令和4年7月15日知事会見記録

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開催日時

令和4年7月15日10時00分から11時8分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。

幹事社
 本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 大きく新型コロナ対策と、あと参議院選挙の結果についてお伺いできればと思っておりました。
 まずは、新型コロナなのですけれども、おとといに過去最多の(新規)感染者数となりまして、昨日も500人を超える発表がありました。過去に警戒宣言といった形ですとか、その後には緊急事態宣言といったような宣言を発出したり、行動制限を求めたりというような経緯もありました。今回過去最多となったことを受けて、そのような宣言ですとか行動制限といったようなもの、現在どのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

知事
 今の(新規)感染者数、そしてその急拡大の度合いについては、東京都知事さんが日本として今まで経験したことがないようなものが起きているという趣旨のことを発言されていて、それは全国の知事が共有している意識、そして政府もそういう意識なのだと思います。こういうときこそ政府、そして各都道府県が、うまく調整しながら、力を合わせて対応していくことが必要だと思っております。
 そういう中で昨日岩手県(新型コロナウイルス感染症)対策本部(本部員会議)を開催し、まず岩手県の場合、医療提供体制と検査体制について、今現在まだ対応できている状況ではあるのですけれども、これをさらに拡充して、さらなる拡大にも対応できるようにしておくということを昨日決定し、また着手しております。
 そして、昨日の知事メッセージでの県民の皆さんへの呼びかけについては、今週の全国知事会でつくったメッセージの言葉をそのまま使ったりしておりまして、そのように国からの呼びかけ、そして各都道府県での呼びかけと軌を一にした呼びかけをしているところです。

記者
 ありがとうございます。そうすると、現在のところでは過去に行ったような宣言というような形ではなくて、全国的な認識の下で、行動制限を求めるといったことはないということで理解しました。

知事
 そうですね、昨日の県の対策本部で使った国の(新型コロナウイルス感染症対策)アドバイザリーボードの資料、あれがかなりオミクロン株の分析、今起きているBA.5(ビーエーファイブ)への置き換わり、そういったことをきっちり分析していると思っておりまして、それに沿いながら、全国知事会でもつくった提言やメッセージの線で対応していくことがいいと思っています。

記者
 ありがとうございます。コロナ関連でもう一つ、昨日の首相会見でワクチンの4回目接種、こちらが全ての医療従事者にも、あとは高齢者施設の従事者らに拡大されるというふうな発表がありました。県内では、その拡大分は、いつ頃からスタートしていくのかという見通しを教えていただければと思います。

知事
 岩手県内でも病院、そして高齢者施設関係の(新規)感染者が増えていて、高齢者の皆さんに感染させるリスクなどを考えた場合に、ハイリスクの方々への4回目の次というか、それと並んで医療従事者プラス高齢者施設の皆さんへの4回目接種というのは妥当な判断だと思っておりまして、早急にその体制をつくっていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。続いて、参議院選挙の結果についてお伺いしたいと思います。参院選の岩手選挙区ですけれども、知事が全面支援した候補が落選しました。先日コメントをペーパーでは頂いたのですけれども、改めてその受け止めについてお伺いさせていただければと思います。

知事
 今回、日本全体として自民党一強のような選挙結果になった中で、この岩手県において、24万2,000票余の大きさ、木戸口候補が獲得したその24万2,000票余の票数というのは、非常に貴重なものがあると思います。これは大事にして守り育てていくべきものかなというふうに思います。もともといわゆる安倍一強体制、安倍一強体制とかいう言葉を使う前に、改めて安倍晋三元内閣総理大臣の今回の遭難、そして息を引き取られたことに対して、御冥福をお祈りしたいと思います。その上で安倍一強体制と呼ばれたここ10年の自民党が、国政選挙で大体25%の得票を得て、そして一強体制が続いてきているということがあります。投票率が大体50%ぐらいということで、その中で25%獲得すれば、かなりの議席を自民党で獲得できるというようなことがあったわけですけれども、いよいよ岩手でも自民党候補が25%くらいの得票をして、岩手の中でもそういう25%体制とでもいいましょうか、そういう形ができたということだと思うのですけれども、一方それに対抗する約25%がまとまって存在しているというのは、日本の中でもなかなかないことでありますので、そのバランス関係というのは非常に貴重なものがあるのだと思います。
 そして、自民党が10年ずっと25%体制を続けてきたところで、今、旧統一教会といいますか、またその関連の団体も含めて、そこがこの10年、その前からもあるのですけれども、この10年特にマスコミなどで報じられない中で、自民党と結びつき、自民党を選挙で支援したり、また団体側の活動を自民党の有力な方々、現職の議員とか、そういった方々が応援したり支持したりしているような形が、今回の選挙前は全然表に出ていなかったのが、選挙後一気に表に出てきていて、自民党はそういう在り方でいいのか、今まで支持してきた25%の方々が、そういう自民党をこれからも支持し続けるのかということを、この25%の国民の皆さんがこれから考えていくことになるのだと思います。
 そして、もう一つ、特定の宗教団体とその関連、グループが、かなり日本の国政選挙の結果に影響を与え、そして政府の政策にも影響を与えているということが今表に出てきているというところで、投票に行っていなかった約50%の人たちがこれからも黙っているのかということがあると思います。投票に行かなかった50%の人たちが日本の国の在り方を真剣に考えるきっかけになり、そしてその人たちがどういう考えで、どういう行動を取っていくのかと、そういったことが今後1年間の間に注目すべき動きになるというふうに思っております。選挙の主役は有権者でありますし、国政の主役は国民でありますので、その主役の皆さんが今までどのようにしてきたか、そしてこれからどういうふうにしていくのかということに注目していきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。最後に1つ伺えればと思います。今回知事が候補に全面支援したという経緯も踏まえて、知事、次期知事選、来年9月に任期満了を控えていますけれども、次期知事選への対応というものを現状でどのようにお考えかというところを伺えればと思います。

