平成27年1月22日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020184  更新日 令和1年5月8日

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平成27年1月22日(木曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • 岩手県立学校沿岸漁業共同実習船「海翔」竣工式について

質問事項:

  • 教育長の本年の抱負、県教委の今年取り組むべき課題、事業について
  • 「心とからだの健康観察」集計結果について
  • 地方教育行政法の改正について
  • 公立小中学校の統廃合に関する手引案について

質疑応答

教育企画室

ただいまから、教育長記者会見を始めます。

最初に教育長から発表事項があります。

 

教育長
岩手県立学校沿岸漁業共同実習船「海翔」の竣工と、あわせて竣工式の開催についてであります。御案内のとおり先代の共同実習船である「翔洋」は宮古水産高校で所有していましたが、石巻市の造船所のドックで修理点検中に平成23年3月11日の東日本大震災津波により被災し廃船となったところです。このため、代船の建造が急がれておりましたが、これまで公益財団法人日本財団からの御支援及び国の災害復旧事業を活用し、建造に取り組んできたところです。そして、今月末に新しい船である「海翔」が竣工する見込みとなるとともに、あわせて2月14日に宮古市で竣工式を開催することとしています。竣工式には関係者の皆さんに出席いただくということで、県からは副知事及び私が参加する予定です。この「海翔」の名称については昨年11月に公表させていただいたところですが、この船は三陸沖を漁場とするサンマ棒受網漁、イカ釣り、サケの延縄などの漁業実習を行うということで、宮古水産高校、高田高校、久慈東高校の3校が共同で使用するものです。建造にあたっては多くの皆様からの多大な御支援を頂いて完成までこぎつけたということで、改めて皆様に感謝の意を込めて発表させていただきたいと思います。また、竣工式当日はセレモニーがありますので、ぜひ多くの皆様にも御参加いただき、この船出を祝っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

幹事社
本日、記者クラブからの代表質問がありますので、幹事社から質問させていただきます。
2015年の年初にあたり、教育長の本年の抱負そして県教委全体としての今年取り組むべき課題や事業などについてお聞かせください。

 

教育長
昨年末から1月にかけて気象警報等も出ずに穏やかな年末年始ということで、ここ十数年このような穏やかな年末年始はなかったのではないかと思っています。この一年が大きな自然災害がなく、児童生徒もそうですが県民の皆様が安心して暮らせるような一年になればいいと思っています。そして、教育については、今年はこれまで取り組んできた児童生徒の学力向上などベースになる仕事をしっかりやっていきたいと思います。あわせて、希望郷いわて国体については、冬季国体の開催まで1年を切っていますし、本大会まで1年半余ということで、特に教育委員会においては国体で大きな成果をあげるため岩手県選手団の競技力向上が正念場を迎えます。また、高校再編の問題については、昨年末に県立高等学校教育の在り方検討委員会から答申を頂き、今後、「今後の高等学校教育の基本的方向」の見直しですとか、新たな高校再編計画の策定という課題があります。これらに前向きに取り組んでいきたいと思います。それから、昨年地教行法が改正され、今年4月から新たな教育委員会制度がスタートします。制度改正の趣旨については皆様御案内のとおりですが、知事と教育委員会との連携を深めていくことが大きなポイントであると思っておりまして、そのような意味で、この法改正を良い機会と前向きに捉え、本県の教育の振興にまた新しい気持ちで取り組んでいく必要があると考えています。これまで「震災からの教育の復興」と「いわて県民計画の着実な推進」を大きな二本柱にして教育行政を推進して参りましたが、今年度もこの二点を大きな柱に据えて具体的な課題に対応していきたいと思っています。

 

幹事社
次に、各社から質問がありましたらお願いします。

 

記者
「心とからだの健康観察」の昨年度の集計結果が発表されましたが、要サポートの児童生徒の割合が全県で11.9%だったことについて、また、加えてこの調査の結果を受けどのように対処していくのかについて、教育長の所感、見解を伺います。

 

