平成28年11月30日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020146  更新日 令和1年5月8日

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平成28年11月30日(水曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 教職員の不祥事防止策について
  • 県内で発生した私立高校生の転落死について
  • 縄文遺跡群の世界文化遺産登録に向けた取組について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問をお願いします。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
相次ぐ不祥事に関して、特に体罰が今年度4件ということをどのように受け止めているか。また、新たに計画している対応策があればお聞かせください。

教育長
先月の定例記者会見でも同様の質問がありましたし、先般終わった9月定例会においても、不祥事に関し、特に体罰事案について様々御指摘いただきました。不祥事が発生していることに対しては、教育に対する信頼を損なうことにつながっていることとあわせて、保護者や子どもたちの期待に背く行為ですので、できうる限りの発生防止の取組を今後なお一層強力に推進していく必要があると考えています。
具体的な対応ですが、先月の記者会見でもお話しましたが、発生防止の通知等はもちろんですが、そのほかに3点話をさせていただきました。1つ目は、コンプライアンスマニュアルの改訂です。これは、薬物等の具体的な事例が載っていませんでしたので、見直しを現在行っております。2つ目は、懲戒処分を受けた者に対する事後研修、事後指導の徹底を行うことです。3つ目は、各所属長にコンプライアンスに関する宣言等をしてもらうことを現在検討しています。近々、方向性を決めて取組の徹底に向けた通知を12月中に出したいと考えています。

記者
心に響く指導ということを常々お話されていますが、目に見える改革が必要であると思います。その辺りはマニュアルに反映されるのでしょうか。

教育長
コンプライアンスマニュアルについては、不祥事に関する全体的な考え方を示しております。併せて、これまでの発生事例等、発生に至った経緯等を具体的な事例として載せているものです。全ての事案を網羅的に載せることは、情報が教職員に届くという観点からもなかなか難しい面がありますので、特徴的な事例等を幅広く掲載しているものです。
今回は、それに載っていなかった特に薬物に関して、法令に抵触するという背景等も含めて丁寧に説明していくものを作成したいと考えております。

記者
体罰に関してはどういう対応を考えているのでしょうか。高体連など別組織と連携する考えはないでしょうか。

教育長
体罰もですが、教職員の不祥事に関して、全般的に相次いで起きていることは県民の皆さんに申し訳なく、再発防止にこれまで以上に強力に取り組んでいかなければならないと考えています。これは年度当初からの考えで、4月冒頭に全教職員に対するメッセージを出しております。それと、8月29日には県立学校長と市町村教育委員会の教育長に一斉にお集まりいただき、その会議の中で取組の徹底をお願いしました。
関係団体との連携ですが、特に体罰は、運動部活動の時だけでなく授業中も起こり得ますので、教職員に対する指導を研修の場など様々な機会を通じて徹底していくことが大事です。その中で、頻度が目立つのは部活動指導の時が多いというのは御指摘のとおりで、高体連、中体連、校長協会など関係する団体に協力を要請してきております。今後とも一体となって体罰の発生防止や根絶に向けてできる限りの努力をしていきます。

記者
教職員の指導マニュアルの改訂時期はいつでしょうか。また、改訂は毎年行っているものでしょうか。

教育長
年内の12月中に改訂する予定です。マニュアルには、交通事犯や体罰に関しては既に載っていますが、薬物に関しては具体的に事例が載っていなかったのですが、今年度、昨年度、一昨年度と相次いで起きていますので、今回、法令の位置づけなど詳しく説明いたします。
改訂に関しては、3、4年前に策定して以来の見直しだと思いますが、詳細は担当課に確認をお願いします。

記者
体罰の件ですが、今年は前年を上回る4件が発生しており、その中で30代の若い教員によるものが目立ちます。教員同士でも気づかず、管理職はましてや気づかなく、表面化しにくい部分があると思われますが、どのようにお考えですか。

教育長
体罰に関しては、平成24年の桜宮高校での事案発生後に、文部科学省からの体罰禁止の徹底の通知を受けて、各学校で情報共有をしてきた経緯がありますが、根絶に至っていなく極めて大きな問題と捉えています。体罰が発生した際の報告は、学校から市町村教委を通じて、県立の場合は学校長から報告があるという場合もありますし、保護者の方からの情報提供など、様々なルートで情報提供がありますが、敏感に対応して事実関係を調査することが大事であると考えています。いずれ、学校の中で情報が止まらないよう、可能性がある事案については丁寧に把握するよう、我々もですが学校に対しても指導したいと思います。

