【JICA青年海外協力隊】高橋 一生さん(マラウイ派遣)

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ページ番号1006872  更新日 平成31年2月20日

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高橋 一生さん【JICA 青少年活動/表現芸術科目 2017.07~マラウイ派遣】

お住まいの国(地域)はどんなところですか。(地理、気候、言語、宗教、食事、文化・風習など)

<地理>
派遣国マラウイ(正式名称:マラウイ共和国)は東アフリカの内陸部国です。日本からは7時間遅れの時差があり、日本でお昼ごはん食べる頃はマラウイではようやく朝日をみることができます。首都はリロングウェで国土の真ん中に位置します。商取引では通貨マラウイクワチャ(MK)が現在のところ主に使用されていて1マラウイクワチャは日本円で0.15円(2018年5月)で取引されます。国境境にマラウイを囲む国にはザンビア、モザンビーク、タンザニアがあって現在では物流、商人・旅客など交流が盛んに行われています。隣国との取引でも、とりわけマラウイにおける主要産業となっているのが葉タバコ、紅茶、砂糖、落花生です。マラウイの国土は日本の北海道と九州をあわせたほどの面積(約12万k平方メートル)で、面積の2割ほどをしめる縦長のマラウイ湖はマラウイを代表するものの1つとなっています。
<歴史>
19世紀の中頃にリビングストンによる発見からヨーロッパ人の進出を受けて植民地化、イギリス領ニャサランドと呼ばれるようになりますが、もちろんその後で抵抗運動、独立をたどり今ではリビングストンによる発見は国民の自慢するところとなっています。アフリカ最後の独裁者と呼ばれていたカムズ・バンダが1964年の独立以来政権をとり続け、94年のマラウイで行われる初の大統領選挙により退き、何度か大統領の政権交代が行われてきました。現在はピーター・ムタリカ大統領現職。2015年時では人口1721万人(世銀による)で公用語はチェワ語、英語の二言語のみです。
<気候>
マラウイの気候は熱帯サバンナ気候帯に属しており、中北部のマラウイ湖を囲む地域と南部の山地とでは違ってきています。標高によって気温と降水量は変化しますが、1年間の気候としては最も暑い乾季(9~11月、平均最高気温摂氏29度)温暖な雨季(11~4月、27度)小乾季(5~8月、22度)に大別されています。マラウイ湖畔の地域で比較的過ごしやすいそうです。
<民族・宗教>
つづいてマラウイにおける民族、宗教に関してですが、バンツー系に分類される主要民族としてチェワ族、トゥンブカ族、ンゴニ族、ヤオ族がいてそれぞれの民族における伝統的な踊りや歌は現在でもマラウイ各地で残されています。宗教に関して、19世紀末期ごろにヨーロッパ人によって広められたキリスト教が全体の50%をしめ、30%ほどがイスラム教で、そのほか土着宗教があります。
<食文化>
日本ではお米が主食となっていますが、マラウイではンシマとよばれるトウモロコシの粉末状にしたものをお湯でねったものを主食としています。国内どこでもンシマは食べられていますが、パンやスパゲティ、もちろんお米も食べられます。

あなたの活動(仕事、勉強、取組)について教えてください。

リロングウェ県ミトゥンドゥ地域教員研修センターと呼ばれるところに配属されていて、主にセンターが管轄する学校を巡回し、表現芸術科目の指導を補助しています。表現芸術科目とはいわゆる日本の小学校でいう図画工作、音楽、体育などに相当する科目のことを指し、それに対する授業の補助や指導に関する助言を行なっています。立場は一教員ですが教員へのアドバイザー、ボランティアサポートの意味も兼ねています。各巡回校で担当教員とともに授業を行うTT(チームティーチング)や放課後クラブ活動の実施補助、および科目に関連する学校行事の企画運営など行なっています。最近は地域の学校全体(11校)が集まって合唱コンクールを実施しました。

印象に残っている出来事はありますか。

マラウイへ初めてきた時には何もかもが印象に残りましたが、赴任してから1年ほど経つ今ではそれらが当たり前のことのように思ってしまっているところがあります。以下2つほど最初の頃に強く印象に残ったものを取り上げたいと思います。

