平成27年3月26日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020180  更新日 令和1年5月8日

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平成27年3月26日(木曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 滝沢市の中学生自殺に係る第三者調査委員会報告書について
  • 教職員の不祥事案の続発について
  • 今年度の総括について 

質疑応答

教育企画室

ただいまから、教育長記者会見を始めます。

本日は、教育長からの発表はありませんので、記者クラブからの質問等をお願いします。

 

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

 

記者
滝沢市で昨年5月に中学2年生の男子生徒が自殺した件について、第三者委員会が自殺の背景にいじめがあるとする報告書を滝沢市教委へ提出しました。これについての所感を伺います。

 

教育長
第三者委員会は昨年9月に設置され、これまで20回にわたる調査委員会を開催し最終報告をまとめられたということですけれども、現段階で私は、その報告書の内容について、昨夕から今朝にかけてのテレビ・新聞等報道による情報で把握しているのみです。これまで第三者委員会が専門的な知見から調査・検討を進められたということに対し、まずもって敬意を表したいと思います。また、報告の内容について、いじめの認定とともに子どもの自殺に一定の関係があるという報告がされたということでございますが、この報告を滝沢市教委では受け入れるという趣旨の説明があったと承知しております。県教委、私自身としてもその事実を重く受けとめなければならないと考えています。

 

記者
学校による調査では因果関係が不明という話がありましたが、これまでの学校の調査の方法に何か問題があったとお考えでしょうか。

 

教育長
第三者委員会の報告そのものについて、県教委として詳細に話を伺っていませんのではっきりしたことは申し上げられないのですが、報道では、報告書の中に学校の調査について努力したというような表現もあったが、今回の第三者委員会で各界の専門家の方々がお集まりになって分析した結果、あのような報告書が出されたということですので、学校の調査には一定の限界があったのではないかと受け止めています。いずれにしても、学校が調査したこと等も含めて第三者委員会でアンケート調査や関係者への聴き取り等を行ったと聞いておりますので、そのような中で最終的にあのような報告になったということを事実として受け止めさせていただきたいと思います。

 

記者
今後、いじめ防止のために県教委として取り組んでいくことなど、何かお考えはありますか。

 

教育長
今回、いじめが自殺の直接的な要因になったかどうかは明らかではないということも併せて報告の中で言われているようではありますが、いずれ一定の関連があるということですので、まずもって発達段階の子どもたちが色々な集団生活を営む中で色々なトラブルが常に起こり得るという前提に立ちつつ、今回の滝沢市の事案を他の市町村での出来事と受け止めることなく、県内で起きた身近な事案として各学校において同じような事案を生じさせないような取組を県教委としても市町村教委等と情報共有しながら取り組んでいく必要があると思っています。

 

記者
まだ滝沢市教委から報告書について情報提供されていないとのことですが、昨日の報告書の中では事実関係だけではなく提言もなされていて、その中のキーワードとして「子どもたちに寄り添う」ということが少し足りなかったのではないかという記載もありましたが、そのような観点を指摘されたことについて、今後の教育行政の運営においてどのようにお考えでしょうか。

 

教育長
滝沢市教委から、「もっと子どもに寄り添えばよかった」という発言があったとお聞きしていますが、やはり教育の基本は発達段階の子どもたちが社会の中で自立できるように素養を磨くことであるあると思います。その中で、学校で一番関係が深いのが教師と子どもたち一人ひとりということですけれども、やはり学校教育では、子どもに寄り添うということが極めて大事だと思っています。また、いじめに関しては、命を大切にするとか、他人を思いやるとか、心を育んでいくことが社会生活を営む上でも大きな視点だと思っています。いじめ防止については、今までも全国的にも県内でも様々ありましたので、子どもたちが重大な事案に進むことのないように、これを教訓により丁寧な対応をしていくことが、滝沢市の学校だけでなく、岩手県全体として心がけながら丁寧な指導をしていくことが大事だと思っています。そして、また、丁寧な指導といっても大事に当たり障りのないようにということではなく、優しさとともに時や行動によってはきちんと直させるという一面では厳しさも持ちながら、丁寧に対応することが大事だと思います。

 

記者
滝沢市教委からはまだ報告がないとのことですが、今後、報告は来るのでしょうか。

 

