平成31年3月27日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1019948  更新日 平成31年4月26日

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平成31年3月27日(水曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質疑事項:

  • 教育長の在任期間を振り返っての所感について
  • 復興教育の推進について
  • 児童生徒の重大事案への受け止めと今後の対応について
  • 教職員へのメッセージについて
  • 教育の今後の展望について

質疑応答

教育企画室

ただいまから、教育長記者会見を始めます。

本日は、冒頭に教育長から挨拶をさせていただきます。

 

教育長

冒頭に時間をいただきまして一言、御礼を申し上げます。

御存知のところとは思いますが、教育長としての任期が本年度末をもって満了ということで、3月31日付をもって退任することになります。

これまで教育長として5年間、そして東日本大震災津波発災の年から教育次長として2年間勤務し、通算で7年間お世話になりました。

皆様方には様々な場面で取材をしていただきまして、本県の教育行政の現状や各学校の活動等についても取材をしていただき、また、県民の皆様に新聞等の様々な形で情報発信をしていただき、大変ありがとうございました。特に子どもたちが報道を通じながら、社会に自分たちの活動が大きく報道されることは、子どもたちの日々の活動に対して大きな励みになりますし、子ども達の将来にとっても大きな力になると思います。

今後とも、岩手県や県教委、市町村教委を含め、また、学校や社会教育を含めて様々な形で取材等をしていただきながら情報を発信していただくようよろしくお願いします。

教育企画室

これからは、幹事社の進行によりまして進めて参ります。よろしくお願いします。

 

幹事社

それでは質問がありましたらお願いします。

記者

教育長の任期を振り返っての成果や課題等がありましたらお願いします。

教育長

教育は国家百年の大計と言われるように、これまでの先輩方や子どもたちが築いてきた教育を今に引き継いで、これを未来につなげていくことが極めて大事であると思います。教育長に就任したのが平成26年度ですが、東日本大震災津波からの復旧・復興という大きな課題があり、県や市町村でも様々な取組をしている中で、教育に関して申し上げますと、平成23年の6月に一時凍結していた新たな高校再編計画の策定を、生徒数の減少が進んできている状況から、再編計画の策定に取り組まざるを得ないという判断をし、その検討に着手したということがありました。その後、新たな再編計画を平成28年3月に策定し、前期プランを推進しているところですが、今後も前期プランの推進や後期プランの策定については引き続き重要な課題であると思います。

また、平成28年に開催した希望郷いわて国体に関連してですが、2年前の長崎国体では大震災からの復興・復旧に取り組むという中で、希望郷いわて国体を目標に、成功を復興の力にするということと、未来につなげていくということで、その関わりを県教委でも担わしていただきました。特に競技力向上という観点で言いますと、長崎国体では天皇杯順位が37位ということで、2年前にその前の年から順位を落としてしまい、危機感を抱きながら競技団体と力を合わせて取り組ませていただき、平成28年の希望郷いわて国体では天皇杯、皇后杯順位が共に2位ということで、ひとえに県民の皆さんの力を結集した成果だと思いますが、それに関われたということはありがたかったと感じています。国体では天皇皇后両陛下の行幸啓もいただき、もうすぐ平成という年も終わりますが、天皇皇后両陛下のほか、多くの皇室の皆さんが長期間にわたって県民の皆さんと触れ合ったという中で、各会場共に大いに盛り上がって、県選手団も県民の皆さんからの応援を大きな励みとして、全国から寄せられたこれまでの支援に対する感謝ということで一生懸命頑張った結果、そういう成果をあげられたというようなことも大きかったと思っています。その他、良い話もたくさんありました。岩手の子どもたちはスポーツの面でも、スーパーキッズ1期生の小林陵侑選手の大活躍をはじめ、大リーガーの大谷翔平選手や菊池雄星選手ということで、世界に羽ばたいている岩手出身の皆さんが成果をあげながら飛躍していますが、それとは別に就任以来、各学校を訪問していますが、岩手の子どもたちは学校教育を通じながら生き生きと勉強や部活動等を含めて、それから障がいのある子どもたちも自分たちのできることをできるだけ延ばしたいという気持ちで、それぞれの可能性を信じながら前に進んでいるという姿を見させていただいたという中で、子どもたちが未来に向かって一生懸命頑張っているということは、岩手の未来にとって、子どもたちの教育を通じながら社会人として自立していけるような力を伸ばしながら社会に送り出していくというのは、これが教育の今後とも大きな役割だなと思います。そして、いろんな活動をやっておりまして、全国高文祭やインターハイもそうですが、いろんな面で活躍しているという岩手の子どもたちのすばらしさというものを確認させていただきましたし、教育行政として応援することができたというのは嬉しいことだと思います。