<マラウイの公的乗り物“ミニバス”>
マラウイに来て最初に驚くことの1つに日本車が多いことが挙げられると思います。トヨタ、ホンダ、マツダ、などなど路上ではたくさん見かけます。リロングウェ市内でもそれら車は多く見られますが、一般に人々の間で移動に使われる乗り物がミニバスです。だいたいがトヨタのバンで、首都内、大都市間、ローカルなところに至るところまでミニバスは幅広く、幅広い世代に利用されていて料金も多少の交渉制でもありお手頃。僕もそうでしたが、外国人がマラウイに来て驚くことの1つにはそのミニバスに通常定員だいたい12~13人くらい乗るところ、20人くらいかもしくはそれ以上ぎゅうぎゅうに詰めて乗ることがあります。そういうこともあって荷物をたくさんのせてくる人がいる時には自分の膝が空いていると、荷物を渡されて持っていなければならなかったり、時には赤ちゃんを抱いてたり、野菜や果物がたくさん入った籠を持っていたりしなければなりません。慣れればそうでもないですが、これもマラウイ文化の1つだと思っています。

<値札のない商品が売っている>
日本にいると、まずリサイクルバザーとかでもない限り値札のない商品を見ることがないと思います。全ての商品がデジタル化、バーコード化され、それがお店と私たちとの間で売買される、それ自体が日本の1つの特徴でもあると思いますが、ここマラウイでは首都や大都市でもない限り、路上もしくはマーケット販売で値札のない商品が人々の間で売買されます。もちろん値札がない、値段が初めからつけられているわけではないので、いくらで売買されるか、売る人と買う人の間で交渉されます。売り手の最初からの値段、相場はありますが、知り合い、友達価格で取引できたり、少し多めに取引しようとするとおまけがついたりするので、そういうところもマラウイ文化の1つかと思います。学校教員の一人として働いていると子どもたちからその情報が伝播して路上、マーケットで働いている人々からたまに「先生だから」の理由で先生価格やおまけがたくさんもらえたりします。以前先生なんだからたくさん食べなきゃといわれて知り合いから一羽まるまる鶏をいただきそうになったこともありました。

岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。

日本と岩手県を合わせて感じているところもありますが、マラウイに来てから日常生活で食べているものにはンシマやンプンガ(お米)があり米を食べられているからまだしも、食に関してだいたい食べられるもの、食べるものが決まってきているところが実際のところで、山海の幸、豊かな自然を味わえる岩手県に最近頃ごろ恋しさがつのってきているのは嘘がつけません。やはり食材豊かな日本、岩手県においては食に関するところにとても魅力を感じずに入られません。また四季折々に変化する自然、それに合わせたスポーツを楽しめたり、行事があったりするところも岩手県のいいところ、魅力の1つに思います。

岩手について話題になったことや、PRしていただいていることはありますか。

マラウイではやはり距離のこともあって日本のこと、特に岩手県のことについては話題になることがほとんどありません。現地の人々からしてみればやはり未知なる地のこと、まして自分たちの暮らしとはかけ離れているところで例えば先月、今月の間で行われているFIFAワールドカップを通して日本のことをテレビ越しに見ることができますが、それは選手達、サポーターの見ることのみにとどまり、その後ろにある日本人の暮らしや文化は確認できません(NHKを通じれば見ることはできますが)。また僕の任地ミトゥンドゥでは電気の普及は少しずつされてはきてますが、テレビ、ラジオや新聞で日本に関する国際ニュースにはほとんど触れることができず(国内ニュース、近隣のニュースなどにとどまるため。人々の関心もおおよそ国内向けである)、「僕という日本人(岩手県出身者)」を通して知るというすべしかないためできる限り写真や映像を通して日本、岩手県のことについてPRをさせていただいています。

