「いわて幸せ作戦会議(in盛岡)」(令和6年2月7日)

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ページ番号1072945  更新日 令和6年3月26日

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日時
令和6年2月7日(水曜)13時30分から14時50分まで

場所
盛岡地区合同庁舎 8階大会議室

出席者
・参加者(敬称略)
 坂田 雄平(NPO法人いわてアートサポートセンター プロデューサー)
 猪又 裕也(旅する羊 代表)
 工藤  朋(株式会社わしの尾 代表取締役)
 山本 明子(盛岡市地域おこし協力隊) 

・県側
 達増 拓也 知事 
 佐々木 隆 盛岡広域振興局長
 小野  博 政策企画部長

開会

小野部長
 それでは、ただ今から、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議in盛岡」を開催いたします。
 皆様には、本日御多忙のところ御出席いただきまして、本当にありがとうございます。本日は、「若者と女性が描く魅力ある地域づくりに向けて」を懇談のテーマといたしまして、県央圏域で地域の活性化や魅力づくりに取り組んでいらっしゃる皆様にお集まりをいただいております。
 私は、本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部長の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

小野部長
 それでは開会に当たりまして、知事から挨拶申し上げます。

達増知事
 皆さん、こんにちは。
 県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」というのは、知事が県内各分野、各地域で活躍する県民の生の声を聞いて、それを県政に役立てるという事業でありますが、「いわて幸せ作戦会議」という名前にしておりますのは、今の県の総合計画「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標に、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」とあるからでありまして、「いわて幸せ作戦会議」というふうに銘打っております。
 今日は「若者と女性が描く魅力ある地域づくりに向けて」ということで、この県央圏域、盛岡広域と言ったりもいたしますけれども、ニューヨーク・タイムズが去年の今頃、今年行くべきところということで盛岡市を取上げて以来、インバウンド観光が増えているという実質的な影響がありますけれども、改めてこの地方の良さ、都市の役割というようなものに関心が高まり注目が寄せられ、そういったものを岩手から全国や海外に発信していかなければというところでありますので、今日はよろしくお願いしたいと思います。
 また、県議会議員の皆様にもお忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。今日は、よろしくお願いいたします。

出席者紹介

小野部長
 ありがとうございました。
 この県政懇談会ですけれども、昨年4月から県内各地を回り、またオンラインでの開催も合わせて10回のうち、今回が10回目となります。今年度、最後の県政懇談会となりますけれども、特に今日は、机の上に様々な活動に関する物をお持ちいただいておりますので、にぎやかな中で進めて参りたいと思います。
 それでは、この後の進め方についてですが、まず、私からお一人ずつ御出席の皆様を御紹介しますので、続けて1分程度の簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿いましてお話をいただきます。お一人ずつお話が終わった都度、知事がコメントするというような形で、区切りながら進めて参りたいと思います。そして、最後に自由懇談の時間も設けたいと思っております。それでは、座席表に従いまして本日御出席の皆様を御紹介いたします。1分ぐらいずつ自己紹介をお願いできればと思います。
 始めに、NPO法人いわてアートサポートセンタープロデューサー、坂田雄平さんです。

坂田 雄平
 はい、坂田雄平です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 (資料に)書いてあるプロフィール以外でお話しますと、盛岡市出身で、そのあと上京しまして、東日本大震災の時から少しずつ、県外にはいたのですが、様々な文化復興支援ですとか、地域づくりのプロジェクトに関わっておりました。そして2020年、ダイヤモンド・プリンセス号が日本に来た辺り関東から盛岡に移住して、今は盛岡と沿岸でいろいろな(アート)プロジェクトを行っております。どうぞ、よろしくお願いします。

小野部長
 ありがとうございました。続きまして、旅する羊代表、猪又裕也さんです。

猪又 裕也
 旅する羊の猪又裕也と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
 私は、旅する羊という名前で、現在はホームスパンの製作販売中心に、併せて旅行業の免許を取りまして、こういったホームスパンの裏側にある、背景にあるストーリーを体験したり、見学したりできるようなツアーを企画して販売をしております。
 私自身は、2018年の2月に千葉県の船橋市、出身がそちらなんですけれども、移住してきまして、今雫石町に住んでおります。そういった経緯も、後程詳しくお話しさせていただければと思っております。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。次に、株式会社わしの尾代表取締役の工藤朋さんです。お願いいたします。

工藤 朋
 よろしくお願いいたします。株式会社わしの尾の8代目にあたります、工藤朋と申します。
 弊社は1829年に、今の八幡平市大更の地に創業いたしました。それから8代続いておりますけれども、私自身は岩手県盛岡市で生まれ育ちました。中学時代に、岩手ネットワークシステムが行っていました岩手大学の工学部の公開講座に触れて、物を作る技術にすごく憧れを持ちまして、大学時代は工学を専攻しておりました。今は、酒蔵に戻りましてお酒づくりをしております。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。最後に、盛岡市地域おこし協力隊の山本明子さんです。お願いします。

山本 明子
 御紹介に預かりました盛岡市地域おこし協力隊の山本と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
 私は、千葉県成田市出身で、千葉県繋がりの方がとても今日は多いなと思ったんですけれども、前職は全然関係のない教育とかに関わっておりまして、英語のティーチングアドバイザーをしておりました。その前は旅行業界におりまして、旅行業、インバウンドアウトバウンド事業両方携わっておりまして、大学時代にホスピタリティアンドツアリズムマネージメント(接客及び観光業のマネージメント)を専攻していた関係で、ホテルですとか航空業界で英語を使ったサービス業に多く携わってきました。
 今は、協力隊として6次産業化にどっぷりはまって活動しております。この後、そういうお話をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。
 本日、県からの出席は達増知事、そして盛岡広域振興局の佐々木局長でございます。よろしくお願いいたします。
 また、本日は県議会議員の皆様にもお越しをいただいておりますので、私の方から御紹介いたします。盛岡選挙区選出の上原康樹議員です。

上原 康樹議員
 よろしくお願いいたします。

小野部長
 吉田敬子議員です。

吉田 敬子議員
 どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 小林正信議員です。

小林 正信議員
 よろしくお願いいたします。

小野部長
 鈴木あきこ議員です。

鈴木 あきこ議員
 よろしくお願いいたします。

小野部長
 八幡平選挙区選出の工藤剛議員です。

工藤 剛議員
 よろしくお願いします。

小野部長
 滝沢選挙区選出のハクセル美穂子議員です。

ハクセル美穂子議員
 よろしくお願いいたします。

小野部長
 松本雄士議員です。

松本 雄士議員
 よろしくお願いいたします。

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
 若者と女性が描く魅力ある地域づくりに向けて

小野部長
 本日は、よろしくお願いいたします。
 次に、皆さまのお手元にお菓子と飲み物を準備しておりますので、お召し上がりながら懇談を進めていければ思います。まず、佐々木局長から本日のお菓子、それから懇談テーマを御紹介いただきたいと思います。是非、召し上がりながらお聞きいただければと思います。
 それでは、局長お願いいたします。

佐々木局長
 この丸い方(のお菓子)でございます。盛岡市の砂田屋さんで作られております「焼きドーナツ和み」でございます。このドーナツは、白砂糖を使わずに糖の吸収が穏やかなてんさい糖と、八幡平市麹屋もとみやさんの甘酒、そして八幡平市の山本養蜂場さんのはちみつで作られた、優しい甘さのドーナツでございます。皆様、どうぞお召し上がりください。
 それから、三角形のスコーンの方につきましては山本様から御紹介をお願いいたします。