教育長
「心とからだの健康観察」については、東日本大震災津波の発災前はこのような全県的な実情把握は行っていませんでした。そのような中であのような大災害が発生したということで、子どもたちが物理的な面でも精神的な面でも大きな被害を受けた中、子どもたち一人ひとりに寄り添った指導、助言、支援をする必要があるという判断の下で平成23年から行っているものです。大震災前の状況とは比較できないのですが、発災当初の平成23年には要サポートの児童生徒の割合が14.6%であったのが、今回は11.9%ということで、これまでの実情把握を踏まえた児童生徒に寄り添った指導が一定の貢献をしてきているのではないかと考えています。ただ一方で、多くの子どもたちが要サポートの状態にあるということでございますし、沿岸部だけが要サポートの割合が顕著ということではなく、内陸部の子どもたちにも要サポートの状況が見られることから、このようなデータを十分情報共有しながら有効に活用し、子どもの育成に努めていきたいと思っています。

 

記者
平成23年度に調査を始めてから4回目の結果となりますが、震災から4年目で初めてストレス反応が出て要サポートという子どももいます。そこに関して少なくない数値だと思いますが、震災から4年目にしてそのような子どもがいることについてどのようにお考えですか。

 

教育長
ストレスの要因として東日本大震災の影響によるものは、阪神淡路大震災の状況等を聞いても相当長期に渡るのではないかということでございます。あわせて、大震災とは別に、集団生活を営む中で、様々なストレスを抱えながら生活していることも多分に影響があるのではないかと思っています。その原因については、友人関係や勉強、スポーツ、クラブ活動など様々あると思いますが、これは日々変わっていき新たな問題も出てくると思います。これに対してはこのような対応をすれば絶対大丈夫という固定化したものはなかなか難しいと思いますけれども、一人ひとりの子どもたちの状況に寄り添って支援をしていけるように、県立学校と市町村立学校で情報共有しながら丁寧に対応していきたいと思っています。

 

記者
要サポートの児童生徒は県全体で11.9%とのことでしたが、沿岸部にしぼってお聞きすると今回14.1%であり、内陸部と比べると2.8ポイントの開きがあります。また、内陸部では要サポートの割合が減少傾向になっているのに対し、沿岸部はそのようになっていません。この状況についての受けとめと必要な対応について伺います。

 

教育長
先ほども触れましたが、阪神淡路大震災の例をとっても、あのような大災害が起きると発災直後はもちろんですが、さらに時間を置いてストレス反応の症状が出てくる傾向があると思います。それとあわせて、津波による被害で応急仮設住宅の入居率は昨年10月末時点で76.6%ということで、未だ7割の方たちが仮設住宅で震災後4回目の正月を迎えました。このように閉鎖空間での生活が長期に渡っていること等もあるかと思いますが、新たな課題も出てきているのではないかと思います。そのような意味で沿岸部の子どもたちの要サポートの割合が内陸部よりも高いというのは、まさに大震災の影響が大きいと思っています。

 

記者
新たな課題というのは何ですか。

 

教育長
これは教育委員会で具体的な事例を一つずつ捉えているということではないのですが、よく言われることは、家庭内での夫婦間での問題や学校生活の中では仲間がいてにぎやかに過ごしていても家に帰ると狭い中で過ごさなければならないという状況の中で、新たなストレスも出てきているのではないかと思います。

 

記者
沿岸部の子どもたちが特にそのようなストレスを抱えているという状況に対して、今後どのような支援を進めていくのでしょうか。

 

教育長
子どもたちすべてが同じ状況ではないと思います。この災害を精神的に乗り越えて将来に向かって前を向いて進んでいる子どもたちも多くいます。ただ、一方で、フラッシュバックや今申し上げたような新たな課題に心を痛めている子どもたちもいると思います。そのような課題を抱えている子どもたちには学校生活の中で教員やスクールカウンセラー等が寄り添って丁寧に対応していく必要があると思っています。従来型のカウンセラーの配置の他に県外の専門家に巡回型のカウンセラーをお願いして県内の複数の学校を担当していただいています。また、教員の配置についても、復興加配を活用し、被災校に重点的に教員の数を増やして子どもたちの指導にあたっています。今後とも丁寧に対応していきたいと思います。

