平成28年4月20日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020155  更新日 令和1年5月8日

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平成28年4月20日(水曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 今年度の方針について 
  • 熊本地震について
  • 御所野遺跡について
  • 平泉世界遺産登録5周年について
  • いじめ問題への対応について
  • 教職員の不祥事に関する注意喚起について
  • 県教委主催の会議の公表の在り方について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問をお願いします。

 

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

 

記者
今年度初めの記者会見ということで、今年度の方針について伺います。

 

教育長
御案内のとおり、私の前任期が3月31日で満了し、改めて4月1日に新制度に基づく新教育長を知事から拝命しました。新たな気持ちで本県の教育諸課題に関係者と力を合わせながら全力で取り組んでいきたいと思っています。特に本年度は、教育行政の推進に当たり、継続性が極めて大事だと思っています。昨年一年間、本県の教育行政として様々な課題に取り組みました。一つは、新しい教育委員会制度がスタートしたということです。また、そのような中で、2年連続していじめを一因とした中学生の自殺事案が発生しました。大きな事案でありましたし、亡くなられた子どもの命の尊厳を起点としながら、今後、二度とこのようなことを岩手で起こさせないという強い決意のもと、教育界が一体となって努力していこうという方向性について、関係者と合意形成をさせていただきました。それから、高校再編の議論等もあり、お陰様で3月に新たな高校再編計画を発表することができました。本年度も、引き続きそれらの課題に重点的に対応していくことがまずもって大事だと思っています。それから、東日本大震災津波から5年を経過したということで、学びの場の復興も一歩ずつ前に進んできている状況にありますが、いまだ厳しい状況に置かれている学校、子どもたちが多くいます。仮設住宅から通学している子どもたちもたくさんいます。また、心の不安な状況を抱えている子どもたちもいますので、学びの場の復興に重点的に取り組むことは、県政全体でもそうですが、教育分野でも第一に考えて取り組んでいきたいと思っています。それから、今年は特別な年だと思っています。完全国体がこの岩手で開かれます。1月のスケート国体を皮切りに、アイスホッケー、スキーなどの冬季大会は終了しましたが、本大会が10月に開催されます。今年の冬季国体で県選手団が大躍進したという良い流れもあり、また、昨年の紀の国わかやま国体でも県選手団が大活躍して天皇杯順位16位となりました。本年度の国体の目標を天皇杯順位8位以内としていますけれども、できる限り高いレベルでの入賞ができるように関係者と力を合わせてやっていきたいと思います。復興の取組はこれからまだまだ続くという中で、国体を復興に向けた大きな力にするという意味もありますし、成功を成し遂げた力を未来を創るための大きな力にしたいと思います。大震災津波が発災した際には全国から様々な御協力を頂いていますので、国体はそれらに感謝する大会であり、大会全体が盛り上がることで県民の大きな喜びとなり、また、国体に向けて県民が協力して取り組んだという実感を持つような、大きな意義のある国体にしなければならないと思っています。そのような意味で、教育委員会の果たすべき役割は大きいということでございます。国体が開催されること、また、県及び各市町村ではふるさと振興、地方創生の取組もスタートした年であり、県全体でも様々な諸計画がスタートした年ですので、我々教育行政としてもそのような動きを十分踏まえながら、足固めをする大事な年だと思っています。

 

記者
熊本地震の関係で、相次いで震度6の強い地震が続いていますが、東日本大震災の経験を踏まえて教育長の所感を伺います。昨日は、宮古水産高校の「りあす丸」が支援のために出航しましたが、そのような具体的な連携、支援があればお教え願います。

 

