「いわて幸せ作戦会議(オンライン・1回目)」(令和5年11月14日)

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ページ番号1071321  更新日 令和6年1月17日

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日時
令和5年11月14日(火曜)10時30分から11時50分まで

場所
オンライン会議
〔県庁舎3階第一応接室及び各参加者の活動拠点等〕

出席者
・参加者(敬称略)

 五十川 雅彦(紫波グリーンエネルギー株式会社)
 坂下 慶夏(NPO法人環境パートナーシップいわて)
 今井 優(富士大学地域連携推進センター・主任)
 石川 恒介(manordaいわて株式会社・代表取締役)

・県側
 達増 拓也 知事
 小野 博 政策企画部長
 福田 直 環境生活部長

開会

小野部長
  ただいまから県政懇談会を開催いたします。皆様にはご多忙のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。心から感謝申し上げます。本日は、「脱炭素でワクワクする地域へ」を懇談のテーマとし、GXの推進に向けた取組を行っていらっしゃる方々に、県内4か所からオンラインを通じてお集まりいただいております。私は本日の進行役を務めさせていただきます、県の政策企画部長の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

知事あいさつ

写真:懇談会の様子1

小野部長
 それでは開会に当たりまして、達増知事から御挨拶申し上げます。

達増知事
 
「いわて幸せ作戦会議オンライン」に参加いただきまして誠にありがとうございます。
 県政懇談会は、県内の各地域、各分野で活躍する方々に知事が直接お話を伺って、県政の参考にするということで、昔からあるのですけれども、最近「いわて幸せ作戦会議」という名前でやっておりますのは、今のいわて県民計画の基本目標が「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」というのが基本目標でありまして、この幸福を守り育てる希望郷いわてにちなんで、いわて幸せ作戦会議というふうにしております。やはり、東日本大震災津波の経験に基づきまして、改めてこの岩手というのはどういう県なのか、そこで暮らすというのはどういうことなのかというのを考えた時に、原点になるのが環境ということだと思います。時あたかもこの日本全体としてGX、グリーントランスフォーメーションを進めようと、これは世界全体として、CO2、気候変動対策としてゼロカーボンにしていこうという、そういう世界全体の動き、日本全体の動きもあるのですが、岩手の過去を振り返り、岩手の今をしっかり見た時にもやはり、それが岩手の生きる道ということなのではないかと思っております。今日は県内各地でGX推進に取り組んでいる方々にお集まりをいただいておりますので、脱炭素でワクワクする地域へということで、どうぞよろしくお願いいたします。

出席者紹介

小野部長
 
それではこの後の進め方についてですが、まず私からも1人ずつ御出席の皆様を御紹介いたします。続けて1分程度で、簡単な自己紹介をお願いいたします。その後、本日のテーマに沿ってお話をいただきますが、お一人ずつお話が終わった都度、知事がコメントするというような形で、区切りながら進めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。最後に自由懇談の時間を設けたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
 それでは名簿順に従いまして、本日御出席の皆様を御紹介いたします。はじめに、紫波グリーンエネルギー株式会社の五十川雅彦さんです。それでは1分程度で自己紹介をお願いいたします。

五十川 雅彦
 はじめまして。紫波グリーンエネルギーの五十川雅彦と申します。よろしくお願いします。私は新潟出身なんですけれども、縁があって岩手県に来まして、岩手メインでこれまで10年以上再生可能エネルギー事業に携わってきました。私のメインターゲットとしては、小規模分散の再生可能エネルギー事業ということになっております。再生可能エネルギー事業の展開、普及によって、地域経済の活性化につなげたい、もしくは繋がるはずだと、そういう思いを持って行動しております。きっかけは大学で京都議定書などを学んだりして、それからもともと自分の問題意識に合った地域、将来は地域経済の活性化に貢献したいと、そういう思いがまざり合って今こういうことに至っているという状況です。岩手県内では、ESCO事業(注)だったり太陽光事業、木質事業を展開しております。直近では、一関市内でPPAの太陽光発電事業を開発中です。以上です。よろしくお願いします。

小野部長
 五十川さんありがとうございました。
 続きましてNPO法人環境パートナーシップいわての坂下慶夏さん、お願いいたします。
 

坂下 慶夏
 NPO法人環境パートナーシップいわての坂下慶夏です。今日はよろしくお願いいたします。私は、大槌町吉里吉里の出身で、高校卒業後にちょっとドイツでの経験があることから、環境問題に興味を持ち、今の職場で、県民の皆さんに環境教育を行っています。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 坂下さんありがとうございました。
 次に、富士大学地域連携推進センター主任の今井優さん、お願いいたします。

今井 優
 富士大学地域連携推進センターの今井優でございます。私は、青森県平川市の出身で、桜まつりで有名な弘前市の高校を卒業した後、富士大学に入学し、卒業後は、秋田県の県立高校で2年間保健体育の教員をやっておりました。その後、富士大学に入職しまして、昨年9月に地域連携推進センターに着任いたしました。本日は、本学の取り組みを紹介させていただいて、富士大学ってこういう面白いことやってるんだっていうのを少しでも御紹介できたらいいなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

小野部長
 今井さんありがとうございました。
 最後にmanordaいわて株式会社代表取締役の石川恒介さん、お願いいたします。

石川 恒介
 皆さんこんにちは。manordaいわての石川と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。私は、岩手県の一関市の出身で、東京の大学を出た後、岩手銀行に入行いたしまして、2020年4月からmanordaいわてに勤務しております。manordaいわてを少しだけご紹介差し上げたいと思います。地方銀行である岩手銀行が、新たな事業領域に進出して、地域活性化と産業創出を促し持続可能なビジネスモデルを構築する、地域産業をデザインし、地域の社会課題の解決と共通価値の創造を図るということで設立しております。そのような中で、脱炭素に向かっていくことが、先ほど五十川さんの方からもありましたが、地域経済の活性化や、持続可能な社会の実現に向けて可能性のある分野として取り組んでいるところでございます。従来弊社としても、コンサルティングなどに取り組んでおりますけれども、これに発電とか供給機能を併せ持つことにより、脱炭素化のさらなる推進、地域活性化につなげていきたいと考えており行動しているところでございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 石川さんありがとうございました。本日は県からは達増知事それから環境生活部長の福田部長が出席しておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