 

記者
先ほど年初の抱負で、地教行法の改正にあたり知事との連携を深めていくと仰っていましたが、具体的に来年度から考えていることはありますか。

 

教育長
今般の地教行法の改正で明確に位置づけられているのが総合教育会議の設置です。知事と教育委員会との構成による法定設置の会議であり、意見交換の場となります。教育委員会ではこれまでも、知事就任以来、定期的に知事との意見交換の場を持ってきました。今回の法改正により、総合教育会議という名称ですべての自治体に設置が義務づけられましたので、そのような場を有効に活用してこれまで以上に知事との情報共有や教育行政について意見交換をしていくことが大事であると思っています。

 

記者
これまで定期的に知事と意見交換をしてきたとのことですが、今回の法改正で改めて知事との連携をより強化するとは、具体的にどのようなことですか。

 

教育長
これまで、大震災が発災した年を除き、基本的には知事との意見交換を年1回開催し、知事と意見交換、情報共有の場を設けてきました。今後は年に複数回の開催をしたいと考えていますし、そのテーマについても、知事の思い、教育委員会の思いについてテーマを出し合いながら中身の濃い会議にしていきたいと思っています。このように、会議の開催回数を増やしたいと思いますし、開催の仕方も、定例の他に必要に応じてお互いから総合教育会議の開催を持ちかける、ということも出てくるのではないかと思います。

 

記者
文部科学省から公立小中学校の統廃合に関する手引案が示されましたが、それに対する所感、県内の実情についてお伺いします。

 

教育長
そもそも我々がこの件について最初に知ったのが報道を通じてなのですが、文部科学省では来年度予算の編成過程の中でそのような取組を検討しているということについては承知しておりした。正式な文書はまだ文部科学省から届いていませんが、昨日、文部科学省で全国の都道府県教育委員会の担当を集めた会議があり、その考え方についてお聞きしてきました。そのような中で、文部科学省では、今回新たな基準として、従来の距離による統廃合の基準に加えて通学時間を追加したということであります。これは統合を促進するということではなくて、今回の手引きについては、様々な小規模校について今のまま学校を存続するのがいいのか、それとも統合により子どもたちの教育環境を整えた方がいいのか、小規模校でもきめ細かな指導ができるというメリットもありますし、統合すれば通学距離が長くなるというデメリットもありますし、お互いにメリット、デメリットが出てきます。その辺の議論のきっかけにしてもらいたいということです。そして、その上で各自治体が判断したことに対しては、統合した学校については統合が円滑に進むような支援、小規模校として存続する学校にあってはICTの活用などの支援についても今後検討するということで、特にどちらかの方向に誘導するようなものではないという説明でした。いずれ、様々な選択肢の中で、方向性を各自治体が主体的に決めてほしいということです。それから、岩手県の学校の状況ですが、これまでも特に小中学校についてはどんどん統廃合が進んできています。それは、統合した方がよりメリットが大きいという判断の下でなされたと思っていますし、統廃合の対象とならない小規模校にあっては、統合と存続とでお互いのメリット、デメリットを比較したうえで、また地域振興等の視点もあろうかと思いますが、様々な観点から検討した結果、現在の学校があると思っています。

 

記者
今回の手引案は、どちらかの方向に誘導するようなものではないとのことでしたが、県教委としても各自治体、市町村教委に対して「こうしなさい」というような指示、誘導は行わないという理解でよろしいでしょうか。

 

教育長
基本的にはそのような理解で結構ですが、そもそも公立小学校・中学校は市町村立の学校ですので、各学校に対する判断と責任は基本的に市町村が持つべきものであると思っています。そのような中で、市町村教委から具体的な相談等があった場合には、県教委として積極的に情報提供や意見交換等を行っていく必要があると思います。

 

教育企画室
以上をもちまして、本日の記者会見を終了します。

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岩手県教育委員会事務局 教育企画室 企画担当
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