【JICA青年海外協力隊】中里 祥子さん(ボリビア派遣)

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ページ番号1006874  更新日 平成31年2月20日

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中里 祥子さん【JICA 保健師 2017.09~ボリビア派遣】

お住まいの国(地域)はどんなところですか。(地理、気候、言語、宗教、食事、文化・風習など)

大陸のほぼ中央に位置するボリビア。日本の約3倍の国土をもつボリビアは、地域によって全く気候が異なります。アマゾンもあれば、富士山の頂上ほどの街もあり、ウユニ塩湖だけでなく見どころいっぱいの国です。ボリビアに来る前は、「南米=とにかく明るい、にぎやか」というイメージを抱いていましたが、こちらに来てみるとボリビア人は大人しい人が多く、どこか日本人に似たところもあるように感じています。公用語はスペイン語ですが、現地語も各地域で話されています。
私はボリビア西部に位置する標高約3700mの「オルロ」という街に住んでいます。年中寒冷な気候であり、高地ゆえ日々強烈な紫外線・乾燥と日々戦っています。こちらの主食はお米や芋が中心で、手に入る野菜の種類は限られます。日本のようなスーパーはないため買い物は市場が中心で、店先で世間話をしたり、おまけしてもらったりと、顔見知りも増えてきました。
オルロの名物にリャマの干し肉を揚げたものとじゃがいも、モテ(大粒の甘くないとうもろこし)、ゆで卵、チーズを一皿に盛った「チャルケカン」があります。最初は「リャマを食べるなんてかわいそう…」と思っていた私ですが、一度食べたら気に入ってしまい今では大好物です。こちらではリャマ肉は高タンパク・低カロリーということで健康志向の人には人気です。また、珍しいものには「牛(または子羊)の頭の丸焼き」があります。一度、牛の頭の丸焼きにお目にかかりましたが、かなりのインパクトでした。骨以外の部位はすべてきれいに食べきるオルロの皆さんを少し尊敬した瞬間でした。
また、ここオルロでは世界無形文化遺産に登録されている「オルロのカーニバル」があります。先住民族の大地の母への感謝および信仰と、キリスト教の聖母マリアへの信仰が合わさり、創造の母にささげるものとして毎年2月~3月頃に開催されます。踊りは様々な種類がありますが、それぞれに意味があり、音楽・衣装とも踊りによって全く異なるので見ているだけでもとても楽しめます。オルロでは会話の初めに「お前は何を踊るんだ?」というほど日常生活にカーニバルや踊りが密着しており、その影響も受けて今年のカーニバルには私も参加しました。大家さんはじめ、私の周りのボリビア人はカーニバル大好き、そして土着の文化をとても大切にする方々なので、旅行では知ることのできないボリビアの文化を体験させていただいています。

あなたの活動(仕事、勉強、取組)について教えてください。

保健所(日本でいう、保健センターと診療所を合わせたような機能)の栄養担当の部署で栄養欠乏に起因する成長発達へのフォローが必要な子どもたちとその親への支援を行っています。主として、身長・体重測定および問診、栄養指導です。来所者の中には自宅にトイレや水道がない家で暮らしている場合もあり、日本での保健師時代以上に対象者に生活の様子を詳しく聞かなければ適した指導につながらないこと、日常生活で注意が必要な点をより具体的に伝えることの必要性を実感しています。実際、寄生虫を保有している子どもたちも散見され、基本的な衛生習慣について母親の理解度を確認しながら伝えることを繰り返しています。
また、若年妊娠や多産なども未だ大きな問題です。ボリビアでは学校に養護教諭が配置されておらず、学校で保健衛生に関する教育を受ける機会がほぼないこと、また妊娠に伴い学業の中断を余儀なくされる女性たちも多いため、説明の仕方を相手の理解度に合わせる必要があります。そこで、既存の母親向けの教室を利用し、子育ておよび基本的な保健衛生、健康管理に関する知識の普及啓発を目指し、準備を進めているところです。しかし、肥満や慢性疾患の増加など日本と類似した健康問題も顕在化しており、活動範囲は生活や健康にかかわること「全部」です。こちらは料理に油や食塩、紅茶には砂糖を大量に使用することが多いため、それらを控えめにしたレシピを作っては周りのボリビア人に試食してもらって修正を重ね、機会があれば紹介していけるように準備をしています。

印象に残っている出来事はありますか。

特にこれ、ということはないのですが、周りの人の温かさに日々支えられています。大家さん家族やその友達、市場のおばちゃん、職場の同僚たち…。任地に私のほかに協力隊員はいません。しかし、不思議と寂しいと感じることはなく、それは私を助けてくれる人が身近にいるという心強さが支えになっていると思います。

岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。

岩手は空気がきれいで食べ物もおいしく、豊かな自然が魅力的だと改めて感じています。高地で暮らしている今、全体的に景色が茶色なので山の緑や色とりどりの花、澄んだ海の色が懐かしいです。ボリビアは内陸国で海がないため、魚介類がほぼ手に入りません。淡水魚は見かけますが、任地で魚を食べることはそれほど主流ではないため、魚料理が恋しい毎日です。

岩手について話題になったことや、PRしていただいていることはありますか。

日本のどのあたり出身?と聞かれて、「岩手」を説明する際に、山も海も両方ある自然豊かな場所であることを説明すると、羨ましがられます。海のない国、そして高地の厳しい環境で暮らすボリビア人にとって、あこがれの環境のようです。そして、説明しながら、岩手の素晴らしいところ、やっぱり自分は生まれ故郷が好きなんだと改めて感じています。

岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。

青年海外協力隊として活動する機会をいただき、ボリビアに来ることができました。日本とは異なり、決して便利な環境とは言えませんし、買い物や洗濯など生活するためだけでも非常に時間がかかります。しかし、現地でしか体験できない文化や異なる価値観への遭遇、現地の人の温かさを感じる体験など、人生の中では貴重な時間になると感じています。このレポートを通じて、少しでもボリビアの雰囲気、活動の様子を岩手の皆さんにお伝えしていけたらと思っております。

写真:赤ちゃん

ボリビアの赤ちゃんはカラフルな布に包まれ、お母さんにおんぶされて保健所にやってきます。

写真:オルロのカーニバル

世界無形文化遺産「オルロのカーニバル」に参加。大家さん、その親戚(両隣)も毎年参加。おかげさまでカーニバルの裏も表も体験!家の目の前は各団体が踊り終えて神に祈りをささげる“ソカボン教会”です。

写真:チャルケカン

オルロ名物「チャルケカン」は、手で食べます。茶色のものがリャマの干し肉“チャルケ”。一度食べたらやみつきに…

写真:離れた地域
時には中心部から離れた地域へも活動のために出かけます。

写真:ウユニ塩湖

ボリビアと言えば…のウユニ塩湖。息をのむ絶景が皆さんを迎えてくれます。この日は最高の鏡張りが見られました。

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ふるさと振興部 国際室 国際交流担当
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