山本 明子
 こちらのスコーンは、玉山地域特産の黒平豆を使っております。昨年12月19日に弊社の空き工房を使いまして、本日お話をするんですが、時間貸しの工房を作りました。そこの工房で6次産業化のサポートを始めたんですが、弊社、たまやま振興株式会社も地域のモデルケースになれるように、自社商品としてその地域の黒平豆を使ったスコーンを焼きました。
 昨日私が作成したものです。是非、よかったら召し上がってみてください。

佐々木局長
 召し上がりながらお聞きいただければと思います。
 続きまして、本日の懇談会のテーマでございますが、「若者と女性が描く魅力ある地域づくりに向けて」とさせていただいております。人口減少対策が全国的に重要な課題となっている中、盛岡広域振興局では、昨年ニューヨーク・タイムズ紙に盛岡市が選定されたことや、新型コロナが5類に移行し、圏域内の人の流れが戻ってきたことなどを契機といたしまして、今後、社会減対策として交流人口のさらなる拡大について、県央を始め全県に波及させていく取組の推進を目指しているところでございます。このため、日頃から盛岡圏域の地域活性化や観光、農業などの分野で活躍されている若者世代や女性の方々から、それぞれのお立場での取組を通じて、地域の魅力づくりでありましたり、その魅力の情報発信のあり方などにつきまして御意見を賜り、今後の県の施策の参考とさせていただきたいと考え、このテーマを選定したものでございます。本日は、限られた時間ではございますが、忌憚のない御意見を賜りますようよろしくお願いをいたします。

小野部長
 佐々木局長、そして山本さん、どうもありがとうございました。
 それでは、早速ですが懇談に入ってまいります。ここからは、局長から御紹介いただきました本日のテーマ、「若者と女性が描く魅力ある地域づくりに向けて」に沿いまして、現在の皆様の取組、それから課題、今後の方向、御自身の抱負や県への期待なども含めてお話を伺えればと存じます。
 先ほど御紹介いたしました順番で、まず坂田さんからお一人5分程度でお話をいただきたいと思います。お話をいただいた後、それぞれ知事の方からコメントをしていただくというような形で進めて参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、坂田さんお願いいたします。

坂田 雄平
 はい、よろしくお願いいたします。
 このメンバーの中で唯一、僕だけ具体的な「もの」を作っていないので、お見せするものが少ないのですけれども、今回は若者と女性ということなので、ちょっと若者だった時代のことを思い出しながら話をしていきたいと思います。上京して大学にいたころは、演劇、舞台芸術を学んでいたのですけども、初日教授から「この中にいる皆さんの中でプロになれる人間は十人に一人だけです。まずプロになるのは諦めてください。その代わり今学んでいる皆さんは、この後、地域に帰って、その地域の文化の担い手となる、そういった人材を作りたい」という話を、一番最初にガーンとされるわけですよね。僕はあまり気にならなかったのですけども、大半の生徒さんたちは、そこで希望を打ち砕かれて新しい道も考えなければいけない。「あなたたちのファーストベストは俳優かもしれない、もしかしたら作家かもしれない、だけれどもセカンドベストも見つけて欲しい」ということも続けて言われました。
 私がそのセカンドベストとして選んだのが、このアートマネジメントとかいうものです。その時はちょうど1999年か、2000年ぐらいだったんですけども、大きく社会も変化してきました。東日本(大震災)の前に、神戸の大震災があって、NPOとかが様々立ち上がったりとかした時代でした。そして文化に関しても、大きなターニングポイントの時期だったんですね。それより前の「文化」というのは、文化をしたい人たちのための文化だったんですね。ところが、この文化や芸術というその創造性、クリエイティビティをどのように地域や社会を活性化するのか、人が希望を持って生きるためのエンジンにしていくのか、そういう視点が重要なんだということをインストールされた、多分第1の世代だと思います。つまり「みんなは芸術やることだけが目的じゃないと、地域や人間を育てることのために、芸術も学びなさい」ということを言われた時代です。
 そのあと、私は大学の研究所にも行ったり、いろいろなことをしたのですけれども、旧自治省の外郭団体で、文化を通じた地域活動の事業に携わっていて、総務省の方とか、各地方自治体の方と一緒に仕事をさせていただいたんですけど、その時にびっくりしたのが、地域にいくと、文化格差が大きいということです。何となく教育格差とか福祉格差ってのは分かりやすい、だけど文化格差って見えないところで、めちゃめちゃあったんですね。具体的な文化格差って何かというと、3つぐらいあるんですが、一つは単純な文化予算もそうだったんですね。文化予算は、大体住民一人当たりにすると10倍ぐらい開きがあるんです。顕著だったのは助成もしてた財団だったので、全国から助成金の申請とかもくるのですが、まあ東北は出てこない。ほとんど審査の土俵にも上がってこない。で、「お前東北だろう、どうなっとんねん」と。「僕ちょっと高校までしかいなかったんで分からないです」とか言いながらも、これはもしかしたら逆に言えば、東北はまだこれからアップデートが可能な余地があるんじゃないかと気が付きました。
 その中で、東日本大震災が起こりまして、何かお手伝いしなきゃいけないということで、様々な形でお手伝いさせていただいたんですけども、最初に関わりを持った中で「三陸国際芸術祭」という、お手元にお配りした(資料の)中で、こういうタブロイドもちょっと入ってるものです。これに本格的に関わったのは、2018年からなのですが、その時に八戸市から陸前高田市までの各市町村と連携したプロジェクトをやろうと。ここでは、単に芸術祭をやることを目的にはせず、創造的な復興をする。つまり、復旧、復興をタダにするだけじゃ持続的な社会というのはつくれない。それよりも、この事業では民族芸能を扱うんですが、民俗芸能という世界に類を見ない価値を軸にして、創造的な視点で復興を図るということを第1の目標にしましょうということで今日まで続けております。
 こういった中で、(沿岸の)劇場の運営にも携わらせていただきまして、評価もしていただいたんですけれども、私も住んでいるのは盛岡で移住してきましたので、盛岡で行ってるプロジェクトというのが、今回このポスターもある「もりおか周遊舞台芸術祭」です。ちょうどニューヨーク・タイムズに取り上げられたってこともありましたので、歴史的建造物をうまく活用したプロジェクトが出来ないかと。ただ単に、見て回るだけだとそれは学習なんですよね。学習を観光に変えるためには、心が動くという経験が必要になってきます。ですので、心が動く体験をその場所で仕掛けるということを、一つのモデルケースとして行ったということです。心を動かすということに関しては、芸術の得意な分野ですから、どうやったら(地域)素材を観光に結びつけていくのか、そういった転換にも役に立つんじゃないかなと。お渡した(資料の)中に、カードが何枚か入っているのですが、単純にその施設の説明だけじゃなくて、裏に作家の人がそこであったかもしれないなみたいな、メモっていうかテキストを入れていただいてるんですね。これは、足を運んだときに、その場所でどんな歴史的な背景があったのか、どんな物語があったのかということを想像するための仕掛けとかも行っています。
 盛岡を中心に、沿岸でのプロジェクトもやってると申し上げたのですが、沿岸に観光しようと思ったら、めちゃめちゃアクセスが大変なんですよね。やはり盛岡など起点地域を作って、そこから移動するとか、様々なアプローチが必要だろうなというふうに思っています。盛岡でプロジェクトをやっていくにあたって、盛岡でやること自体も重要なんですけど、それが波及的に他の地域も魅力的にすることに繋がればなと思ってます。
 最後に、私たちの法人でやってるパンフレットの方もちょっとお配りさせていただいてるんですけれども、コロナ中は国の支援とかもいただきまして、文化拠点のほか様々なところで、約10万人の方に文化体験プロジェクトを提供してました。特に文化格差で、一番多いのが教育におけるクリエイティブ(メニュー)の格差というのが、首都圏と比べるとあります。ですので、私たちは子供たちに創造的な体験をしてもらう、エンドフリーな、答えがない教育の機会を設ける必要があると思い、年間約150回以上のプロジェクトを開催して、県内の子供たちに(芸術の)体験や鑑賞の機会などを届けています。
 簡単ではありますが、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。坂田さんから希望を持って生きていけるような、動きをつくるための芸術ということでお話をいただきました。「心を動かす」といったキーワードも出て参りました。知事の方からお願いいたします。