知事
 この前の質問については、有権者が主役ということで、そういう視点からお答えをしたわけでありますけれども、自分については、岸田総理も選挙後の記者会見で、今、戦後最大の難局、そして有事と言ってもいい状態、これはまさに私が参院選の最中、ずっと言い続けてきたことなわけですけれども、今、岩手県知事として、コロナ対策、物価高問題、そしてウクライナ戦争ということについても、地方も様々影響を受けるわけでありまして、まずはそこへの対応に全力を尽くしていきたいと思います。

記者
 私も新型コロナの関係と参院選の関係でお伺いします。まず、新型コロナなのですけれども、この拡大は、岩手だけではなく全国的な拡大の中での岩手での拡大でもありまして、例えば国に、全国的に何か対策を求めるであるとか、恐らく全国知事会を通しての行動になると思われますが、何かそういった、今後国への要望活動を行われる予定はありますでしょうか。

知事
 実は医療従事者へのワクチン4回目拡大というのは、全国知事会のほうからも出していた意見であり、私もそれはやったほうがいいと思っておりましたし、検査体制の充実でありますとか、そういったことは、ちょうど今週月曜日(正しくは、火曜日)に全国知事会の会議、そこで緊急提言とメッセージをまとめた、その提言の中に国への要望を盛り込んだところです。

記者
 ありがとうございます。ただ、月曜日(正しくは、火曜日)以降、まだ急拡大が止まらない状況でして、今後例えば達増知事、御自身の考えでも構いませんが、こういうことをやってほしい、こういうことが必要だと思われる何かアイデアがありましたらお知らせください。

知事
 今の局面、岩手県だけが特別ということはほとんどないと思っていまして、やはり全国共通といいますか、各都道府県共通といいますか、そういったところを国や各都道府県と連携しながら対応していく局面だと思います。

記者
 ありがとうございます。そして次、参院選の関係のお話になります。先ほど実際おっしゃられました安倍晋三元総理の銃撃事件ありました。その事件について、今回の参院選の結果にどういった影響があったとお考えでしょうか。

知事
 国の一大事でありまして、まず選挙で、またこの選挙も戦後最大の難局、有事と言っていいような状況の中で、日本としてどのような政策で、どのように対応していくべきか、これを争点として行われていた選挙で、18日間しかできないわけで、1日も、あるいは1分とまでは言わないのですけれども、1時間でも止まってしまうとすれば、それがやはり国民による直接の意思決定ですから、どういう議員さんで、どういう方向の政策でいってほしいというのを決めるこの大事な選挙に対して、あれだけの一大事、やはり選挙が一瞬止まったような格好になり、与野党それぞれ運動を再開してはいるのですけれども、あの一大事がなければできたような選挙戦というものができなくなったという影響はあったと思います。

記者
 ありがとうございます。選挙活動自体に影響はあったというお話ですが、結果について……

知事
 選挙活動もさることながら、国民の皆さんがふだんは自分の生活とか自分の仕事とか、国政以外のことを主に考えていて結構ですし、そういう事情もあると思うのですけれども、国政選挙、しかも投票に当たって、その直前の選挙期間中に当たっては、やはり国のこととか、政策のこととか、そういうことを考えなければならない時期だった、それが影響を受けたということです。