一方で、心が痛む事案もありました。中学生や高校生の自死事案でありますとか、教職員の不祥事などですが、平成28年度は特に多く、県議会等で様々な御指摘等もいただきながら、今後どのようにしていくか、県教委としての考え方をお伝えさせていただきました。

現在進行形の課題もありますが、これまでの経験を引き継ぎながら岩手の教育の充実に向けて、県教委と市町村教委が力を合わせて進んでいってもらいたいと思いますし、報道の皆さんからも様々な面で御支援、御協力を今後ともよろしくお願いしたいと思います。

記者

震災当時から教育長をやられて、復旧・復興の中からスタートしたということもあると思いますが、復興教育に力を入れてこられたというところに大きな特徴があるかと思いますが、震災から8年が経過し、風化とか叫ばれている中で、今後震災の教訓を教育長としてどのように捉えて、どう伝えていってほしいというお考えか伺います。

教育長

当時を振り返ってみますと、3.11の発災の時に映像を見ながら特に感じたのは、岩手では大津波というのは過去何回かあるのですが、特に三陸沖を震源とした大津波というのは昭和8年と明治29年の津波がありました。今回の東日本大震災と同じ位の大津波が発生しているんですね。私は田野畑村に勤務した経験もありまして、大津波というのは60年周期で来るとよく言われていましたが、昭和8年から80年近く大津波が来ていなかった中で、ついに来たなというのがその時思いましたし、あれだけの大被害の情報が入るにつれて、多くの皆さんの命が本当に大丈夫かなという状況からのスタートであったと思います。そういう中で、お亡くなりになられた皆さん、それから住まいなどの多くの財産を失うような被害に遭われた皆さんには本当にお気の毒だった訳ですが、そういう中で、現状をどう捉えるかということで県教委の一員としてみんなと力を合わせながらできる限りの情報収集というところから始まりました。そういう中で沿岸内陸含めて多くの学校が避難所になりました。岩手の子どもたちも100人近く亡くなっています。ただ、学校管理下において学校の敷地内で亡くなった子どもたちがいなかった。大津波が来て直接津波被害を受けた学校が沢山あった訳ですけれども、子どもたち、それから教職員の機転の利いた行動で間一髪命が助かったという例が沢山あります。

また、避難所になって校舎が使えないなどといった惨状がありましたが、その当時から岩手の子どもたちは地域に支えられて育ってきており、避難所運営に中学生や高校生が直接関わったり、小学生たちが被災した皆さんと一緒に避難所生活をした中で、子どもたちが主体的に行動し、被災者の皆さんが元気づけられたということもありました。平成23年の夏頃でしたが、様々な子どもたちの活動を、震災の記憶とつなげるということももちろんですが、ふるさとを愛する、地域のためにというような行動が大きくなってきている中で、岩手の教育に生かしていくことが県教委の使命ではないかということで、内陸からの横軸連携の取組もありますし、全国からの応援等も含めて教育活動の中でしっかりと取り組んで行こうということで復興教育プログラムを平成23年に作りました。翌年には改訂版を出して副読本を作ったということですが、大震災から8年が経過しようとした1月に復興教育の児童生徒実践発表会を県民会館で開催しましたけれども、子どもたちが生き生きと自分たちの活動していることに自信を持ちながら発表していたという姿が印象に残っていますし、そういう活動が沢山あります。8年間にさらに蓄積したノウハウや実践がありますので、これを基に復興教育の内容をより充実させて将来につなげていきたいということで、本年度に復興教育プログラムの改訂をして、今最終校正段階にありますが、年度内に完成します。平成31年度は高校も含めて副読本を作成するということで、岩手の子どもたちに学校教育の中で、新たな副読本の下で教科横断的に復興教育を進めていってもらいたいと思っています。復興教育は、岩手の教育の特徴的な学習ですし、それを通じて岩手やふるさとを愛する気持ちが大きくなってきています。子どもたちは社会の構成員ですが、これから変容する社会を担っていくのが今の子どもたちだと思いますので、ふるさとを愛する気持ちや岩手の良さを知ってもらいながら成長していってほしいと思います。

記者

今の質問に関連して、復興教育について聞きたいと思います。大きな震災が60年の周期くらいで度々起きている、その前にも教育長は、教育は百年の大計とおっしゃっていました。今復興教育を受けている子どもたちが60年後、高齢になっているかもしれないですけど、その頃起きる可能性がある。50年、60年先を見据えてということだと風化とかと闘わなければならないと思うのですが、教育の使命を改めて、復興教育にどのような使命があるか、何を守っていかなければならないか伺います。

