平成26年4月17日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020193  更新日 令和1年5月8日

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平成26年4月17日(木曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • 岩手県立一関第一高等学校附属中学校入学者選抜の変更について

質問事項:

  • 教育長就任にあたっての所感について
  • 高校再編の方針について
  • 教育委員会制度改革について
  • 全国学力テストについて
  • 県内の小中一貫教育について
  • 盛岡市教育委員会の教職員の不祥事について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
最初に教育長から発表事項があります。

 

教育長
私の方から1点皆様に発表させていただきます。皆様のお手元に今朝ほど資料をお届けさせていただきましたが、「岩手県立一関第一高等学校附属中学校入学者選抜の変更について」でございます。
御案内のとおり、附属中学校については、平成21年度に開校し、その時入学した生徒さんが今年高校3年生になり、高校と中学校すべての学年に生徒さんが在籍することとなりました。そのような中でこれまでの入学者選抜の方法について全体的に見直した結果でございますけれども、適性検査の内容と方法を変更したいということでございます。具体的な内容ですが、従来行ってきた適性検査1と適性検査2を一つにまとめ適性検査として一本化したいというものと、面接の時間を延長したいとうものであります。その具体的な内容ですが、適性検査につきましては、現在、検査時間45分ずつで配点100点ということで二つの検査を実施してきておりましたが、これを検査時間50分、配点を200点ということで、検査時間を合計90分から50分に短縮したいとするものであります。この見直しの理由ですが、受験児童の負担軽減を図ることと、6年間の検査結果を見てみますと、適性検査1と適性検査2の相互に強い相関関係が見られます。これらを合わせて実施しても受験児童の適正を見極めることが明らかであると、このような判断に至ったものであり、それを踏まえて見直しをさせていただきたいというものであります。それから、作文、面接については基本的に従来どおりですが、面接時間をこれまで15分だったのを20分にしたいということでございます。これは、面接を通じて、児童の人物評価をより見極めたいということでございます。今後、学校関係者へ通知し、県立中学校の学校説明会等でそれぞれの学校や入学を希望する保護者に対し周知を図っていくこととしております。

 

教育企画室
それでは、幹事社の進行によりまして、質問にお答えする形で進めさせていただきます。

 

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問がありましたらお願いします。

 

記者
受験児童の負担軽減を図るということで、検査時間が90分から50分になり配点は変わらないですが、若干、児童の負担軽減という趣旨に沿うものであると思います。これは具体的に、きつい、重いとの訴えがあったうえでの変更なのですか。

 

教育長
学校を通じて話を聞いていますが、附属中学校は、一関市から入学する子どもたちだけでなく、東北本線沿いを中心に県内の広い地域から入学希望者があるということで、どうしても試験前日に宿泊を伴わなければならない児童がおり、それが保護者、児童の負担が強いとの声があったと聞いています。そのような中で、検査時間が50分ということで、通常の授業時間45分から5分延長となりますが、5分程度であれば十分対応が可能であろうという判断に至ったところです。

 

記者
先月か先々月の教育委員会議で附属中学校の入学者選抜の問題が難しいとの意見が教育委員の方から出たと思いますが、それらを反映した判断ですか。また、近年、志願者数の推移はどのようになっていますか。平成21年から試験が始まりましたが、例えば、志願者数が少なくなっているので、若干受験者の負担を減らすような措置をとるというものなのでしょうか。数字的なことを教えてください。

 

教育長
教育委員会議での議論については、私も就任前のことですが、報道等を通じてそのような議論がなされたことは承知しているところです。今回、直接的にその議論を反映したかといいますと、具体的な問題作成は、今後行うことにしておりますので、そのような意見等を踏まえてどういう形が適切なのか今後具体的な検討を行っていきたいと思っています。
それから、志願者数との関連ですが、今、具体的な入学希望者の推移の数値を手元に持ち合わせていないため、後で担当課から回答させますが、今回の見直しは、あくまでも子どもたちの負担軽減等を踏まえて実施するということで、入学希望者との関係で見直したものではありません。

 

記者
面接時間が5分延びたということで、子どもたちの中には言いたいことが言えない子どもさんもいるのではないかと想像できるが、時間が5分延びたことで、すべての受験者に発言の機会が回ってくる、あるいは回るようにするということでよろしいでしょうか。

 

教育長
おっしゃるとおりであり、初めての受験ということで相当緊張している子どもさんもいるということで、受験する子どもさんが自分の考えや入学を希望した動機等をきちんと余裕をもって話しをすることにより見極めたいということで、面接時間を延長させていただきたいと思っています。

 

記者
今までは、十分に答えを引き出すことができなかったお子さんがいた、ということなのでしょうか。

 

教育長
全体的に適性検査の時間が合わせて90分ということで、拘束時間等を考慮し、これまでは面接をできるだけスピーディーに行うという判断だったと思います。面接時間は試験開始当初から変更していませんでしたが、試験を実施するなかで今回のような対応が適当だという意見が出され、関係者で議論、検討させていただいた結果です。