達増知事
 2000年頃からは、芸術が地域のためとか人のためとか、いわばプロジェクト化していくということなんだと思います。それによって、今まで地域の中で、その地域の外には全然知られていないようなものとか、人から人に伝わっていって、そこ以外には知られてない。また、日本の構造的な課題で、東京の一極集中が加速し、普通にしていると地方がどんどん廃れるみたいな流れの中で、日本は、やはり地方で保っている国であって、本来日本の持っている価値というのは基本的に地方に存在しているので、そこにお金や人材や、発表の機会がきちんとあるようにするという活動が出てきて、なるほど、一時東北はそういうことに乗り遅れていたという、何となく瀬戸内海の島のアートフェスティバルですとか、あの辺が象徴的で、何となく西の方で盛んになってきたというイメージがありますね。それで、ビエンナーレやトリエンナーレなど、日本のあちこちで行われるようになってきたわけですけれども、土着な芸術が、岩手を見ても地域に根差していたがゆえに、そういうプロジェクト型の発展、そういうところに行かなきゃというのは、やや遅れたのかもしれないですけれども、「三陸国際芸術祭」のように、そういうプロジェクトの枠組みの中で、今までできなかったような発展ができるようになるので、これはどんどんやっていきたいと思います。
 ありがとうございました。

小野部長
 ありがとうございました。
 様々な活動の起点としての盛岡、そしてそれを他の地域へ波及するといったことも、県央圏域としての役割なのかなというようなこともお聞きいたしました。
 それでは続きまして、猪又さんお願いいたします。

猪又 裕也
 改めまして、旅する羊の猪又と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほども触れさせていただきましたが、私は、この旅する羊っていう屋号で、目の前に置いてあるようなホームスパンの製作販売を、一つは軸に行っております。ホームスパンというのは、簡単に説明させていただきますと、羊毛を手で紡いで糸にして、それを手織りをするっていう工芸品でウールの織物なんですけれども、岩手県に100年以上続いている工芸品でございます。明治時代に入ってきて、そこから人から人へと、手から手へと脈々と受け継がれて、今に続いておりまして、戦時中にウールの輸入が各国の制裁によって禁止されて、自国生産しなきゃならないっていう政治的な背景をもとに国が後押しをして、国の政策としてホームスパンが全国的に推し進められて、一時は全国の、もうどこでも作っているようなものになったんですけれども、その後、高度成長期の時代になると、各地では廃れていきました。その中で岩手県は、県の補助がかなり手厚く入りまして、個人では買えないような高額な仕上機を、県の予算で導入していただいたことで、生産性ですとか質が飛躍的に向上して、またそれによって、産地として根強いものになったっていうことで、職人の方のなりわいとしても定着していって、その土台があったからこそ今に続いているっていう、県政の協力っていうのもかなり大きく、今のホームスパンに影響を与えていたという歴史があるようでございます。
 その中で、私は千葉県の船橋市から2018年に移住してきたわけなんですけれども、移住のきっかけは妻でして、妻の祖父母、おじいちゃんおばあちゃんの家が今住んでいる雫石の家になります。もう10数年前に亡くなって空き家になっていたんですが、妻がその幼少期を過ごした雫石の印象がすごく良かったようで、いつか住みたいっていうふうにずっと思っていたそうで、出会ったのは東京だったんですけれども、お付き合いしていく中で雫石に住むっていうことがだんだんと選択肢として上がってきた中で、雫石町が地域おこし協力隊の募集をしておりまして、それをきっかけに二人で、雫石町、岩手県に移住して参りました。その移住が決まってから、私の場合は岩手のことを、雫石、盛岡広域のことを改めて調べていましたら、そういったホームスパンがあるっていうことを移住が決まってから知りまして、私は大学時代、服飾の大学に通っていて洋服を作っていたりする経験もありましたし、新卒でアパレル企業に勤めて商品企画をしたり、バイヤーをしたりっていうような経歴もございまして、そういった点で、繊維に対する愛着ですとか、近い距離っていうのはずっと持っていて、趣味で服づくりを続けたりっていうこともあった中でのホームスパンとの出会いっていうことで、ただ出会ったわけではなくて、アパレルに勤めていたのが4年間だったんですが、その4年間の中で気づいたことっていうのは、服飾大学時代は自分の手で作っていたと、それが自分の手ではなくて仕様書で洋服を作るようになって、納品されて販売して、または在庫になっていくっていうようなビジネスの中での関わりになったところで、自分自身が自分の手で作るのが好きだったんだなっていうことに改めて気づかされまして、それで、いろいろ人生を考えるようなきっかけにもなってアパレルから離れたんですけれども、その時はまだホームスパンを知らなかったので、こういう道に進む選択肢はまるでなかったんですけれども、移住をきっかけに、手仕事をいまだになりわいにして飯を食っている人がいるっていうことに衝撃を受けまして、まさしく自分がやりたかったのはそれだと、それができないから繊維業から離れたわけであって、それで飯を食っていける、もともとウール好きだったので、自分の好きなようなウールを糸からデザインして、手で紡いで布を作っていくっていう、それが歴史の話じゃなくて今現在行われているっていうことを知って、もう絶対やりたいなっていうふうに、その時インターネットの画面越しに思って、移住は2018年2月でしたけれども少し前倒して、観光ですけれども盛岡にちょっと足を延ばしまして、2017年の暮れ頃、盛岡にある中村工房さんに前もって連絡をして、是非見学をさせて欲しいということで見学にお邪魔しました。その時にホームスパンの風合いはもちろん、すごくホッカイロとかそういう暖かさじゃなくて、なんかすごく優しい温かさ、体温のような温かさにすごく感動したのを今でも覚えていて、かつ、御存じの方は分かるかもしれませんが、中村工房の御家族で経営されているあったかい雰囲気、建物ももう築50年以上経っている歴史のある建物で、その建物が出す優しい雰囲気っていうところにも、もう本当に心を奪われてしまって、その時に、心はほぼほぼ決まって固まっていたんですけれども、その見学させていただいた中で、糸紡ぎをちょっと体験してみますかっていうふうに言っていただいて、是非っていうことでやらせていただいたんですが、その時に紡毛機(ぼうもうき)という糸を紡ぐ道具を、足踏み式の物なんですが、そのペダルを踏んだ瞬間に、もうこれだと思って、これをなりわいにしたいっていうふうに、もうその時心に決めて、今に至っているわけなんですけれども、2年間地域おこし協力隊をやらせていただいて、その間は、中村工房さんにお休みの日ですとか空いた時間に通って、技術を1から教えていただいて、2020年の4月に協力隊の退任と同時に起業をして、歩み始めたという次第でございます。
 そういう点では、私の場合は本当に活動の軸が自分の感動であったり、それを多くの人に伝えたいっていうところが発端になってまして、そういう意味では、移住してきた人間にしては、もしかしたら珍しいかもしれませんが、震災とか復興っていうものに、端を発していないっていうところは少し新しい切り口なのかなとは思うんですけれども、その中で、もちろん自分で紡いで織ってっていう実際に作って販売するっていうこともやっていますし、そちらが一番の軸ではあるんですけれども、いろんな角度からホームスパンを好きになってもらいたいなっていうふうに思って、やっぱりこう一般的に見たらホームスパンとの接点って売り買いする、店頭での接点がほぼほぼだと思うんですけれども、私が感じたのは、やっぱり生産現場である中村工房さんでの温かさっていう人の温かさっていう感動ですとか、岩手県内には、盛岡、滝沢、雫石に(羊は)居ますし、西和賀にもいまだに羊を飼って畜産をされている方もいらっしゃって、そのうち羊飼いの方から毛を分けていただいて、ものづくりをするっていうこともありますし、そういった全くゼロの状態から製品ができ上がるところまでを、この盛岡の県内で見てとれるっていうのは、すごい貴重なことだなっていうふうに思っていて、やっぱりそういった現場を見ることで、私自身も理解が深まったこともありますし、この文化の尊さというか素晴らしさ、魅力っていうところもそこに詰まっているなっていう私自身の経験もありまして、そういった部分を見聞きして、自分の肌で感じていただく機会があれば、もっとホームスパンを違う面からも好きになっていただけるんじゃないかなと、それが、より根強いファンの獲得に繋がり、ゆくゆくは市場の拡大にも繋がっていくんじゃないかなというふうに思いまして、それがきっかけで旅行業というものも、地域限定の旅行業って一番種別としては小さいものなんですが、その免許を取りまして、達増知事のお墨付きもいただいて登録がなされてるわけなんですけれども、その中で実際、例えば中村工房さんのような老舗の工房さんに見学に行ったり、羊の牧場に見学に行って羊に触れたりとか、糸紡ぎをちょっと時間とって体験していただくっていうような、体験ツアーを制作しまして、そちらがお配りしたチラシ、A4の見開きのチラシなんですが、ツアーのチラシになっております。なかなかお安い金額ではないんですけれども、プライベート型で1回に1組限定で、車も全部こちらで手配して体だけ盛岡に来ていただければ、コースを回っていただけると、それに加えて多くの糸紡ぎの体験というのは自分で糸を紡いで終わりだったりするんですけれども、その糸を私がお預かりして、私が職人としてマフラーに織って、後日お届けするっていうところまでをセットにして、より旅の思い出が深いものになるような旅行商品にしたいと思ってお作りしました。そういった活動も認めていただいてというか、取り上げていただいて、もう1部(資料)、「きっと知らない冬がある、いわて。」ってこちらのチラシに載ってますが、これJR東日本さんが、1月、3月期で岩手県を重点販売地域に指定して、観光面でプッシュしてくださっているキャンペーンなんですが、その中で体験として取り上げていただいております。少しずつではありますけれども、このホームスパンというものを多くの人に知っていただいて、次の世代にしっかりと、この文化をつないでいきたいという思いで活動をさせていただいております。長くなってしまったんですが、ありがとうございます。