教育長

岩手の復興教育の大きな柱というのは3つの価値を掲げていまして、「いきる かかわる そなえる」と。そこにはまず命を大切にする、自然災害等を含めて自分の命を主体的に守っていくこともありますし、それぞれの地域、様々な外の人たちとの交流、関わるということもありますし、防災教育の観点もあります。防災という観点は極めて大事だと思っておりますけれども、加えて社会の中で生きていくためにはひとつの事ということではなくて幅広い適応する能力ことが大事だということだと思います。学習指導要領の改訂でも主体的に学ぶことを今回アクティブ・ラーニング等がスタートしていきますけど、そういうことと目指すところが岩手の復興教育も正に同じだと思っているのですが、より具体的な形で、また実体験として岩手の子どもたちはそれを直接見たり、それから小学生の低学年の子どもたちはもちろん大震災の経験がないのでありまして、それを先輩たちから聞いたり先生たちから聞いたり、副読本も活用する中で自然の力に対しての理解ということを恐怖という形でしっかりやっていくことが大事だと思っています。

いずれ、復興教育を通じながら岩手の子どもたちの人格形成がより広くたくましく育っていくようなことにつながっていってほしいと思っております。それから単なる希望ではなくて基礎をしっかりと次につながるような、これまで教育委員会事務局の職員と一緒になって市町村の意見も伺いながらやってきたことですので、さらに発展させていけばいいと思います。

記者

先ほど児童・生徒の重大事案があったとお話がありましたけれど、任期中に何件か事案がありましたが、発生したことに対しての教育長の受け止めと、継続している中での教育長の退任となりますけども、その点についてもどのように受け止めているか、お願いいたします。

教育長

重大事案の定義は様々で、自死事案はもちろんですけども未遂事案等も含めて、命に関わるような事案の発生は、原因は何であるにせよ学校関係者はもちろん子どもたち一人ひとりを含めて自他の命を大事にする、他者の人権を尊重するという基本は力を入れてしっかりと子どもたちに理解を、そしてそういう思いをもってもらいたい。教育の中で努力していかなければならないと思っています。今月中に、もうできていますけど、皆さん御覧になったことがあると思うのですが、臼澤みさきさんをモデルとした啓発用ポスター、これは矢巾自死事案が起きたときに、いじめを一因とした平成27年に起きた事案ですけれども、その際に小学校から高校まで全教室に掲示する。そういう思いで当時、知事・教育委員長のメッセージも発出、こういうポスターだとか条例制定だとかやったということです。基本はいのちを大切にしてほしいということです。今は平成31年ということで新しいポスターを作って、近日中に各学校に配布して掲示することにしています。先生たちを通じながらこういうことを子どもたちにしっかり伝えていってほしいなと思っています。

それから、不来方高校事案についても調査していただきますけど、これも平成30年7月に起きて以来、お父さんお母さんに、学校側も調査しながら調査結果を御報告する、県教委としても調査してお話をさせていただいたということなのですが、第三者委員会の設置について強く要請を受けまして、県教委の調査の中でもこれが直接的な原因だと判断が難しいということもございましたので、第三者委員会を設置して第1回目の会議を1月6日に開催したところでございます。これまで5回の委員会を開催していただいていまして、今日第6回目の委員会が開催されます。今の委員会で取り組んでいただいているのは、生徒たちへのアンケートをしていただいてそれについての聞き取り調査等を大学進学や社会人になる生徒たちもおりますので、これを優先ということで。関係者等への聞き取り調査も行われると思うのですが、県教委として主体的に第三者委員会の運営に関わっていくというのは、厳に慎むべきだと思っております。必要な求められた資料についてはつまびらかにしていく話をこれまでもさせていただいておりまして、その中で粛々と第三者委員会の調査を進めていただくことが大事だと思います。これを今解決するというのはなかなか難しい話なのですが、その辺をしっかりと注視していきながら適切な対応をしていってほしいと思っております。

 

記者

先ほど復興教育やいろいろな成果を踏まえてお話いただきました。今日も学習指導要領の新しい対応で英語教育の推進などが始まって、現場の先生たちは試行錯誤しながら多忙化の中で働き方改革とか進められて頑張ってこられている方もいらっしゃると思います。そういった現場の先生に岩手の教育をどういう教育をしていってほしいという、現場の先生に対する思いもお聞きしたいと思います。

