこういった対応が考えられるのではないかとご指導をいただきながら一つひとつ積み上げてきたということです。

記者
今回参加されなかった学校、また、個別に子どもさんの方で書きたくないというケースもあったということですが、期間外、例えば10月、11月になってから、学校の判断で実施したり、まだ書いてなかった子どもがそろそろ書いてもいいかなということで書いたりという状況はありましたでしょうか。

教育長
実際、今回の9月の実施期間を過ぎて集計には間に合わなかったのですが、実施した学校も複数あったと聞いていますし、それぞれの学校の状況を見ていただいて、やはり必要だと、やってみようというご判断がいただけるのであれば、それは対応させていただきたいと思います。来年度以降も同じような時期にやりたいと思っていて、経年変化を見たいという面もありますので、参加する時期はいつでもいいと言うのは語弊がありますが、学校の事情にお任せしたいと思います。

記者
期間外で実施した学校を含めると、全校で実施されたことになりますでしょうか。

教育長
もともと今年度は見送りたいという学校もあったと聞いていますので、県内の公立小中学生、高校生がすべてこれに参加したということではないと思います。

記事
今回のアンケートでは、4種類のストレス項目というのが出たからと言って、すぐにPTSDであるということではなく、経年的に調べていく中でそういうことがわかっていくということでよかったでしょうか。

教育長
専門家の方々によると、この4つの反応が長期間にわたってすべて継続する場合がPTSDという診断につながるということです。心のダメージは徐々に回復していくのだそうですが、PTSD発症の場合には回復せずに逆にストレスが高まっていく場合がありうるというお話ですので、経年変化を見ていって、徐々にそれが回復していく傾向であれば自然治癒力で回復していくということだと思いますが、逆に反応が強まっていくようですと、さまざまサポートしていかなければならないということになると思いますので、そういうものとして活用できると思います。

記事
例えば注意が必要だという結果となった場合、県教委からこのお子さんは例えば病院に見てもらった方がいいという評価を学校の方にするということでしょうか。

教育長
我々は直接そのお子さんを見ていませんので、見ていない状況で一義的に判断するのも危ないことですので、基本的には、注意すべき点を記載したデータを学校にお渡しして、学校の中にも臨床心理士とか専門家がおられますので、そういった方々と日常的に観察している教員の知見と、今回のデータを併せ持って、どう対応すべきか判断いただきたいと思いますが、ただし、今回のデータで一定の割合が出た場合には、こういう子どもたちに対してはやはり注意深く見てくださいと、必要に応じて教育相談をやったり、臨床心理士と相談したり、より以上のサポートが必要だということがあれば、沿岸であれば保健福祉部の子どものこころのケアセンターの専門家と相談するなど、ステップを踏んで対応していただきたいとお願いしようと思います。

幹事社
発表事項以外の質問がありましたらお願いします。

記者
岩手国体の実施に向けていろいろと動きがありますが、あらためて、どういった国体にしていきたいかお考えを伺います。

教育長
難しいご質問ですが、知事は議会で、新しい岩手型国体、それもゼロからの出発ということをおっしゃいましたので、やはり今まで各都道府県が行ってきた国体は先例にならないのだろうと思います。昭和45年の岩手国体の時、私は高校生でしたが、あの頃を思い出してみると、あらゆるところに県民歌が流れていたりして、皆で国体をやっていこうと非常に盛り上がっていた県民総参加の国体だったと思っています。知事は、県がすべてやるのではなくという言葉も使われていましたので、県民、いろんな分野の方々皆で盛り上げる国体を目指すのだろうなと思います。具体的にどういう国体にするべきかについては、県民の方々とご議論いただく中で、こういう国体をぜひ皆でやろうということになっていくのだと思いますので、これからの議論の行方をよく見ながら、そのなかで教育委員会がなにを果たすべきかということをよく考えていきたいと思っています。

教育企画室
ほかにないようですので、以上をもちまして本日の記者会見を終了させていただきます。

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