小野部長
 はい。ありがとうございました。岩手県雫石町でやりたかった手仕事を見つけて、そしてさらにそれを体験ツアーにつなげているといったお話を伺いました。知事からお願いいたします。

達増知事
 よくぞホームスパンを発見していただきました。そして、それをなりわいにしていただきまして、誠にありがとうございます。
 環境問題的に、今世界のアパレル業というものは製品が売れ残って、また流行遅れになった物を容赦なくどんどん捨てていて、それでいいのかということが指摘されていて、環境問題の中の一つの柱になっているところがあると思うんですけれども、その正反対の生産や消費の仕方であり、非常にいいんじゃないかなと思います。そして、羊は見ていると癒されます、1匹でも癒されますし、たくさんいても癒されますので旅行にも向いているんだと思います。なかなか良い値段のツアーで、こういう良い値段のツアーが岩手県でどんどん増えていくことが望ましいので、これが「しあわせな予感・いわて冬旅キャンペーン」にも採用されたというのが非常に良かったと思います。
 是非、この調子で発展することを期待いたします。ありがとうございました。

小野部長
 それでは、次に工藤さんからお願いいたします。

工藤 朋
 よろしくお願いします。
  弊社は1829年に創業して、岩手で日本酒を作ってそして岩手で売っていこうということで、県内での販売の割合は99.9%という、そういう小さな酒蔵でございます。
 幸せがテーマということですけど、私はやっぱり岩手で酒造りができることは非常に幸せだなと思っています。それは何かというと、やはり一番は自分たちの活動が、何かしら結果をもって現れるっていうのは多分1番の幸せじゃないかなと思っております。岩手県の場合、それは南部杜氏の技術であったりとか、岩手県工業技術センターによる技術的なバックアップがあったりするなどして、まず一つはそういう理論的な裏付けというようなものがしっかりあるということが一つ。そしてもう一つはやはり地域の酒蔵のそれぞれが、自分たちの地域で取れるお米でお酒を作ろうという気持ちに切り替わってきたというところが大きいのではないかなと思います。
 2013年ですかね、平成25年に私ども初めて岩手県で開発された「結の香」という、お米、酒米がありまして、それでお酒を作りまして、それを全国新酒鑑評会に出品したところ金賞を取ったんですね。岩手のお米で、全国新酒鑑評会で金賞とるなんて、それまで誰も思ってなかったんですけども、やればできたじゃないか、鷲の尾という会社のお酒は、それまではそれほど鑑評会で賞をとるというような蔵じゃなかったので、ただ他のお蔵さんも、鷲の尾が取れるならうちも取れるんじゃないかと思ってくれたと思って、今では9つの蔵が「結の香」で金賞を取ったことがあるという、そういう県になっております。おそらく全国見渡しても、これだけ多くの蔵が自分たちの県でとれたお米でお酒を作ろうという気持ちになってる県は珍しいのではないかなというふうに思っております。
 そういう雰囲気である、この岩手県のお酒造りができるということは、とても幸せだなと思っておりますけれども、昨年は、9月25日に「GI岩手(地理的表示岩手)」という形で、地理的表示で岩手の日本酒というものが認められました。これは、特性としては口当たりが柔らかで、米由来の豊潤な旨味を有する、また青竹や新緑のような爽やかな香りが感じられるお酒ということで、「GI岩手」というものを定義しております。中でも、岩手県のお米で造られて、麹菌あるいは酵母を岩手県で開発されたものを使ったものについては、特にGI「オールいわて(清酒)」という形で、さらに上位のお酒として認めようということでルールが決まっております。他の県に行きますと、この「オールいわて(清酒)」のようなお酒というのは、例えば兵庫県産の山田錦で造ったお酒に比べると、ちょっと劣るという評価になりがちなんですけれども、岩手県の場合は、そういうところは心配なくて、岩手の原材料で造っても良いものが造られているというところが証明されております。昨年の全国新酒鑑評会では、岩手県は7つの蔵が金賞を受賞しておりますけれども、そのうち5つの蔵は、岩手県産米を使って受賞しています。山田錦を使ったお蔵さんが2蔵、それから「結の香」を使ったお蔵さんが3蔵、そして「吟ぎんが」という、これは平成10年に一番最初に岩手県で開発された酒米ですけど、これでも2蔵が金賞を受賞するということで、非常に多くの選択肢を持って、原料米を選んでいろんなお酒を造れる、そういう力を持った県だということが示されて、それがGI「オールいわて(清酒)」の評価にもつながっていくのではないかなというふうに思っております。
 そういう品質面では、非常に自信を持っているお酒でございますけど、やはり情報発信というところではちょっと心もとないところもあります。特に日本酒の市場っていうのは意外とニッチで、ここをどう広げていくかということが課題ではないかなと思っております。今の弊社始め、岩手県の酒造組合の青年部青年醸友会で企画をしてるのは、少し他の業界とコラボをしながらそのファンを広げていけないかということを考えております。これは、例えば知り合った人でも、共通の話題とか出身地とか、好きなものとかそういうものが重なると、本当に身近に感じていただけるのじゃないかなということで、他の分野のものとコラボすることで、自分たちのお酒をより身近に思っていただける、そういうことが起きるんじゃないかということを期待して取組を行っております。その先駆けとなったのは、2020年に沼田真佑さん原作で、大友啓史監督による「影裏」という映画が放映になりましたけれど、それとコラボした日本酒はこちらのお酒で(展示物)、このお酒を発売させていただいて、これがすごく話題になりました。そこから最近だと、さいとう・たかをさんの奥様が実は盛岡市の御出身ということで、岩手のお酒とちょっとコラボをしてはどうかということで、ちょうど1月に受注を締め切ったんですけれども、3月にこれから発売する「ゴルゴ13」とコラボしたお酒というのも、今御用意しております。これらは弊社独自で行った取組ですけれども、青年醸友会(岩手県酒造組合の青年部)が、地元のクリエイターの方と一緒にお酒を造ってみたいということで、2023年は、森優さんというイラストレーターさんがいらっしゃいます。「盛岡という星で」などの企画で大活躍されてる、今本当にお忙しいクリエイターなんですけれども、その方に日本酒のラベルを描いていただいて、今回お持ちしているのは弊社のお酒だけなんですけど、7種類そろうと、お米作りからお酒になるまでが一つのイラストになるような、そういうイラストをラベルにした商品というものを発売しております。今年2024年は、さらに別のクリエイターの方とコラボしようということで、作家のくどうれいんさんと一緒になって、くどうれいんさんの短歌、お酒(の銘柄)と雨をテーマに短歌を詠んでいただいて、その短歌で私たち岩手の日本酒の魅力をお客様に届けたいという取組をこれから始めるところでございます。お手元にプレスリリースの資料を配布させていただいておりますので、後で御覧になっていただければと思います。