教育長
今回の第三者委員会の設置や学校の調査は、一昨年に施行されたいじめ防止対策推進法に基づいて実施したということですけれども、その中では、市町村立学校で今回のような事案が発生した場合に県教委に対して報告する義務はないと承知しています。ただ、先ほどから申し上げているとおり、今回の事案を特定の学校だけの問題とはせずに、いわば他山の石として、県内の学校が情報共有しながら自分の学校でそのような事案が起きないようにしていくことが大事だと思っていますので、県教委として滝沢市教委に対して情報を頂けるよう要請をしたいと思っています。ただ、今の段階では、滝沢市教委は昨日の第三者委員会への対応や学校での保護者説明会、報道への対応等、おそらく非常に窮屈な日程で集中的に対応する場面があったと思いますので、今段階ですぐに情報提供いただくということではなく、もう少し時間をおいてからお願いした方がいいのではないかと思っています。

 

記者
各市町村教委では、いじめ防止対策推進法を受けて、いじめ防止に向けた組織の設置が求められますが、教育長が仰るようにノウハウを共有するのであれば、各市町村教委では、今回の事例について、学校の調査ではどのような点が至らなかったのか、第三者委員会ではどのような結論を導き出したのか等手法の違いが分らないと、今後、各市町村教委や各学校でいじめ防止対策の推進に反映できないのではないかと思いますが、その辺はどのようにお考えですか。

 

教育長
県教委としてはできる限り情報を把握したいと思いますが、第三者委員会の報告を含めて滝沢市の情報ですので、まずもって滝沢市教育に情報提供について御理解いただくことが大事だと思います。そして、その上でできる限り早い時期に情報を入手しながら、現時点では報告書の現物を見ていませんのでよく分からないのですが、例えば、報告書の中に関係した子どもの個人名が出ているのかどうかも含めて個人情報等もあるかと思います。その辺も含めて滝沢市教委からどのような形で情報を出していただけるか、まずは情報を頂いてから、各市町村教委へ情報提供したいと思っています。また、いじめというものは、必ずしも同じものはなかなかないと思いますので、様々な事案が発生しうるという前提に立って、子どもたちの様子やいじめの兆候があった場合には、できるだけ速やかに対応したいと思います。あとは、子どもたち自身が悩みを抱えたときに、相談できるルートが複数あるという情報を理解してもらえるよう改めて取り組む必要があると思っています。

 

記者
いじめ防止対策推進法に基づく第三者委員会の設置は県内初だったと思います。報告の内容はまだ報道ベースでしかお知りでないとのことですが、初めてのケースとして、今回、第三者委員会が十分機能したと考えていますか。

 

教育長
第三者委員会を設置する段階で、滝沢市教委から県教委に対して様々な相談を頂いています。学校の調査ではなかなか保護者の理解が得られなかったということで、第三者委員会の設置も視野に入れるとのことでありました。県教委としては、まず事実関係を把握することが極めて大事だと思っておりまして、第三者委員会を設置するにあたり、できる限りの支援をしなければならないという基本的な認識でおりました。そのような中で、今回の第三者委員会のメンバーは臨床心理士、精神科医、学識経験者、弁護士等5人の専門家で構成されましたが、人選にあたっては職能団体の理解と協力が不可欠ですので、各団体への協力要請について県教委からも橋渡しをした経緯もあります。そのような中で、昨年9月から20回にわたり調査委員会が開催されたこと、また、時には深夜に及ぶ集中的な審議がされたと伺っておりまして、そのような状況を踏まえて総合的に判断すれば、第三者委員会としてできる限りの努力をしていただいたと受け止めています。

 

記者
滝沢市教委としては納得して了解し受け入れたとのことですが、報告書は直接県教委へ提出されたものではありませんが、県教委として妥当な内容だと受け止めていますか。

 

教育長
滝沢市教委でも、学校の調査を深掘りする形で第三者委員会が専門的な知見から調査した結果を受け入れるということで、県教委としては、様々な議論の中であのような報告になったということをまずもって受け止める必要があると思っています。

 

