平成29年1月19日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020141  更新日 令和1年5月8日

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平成29年1月19日(木曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 矢巾町の中学生自殺事案に係る第三者委員会の報告書に対する所感等について
  • 年頭に当たっての所感について
  • 平成29年度当初予算編成の方向について
  • 県立高校生の列車死亡事故について
  • 児童生徒の自殺を防止するための取組について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問をお願いします。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
昨年末に矢巾町の第三者委員会の報告書が取りまとまり、いじめの認定もありましたが、お読みになっての教育長の所感等をお聞かせください。

教育長
第三者委員会では、一昨年の9月に第1回の会議を開催してから31回にわたる議論がなされ、最終的な報告としてまとめられました。これまで丁寧に関係者の話を聞き、それらを踏まえて慎重な審議がなされたものと理解しており、この報告書の取りまとめに当たられた委員の皆様に心から敬意を表したいと思います。報告内容を拝見しましたが、いじめと自死との一定の関係が明らかにされました。中学生の子どもが死に至った一因にいじめがあったことについて、改めて深刻に受け止めており、この経験をこれからの学校教育の充実に向けて生かしていきたいと考えています。
子どもたちは、学校での日々の活動を通じて成長していますが、その中では様々なトラブルもあると思います。学校においては、教職員が子どもたちの様子を見て一人ひとりに寄り添った教育を行い、また、保護者や地域の皆様の力もお借りしながら、望ましい子どもたちの教育環境の充実に向けて、改めて全県で取り組んでいくことが極めて大事であるとの思いを強くしたところです。何より学校において大事なことは、子どもたちの安全安心が確保されることであり、その土台に立って、子どもたちの成長を着実に進めていくことですので、関係者と力を合わせて取り組んでいきます。そして、今回の報告書では、関係者に対する提言もなされましたので、それぞれの関係者が自らのこととして受け止めていただき、今の在り方をどう改善したらよいかみんなで考え行動してほしいと思います。

記者
いじめ防止条例案を町議会へ提案しようとする動きもあるようですが、どのように感じていますか。

教育長
第三者委員会が設けられた中で様々な議論がありますが、町として極めて大きな問題であると受け止め、これまでも真摯に向き合ってきたと思います。事の重大性とこれまでの経緯等を踏まえて、町の基本的な考え方をまとめるものとして条例化を検討しているものと思います。条例制定は町の主体的な判断ですが、二度とこのようなことを起さないという強い思いを具現化するものではないかと認識しています。

記者
新年が始まりましたので、今年1年の所感をお聞かせください。

教育長
教育長になって3年、教育委員会制度改革後に新制度の下で教育長を拝命し1年が間もなく経とうとしています。年が新たになりましたので、新しい気持ちで学校教育、社会教育、文化・スポーツの振興を、これまでの経験や本県の歩みの上に立って、将来に向かって取り組んでいきたいと思います。
昨年、全県的にも最も大きな出来事として、いわて国体・障害者スポーツ大会がありました。教育委員会は競技力向上の点で主体的に取り組みましたが、おかげさまで良い成績を収めることができました。この国体で得た文化・スポーツの力、そして県民と力を合わせた実績などをレガシーとして継承し、更に発展させる観点で、今年4月、知事部局に文化スポーツ部が設置されます。文化スポーツ部に文化・スポーツ行政が移管されますが、文化・スポーツとも学校教育の中で基本的な経験を積んでいくものですので、学校教育においても今後なお力を入れていくとともに、今まで文化・スポーツ行政に向けていたパワーを学校教育の充実に向けたいと考えています。
昨年末の定例記者会見の中で、教職員の不祥事に関係して私自身の処遇面の公表をしましたが、教職員の不祥事は、子どもたち、保護者、県民の皆さんの教育に対する信頼に大きな影響を及ぼす残念な出来事ですので、できる限り不祥事を起こさないような環境づくりにも改めて取り組んでいきたいと考えています。
また、東日本大震災津波と台風第10号の被災地においては、まだまだ復旧・復興が必要なところがありますので、復旧・復興にも注力したいと思います。