 

幹事社
ほかにありませんでしょうか。
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

 

記者
教育長就任後初の記者会見ということで、まずは新教育長としての所感、抱負をお願いします。

 

教育長
まずもって今般、県議会の同意をいただきまして、知事から教育委員、教育委員会から教育長を仰せつかったということでございますが、職責を考えた時にその重さが極めて大きいということで、身の引き締まる思いです。本県の教育振興に精一杯取り組んでいかなければならないと考えています。そして、教育委員会としては、東日本大震災津波による被災からのハード、ソフト両面からの復興はもちろんですが、学校教育の充実、文化芸術、スポーツの振興、目前に迫った希望郷いわて国体への適切な対応等多くの課題があると認識しています。これまでの教育委員会の取組等を十分踏まえながら、教職員、教育関係者の皆様と力を合わせて前向きに取り組んでいきたいと考えています。

 

記者
今年度から高校再編に関する議論も再開されるとのことですが、前教育長にも伺いましたが、改めてどのような方針を考えているのですか。

 

教育長
先ほど学校教育の充実という話をさせていただきましたが、その中で、高校の配置の在り方等、今後の高校教育の在り方等について検討することは喫緊に迫った課題であると認識しています。これは東日本大震災津波が未曾有の災害だったことを踏まえ、高校再編に係る具体的な計画策定の作業を凍結するという方針を平成23年6月に決定したところです。その後、東日本大震災津波による影響や、少子化の一層の進行を踏まえるとともに、産業構造の変化等もよく見極めながら、本県の高校生をどのように育てていったらよいか、今後の岩手県の高等学校教育の在り方やその方向性について、議論、検討を行っていきたいと考えています。現在、外部有識者による検討委員会の立ち上げに向けて準備を進めており、十分時間をかけて議論をお願いしていくとともに、その検討の中では地域の方々からの御意見、御質問等にも丁寧にお答えしながら、良い方向での御提言をいただき、それを踏まえて具体的な計画策定に取り組んでいく必要があると思っています。今年度においては、今後の方向性についての御議論をお願いしたいと考えています。

 

記者
国では教育員会制度改革が話題となっているが、これに関して教育長はどのようにお考えでしょうか。

 

教育長
教育委員会制度の在り方については、これまでも様々な機会に大きな議論がなされてきたと承知しています。そのような中で、今般、衆議院に与党案が提出されるとともに、その対案である野党案も提出されていると承知していますが、いずれにしても、具体的な制度、仕組みについては法律事項であることから、我々としては、その動向等をまずもって見極める必要があると思っています。その後、どのような形で法律が成立するのか、具体的な対応については今後の課題であると思っています。

 

記者
教育委員会制度について、政府としては責任の所在が曖昧だということを理由に改革意欲を示しているようですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

 

教育長
今般の教育委員会制度改革の発端は、具体的な事象を踏まえて大きな議論になったと承知しています。そのような中で、首長さんと教育委員会との関係が、なかなか意思疎通が図れなかったということに、今回の議論の出発点があるのではないかと思っています。翻って、本県の状況を申し上げると、これまでの教育委員会の施策の方向性として、毎年度経営計画を策定し、毎年2月県議会定例会の際に教育委員長演述という形で公表しています。この経営計画自体が、いわて県民計画やアクションプランでの取組を踏まえて毎年度策定しているところであり、また、教育委員と知事との意見交換も開催しているところであり、一定程度の合意形成がなされているのではないかと思っています。繰り返しになりますが、今後、法律がどのような形になるか見極めながら、適切に対応していく必要があると考えています。

 

記者
現在の制度では責任の所在が明確でないという議論は、岩手では当てはまらないとお考えでしょうか。

 

教育長
やはり教育に関しては、教育委員会が一義的に大きな責任があると思っているところであり、そのような姿勢でこれまでも取り組んできたと認識しています。今後とも責任を持った対応をしていくことに尽きると思います。

 

記者
今月22日に全国学力テストがありますが、今回から市町村教育委員会では学校毎の成績公表が可能になるとともに、県教育員会でも市町村教育委員会の同意があれば成績の公表ができるという見直しが行われました。それについての県教育委員会の考え方を伺います。また、現時点において市町村教育委員会で学校別の成績公表を行うような動きを把握しているでしょうか。

 

教育長
具体的な対応については、まだ詳細を承知していませんが、これまでの議論の中で、学力テストについては、まさに岩手の子どもたちの学力を適切に、客観的に評価する手段として必要なものであると思っています。一方で、学力テストが過度な競争を煽るのであれば、「知・徳・体」を備えたバランスのとれた人間形成という観点からは、必ずしも一律に公表するのは適切ではないと思っています。これまでも教育委員会の中でもそのような議論がなされてきました。そして、各市町村教育委員会でも学校別の成績を公表するとは現在のところ聞いていません。今後、各市町村の動向については、改めて把握していきたいと思っています。

 

