平成28年12月21日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020143  更新日 令和1年5月8日

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平成28年12月21日(水曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • 教育長の給料の自主返納について

質問事項:

  • 教育長の給料の自主返納について
  • いじめ問題への対応について
  • 今年1年を振り返っての所感について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は教育長から発表があります。

教育長
私からの発表は、私の給料の一部を自主的に返納するということです。
教職員の不祥事防止に関して、これまでの記者会見でも様々な御質問をいただき、県議会等でもいろいろな話をいただいてきました。それぞれの学校において、多くの教職員が子どもたちの成長を支援するため、教育に全力を尽くして頑張っている中で、一部の教職員による免職事案等が本年度も発生しています。保護者、地域からの本県の教育への期待に背くようなことが後を絶たない状況を踏まえて、先般、新たな取組を3点決定しました。大きなものは、校長にコンプライアンス宣言を行ってもらうことで、私自身も宣言しました。加えて、不祥事により懲戒処分を受けた職員に対する事後研修を実施することとしました。
給料の自主返納は、教育委員会の代表者として、不祥事の発生が後を絶たないことに対する責任を表すほか、教員一人ひとりに不祥事を発生させないという意識を持ってもらいたいとの期待を含めています。また、不祥事は家族も不幸になることに気づいてもらうことや、不祥事防止に対し今後一層取り組む決意も込めています。
具体的には、給料月額の10%を年明けの1月から3月までの3か月間返納することについて、私自身の決断をしました。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
このタイミングで給料の返納を決めた理由をお聞かせださい。

教育長
不祥事の防止に向けた新たな取組を先般決定したこと、また、一昨日の総合教育会議でのテーマの一つとして、教職員の不祥事防止を取り上げさせていただいた事情も含め、本日発表することが適切であると総合的に判断しました。

記者
教育長の月額の給料額を教えてください。

教育長
私の給料月額は条例で決まっており、750,000円です。ただし、現在、特例減額を行っているので、実際の支給月額は727,500円であり、その10%の月72,750円を返納します。

記者
教育長が給料を自主返納するケースは過去にもあったか、また、教職員の不祥事を受けてということは初めてか、県内の市町村の状況も含めて教えてください。

教育長
教育長の給料の自主返納は、岩手県では初めてです。皆さん御存知のとおり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により教育委員長の職がなくなり、委員長の在任期間の終了に伴い新しい教育委員会制度に移行しました。改正後の法律に基づき議会の同意を得て、この4月に新制度での教育長に任命されました。教育長が教育委員会の代表者になったことも含めて、教職員の心に響くよう行動に出る必要があると考え、今回のことを判断をしました。
県内の市町村の情報は持っていませんが、教職員の不祥事だけでなく責任の取り方は様々あり、条例改正による給料の減額はあったかもしれませんが、具体的には把握しておりません。全国的には、教職員の不祥事を踏まえて教育長が自主返納した事例があるようです。

記者
教育長御自身のコンプライアンス宣言の内容を教えてください。

教育長
教職員の不祥事に関する問題点は様々ありますが、代表的なものは、本県の教育に対する県民の皆さんの信頼に背く結果となっていること、また、不祥事を起こした教職員の責任に対し厳正に対応することはもちろんですが、それにより全体の士気が下がらないようにしなければならないと考えています。
今回のコンプライアンス宣言では、部下職員と様々な機会の対話を通じて教職員の士気を高めていくこと、不祥事に対する県民の皆さんの批判が高く、勤務時間中に限らず県民の皆さんから大きな期待を常に受けているという気持ちを大事にしながら教育に向き合っていくこと、組織パフォーマンスを向上させていくこと、また、不祥事が発生した場合は、厳正かつ適正に対処することを含めて出しました。
私のコンプライアンス宣言の具体的な内容は、廊下の掲示板に掲示しており、県立学校、事務局、市町村教育委員会を通じて市町村立学校まで全てに通知しています。各所属で、それぞれの所属長が考えた宣言を行ってもらい、教職員みんなでその意識を共有していただきたいと思います。