記者
 ありがとうございました。そして、安倍元首相が亡くなったことについて、国葬という話が出ております。その件について御所感をいただければと思います。

知事
 戦後はたしか吉田茂総理、佐藤栄作総理、あと中曽根総理の3人が国葬でありましたか(正しくは、吉田茂総理が国葬)、そういう前例を参考にしながら決めていけばいいのではないかと思います。

記者
 私も参議院選挙の結果について伺いたいのですけれども、まず、今回、木戸口さんを達増さんが全面支援する二人三脚の選挙戦を戦ってやってきたわけですけれども、特に達増知事は1区に大きな地盤もあると思うのですけれども、1区でも自民党側に勝たせてしまうという結果になってしまいました。木戸口さんの敗因についてはどのように達増知事は分析しているのでしょうか。

知事
 まず、全面支援、二人三脚というのは非常に抽象的な言い方で。具体的に何をしたかというと、街頭演説や個人演説会に多く参加したということで、改めて岩手全県各地を回りながら県民の皆さんが今何に困っているのか、何に不安を持っているのか、そして、それを解決しようとする一つの野党共闘サイドから出ている政策論に対して、どういう反応を持っているのかということを広く、かつ一人一人の県民の皆さんから直接受け取って、それを感じること、知ることができたというのは、私にとって非常に有意義だったと思っていますし、それは岩手1区の中でも同様であります。
 そして、結果の要因については、やはり有権者に沿って、そこは分析されるべきであって、ざっくり言えば岩手県においては今まで自民党支持というのが15万票、岩手の場合、それがほぼ有権者数の15%くらい、そういう自民党側への支持というのがあったのが、今回全国並みの25%までに増えたと、それが野党共闘サイドと同じくらいの25%なのですけれども、2万票、割合にして2%上回ったというのがまず結果の形といいますか、基本的な要因分析になるかと思います。

記者
 ありがとうございます。あと、立憲民主党県連が階猛衆議院議員に訴訟していたのを公示後に取り下げるという判断をされました。それについて階議員は異議申立てをして応じませんでした。選挙後に某民放テレビ局で、条件が整えば木戸口さんの応援のため、階さんはマイクを握ってもよかったというふうにインタビューされていましたけれども、この件についてはどのように選挙に影響したと考えていらっしゃいますでしょうか。

知事
 私が岩手1区を直接有権者の皆さん、県民の皆さんと接して様々運動する中では、ほとんど今おっしゃったようなことについては話題になりませんでした。

記者
 今後、知事選などもある中で、階議員にはどのように振る舞っていただきたいと考えていらっしゃいますか。

知事
 政治の主役は国政であれば国民で、基本は岩手1区の皆さんが国民として、今後、どう進んでいくかということだと思うのですけれども、そこは特定の政治家との関係云々というよりも、まずは直面する戦後最大の難局にして有事に、有権者の皆さんというふうに言いましょうか、有権者の皆さんがそこにそれをどう受け止めて政治に何を願っていくのか、そして政治に対する願いというときに、やはり、今、マスコミなどで急激に噴出して広がっている自民党政権と旧統一教会及びその関連団体との関係ということが、それを岩手1区の有権者の皆さんもどう見ていくのかということではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。あと、広瀬めぐみさんが参議院選挙岩手選挙区で当選後、マスコミのインタビューに対して、「岩手におけるやっとねじれがなくて、岩手県にとってもいいことだと思う」、つまり国政の与党ではない野党系の議員ではなくて自民党系の議席になったことをいいことというふうにおっしゃったと思うのですけれども、また知事についても「知事は替わるべきだと思います」と、国政のパイプがなければ本当は得ることができる利益が得られないというようなコメントをしていたのですけれども、その件についてはいかがでしょうか。

知事
 私もそれは朝日新聞で読みました。そして、読んですぐ、これは山際大臣が八戸でおっしゃったことと同じことを言っているなと思いました。山際主義というか、これは山際大臣だけのことではなくて、自民党全体、もう政府、大臣の発言、政権を挙げての基本的考え方という今状況になっているわけですけれども、行政上の不公正、我々を支持しない地方には不利益を与えるぞという、そういう行政上の不公正をちらつかせて、地方の政治的自由を奪おうとするということだと思うのですけれども、私はそれは非常によくないということを以前からずっと思って、今回の選挙でも山際発言があってトーンを高くしていたところであります。
 ただ、どうなんでしょうね、信念として、考え方としてそういう政治をやるのだという人はいるのだと思うのですけれども、ただそれは理念、政策の違い以前の民主主義としてやっぱり逸脱しているということだと思いますので、元に戻れば選挙の主役は有権者、政治の主役は国政であれば国民でありますので、国民の皆さんがそういう山際発言的なやり方を今後どう評価するかということだと思います。

