【JICAシニア海外協力隊】高橋 聡さん(エクアドル派遣)

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1006871  更新日 平成31年2月20日

印刷大きな文字で印刷

高橋 聡さん【JICA 病虫害対策 2017.01~エクアドル派遣】

間もなく2年という任期を迎えますが、活動の成果や今後の課題について教えてください。

動植物防疫規制管理庁(以下、Agrocalidad)の研究所にてマンゴの日本への輸出について試験のアドバイスをするという要請内容であったが、食品安全局より、カカオ豆の日本への輸出時に、残留農薬違反事例をなくすという仕事に従事するよう要請があり、現在に至っている。日本の関係機関からの協力もあり、日本とエクアドルの残留農薬分析技術の統一化ができ、昨年1~7月までの違反事例が9件あったのが今年は、1件のみで、成果は出ていると思われる。また、輸出する前に止めるという水際作戦は成功しても、肝心の技術者や生産者の意識を変えていくのが大きな課題として残っている。AgrocalidadとしてもGAP(農業生産工程管理)研修に力を入れて、農薬の正しい使い方から器具の洗浄まで含む農牧省技術者への指導を行っている。時間がかかるが確実に浸透はしていると思われる。ただ、ここにきて、ブロッコリーの大腸菌汚染の問題が1例だけ報告され、この対策も今後の課題となってくるのではないかと思います。

写真1
GAP研修会場にて、資料の説明を行う。
写真2
同僚がカカオ畑の中で、GAPの説明会。

忘れられないエピソードはありますか。

カカオ豆を日本に輸出する前に、エクアドルの民間分析所にて農薬の残留分析を行います。そして、基準値をクリアしたカカオ豆がAgrocalidadによって認可され、日本に輸出されます。しかし、残留分析値が両国で異なり、オーバーすると、違反事例として厚労省より東京にあるエクアドル大使館経由で報告がきます。そこで、日本の関係機関から、分析技術者2名を派遣して頂き、研修を実施した結果、分析値が日本とほぼ同じになりました。その時、この分析所の所長が「今まで、いろんな国から研究者がきて、分析方法について意見を言っていたが、この問題を解決しようとした国はなかった。唯一、日本が一緒に解決してくれた」。私は、この言葉を聞いて、指導した分析技術者ではないですが、Agrocalidadの関係者として、又、日本人として、ちょっとウルとくるのがありました。

写真3
左から2番目の人が所長のDr.Fernando Gualpaです。そして、右2名が日本人技術者です。

海外で培った経験を今後どのように活かしていきたいですか。

異文化での生活は、大変面白い経験だと思います。日本での生活・文化が唯一絶対的なものでは無く、世界には様々な人がいて、文化があって、生活しています。社会生活でのダイバ―スティ(多様性)の尊重。自分とは異なる世界・人を認め、共存できるような社会・人生を送れるような環境作りのお手伝いができればよいなと思います。

岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。

基本的に人間は、生まれ育った環境が五感に残るのかなと思います。その中でも、特に、食べ物は、懐かしいものがあります。私は、西和賀出身なので、今はだいぶ違ってきていますが、昔は塩分の濃いものが主流でしたが、とても懐かしくなります。岩手に戻りましたら、その場で血圧が170になってもいいので、思いっきり食べてみたいですね。怒られるだろうけど・・・。でも、これは岩手の良いところではないですね。よく考えると・・・。しかし、良いところも、悪いところも含めてふるさとはふるさとです。

岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。

海外生活の中で、日本のニュースをネット等で見るのは日課となっております。特に、岩手とか東北という文字は、一番初めに、目に飛び込んできます。そのニュースの中で、日本でパスポート保持している県民の割合が低い県として北東北の3県の名前が挙がっていました。持っていればよいというものではないですが、ぜひ一度、海外に足を運んでみてください。岩手県は、国際人新渡戸稲造 氏を生んだ土地です。今の若い人にとっての英語は鹿児島弁や沖縄語より簡単です。仕事で、鹿児島に1か月いましたが、古老の話は、全く分かりませんでした。スペイン語の方がまだわかります。ちなみに私の初めてのパスポートは沖縄に行くためのパスポートで、昭和46年、まだ、沖縄は米国領でした。

その他何かありましたら御自由にお書き下さい。

65歳の誕生日を迎えました。配属先の食品安全局でエクアドル式の洗礼を受けた写真です。このケーキを顔に押し付ける行為は、他の中南米にはなく、エクアドルとコロンビアぐらいの風習のようです。また、翌日には、小生の所属が国際局なので、局長以下みんなで昼食の誕生会に招待してくれました。この写真は、セクハラだと言われないかなとビクビクしながら、さりげなく、大胆に女性の肩に手をまわして、女性の頬にハグをするときに、ガラパゴスのゾウガメのように首を伸ばして、首を吊りそうになった同じ人間とは思えない、成長した小心者の私です。

写真:ケーキを顔に押し付ける人

写真:誕生日

誕生日が土曜日だったので、お祝いはないと油断していましたがあまかった。翌日も誕生祝いです。なんか2歳年を取った気持ちです。

このページに関するお問い合わせ

ふるさと振興部 国際室 国際交流担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5765 ファクス番号:019-629-5254
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。