平成29年4月19日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1020121  更新日 令和1年5月8日

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平成29年4月19日(水曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 中学校教諭の公務災害認定に係る報道に対する受け止めについて
  • 高総体総合開会式の廃止の検討に係る所感について
  • 盛岡市緑が丘地区における不審者に対する対応について
  • 学力・学習状況調査等の意義及び対応について
  • 第1回岩手いじめ問題対策委員会の開催に対する所感について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は、教育長からの発表はありませんので記者クラブからの質問お願いします。

幹事社
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
先週報道された40代の女性教諭が亡くなり公務災害が認められたケースについて、教育長としての見解をお聞かせください。

教育長
中学校の教諭が、平成24年11月に御自宅で倒れられ、脳疾患で亡くなられました。御遺族の方から公務災害認定が申請され、任命権者である県教委として、当時色々原因等について聞き取り等を行いましたが、脳疾患と公務遂行との相当因果関係がなかなか確認できなかったという状況でしたので、そのように意見を付して地方公務員災害補償基金へ意見書を提出いたしました。補償基金では、岩手県支部だけでは判断できないということで、本部の中央審査会での調査がなされ、関係者等からの聞き取り等を行った結果、公務災害に認定されたものです。
中学校教員の任命権者は県教委ですので、任命権者として、公務遂行との相当因果関係があったという事実を重く受け止めており、今後、同様の事案が起きないように、再発防止に向けてしっかりと取り組んでいかなればならないと思っております。亡くなられた教員の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方に対して御悔やみを申し上げます。

記者
関連して、関係者への聞き取りからではありますが、80時間以上の労働があったと認められたということでした。現在、教職員の方々の勤務実態について、教育委員会としてどのように認識されているでしょうか。また、課題があればお聞かせください。

教育長
教員の勤務時間は、職員の勤務条件にも関わりますが、教員の仕事は、教科活動や部活動など学校内で行う指導のほかに、地域との関係の仕事や家に持ち帰って行う仕事もあり、勤務時間の把握が事実上難しいという実態があります。一般の職員には、超過勤務という概念があるのですが、教員には持ち帰りの仕事等が現実的にあるため、教職調整額による対応ということで、勤務時間の把握を義務付けられている状況にはありません。これは岩手県だけではなく全国的な傾向です。
そういう中で、教員に対する様々な期待があり、実際の業務運営が多様化・複雑化してきていますし、OECDの調査では、我が国の中学校教員の労働実態は、世界的に見ても極めて多忙な実態にあるということです。また、教員には、東日本大震災津波や台風第10号など自然災害等への対応もあります。子どもたちへの教育は、一義的には教員を通して行っており、教員の健康管理、勤務実態の把握は極めて重要なことと捉えています。本県では、平成27年に職員団体等と教育委員会、関係者での協議の場を設置し、勤務実態の把握、労働安全衛生体制の確立などについて話し合いをしてきております。
現在、県立学校については、県教委の管轄組織ですので、きちんと勤務時間を把握しておりますし、市町村立学校については、服務監督権のある市町村教委に対して、教員の勤務時間をしっかり把握するよう要請をしてきております。市町村により温度差があると思いますが、教員の勤務実態をしっかり把握しようとする意識の浸透は、段階的に進んできていると思います。
また、教員の仕事は、これから変化の激しい社会で子どもたちが生き抜く力を身に付けさせるため、学校教育により力を入れていくことが極めて大事ですし、いじめ問題への対応など、学校組織を挙げて取り組まなければならないことも多くあり、複雑化・多様化しています。今後、なお一層、教員の勤務時間の実態把握と併せて、その対策について関係者と合意形成を図りながらしっかり取り組んでいきたいと考えております。

記者
現在、国全体で教職員以外を含めて、働き方改革が叫ばれていますが、教育委員会として取り組まれていることがあればお聞かせください。

教育長
仕事の在り方は、産業も同じですが、一時的なものでは無く、将来的に継続しながら取り組んでいくことが地域の活性化、地域社会を維持していく上でも極めて大事なものと考えます。教育現場も同様だと思います。日本全体で働き方改革を十分意識しなければなりませんが、教育は百年の大計であり、途中で途切れることがあってはならないものですので、先ほど話した取組などを通じて、できる限りの努力を行って参りたいと思います。