 こういった形で、岩手県の良いお酒というものをお客様のところにどう届けるかというところを、今模索しているところでございます。あと弊社独自の取組としましては、これはお手元にポストカード状の小さいカードをお配りさせていただいておりますけれども、2010年から蔵開きを行っております。私たちの蔵開きは、単に日本酒を召し上がっていただく、手に取っていただくための蔵開きではなくて、お酒を飲むための酒器を作ってくださってる地元の作家さんと一緒に蔵開きを行っております。今月23日から25日の3日間、2月の最後の金土日に行うというふうに決めておりますけれども、漆器であるとか、陶器とか磁器とか、すごく魅力的な作品で私たちが造る鷲の尾を召し上がっていただくと、より一層美味しく召し上がっていただけるのではないかということで取組を行っております。お酒だけでももちろんすてきですし、酒器だけでもすてきなんですけれども、やはりその魅力的なものは組み合わせることによって、より一層この岩手らしさというものを訴えることができるのではないかなというふうに考えて、このような取組を行っております。こんな形で、物はいいけれどもなかなか情報発信ができないというところを、いかにクリアしていくかというところが、今岩手県の課題ではないかなというふうに思っております。

小野部長
 ありがとうございました。岩手県のお米にこだわった酒造り、情報発信がこれからの課題といったお話をいただきました。知事からお願いいたします。

達増知事
 ありがとうございました。なるほど、物は良いけれども、それがなかなか知られないというのは岩手県全体の構造問題のようなところがありまして、お酒について、そういう問題意識で様々なコラボで情報発信、そしてその情報が広がっていくというのを、うまくやっていて非常にいいなと思いました。まず物が良いということがあるので、いろいろ新機軸とか今までにないようなことをやっても、それが空回りすることなく、うまく浸透していくんだと思いますので、そういうところに、県産酒米の「結の香」、「吟ぎんが」などを使ってもらってることは非常にいいなと思います。
 GI「オールいわて清酒」というのもせっかくありますから、麹や酵母、そしてお米のフルセットで岩手のお酒ということで、どんどん広めていっていただければいいなと思います。
 それから、短歌や漆器もそれぞれ岩手県が全国有数、クオリティの高いものがありますので、そうした相乗効果というのもかなり大きいと思いますので、順調に進むことを期待いたします。
 ありがとうございました。

小野部長
 それでは、最後に山本さんからお願いいたします。

山本 明子
 はい、よろしくお願いします。
 私は、2022年の4月から盛岡市地域おこし協力隊として、委託型の協力隊員として、玉山地域にありますユートランド姫神という(盛岡)市の総合交流ターミナルをベースに活動を始めました。そこでの活動テーマが、ユートランド姫神の利用促進と地域の商品開発支援というものだったんです。商品開発をして地域を盛り立てようと思ったときに、「どこで」っていうことになりまして、開発をしたくても開発する場所がなかったことから、いろんなことを調べ始めました。地域の生産者さんたちとお話させていただき、「いや、私たちも6次産業化にチャレンジしたいんだけどね、いろいろセミナーとかに出ても言われてることよく分かんないし、どっから始めていいかも分からない、誰に相談していいかも分からなくって、結局やってないんだよ」っていう方が結構いらっしゃって「そうなんですね、私も何か商品開発したいんです。皆さんの生産物を使ってやらせていただきたいんですけど、ちょっと場所がね」っていう話で着任した1年目は過ごしました。
 そして、私もいろいろなセミナーなどを受けて、自分なりに地域のことを学習しまして、(6次産業化を)サポートできる工房があったらいいんじゃないかと、全部ひっくるめてサポートしちゃったら、皆さんのためにいいんじゃないかなっていうことで、お手元にお配りしてありますチラシがあるんです。「チャレンジ工房つなぐ」、これは、菓子製造業の許可をとっているので、菓子工房になります。時間貸しの(レンタル菓子)工房を、拠点でありますユートランド姫神で使っていなかった食工房を使い開業いたしました。この工房は、相談からテスト販売、販路開拓やブランディング、すべてのことをサポートします。工房の「アドバイザーは誰」って言われて、「私です」という感じなんですが、私が一人で全てができるわけではありません。私が盛岡に来てから知り合った専門家の方ですとか、知識を持った方とか、協力してくれる方の中から、この方とこの方を一緒にすると新しい化学反応が起きて、良いことがあるんじゃないかという方々をつないでいけるという意味も込めまして、「つなぐ」という工房をしております。基本的に必要な機材を、協力隊の活動費から導入させていただきまして、リースでスチームコンベクション(オーブン)であるとか、業務用の冷蔵庫とかといったものを入れて、皆さんが、プロとしてやれるんじゃないか、何か体験するだけでも楽しいかもと思っていただけるような工房として運営をしております。また、去年の12月19日にオープンしたところなので、相談に来てくださる方はいらっしゃるんですが、まだ(市内近郊の)イベントも始まっていないので予約とまでは来ていないんですが「春になったら、イベントが始まったら是非使いたい」というお声はたくさんいただいております。
 また、この6次産業化というのは、地域でいろいろ皆さん活動に悩まれているところもあるようで、自治体の方から「同じような工房をうちの地域でも作りたいんですけど」というお問い合わせをいただきまして、ノウハウの御紹介もさせていただいております。
 この工房を使いまして、私は地域おこし協力隊ですので、盛岡市全体を丸くつないでいきたいと思っております。私の活動している玉山地域だけでなく、簗川地域というところがありまして、そこで協力隊員が手作業で蕎麦を作っております。そこの蕎麦を活用して、蕎麦粉のプリンなども作っております。同じように資料を配布させていただいているんですが、黒平豆のスコーン以外にも、蕎麦粉のプリンというのも販売いたしております。簗川で取れた蕎麦粉で(プリンを作り)、上に乗っているのがこの蕎麦の実を私が焙煎して蕎麦茶を作り、その蕎麦茶でわらび餅を作ってトッピングしております。とろっとしたプリンと、ちょっとチュウイー(こしのある、歯応えのある)、な感じのわらび餅と、食感が違うもので楽しんでいただくというものです。この間に入っているのが、某有名お団子屋さんのみたらし餡を、アドバイザーの方から直伝していただきました。ちょっと甘じょっぱい感じが間が入っておりまして、美味しくいただけるという商品になっております。毎週木曜日に販売をしておりますので、もし皆さん機会がありましたらユートランド姫神の方に来ていただいて、そこの産直でお買い求めいただければと思います。
 こういった商品ができたことで利用促進も図かれて、私の活動テーマに沿った活動ができているんじゃないかなと思っております。私一人ではできないんですけれども、私は人をつないでいくのが、自分の役割ではないかと感じています。もともとコーディネーションのようなものが得意で、退任後はできたら地域コーディネーター、もしくは地域プランナーとして、盛岡市を中心に岩手県で活動できたらなと思っております。私の活動は以上です。よろしくお願いします。ありがとうございました。