記者
 私も参院選についてお聞きいたします。参院選の投開票日当日に広瀬さんの当確が出た後に支援者に向かって自民党県連の藤原崇会長の挨拶の中で、この投票の結果は県民の意思は岩手を変えることだ、決して今の状態を守ってはいけない、その声に一番に耳を傾けなければならないのは県政のトップだ、今回の結論についてしっかり受け止めていただきたいという趣旨を申し上げたのですが、そのことについての御感想や反論等がございましたらお聞かせください。

知事
 広瀬候補に投票された26万4,000票余のその有権者の考えというのは、今おっしゃったこと一本に統一されているわけではないのだと思います。そして、それと同じくらい、2万票くらい少ないのですけれども、大体25%ずつ票が分かれたというところで、そして50%投票していない人もいるという中で、この県民の皆さんがどう考えているのかというのをやはり分析していかなければならず、そこは今回選挙の前から、自民党、自民党というような、自民党圧勝に向かうようなムードがあり、そして選挙中にも山際発言があって、またその山際発言のような、さっきおっしゃった藤原崇議員の発言、そこにもちょっと山際発言的なニュアンスを感じるのですけれども、そういう現実に対して、ここはもう与党に投票するしかないと思った方も多いのではないかと思います。
 そして、選挙最終盤での一大事に当たって、そこで自民党に有利に働いたのではないかという分析は、多くのマスコミも行っているところだと思うのですけれども、そういった要素を、それが今後1年間続くものかどうか、そして旧統一教会と関連する団体との関係ということをめぐる議論が今後1年間どう続いていくかということで、今回の26万4,000票の方々の考えや行動というのがどうなっていくのかということを見ていく必要があると思います。

記者
 ありがとうございます。関連して、約26万票が広瀬さんに投票されて、大体25%、25%だと知事はおっしゃっていますが、なぜ2万票広瀬さんに及ばなかったのかというのは、どう考えられておりますか。

知事
 そこは、そもそも約25万ずつの一人一人にそれぞれの思いがあって積み上がっていくので、片や26万を超えたのはなぜか、24万台にとどまったのはなぜかということなのでしょうけれども、そこにはかなり多くの理由があるのだと思いますが、一言で言えば、今回の参院選では与党志向が強まったということが言えるのだと思います。これもいろんな理由で与党志向が強まった、選挙前からの野党に比べて与党の勢い、選挙前からの与野党を比較した場合の与党の勢い、そして選挙中の内閣の一員、大臣がああいう山際発言を明言したと。それに対して、今の世の中もうそうなのだなと、それを受け入れるというところもかなりあった、岩手県としてもかなりあったのだと思います。プラス終盤の一大事の影響ということですね。与党志向が強まったということだと思います。それが今後1年続くかは見てみる必要があるということです。

記者
 分かりました。関連してなのですが、自民党の陣営幹部から、小沢一郎さんを中心とした政治体制はこれで崩れたという発言もありました。知事の御認識をお伺いできればと思います。

知事
 そこは、特定政治家に注目する仕方もあるのかもしれませんけれども、有権者本位、県民本位にも少し見ていったほうがいいのではないかと思います。

記者
 ちょっと話題は変わりまして、知事は先ほどから旧統一教会と関連団体が国政の選挙や政府の政策に影響を与えることは、有権者はどう考えるのかという趣旨の発言をされておりますが、特定の宗教団体が政治に及ぼす悪影響といいますか、知事がなぜそう考えられるのかをお聞かせください。

知事
 一般論にしてはまずいテーマでありまして、宗教一般がどうのこうのなんていう言い方をし始めると非常によくない、まじめで誠実で、世の中のためになって人々の幸福度を高めている宗教は、というか宗教のかなりの部分はそうだと私は思っております。
 ということで、個別具体的に検討していく必要があって、そういう中で分かりやすいのは、今回自民党の比例候補で賛同会員といいましたか、そういう旧統一教会の準会員とでもいいましょうか、賛同会員という用語があったと記憶しますが、それになっていた人がもともと安倍首相の秘書でしたか、秘書官でしたかを務め、そして今回自民党比例候補として立候補し、かなり極端な政策を主張して、様々話題になっていた、マスコミやネットで話題になっていたと思います。それほど非常に極端な政策を主張していた。
 しかし、どうも当該団体グループの応援もあって、今回当選を果たしたということのようで、この辺はさらなる分析が必要だとは思いますけれども、論点としては、あまり宗教団体という言い方もよくないかもしれません。もう個別具体的な当該団体と関連団体のグループが国政選挙に影響を及ぼし、その結果に影響を及ぼし、かつ政策にも影響を及ぼしているという、まずそれを検討する入り口になるような事例は、はっきり比例選挙のところであったと言っていいと思うので、そういったところから様々検討していくといいのではないかと思います。

