平成28年9月15日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020151  更新日 令和1年5月8日

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平成28年9月15日(木曜)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 教職員の不祥事に対する再発防止の取組について
  • 台風第10号による被災状況及び対応について
  • いわて国体本大会に向けての期待について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問をお願いします。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
先月、麻薬取締法違反で逮捕された中学校教員がいますが、教員の薬物問題をどのようにお考えになるかお聞かせください。

教育長
ただ今の御質問にお答えする前に、この事件も含めて、高校の教員の逮捕が8月にもあり、2つの逮捕事案が出たという極めて重大な事態を生じさせてしまい、県民の皆さん、保護者の皆さん、子どもたちに教育長として心からお詫び申し上げます。
ただ今の御質問の薬物の関係ですが、事実関係は今後詳細を調べていかなければなりませんが、過去にも同様の事案がございました。子どもたちに対する薬物乱用防止教育を小学校、中学校、高校の各段階で行っている中で、教員自身がその容疑で逮捕されたことは、事実とすれば、教育に対する県民の皆さんの期待、教員を信頼している多くの子どもの期待を裏切る行為ですので、極めて深刻に受け止めております。
今後できる限り不祥事を発生させないために様々な方途を講じながら、教職員一人一人が自らのこととして捉えてもらうよう、不祥事発生防止の取組を強化していかなければならないと考えております。一方で、不祥事が起きたことによって、学校現場で勤務時間の内外を問わず教育にまい進している多くの教員の士気を下げないことも大事だと思っておりますので、そのような取組も併せて行っていきたいと考えております。今回の事案は本当に申し訳なく思っております。

記者
再発防止の取組の強化は、具体的に何をどうするのか教えてください。

教育長
今回8月23日に逮捕された事実は承知しておりましたが、詳細については教育委員会では知ることができませんでしたので、公表は警察の発表を待って市教委で対応した経緯がございます。
ただ、逮捕されたという事案を承知しておりましたので、まずもって、8月29日に全県の市町村の教育長と全ての県立学校長を招集し、不祥事防止の話をしました。今回の薬物事案、わいせつ事案、体罰により本年度複数件の懲戒処分を行っております。不祥事の類型は様々ありますが、教育に携わる重要性を改めて管理職自らに認識してもらいつつ、また、市町村立学校を含めて不祥事防止の徹底について周知を図らせていただいたところです。
今後の対応ですが、本県ではこれまで中長期的な取組を行ってきましたが、不祥事は長年にわたって、本当に残念なことですし申し訳ないことですが毎年起きています。何よりも教育を推進するに当たって最も大事なものは、県民の皆さん、学校関係者からの信頼がベースになるという考え方を基本にしつつ、様々な方途を講じていきたいと考えています。
これまでの取組は、例えば、県立学校を含めてコンプライアンスの日を月に1度は設けて、法令順守に向けた意思確認していくこととか、懲戒処分例を県教委として定めて公表し職員に徹底するなどしてきました。さらに、以前作成したコンプライアンスマニュアルを、昨年度、4年ほど前の桜宮高校の体罰事案を受けて改訂しました。それぞれの行為が具体的に法に抵触するか、問題があるかも含めてのチェックシートも入れ、かなり厚いマニュアルとなりましたが、これを全学校、全教育委員会に配布しました。これを基にコンプライアンスの日の取組に十分活用していただけるよう取り組んできております。また、様々な事案が発生する都度、事案の発生の通知と不祥事防止の取組を要請してきましたが、大変申し訳ないことですが、本年度また逮捕事案が出てしまいました。
これまでの取組をやるべきことはやりながら、最終的には個々の教職員の倫理観を高めていくこと、また、様々な法律の行為に抵触してしまう行為はどの職員にも起こり得るとの前提の基で取組を徹底していくことが大事であると考えております。不祥事には厳正な姿勢で臨む、信賞必罰の考えの下にきちんと行うことが一義的には大事であると考えております。
新たな対応は、懲戒免職処分になれば職員の身分が無くなりますので、それ以上どうすることもできませんが、その前の停職、減給、戒告という懲戒処分を受けた職員に対しては、再発を防止させるという観点で今までも研修に出席をさせるなどしておりますが、更に再発を防止させる仕組みを考えることにより、不祥事の防止に努めていきたいと考えております。何より不祥事を発生させないということは、教育の期待に応えていくことが最も大事ですし、行為を行った職員自身は責任を取ることは大事ですが、反射的に家族や周囲への影響があること、県民の皆さんの不信を買うことを様々な機会を通じながら今後も徹底していきたいと考えております。

