平成26年10月23日教育長記者会見における質疑応答

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1020187  更新日 令和1年5月8日

印刷大きな文字で印刷

平成26年10月23日(木曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 財務省の公立小学校1年生での35人学級の見直し要請について
  • 平成25年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の結果公表について
  • 花泉高校の学級数調整について
  • 県立高等学校教育の在り方検討委員会について
  • 各学校でのいじめ防止基本方針の策定について
  • 橋野高炉跡の世界遺産登録について
  • 道徳の教科化について

質疑応答

教育企画室

ただいまから、教育長記者会見を始めます。

本日は、教育長からの発表はありませんので、記者クラブからの質問等をお願いします。

 

幹事社

記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

 

記者

財務省が小学校1年生の一学級の定員を35人から40人にしようという報道がなされましたが、教育長の御所見を伺います。それとともに、本県で35人学級となると小学校1年生だけではないと思うのですが、そちらへの対応についても併せてお伺いします。

 

教育長
今日の新聞、テレビで、財務省から文部科学省に少人数学級の見直しについて話合いを提案したいという報道がされたということは承知していますが、具体的に文部科学省から各都道府県教委に対してそのような動きがあるという情報は聞いておりません。本県の35人学級については、国の標準法上は小学校1年生となっていますが、様々な少人数指導等の加配定数等を活用して、本年度から小学校4年生まで少人数学級を導入しています。それぞれの市町村教委との情報交換等で、やはりこの35人学級というのは、より子どもたちに寄り添ったきめ細やかな指導ができるということで、非常に評価が高いということでございまして、我々県教委としては、これまで国に対し少人数学級の一層の推進、標準法定数への組入れについて強く要請してきているところであり、そのような中で、本日そのような報道があったということについては、非常に残念に思っています。ただ、この方向については文部科学省も重大な問題だと受け止めているようでありますので、ぜひとも後退ということではなく、なお一層少人数学級を推進されるよう期待したいと思っていますし、県教委としても必要な要請を今後とも続けていきたいと思っています。

 

記者
財務省の理由として、いじめや暴力の抑制につながったとは認められないという話がありましたが、そのようなことを理由とすることについてはいかが思われますか。

 

教育長
先日、問題行動等調査によって全国の状況が公表されましたが、児童生徒の指導は、生活面での指導も重要ですが、学力の向上など様々な面でもきめ細かな指導が重要であると考えておりまして、一面的な部分を捉えて成果が上がらないとするのは、35人学級の全体的な評価として疑問を感じざるを得ません。先ほど申しましたように、35人学級についての評価は、県内の市町村教委等の状況を聞いても高いところでございますし、全国的にも1年生だけでなく学年進行でどんどん拡大している傾向にありますので、そのような評価のもとで少人数学級が推進されているのではないかと思います。

 

記者
先日の問題行動等調査に関連して、暴力行為の件数が増加傾向にあることについて、教育長はどのように受け止めていらっしゃいますか。

 

教育長
いじめも含めた暴力行為について、まずは児童生徒が関わるそのような行為の抑制に努めていかなければならないと思っています。先般の調査結果では、本県では高校生が前年度と比較して減少傾向ということですけれども、小学校、中学校では増加したということは事実として受け止めなければならないと思いますし、再発防止に向けてなお一層取り組んでいかなければならないと思っています。全体的に、他県と比較してどうかということは一面的な見方であるとは思いますが、全国平均と比較すれば落ち着いている状況ではないかと思います。しかし、暴力行為は児童生徒間でのものが最も多いということですので、暴力行為の相手方となった児童生徒の心情、肉体的な苦痛等を考慮すれば、再発防止に向けてなお一層取り組んでいかなければならないと思っています。

 

記者
震災から3年7か月が経過し、まだ仮設住宅にお住まいの方、お子さんも多い中で、仮設住宅で生活することのストレスが、今回の暴力行為の件数にどのように影響していると捉えていらっしゃいますか。

 

教育長
沿岸部と内陸部とで暴力行為の発生度合に大きな差があるとは見ていませんが、一方で御指摘のように仮設住宅での生活が長期化する中で、親御さんももちろんですが、子どもたちの抱えるストレスが新たに出てくるという可能性が十分あると考えています。暴力行為の要因は、児童生徒間の触れ合いによって突発的に起きる場合もあるでしょうし、精神的なストレス等が重なって原因となるなど様々なケースがあると思います。我々県教委としては、子どもたちの状況をきめ細かく注視しながら指導していくことが大事であり、そのような暴力事件等が発生しないように努力していかなければならないと思っています。そのためには、県立学校に対しては県教委が直接指導していますし、市町村立学校については市町村教委の理解と協力の下に取組を推進していかなければならないと思っています。

 

記者
昨年施行されたいじめ防止対策推進法の重大事態に該当するものが9件発生したという報告がありましたが、このことについて教育長の御所見を伺います。

 

