平成30年4月18日教育長記者会見における質疑応答

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ページ番号1006242  更新日 平成31年2月20日

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平成30年4月18日(水曜日)
県庁10階  教育委員室

発表事項:

  • なし

質問事項:

  • 教育長の今年度の目標について
  • 学習指導要領の改訂に伴う道徳の教科化及び外国語活動への対応について
  • 高校再編を考える首長懇談会の開催を踏まえた後期計画策定の進め方について
  • 教職員の不祥事防止等への対応について
  • 大谷翔平選手の活躍、岩手の子ども達に期待することについて
  • 滋賀県で発生した警察官の発砲事件に対する所感について

質疑応答

教育企画室
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
会見に先立ちまして、今年度第一回目の開催ですので、教育長から一言挨拶を申し上げます。

教育長
新たに転入された記者の方もおりますので、年度当初に当たりまして一言話をさせていただきます。
新たな年度が始まり、本年度は「いわて県民計画」や「復興計画」の最終年度でもあります。
また、平成という年が一年度を通して続くというのが本年度で最後でもあり、そのような中で来年度以降の次期総合計画や教育振興計画の策定に取り組むということで、教育界にとって大きな節目だと考えています。教育課題は様々ありますが、市町村教育委員会はもちろんのこと、学校関係者、PTA関係者、スポーツ関係者、文化芸術関係者などの関係者と連携を深めながら、岩手の教育の充実や岩手の子ども達が変容する社会にしっかりと歩んでいくことができるようにできる限りの努力をしていきたいと考えています。
記者クラブの皆様方のご支援、ご協力をお願いしたいと思いますし、学校教育に関して、特にスポーツ分野や文化芸術分野など岩手の子ども達が活躍しておりますので、様々な機会を通じて県民の皆さんに対して多く報道していただくようにお願いします。
このあと、皆さんからご質問をいただきながら、月1回の記者会見を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

教育企画室
本日は教育長からの発表事項はありませんので、記者クラブからの質問をお願いします。

幹事社 
記者クラブからの代表質問はありませんので、各社から質問がありましたらお願いします。

記者 
学習指導要領について質問します。学習指導要領の改訂により、本年度から小学校での道徳が教科化され、外国語活動の授業も始まりました。このことについての所感と、今後、現場の声にどのように対応していくのかお伺いします。

教育長
道徳の教科化についてでありますが、この教科化については一人一人の児童生徒が生きるうえで出会う様々な問題や課題を主体的に解決し、よりよく生きていくために、道徳性の育成が重要であることを一層重視した位置付けになったと受け止めています。道徳性の育成に向けて、学校全体で推進する道徳教育の要の教科として位置付けられていますので、授業を通して様々な道徳的価値について多角的に考え、判断する能力などを培っていくことが求められていると認識しています。
県教委におきましては、教育課程説明会とか授業改善研修会等の様々な道徳関係の研修事業を通して、教科化の趣旨や教科化に向けて必要な推進体制の構築、授業改善のポイント等について、周知を図ってきています。本県で発生した痛ましいいじめの事案や大震災の発災から得た教訓などを踏まえますと極めて重要な教科であると考えておりまして、その充実に向けて市町村教委等と力を合わせながら取り組んでいきたいと考えています。
また、外国語活動につきましては、平成20年3月に告示された学習指導要領によって小学校高学年に導入されて以来、子ども達のコミュニケーション能力の素地を養うための実践が積み重ねられてきています。
小学校では本年度から2年間の移行措置期間となっており、3、4年生では年15時間以上の外国語活動を実施することとなっています。今般のグローバル化の進展に伴う学習指導要領の改訂におきましては、我が国の外国語教育が、小学校、中学校、高等学校、大学を通じてつながることとなっておりまして、3、4年生の外国語活動は、子どもたちが外国語との初めての出会いという大切な役割を果たす時間になると考えています。 
県教委におきましては、本年度、小学校に英語専科の教員も配置しまして、より専門性を生かした指導を行うということと併せて、各小学校においては、これまでの外国語活動の成果を生かして、中学年という発達段階に配慮した丁寧な指導を行っていくこととしています。 
今後におきましても、道徳科や外国語の指導に関して各市町村教委と連携して、指導主事による学校訪問等を通じ、学校現場の声を丁寧に聞き取りながら指導助言を行っていきたいと考えています。