記者
 知事がおっしゃりたいことは、宗教団体の支持を母体としている政党がございますけれども、そういった宗教団体と政治が支援という形を問題視されているのではなくて、個別具体的に、例えば旧統一教会が政治に影響を及ぼしているという状態が問題だということでしょうか。

知事
 これも事実関係は、さらに検証されていかなければならないので、まだ今は論点としてあるという、論点ベースで私も言及しますけれども、まず政策が非常に極端で、家族というものを強調するあまり、女性の権利でありますとか、またLGBT(エルジービーティー:性的少数者)の方々の権利というものを極端に否定する。そして、団体の活動としては、一般の常識から見て法外な寄附金等を集めて、そしてそのお金を基にした活動で国政選挙の結果に影響を及ぼしていくと、そういう団体が自民党と深く結びついているということを検証していくべきということです。宗教団体とかという言葉を使わないほうがいいなと私は思っています。具体的にどこに問題、宗教であることに問題があるかのごとく聞こえてしまうのですけれども、問題なのは多くのお金の集め方の問題と、そのお金の使い方、そして政治的な理念、政策があるということです。それが実は自民党の憲法案とか、そういったところにも反映されているのではないかというような論点がやはり検証されなければならないのだと思います。今の段階では、私はそう決めつけませんけれども、論点としてはあるということです。

記者
 つまり知事は、端的に申し上げますけれども、公明党や創価学会を批判されているというわけではないということですよね。

知事
 まず、個別具体的なところから検証、検討していくべきだと思います。

記者
 私も参院選に関してお聞きしたいのですが、先ほどの質問と知事の御回答のやり取りの中で、岩手県における自民党は、これまで15%ぐらいが支持層だったと。それが全国並みの25%になったのが理由の一つだというふうにおっしゃっていましたが、この25%にまで伸びたといいますか、理由としては、先ほど言ったような与党志向が岩手県内でも強まったというような考え方でよろしいですか。

知事
 そうですね、与党志向が強まった。それは選挙前からの与党の勢い、選挙中の山際発言、そして選挙終盤の一大事、そういったことから与党志向が強まったと言えるのではないかと思います。

記者
 あと、知事は今回の選挙戦の中で、真のあるべき政治という意味で、シン・ポリティクスという言葉を強調していたように感じました。これなのですけれども、今回、この選挙中に有権者の皆さんには伝わったと思いますか。

知事
 まず、そういうことを言う人が応援している候補者にあのくらいの票が入ったということは、大変ありがたいことだと思っております。そして、シン・ポリティクスというのは、私の個人的なブログにA4、1枚ぐらいでまとめて書いてあるのですけれども、旧統一教会とその関連団体が主張している理念、政策と正反対で、かつやり方についても団体の強制力とか、そういう人の自由意思と違うところで政治を動かしていくというのとは正反対で、草の根の地方に生きる、暮らしの現場や仕事の現場で一生懸命やっている人たちの自由意思を集めて政治をつくっていこうという主張なので、潜在的には今後1年間の中で、私はそういう考え方が伸びていくほうがいいのではないかなと思っておりまして、そういう意味ではシン・ポリティクスというのは、さらに磨き上げていかなければならない考え方だなと思っています。

記者
 それから、野党共闘の件なのですけれども、全国的にも今回野党共闘が衰退したというか、あまり実現しなかった県があったりですとか、今回岩手のように事実上の野党共闘が実現した県でも、厳しい戦いが強いられたと思います。今後野党共闘は、どういうふうにあるべきというか、立て直すべきだと知事はお考えですか。

知事
 野党共闘の非常に大きな論点が、共産党とどのような形で連携するかということだったと思うのです。今、旧統一教会と関連の団体の関係で、その団体グループは勝共連合という団体の中に入っているように、とにかく反共というのを理念の中核に据えているわけでありまして、そういうものが強くなればなるほど、共産党と連携していいのかということでがたつくと。ですから、そちらの旧統一教会関係をめぐる検討、議論が今後どう進んでいくかというのも野党共闘の在り方にかなり影響を及ぼすと思っています。