記者
自主返納に係る議会の同意等は必要ないのでしょうか。

教育長
教育長は特別職ですが選挙により選ばれた者ではないため、公職選挙法における寄付行為に当たりませんので、条例改正によらず自らの判断によって自主返納が可能です。

記者
先程の話にあった教職員の不祥事による免職事案の件数と内容を教えてください。

教育長
本年度の懲戒処分件数は、昨年度、一昨年度と比べて特に増えたという状況ではないですが、本年度の免職事案は2件で、強制わいせつ、薬物取締法違反で逮捕された教員に対するものです。

記者
給料の自主返納は決意を表すという意味では、わかりやすい表明の仕方ですが、これにより不祥事が減るかは別な話であると思います。改めて考え方をお聞かせください。

教育長
9月議会でも話をしたように、対策をした結果、これだけの不祥事を防げたというような予見は難しいところです。今回、私自身の給料を自主返納することにより、一人でも多くの教職員に、不祥事防止に向けた教育長としての気持ちを汲んでもらい、不祥事を起こさない意識を持ってもらうことを期待しています。県民や保護者からの教育に対する期待があり、また、子どもたちが教員の姿を見て日々成長している中で、教職員の免職事案のほかに体罰も発生しており、今までとは違う取組を求められていると考え、一つでも前に進む取組をしたいとの思いから、今回のことを判断しました。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
明後日、矢巾のいじめの件で第三者委員会の調査結果が出されるようなので、いじめに関して3点伺います。1つ目は、いじめの認知件数が平成27年度調査で過去最高となるなど、全国でもいじめを背景とした自殺が近年続いて後を絶ちません。中には、矢巾の件のようにいじめが疑われる行為を把握しながらも、その重大性の評価を誤り、防ぐことができないケースが見受けられるが、いかがお考えでしょうか。

教育長
矢巾の第三者委員会での調査結果が近々公表されることは、既に報道されており、我々も聞いています。具体的な内容は承知していませんが、昨年の事案について丁寧な調査がされていると認識しています。また、昨年、一昨年と本県で発生した事案を踏まえて、何よりも学校教育に求められるものは、子どもたちの命、人権が守られることが極めて大事であり、学校教育の基本的業務の一つだと思います。県教委として、いじめ問題への積極的対応を進めていくことが大事であると考え、これまで、各学校で定める学校いじめ防止基本方針等の実態調査を行うとともに、校長、教職員を対象とした研修や会議等を通じて、積極的対応の徹底に努めてきました。
いじめと自殺の関係は、学校でできる限りの情報を集めたうえで組織的な対応を図ることが極めて大事です。あわせて、保護者や地域の皆さんからも情報をいただき、一緒に取り組んでいくことも大事ですので、そのようなことを積極的に進める学校の体制づくりを今後も進めていきたいと考えています。

記者
2つ目は、いじめの認知件数の増加は、もともとのいじめの件数の顕在化が進んだと考えられますが、件数が増えれば増えるほど、いじめに当たるか、どう対応すれば良いかなど、それを評価する学校側の手法・スキルの向上も必要であると考えます。具体的にどう取り組んでいるのでしょうか。

教育長
本県の事案が発生する前に大津のいじめ問題があり、いじめ防止対策推進法の制定に結びつきました。その趣旨を十分踏まえた丁寧な対応が大事です。いじめの認知件数は、大きな問題があるといじめ認知を丁寧に行った結果件数が多くなりますが、その後風化し、いじめはない方が良いとの風潮が強くなってしまい、いじめの認知の感度が弱まることがあります。このような過去の反省を踏まえ、早期発見、早期対応を大事にし、各学校、教育委員会で積極的に対応していきたいと考えています。
御質問のように、それぞれの教職員の認知した課題へ対応するスキルは極めて大事であり、岩手県では、総合教育センターでの研修や様々な会議を通じてスキル向上に取り組んでいます。事案毎に内容が違うため一律の対応は難しい面はありますが、それぞれの事案に向き合い、解決に向けて努力する組織風土づくりを進めていきます。