記者
道徳教育について重ねて伺います。教科化されたことによって、担当の教師が児童に対して評価するということになり、この評価について現場からも戸惑いの声があると思いますが、県教委として現場に対する評価のアドバイスとか支援というのはどのように行っていくのか伺います。

教育長
ご案内のとおり、学習指導要領におきましては道徳科における評価については、児童の学習状況であるとか、道徳性に係る成長の様子を継続的に把握して、指導に生かすよう努めることとされていますが、「数値などによる評価は行わない」というふうに示されています。子どもの内面にある道徳性はなかなか見えにくいという部分もありますし、評価が困難であるというような側面もあると思いますので、子どもが実際に書いたり、発表したり話し合ったりする学習の様子も評価の情報として視野に入れることや、児童の様子などを幅広く柔軟に評価する姿勢の重要さが示されていると受け止めています。そういう意味で、常に児童生徒一人ひとりと向き合っているという指導が必要だと考えています。

記者
その中で、働き方改革にも関わってくると思いますが、教職員の働き方改革が現場で加速化していく中で、より一層道徳教育という中で子ども達を一生懸命見ないといけないという環境が併存する形になると思いますが、現場レベルでどのように取り組んでいくのでしょうか。

教育長
道徳教育についてはこれまでも道徳の時間がありましたし、それが教科ということで教科書の使用や評価が入るということがありますので、これまで以上により濃厚な指導が必要になるということもあります。それから、教職員の働き方改革については全国的な課題として外国語活動や英語の教科化も入ってきますので、新しいことが社会の動きに合わせて子ども達の成長を支援するという大きな役割が出てきている中で、全体的に教員の仕事の在り方をしっかりと見直していくというのは喫緊の課題であると思っています。教育は日々、教員によって行われておりますので、通常の学校での教科活動もそうですけれども、部活動等を含めて全体的な見直しをしていく必要があると感じています。今、岩手県版の「働き方改革プラン」をできるだけ早期に策定したいということで、無くす仕事というようなことと、組織的な対応をしてより効率的にしていくことなど教育行政として学校に示しながら、学校と車の両輪になってできる限り教育環境の整備を行い、ひいては子ども達の教育の充実に向けるように努めていくことが大事だと思っています。

記者
道徳について戻りますが、岩手で悲惨な問題が近年相次いだということもあると思いますし、復興教育というところもあると思いますが、岩手で道徳教育をすることについて、岩手ならではと言いますか道徳への関わり方というのはどのようなものがあるとお考えでしょうか。

教育長
大震災の際に、子ども達が経験した活動や、県内外の皆さんとの繋がりなど様々な経験をしています。そのような動きがあった中で岩手の復興教育の中に「いきる」「かかわる」「そなえる」という3つの教育的価値を岩手の学校教育において取り入れていき、岩手の独自の取組として将来的にも継承・発展していかせたいと考えています。この復興教育は道徳の時間だけではなくて、各教科を通じて行ってきておりまして、それに加えて本年度は「いわての復興プログラム」の全面的な改訂も行うこととしています。これまでの動きなど様々ありましたので、さらに充実させ、道徳教育の中でもこれまでの取組を継承しつつ、真に必要な教育となるように進めていきたいと思っています。

記者
高校再編について伺います。高校再編を考える首長の懇談会が10日に開かれまして、5市町首長が地域の特長を生かした高校教育の確立に連携して取組む必要性を訴えております。これに対する受け止めと、今後の再編計画の策定をどのように進めていくのか伺います。

教育長
4月10日の懇談会ですけれども、大学の先生を招聘して講演会が開催されたということでありますが、その中では中山間地における高等学校の役割等について幅広な講演がされて、それに対して質疑等が交わされたということを承知しています。このような動きがある中で、後期計画の策定をどのような方針で進めていくかということですが、県教委としましては県内それぞれの地域において教育を受ける機会を保障していくことは大変重要なことと認識しておりまして、新たな高校再編計画におきましては教育の質の保証と併せて、本県の地理的諸条件等を踏まえた教育の機会の保障を大きな柱として、学級減を中心とする計画とすることで地域の高校をできる限り存続させるということや、特例校を認めること、小規模校の維持、存続などにも配慮した内容として前期計画を策定したところであります。過疎地域にある小規模校の意義や維持の必要性については県教委としても各市町村長と共通の認識に立っていると思っており、教育環境の整備や学校の魅力づくりに取り組んでいくことが重要と考えています。今後、2021年度から2025年度までの後期計画の策定の準備を進めることとしておりますが、策定に当たりましては、岩手のもつ多様な豊かさ、つながりなどにも着目して、また地理的条件等も考慮して、岩手だからこそできる教育、やるべき教育という視点も取り入れながら、小規模校にも十分に配慮する必要があるのではないかと考えています。
いずれ高校再編というのは地域の皆さんにとって極めて大きなテーマであると考えていますので慎重かつ、多面的かつ、積極的な検討を進めていきたいと思います。

