平成27年9月10日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020175  更新日 令和1年5月8日

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平成27年9月10日(木曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 矢巾町における中学生自殺事案関係について
  • 全国学力・学習状況調査の結果について
  • 東日本大震災津波から4年半を迎えるに当たっての被災地に係る教育面の課題等について 
  • 新聞を教育現場に取り入れる取組について

質疑応答

(教育企画室)

 ただいまから、教育長記者会見を始めます。

 本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問をお願いします。

 

(幹事社)

 記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

 

(記者)

 文部科学省による、いじめ件数の見直しについて、先日矢巾町議会で0件だったものが30数件と大幅にいじめ件数が増えているとの結果が報告されており、他の自治体でも同じような状況があるということであるが、どの程度把握されているのか。また、大幅に増えたことについての受け止めについてお伺いしたい。

 

(教育長)

 今回の文部科学省の再調査ですが、これは本県の矢巾町で発生した事案を踏まえ、全国調査が行われたものであり、矢巾町においては、いじめ件数が昨年度の調査では0件であったという中で、いじめを一因とした事案が発生したことから、その調査自体が本当に全体を掴んでいたかという認識の下に今回の調査が行われたものと捉えております。なお、矢巾町では先ほど話があったように、昨年度の調査では0件でありましたが、再調査の結果34件となったと聞いております。全県的な調査につきましては、来週までに報告をいただくこととしており、学校から市町村教委そして教育事務所という段階を経て集約することになっていますので、取りまとめはこれからという段階です。矢巾町の結果を見ますと、学校全体として情報共有が出来ていたかどうかという課題もあったのだろうと思いますし、いじめを積極的に報告するという考えがあったのかどうかという問題もあると思っています。いずれ、他の市町村の結果もこれから出てきますが、全ての市町村が増えるかどうかは結果を見ないと何とも言えませんが、矢巾町の状況を見る限り、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立つための実態把握については肯定的に評価するべきだろうと考えておりまして、今回の矢巾町の件数増加については、実態をより正確に反映したものであると捉えております。今回の再調査を機に、各学校に対し、いじめの定義に従って積極的にいじめを認知し、適切な初期対応をとるということについて、指導助言していきたいと思っています。

 

(記者)

 具体的に県教委として、いじめの認知についての取組はありますか。

 

(教育長)

 いじめの認知と併せて、いじめの防止対策等のこともあろうかと思います。7月5日に痛ましい事案が発生して以来、学校調査等が進み、現在は第三者委員会が設置され、教育委員会が設置する付属機関による調査が行われる段階となっています。これまで県教委では、7月14日の総合教育会議の場において、知事と教育委員との協議により、矢巾町への対応や全県への対応に係る今後の方向性について合意形成を図りました。それ以降、各市町村教委や学校に対し、学校それぞれが定めている基本方針に基づき、いじめへの対策がなされているかの徹底を図ることや、各地域、家庭との協力の下にいじめ防止対策、いじめの認知を進めてほしい等々の要請をしています。また、8月上旬には、県内6ブロックで学校長等を対象とした、いじめ防止対策に向けた緊急の校長研修等も行っており、会議には各市町村の教育長にも参加していただいています。各市町村教委においても独自に学校長会議等も開催しつつ、学校全体での情報共有を図る取組を進めています。このように、全県的に、いじめの実態把握、それから防止に向けた取組を最優先課題として進めるようになってきていると感じています。知事と教育委員長の連名により、児童生徒に対し、命を大切にすること、いじめを撲滅することについてのメッセージも発出しており、今後より一層いじめ対策に取り組んでいきたいと思っています。

 

(記者)

 いじめ防止基本方針に基づく取組について、実施状況をどの程度把握していますか。

 

(教育長)

 今調査している段階であり、取りまとめはこれからとなりますが、今月中に全体像を取りまとめたいと思っています。県内の公立学校全校の状況を把握し、そして何よりも目的は、いじめの対策をきちんとやっていくということにありますので、そのような動きにつなげていきたいと思っています。

 

(記者)

 いつ頃になりそうですか。

 

(教育長)

 調査を開始した段階では今月中旬を目途としていましたが、若干遅れたとしても今月中には取りまとめたいと思っています。

 

(記者)

 矢巾町教育委員会の第三者委員会について、県教委としての関わりはどのようになるのか。

 

(教育長)