記者
体罰事案を巡って不祥事も含めて何回も通知を出されていると思いますが、1年間に何件か発生し、生徒に対して複数の体罰に及んでいるのに、誰も教員が見ていなくあとから出てくるというのは、指導が良ければそれでよいと黙認されているとかあるのでしょうか。

教育長
体罰は学校教育法上禁止されている行為ですし、子どもたち一人一人の人権を侵害する行為ですので、今後なお一層発生防止や根絶に力を入れていかなければいけないと考えています。情報収集についても、できる限り丁寧に汲み上げるような体制、体質というものが学校内に定着するように、様々な機会を通じながら、ただいまいただいたような話も含めて、学校と十分な話し合いをしていきたいと考えます。

記者
先程、体罰事案でも不祥事事案でもコンプライアンスをきちんと行うということでしたが、私はそれだけでは片手落ちだと思っています。例えば、いじめ事案でもそうですが、不祥事や体罰が不信感を高めるのはそのとおりですが、その後の学校や教育委員会の対応が、むしろ不信感を高めているのではないかという課題意識があります。先日の9月議会でもそういう議論がありましたが、何かが起きた時にきちんと対応するところが欠けているのではないでしょうか。教員の資質向上も必要ではないでしょうか。

教育長
人事管理の基本は何かと考えた時に大事なことは、信賞必罰だと考えます。悪いことをした時はその責任をしっかりと取ってもらうことを徹底することも大事ですし、逆に、今の学校教育全体が教職員の力によって岩手の子どもたちを育んでいるという現実、多くの努力があるので、その努力に対してきちんと評価しつつ、ほめるしくみをメリハリをつけて運用することが大事であると考えています。
不祥事の発生については、今までのやり方で繰り返されるということは、効果がないのではないかとの議会での指摘がありましたが、徹底した指導をベースにしつつ、起きた事案等について具体的な情報提供を行い、また、様々な研修や方途を講じて、教職員の心に響くような理解を得るような取組を充実していくことが大事であり、そのように取り組んでいきたいと考えます。

記者
信賞必罰はあくまでも教員個人の問題ですが、組織の対応はどうでしょうか。この間の県北沿岸部のいじめ事案の対応もですが、組織としてなかったことにしたいと感じられる対応が散見されます。個人の問題でもありますが、組織の問題でもあると思いますがいかがでしょうか。

教育長
教職員の個々の不祥事は、いろんなパターンがあると思います。体罰など勤務時間内の職務を通じた中での不法行為、プライベートな生活の中で起きた行為、具体的な事例ごとに適切に対応することが大事だと考えています。
不祥事ではありませんが、特にいじめ問題ですと、学校組織できちんと対応することが極めて大事ですし、学校いじめ防止対策基本方針に基づいた組織をあげての対応がベースになることが極めて大事であると考えます。また、プライベートで起きた不祥事についても、単に教職員の個々の問題ではなく、岩手の学校教育全体で起きた問題であると受け止め、対岸の火事ではなく、他山の石とすることが極めて大事であると考えています。
ただいま御指摘いただいたことを十分に踏まえて、今後取り組んでいきたいと考えます。

記者
関連して、不祥事を発表される際の年齢について、人によって34歳ということもあれば、50代ということもあります。年齢構成で職員が特定されないようにしていると教職員課の課長が話されており、その趣旨はわかるのですが、同じ記事に2つが出た場合に整合性が取れません。読者からすると関係ありませんので、改める考えはないでしょうか。

教育長
教育委員会では、懲戒処分を行った都度、また、逮捕事案など重大な事件が発生した時は、公表しています。懲戒処分については、毎月の教育委員会議に付議する必要がありますので、その都度発表しています。重大事案については、個人名も含めて年齢も公表していますが、それ以外の場合は、教職員課の課長からご説明したとおり個人が特定されないよう対応しております。他の任命権者の取扱いも参考にしながら今後どのようなあり方が良いのか、本日いただいた御意見もお聞きしながら対応を考えてみたいと思います。現時点ではそのような考えです。