懇談

写真:懇談会の様子2

<テーマ>
 脱炭素でワクワクする地域へ

小野部長
 皆様のお手元に御菓子を準備しております。届いておりますでしょうか。お召し上がりいただきながら、懇談いただければと思います。
 初めに私の方から本日の御菓子の御紹介をさせていただきます。お配りした資料の中にも菓子の説明があるかと思いますけれども、盛岡の御菓子司山善が製造しておりますぶどう飴を御用意いたしました。ぶどう飴は昔ながらの郷土菓子で盛岡の名物のひとつでございます。ほのかな酸味のある甘みが引き立つ山葡萄果汁がたっぷり入った濃厚な飴ゼリーといったことでございます。この御菓子は、盛岡のお土産品としての統一ブランド「MOYANE(モヤーネ)」の一つです。「MOYANE(モヤーネ)」は、「もりおかやっぱりいいよね」を合言葉に、商品を通じて盛岡を伝えようというプロジェクトと承っております。関係者の皆様が自信を持ってお勧めする商品とのことですので、皆様是非お召し上がりいただければと思います。本日はこのプロジェクトに参画していらっしゃいますmanordaいわての石川様にも御出席いただいておりますので石川様からも、コメントをお願いできればと思います。

石川 恒介
 はい。ありがとうございます。今お手元にある御菓子はもともと盛岡でよく食べられた御菓子ですが、皆さんも御存知のようにコロナ禍で観光需要とか、お土産需要が低迷する中、2021年に「MOYANE(モヤーネ)」プロジェクを開始いたしました。先ほど、自己紹介でお話したのですが、我々は、地域経済の活性化を通じて持続可能な社会の実現を目指しており、お土産品の需要低迷が長期化する中、商品のブランディングを通じて、地元の方とか、あとは観光客の皆さんなどに、盛岡の魅力を再発見していただくとともに、新たな需要の創出と消費を促して、地域と事業者様の持続可能性を高めるべく立ち上げたプロジェクトでございます。デザイナーさんと事業者さんをつなぎ合わせて、話し合いを重ねて、さらに売り場である店舗の担当者さんなどの意見も取り上げて、商品のリブランディングや付加価値を高めるべく取り組みしているところでございます。
 今回選定いただいたぶどう飴は2021年のスタート当初からあるものですけれども、今年の11月から新商品をさらに加えて10商品の販売をスタートしております。最近はインバウンドを含めて、観光需要も高まっているところだと思いますので、より多くの方に盛岡を知っていただくチャンスだと感じております。私どもも今後商品を増やすこともそうですけれども、この「MOYANE(モヤーネ)」を通じて、地域のにぎわいの創出に取り組んでいければと思っております。以上でございます。

小野部長
 はい。石川さんありがとうございました。とても綺麗なかわいいパッケージで、ますますこのぶどう飴の魅力が高まっているのではないかと思います。ありがとうございました。それでは続きまして、福田部長から今日の懇談テーマについて説明をお願いいたします。

福田部長
 それでは、今回の懇談テーマについて、補足的に簡単に御説明させていただきます。2050年のカーボンニュートラルを目指す中で、岩手県では、その手前の2030年に温室効果ガスを基準年比で57パーセント削減するという目標を立てておりまして、県有施設のZEB化に向けた方針などを打ち出しているほか、県内の脱炭素先行地域も東北6県で最も多いということで、盛り上がりを見せております。
 また、岩手県の再エネの導入ポテンシャルは、エネルギー消費量の18倍以上と言われておりまして、最近では、企業立地も、再エネを現地調達できるかどうか、これがポイントになりつつありますので、これは単に環境面だけでなく、地域経済を考える上でも重要なテーマになっております。振り返ってみますと、日本も江戸時代までは環境と調和した社会が成り立っていたわけですが、今は世界的な気候変動危機にありまして、そのようなピンチをどのようにチャンスに変えていくか、これは19日のネクジェネ(注:いわてネクストジェネレーションフォーラム2023)のテーマとも重なりますが、今日は脱炭素に関して皆様が取り組んでおられることや感じておられることを含め、ワクワクするような意見交換ができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小野部長
 ありがとうございました。今、福田部長の方から、今日のテーマについて説明がございました。今お話ありましたように、まさにワクワクするような意見交換を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは早速ですが懇談ということで、皆様の現在の取組や課題、今後の方向、御自身の抱負、県への期待なども含めて、お話をいただいて参りたいと思います。先ほど自己紹介いただきました順番で、まずは五十川さんからお一人、5分程度でお願いいたします。お一人ずつお話をいただいた後、知事の方からコメントをしていくというような形で進めて参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは五十川さん、お願いいたします。