記者
体罰に関して言及されておりましたが、全国的に体罰を防止しようとアンガーマネジメント研修を行っているようで、岩手県でも取り組んでいるようですが、事態が相次ぐとそういう防止策が機能しているか疑問が持たれてくると思います。その辺りはどのようにお考えですか。

教育長
体罰については、さきほど申し上げました事件をきっかけに法的な整備がされました。それを踏まえて本県でもアンガーマネジメント研修を行っております。そういう中で逮捕事案が出ております。体罰は部活動や授業中など様々な場面で起きていますが、割合としては部活動が多いと感じています。部活動は教育活動の一環でして、これを通じて子どもたちの人間力を高めていくものですが、勝利至上主義を指導者があまりに目指し過ぎると自己を忘れて行動に出てしまうことがあります。まさに、桜宮事件で全国に確認されたのですが、隅々まで行き届いていなかったのかと感じております。再発をさせない仕組みとして、処分をして終わりではなく処分後に重点的に指導を行うこととアンガーマネジメント研修の充実を行いたいと考えております。

記者
不祥事や体罰の件がでましたが、再発防止のために処分を受けた教職員だけを集めて研修を行うなど、特化した具体的な構想があればお聞かせください。

教育長
法令順守は社会人として当然のことですが、法令に抵触する程度もあると思います。例えば、交通事犯で1キロメートルでも速度オーバーすれば法令違反であり、厳格に逮捕するという考えもあろうかと思いますが、一定の社会的に許容される幅が一般的にあるのかもしれません。重大な事故に直結するものは避けなければならないのは当然で慎重にしなければなりませんが、それと体罰や今回の逮捕事案とを一体の対応とすることはどうなのかとも考えます。体罰は教員が育てる対象に手を出すもので、撲滅しなければならないと考えますし、重大な事態だと思っております。
集合的な研修としてアンガーマネジメント研修は必ず受けさせますが、まだ検討中ですが、このほか個別に一定の課題を与えて、自分の反省の度合いを日々の活動にどう反映させているかを進行管理を行うことを考えております。これまでやったことに対して仕事で返してもらうという士気の向上策も併せて行っていかなければならないと考えており、担当課に指示しております。

記者
再発防止の具体的な例が挙がりましたが、いつ頃までにまとめるのですか。年度内でしょうか。

教育長
現時点では申し上げられませんが、不祥事が起こる可能性は日々あるという認識に立ちながら、基本的な方向性としては撲滅ですので、できるだけ早期に方向性を決めたいと考えております。あわせて、日々起きる可能性があるので、これまでに行ったことのなかった市町村教委の教育長と県立学校長と一堂に会した会議を先日緊急に行い、不祥事防止の徹底の機会を作りました。

記者
先程、薬物についてできる限り起きないようにという発言をされましたが、薬物については絶対に起きてはいけないことであると思うのですが、認識が甘いのではないですか。

教育長
できる限りというのは不祥事全般のことでして、薬物に関しては社会的に絶対に許されないことと十分認識しております。

記者
薬物の件です。再発防止の仕組みを構築していくとのことですが、これまでコンプライアンスの日を設けて行ってきた中では、教育現場では具体的に薬物についての話し合いや注意喚起を行ってきていたのでしょうか。

教育長
各所属で薬物についての取組を行ったかどうかの詳細な実態を把握しておりません。申し訳ありません。先ほど申し上げましたコンプライアンスマニュアルには、体罰、飲酒運転、わいせつなど様々な犯罪の類型を法的な位置づけ等を行っておりますが、薬物については特に触れていませんでした。今回、改訂してしっかりと盛り込みたいと考えます。マニュアルを整備した上で、各所属に情報を提供して具体的な取組を要請していきたいと考えております。