記者
先ほど、教育長は「学校の調査には限界がある」と仰いましたが、実際、学校の調査も第三者委員会の調査も同じような事実はつかんでいたと思います。ただ、その後の判断に差が出たと思います。今回は第1回目のケースですが、今後の同じようなことがないことを願いますが、今後に向けて学校の調査には限界があるということについて、どのように考えていったらよいのでしょうか。

 

教育長
いじめの問題について、今年度の児童生徒の問題行動等調査におけるいじめの認知件数は、県内全てで837件となっています。通常の教育活動の中で関係する児童生徒の間に学校側が関わって、担任や生徒指導の教諭も含めて問題解決に向けて日々努力することにより、良い方向に向かっている事案がかなりの割合を占めています。ただし、通常の指導の中では解決できない事案もあるだろうという前提に立って、学校での調査とそれでも明らかにできない場合には第三者委員会という流れを法律の中で道筋をつけてもらっています。そのようなことで、今回の事案一つをもって全てが機能していないというものではないと思っています。ただ、今回、学校の調査結果と第三者委員会の最終結果が同一ではなかったということについては、より幅広い専門的な知見を持った委員の方々が議論した結果であると受け止めるのが適当ではないかと思います。

 

記者
率直に言って、第三者委員会による調査を評価していると考えてよろしいでしょうか。

 

教育長
第三者委員会による調査の結果を事実として受け止めますが、報告書自体をきちんと見ていませんので、現段階では評価するとまでは申し上げられないと思います。

 

記者
先ほど、教育長は「県内の学校で情報共有していくことが大事」と仰いましたが、具体的にどのような方法で情報共有を考えていますか。

 

教育長
今回の滝沢市の事案については、第三者委員会からの報告書も含めて、きちんとした情報を把握することから始まると思っています。そして、その上で新年度が始まりますので、今回の件は市町村立学校のみならず県立学校にも通じる話ですので、県立学校の場合は学校長会議において、市町村立学校の場合は、県内の6教育事務所管内で学校長が集まる場面に私も直接出向くなど、毎年度、市町村立学校長の意見交換の場がありますので、そのような場でも話をさせていただきたいと思います。まずは、事実をつかんだうえで、その情報提供を最初にやっていきたいと思います。

 

記者
紙か何かで情報提供するということでしょうか。

 

教育長
ペーパーベースでも情報提供する必要があると思っていますが、私自身、教育長として話をさせていただくとともに、担当課からも校長だけではなく指導主事等を集めた会議等もありますので、そのような場で丁寧に情報提供といじめ防止の取組の深化を要請していきたいと思っています。

 

記者
報告書の中では何点か提言がされていますが、具体的に県教委として、今後、これらの提言を吟味するというか、提言に基づきどういった手立てが可能かどうか協議をするのでしょうか。また、スケジュール等があれば教えていただきたいのですが。

 

教育長
具体的に今の段階でスケジュールを申し上げることはできませんが、年度当初に先ほど申し上げたような機会もありますので、そのよう場でこうやってくださいというだけではなく、お互いに意見交換するような形を通じながら、また、それぞれ市町村立学校が独自で活動しているところもあると思いますので、意見交換等を実施していきたいと思います。

 

記者
県教委としてこんなことがやれるという提案も考えられると思いますが、いかがですか。

 

教育長
やはり、基本は相手を思いやる心や命を大切にする心を学校教育の中で、具体的には道徳教育や総合的学習の時間での人権教育等様々取り組んでいますので、そのようなことを丁寧に今後なお一層取り組むということになることが基本になると思います。あとは、重大な事案が発生した場合は、いじめ防止対策推進法に基づいた適正かつ客観的な対応を図っていくことが大事であるということを、市町村教委に改めてお願いすることが大事であると思います。さらに、子どもたちに複数の相談ルートがあることやどのような所へ相談すればよいかについて、改めて情報提供することも必要だと思っています。

 

記者
提言を重く受けとめて、今後具体的な対応を検討するということでしょうか。

 

教育長
そうですね。

 

記者
先ほど、学校の調査には一定の限界があったのではないかとの発言がありましたが、どの辺りをそのように感じられたのでしょうか。もし、このような調査の方向が望ましかったのではないかということがあれば、お知らせいただけますか。

 