五十川 雅彦
 はい。よろしくお願いします。私は、やはり岩手県は、他の都道府県と比較しましても、林業、木質バイオマスが非常に多いので、今後も木質事業というものを、岩手が先頭を切って進めていくべきではないかと考えております。木質事業は、ちょっと具体的な話なんですけれどもやはり導入費用もかかりますし、維持費、手もかかるという事業で、非常に太陽光と比較してもハードルが高い事業にはなっています。ランニングで最も大きいのはやはり木質チップの燃料費になってくるんですけれども、ただこちらは化石燃料と違って、県内で調達することによって、県内の他の人の仕事の収入になるということですので、利用が進めば進むほど、地域経済に直接結びつくと、そういう事業になっています。メンテナンス単価も太陽光と違って、かなり手がかかりますので、こういったことを地域の人材を育成していきながら、地域のノウハウにしていくと。そうすると、新たな産業というものに結びついていくのではないかなと考えています。
 木質事業について具体的な話をしていきたいと思うんですが、事業形態としては、単純にチップを燃やしてお湯を作る熱利用、それから、チップを燃やしたり、ガス化したりして、発電もしながら、冷却水を熱供給するという、CHP(熱電併給)という二つの形態が主になります。やはりFIT(固定価格買取制度)がありますので、事業性でいうとどうしても熱電併給、発電側の収益性が高い事業になっています。熱量につきましては、もちろん国内のボイラー、国産ボイラー、県産ボイラーもあるのですが、やはりヨーロッパの最先端のチップボイラーで、こちらを調べると、効率が今もう90パーセントから95パーセントまで来ています。非常に高い。ただ建屋とか周辺設備なんかを含んでいくと、やっぱり補助金はまだまだ必要なのかなとそういう状況です。特にオーストリア、ドイツでは、高効率のチップボイラーを作るメーカーがかなりあります。量産していますので、家庭向けにチップボイラー、薪ボイラーも作っていて、家庭でも使われてる状況です。かなり日本と状況は違うんですけれども、10年以上前からもう同じような状況ですので、日本はどんどん離されているのかなという状況です。CHPについても、こちら実は同じような状況でして、ヨーロッパにはたくさんメーカーがあって、日本でも、岩手の葛巻町で、東京のメーカーが頑張ってやっていたのですが、なかなか難しいということで撤退しています。ヨーロッパではきちんとチップの規格も作って、乾燥したチップを使って木質のガス化のCHP事業を実現している事例がたくさんあります。実際、国内でも主には3社ぐらい、ボルター、シュパナ、リプロという3つのメーカーが入っています。他にも入ってはいるんですけども、この3つがメインです。小規模のFIT2,000キロワット未満になってくると、間伐材を活用することによって、優遇措置も受けられます。間伐材を有効利用することによって、山の整備にも繋がりますし、A材B材といった、良い製品を作ることにも繋がってきます。こちらはちょっと林業の話にもなるのですが、林道整備というのは、進んではきているようなのですが、どうしてももう一歩進んだ、実際に作業するための作業道というところの整備はなかなか遅れている状況にあるということをお聞きしてます。持続的なそういうエネルギー事業という観点からも、やはり山の整備というものも進めていかなきゃならない状況かなと。現場からは私も話は聞いたりはしています。例えば、チェーンソーで木を倒したときに、どこかの道に引っかかると。そういう作業道が必要と。そんなイメージですね。CHPの話にちょっと戻るのですが、我々がターゲットにしているのは、小規模、もっと小さい50キロワットとかそれぐらいのレベルのものです。中でも、そのガス化、燃やすのではなくて、蒸し焼きにして一酸化炭素とか水素とか燃焼性のガスを取り出す技術なんですけれども、こちらは小規模でも20パーセント台の発電効率があります。100の木質エネルギーを投入して、20が電気に変わって、80は熱に変わります。なので熱を有効利用しないと例えば最先端の化石燃料の火力発電所、こちらは桁が違って60万キロワットとか100万キロワットなんですけども。最先端ですと、エネルギー効率発電効率が60パーセントにもなっています。そうすると木質は電気だけで20パーセントなので、この出てくる8割の熱を、有効利用しないと、効率の面でも化石燃料に劣ってしまいます。CHPの場合は熱利用を積極的に進めていって、県内の化石燃料の消費量も同時に減らしていく必要があると思っています。電気は東北電力さんに売電してしまうので、熱で実際の県内の二酸化炭素を削減していくと、これが重要だと思います。もちろんガス化の発電も大きいものがあって、宮城県内で800キロワットのものが導入されているんですけども、ここまでいくと発電効率も20パーセント後半になってきます。ただ、それでもやっぱり火力発電よりもかなり低いです。全国的に5000キロワット系の木質の発電所がありますが、これは蒸気タービンで、いわゆる火力発電のなかでも一番小さいサイズになってくるので、発電効率というのは20パーセント前後となっており熱の有効利用が重要です。いずれにしても木質事業は残りの熱をいかに有効利用するかが、脱炭素に向けた重要な論点になるのかなと考えております。小規模の場合、50キロワットサイズですと、具体的に言うと熱が100キロワットという出力で出てきます。重油に換算しますと、およそ年間で9万リットル程度です。これがどの程度の規模かと申しますと、一般的な老人福祉施設なんかはこれぐらいの重油を使っています。なので、やはりそういったサイズの、長期の滞在者数が50から80名とかそういったものなのですけれども、こういったところをまずターゲットにしていきながら、ガス化CHPなんかを導入していって、もちろん県有施設なんかも病院なんかは24時間で使ってますし、積極的にやっていく必要があるのかなと思っています。蒸気タービンと違いまして、ガス化発電というのは、木質チップから一酸化炭素や水素などの化学エネルギーを取り出し、ガスエンジンの燃料にします。それでエンジンの動力により発電機をまわしているので、活用できる温度も高くて85度など、きちんと仕事ができる温度です。蒸気タービンですと、どうしても出てくる温度が40度台だったりしまして、なかなかちょっと使いづらい。なのでこの小規模というものを増やしていって、徐々に木質のエネルギー需要、利用を増やしていって脱炭素に繋げるということが重要なのかなと思っております。まず私からは岩手においては木質の熱電併給事業というものをどんどん進めていって、脱炭素に繋げていくというのが重要なポイントだと思います。以上です。

小野部長
 ありがとうございました。五十川さんからは、やはり木質事業が岩手の強みといったことで、手がかかるといったこともあるけれども、新たな参入がやはり岩手の中ではこれが重要なポイントであるといったこと、間伐材の有効活用といったことがこれからさらに重要になりますけども、山の整備、これも併せてする必要があるといったこと、エネルギー需要については、やはり熱の有効活用、これがポイントといったお話を頂戴いたしましたが、知事いかがでしょうか。

達増知事
 五十川さんありがとうございます。岩手は北海道に次ぐ、この森林面積で木は沢山あるわけでありますけれども、指摘のとおり、林道さらに作業道となると、いまいちだから活用されていないと。
 また、チップボイラー、なるほど、ヨーロッパ、ドイツ、オーストリアなどは、どんどん発展してるということで、需要が多いからどんどん発展すると思うので、やはりそういう発電を増やしていくことが大事なのだと思います。
 また、蒸気タービンだけじゃなくてガス化してやる、より効率が良くエネルギー、熱の使い方がいいような、そういうのを増やしていくということですね。日本は近代化の歴史的な背景で、発電というものは巨大な発電所がやるものみたいなイメージがあるわけですけれども、そんなことはないわけで、むしろ身近なところで小規模に発電できる方がいいというところの方があるわけなので、そういうのを広めていきたいと思います。ありがとうございました。