記者
外部のマンパワーについて、今後、活用するのでしょうか。

教育長
来年の政府予算が近々決定する見込みですが、概算要求では、いじめ問題など様々な課題解決を強化するため教員定数の改善も盛り込まれています。政府予算の動向も見る必要がありますが、単にお金の話だけでなく、学校内での教職員の連携、教育、組織的な取組が基本的に一番大事であると考えています。併せて、地域の皆さんの力をお借りする中で、地域との連携の強化、具体的に外部の方に学校教育の現場でどのように入っていただくか、教員定数に関する予算との関係も含めて見極めていきます。

記者
3つ目として、生徒への対応として学校現場でのいじめ防止の教育はどう進んでいるのでしょうか。

教育長
幼児教育から高校までのそれぞれの発達段階に応じての適切な対応を図ることが必要です。道徳の時間を通じて基本的な勉強をしてもらうことだけでなく、児童生徒同士が、お互いの気持ちや人権を尊重し合うことを様々な活動を通じて取り組んでいると承知しています。問題行動等調査には、児童生徒同士の人間関係、仲間づくりを促進したという設問がありますが、県内の小中学校約500校、県立学校約80校の多くの学校で、この設問を意識した学校経営をしており、その割合も増えています。今後も継続し、強化していきたいと考えます。

記者
常任委員会で継続協議となっている係争中の事案について、話し合いの場の設置の話もありましたが、県教委は今後どのように対応するのでしょうか。

教育長
常任委員会でのやりとりはお聞きになっていると思うので、詳細は申し上げませんが、今まさに係争中であり、裁判を通じてお互いの主張を展開するものでありますので、原告の方は原告側の主張を、我々も調査結果に基づく主張を展開していきたいと考えています。ただし、何らかの大きな状況変化、例えば、1審の判決が出るとか、原告と被告側との対応が別の方向に向かうきっかけ等があれば、それに対してきちんと向き合っていかなければならないと考えています。
御質問の件は、議会運営の話になるので、議会での私の答弁なども踏まえながら、具体的には議会で話し合いがなされると思います。今は係争中であるので、それに向き合っていきます。

記者
今年1年を振り返っての所感をお聞かせください。

教育長
今年も様々なことがあったと思います。学校教育では生徒達の頑張りが特に大きく、インターハイや高文連祭等での活動でも素晴らしい成績を収めていただきましたし、何より希望郷いわて国体・いわて大会での学校の関わりは極めて深かったです。競技団体等と力を合わせて、レベルの高い入賞に向けて取り組み、その結果は御案内のとおりで、岩手の将来に向けて非常に大きな力となりました。高校再編計画を3月に策定したことも大きな出来事でした。
嬉しい話も沢山あった一方で、教職員の不祥事に対して様々な機会に批判や御意見を沢山いただきました。本日は私の考えも申し上げましたが、様々な取組の検討を行い、動き始めたことも大きな出来事です。
最後に、私自身の話となりますが、地教行法の改正により4月に改めて教育長を拝命し、非常に緊張感を持ちながら、本県の教育の充実に向けて教職員と一緒になって取り組んできた1年であったと思います。

記者
特に国体では若い方の頑張りも大きく、東京オリンピックに向けても候補となるのではないかと思います。中学生の選手も取り上げられているが、将来に向けて一言お願いします。

教育長
国体に関しては、3年前の東京国体での23位から一昨年の長崎国体では37位と落ち込み、いわて国体に向けて相当な危機感を持って競技団体と取り組んだ結果、男女とも総合成績2位と素晴らしい結果を残していただきました。この勢いをこれからの学校教育、復興、県勢の発展につなげていくことが極めて大事であると思っています。また、県民の皆さんが、いろんな会場でボランティアや応援等に参加していただき、2巡目国体の中でも特に大きな盛り上がりを見せた大会となり、スポーツや文化の力は極めて大きいことを実感できました。
昨日終了した県議会では、希望郷いわて国体・いわて大会のレガシーを継承していくため、スポーツ行政と文化行政を一元化し、知事部局で行うことを議決いただきました。教育委員会には学校体育、学校での文化活動が当然残るので、社会人スポーツ等を含めて基礎的な力を身につけることが学校教育の大きな役割であると考えています。今、世界的に活躍している選手も岩手から出てきています。かつて岩手では無理と言われた時代もありましたが、今の生徒たちには、岩手に住んで育つことに自信を持って、全国の皆さんと競い合う躍動あふれる姿があります。この力をどんどん伸ばしていきたいと思います。
一方、トップアスリートの育成も大事ですが、スポーツに親しむことによって人間力を育むことも大事にしたいです。子どもたちには、夢を持ちながらどんどん前に進んでほしいですし、それを学校教育は後押ししたいと考えます。