記者
スケジュールについてもお願いします。

教育長
2021年度からの後期計画の策定に当たりましては、前期計画期間中の定員充足状況であるとか、各校の実情とともに、地域の声も十分にお聞きしながら、より良い教育環境を整えていくという視点、それから社会情勢の変化等も十分に踏まえた多面的な検討を進めていきたいと考えています。
具体的には、今年度の後半から、県内各地域において地域の皆様との意見交換の場を設けることを予定しておりまして、地域の声を十分にお聞きしながら2019年度中に計画案を公表して、前期計画の検討と同様に、さらにご意見を伺ったうえで、2020年度に策定することを予定しています。

記者
昨年度、教職員の懲戒処分が二十数件ありましたけれども、新年度になってコンプライアンスと言いますか、教職員への綱紀粛正について意気込みをお伺いします。

教育長
昨年度、懲戒処分をした件数は22件でありました。前の年は27件ということですが、それぞれ量定が違いますので、件数だけでは評価できるものではありませんが、昨年度は特に飲酒運転事案が3件連続して続いたというような事もありますし、それ以外の体罰等の事案もありました。
教育の推進に当たって一番重要なことは、教育に対する信頼だと思っています。そういう意味で1月に各県立学校や市町村立学校にも市町村教育委員会を通じて不祥事の発生防止について私のメッセージという形で理解と具体的な活動をお願いしたところです。これは教育に対して日々使命感と情熱を持って取り組んでいる教職員がいる中で、そういう人たちにとっても大変申し訳ない事だと思っておりますし、先生に対して信頼を寄せている多くの子ども達の期待や信頼を裏切ってはならないと思っています。それから結果的に不祥事を発生した教職員の家族の人生をも左右することになってしまうというようなこともあり、そのような発生をとにかく無くしていくように努力することは極めて大事だと思っています。コンプライアンスの基本や一番大事なことは、何よりも与えられたミッションをしっかりやっていくということですし、社会人に共通して求められていることだと思いますが、社会人としてのルールというものをしっかりと守るということで、士気を下げることなく、共感を呼ぶような取組を進めていきたいと考えています。

記者
コンプライアンス順守について研修会の回数を増やすとか何か具体的な取組で変化することがあればお伺いします。

教育長
昨年度、一昨年度、不祥事については本県で大きな課題となっておりまして、県議会でも様々なご指摘をいただいたところです。そういう中で研修の充実だとか、従来ですと不祥事を起こした職員に対して懲戒処分を行って責任を取ってもらい終わっていたところでしたが、それ以降、それぞれの量定に応じて、どのような反省と具体的な行動に結びついているか進行管理を行う取組を新たに設けたことや、事例集を見直すなど様々な取組を行ってきております。そのようなことを通じて、本来であれば起きたかもしれないものがどうなったかというのはなかなか見えない部分ではありますが、新たにやることとしたものもしっかり根付くように行いつつ、様々な研修の場もございますので不断に呼びかけていくことなどを進めていきたいと思っています。

記者
高校再編の関連で伺います。先ほどのお答えの中で小規模校への配慮や、市町村での学校の魅力づくりの取組に対してポイントを置いているという話がありましたけれども、前期計画中での後期計画をというところで、各市町村での学校の魅力づくりへの取組ですとか、地理的条件、それから小規模校への配慮ということが大きなテーマとして位置づけられていると捉えてよろしいでしょうか。

教育長
特に中山間地の県立学校がある市町村においては様々な生徒達への支援を講じていただいているということでありますが、具体的に申し上げますと例えば公営塾的なものや、県外からの受入れに対する支援だとか、通学支援だとか様々行っております。ただこれは県立学校の設置者としてそういうことが必須ということではなくて、考え方を市町村と擦り合わせをしながら、それぞれの市町村の主体的な取組として、ご協力をいただいていると認識しています。従いまして、設置者としてしっかり小規模校であっても、それぞれの進路選択に応じたできる限りの支援、教育を行っていくということが重要であると思っておりまして、市町村と十分連携しながら地域の未来、それから岩手の未来を支える人材を育成していきたいと思っています。