小野部長
 ありがとうございました。それでは続きまして、NPO法人環境パートナーシップいわての坂下さんの方からお願いいたします。

坂下 慶夏
 よろしくお願いします。私からは、人の心と脱炭素っていうところで話させていただきます。私は、皆さんみたいに専門分野のことを話せないんですけど、私の経験から感じて、こういう岩手にしていきたいなっていう部分をお話していきます。
 私は中学校3年生のときに、岩手県大槌町で震災を経験して、その際にクラスメートと仲が悪くて会話もできない状態だったんですけど、震災のときに、初めて自分がみんなが死ぬって感じたときに、みんなと本当の心の部分でたくさん会話ができて、本当は会話してなかったけど、あなたのこと大好きだよっていう会話ができて、すごく人間って愛だなっていうふうに感じましたし、岩手県の県民性っていうのもすごく温かいなっていうふうに感じました。
 その後、高校に進学してから、復興のNPO法人の立ち上げを少し手伝いました。その時にも多くの方と対話をして、岩手県の大事な資源と人間の力で何かできないかっていう会話が生まれて、すごく心地よく生活できたのを覚えています。それで、ご縁があって、ドイツに行かせてもらったときに、ドイツの人たちは、心にすごい余裕があって、時間の使い方がうまくて、そうしてくと、経済と環境のバランスっていうのはすごく調和が取れているので、ドイツは企業も、学生も積極的に脱炭素に向けて動ける環境が整っているのだなと感じました。でも、ドイツでの生活で私もどこかこう岩手に似てるなっていう部分を感じて、すごく岩手が恋しくなって、岩手の力になりたいと思って、大学卒業後は岩手に戻ってきて、こちらで活動させていただいています。
 今年、岩手県さんの方で、温暖化防止いわて県民会議 若者ワーキンググループを立ち上げていただいて、企業さんと学生と私たちNPOで対話していく中で、脱炭素に向けて何かしていきたいと硬く考えるんじゃなくて、会話の中にワクワクだったり、自分たちが心豊かにならないと脱炭素って実現できないよねっていう話が若者ワーキンググループの計4回、5回の話合いの中で、そこが軸になってくるなっていうふうに感じていて、その中で出たアイデアが、人間発電っていうものなんですけれども、(スポーツ)ジムとかに走っている力で発電できないかなとか、自分たちが無意識の中でやっているうちに何か発電できないかな、というふうにアイデアが出て、すごく面白いなって思っていました。その詳細はちょっとネクジェネの方でお話させていただくんですけれども。脱炭素っていう言葉だけが、独り歩きするんじゃなくて、プラス人間の心も豊かになるっていう部分も、一緒に歩んでいくともっと岩手らしさとか、岩手の良さっていうものが、皆さんに発信できるんじゃないかなって思っています。以上です。

小野部長
 ありがとうございました。人の心と脱炭素といったことで、ドイツ留学での想いなども含めながらお話をいただきました。知事の方からお願いいたします。

達増知事
 坂下さんありがとうございます。岩手に戻ってきて、アイーナの環境学習交流センターで働いてもらってありがとうございます。今度の週末のいわてネクストジェネレーションフォーラムでも、パネラー登場していただいて、よろしくお願いいたします。人の心が大事っていうのは、そのとおりだと思います。経済を発展させるには、ハングリー精神っていう言葉とか、昔エコノミックアニマルという言葉もあり、一つの目標に向かって一直線に脇目もふらずに突き進むみたいなのは、経済発展がいいみたいにされたわけですけれども、それで環境がどんどん悪くなっていったということがあるわけですので、環境を良くするには、この脇目もふらずの反対で、周りを見ながらやっていく。そういう、余裕、ゆとりのようなものがないとということなんだと思います。
 また、いろいろ途中で脇目をふり、横を見ながらあちこち見ながらやっていくと新しい発見もあって、そこにワクワクとか、新しい発見そしてアイディア、新しい行動なども出てくると思うので、環境問題にはそういうアプローチが有効というのはなるほどであります。ドイツに行って、やはり成功しているところの様々実態を見て、またそういう心のあり方についても学んでこられたというのは、非常にいいことなので岩手でそれを広めて欲しいと思います。よろしくお願いします。

小野部長
 
ありがとうございました。それでは次に富士大学の今井さんの方からお願いいたします。

今井 優
 今の坂下さんのお話にちょっと感動してるところではあるんですけど、今回のテーマが、脱炭素でワクワクというところで、本当に私にぴったりなテーマだなと思いました。昨年の9月に、(学校法人富士大学)地域連携推進センターに着任しまして、環境問題に対する本学の取り組みを日々目の当たりにして、また、環境問題に関わっている人が沢山いるというところで、毎日本当にワクワクしながら業務に当たっています。今日は、本学の紹介をさせていただきたいんですけど、まず一つ目が、学内の使用電力は100パーセント再生可能エネルギーを使っているという点です。富士大学では、6年前から木質バイオマス発電所の電力を購入して、学内の電力に使用しております。二つ目は、木質チップボイラーを利用した熱供給です。先ほど五十川さんのお話にもございましたけども、学内で木質チップを作って、作ったチップを硬式野球部の寮のボイラーで燃やして、お風呂のお湯ですとか床暖房の熱源として利用しています。この木質バイオマスの事業は、ESCO事業(注)で行っておりまして、富士大学はあくまでも熱のユーザーで事業者ではありません。この一つ目と二つ目の取組に関しては、本学がプラットホームとなって取り組んでいるもので、地域内エコシステムモデルの成果ということであります。三つ目が、地域連携推進センター、私がいる部署ですけど、そこの学生委員による脱炭素へ向けた取り組みの啓発活動を行っております。例えばカードゲームを使って学内で啓発活動を行ったりですとか、地域の子供たちにカードゲームを使ってSDGsのことを紹介する活動ですとか、また地域イベント、花巻市内もそうですし、県内のイベントに積極的に参加し、富士大学の取り組みですとか、活動というのを紹介しています。
 また、岩手県さんのプロジェクトのICFA(注:いわてカーボンフリー・アクション)として、Z世代に向けた環境問題の取り組みの動画の企画撮影を本当に多くの人の協力をいただきながら活動しております。
 それで富士大学は、地域と生きる大学というところが一つテーマでもありまして、大学の研究成果を地域に還元するというのが一つ使命でもあります。その中で、岩手県様への意見というところでは、様々なイベントに富士大学にお声がけいただいて、私たちがPRできる場所を提供していただきたいなというところです。
 また、先ほどもお話ありましたけど、ネクジェネの方に私たち富士大学地域連携推進センターも出展させていただきますので、そこでもまた本学の取組の紹介ですとか、皆様からいろいろ勉強させていただけたらなと思っております。それを通して、今後の課題でありますけど、大きく私は二つあると思っています。まず一つは、脱炭素について、学生そして教職員にどれだけ身近な問題だということで感じてもらうかだと思っています。学生にいろいろアンケートなんかとりますと、あんまりエコについてとかSDGsについてわからないっていうどころか、全く知らないっていう学生も多いので、先ほど申し上げたカードゲームですとか、発表なんかを学内で積極的に行って、実は普段生活している中で、環境に繋がる問題の解決方法って沢山あるんだっていうのを伝えていきたいなというところが1点です。もう1点は、地域の人ですとか、多くの人に、やっぱり大学、そして大学の取組をPRするということです。富士大学はこんなことやってるんだとか、富士大学って面白いじゃんって、多くの方に思ってもらえるような取組を行うために、私自身広告塔という気持ちを持って、本日こういう企画に参加させていただけるのもありますし、いろんな方に富士大学のことを紹介させていただけたらなと思っております。以上です。