記者
コンプライアンスマニュアルの改訂は、薬物に関することを入れるということでしょうか。

教育長
その方向で取り組ませたいと考えております。

記者
懲戒処分後の重点的な指導として一定の課題と話されましたが、イメージがあればお聞かせください。

教育長
現時点では、漠然としたイメージしか申し上げられませんが、懲戒処分は責任を取ってもらって終わりで、後は頑張って欲しいということですが、新たな取組では、事後の課題を与えるということを考えております。一定期間、処分を踏まえて自らの行動がどういう状態にあるかを書面で提出させるとか、所属長との面談を課すとかを考えております。当該職員にとって大きな負担になると思いますが、全職員に対して不祥事を起こした場合にそういう負担があるということを徹底することによって、一定の抑止力になるとも思っております。そういうことも含めて新たな取組を考えていきたいです。

記者
台風第10号の被害に関してですが、世界遺産の橋野鉄鉱山でも被害が確認されまして、現在閉鎖しているということです。そのことに関しての受け止めと今後の復旧の見通しがあれば、教えてください。

教育長
今回の台風第10号は、東日本大震災津波を除けば50年に一度と言われるような大災害です。様々な文化財を含めて学校施設にも大きな被害がありました。ただいまの御質問は橋野鉄鉱山のことですのでその話をしますと、世界遺産の橋野鉄鉱山のうち、高炉跡そのものに対する被害は目視では確認されておりません。鉄鉱石を採掘した場所は危険で立ち入りできずに調査に入れない状況であると釜石市から聞いております。現時点で確認できているのは、世界遺産エリアにある水路の石を組んでいるところが崩れたそうです。世界遺産ですので、我々の考えだけで一方的に手を加えることは将来に禍根を残す可能性もあるかもしれませんので、釜石市と県教委とで被害状況を把握した上で、世界遺産の指定の国の窓口の内閣官房、また、文化庁と十分に情報を共有し、技術的な助言を頂きながら、実情を把握しつつ今後の整備に向けて釜石市と一緒に検討していきたいと考えております。
なお、現時点で復旧の目途をお話することはできません。

記者
台風第10号による学校の被害ですが、安家小中学校と岩泉高校が先日授業を再開し日常に戻りつつある一方で、伊保内高校で法面が崩れる被害が確認されるなど様々施設で被害が出ているようです。学校施設関係の被害はどの位あるのでしょうか。

教育長
あれだけ大きな台風が本県を直撃しましたので、学校施設を含めて来襲する前に備えることの大事さを我々も市町村でも認識を持っていました。このような災害の中で一つ良かったと思うのは、子どもたちの人命に関わる直接的な被害がなかったことでして、亡くなったり怪我をした子どもがいるとの情報が現時点ではなくホッとしております。ただ、一方で親御さんを亡くされた子どもがいますので、今後その子どもに対する学校教育でのフォローをしっかりしていきたいと思います。
ハード面では、調査が進むにしたがって被害額が増えており、本日段階で、県立と市町村立学校を合わせて2億円を少し超える位の被害額です。私も県立学校の被災校に行って確認をしましたが、大きな被害があったのは、久慈高校でして、長内校を含めて学校内の床上浸水がありました。先ほど話のありました伊保内高校は体育館の法面のひび割れがあり、被害額は当初5百万円位かと思いましたが、5千万円位になりました。全県では倒木を含めると多くの学校で被害を受けておりますが、主なものは今申し上げたものです。明日の災害対策本部員会議で資料提供します。
学校の構造的に直接的に影響を及ぼすことがなく、また、子どもたちの生命に被害がなく、その点は良かったと思っています。

記者
台風第10号に対する県教育委員会としての子どもたちへの具体的な支援策を教えてください。避難所から通われる子どもに対する支援、受験生でしたら何らかの学習支援も必要ですし、その辺りの子どもへの支援はどうあるべきでしょうか。また、教員住宅の被害も聞いておりますので、教員への支援も併せて教えてください。