小野部長
 ただいま、山本さんの方からつなぐといったお話を、そしてそれをさらに広げていくというお話を頂戴いたしました。知事の方からお願いいたします。

達増知事
 ユートランド姫神にはお風呂に入りに行ったことがありまして、その時に非常に広い調理施設があるなと思って印象に残っておりましたけれども、良いところに目をつけられたと思います。そしてスコーンをいただきましたけど、何もつけなくてもおいしいですね。何もつけなくてもぐいぐい食べることができて、バターや黒平豆の効果、黒平豆がなければこうはならないので、黒平豆の甘みもあってぐいぐい頂けるということだと思います。こういうのがどんどん作られていくというのはいいですね。
 なるほど、黒平豆や簗川の蕎麦が、こういうスイーツとしてすごい可能性があるというのは、今回新しく気が付いたところでありまして、時間単位で利用できる貸し工房だからこそ、いろんなものを試してみることができるというのが大きいんだと思いますね。お菓子、スイーツというのは本当に生活を豊かにし、ウェルビーイングを高めるものなので、売ってお金を稼げれば、なお結構でもありますし、そういう経済的に成功する路線もあれば、まず社会的に人と人をつなぐために、お菓子で良い時間を過ごすというような、そういうこともありますでしょうから、それを開発の段階から集まってやったりできるのは非常に良いことなんだと思います。オープニングはテレビのニュースで見ました。グッドアイデアだなと思ったことを思い出します。ありがとうございました。

小野部長
 はい、ありがとうございました。皆様からお話を伺いました。それぞれ異なる分野で活躍されているわけですけれども、お話を伺いまして、岩手県に古くからある、例えば伝統文化であったり、すばらしい素材、技やあるいは生活文化、そういった岩手県にあるものをベースとしつつ、そこに新たなものを加えて訪れる人、住んでいる方々の感動を呼び起こす、心を動かす、あるいは動きを作っていくというような皆様の活動なのかなと思いました。
 また、その他の分野とのコラボであったり、つなぐであったり、そういった付加をすることによって、新たな価値が出てくるのかなというふうにお話を伺ったところでございます。
 ここで、45分ぐらいまで時間がございますので、まだ言いたいなということもあるかと思います。皆様から何でも結構でございますので、お話をいただければと思います。いかがでしょうか。では、坂田さんどうぞ。

坂田 雄平
 はい、よろしくお願いします。
 すごく岩手って、盛岡に僕が戻ってきて、すごく手触りが確かな本当にすばらしい地域だなと思うんですね。さっき知事もおっしゃったように構造的に、発信が苦手というか、謙虚な県民性というのも、これも何かを大切に守るためにはとても重要な精神性なんだろうなと思ってはいます。ただ、若者と女性という未来に向けて考えたときに、ちょっとどうしたらいいかなと思う部分もあります。
 例えば、僕は劇場でも働いてるんですけど、西の方の劇場では、劇場にはいるけど劇場の中のことだけやっているわけじゃない。動物園行っていろんなプロジェクトを作ったりとか、航空会社や鉄道会社、船会社とかと観光プログラムを、より感動的にするようなことをやりましょうとか、サッカーチームの応援のプロジェクトを一緒に作って、それを(市内の)幼稚園児たちに教えるとか、(文化が)こう一体的な横断的な役割を果たしていた。(岩手県に)来て思ったのは、本当に「ここ」は「ここ」だけとなるんだなと、すごい大変だなと思ったんですよね。若い方にも出会ったんだけど、みんな東京出ちゃうんだよね。何で出ちゃうのかっていうと、特にクリエイターとかアーティストとなると岩手には進学先がない。だから、イノベーションを起こせそうな、あるいはセカンドベストとして新しい価値を創出しそうな人間が不足していく。アーティストを目指しても大半は挫折する。でもその人が新しいイノベーションを起こす産業のけん引役になってくるんですね、大体の地域って。「アーティスト目指してたけどできないから、ちょっとごめん、デザインの方に行くよ」とか、あるいは「新しいプロジェクト作るよ」とか、「これナビゲーションするよ」みたいなことがあるので、どういうふうに、この若い人をこの岩手に吸引する仕組みを作れるか。
 一つは学びの環境だと思うんです。新しいクリエイターへのスタートアップってすごく増えているのですけど、岩手ではまだ(十分に)ないので、スタートアップへの投資、若い人たちへの投資をしていく。特に明らかな効果を生むかどうか分からないことに対する投資ということも今増えていて、そこには教育的な投資という意味合いがある。そういうことを高らかに、ここは若い人もアーティストも女性も希望を持って暮らせますよということを表明することがとても重要。県民に対してはもうちょっと謙虚な説明をするけど、外の人には「京都も、盛岡も、東京から新幹線なら同じ時間で行けるよ」、「盛岡に行きませんか」とか、新しいその切り口を変えて伝えていく、確かなものを持っている町だからこそ切り口を変えて伝えていく、あるいは希望を持てる仕組みが要るんじゃないかなと思うんですね。
 よく思うのは、この20年間でとても社会って変わったと思うんです。価値観も変わったし、20年前許されなかったことがオーケーになったりとか、さらにAIとかも入ってきて、おそらく次の20年間は、もっと変わると思う。でも(社会の)仕組みは20年間変わってなかったりするんですよね。つまり、同じ20年間を繰り返せない20年間がまた来るんだけど、仕組みはどうしても動かないという課題を抱えていて、それは民間人もそうだし、行政マンとして働く人たちも、その苦しさすごい抱えてるなっていうのは思うんですよね。本当はブレイクスルーできるのに「だけどこういろいろあって、、、」みたいなことがある。その時にすごく重要になってくるのが、さっき言った学びの大学とかもそうですけど、あとはコロナ以降、中間支援(の役割が)すごく増えているんですよね。なぜかというと、社会が変わったときに、急に既存の仕組みだけだとチェンジできない。だから、そのバッファーとなるような仕組みを(新たに)作って、そこを実動させることによって残すものは残し、既存のものでも衰退させ、発展させる。そういう社会的なバッファーの機能をどんな風に作っていくのかが、すごく重要になってくるんじゃないかなと思っています。僕は「アートの人」という感じに見られがちなんですけども、どちらかというと、どうやったら私たちが生きるための活力を得られるのか、もう背水の陣で挑まなきゃいけないという、この切迫感をうまく希望に変え転換していくことができるのかということについて、今日出会った皆さんと考えていきたいと思っています。