教育長
重大事態は、いじめが原因で長期間の不登校を誘発したり、最悪の場合には自殺を誘因する場合があるものであり、本県では9件の報告があったということです。これはいじめ問題でも特に重く受けとめなければならないことであり、現在、法施行を受けて各学校でいじめ防止基本方針を策定することとなっています。これは重大事案が発生した後の対応のみならず、未然防止の観点が極めて重要ですので、この方針の策定を通じて教職員の情報共有、児童生徒との情報共有等をさらに推進していかなければならないと思っています。

 

記者
具体的にこの重大事態によって、大きな怪我を負わされたり、あるいは30日間以上の長期間にわたって学校を休むような大変ひどい状態になって、今も改善されないお子さんはいるのでしょうか。

 

教育長
この9件の具体的なデータは今、持ち合わせていませんが、暴力事件全体としては96.9%が解決したということではあるものの、よりきめ細かく対応していかなければならないと思っています。いずれにしても、再発防止に最優先に取り組むとともに、未然防止にも今後とも継続して取り組んでいきたいと思っています。

 

記者
花泉高校の1学級の減について、条件付きでの見送りということでしたが、なぜ花泉高校だけ条件付きで見送りを決めたのでしょうか。

 

教育長
この件については、県議会でも先般の教育委員会議でもお話をさせていただいたところです。学級数の調整については、大震災前にはブロック別の募集定員と入学者数の実績を踏まえてブロック内で調整していたところですが、大震災後はブロック別の調整は行わずに学校毎の欠員の状況を踏まえて検討するということで対応してきたところです。学級減にするタイミングについては、翌年度から直ちに実施するということもあれば、実施は2年後からとするなど様々な対応がありましたが、それぞれ1学級以上の欠員が出たことをもって直ちに実施するということではなく、今後の入学者の状況等も踏まえながら総合的に判断してきたところです。本年度は、8月5日に教育委員会の案として学級減を公表したところですが、これも教育委員会としての最終決定ということではなくて、それを踏まえて様々な御意見を頂戴した上で、先般開催した教育委員会議の中でその方向性を最終的に決定したところです。これまで県議会での御議論もございましたし、一関市議会からの意見書の提出も受けていますが、一方で、今後の入学者数もかなり厳しい状況であること等を踏まえ、総合的に判断した結果ということです。現時点での学級減の決定は見送りましたが、来年度入試の志願者数が確定するのが来年2月ですので、その状況を踏まえて仮にその時点で入学志願者が40名を割り込んだ場合には来年4月から学級減とし、40名を超えて入学志願者があった場合には2学級を維持することとして決定させていただいたところです。

 

記者
地域や生徒、保護者にとっては、1学級減という方針が示されるだけでも影響が大きいと思いますが、8月に示された学級減の方針を今回条件付きで撤回するというのは、進路を選択する子どもたちや保護者にとって負担になるのではないでしょうか。

 

教育長
今回は撤回ということではありません。8月はあくまで県教委としての考えを公表させていただいたものであり、このように決定したというものを公表したわけではありません。そのような中で地元でもいろいろ議論がなされ、それを踏まえて今回方針を決定したということは一定の意味があると考えています。

 

記者
今後、他の学校でもこのような合意形成はありうるということでしょうか。

 

教育長
学級減はこれまでも多くの学校で実施しているところですが、例えば8学級を7学級にしたり4学級を3学級にするのと、2学級を1学級にするのとでは、生徒たちの学ぶ環境の変化には違いがあると思います。また、それも踏まえつつ、我々県教委としては案を示したうえで色々な意見を聞きながら判断するという姿勢は大事にする必要があると思います。今後の可能性については、様々な状況を踏まえてその都度決定していくこととしています。

 

記者
志願者数によって2学級を1学級にするということになると、進路指導の上で、花泉高校への志願を誘導するような指導が行われかねないのではないかという懸念がありますが、中学校での進路指導など子どもたちの自由な進路選択を確保するという面でどのようにお考えでしょうか。

 

教育長
それぞれの学校選択にあたっては、一義的には生徒自身、それから保護者の意向が尊重されるべきものと考えています。現在、花泉高校と市立花泉中学校とが連携を強化し、学校説明会や学校訪問等の機会を設けていることは承知していますが、そのような中にあって、学級数維持のために学校として積極的に進路指導を誘導するようなことは聞いていませんし、進路選択には様々な要因があると思います。花泉地区の場合には、交通基盤が整っている中で、一関市や宮城県などに通学しやすい学校がありますので、友人関係や部活動等の様々な面で、本人、保護者がそれぞれの将来の自己実現を図るために、どのような学校がいいか選択がされることを期待していますし、本来そうあるべきであると思っています。

 

記者
「県立高等学校教育の在り方検討委員会」について、今月末にもう一度会議が開催されますが、今後の進め方について改めて御説明願います。

 