教育長
東日本大震災津波の発災当時、私は教育委員会に勤務しておりました。その経験を踏まえて申し上げますと、まずは子どもたちの安全がきちんと確保されていればいいなと思っています。今もまだ地震は収まっておらず、まさに群発している状況ですので、何よりも地震が落ち着くことを期待したいですし、安全がきちんと保たれることであればいいと思っています。そのような中で、大きな被害も出てきているということであり、また、お亡くなりになられた方々も50名近くいらっしゃるということであり、大変お気の毒だと思っています。それから、住宅等を含めて社会基盤も相当大きく傷ついているということで、その復旧、復興に向けた取組が一日でも早く進められる状況になればいいと思っています。まだ現在も大きな余震が発生しているということであり、中々混乱している状況だと思いますけれども、岩手県全体としてもそうですが、県教委としても、東日本大震災津波の発災から現在まで全国の皆さんから多くの支援を頂いて、今復興に取り組んでいるところでありまして、そのような意味においても、我々としてもできる限りの支援をするという基本的な姿勢を持たなければならないと思っています。今はそのような状況であり、どのような支援が必要かを個別に問い合わせることは、大混乱している中でかえって迷惑をかけることになりますので、現在は、全国知事会ですとか、教育委員会ルートでも全国都道府県教育委員会連合会とも話をしながら、岩手にできることがあれば、できる限りの御協力、御支援をさせていただきたいという思いを伝えています。今後、必要な支援が明らかになった時点で、積極的に対応させていただきたいと考えています。昨日は「りあす丸」が、宮古市からの応援も頂きながら、高等学校にある備品も含めて発電機や米、水などを積んで晴海ふ頭へ出航しました。「りあす丸」は高校生たちが乗る実習船ですけれども、全国の水産高校の集まりでぜひ協力してほしいという話を受けたことから、帰港する予定だったものを引き返して荷を積み晴海ふ頭へ向かったものです。事前に県教育委員会事務局にも相談があったのですが、宮古水産高校からは生徒たちが積極的に協力したいと言っているという話がありましたので、ぜひともお願いしたいということで昨夕出航したということです。まずは、第一弾としてこのような支援の動きがあることは当然必要なことだと思いますし、また、高校生たち自身が広く募金活動を始めています。そして、我々大人も、これから熊本県に対して、県庁全体もそうですが、県民のみなさんも募金活動を始めています。我々の経験を踏まえると、被災地の方々の困った状況は推察できますので、できる限りの御支援、御協力をしていくことが我々の責任であると思っています。

 

記者
復興支援の感謝や恩返しの意味も含めて、全国知事会や被災地の教育委員会から要請を受けた場合に即時に対応できるように準備を整えているという段階ということでよろしいでしょうか。

 

教育長
我々には東日本大震災津波の際の経験があります。大震災津波が発生したのが3月であり、ちょうどその後に卒業式や入学式など様々な行事が予定されている中での未曽有の大災害でありました。その際、県教委では、何よりも子どもたちが学校へ戻ることが復旧、復興に向けた第一歩であろうということで、学校再開に向けてはガイドラインを作ったり、沿岸部の一部で人事異動の凍結を行いました。今回、そのようなノウハウの中で生かせる部分があるのであれば、情報をどんどん提供したいと思います。また、子どもたちの心のサポートについて、今、岩手では全県的に児童生徒全員の心とからだの健康観察を行っています。それによって丁寧な指導、支援ができるという経験も持っています。今すぐに支援するというのは、現場が大混乱している中で難しいとは思いますけれども、そのようなことも求められれば、積極的に対応したいと思っています。人的な支援もあるでしょうし、組織的に提供できる情報や物資など、今後そのような要請が来たときにはすぐに動けるように、教育委員会の関係課には情報を整理するよう指示しているところです。また、全庁的には調整を行う岩手県応援本部を立ち上げ、その中で話がされていますので、教育委員会としても積極的に対応していきたいと思っています。

 

記者
一戸町の御所野遺跡について、北海道北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて推薦書の素案が提出されましたが、そのうち、岩手の御所野遺跡の部分が全国的な知名度という意味では、平泉と比べてちょっと低いのではないかという声がありました。今後、県教委としてPRの部分をどのように考えていますか。

 