小野部長
 ありがとうございます。非常に、重要なポイントをお話しいただきました。価値観が変わる中で、仕組みがなかなか変わらない、そういった中でブレイクスルーするためにはどうすればいいのかといった意味での社会的バッファー、これは誰が担うのか、行政なのか中間的な民間の方々なのかというのもあるかと思いますが、非常にここが重要なポイントかというふうに思います。
 今のお話を踏まえてでも結構ですし、言い足りなかったことでも結構です。それでは、猪又さんお願いいたします。

猪又 裕也
 ありがとうございます。今、坂田さんのお話にあったような時代とともにその社会の仕組みであったりとか、AIっていうものが発展してきて、加速度的に進化している今の現状とかっていう、すごいスピードで変わっていく中で、そういったテクノロジーを取り入れることももちろん重要ではあるとは思っていますし、それをどう取り込んでいくかっていうところがポイントになってくるかと思うんですけども、その中で、岩手にはすごいぶれない資源、魅力っていうのがゴロゴロ転がってるなっていうのは外から入ってきた人間としてはすごく感じるところで、その一つが、もちろんホームスパンでもありますし、鷲の尾さんのようなお酒造りでもそうでありますし、さっき御紹介いただいてました、酒器を作ってる、漆器を作っている作家さんですとか、木工の作家さんとか、AIとか無形のものがどんどん幅を広めていく中で、どこまでいっても物質的な、どこまでいっても有形の資源っていうのが、岩手には歴史を含めて、たくさん転がっているっていう、すごく恵まれた状況だっていうふうに僕は感じていて、私自身、自分の頭に中にあるようなアイデアをこういった形にしていく、手で何か物を作って作られた物が、人の手に渡っていくっていう、この羊毛が旅をしているようだなと思ったのが「旅する羊」って名前の由来ではちょっとあるんですけれども、それって自分の手から生まれた物をお酒もそうだと思うんですけれども、そういったものづくりで勝負できる、それをなりわいとするという選択肢が岩手にはあるっていうのがすごく一つ強みだと思っていて、私が活動していく中で、すごくそこは共通項だなというふうに感じていて、いろいろな分野のものづくりはあるんですけれども、全てに共通しているのは自分の手から、自分の思いを形にして販売していく、それをなりわいにしていくっていうところだと思っていて、そこってすごく岩手らしいなと思っていて、それをどうにかこうプッシュできないかなというふうに僕は感じていまして、やっぱり自分の手で物を作る、それを認めてもらって、対価を払って受け取ってくださるっていうのは、もう本当にこの上ない幸せであって、昨今SNSでよく耳にしますけれども、承認欲求っていうのをそういうところで代替するのではなくて、まさしく自分が作った物を認めてもらえるっていう、何よりの承認欲求を満たすものでもあるんですけれども、承認要求を満たすためにやってるわけではないんですが、そういった意味で物を作って売るっていうこと自体は、すごく幸せとか心の豊かさっていうものを醸成していく、すごいツールだなというふうに思っていて、この物質的なものづくりっていうものをやっている、工芸さん職人さんっていうのは岩手にはきっと多いと思いますし、それをなりわいにしていけたらどんなに楽しいだろうというふうに悶々としながら、関東で働いている同級生なんかもいたりしますので、そういったところをバックアップしていただけるような政策であったりとか、岩手県全体として、例えばですけれども、「岩手県は手仕事県です」のような形で、手仕事をなりわいにしていける可能性のある県だよって、実際、僕が独立、起業してみて感じた一つの大きなネックになったポイントっていうのは、今までずっとサラリーマンをやっていたわけでして、例えば健康保険ですね、会社と折半で払っていたものを、個人事業主になるので全額自分で負担するようになるその負担感の大きさとか、税金が今まで天引きされていたものが自分で納めるっていう、額的には変わらないかもしれないですが、改めて目の当たりにする重さというものをすごく感じたりもします。またですね、今全く一人で作業しているので、もう一つ手があればなと、二人チームでやれたら2倍3倍にもなって、効率的になっていくなんていうところで、人を雇っていくとか、そういった成長をしていくっていうところでのバックアップ、例えば、突っ込んだ話になりますけれども、そういった手仕事をなりわいにしている人に対して税制的な優遇があって、大きな企業さんの企業誘致なんかの個人版というようなイメージで、いろんな面での、そういった補助的なバックアップを体制として整えていただけると、例えばですけれども、何か手仕事をなりわいにしたい、どこでやろうって選択肢がいくつかあるような方の場合、そういった優遇があるのであれば、じゃあちょっと岩手でチャレンジしてみようかなっていうことで、移住のきっかけにもなったりすると思いますし、そういったものが定着していって、どんどん活躍するような作家さん、各分野の作家さんが生まれることで、県としての手仕事に対するブランド力っていうのも高まっていくと思うので、自分一人の力ではなかなかそれは難しいんですけれども、そういった部分で行政の皆様の力を借りながら、ブランディングっていうものをできていけたら、また一つ大きな魅力として可能性が広がっていくんじゃないかなっていうふうに、ちょっと普段感じながら活動していましたので、お話させていただきました。

小野部長
 ありがとうございました。工藤さん、いかがでしょうか。

工藤 朋
 そうですね、坂田さんが最初にちょっとちらっとおっしゃっていた、「芸術系で学んだからといって、必ずしもみんな俳優とかになるわけじゃない」っていうのは、その考え方ってすごく大事だなと思いながら聞いていました。よく理工系人材が、岩手県では採用先が少ないんだって言われますけど、いやそんなことはないぞと私は思ってます。
 例えば、物を作る仕事をしていると私どものような伝統的な酒造りであっても機械を使わない仕事をするってことはありえない時代なんですね。なので、そういう機械の保守をしたりとか整備をしたり、あるいはもっと使いやすくしていくためには絶対に工学系の人材ってのは必要なんですけれども、工学系の仕事だけで何とかしていこうと思うと、多分就職先がないように見えると思うんですね。なので、自分がやりたいことをするための、何か専門技術だったり、専門知識なんだっていう思いで若者が学んでいくと、自分は機械を勉強してきたけど、お酒造ろうかなとか、ホームスパンやろうかなとか、漆塗ってみようかなみたいな選択肢も、もっともっと出てきていいと思うんですね。なんか、そういう将来に希望を持てるような若い人たちの背中を押してあげられるようなことができたらいいなと思います。やっぱり、どんどんレベルの高いところに行くと、すごい人がたくさんいるので、行き詰まる人って出てきちゃうんですよね。行き詰まってドロップアウトしてしまうのは本当にもったいないので、駄目だなと思ったら、ちょっと方向転換しようって思えるような、そういう人たちの受け皿になれるような岩手県というものを目指すと、非常にいい人が集まって、県も盛り上がるんじゃないかなと思いました。