記者
高総体総合開会式の廃止案が出ていますが、どう受け止めていますか。

教育長
先週以来、報道で取り上げられておりますが、最初の報道は、先週の高体連の理事会専門委員の合同会議におけるものであると承知しております。全国的には、総合開会式を行っているところもありますし、競技毎の開始式として行っているところもあります。本県の中体連では、中央開始式という形で行っています。かつては、総合開会式という形で行っていたところが多かったと思いますが、縮小傾向の大きな流れがあります。これは、少子化が進んでいること、経済的負担の問題、教職員の負担軽減、競技力向上との関わり等の面などが要因としてあるかと思います。
高総体の開会式に、かつては、選手全員が参加し2万人を超える子どもたちが参加していましたが、昨年の参加は1万5千人位でした。基本的に1年生と応援団が参加し、各校の応援を披露し交流を深める大きなイベントになっています。改めて、在り方を全体的に議論する中で、案の一つとして廃止案が示されたのではないかと思います。オールorナッシングの議論もあるかもしれませんが、今後、関係者間で話し合いを継続するとのことですので、多面的な検討と合意形成などに努めてほしいと思います。

記者
高総体を主催する高体連では生徒の意見を聞く機会はないとのことですが、特に応援団は実施してほしいとの声が強いです。生徒から意見を聞く機会は必要ではないでしょうか。高体連で行わなければ県教委で何か取り組むなどの考えはありませんか。

教育長
基本的に高体連の行事ですので、高体連が主体的に判断すべきものと考えています。これまでも総合開会式の在り方は様々議論される中で、幅広に意見を聞き今に至っているものと認識していますし、現在の考え方は、様々議論をするたたき台としていろんな意見交換がなされていると思います。生徒からの意見を聞くことを求めている生徒がいることも報道を通じて了知していると思います。それらも含め、県民からの御意見も出てきているようですので、それら意見も踏まえて多面的に議論してもらいたいと思います。

記者
結論が出るのが来年2月とのことですので、時期尚早かもしれませんが、仮に総合開会式が廃止となった場合、文化部活動として応援団が発表する機会を確保する必要性などを考えることはないでしょうか。他県では、地域のイベントとしてOBや教育委員会などが新しい場を作ったりしている例もあります。

教育長
それらも含めて今後どのようにあるべきかについては、高体連はもちろん、教育界全体、また、高文連との関わりがあるか分かりませんが、幅広に在り方を様々議論し、一定の合意形成がなされることが大事であると思いますので、今の段階でこうあるべきと話すことは適切でないと考えます。

記者
先日、盛岡市緑が丘地区で刃物を持った男が下校後に住宅に侵入したことについて伺います。基本的には市教委の対応だとは思いますが、県教委として集団登校など学校に注意を呼びかける対応を行ったのでしょうか。

教育長
一昨日、事件が起きた時に県教委には市教委を通じて情報提供をいただきました。まだ被疑者が逮捕されていないようですが、できるだけ早い解決を願っています。県教委としては、学校の内外に関わらず、子どもたちの安全を確保することが大事であると考えており、まずは、学校の安全計画や学校安全防止マニュアルによる対応をしっかり行うことと、必要があれば安全計画等の見直してほしいということを、昨日、県立学校と市町村教委に対して通知しました。集団登校等が必要かは、市町村教委と各学校間で話し合っていただきたいと思います。盛岡地区の学校では、保護者に迎えに来てもらうところや、集団下校を行っているところがあると聞いています。犯人が逮捕されていない現状では、子どもの安全を確保するため、できる限りの努力をしていただきたいと考えます。また、中長期的には、同様の事件は起こり得るという立場で、できる限り、子どもたちの安全を確保する取組を学校はもちろん、地域の力を借りながら、不断に取り組むことが大事であると考えております。