教育長
「県立高等学校教育の在り方検討委員会」は、本年5月に新たに設置させていただき、これからの高校再編や高校教育のあり方等を多面的な観点から御検討いただいています。当面のスケジュールとしては、年内に5回程度の委員会を開催することとしており、併せて既に終了していますが、県内各ブロックでそれぞれの地域の代表の方々から御意見を伺う地域別の懇談会も開催してまいりました。これまで3回の委員会を開催しておりまして、後は年内2回程度の委員会を予定しています。そして、最終的には、可能であれば年内に、学校の在り方や適正な学校規模、小規模校の在り方等様々な論点について御議論いただいておりますので、その中で一定の方向性を委員会の意見として答申していただく予定となっています。

 

記者
今月開催するので4回目ということでしょうか。

 

教育長
4回目です。

 

記者
先ほどのいじめ防止対策推進法の話に戻るのですが、各校で義務づけられているいじめ防止基本方針の策定及びいじめ防止等の組織の設立について、県立高校では10月1日時点で8割とのことですが、いつの時点で100%を目指していくのでしょうか。

 

教育長
この方針の策定、組織の設置については、県立学校でおよそ8割、市町村立学校では9割を超えている状況です。昨日、県立学校長会議を開催し、その場で私からは、いじめ防止のためには、全校での取組はもちろん、児童生徒の理解、地域の御協力が必要であり、早急に取り組まなければならないと直接話をしたところであり、遅くとも11月末までには県立学校全てで方針を策定するよう直接指示をしたところです。併せて市町村立学校についても、市町村教委を通じて取組の推進をお願いしていきたいと思っています。

 

記者
市町村立学校は11月末までというわけではないのですか。

 

教育長
できる限り早い取組をお願いしたいと思っています。そこは、市町村立学校は県教委の直接的な管理下にはありませんので、市町村教委に要請するという形になります。

 

記者
橋野高炉跡について、先日、イコモスの調査が終わりまして、来年5月頃に勧告が出され6月から7月にかけての世界遺産の会議で登録されるかどうか決定されるということで、橋野高炉跡の地元である釜石市では一定程度の関心、盛り上がりがこれから出てくるかと思いますが、それ以外の内陸部では以前の平泉の文化遺産の時とは違って、県民の関心や盛り上がりがまだもう一つ不足しているのではないかと思います。来年が世界遺産の登録の年ということで、教育委員会として県民の関心を高め、橋野高炉跡の価値を発信する新たな取組を今後計画されているのであれば教えていただけますでしょうか。

 

教育長
先般、イコモスの調査員が直接、釜石市の橋野高炉跡の調査においでいただいたということで、調査過程においては地域の熱意や保存管理の状態、歴史的な価値等について調査いただき、大きな御指摘等はなかったということで、県教委としても非常に良かったと思っています。今後の最終的な決定までのスケジュールについては御案内のとおりですが、橋野高炉跡の歴史的な価値は、釜石市のみならず広く県民の財産と捉え、県教委として今後県民に対する普及啓発に取り組んでいかなければならないと思っています。具体的な取組についてはこれから検討したいと思いますが、これまでも様々な国際会議や関係県での話合い等には県教委としても積極的に関わってきたところですので、まずもって世界遺産登録の実現を目指していきたいと思っています。

 

記者
特に予算面や組織体制の面で今後強化するようなお考えはありますでしょうか。

 

教育長
それについても釜石市と十分話合いをしながら、今後検討させていただきたいと思っています。
なお、記者会見の冒頭で申し上げるべきだったかもしれませんが、この場をお借りして報道各社の皆様に一言御礼を申し上げます。昨日、長崎県で開催された「長崎がんばらんば国体」が閉会式を迎えました。昨年度から天皇杯の獲得点数、順位を落とす結果となりましたが、全体的には入賞数は前年並みということで、団体競技の不振が大きく影響したのが原因であると思います。今後具体的な分析等をしつつ県教委、県体協、各競技団体と協議しながら、来年そして「希望郷いわて国体」へ向けて県民の大きな力になるように前向きに取り組んでいきたいと考えています。今回の「長崎がんばらんば国体」において、新聞、テレビ等を通じて岩手県選手団の活躍等を幅広く報道いただいたことについて、皆様の御協力に感謝申し上げます。大変ありがとうございました。

 

記者
中教審の議論で道徳を特別の教科とするよう話がありますが、そのことについて教育長の御所見を伺います。

 

教育長
県教委として学校教育の目指す姿は、「知・徳・体」を備えた調和のとれた人間形成であると考えています。そのような中で、道徳教育は極めて大事な視点であると思っておりまして、国でも御指摘のような議論がなされていることについて、関心をもって状況を見ていきたいと思っています。また、道徳教育を大事にすることについても、心して取り組んでいかなければならないと思っています。

 

教育企画室
以上をもちまして、本日の記者会見を終了します。

このページに関するお問い合わせ

岩手県教育委員会事務局 教育企画室 企画担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-6106 ファクス番号:019-629-6119
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。