教育長
北海道北東北の縄文遺跡群は、構成資産が北海道、青森、秋田、岩手の4道県にまたがっていますが、その中でも、御所野遺跡は非常に保存状態が良いということで、高い評価を頂いていると思っています。まず、現時点においては、国内推薦を頂くということが極めて大事だと思っています。昨年、文化審議会から提示された様々な宿題がありますので、それらにきちんと対応していくということで、3月に関係道県と一緒に推薦書の案を提出させていただきました。その実現がまずもって最優先ということです。そして、また、お話にありましたように、御所野遺跡の知名度が全国的にどうかという話になりますけれども、岩手の中でもまだまだ足りないと思っています。平泉の世界遺産登録後、知事と教育委員会の職員による全県的な出前授業を年間数十回行っています。また、昨年、橋野鉄鉱山を含む明治日本の産業革命遺産が世界遺産登録されたということで、今年は、出前授業の範囲を平泉授業から世界遺産授業へ広げることとしています。その中で、御所野遺跡についても、今、世界遺産に向けて取り組んでいるものとして御所野遺跡もありますよということも、県民にその資産の価値や存在等を理解してもらうことが必要だと思います。まずは、授業の中で、学校教育の場から始めていきたいと思っています。また、全県的な取組については、関係部局と連携しながら取り組んでいきたいと考えています。

 

記者
関連の質問になるかと思いますが、平泉が世界遺産登録5周年を迎えるということで、記念式典は知事部局が担当されると思うのですが、それに向けた教育長の御所見や意気込みなどを伺います。

 

教育長
世界遺産登録から間もなく5年という大きな節目の年を迎えるということだと思います。大震災津波から5年というのは、被災された方々にとっては5年がどのような意味を持つかいろいろな思いがあるかと思いますが、平泉の世界遺産登録は、復興に向けて大きな光になったということで、大きな節目の年であると思っています。それに向けた様々な関連事業が、地元の平泉町はもちろん知事部局を中心に、その関連イベント等が今年度予定されています。そのような中で、中尊寺や金色堂などの構成資産の価値を将来的にもきちんと残していくことが極めて大事だと思っています。そのような意味で、教育委員会の果たす役割は極めて大きいと思っています。世界遺産の保存をきちんと行い、普遍的な価値があるものをきちんとした状態で残していくことが重要だと思います。今後、普及啓発事業が進んでいくと思いますので、関係部局と十分連携しながら、全体的な盛り上がりを支えていきたいと思っています。

 

記者
教育長の冒頭の決意の中にもありましたが、いじめに関する問題ですが、年度が替わり、教育委員会の職員も現場の教職員も体制が一部変わったりして、新たな意識づくりが必要かと思います。昨年の矢巾の件に関して言えば、1年生から2年生への情報共有の面とか、引継ぎの面で少しマイナスになったところがあったと思うのですが、そのような面での情報共有や新しい体制で全員一丸で取り組むことについてどのように考えていますか。

 

教育長
昨年は御存知のとおりあのような大きな注目を浴び、また、大きな批判を頂いた事件が起きました。そのことを、これからの岩手の教育の中で十分生かしていかなければならないと思っています。年度当初の今の時期は、様々な関係者が集まり、本年度の教育行政の方向性を確認し合う様々な諸会議があります。先般は県内の教育事務所や各市町村に駐在する指導主事を集めた会議があり、全体で200人程が集まる機会もありました。また、今日の午後は、県内全市町村の教育長と県教委との意見交換会があります。それから、明日は県立学校長会議があります。このように、これから様々な諸会議が予定されています。その中でも、特に重要なテーマとして、いじめ問題への適切な対応があります。いじめは、その撲滅を目標に掲げてしまうと、無い方が良いという意識が出てくるということを、これまでの反省として我々自身持っています。いじめは常に起こり得るものであり、いじめが起きた時にいかに対応するか、早期発見・早期対応、学校全体での情報共有の必要性について、我々は昨年の経験を通じて深く胸に刻みました。そのことについて、改めて様々な諸会議の場等を通じながら、引き続き最優先で取り組んでいくとともに、私自身からも皆さんの共感を得られるように話をしたいと思います。また、諸通知等でも必ずそれを触れるということを徹底し、みんなで共有していくような組織的な協力体制を構築していきたいと思っています。