記者
台風第10号の話がありましたが、大震災から6年ということで徐々に予算額が減る可能性がある中での学びの場の復興など、新年度予算編成の考え方を教えてください。

教育長
現在、来年度の予算案や経営計画について具体的に検討しています。昨年度と同じ2つの大きな柱での取組となりますが、大きな柱の一つは、大震災津波からの復旧・復興であり、もう一つは、県民計画の着実な推進に取り組むことです。大震災津波からの復旧・復興の関係は、当初の予定から遅れたところもありますが、おかげさまで、市町村学校も含めた校舎の復旧は、今年度中にほぼ完了する見込みです。陸前高田市はこれからのところもありますが、ハード面の整備は進んできています。
子どもたちは、大震災を経た中で負った心の負担もありますが、一方で、苦しい中で得た力もあると思います。その経験を子どもたちの将来に生かしていくことも含めて、学びの場の復興に引き続き力を入れたいと考えています。また、公営住宅や自立再建による住環境が整ってきた方々も多くいますが、未だ仮設住宅での生活を余儀なくされている県民や子どもたちも多くおり、その中で新たな課題も出てきていると聞いています。
具体的な取組としては、子どもたちの心のサポート、国から協力をいただいている復興のための教職員の加配があります。東日本大震災津波は未曾有の大災害ですので、安定化にはまだまだ時間がかかります。復興に必要な財源の確保など岩手の実情を国にしっかり伝え、協力を得られるよう努力していきます。これらを実現した上で、学校教育の充実に引き続き取り組むことが大事であると考えています。

記者
JRの村崎野駅での県立高校の生徒の列車死亡事故について、警察は自殺、事故の両面で捜査しているようです。学校でいじめの有無やトラブルについての調査を行ったと思いますが、その結果を教えてください。

教育長
事故があったのは、先週の11日だったと思いますが、これからの未来がある子どもが命を亡くしたことは極めて残念ですし、保護者、御家族の皆さんの思いはいかばかりかと痛恨の極みです。原因究明が極めて大事ですが、当該校において、生徒たちや保護者から話を聞きながら、いじめとの関連とか、日々の生活で気にかかっていたことがないかなど、丁寧に調査してもらいました。基本的に、学校での調査は終結したと聞いております。保護者や生徒からの聞き取りでは、いじめの可能性はほとんどないとのことでしたが、子どもが亡くなったことに変わりはありません。原因が自死か事故かは警察で捜査していますが、遺書がなく分からない部分があります。学校で自死の兆候が見られたかという点については、担任や担任以外の教職員からの聞き取りでは一切なかったようです。仮に自死だとすれば、発達段階の子どもはいろんな悩みを持っていますので、今回の経験を踏まえ、子どもに寄り添ったできる限りの努力をして、学校全体、岩手の教育界全体で自殺防止に向けて取り組んでいきます。

記者
仮に自死だとすれば、いじめ対策連絡協議会において、委員から自殺予防に力を入れるとか、ストレスに対応するような自殺を選ばせない教育の取組が大事であるとの指摘があったと思いますが、県教委ではどのような取組をお考えでしょうか。

教育長
子どもの自殺の要因として、全国的にいじめとの関連も多く、本県でも2年続けて事案が発生しました。いじめと自殺の関係は結びつきやすいため、いじめ防止に向けて様々な取組を行っています。本県で起きた事案を風化させない取組を将来に向かってこれからも力をいれる必要がありますが、一方で、自殺はいじめだけでなく、それ以外の理由も考えられます。
学校教育の中で一番大事なことは、先ほども話しましたが、子どもたちの安全安心を守ることです。これは、命を守ることが第一ですので、子どもたちに、自分の命が今あるのは、親御さんはもちろん、周りの人からの支援や期待があること、また、生まれてきたことは社会的な役割を担っているということを伝えていきたいです。これによって負担になるのは困りますが、今の子どもたちは、これから様々な可能性に挑戦でき、その可能性をどんどん広げてもらうことが極めて大事であると思います。自殺の要因としてこれまでの経験上いじめがありますが、できる限り起きないよう、命を守ること基本に据え、自殺だけでなく自傷を含めた防止に向けて、学校の中で子どもたちを支え、子どもたちの共感を得ながら教育活動を行い、また、保護者、地域の皆さんの協力を得ながら取り組んでいくことが今後とも大事であると考えています。

記者
来年度、総合教育センターにおいて自殺未然防止に関する教員研修を新設するようですが、他に考えている対策はありますか。

教育長
今までも行っている取組を続けていくこと、また、教育は教員によって行われているので、新たな教員研修を行うなど研修の充実を行うことのほか、日々の学校教育の中で、先ほどの話の取組を教職員と生徒の関係の中で繰り返されることが大事であると考えます。私自身、会議等で県立学校長や市町村の教育長と会う機会もあるので、様々な機会を捉えて、また、それぞれの担当課を通じて県立学校、市町村立学校にしっかりと思いを伝えながら、具体的な行動に結びつけるようなことを行いたいと考えています。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。 

このページに関するお問い合わせ

岩手県教育委員会事務局 教育企画室 企画担当
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