教育長
子どもたちへの支援は、おかげさまで12日をもって最後に残った岩泉町の安家小学校の授業が再開し、全ての学校で授業を再開することができました。被災地にとっても明るい話になっていると岩泉町に行ってお聞きしました。多くの県民の皆さんもそう思っているのではないかと認識しております。それぞれの市町村での被害ですが、例えば久慈湊小学校のグラウンドに汚泥がきてグラウンドが使えないとのことですが、災害復旧は本来的に国の災害査定を受けてからの着手ですが、県教委として文部科学省と事前に協議をして、査定前に着工できるよう認めてもらいました。久慈湊小学校も最終的にはまだ終わっていませんが、一定程度グラウンドが使用できるようになりましたし、久慈高校も今日からグラウンドの土砂を取り除く工事が入ることになりました。できるだけ早期に子どもたちの学びの環境の復旧を市町村と一緒に、また、国の理解を得ながら進めていきたいと考えます。
家庭での被害による生活の再建に向けて、子どもたちの負担がこれから出てくると思います。それぞれの小中学校を所管する市町村から既に要請を受けておりますが、スクールカウンセラーの重点的な配置ですとか、子どもたちの悩みに教職員が応えていくなどの重点的な見守りとかを丁寧に対応していきます。久慈市、宮古市でも被害が大きいのですが、特に岩泉町の被害が生活被害も含めて極めて大きくひどい状態です。町の隅々まで被害を受けており、町全体が極めて大変な状況ですので、本庁の指導主事を当面3か月間岩泉町に常駐させて支援を行っております。その先は復旧の状況を見ながら、また、岩泉町の要請を受けて対応していきたいと考えております。小川中学校にも県教育委員会事務局の教員を派遣しました。市町村からのお声がけを頂きながら、また、こちらからも必要なものを要請するようお願いをしておりますし、市町村と一緒に取り組んでいきたいと考えております。
教員住宅の被害の話がありましたが、安家小中学校のものと思います。災害復旧でできるだけ早期に復旧できるよう支援していきたいです。先生方は何とか工夫しながら子どもたちにきちんと対応するということで頑張っております。例えば、学校給食も炊き出しみたいなことを行っておりますが、20日頃には再開する見込みとのことです。多くの先生方は現場で本当に頑張っていただいておりますので、それを支えていきたいと思っております。

記者
台風第10号による文化財の被害の把握などについて、県教委の方針をお聞かせください。

教育長
基本的には文化財は地域の大きな財産ですし、特に世界遺産は観光資源としても極めて重要なものと思っております。復旧はできるだけ早期に行いたいのですが、資産の価値を下げないように専門家の御意見を聞きながら丁寧に、そしてスピード感を持ちながら対応していくことが大事であると思っております。

記者
具体的な文化財のレスキューですが、例えば岩泉で被災した文書ですとかを調査する場面が出てくると思いますが、県立博物館とかで対応するのでしょうか。

教育長
今回の様々な対応は、東日本大震災での経験で、できるだけ早く対応することが大事であると捉えておりますので、そのように対応させていただきます。ただ、今は大混乱していますので調査はこれからです。市町村からの要請とか、県教委としても実情を見て必要な支援をしていきたいです。具体的な対応は今後の課題であると思っております。

記者
いわて国体の件です。水泳国体が終わってのこれまでの県選手団の活躍への所感と、10月の本大会に向けての期待などありましたらお願いします。

教育長
いわて国体の本大会が10月1日からということで、本当に目前に迫っております。大会の成功と県選手団の活躍によって、国体の意味は復興の架け橋国体との名称もついておりますし、全国とのつながりもありますし、東日本大震災からの復興を国体を成功させた力で岩手の未来につなげていく極めて重要な機会であると思っております。そういう時に大きな力になるもの、その中心的なものとなるのは県選手団の活躍であると思いますし、それは県民の皆さんの期待であるとも思っております。
今年は完全国体で、冬季国体でも選手の皆さんには大活躍をしていただきました。水泳については、天皇杯の順位が参加点を含めて12位と目標を下回りましたが、選手一人一人は、高校新記録とか、自己新記録を出して本当に頑張っていただきました。そして、千葉すみれ選手は2つの種目で入賞しましたし、多くの皆さんに喜ばれ元気をつけてくれたと思っております。天皇杯の順位も現時点で13位ですので、今年はかなり良い形で本大会に臨めますし、本大会に向けては、これまで行われた東北総合体育大会での成績も優勝、準優勝をかなり多く出しておりまして、県選手団の競技力が確実に向上してきております。
また、団体競技の種目が多いというのも国体の特徴でして、当面の目標は8位ですが、8位ということではなくできる限り高いレベルでの入賞の達成に向けて競技団体と一体となって頑張っていきたいです。競技団体、選手の士気は高まっていますし、台風第10号からの被害も踏まえて岩手を元気づけるという意味でも県選手団の活躍を大いに期待していただいて良いのではないかと思っております。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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