記者
 ごめんなさい、ちょっと理解が及ばなかったのですけれども……

知事
 そうか。私は学生時代から、東大というのは、民青と原理の戦いというのが東大の名物で、そういう共産党青年部と原理研究会が激しいバトルを繰り広げているのをもう学生時代から見ているし、外務省で働いているときもそういったものがいろいろあるというのは見聞きし、衆議院議員時代もそうで、今に至っているので、やっぱりそういったことをみんな知るべきときに今来ていると思います。そして、共産党や共産主義をめぐって、日本でそういう勝共連合のようなものができて活動を始めている、今に至っているというところとかもあって、野党共闘が最近がたがたしたのは、やっぱり共産党と直接連携するのはよくないという雰囲気に影響されてなったわけですけれども、自民党、与党、特に自民党の勢いが選挙前からどんどん高まっていたという中で、そういう自民党への与党への忖度、その忖度の中には共産党と距離を置くというような忖度も入っていたのかどうかとか、その背景に勝共連合とかとの関係もあったのかというようなことが今後検討されるべき論点なのだと思います。

記者
 選挙期間中に知事が防衛費の2倍に関する議論の中で、防衛費が2倍になるならILC(アイエルシー:国際リニアコライダー)は何本も造れるのではないかみたいな話があったと思うのですけれども、防衛費の2倍に関する知事の考え方をお聞きしてもよろしいですか。

知事
 原敬首相のことをいろいろ調べていて、戦前、二個師団増師問題、戦前の軍部ですら軍拡を議論するときには、非常にやはり個別具体的に、満州の状況と朝鮮半島の状況に鑑みて、陸軍二個師団を今増やすべきというような議論をしていたので、いきなり額で2倍というのはあまりに粗い議論だと思っておりますし、そういう内容がないと諸外国はそこに疑心暗鬼、防衛費倍増の中に何が入ってくるかということについて、核兵器の可能性まで考えるような、そういうあらぬ誤解を避けるためにも、地に足のついた防衛論議をしていくべきだと思います。

記者
 1点だけ、先ほどのILCのほうなのですけれども、ILCに関しては、自民党候補のほうも誘致したいというふうにおっしゃっていました。今後県内の自民党の国会議員ですとかとどのように連携して、ILC誘致に向けて知事は取り組んでいきたいと思っていますか。

知事
 先週行われた東北ILC推進協議会の総会でも、ILCジャパンの代表、浅井(あさい)先生を迎えて、今、最先端の取組を確認したところでありまして、やはり研究者の皆さんを中心にして、よりILCの在り方、実現するための手順をより具体的なものにする作業を国際的な広がりの中でやるということ、これを文科省はじめ、政府とうまくすり合わせながら、国会議員の皆さんにも応援していただきながらやっていく(ということであった。)。岩手は岩手で、岩手にあれがないから、これがないから、実現できないみたいなことがないように、準備を地元としてしっかり進めていく。そして、研究者、政府、議員の皆さん等々の活動に対する支援も岩手県なりに行っていくということかと思います。

記者
 今、野党共闘に関する質問が出たので、お尋ねしたいのですが、まず今回の参院選では、知事の後援会が、立憲民主、共産、社民の3党の後方支援の結集軸となりましたけれども、その一方で選挙中なども、政党の団結の熱が、一般の有権者にはなかなか伝わりにくいというか、伝わらないという指摘もありました。そういったところで、今後も県内では野党共闘は必要だと思われますか。今回の経験を踏まえて、各党がどのような共闘の形をつくっていけばいいというふうにお考えでしょうか。

知事
 野党共闘サイドの大きいテーマとして、まず選挙前から野党共闘サイドとしては、今、日本が直面している戦後最大の難局というのは、ここ10年の政策がもたらしたというところもあって、いわゆるアベノミクスと消費税率引上げというその組合せが世界でも稀に見る長期不況と実質的低賃金と円安構造をつくってしまって、そして、今、目の前の物価高やそういった問題に世界で一番対応しにくいような経済構造ができてしまっている。そして、ウクライナ戦争への対応にしても、やはりこの10年間、日米同盟強化というところを、そこに力を入れて国連改革、ゼレンスキー大統領が日本の国会にメッセージで出した主題である日本による国連改革ということについて、あまり力を入れてこなかった10年という、そこがやっぱり、今、目の前の危機にうまく対応できない背景になっていると。そこを正していくために、消費税減税という政策をシンボルにしながら、野党共闘がまとまった格好になっていると思うのですけれども、その方向性というのは維持されるのではないかと思います。
 そして、そういう政策論に、そうした経済政策や安全保障政策のさらに背景に、旧統一教会とその関連団体の影響があって、新自由主義的な政策ですね。格差がなくなって、実質賃金がどんどん上がっていくような、そういう社会においては、旧統一教会と関連団体がやっているような献金の働きかけとかというのは、うまくいきにくいのではないかと思うのです。そして、勝共連合という団体もあるのですけれども、反共ということを強調することで、北朝鮮、中国との対立関係を正面に持ってきて、日米同盟強化と言って、国連改革のほうにあまり手を出さないというようなところにも、そういう団体の影響があったとすれば、そういう団体の影響の検討ということも野党共闘の重大な任務になっていくのではないかと思います。