記者
先日、岩手県立大学の教授が行った18歳選挙権に対する意識調査で、約3割の学生が投票するかしないかは個人の自由と考えると回答したそうです。憲法で投票は権利とうたわれていますが、学生の投票に対する義務感というか認識がやや低いことへの問題意識と教育の重要性を感じます。このことに関する所感をお聞かせください。

教育長
今年の大きな出来事の中には、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことも大きな変化としてあり、適切に学校教育の中で対応すべく、学校教育での主権者教育に取り組んできました。投票は国民の権利だと思います。ただし、それぞれの思いをこれからの社会づくりに反映するためには選挙が極めて重要であり、具体的な投票活動を通じて社会づくりに参加することの意味は大きいと思います。最終的には個々人の判断になりますが、学校教育では、選挙管理委員会と一緒に具体的な投票活動の啓発活動を進め、社会づくりへの参加は極めて大事であるとの考えのもとに主権者教育を進めていきます。

記者
いじめの話に戻ります。10月末に出たいじめの認知件数が過去最高だったが、4、5年前の400件程度から10倍に増えています。いじめの認識が進んだとの評価ができる一方で、問題が起きないといじめの認識が強まらないとの危機感を覚えます。3,000件の認知件数となったのは遅すぎたと思うが、どのように評価しますか。

教育長
いじめの認知件数の増加は、いじめの認知に関する感度が高まった結果であると思っており、これまで、いじめの実態把握に対する感度が弱かったことを反省しなければならないと感じています。悲惨な事態を招かないよう、子どもたちが自他の命を大切にすることを実現するためには、普段からの努力の積み重ねが大事であるので、風化させないよう継続して積極的に取り組んでいきたいと考えます。

記者
滝沢と矢巾の2つの事案を受け、今までと違うとかより深く踏み込んだ取組を行ったのでしょうか。

教育長
今までと違う取組としては、矢巾の事案が発生した直後に、知事と当時の教育委員長との連名で、子どもたちに対するメッセージを発したということです。自他の命を大切にすること、岩手の未来をつくるのは皆さんであるということについて、できるだけ多くの児童生徒の皆さんに理解をいただきたいとの思いから出しました。ここの廊下にも貼ってありますが、小中学校向けに大きなポスターを配布し、各学校、各学級で掲示しています。
昨年の痛ましい事案を受け、できうる限り努力し、継続しようと昨年度取り組んだところですが、これで終わりではなく、常に走りながらいじめ対策として実効性のある取組を様々考え、関係者と情報共有しながら新たな取組を行うことにも挑戦していきたいと考えます。

記者
いじめによる自殺や深刻な問題が起きる度に認知件数がはね上がり、しばらくすると下がる。今回の3,000件は頭打ちの件数ではないと思われる。今まで拾ってこなかったものも認知するようになり、学校内で取り組むべき労力が増加すると思われるが、学校だけでは解決しきれない状況にきていないか、あるいは、今後なるのか、その辺りの危機感はいかがでしょうか。

教育長
将来的なことの予見は難しいですが、御指摘のように学校の対応だけでは限界もあると思います。学校としてのできる限りの努力はもちろん行いますが、保護者や地域の方の御協力をいただき、地域の未来を託す子どもたちを育むことを学校と地域とがともに理解し、対応を進めることが大事です。また、教員多忙化の問題もありますので、業務の見直しも不断に取り組むことも大事であると考えます。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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