記者
子どもたちの安全確保は、各学校の安全計画やマニュアルに沿ったものでしっかり遂行してほしいということでしょうか。県教委として、こうするようにと具体的に指示するものではないのでしょうか。

教育長
教育は各学校を通じて行っていますので、一義的には各学校で子どもたちの安全確保を推進していただきたいと思います。また、子どもたちの安全確保は、学校内だけでなく、下校後の生活でも対応するものです。学校と地域との連携や、それぞれの保護者の主体的な取組も極めて大事ですので、社会全体での取組に期待しています。

記者
地域との関わりという点で、千葉県で小学生が殺害され、保護者会長が逮捕されるという信じられない事件がありました。地域との望ましい関わりや子どもたちの見守りは、どういう形が良いと考えていますか。

教育長
子どもたちの安全の確保は、交通事故防止のみならず、人からの危害防止もあります。スクールガードなど、地域の皆様の協力で安全が確保されており、非常にありがたいと思っています。今回の千葉県での事件は、報道を通じてのことになりますが、被疑者が黙秘しており、詳細が不明ですが、被疑者が保護者会長であり、子どもたちからの信頼もあった人物であるようです。容疑が事実だとすれば、もっとも信頼できる人による事件で、その対応は非常に難しく、深刻な状況にあると思います。ボランティアを含めて、学校、地域、子どもたちの信頼関係の上で子どもを守っている状況ですので、その活動が後ろ向きになることは避けなければなりませんが、こういう事態が起きたことは、重く受け止めながら、今後、具体的な対応を社会全体で考えなければならないと思いますし、教育界としても検討していく必要があると思います。

記者
県教委として具体的な案はあるのでしょうか。

教育長
現時点では具体的な案は持ち合わせておりませんが、今後、市町村の教育長と意見交換する場等もありますので、その場でも話し合いたいですし、全国的な対応も踏まえながら、県教委としてできることを考えていきたいと思います。

記者
先日、全国学力調査がありましたが、県独自や各市町村でも学習の定着度調査などを行っています。同じような傾向の調査を1年に何度も行うのは、現場の教員の多忙化につながるとの声もありますが、どのように受け止めますか。全国、県、市町村レベルで個別にやる意義はあるのでしょうか。

教育長
全国学調は、教科が限定的であり、一定周期で理科も入りますが、基本的に国語と算数・数学で実施しています。これは、全国的な子どもたちの学習定着度との比較を行い、競争ではなく今の力をしっかり把握し、子どもたちの力を高めていく材料とする点で大きな意義があります。県の調査は、小学生、中学生、高校生のそれぞれの段階で全国学調と重ならない教科や対象学年で実施しております。定期的に全県的な学力の確認を行い、これを使って子どもたちの能力を高めるものであり、教育基本法に定める子どもたちの人格完成に向け、力をしっかり身に付けさせるために行っており、必要性は極めて高いと考えております。
一方で、教員の負担となっているのは事実ですし、今の形のまま続けるのではなく、実績等を踏まえながら調査のやり方を見直す可能性はあります。その場合、教員の負担軽減を優先するかもしれませんし、子どもたちの力をより高めるために新しいことを行うこともあるかもしれません。単に現在の調査を温存しながら、負荷を加えることは、社会情勢に合わないことですので、慎重に対応したいと思います。両方とも大事な課題ですので、両立できるような形で関係者と合意形成をしながら進めて参りたいと考えています。

記者
先日、今年の1回目のいじめ問題対策委員会が開催され、重大事態に関する協議がなされましたが、これに対する所感をお聞かせ下さい。

教育長
県立高校でいじめにより不登校となった事案がありました。生徒は卒業しましたが、学校における調査結果を保護者に報告したところ、なかなか理解いただけませんでしたので、いじめ問題対策委員会に調査を依頼した方が、より客観的に事実解明につながるのではないかと考え、いじめ問題対策委員会に諮問しました。第1回では情報提供を行いましたが、今後、委員会で様々な調査がなされる予定ですので、調査結果に期待しています。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

このページに関するお問い合わせ

岩手県教育委員会事務局 教育企画室 企画担当
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