教育長
なかなかそれは難しいのですが、学校の調査の結果が最終的にあのような形で「いじめと疑われても致し方のない事案」があったとされましたが、今回の第三者委員会の最終報告の内容とは違っていますので、結果的に、客観的な第三者の方々に入ってもらった中で明らかになった部分があったのではないかと思います。ただ一方で、学校の調査でも生徒へのアンケートや関係者の皆さんへの聞き取りなど基本的に同じような調査手法も講じられていたということで、できる限りの努力をした中で今回の第三者委員会が導いた調査結果に至ることができなかったものと思っています。

 

記者
学校も同じ手法で調べてはいたけれども、より知見のある第三者委員会が調べた結果、結論が違ってしまったのはやむを得ないということでしょうか。

 

教育長
やむを得ないというか、そこはなかなかお答えするのは難しいのですが、学校の調査も踏まえたうえでさらに第三者委員会で調査したということですので、より丁寧な調査がされたと受け止めています。

 

記者
昨今、教職員の不祥事が続発していますが、この件についての御所見を伺います。

 

教育長
御存知のとおり、先般の県議会2月定例会では常任委員会が2回開催されましたが、最初の常任委員会において私から不祥事の発生について陳謝しました。また、その後の常任委員会においても、その間に新たな不祥事が発生したことから、重ねてお詫びを申し上げたところです。特に今年度の不祥事では、逮捕事案が昨年度と比べて多く発生しているということで、教育に対する信頼を低下させるとともに、一方では、一生懸命頑張っている教職員がいる中で一部の教職員の行為が全体の行為のように見られるのは、教職員全体の士気を下げることにも繋がることだと考えています。このような事案の発生については、今後できる限り起さないような組織風土を築かなければならないと思っています。また、不祥事の防止については、コンプライアンスの日を設定して定期的な教職員への意識啓発を実施してきましたが、そのような中で依然として発生しています。そして、今年度の特徴的な事案として、非常勤、ALT、外国籍の教員など常勤以外の教職員による不祥事が発生しています。これまで、教職員会議は常勤の職員を対象としたものが一般的だったと思いますが、前回の常任委員会での陳謝以降、非常勤の教職員を含めたすべての教職員に法令順守の徹底とともに、我々が日頃仕事や生活をしていくうえで、常に衆人環視の下にあるという意識を各教職員の心に届くよう指導をしていかなければならないと思っていまして、その旨の通知を改めて出したところです。昨今のインターネット社会では、様々な人との関わりや物の入手が可能となり、表面上は皆から見えない中で様々な行為がなされます。人に見つからなければいいという意識を持つのは、教職員としてのモラル上問題が大きいですし、表面化すれば大きな反響がありますので、そのようなことも含めて指導と市町村教委に対する協力要請を今後様々な機会を通じて行っていきたいと思っています。

 

記者
2014年度が終わりますが、今年度はどのような年度だったか総括していただいてよろしいでしょうか。

 

教育長
やはり直近の出来事として、教職員の不祥事の関係もありますが、私が教育長に就任したのが昨年4月であり、この1年間本県教育の振興に携わらせていただいたことに感謝しながら、次年度に向けて新たな気持ちで取り組んでいきたいと考えています。この1年間で特に頭に残っていることとして、まずは教育委員会制度改革にかかる法律改正がありまして、それへの対応をどうするかということで、岩手県としての在り方を議論しながら一定の方向性を示すことができたということです。新年度に新しい制度がスタートしますので、円滑に移行できるよう、取り組んでいきたいと思います。また、国体の関係も印象に残っていまして、希望郷いわて国体の冬季大会まで10か月を切る段階に来ていますし、本大会までは1年ちょっとということですので、そのような意味で選手力強化等を教育委員会では担当していますので、そのような中で岩手の選手たちに頑張っていただいているということを嬉しく思っています。昨年の長崎国体では一昨年の東京国体より順位を落としたということで、国体への出場権を得た選手は多かったものの、入賞まであと一歩という競技が多かったことから、今年の和歌山国体そして岩手国体へ向けて大きな成果を挙げられるよう、今後取り組んでいきたいと思っています。総じて、様々な明るい話題もありましたし、一方では厳しい問題もあったということで、今後も気を引き締めて教育に携わっていかなければならないと思っています。

 

教育企画室
以上をもちまして、本日の記者会見を終了します。

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