小野部長
 ありがとうございました。富士大学さんは地域創生といった形で、岩手県の方からもお伺いして、地域と一緒に地域創生について様々公開講座なども開いていらっしゃいますし、今お話いただきました地域内エコシステムとしての脱炭素の取組を積極的に進められていると、課題として学生の皆さんのさらなる理解、協力、ここが重要というお話をいただきましたが、知事の方からお願いいたします。

達増知事
 今井さんありがとうございます。富士大学100パーセントを再生可能エネルギー事業ということで、すごいですし、あとは木質チップボイラーを活用するということも素晴らしいと思います。
 そして、学生による啓発活動、またZ世代への啓発活動ということで、若い世代ほど、やはり地球環境問題には敏感だなと思っているのですけれども、今、知らない学生も結構いるということで、また知ればすごく敏感に反応すると思うんですよね。やはりこれから生きる時間が長い若い人たちほど温暖化が進んだり気候変動で、スーパー台風とか気候が荒れていくようなことで、困るのは若い人たちほど先が長いので、高齢の人たちは、その先の人生が相対的にあまり長くないので、そういう人類の人間としての生き物としての危機感みたいなもので、やはり若い世代は知れば、すごく敏感に反応してくれるなと思いますので、若い人向けのPRは非常に大事だと思います。県にもいろいろ富士大学が発表できる場を作って欲しいというのは、大変その意気やよしでありまして、県としてもどんどんそういう場を作っていきたいと思います。ありがとうございました。

小野部長
 
それでは、最後にmanordaいわての石川さんの方からお願いいたします。

石川 恒介
 はい、よろしくお願いいたします。先ほど自己紹介でもお話ししましたが、手前どもが岩手銀行のグループ会社というところからお話をさせていただければと思います。岩手銀行ではお客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値競争カンパニーという長期ビジョンを、本年の4月に策定いたしまして、それに関連して地域価値共創目標の一つに、岩手県の温室効果ガス削減への貢献を掲げているところでございます。先ほど部長様の方からもお話がありましたが、岩手県が再エネのポテンシャルが非常に高い一方で、再エネや関連するコスト等が、十分に地域内に循環されていないのではないか、自治体様や事業者様に人材とかノウハウ等のリソースが不足しているのではないか、再エネの電源開発にかかる費用負担等が影響して、エネルギーの地産地消や関連ビジネスなど、域内循環が進んでない状況にあるのではないかというふうに考えております。
 そのような中で、先ほどお話したような再エネの情報や人材、ノウハウ不足などから、例えば事業者様とか自治体の皆さまが計画を策定する時などの相談相手を域内で見つけるのは難しく、首都圏とか域外の事業者さんに相談している実情ではないかなというふうに思っております。実際に私たちが基礎自治体である市町村のご担当者様とお話した時も、どこから始めたらいいのか悩まれていたり、相談する相手が近くにいないということで、非常に苦労されているというふうに感じているところでございました。
 こういった地域の脱炭素化を取り巻く課題に対して、私たちは、以前から地域課題の解決という立場から、再エネ分野に対するコンサルティング業務を行っておりましたが、さらにこの分野に積極的に取り組むこととし、自らが再エネの発電供給機能を持つことによって、地域のエネルギーとお金の域内循環とか、脱炭素化を進めていくとともに関連ビジネスの創出など、地域経済の活性化に寄与していきたいというふうに考えております。
 お話したかったのは、計画やプロジェクトの策定というものは、先ほどお話があった先行地域なんかも含めそうだと思いますが、計画を実行し、実際に生活や事業活動を行う地域の事業者が担うことがベストではないかとも考えております。
 また、計画を実行していく時には、誰がやるのかということもよく課題として挙げられますが、私たちが対応することで、地域の脱炭素の取り組みを前に進める役に立てるのではないかということで地域の事業者様と一緒に課題を解決して、地域の脱炭素化を達成していきたいと考えて取り組んでいるところでございます。
 今、私たちが今取り組んでいることに加え、自らも発電事業者になること、需要家や、脱炭素、グリーンエネルギーを必要としている、再エネを必要としている事業者様にそれをお届けすること、それが私たちの役目ではないかというふうには思っているところでございます。 
 あと、本日のテーマであるところの、脱炭素でワクワクする地域の実現ですが、今朝の日経新聞の記事に政府が海外の資金を脱炭素で呼び込む施策に取り組んでいくということが掲載されていましたが、まさにこれを岩手で実現していく。そのことでワクワクするような世界が作れるのではないかと思っています。脱炭素を実現する取り組みの中で、新規事業を創出し、新たな産業、新規の雇用を生み出し、岩手に投資と人が集まる社会を実現することでこのテーマが達成できると思っております。
 今の課題は、先ほどもお話しましたが、ノウハウ、人材不足。これが脱炭素に関するところの問題、課題かなと思っています。この課題に対し、担い手を地域に作っていく、そして解決していくことが非常に重要であろうと考えております。
 今、国を挙げて脱炭素に取り組んでいるということは知事の方からもお話がありましたが、行政機関の皆さんと言えば2030とか2050での数値目標の達成に向けて取り組んでおられるところだとは思いますが、先ほどお話にあった民間企業や、五十川さんの方からもお話あったと思うんですが、なかなかこう課題が多数あるところで、民間企業の脱炭素の取り組みは、取り組まれているところもあると思いますが、全体としてはなかなか進んでいないんじゃないかと感じているところであります。なぜ、進んでいないのかを考えたときに、やはりそれは、民間企業の皆さんの意識を醸成していくことも非常に大事だとは思っておりますが、民間企業にとっての脱炭素に対応するメリットや経済合理性がないと取り組みを推進することや、そこに投資していくのも難しいのではないかと思っております。
 脱炭素化を実現するには、先ずは排出量の削減を行う、いわゆる省エネを達成してそれで賄いきれないエネルギーを、再エネで調達するということになると思いますが、例えば民間の事業者が、新たな設備投資を行って省エネを実現するには当然資金が必要になります。そうすると新しい資金を使う、投資するということは企業経営を圧迫してしまう側面もあるのではないかというふうに考えております。企業が積極的に投資を行い省エネに進むことはできないという中では、今ある設備をフルに活用して、稼動をさせ、生産方法の最適化を行うことでエネルギー使用量を減らしていくような、そしてコストを削減して、経済的にもメリットを享受できるような、そんなことが企業にとって一番の取組になっていくのではないかと考えております。そのためには新たな課題として、その企業ごと、業種ごと、業態ごと、財務力に応じた個社別に再エネ省エネの提案が必要になり、業務改善コンサルとか、いわゆる総合電力コンサルのようなものが必要になってくると考えておりますが、そういったものに対応できる事業者が岩手県内とか域内になかなかいらっしゃらず、身近に相談相手がいないことが、課題であり進まない原因ではないかなというふうに思っております。そういう相談相手となる担い手を域内に作っていく。民間の今再エネ事業者さんは様々な方がいらっしゃると思いますが、そういった方が、需要家に対して、今言ったような提案活動ができるような、そういうふうにできるようになることで民間の再エネ導入が進んでいくと思っております。そのためにそれを後押しする体制とかを作っていくことが、生意気ですけれども我々であったり、自治体の皆さんと一緒に取り組んでいければと思っているところでございます。ちょっと長くなってしまいましたが、関連する事業者さまをはじめとして、様々なプレーヤーの方が新規に参入して、新規事業、起業家を育成して投資を呼び込み再エネ産業を育成につなげ地域の産業構造の変革をもたらし、持続可能な社会や未来を作っていく。そんな取組に向けて、ここに今お集まりの皆さんと、これからも取り組んでいければと思っていたところでございます、ちょっと長くなってしまったかもしれません。以上でございます。