記者
高校再編について、各首長の関心が高まっていることについてどのように感じているでしょうか。

教育長
今の前期計画の中で平成32年度に統合する具体的な計画を提示しているところでございまして、その時期が迫ってきているというようなこともあろうかと思いますけれども、新たな高校再編計画を平成27年度末に策定した時点でも、県内で様々な意見交換会や地域検討会議などを開きまして様々な議論がありました。教育のあり方というのは多くの県民の皆さんにとって大きな関心事だというような中で、前期計画の後半に入ってきていますので、後期計画の策定に向けて首長さん方の間で議論したいという動きなのかなと思っています。ただ、県教委としてはそういう場があるというのは伺っておりましたけれども、それぞれの首長さん方の主体的な活動であると認識しているところです。

記者
あくまでもスタンスとしては見守るという感じでしょうか。

教育長
そのようなご意見等も踏まえまして、前期計画の中で統合校については平成30年度の入学者の状況なども見極めながら具体的に最終的な検討をするとしておりますので、そのような声なども踏まえながら、全県的に生徒数も減少しておりますので、動向等も見極めながらしっかりと対応していきたいと考えています。

記者
岩手出身の大谷選手が大リーグで大変活躍していますが、教育長としての思いと、これから成長していく岩手の子ども達に期待することがあればお伺いします。

教育長
今日は3度目の登板が予定されているということで、県民の皆さんも大きな期待や、楽しみにしている時間帯ではないかと思います。これまで高校生時代から岩手県営球場で160キロを記録したこともありましたが、本人の思いや、それを支えてきている皆さんも将来を楽しみにしていたと思います。そういう中で世界のスーパースターとしての階段を着実に登ってきていますが、その背景には大きな努力があったのだろうと思います。岩手県出身者があのような舞台で大活躍しているということについて、多くの皆さんが誇らしく思っていると思いますので、今後の活躍や将来について大きく期待しています。
また、そのような活躍から岩手の子ども達に大きな希望や夢を抱かせてもらえるような場面を発信していただいていますので、岩手の子ども達には一番大事なのは努力するということや夢を持つということだということを学校教育を通じながら具体的な実践事例として、より身近に子ども達に感じてもらいながら、岩手を支えていく人材に成長してほしいと思っていますし、期待しているところです。

記者
滋賀県警で学校を卒業して警察に配属されたばかりの若者が上司に怒られたという理由で発砲した事件がありましたが、事件について所感というか学校教育へ思うことがあればお伺いします。

教育長
報道を通じての情報しかありませんので具体的にお答えするのは難しい部分もあり、指導を担当する上司とどういう人間関係でこのような事件が起きたかということは分かりませんが、殺人事件に発展したということは極めて悲惨な出来事であったと思います。直接的な答えにならないと思いますが、いじめ問題とか道徳の教科化などに関連して一番大事にしなければならないのは、自他の命を尊重することや人権を尊重していくという事だと思います。一時的な感情で取り返しのつかないことになりますので、学校教育での活動を通じながら一時的な感情だけではなく、冷静に対人関係を築くように子どもの時代からしっかりとサポートして、人間の成長に向けてできる限りの努力をしていくというのが学校教育だけではなく社会にも求められているのではないかと思います。

記者
新年度という事で、教育長の本年度の目標をお伺いします。

教育長
教育長になり5年目を迎えます。旧制度の下で2年間、新制度で3年目ということですが、先ほど申し上げましたように、今年は大きな節目の年であると思っています。学校教育もそうですし、社会教育も含めて、この岩手には様々な歴史や地域資源、財産があると思っています。そういう中で岩手だからこそやるべき教育、岩手だからこそできる教育というようなことを頭に入れながら今後のビジョンとなる次期総合計画の教育分野もそうですし、教育振興計画の策定など本年度山場を迎えますので、そういうことに学校関係者と十分に連携しながら取り組んでいきたいと思っています。目標と言いますと、2月議会での教育長演述の中で申し上げたことをしっかりと実現していくということが大きな目標と考えています。

教育企画室
以上をもちまして本日の記者会見を終了します。

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