<3.11 東日本大震災のことについて>
マラウイはアフリカの地形的な理由からも地震がほとんどありません。地震がないとわかっていての、僕がこちらに赴任してからしばらく経った後にあったマラウイ南部地震はマグニチュード5程度の地震でしたが国内のメディア、新聞記事等にはそれがしっかり記録されていました。現地の人々もこれが地震だというのがよくわからなかったらしく、言われてからわかる程度の地震頻度の国です。
こうしたこともあり、地震(つなみのことも)について知ってもらおうとパソコンの映像、本などを通して3.11のことを勉強してもらった機会がありました。映像を見る子どもたち、大人たちとも、それをみる目はまるでフィクション映画をみているような目でした。やはり現実的なところ、地震のことについてマラウイの人たちにも知ってもらうというのは言葉の壁以上にも難しいところだと感じたのが本音のところでした。

<世界遺産に関して>
両国とも世界遺産はいくつか登録されています。マラウイに滞在中にはいずれは世界遺産をテーマにした発表を一般向けに行えたらと考えています。その中では特に岩手県の持つ世界遺産を紹介できればと思っています。

岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。

岩手県の皆さん、いかがお過ごしでしょうか。この頃8月は気温が高く、とても蒸し暑いかと思います。こまめな水分補給、しっかり食事をとり、乗り切りましょう。アフリカにあるマラウイも年中暑く、特に8月はとても暑くなり大変です、と言いたいところですが、南半球に位置するマラウイでは季節は真逆で8月は日本でいう冬に相当します。そのため昼時はまだ暑かったり、暖かかったりしますが、朝晩の冷え込みはすごいです(マラウイでも場所によると朝晩の冷え込みだけで一桁台の気温になったりします)。そのためこの頃は長袖、厚着の生活を送っていますが僕自身水分補給、食事は妥協せずしっかり食べたいもの食べていきます。残りの任期もマラウイのため、にがんばってきます!

写真1
マラウイのおいしいごはん「ンシマ」

赤いお皿に乗せられているものが「ンシマ」と言われ、マラウイの主食となっています。原料はトウモロコシでそれを粉末状にしたものをお湯とねって作ります。手前のものがいわゆるンシマと一緒に食べるおかずでこの時は鶏肉とキャベツ、トマト、玉ねぎを料理したものでした。ンシマの食べ方は片手(もしくは両手で)でちぎり取り、手で冷ましながら丸め、ディオ(おかず)と一緒に口へ運びます。ンシマはかなり暑い状態で出されるので、覚悟して喰らいつかなければなりません。

写真2
週末マーケットはモノとヒトでごちゃごちゃ

僕の任地ミトゥンドゥの週末マーケットの様子です。マーケットのほんの一部で服など衣料が売られている場所です。他に野菜、果物を売っている場所、生活日用品が売っているところ、炭、車の燃料など売っている場所、などごちゃごちゃしています。

写真3
マラウイの家はこんなんだ!

リロングウェ県にある村の家です。マラウイの家はほとんどがこんな感じだと一概に思ってもらいたくはないですが、かなり田舎の方に行くとこんな家がたくさん見つけることができます。ビニール、草、木(もしくは竹など)、土でつくられている家は、もちろんマラウイの気候に合わせてつくられている理由もあって中は涼しく過ごしやすいですが、乾季の朝晩の寒暖差、雨季の降水量の多さにはそこで住む人たちはかなり苦労を強いられているようです。私の任地でもこのような家はたくさん見受けられます。

写真4
チテンジ、これがオシャレの最先端!

チテンジと呼ばれるマラウイで広く使われている伝統布。1mほどから扱われていて、購入後男性は服に仕立てたり、女性はもちろん普段使いの服、巻きスカート用、荷物用、赤ちゃん用などといったように様々に利用されています。

写真5
学期末テストを受ける子どもたち(4年生一部〜6年生)

マラウイは現在3学期制が採用されています。9月〜12月(1学期)、1月〜3月(2学期)、4月〜7月(3学期)と年間スケジュールはなっており、7月は3学期の総まとめとしてのテストが各学校で行われています。上級生(7年生、8年生)は建物の中でかつ机と椅子に座ってテストを受けられるところもあれば、写真のようにこれは上級生ではありませんが外に出て木下、建物の陰で座ってテストを受けているところもあります。雨が降れば学校のテストスケジュールは変更されます。

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