記者
 今回共闘に当たっては、中央の意向なりが地方の政党団体に影響したところも大きいと思います。ただ、皆さんおっしゃられるように、岩手から発信したいというふうなことを言うのであれば、中央に影響されない独自の結びつきの強さみたいなものを強化していかなければならないのではないかなというふうに思います。そういった趣旨で先ほどもちょっとお尋ねしましたけれども、今後の野党共闘というのは必要だと思われますか。

知事
 そうですね。特に岩手において、全国的に野党共闘体制が動揺する中で、25%くらいの票をいただける成果を上げたのは貴重なことですし、まさに八戸市で山際発言があった、あれに真っ正面から対抗していくという、そういう勢力も非常に貴重な存在だと思いますので、まず岩手県ではしっかりやっていくべきだと思いますし、それが全国に広がっていけばいいということなのではないかと思います。

記者
 分かりました。すみません、テーマを変えまして、軽米病院の跡地から医療廃棄物が見つかった問題について、軽米町が月内にも県を相手に損害賠償を求め提訴することを決めました。こちらについて所感をお願いします。

知事
 県医療局のほうで内容を検討しながら、丁寧に対応していくというふうに聞いておりますし、また民事訴訟という前の段階から、軽米町と県医療局とで、埋まっているものの内容、これが、医療関係がどのくらいあって、それ以外がどのくらいあるのかというのを明らかにしていけば、県の負担分というのも確定していくだろうということで、その作業は基本的に続くものではないかと思っておりまして、いずれにせよ県が応分の補償をしていくというゴールに向かって進んでいくことができればいいのではないかと思います。

記者
 応分の負担というふうにおっしゃいましたけれども、そういうことは、まだ法廷ではないので、それぞれどういう主張をするのかというふうなことになってくると思うのですけれども、県としてはまず全面的に争うのではなく、例えば和解なり、そういったところに向かいたいというふうな御趣旨ですか。

知事
 司法手続は司法手続で、それはそこに訴える人たちの権利とかというのは、これは大事なもので、またいろんなトラブルを解決するための司法の重要性というのもありますので、そういったことを踏まえながら県医療局も対応していくのだと思うのですけれども、基本的には県としても、あれは賠償という言葉ですね。県として賠償しなければならない、その賠償の金額を確定するために、県に責任のある廃棄物がどのくらい埋まっていたかというのを確定し、県は県で、賠償する場合、議会にかけたり、いずれ県民の皆さんにきちんと説明しなければ、県民の皆さんに納得してもらえるような根拠に基づいて賠償はしなければなりませんので、そういう作業を軽米町と県とで協力しながら進めていくということだと思います。県医療局ですね、主体としては。

記者
 まず、今回の件について、町とすれば、当初廃棄物の処理方法について医療局と認識を共有していたのに、対応が突然変わったというふうな不信感を町長自身が会見で述べられております。こちらについてはどのようにお考えでしょうか。

知事
 その辺は町側の言い分をよく聞きながら、県医療局に対応してほしいなと思います。

記者
 1問だけ、(仮称)西久慈風力発電事業について、建設予定地の中に県立自然公園が含まれているということで、知事も意見を出されたと思うのですけれども、改めてこの件についてお考えを伺いたいと思います。

知事
 県からは、事業者に対して事業区域から自然公園を除外することなどを求める意見を送付しました。今後事業者において、これらの課題の解決に向けて、事業区域の適切な見直しなど環境影響の回避、低減に向けた検討が行われることを期待しています。

記者
 久しぶりに会見にお邪魔しております。よろしくお願いいたします。先ほど安倍元総理について哀悼の意を表されたかと思います。私も同じように哀悼の意を表したいと思います。知事のツイッターで、安倍元総理と衆議院議員時代のお付き合いがあったことですとか、震災の被災地でも一緒に訪問をされたことなどを拝見しました。安倍元総理の岩手に対する功績、功罪も含めて、今思われることですとか、個人的な振り返っての思い出などあれば教えてください。