教育長

今、岩手の教育を日々、教職員と子どもたちとの関わりの中で、学習活動を通じながら行われているということで、これは教育の是非、評価というのは教職員の活動によるところが極めて大きいということだと思っています。岩手県の教職員は、総体的に教育に対する使命感とやりがいを持ちながら子どもたちの教育にあたってもらっていると感じております。また、そういう姿も見ておりまして、自信をもって教育にあたってほしいと思っています。

一方で、これからの社会がどんどん変容していくのは正にそのとおりと思いますが、そういう中で子どもたちが成功する体験がある一方、やっても失敗する、自分たちの思いが届くところまで成果が挙がらないというのも学校教育を通じて経験していくことになると思うのですけれども、それに取り組むプロセスがそれぞれの子どもたちの人間形成に極めて大きいと思っております。壁にぶつかることも大事だと思うのです。子どもたちが色々なことに挑戦して、そういう経験を積む、その後押しを教職員には今後ともやってほしいと思っています。

働き方改革との関係ですが、学校教育に期待される役割というのは本当にどんどん増えてきていると思います。具体例を挙げれば、学習指導要領の改訂に関して言いますと、小学校であれば英語の教科化、外国語活動の4年生からの導入、中学校、高校等に主体的・対話的で深い学び、さらに小中高通じてですけれども、大学入試改革もあります。新しいことに対応していかなければならないこともありますし、いじめ問題等も組織的対応をしていく、それから、それぞれの家庭の貧困問題もあろうかと思います。子どもたちの様子というものをしっかりと学校がプラットフォームとなって関係機関と連携していく、そういうつながりも大きな期待がなされております。それを解決していくためには、様々なことを改善していかなければだめだと思っています。ということで、本県では、平成30年6月に働き方改革プラン等を策定して、できることからやって、3年間の目標を立てながらやっているのですけれども、これは県教委として主体的に負担軽減に向けて合意形成を図りながら取り組んでいくことも必須だと思っております。学校での仕事のあり方を見直していくということと教育行政がそれぞれの役割・仕事をしっかりと見た中で改善していくことが大事だと思います。

それから少子化がどんどん進んでいく中で、一人ひとりの相対的な期待というのは大きくなっているわけで、岩手の未来、国の未来を考えたときに、子どもたちを育んでいく教育に携わる職員体制の充実というのは大きな課題だと思っておりまして、この前も文科省等に都道府県教育委員会連合会、岩手県の政策提言の中でも国に対して要請してきているけれども、教職員体制の充実については今後とも引き続き要望しながら、そして負担軽減ということを自分たちができることに積極的に取り組んでいくことが大事だと、それによって教職員の士気を高めていくことをしていかなければならないと思っています。

記者

先ほど子どもたちの挑戦を後押しするのが教育だとありました。5月に新しい元号になって時代が変わるということで、昭和が詰め込み、平成がゆとりと表現するとすれば、次の時代はどういう時代になるか改めて伺います。

教育長

ゆとり教育とか授業時間数の拡大とか、その時々の時代の要請で学校教育のあり方も変わってきたなと思うのですが、そこに共通するのは社会を担う子どもたちの人間形成、そして社会形成を担っていく子どもたちをしっかり育てていくことが大事だという共通点があると思います。その手法として地域社会との関わりを深めていくことが重要視されたり、例えば総合学習の時間を設けてやってきたり。義務教育の中の教育課程でしっかりと必要な学力の三要素をしっかりと育んでいく、このためにはやはり時間数をしっかりとやっていかねばと。目指すところは同じです。その時々の様々な評価の中で言っているところです。これからの社会というのは、第4次産業革命などいろんなことが言われていますけど、情報化がどんどん進んでいく中で、就職すればもうそれで成功、昔であれば大学に入ればなんとかなるみたいな時代もあったのだと思うのですけど、そういうことが全く通用しない時代になってくる。一旦就職してもその会社がなくなるというような機会はこれからどんどん出てくると思う。その時に自分で仕事を作っていくとか新たなことに挑戦するとか、そのための力を身に付けるためには、今の教育をさらに充実させていくということが今度の学習指導要領に期待される。そういうことが中教審の議論の中で出てきたのだと思っております。県教委の思いとしては、全国的に共通の教育はしっかりと対応していくことが大事だとまず一つには考えています。この岩手の地にも先人等を含めて様々、岩手の風土の中で色々な学ぶべき材料がたくさんありますので、伝統芸能等も含めて地域との関わりをより深めながら、よりたくましい子どもたちが成長するような基盤をしっかりと作っていくことが岩手の教育の役割ではないかと思っています。

 

教育企画室

以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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