記者
昨年度末も、小学校、中学校の廃校、統合が進み、中高一貫教育も進んでいます。今後、高校の再編に加えて、小中における少子化対策を含めた一貫教育、統廃合について、どのようなビジョンがあるのでしょうか。

 

教育長
小中一貫については、これまで、それぞれの市町村の教育委員会、各地域で御議論いただいてきているなかで、県教育委員会としても対応してきたと思っています。具体的には、平成22年度に小中一貫教育の導入を検討していた奥州市前沢地区、普代村を3年間の研究指定モデル地区として、小中一貫教育のあり方を検討するために、学校教育の柔軟な教育課程の編成及び特色ある取組を行ってきたところです。その成果としては、学力向上、中1ギャップの解消等の教育課題の解決に向けた好事例が見られたと承知しています。小中一貫教育導入マニュアルを作成いただいたということで、今後、その内容の普及を図ることができると評価しています。
小学校の統廃合との関係についてのお尋ねですが、これは小中一貫、連携とは別の観点で各市町村において地域の皆さんとの議論を踏まえた上で方向付けがなされているものであると認識しています。小中一貫に取り組んでいくかどうかとは別の問題として、今後具体的に検討していく必要があると考えています。

 

記者
先日の盛岡市教育委員会の教職員の不祥事について、飲酒運転、勤務時間中の飲酒ということがありましたが、盛岡市教育委員会からは、小、中、高校どこであるか具体的な発表はありませんでした。教育委員会関係者の不祥事の対応として、教育長はどのようにお考えでしょうか。

 

教育長
先般の事案発生にあたっての盛岡市教育委員会の対応については、私も承知しているところですが、今回の事案の場合は、盛岡市の職員ということで、事案の公表等の対応を主体的に決めるのは、一義的には盛岡市教育委員会であると思っています。その上で、仮の話として、県費負担教職員が同様の事例を起こした場合の対応については、皆様方に公表基準を県教委からお示ししているところであり、それに従って適切に対応していくこととしています。今回の事案に対して主体的にコメントすることは僭越であり、差し控えさせていただきます。県立学校の教職員や県費負担教職員の場合には、市町村教育員会との合意形成を踏まえて対応方針を定めていることから、それぞれの事案に則して適切に対応していくこととしています。

 

記者
記者会見の最初に仰っていた被災からのハード、ソフト両面での復興について、もう少し具体的に教えてください。

 

教育長
復興の関係ですが、ハード面では、県立学校で直接被害を受けた学校、津波もそうですが地震被害について県内の各学校が大きな被害を受けました。現在、災害復旧については概ね進んでいます。具体的には、津波被害では宮古工業高校では1.5メートルの津波が押し寄せたと記憶していますが、既にその災害復旧は終了しています。また、高田高校については全壊しましたが、現在校舎等の再築を進めているところです。今年度内に工事が完成する方向であり、建設工事がピークに達しています。第一体育館は既に昨年度完成しています。ハード的な学びの環境整備については、一定程度目途がついていると思っています。それから、小中学校については、24校が津波被害を受けましたが、船越小学校では4月から新しい校舎で授業が始まりました。ということで、一歩ずつ進んでいると思っていますが、まだまだ建設に着手していない学校があります。それらの市町村立の学校に対しても、国費導入を含めて適切に支援していきたいと思います。
ソフト面については、未曾有の大災害ということで、発災直後、心に大きな傷を受けた子どもたちがいました。また、その当時はまだ学校に入っていなかったということで、実態を把握していなかった子どもたちが、学校に入学して症状が発現してきているという子どもたちもいます。岩手県全体で実施している心の観察調査では、全体的にはこの3年間で低減していますが、逆に沿岸部では増加の傾向を示しています。その中で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのお力を借りながら適切に対応する必要があると考えています。
それから、スポーツ、学習の面でも大きな制約の中で、現在、授業が行われています。できる限り早期に、学力向上の面でも、また、スポーツの面では様々なスポーツプログラムの提供によって、元の状況に戻すように引き続き対応する必要があると思っています。

 

記者
未来を担う児童・生徒さんにどのような子どもに育ってほしいか、もしくはどのような子どもに育つための学校教育を進めていくかということについて、改めて教育長の考えをお聞かせ願います。

 

教育長
学校生活とは本来楽しいところ、また、子どもさん同士が交流、学習、部活動を通じて絆を深めつつ、自分の能力を高めていく場だと思っています。自分の能力とは、テストの結果ではなく生きる力、学校生活が終わった後でも社会人として生き抜く力を身に付けていく訓練の場だと認識しています。そしてまた、岩手の場合には、特にも東日本大震災津波という大きな試練を経験し、想像もつかない大きな悲しみに直面した子どもさんたちもいます。それは現実は現実として受け止めて、将来に向かって自分の目標を持ちながら生き抜いていく力を身に付けてもらいたいと思っています。そのような中で、県教育委員会としては市町村教育委員会とも十分力を合わせながら子どもたちに寄り添った形での教育を進めていきたいと思っています。

 

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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