平成26年11月20日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020186  更新日 令和1年5月8日

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平成26年11月20日(木曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 財務省の公立小学校1年生での35人学級の見直し要請について
  • 学校現場でのICTの利活用について
  • 公立学校施設の津波対策について
  • 県小・中学校学習定着度状況調査(県学調)の結果について
  • 花泉高校の学級数調整について
  • 教育長による国への要望について

質疑応答

教育企画室

ただいまから、教育長記者会見を始めます。

本日は、教育長からの発表はありませんので、記者クラブからの質問等をお願いします。

 

幹事社

記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

 

記者
文部科学省と財務省が現在綱引きをしている、小学校1年生の一学級の定員を35人から40人に戻そうという議論について、御所見を伺います。

 

教育長
先月の教育長記者会見でも御質問いただきましたが、あの時は突然そのような報道がされたということで、私自身も衝撃を受けました。それ以降、今週火曜日に上京し、文部科学省初等中等教育局を訪問のうえ岩手県教委の考え方を直接伝えてまいりました。財制審の財政制度分科会において御指摘のような検討がなされ、35人学級はいじめ防止等に明確な効果があったとは認められないのではないかという議論がなされたということに対しては、極めて一面的な評価であると思います。なぜならば、市町村教委等から話を聞いている中で、国の標準法上、35人学級は小学校1年生となっていますが、本県では様々な加配措置等を活用し小学校4年生まで段階的に引き上げてきたというところであり、全体的な評価を聞いてみると、生徒指導、学力向上を含めてきめ細かな指導ができているというのが、市町村教委、学校現場の共通の声であると認識しています。そのような中で一部のデータだけをもって効果がないと判断するのは、極めて残念な評価であると直接伝えました。文部科学省でも新しい定数改善計画を策定すべく検討中である聞いておりまして、そのような中で今回の財務省の検討に対しては、文部科学省も同様の趣旨で押し返そうという考え方を持っていると直接聞いてまいりました。また、自民党始め各政党においても超党派で35人学級の推進についての決議等の動きもあるということも聞いておりまして、その動きにも期待したいと思っています。35人学級の推進は、少人数学級だけでなく、様々な少人数指導、習熟度別指導のために必要であり、特に被災3県は大震災からの復興のため加配措置等を講じていただいていますので、それぞれの地域に合った形での加配措置の活用等も含めて定数改善を検討したいという話を伺ってきましたので、非常に心強く思うとともに期待したいと思います。

 

記者
今お話のあった「地域の実情に合った形での定数改善」というのは、どなたがおっしゃったのでしょうか。

 

教育長
その点については、35人学級の推進と併せて地域の実情に合ったやり方を含めて前向きな検討をしてほしいと私からお願いしたところであり、文部科学省でも基本的にそのような方向での検討を進めているということを聞いてまいりました。

 

記者
それは文部科学省の方がおっしゃったということですか。

 

教育長
はい。そうです。

 

記者
学校の先生が直接対面でいらっしゃらなくとも、ICTを使った山間部、遠隔地での学校教育のあり方が議論され始めていると伺っていますが、特に県土広大であり、中山間地域も多く、小規模校が多い本県の特徴からすると、ICTを導入した形でのカリキュラムの作成も考えられると思いますが、ICTの活用についての今後の展開がありましたら教えていただけますでしょうか。

 

教育長
ICTの活用で今注目されているのは、例えば、佐賀県武雄市での取組でありますとか、近畿大学付属高等学校で実施されている「反転授業」と言われるもので、学力向上に大きく貢献しているという報道を私も目にしました。また、小学校の場合は、基本的には一人の担任がすべての教科を教えるということですので、小さな学校でもそれなりの教員体制がとられるということですが、特に県立高校になりますと、一定程度の規模、学級数がないと、全ての教科の教員を配置しようとしても国の標準法上の制約があり配置できないという現状にありますので、ICTを活用することも有効なツールであると思っています。現在、県立高等学校教育の在り方検討委員会の議論においてもICTの活用について話がでていますが、ICTを活用すること自体が目的ではなく、その先の教育の充実に向けた手法の一つとして検討するということはあってしかるべきだと思っています。ICTの活用は今後の課題でもありますが、そのようなことも視野に入れながら、本県の教育をどのように展開していくか検討してまいりたいと思っています。

 

記者
来年度の予算に向けて、ICTを活用した施策を何かお考えでしょうか。

 

教育長
予算要求書の提出期限が25日ということでございまして、現在、来年度の予算編成に向けて検討しているところです。高校再編については、基本的な方向性の見直し中で新たな整備計画の策定はまだ先になりますので、その辺の動向を踏まえる必要があることから具体的な議論はしておりませんが、ICTの活用として、例えば、特別支援教育の現場でタブレット端末を活用した授業等も一部の学校で始まっていますので、そのような部分でも何かできないかも含めて現在検討中でございます。