小野部長
 ありがとうございます。山本さん、お願いいたします。

山本 明子
 皆さんのお話を伺っていて、私はどちらかというと農業系のものに今関わって、6次産業化(支援)をやっているんですが、でも私がなりたいのは、どちらかというとイノベーター(革新者)みたいな新しいことをやる人なんです。私がここに来て一番始めに書いた事業計画に、「(たまやま地域)盛岡まるっとオレゴン化計画」っていうのがありまして、それはですね、もともと学生時代をずっとオレゴン州というところで過ごしました。御存じの方はポートランドと聞くと地産地消で有名で、イノベーションの進んでいる地域なんですけれども、とても盛岡が似ているんです。山があって、すぐ近くに大きな町が存在して。そういったところで地産地消でイノベーションを起こして新しいことやっていきたい。 農業のことを考えると日本って何て自給率が低い国なんだろうって。(以前から)岩手県はすごく何でも取れるのに、すごく環境がいいところなのにもったいないなって思っていたんです。そういったことがあって、こちらに来て何かしてみたいというのが地域おこし協力隊になったきっかけにはなっているんです。
 私が一番始めに協力隊の面接で話したのは、それぞれこの県内市内でたくさん若い方とか新しい方が入ってきて、素敵なことを始めている、ただみんなそれが今は点で、私はその点を線でつないで、輪にしたい。それで地域を盛り上げたいとお話をしました。すごく大きなことを言ってしまうと、岩手県は「いわて国」を建国して、何か岩手県でいろんな体験ができる、ここに来るといろんなことがチャレンジできるよみたいな企画をしてみると面白いんじゃないかと思っています。地産地消の中にはフードロス問題とかもあるので、今後自分でも、B級品などで商品化できないような作物を買い取って、お菓子ですとか惣菜ですとか、そういった加工品に変えていくっていうこともやっていきたいなって思っています。また、全然違う業態のものとコラボさせて新しいこともしてみたいと思っています。そういった中で、若者の人材育成じゃないですけど、(思いや技術・経験を)つないで楽しく岩手県で暮らしていけるみたいなことをしたいです。年をとった者が楽しく何か新しいことをやっていると、若者が「何やってるの」みたいに興味を持ってくれて、(彼らを巻き込み、)その(地域)場に残って同じことを(一緒に)やって、持っている技術ですとか色々なものを教え込み、それをつないでいってくれるっていうのが(続くことが)いいんじゃないかなって考えております。

小野部長
 ありがとうございます。今、山本さんから「盛岡まるっとオレゴン化計画」という、私も岩手県盛岡市はオレゴン州だったり、ポートランド市に近いんじゃないか、なれるんじゃないかなというような感じで、大自然と最先端と、こだわりというような気がしておりました。
 皆様から2巡目、様々お話を伺いましたけれども、先ほど坂田さん、そして猪又さんからもお話ありました、異なる分野ではあるのですが、そのスタートアップ、そして工藤さんからもお話いただきましたが、頑張っている人たちの背中で押すなど、やはりそこが行政の力として大切なのかなというふうに思っておりまして、岩手県もこのスタートアップということに、昨年度、今年度と力を入れております。様々なものづくりであったり、産業であったり、さらに社会活動であったりといったこともあるかと思います。そうした企業も、徐々に芽を出しているのかなというふうに思っております。時間の方が迫っておりますけれど、坂田さん、もう一言あるようですのでお願いします。

坂田 雄平
 アーティスト・イン・レジデンスというプロジェクトもしていて、これはアーティストが岩手県に滞在して作品を作ったり、地域の人と交流したり、リサーチするプロジェクトなんですが、ヨーロッパでは、芸術家の支援として行ってるものなんですけど、私たちはこれを地域活性化だと思っています。岩手を学びたいって人が、たくさん来るんです。帰った人たちが、「岩手すごい良かったよ」とか「こういう物あったよ」と言われると(地元の方が)誇りに思うんですよね。「三陸国際芸術祭」で(芸能の)この人たちをどう外に、世界に広げていくかというときに、一番有効だったのが外と交流なんですよね。そこで初めて「俺たちのやってること(芸能)っていうのは、もしかしたらすごいことなのかな」っていう気付きが生まれるんですよね。
 徳島県の神山町が有名だと思うんですけど、1999年からアーティスト・イン・レジデンスを始め、継続しながら、次はワーク・イン・レジデンスを、その次に、サテライトオフィスが始まって、今は高専ができて、企業人材を回せる仕組みができているので、実はこれって分断して考えがちなんですけれども、人が移住したりとか、人が住むとなると、全てがないとだめなんですよね。(地域の)芸能や、新しいクリエイターがいるっていうことが、カフェをやるモチベーションにもなる、そういう人たちが(お客様として)来るから。カフェがあると女性が来てくれる。いろんな地域に行ったら分かるんですけども、ほとんど女性ばっかりなんですよ、おしゃれなカフェは。でも、おしゃれなカフェがないと移住しない。「旦那だけ行ってこい」と言われて終わっちゃう。おしゃれなカフェがある、クリエイターがいて何か自由な雰囲気がある、じゃあサテライトオフィスやってもいいよねと思うわけですね。ここで、自然を体験したり、ものづくり体験しながら生活できる、最高だよねと思う。そして学びの場を作っていく。これを分断してやらないで、一つの流れとか横串で挿して物事を考えるということがすごく重要なんだなって思いますし、そのためには手を組んでみんなでやるってことが大事なんだなと改めて思います。ありがとうございます。

小野部長
 坂田さんから、まとめのような御発言をいただきました。

知事所感

小野部長
 まだまだ皆様話し足りないところもあるかと思いますが、時間が参りました。それでは、最後に知事からお願いいたします。

達増知事
 アーティスト・イン・レジデンスでは、岩手県は高村光太郎という先駆者がいて、花巻市内じゃなくて、山の方の山荘と呼ばれるようなところにいて、そう意味では盛岡広域の旧玉山村も含めて盛岡市の周りの市町村は、非常にアーティスト・イン・レジデンスとか、あるいは何とかイン・レジデンス的な工房とか、そういうのに非常に良い場所じゃないかなというふうに思いました。
 そして、オレゴン州ポートランド市は、もうアメリカで一番人気のある町と言ってもいいようなところで、私が読んでいる月間の英語学習雑誌でビジネス英会話フレーズとかの連載の中でも、「ポートランド市で働かないか」って日本の女性が言われて、日本国内に残って仕事をするか悩んで、結局ポートランド市と日本の間で環境に優しい食べ物の輸出入をやるようになるみたいな、盛岡市、そして岩手県っていうのは、そんな感じを目指せばいいんだと思います。外国人が盛岡市で働きたいというふうになったり、盛岡市で働かなくても盛岡市の人たちとやりとりをしながら、同じ価値観を共有しながら、世界のあちこちで自己実現ができるような、そういうことができる時代になってきましたし、そういうビジョンをリアルに、現実的に持てるようになってきたなと、今日の懇談会でも感じたところでありますので、県としてもそういうことができるよう頑張る皆さんを応援していきたいと思います。
 今日は、どうもありがとうございました。

閉会

小野部長
 ありがとうございました。皆様から様々御意見も頂戴しております。分野横断的な連携の重要性、またスタートアップ支援やものづくり支援といった点、情報発信といった点もございました。そして、様々な取組をつなげるといったところでも、行政の役割も多いかというふうに思っております。
 いただきました御意見につきましては、県庁内で様々な分野で取組を進めておりますので、庁内で情報共有いたしまして、皆様からの御意見を県政の方に活かしていくように努めて参ります。
 本日は、お話をいただきましてありがとうございました。これを持ちまして、本日の県政懇談会を終了させていただきます。

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