JICA海外協力隊:山口 碧さん(ブラジル派遣)

ページ番号1022800  更新日 令和1年8月23日

印刷大きな文字で印刷

  • 日系社会青年ボランティア(コミュニティ開発)
  • ブラジル連邦共和国派遣(2019年1月から)

あなたの近況を教えてください

お住まいの国(地域)はどんなところですか。(地理、気候、言語、宗教、食事、文化・風習など)

 人口2億930万人、日本の約23倍の面積を誇るブラジルは、先住民やアフリカ奴隷、移民によって発展した多民族国家です。日本からも戦前・戦後を通じて約25万人が移住し、現在海外としては世界最大となる190万人の日系社会が築かれています。1822年までポルトガルの植民地支配下に置かれていたため、ポルトガル語を公用語としています。宗教は約65%がカトリック。代表的国民料理は豚の耳や鼻、しっぽ、内臓と牛肉、黒豆を煮込んだフェイショアーダで、お米にかけて食べます。

 一方、私の任地レジストロ市は人口5万6,000人、1,300世帯の日系人家族が暮らすサンパウロ州の田舎町です。国策としての移住事業を実質的に担っていた移民会社「海外興業株式会社」の本部が置かれていた場所で、永住を目的とした日本人最古の移住地の一つです。2019年は入植105年を迎えます。また豊かな自然に恵まれ、政府により環境保護地域に指定されています。特産品はバナナ、もち米、い草、竹、お茶、パルミットと呼ばれるヤシの新芽など。毎年2万人が訪れる南米最大級の灯篭流し、そして寿司祭りが市のメイン行事になっています。

写真:精米所と倉庫として使われていた建物
当時、海外興業株式会社の精米所と倉庫として使われていた建物
写真:移住斡旋ポスター「さあ行こう一家をあげて南米へ」
移住斡旋ポスター
写真:日本ブラジル文化協会の建物
レジストロ日伯文化協会

あなたの活動(仕事、勉強、取組)について教えてください。

  レジストロ日伯文化協会に所属し、日系社会の活性化と日本文化の継承を目的に活動しています。そのうち特に農村部の観光開発を通じた地域おこしに取り組んでいます。現在は第一段階として住民参加型ワークショップを開催し、地域資源や将来像、課題の共有にあたっているほか、プロジェクト目標や具体策について議論しています。今後は特産であるもち米栽培を通した独自ブランドの開発や共同菜園の運営、さらにマスコットキャラクターの制作、イベントの企画など、現地の人々のアイディアを形にしながら活動の種を増やしていきたいと考えています。

写真:ワークショップの様子
住民参加型ワークショップ(1)
ワークショップ後の集合写真
住民参加型ワークショップ(2)
写真:書道の披露
地域行事での日本文化紹介

印象に残っている出来事はありますか。

 日本以上に日本の伝統文化が継承されていることです。和太鼓や華道、日本料理、民謡、ラジオ体操、草履作りなどの活動が日系・非日系問わず幅広い世代で盛んに行われています。またコスプレ大会や盆踊り、餅つきなどの行事も数多く開かれています。市役所や警察署、道路標識など町の至る所で日本語表示を見かけるのは日系人の多いこの地域ならではの景観だと思います。

写真:草履づくりの様子
草履づくり
写真:餅つきの様子
餅つき
写真:警察署の建物
警察署

岩手に関することについて教えて下さい。

岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。

 四季があり、季節ごとに異なる景観や行事、旬の食べ物があることです。海の幸も山の幸もあり、調理法も様々で食文化が豊かなところは岩手、そして日本の自慢だと思います。また衛生面に対する意識の高さや治安の良さ、接客の仕方、仕事の丁寧さも改めて良いところだと感じました。

岩手について話題になったことや、PRしていただいていることはありますか。

 1つ目は、ブラジル最大の日本フェスティバルで披露された盛岡さんさ太鼓パレード。現地の太鼓グループ約60人が会場を練り歩きました。ステージ発表ではなく会場全体を使った迫力ある演技を見たいと、数ある和太鼓パフォーマンスの中から盛岡さんさ太鼓が選ばれたそうです。

 2つ目は、ブラジル岩手県人会で開かれた第13回わんこそば大会。地元日系の方々やブラジル人、駐在員家族などが参加し、熱戦を繰り広げました。懐かしい「じゃんじゃん、どんどん」の掛け声とお椀が重なる音。地球の裏側ブラジルで岩手の食文化が受け継がれていました。

 3つ目は、地域活性化に向けた岩手県内の取り組み事例を現地で発表したことです。岩手とレジストロ市は自然環境や主要産業、高齢化や過疎化の課題など、条件的に似ている部分があります。また任地ではエコ・グリーンツーリズムを活用した村おこしプロジェクトを立ち上げようとしています。少しでもアイディアを提供できたら良いと思い住民の皆さんに紹介しました。特にマスコットキャラクターを活用した商品開発や地域PR、道の駅や地元の特産を活かした体験型観光は、現地でも応用できるのではないかと関心を寄せている様子でした。

 

写真:住民による盛岡さんさ太鼓パレードの様子
日本フェスティバルにおける盛岡さんさ太鼓パレード
写真:岩手名物わんこそば大会の様子
わんこそば大会
写真:山口さんによる発表の様子
岩手県の地域おこし事例の発表

岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。

 2019年日本人がブラジルに移住して111年。日系社会からは戦後も震災復興においてもたくさんの支援をいただきました。感謝と尊敬の気持ちを忘れず、現地の皆さんと一緒に地域が元気になる活動を生み出していければと思います。また活動期間中はブラジルに岩手をアピールしつつ、現地の面白い文化や良い取り組みを岩手の皆さんにもお届けしたいと思っています。

 

このページに関するお問い合わせ

ふるさと振興部 国際室 国際交流担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5765 ファクス番号:019-629-5254
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。