知事
 今、選挙中の政策論争を1時間でも長くという時期はもう終わっていますし、1週間しかたっていないような状況でもありますので、功罪という議論は今はしたくないと思うところでありますけれども、やはり現職の総理大臣が岩手県に来られるというだけでも、これは大変なことなのですけれども、11回も来られていると。そのうち1回は平成30年台風10号(で被災した)岩泉(町)なのですけれども、そしてその間、私も東京でテレビ出演があるとか、そういう事情がなければ常に同行し、昼食も何度も御一緒させていただいて、そしてその間、岩手県知事が日本国内閣総理大臣と話ができるという機会を生かすためには、まずILCの話ということを毎回やっていて、かなり詳しくなられていましたね。「ああ、ILCね」という感じで、意義とか課題とかというのを、これはもう政府、内閣の中でも一番よく御存じくらいにまでなられていたと思います。
 そして、復興の進捗状況を話す中で、下関(市)など選挙区、御地元の話をよく紹介されて、こういう魚は下関でも捕れるよとか、あと相続、被災した土地の相続関係への対応が大変というときは、相続への対応はうちの選挙区でも悩みだよねとか、あともう一つ、サケ、サンマ、スルメイカが不漁で、その分タラフライという新しい名物を岩手沿岸のほうで開発していますということで、昼食にタラフライが出されたときは、完食してくださって、「おいしいね、これ」というふうに食べていただきました。
 個人的な関係の親しさの中でお付き合いをさせていただくようなところでは、本当にいい方なのだなというふうに感じています。ですから、安倍晋三元首相のそういったところを非常に敬愛する人たちがとても多いということは、本当にそのとおりだなと思います。
 そして、最後に被災地訪問されたのが釜石(市)で、復興道路の釜石(市)につながる複数箇所を同時に開通式をやるとき、釜石(市)での開通式に出席されて、そのときのテープカットの写真などは復興道路を説明する際、岩手県としてもよく使う写真として今までも使っているし、これからも使われていくでしょう。そして、釜石鵜住居復興スタジアムができて、さあいよいよ今年ラグビーワールドカップ(2019)釜石開催という年でしたので、そこで少年少女がラグビーの練習をしているところに安倍首相が参加されて、女子選手が「はい、総理」と言ってパスを出したのをばっと受け止めるというような、そういう気さくなことをしていただいたことを思い出します。

記者
 ありがとうございます。続いて、先ほどの知事選についてなのですけれども、はっきりと明言はされなかったかと思うのですけれども、今後、御自身が出馬されるかどうかについて、今は検討中というような認識でよろしいのですか。

知事
 いや、もう知事選のことは考えずに、今、目の前の危機対応に専念するという状況と思っています。

記者
 ありがとうございます。危機対応は、コロナ対策とか物価高騰とか、いわゆる県民の生活、安全、暮らしを守るための公務ということですね。

知事
 そうですね。いわゆる3大危機を中心に、少子化対策とかDX(ディーエックス:デジタルトランスフォーメーション)、GX(ジーエックス:グリーントランスフォーメーション)、また今日は、医師不足対策の関係で医師不足知事の会の行事を東京で午後行いますし、そういったことをきちっとやっていくということだと思っています。

記者
 ありがとうございます。最後に1点お伺いします。いわて旅応援プロジェクトについて、昨日延長されると発表いただきました。今こうした感染状況の中で、ウィズコロナで経済と感染対策の両立の中で経済を回すという判断なのかなと感じているのですけれども、知事のお考えを改めて教えてください。

知事
 ここは、全国一斉に現状のやり方をさらに緩めて全国版をするような時期ではないなと。かといって、今やっていることに制限をかけて縮小する状況でもないということで、今やっていることを延長するという判断でやっているということです。

記者
 ちょうどお盆の時期とか夏休みの時期にも重なるかと思うのですけれども、そういったことに対する何かリスクとか、注意点などがもしあれば教えてください。

知事
 一人一人が気をつけることは、やはり基本的な感染対策を徹底するということ、特に場面、場面ですね、家庭内、学校、職場などなど、あとスポーツ大会、合宿、そしていろいろなイベント行事、その場、その場での感染対策を徹底するということをきちんとやれば、それぞれの感染リスクというものはかなり低くできると言えますので、それをお願いしたいと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は7月25日(月曜日)の予定です。

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