 

記者
明日の県立学校長会議では、そこで知事が初めて講話をされるとのことですが、これもそのような流れの一環ということでしょうか。

 

教育長
これまで、県立学校長会議などの教育委員会主催の会議は、ベクトル合わせの機会というか、教育委員会が独自に関係者を集める機会はありましたが、イベント的なものは別として、知事に出席いただく機会はありませんでした。先ほど申し上げた教育委員会制度改革が昨年4月からスタートし、知事と教育との距離を縮めていこうというのが法改正の趣旨でもあり、昨年の県立学校長会議に初めて知事に出席いただき挨拶をしていただきました。今年は、知事から挨拶だけではなく、教育に対する知事の想いをお話しいただくということも良い機会ではないかと思っています。そのような中で、いじめの問題に触れるかどうかは別にして、知事の考え方を直接聞く良い機会だと思っています。その後、私からも県立学校長に対して話をすることとしています。その中では、ただ今申し上げた話も確実に伝えていきたいと思っています。

 

記者
昨年、教育委員会議が開かれると必ずと言っていいほど懲戒処分の案件が出ていましたが、先生たちに対する教育長や知事からの注意喚起をすることが必要ではないでしょうか。

 

教育長
ただ今お話のとおりでありまして、昨年度も逮捕事案を含めて教職員の不祥事が数多く発生し、県民の皆様に大変申し訳ないことだと思っています。県議会本会議の一般質問でも陳謝したところであり、また、県議会の常任委員会でも陳謝を重ねてきたところです。様々厳しい状況はあるのですが、子どもたちが一生懸命頑張ってスポーツや文化、学力も含めて一生懸命頑張っています。そのような中で、それを指導する教職員が不祥事を起こすことは、正に県民、子どもたちの期待を裏切るものだと思っています。今年度がスタートした4月1日には、私から全教職員に対しメッセージを発出しています。不祥事の防止のためにあれをやるな、これをやるなということだけではなく、教職員には子どもたちの未来を切り開いていく大きな役割がある。また、教職員が教職を目指した原点に立ち返りながら、教育の充実に向けて教育界挙げて頑張っていこう。一方で、我々は衆人環視のもとで仕事をし、生活しているということに思いを致しながら、本来やるべきことをきちんとやって、県民の期待や付託に応えるようなことをやっていこう。また、反射的に、不祥事を起こすことにより家族を不幸に陥れてしまうとともに、関係者にも多大な迷惑をかける側面もあるということ等を、教職員一人ひとりに行き届くようにメッセージを出させていただきました。今日の会議では、そのことも含めて、関係者の理解を頂きながら、それぞれの組織単位でも情報共有をきちんと行い、皆の期待にきちんと応えていくように、具体的な行動に移すように督励をしていきたいと思います。いずれについても、そのような事案が発生したことに対しては、大変申し訳なく思っております。不祥事の再発防止に向けて、いじめ問題と同等に継続して取り組んでいく必要があると考えています。

 

記者
先ほどのいじめ問題の件、懲戒処分の件にも関わると思うのですが、指導主事会議、県立学校長会議、市町村教委との意見交換では、仕方がないことだと理解できるのですが、非公開の部分があります。個人情報の関係などもあるのは十分分かるのですが、教育長が先ほどおっしゃった県民に共感を得るような取組をしたいということと関連するかと思うのですが、非公開の部分があると閉塞的と見る方がいても仕方がないのではないかと思います。その辺り、非公開についてどのように考えていますか。

 

教育長
会議では、いじめ問題についても、不祥事についても、私が直接話す部分は公開します。ということで、その気持ちが皆さんにもきちっと伝わるように責任を持って公開しますので、よろしくお願いします。一方で、様々な個別の情報提供については、その中には意思形成過程の情報もあります。個人情報等もありますから、その辺の非公開にする部分は厳選したいと思います。全体をくくって非公開とする形ではなく、限定的にしたいと思っています。

 

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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