小野部長
 はい。石川さんありがとうございました。お話いただきましたように、やはりエネルギー、再エネについては、岩手県の域内での循環、これを進めていくことが重要といったことでございます。
 また、それはエネルギーだけではなくて、今、石川さんからもお話ありましたけれども、様々な相談、あるいはノウハウ、人材といったところでも、これは実は今は、ともすれば域外から、様々供給されている部分もあるといったことで、そういった地域の中で、ノウハウとか人材も作っていくことが重要といったお話を頂戴いたしました。まさにmanordaさんは地域商社であり、ソリューションカンパニーといったことですので、これからの活躍にもますます期待できるところでございますが、知事の方からお願いいたします。

達増知事
 石川さんありがとうございます。岩手銀行さんが今年4月にこの長期ビジョンを出して、大きな変化が求められる時代に県内企業が、どんどん変化していくことができる、地域が変化していくことができる、それを助ける、一緒にやれる、そういう新しい金融機関、そして地方銀行のあり方を示したというのは非常に良かったと思います。 
 脱炭素に関しては、この地域に根差し、それぞれの地域特有のいろんなやり方とかテーマとか課題もある反面、ノウハウの面では、全国区の知識情報とか、さらには海外の知識情報なども入手する必要があったりして、そういうのはなかなか個々の企業にはそう簡単じゃないというところがあるわけですけれども、地方銀行というものが、グローカルで、国際的、オールジャパンなこともできれば、地域に寄り添って、非常にきめ細かい地域に根差したこともできるということで、実は県っていうのもそういう存在なので、今が頑張りどころかなとお互い思うわけであります。
 そして、まず日本政府も補助金による支援もさることながら、この投資を増やして日本全体のグリーントランスフォーメーション、GXイコール投資みたいな感じで政府はやっているわけでありまして、この変化を引き起こすにはお金が必要ということで、そういう具体的な部分を地方銀行が担う役割は非常に大きいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

小野部長
 はい。ありがとうございました。ここまでお集まりの4人の皆さんから様々、今の取組、そして課題、今後の方向性などについてお話をいただきましたが、ここからは自由懇談で20分ちょっとあるかと思いますので、引き続き皆様から、他の方々のお話を聞いてでも結構ですし、言い足りなかった点もあるかと思います。自由にお話しいただければと思います。いかがでしょうか。どなたか手を挙げていただければ。
 それでは、こちらから。五十川さん、やはり先ほど、紫波グリーンエネルギーでの取組を様々、専門的な観点からもお話いただきましたけれども、この取組をさらに広げていく、あるいは岩手県内で横展開するといったこともあるかと思います。そうしたブレークスルーをするために、課題となっている点、あるいはそのために重要な点などありましたらお話をいただければと思います。いかがでしょうか。