 

記者
先日、公立学校施設における津波対策状況調査の結果が公表され、県立学校、市町村立学校があるかと思いますが、久慈市では、内陸部への移転の話も出ているようですが、お金の面でなかなか難しいことから国に補助を求めていきたいという話があるようですが、県教委としてもそのようなお考えはあるのでしょうか。

 

教育長
先日、文部科学省が大地震に伴う津波で浸水が想定されるのは全国で2,860校であるとの資料を公表しました。本県では幼稚園から高等学校まで14校あり、その中に久慈市の学校も入っております。久慈市の学校は、東日本大震災で校庭浸水、校舎床下浸水の被害を受けましたが、幸いにも実被害が小規模だったことは非常に良かったと思っています。ただし、将来的には大きな被害の可能性があるということで、久慈市で移転も含めて検討されているということは、東日本大震災を経験した中であってしかるべきであると思っています。一方、高台移転となりますと膨大な財政負担が生じるということで、国庫補助率の嵩上げや現行の財政措置を充実してほしいとの話を伺っているところでありまして、県教委としても今後、必要に応じて国に要請していかなければならないと思っています。

 

記者
市町村教委からも意見が上がってきているのですか。

 

教育長
はい。そのような要望が久慈市教委から出されているところです。

 

記者
他の市町村はどうですか。

 

教育長
他の市町村教委では総じて現在検討中というところが多いと把握しておりまして、東日本大震災では津波が校庭まで来たなど被害が最小限に抑えられた学校もありますので、基本は非常時には高台へ避難するということで、そのため避難路を整備して対応するところもあります。現実的には、一律にすべて高台移転するという方向は難しいと考えております。学校の置かれた事情もそれぞれ違いますので、まずもって市町村教委で多面的に検討することが必要であると思っています。

 

記者
県の学力テストの結果が公表されましたが、前年度と比較すれば、中2の英語以外は前年度を下回ったとのことでしたが、教育長の御所見を伺います。また、今後の方策に向けて新たに始められることがあると思うのですが、学年や校種をまたぐ指導強化についてお尋ねします。

 

教育長
県学調の結果を取りまとめた時点で学校教育室の義務教育課長が記者発表を行い、説明をさせていただいたところです。その時と同じ答えになるのではないかと思いますが、基本的に、県学調は毎年度同じ問題で実施しているわけではありませんので、前年度と点数のみ比較して点数の上がり下がりのみで評価は決められないと思います。ただ、その中には、小学校で出した問題を中学校で出したり、同程度の難易度の問題を出していますので、その結果を我々県教委としては客観的に分析しながら、これからの学力向上につなげていく必要があると思っています。例えば、小学校で出した問題の正答率が5割だったのが、今回、中学校で同じ問題を出しても正答率が同じ5割くらいということで、結果的にその課題がそのまま先送りになっているという事象もあるのではないかと捉えています。また、別の見方では、正答数が満点に近い層と零点に近い層が薄い状況であるとともに、中間層の分布状況を示すグラフが中央の山がやや低くなり台形型になっているということで、全国学調と同じような傾向が見られることから、その辺をさらに上位にシフトさせるような指導も進めていかなければならないと思っています。それから、調査結果を受けた新たな取組については、これからの検討ですけれども、指導力向上に向けたパンフレットを作成したり、今回の結果を分析して具体的な取組内容をきちんと学校現場へ伝えるということを、現在、学校教育室で検討しておりまして、できるだけ早い時期に取り組みたいと考えています。

 

記者
前年度との比較の部分で、同じ問題ではないということで点数の上がり下がりだけでは評価できないとのことですが、教育長がおっしゃるように、課題が残ったまま解決されないから下がったと見ることもできるのではないかと思います。教育長がおっしゃるように苦手部分の克服が大事だと思いますが、いかがでしょうか。

 

教育長
各教科の指導において重点的に意識しながら取り組まなければならないことは仕事と同じであり、まさにPDCAサイクルを回していくことが極めて大事だと思っています。テストを実施して何点だったで終わってしまえば先につながらないわけでして、その辺も十分に意識しながら取り組んでいく必要があると考えています。只今御指摘の点もそのとおりであると思います。

 

記者
質問紙調査において、学校以外での学習時間が中1に比べて中2が少ないということについて、これはずっと岩手県の傾向とお聞きしたのですが、学習時間の確保に向けて何か取り組まれることはお考えですか。

 