 第三者委員会の設置については保護者からの強い意向も踏まえて、町教委として調査委員会を設置することを決めたわけですが、具体的な人選については、町側が考えている方、保護者が考えている方、双方のこれまでの議論等を踏まえて最終的に6人のメンバーが決まったと承知しています。県内の職能団体から推薦を受けた委員については、矢巾町からの要請を受けて県教委が職能団体との調整し、町に推薦したものです。

 

(記者)

 全国学力テストの結果が先月末に出ましたが、中学生は全ての科目で全国平均を下回っています。このことについての受け止めと今後学力向上のための取組など検討を始めているものはありますか。

 

(教育長)

 今回の調査結果については各紙で報道されていますが、小学校では、算数Aを除き、昨年度との比較では全体的な位置付けは若干上昇しましたが、中学校については、国語、数学ともに昨年よりも下がり、全国平均を大きく下回るという結果となり、極めて厳しい調査結果となったと認識しています。子どもたちが、様々変容する社会を生きていくためには、学力は基本的な能力として極めて大事な能力だと思っています。知・徳・体すべての能力が大事ですが、学力はその中核的な位置にあると思っています。各市町村、学校によって様々なバラつきがありますので、今回の調査結果をこれまで以上に多面的に分析し、各市町村教委、学校と情報を共有するということ、各学校において、それぞれの学校の子どもたち一人ひとりの状況を丁寧に見て対応するということが大事だと思っています。県教委としては、全県の情報をきちんと分析した結果を市町村教委に伝え、それを活用していただくようにしたいと思っています。そのため、各教育事務所に配置している指導主事、各市町村に駐在している指導主事がいますので、例年1月に開催していた指導主事等の会議を、早々に今週末に行いたいと思っています。また、県教委においては、本年度から学力向上の担当課を設置していますので、そこで集中的に今回の調査結果を踏まえつつ今後の対応を検討するよう指示しているところです。

 

(記者)

 指導主事の会議は明日の予定ですか。

 

(教育長)

 明日の予定です。

 

(記者)

 具体的な中身はそこで決めていくということですか。

 

(教育長)

 明日は現段階で分析している結果をもとに意見交換を行いますが、それぞれの地域における指導主事が掴んでいる情報等もあると思いますので、その辺の意見交換等も十分にしていきたいと思っています。

 

(記者)

 明日震災から4年半となりますが、今の教育面での課題や現状、4年半経って新たに出てきた課題があればお願いします。

 

(教育長)

 知事選、県議選があり、様々な県政課題についての議論が行われたところですが、これからの県政において重点的に取り組む課題は、大震災津波からの復興とふるさと振興の大きな二本柱であると認識しています。教育分野においても、このことを十分に踏まえ、その実現を図っていくことに取り組んでいく必要があると思っています。明日震災から4年半を迎えますが、様々な復興に向けた課題が残っています。教育の場の復興については、一つは、ハード面において学校施設の復旧が道半ばだということです。県立学校では、本年4月に高田高校が新築移転しましたが、小中学校では多くの学校が被災し、今復旧したのは、山田町の船越小学校だけです。今年度中に岩泉町の小本小中学校が移転する予定ですが、残る4市町12校は、来年度、再来年度に新校舎が完成する見通しとなっておりますので、まずもって、このハード整備に対しての支援をしていきたいと思っています。現在、仮校舎等での不自由な生活や被災しない学校でもグラウンドに仮設住宅が依然として残っている状況が続いていますので、そういう環境の改善に向けて取り組んでいくということが一点目です。次に、児童生徒の心のサポートについてです。全県の児童生徒を対象に調査を行っていますが、内陸部は低減傾向にありますが、沿岸部の子どもたちについては、発災時以降、シグナルを送っている子どもたちの割合が増加傾向にあるという状況ですので、これからも中長期にわたり取り組んでいく必要があると思っています。また、学校環境においては、グラウンドが使えない等々の制約がありますので、体力づくり等も、限られた環境の中で粘り強く取り組んでいかなければならないというような様々な課題があると認識しています。いずれ、大震災からの学びの場の復興を最優先課題として取り組んでいきたいと思っています。

 

(記者)

 いじめ対策について、具体的に何かを設置しようなどと検討されていますか。

 

(教育長)

 先ほどは、事案が発生して以降、これまでの取組の話をしましたが、今後においては、今月上旬に緊急の校長研修を行ったところでありますけれども、初任者研修や5年研、10年研の教員研修、それから生徒指導主事の会議・研修等、様々な機会ありますので、その中で、いじめ問題をこれまで以上に強化して、教員の生徒指導に対する資質向上を図っていきたいと思っています。今回の矢巾町の事案を他山の石として、いじめは自分の学校でも常に起こり得るものという認識を持ちながら、不断に取組を進めて行きたいと思っています。また、予算等の都合もあり、現在検討している段階ですが、全ての学校に対して啓発用ポスター等を作成・配布することも検討していきたいと思っています。