五十川 雅彦
 はい。難しいですね。先ほど石川さんからもあったんですけども、やはり技術やお金は条件がそろえばあるんですけれども、じゃあ誰がやるのか。結局そこに限ると思います。脱炭素先行地域になっている自治体さんとかいろいろその他、相談受けたりする時もあるんですけども、結局、自治体の皆さんはやっぱり地域、地元でやっていただきたいけれども、やってくれる人がいない。そこに尽きると思います。私も、岩手出身ではないんですけども。先ほどあった、たまたまこうやってきているわけですが、やはり私としてはもともとそういうエネルギー事業をやりたい。そういう思いだけで、来てましたので。多分、最初はそういう気持ちの強い人をやっぱり見つけるしかないのかなとは思います。一つ私がやっている中で思ったのは、地域おこし協力隊の方が定住するためにどうするか。そうすると、エネルギー事業なんかは、実は適しているのではないかなと思います。ただ、やはりかなりそういった事業計画、石川さんは御存知だと思うんですけども、事業計画を作ったり、どうメンテナンス、運用を維持していくんですかっていう、そこまで考えるレベルになるにはどうしたらいいか。それをちょっと私もなかなか携わってきた中で、下のものを育てるとかそういうことはあまりしてこなかったので、実際そういう私とか経験あるもののノウハウをどう伝えていくか、伝えていくところもおそらく必要なのかなと。たぶん富士大学さんのように頑張ってる大学もいらっしゃるので、学生の中には絶対その地域で残って仕事はしたいんだけれども、なかなか自分のやりたい仕事がないとか、特に私も当時、もう10年以上前ですけれどもやっぱり地域でそういう再生可能エネルギー事業をやっている会社はなかったんですね。たまたま縁あって、最初サステナジーという会社を見つけて入りましたけれども、ここが最初、紫波町のラ・フランス温泉館にESCO事業で、ヒートポンプと太陽熱温水器と太陽光発電をやるということで携わっていました。ここは10年以上の長期契約で始めたのがもう12、3年経ってきていてそろそろ終わるかな、そのような形です。なのでやっぱり、何とか取っ掛かりは、今は地域おこし協力隊が一番いいかなとは思ってるんですけども。そこでそういった人材を開発しつつ、やはり地元の大学、学生というところにも裾野を広げていって、富士大学さんであればそういった再エネの電力を調達しているということができたので、そういったことを含めて、再エネの講義なんかを始めていただくようにしていただいて、もうちょっと知識とかを広く普及して伝えていく必要があるのかなとは思います。本当にこのエネルギーの知識は、なかなか直接話しても理解はされないので、やっぱり大きい病院とか、プールとか、そういったエネルギーをきちんと管理している部門があるところの人に話すとわかっていただけるんですけども、ただそこまで行くにはなかなか。まずは自治体の方、その次に指定管理みたいなそういった手順が必要なので、なかなか難しいところあるんですけれども、知識を伝えたり、何とかそういった適任の人をやはり身近で見つけていく。なにか強い思いのある人を発掘していく。そういうところが大事かなと思います。

小野部長
 はい。ありがとうございました。今、五十川さんからお話がありましたように、誰がやるのかと。見つけて、その方にノウハウをお伝えして、知識をつけてもらって、取組を進めていく。誰がやるのか、「人」ここが重要なポイントではないかというふうにお話をいただきました。そのためにはまた様々な勉強の場でなども必要かと思いますけど、今井さん、富士大学の方でそういった形で、富士大学の先生方も、この分野、専門の方々もいらっしゃいますけれども、何か富士大学の取組としてそういう学ぶ、あるいは教えるといった観点等で、紹介いただけるような点がございましたら、お話いただければと思いますが、いかがでしょうか。

今井 優
 
はい。富士大学、我々の仕事としては、やはり我々自身が学ぶことはもちろんですけど、学生たちに伝える、学生たちにワクワクしてもらうっていうのも一つ仕事のうちでありますので、先ほど紹介させていただいたチップボイラーの熱供給に関しては、もちろんチップを作る時に、木が必要になるわけですけど、その木は、例えば製材所で使わない背板を安く購入するとか、最近ですと、花巻球場のアカマツが倒れたという情報を聞いて、軽トラックで木を取りに行って頂戴したりですね。あと大学近隣の方から、いろんな話をする中でここの木の処分に困っている、もう喜んで行きますなんて言って軽トラで取りに行ったり。また先ほどお話があったように県民税で行ってる里山整備ですね、そこで整備の際にできた間伐材をいただいて、それをチップにしているんですが、そこの工程を、担当教員のゼミの学生ですとか、あと地域連携推進センターの学生委員に協力してもらうことで、直接、活動に触れることで理解を深めているっていう実情があります。
 また、さきほど意見させていただいたそのイベントへの参加ですけどやはりネクジェネとかもそうなんですが、今週末にですね岩手県さんで、御紹介いただいた「IWATE農LIFE」女子学生限定で、県内各地に1泊2日で、宿泊できますよというイベントなんですけど、そういうイベントのように岩手県さんが開催して、県内の大学生を集めて、そこで意見交換ですとか同じ活動をするとか、そういう機会をいただければ、富士大学は喜んで参加させていただきたいと思っています。やはりもう最初に申し上げたとおり、私たちが、覚えてもなかなか広がっていきませんので、今、富士大学は800人規模の小規模大学ですけど、この中の1人でも2人でも多くの学生にそういう活動を実際体験してもらって教えて、覚えてもらって、それを社会に貢献できるようにっていうのが一つの目標でもあります。以上です。

小野部長
 
ありがとうございました。今、やはり学生さんに活動を通じて、学んで感じてもらうといったことでワクワクしてもらうということが重要という話をいただきました。先ほどの五十川さんのお話を発端にして進めて参りたいと思いますけど、今、今井さんの方から学生の肌で感じる参加、活動といったこともありましたけども、一方で先ほど石川さんの方からお話をいただきましたように、やはりその事業者の皆さんが中心となって進めていくことが重要ではないかといったことで、そのための様々なリソースの紹介、あるいは展開といったことが重要かと思いますけれども、改めて石川さんの方から今後の岩手の可能性、あるいは他県の先進事例を見てといった形でもいいかもしれませんし、これまで石川さんが再エネ関係で関わってきた中で、こういったところをさらに進めていくことで、さらに可能性があるんじゃないかといったことも含めて何かございましたら、お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

石川 恒介
 
はい、ありがとうございます。先ほど林業というお話でしたので、その辺りでお話できればと考えております。先ほど、五十川さんもおっしゃっておりましたが、やはりどこかだけ、一部だけが良いということはないと思っております。
 先ほどの私は、再エネを使う人をいかに探していくかというお話をさせていただきました。木材を使う人たちだけでなく、木質バイオマスもそうだと思いますが、それ以外でも里山ということで山の整備だとか、林業の全体の活性化につなげ、木質チップの安定供給を実現し需要が増えていくのではないかと思います。  
 あと、脱炭素という部分で言えば、森林や森を整備することによって、いわゆるクレジットという部分で、新たな価値を創出していくことができるのではないかというふうに思っております。皆さんも御存知だと思いますが、クレジットはただ木が生えていればいいというものではなく、管理された森林でなければクレジットは創出できないので、まさにこれが豊かな自然を誇る岩手が持っている地域資源の活用であると考えます。グリーンだけでなく、ブルーカーボンも、岩手では取組が始まっているところでありますけれども、自然を資源として使っていくことが非常に大事であろうと。そういったところがこれからの、まさに脱炭素をキーワードにして、ピンチをチャンスにじゃないですけども課題を乗り越えていくことによって岩手の可能性がどんどんどんどん広がっていくのではないかと。
 あと、先ほどからネクジェネのお話とかも出ているので、やはり新しい事業者や、学生とか若者が、いろんな分野でチャレンジできるようなそんな社会っていうのを作っていくことで、岩手への移住・定住が図れていくのではないかというふうに思っています。例えば、それが五十川さんのような学生であられた方が、脱炭素とかいろいろできると岩手に来ていただいていて脱炭素の取り組みが広がっていますが、岩手に行くと何か面白いことがやれるらしいとか、あと今井さんの大学のところと、学校と一緒になってやっていけるよなんてそんな話が広がっていけば、岩手の学生がやりたい仕事がなく県外へ出てしまうという課題があるかと思いますが、自分たちがやりたいことができるような世界を脱炭素をキーワードにして進めていく、こんなことが実現できればと思っておりますし、私もそこを目指して、この脱炭素に取り組んでいるところであります。ちょっととりとめもなくなってしまいましたが、以上です。