記者
話題は変わりますが、県立学校ではなく、私立高校の女子高生が自殺したとみられる事案がありました。いじめの可能性は低いとのことですが、高校生の自殺についてどのような所感をお持ちでしょうか。また、このようなことを未然に防ぐためにどのような指導や対応が必要だとお考えでしょうか。

教育長
ここの廊下にも貼っているポスターですが、昨年のいじめを一因とした事案の発生を受けて、いじめをやめましょうという性格だけのものではなく、ベースには命を大切にしましょう、自分の命もみんなから育まれて今があるという命の大切さ、同級生や同じ学校で学ぶ子どもたちも、それぞれの様々な期待や思いがあって今があるということ、命は極めて大事なもので自他の命を大切にするようにとの思いを込めて、小学校低学年から高校生までを対象とする3種類のポスターを昨年作成しました。通常のポスターよりかなり大きいものです。これは県教育委員会と岩手県と合同で作成したもので、公立学校だけでなく私立学校も含めて各学校の1教室ごとに掲示しています。
そうした中で自殺事案が起きてくるのは、極めて悲しいことですし、残念なことですし、関係する皆さんのお気持ちを考えると本当に痛ましいことです。これからの時代、社会を形成していくのは今の子どもたちですし、子どもたち一人一人に様々な能力、力があります。そういうことを社会に出て大きく発揮してもらうため、命は本当に大切なんだということを学校教育の中で繰り返すこと、また、教職員、子どもたちの声や行動を通じて浸透するような取組を学校教育全般を通じて積み重ねていくことが大事であると考えますし、行っていきます。

記者
今回の事案を受けて県立学校に自殺に関する何らかの通知を出される予定はありますか。

教育長
自殺の原因は様々あると思います。直面する様々な課題がある中で、苦しんでいることもあるでしょうし、将来への不安などいろんな要因があると思います。生徒指導の一番中心的な狙いは、自他の命を大切にすることです。毎年度、命を大切にすることを繰り返し指導しています。今回の事案の事実関係については現在調査段階であると思いますので、それらの経過等を踏まえて対応を考える必要があると思っております。

記者
話題が変わるのですが、縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた取組ですが、先日の県議会でも他の4道県に比べてPRは足りないのではないかとの指摘があったかと思います。県としてはPRをしているという思いもあると思いますが、今度18日にも全県の方が集まるシンポジウム等も開かれますので、どのように受け止めているかお聞かせください。

教育長
縄文遺跡群については北海道・北東北の4道県に構成資産がまたがっておりますので、一体的に登録に向けた取組を推進することで4道県の気持ちは一致しております。各道県においても県民の皆さんに貴重な遺産の理解を深めてもらうことが極めて大事であると考えています。県教育委員会では、世界遺産授業を平泉や橋野鉄鉱山に加えて縄文遺跡群についても行い、その中で取り組んでおり、また、様々なシンポジウムなども行っています。
岩手県の取組が弱いと言われることについては、登録が実現していない現実を捉えながら更に頑張ってくれというメッセージであると受け止めています。中心的に取り組まなければならないのは、文化審議会の国内推薦を得ることであり、4道県で連携しながら共同して今度こそという思いで取り組んでいきたいと考えています。また、本県における取組についても、新たにどういうことができるのか不断に考えていきます。

記者
話は戻りますが、一般論として伺います。私立学校でいじめや生徒の自殺など重大事案が発生した時に県教育委員会はどのように関わるのでしょうか。

教育長
岩手の子どもたちが様々な事件事故等にあうということは、公立私立関係なく、岩手県、市町村、地域と協働しながら守っていかなければならないと思いますが、法令上は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律というものがあり、その中で、私立学校の所管は知事部局が行うこととなっており、教育委員会は所管しておりません。いじめの件は公立私立等関係なく全体で取り組んだ方がよいと考え、教育委員会から知事部局にも呼びかけて取り組みましたが、私立学校の一義的な所管は知事部局ということになります。
県教育委員会として、直接的に私立学校に対し指導する役割は現在のところ担っていません。なお、教育課程等の必要な情報提供は行っております。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。 

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岩手県教育委員会事務局 教育企画室 企画担当
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