 

(記者)

 知事もいじめ対策について、何かしていきたいという話をされているようですが、具体的に何か組織を設けるとか、事業を取り組むなどといった話はありますか。

 

(教育長)

 知事からも総合教育会議の場や普段の業務上のやり取りの中で、いじめ対策について出来る限りの努力をしていこうという話をいただいていますし、教育委員会としても責任を持って対応していかなければならないと思っています。具体的にはこれからとなりますが、さらに加えることについては常に考えていきたいと思っています。

 

(記者)

 いじめについては、各学校の基本方針をいかに浸透させていくかということが課題となりました。学力に関しては教育長からもお話がありましたが、学校によってバラつきがあるということです。様々な会議や研修において、今まで従前どおりやってきたところを、さらに一歩踏み込んで、学校にいかに県教委の方針を伝えていくか、実際すごくいい取組をしていて、結果を出しているところもありますが、そういったものをどのように各学校に広めていくかということも大事になると思うのですが、さらに工夫する考えはありますか。

 

(教育長)

 報道の方で行われているものもありますが、県教委においても、単に調査の結果だけではなく、学校へのアンケート調査や子どもたちへのアンケート調査を併せて行っています。その調査の結果においては学力と相関関係にあるような動きが様々見られます。クロス集計などの分析を行い、本県の各学校の状況はどうかということも精緻に分析しながら、各市町村教委に教育事務所等を通じてきちんと伝え、各学校における取組をどうしていくかということが現場で十分に話し合われるような取組を促進していきたいと思っています。

 

(記者)

 新聞を読んでいる子は10点くらい平均点が高く、読んでいない子は低いという調査結果があります。あくまで平均点ですので一概には言えないと思うのですが、NIEの取組において、岩手県の図書室には新聞が配架されていない学校が多く、取組が進んでいる学校はあるのですが、全く取り組んでいない学校も多々ある状況です。隣の秋田県では県教委として新聞を教育に取り入れるという取組を行っているのですが、新聞を教育現場に取り込んでいくという考えはありますか。

 

(教育長)

 今後、本県の実態を分析する必要があると思いますが、これまでもNIE活動については様々な場面で県教委から各学校に対し、積極的に取り組むよう話をしています。学習指導要領の中においても新聞の活用は大事な視点だとされております。また、我々が仕事をしている経験上も、社会の課題や考え方を身に着け、様々なことを考えることに繋がることにもなりますので、極めて大事な取組だろうと認識しています。3年後、本県でNIEの全国集会の開催も予定されておりますので、そういう機会等も踏まえながら機運醸成を図ることも大事だと思っています。また、生徒自身が自ら発表し、生徒たち同士で意見交換するアクティブラーニングなどの授業スタイルを取り入ることも比較的良い結果に繋がっているというアンケート結果等もありますので、それらを踏まえながら本県の子どもたちに効果が高いと思われることを皆で話し合いながら段階的に実施していくことが大事ではないかと思っています。

 

(記者)

 矢巾町でいじめが0件から34件に増えたということについて、現状の調査にはどのような問題があるとお考えですか。

 

(教育長)

 矢巾町において、具体的にどこの学校で何件増えたのかについては、正式な報告を受けてからとなります。全ての学校がどうかということについて現段階では話すことはできないので、町全体で34件に増えたということに対しての私の受け止め方ですが、一つには、最初の調査段階において、学校全体で情報共有がなされていたのかという課題があったと思います。また、いじめの存在自体を表出化していくことに積極的だったかという課題もあったと思います。いずれ今回の調査の目的は、事実を捉えるということはもちろんですが、いじめの度合い等も様々なレベルがあり、小さいと思っても発達段階の子どもたちにとって受け止め方は様々であり、強いいじめであっても耐えられる子どももあるかもしれないので、いじめに対しては丁寧に表に出して対応していく、そういう取組を継続していくことが大事ですので、今回の結果については、そのような生かし方を積極的に進めて行きたいと思います。そして、仮にいじめ件数が多くなったというところは、その結果が悪いということではなく、より積極的にいじめに対応していくというように、我々も発想の転換をしていくことが大事だと思っています。

 

(教育企画室)

 以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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