小野部長
 
ありがとうございます。確かに石川さんのその背景は、とても良い木の背景で何かいい感じだと思いますし、また岩手県としましても今お話いただきましたJクレジットの活用それから地方債としての、グリーンボンド、ブルーボンドの発行などを通じて、県民の皆さんあるいは全国の皆さんの御協力もいただきながら、こういった取り組みを進めていく活動を進めているところでございます。
 それでは、やはりその人の話あるいはテーマでございますワクワクするといったことで、これからの子供たちあるいは若い人たちが、より関心を持って積極的に活動していくといったことが重要かと思いますけれども、坂下さんの方から、(環境)パートナーシップいわてでの様々な取り組みあるいは今度ネクジェネの方でもお話いただけると思いますけれども、若い人たちに対してこういった取り組み、参画して欲しいといった思いなどもあるかと思います。お話をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

坂下 慶夏
 
はい。そうですね。ちょっと似たような話になってしまうんですけど。やはり、若者っていうのは部活動とか学業とか、どちらも忙しい中での脱炭素への取り組みってなるとちょっとぐっとこう、動きづらい部分があると思うので、そこはやはり普段の部活動をしながらでも、走ったら発電できるとか、そういう日常の無意識の動作の中でも、自分の心も地球環境も健康で、持続可能な社会をつくれるようなものを作っていきたいなっていうふうに思っております。

小野部長
 
はい。ありがとうございます。今お話いただきました、日常の中で心も地球環境も豊かにあるいは元気になれるといったことで、今度のネクジェネの方でのお話も期待したいと思いますが、ここまで2巡目、皆さんからお話をいただきましたけれども、もう少しお話してみたいという方がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。福田部長から何かよろしいですか。

福田部長
 
皆さんワクワクするようなお話大変ありがとうございます。2点ほど、意見というかコメントをさせていただきます。今井様から学生へのアプローチというお話をいただきまして、それから石川様からは人材不足の御指摘をいただいたところであります。
 実は、この秋に脱炭素アドバイザー認定制度という国の制度がひっそりスタートしておりまして、例えばDXだと、ITパスポートみたいなものが、学生さんの就職活動の標準装備のようになっておるんですが、まだまだGXの分野は始まったばかりですので、そういった認定制度もぜひ大学等において御活用いただければというふうに思っております。
 それから2点目でありますが、坂下様から心の面のお話。広い視野で俯瞰的に見るということの重要性であったり、あるいは外部不経済のお話も含めていただいたと思っております。その一方で、石川様からは、脱炭素のメリット、別の言い方をすると、エコノミックアニマルにも脱炭素に取り組んでいただくにはどうすればいいかということでもあると思っておりまして、例えば省エネ設備を導入する際に、何年で投資回収できるかですとか、あるいは投資利益率ROIが何パーセントあるかというところがまだまだ中小企業の皆様に知っていただけてない部分だと思いますので、我々としてもしっかりPR、周知に努めていきたいと思っております。以上です。

 

知事所感

小野部長
 福田部長ありがとうございました。それでは最後に知事の方からお願いいたします。

達増知事
 途中で五十川さんから、誰がやるのかっていうことが問題提起され、これがやっぱり一つ大きいテーマだと思います。県とすればやはり県民みんながそれなりにやれるようになるということが望ましくて、地域おこし協力隊にいいテーマとか、地元に残りたい若者にもいいテーマっていう話がありましたけれども、グリーンリテラシーっていうんでしょうか、やはりこの21世紀を生きる、紳士淑女は誰でもエネルギーに関する基本的なことは知っておくとか、あと再生可能エネルギーを、生産する発電するっていうことに何らかの形で、自宅にそういう装置があるとか、あるいは地域のそういうのに関わるとか、そういうのが基本みたいな感じにしていくのがいいのだと思います。簡単なことから言うと、薪割りとか、簡単というか、近くにそういうものがある環境の人にとっては、文字どおり日常茶飯事なわけですけれども、薪割りみたいなことから始まって、お百姓さんという言葉がありますけれども、農業を中心に100の技能を持っている人たちを百姓と呼んでいるということのようなんですけれども、もともと人間が食べ物を生産しながら生活するにはエネルギーを自分で作るみたいなところもやらなければならなかったわけで、それをすべて自分以外の人に委ねるのではなくて、一部自分も、いろんな自家発電とか、何らかの形でやれる、知っているみたいにしていく、そういう中からいろんな専門知識をさらに身につけてまた、その実業としての、この経済的に事業としてやれる人材も増やしていくということをしていかなければならないのだと思います。岩手はそういう、裾野の広い活断層のいわばピラミッドを作っていくのには非常にいい県だと思いますので、そういうふうにしていきたいと思いますので、今そういうピラミッドの上の方にいる皆さんには、裾野を広げ、そしてまたさらに高みを目指していただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

閉会

小野部長 
 皆様、本日は貴重な時間、様々お話をいただきまして本当にありがとうございました。
 これをもちまして、県政懇談会「いわて幸せ作戦会議オンライン」を終了いたします。

注  ESCO事業・・・ESCOとは、エネルギー・サービス・カンパニーの略で、ビルや工場などの省エネの診断・ 
  施工・維持管理などの業務を施設保有者から一括受託する事業のこと。ESCO業者が施設の省エネ改修の費用を
    負担する代わりに、一定期間、改修で節減された光熱費から経費と報酬を受け取る方式が主流。

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