教育長
中学校1年生は家庭での学習時間が伸びたという結果になっていますし、中学校2年生でも学習時間はある程度向上しているとみられる部分もあるのですが、ただ、家庭学習が減少しているということだと思います。それには、テレビや携帯電話など様々な要因や学習意欲の問題もあるかとは思います。今年は本県独自の教育振興運動を始めて50年目であり、全県の共通課題を設定して取り組んできたところです。現在のテーマは「読書活動の推進」や「家庭学習の充実」なのですが、現在はスマホを含めた携帯電話の情報モラルの取組についても来年度からの全県統一テーマにできないか、現在検討しているところでして、これが、学校・家庭・地域が一体となって、子どもの学習環境や勉強だけでない様々な体験活動の時間の確保につながるような取組を実施していきたいと思っています。これについては、県議会9月定例会の決算特別委員会でも答弁させていただいたところですが、その辺を現在検討しているところです。

 

記者
スマホを含めた情報モラルの取組はこれまでも進めてこられたと思いますが、今後は何かに特化した取組となるのでしょうか。

 

教育長
スマートフォンの使い方など技術的な対応については、総合教育センターを中心に体験学習用のタブレットやパソコンを活用して先生方や生徒たちへの指導に取り組んできたところです。今回は、この取組を県民運動的に展開できないかということで、学校教育の中だけでなく児童生徒自身の共感を得ることが大事だと思いますので、例えば生徒会活動、児童会活動も含めて、また、地域の理解をいただきながら、情報モラル教育の環境整備を進められるよう現在検討しているところです。

 

記者
今、教育長がおっしゃった「地域の理解を得て進められるように」というのを、もう少し具体的に教えていただけないでしょうか。

 

教育長
学校教育が学校の中で完結するというのでは限界がありますので、地域で学校を支える、学校も地域に近づいていくということで、いわて型コミュニティ・スクール等の取組の充実を図り、学校も学校経営のビジョン、情報を地域に公表しながら進めてきているところもあります。例えば、子どもが自転車に乗りながら携帯を使っている場合には地域で声掛けをしてもらうなど地域の方々の力を借りながら、また、家庭の中でも子どもに厳しくしっかりルールを作ったうえでそのような情報ツールを活用することが必要であると思います。やはり、一定のマナーやルールを作っていかないと、どうしてもそこにどっぷりつかってしまいそれに集中してしまいます。これは学力の面等でも極めて大きな課題になると思いますので、そういうことを学校だけでなくて家庭、地域の力もお借りしながら進めていきたいということです。

 

記者
県立高校の志願者募集の関係で、花泉高校が1学級の減を予定していましたが、教育委員会議で現時点での学級減を見送りまずは募集をすることになりました。花泉高校の件は、今後も、県教委で学級減の方針にある学校について募集段階では判断を見送り、入学志願者が確定した時点で決めるという前例として残っていくのでしょうか。

 

教育長
これまでも募集定員の欠員が40名以上生じた場合に、直ちに翌年度から学級減を実施した事例と、様子を見てから実施した事例と様々な先例があります。今回は、8月に教育委員会の案として来年度の生徒募集の段階から1学級の減としたいということをお示ししました。この案は、今後の生徒の進路希望の状況を把握した中で、1学級以上の定員割れが生じるだろうという見通しの下に作成したものです。今回の花泉高校の場合、今年度入学者が急減したという特殊事情を地域から聞いていましたし、県議会での議論や一関市議会からの意見書の提出等がありましたので、そのような点も含めて総合的に判断したということです。来年度の入学志願者は来年2月に確定しますので、その時点で40名以上の募集定員割れがある場合には来年4月から1学級にするという方向性も含めて、教育委員会議で意思決定したということでございます。

 

記者
最初のお話に戻って恐縮ですが、文部科学省と財務省が現在綱引きをしている小学校1年生の一学級の定員を35人から40人に戻そうという議論において、教育長が文部科学省へ行って岩手の実情をお話されたというのは、今回の35人学級の件に限ってこれを伝えるためだけに行かれたのでしょうか。

 

教育長
今回、文部科学省との意見交換で一番時間を割いていただいたのは35人学級の件ですが、その他にも被災した市町村立学校の復興について宮古市立船越小学校が今年4月に完成したという報告や、高田高校が来年3月に完成予定だということ、また、残る学校については用地問題の解決も含めてこれからしばらく時間がかかるということもあり、それに対する財政支援を引き続きお願いしたいこと等々、教育課題全般について省内の各局・課にお邪魔して岩手県の現状をお伝えしつつ、お願いすべきことについては要望を実施してきたというところです。

 

記者
文部科学省によって何かそのような場が持たれたということでしょうか。

 

教育長
岩手県教委として主体的にお邪魔したということです。やはりこのような情報共有は、時期が設定されたから行うというものではなく、必要な都度実施し、その積重ねが大事であると思っています。

 

教育企画室
以上をもちまして、本日の記者会見を終了します。

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